2024年06月07日 定例会
令和 6年第 2回定例会
令和6年6月7日(金曜)
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│ 議 事 日 程 第3号 │
│ 令和6年6月7日(金曜)午前10時開議 │
│ 第 1 一般質問 │
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午前10時00分 開議
○寺本義勝 議長 ただいまより本日の会議を開きます。
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○寺本義勝 議長 日程第1「一般質問」を行います。
発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
まず、田中敦朗議員の発言を許します。田中敦朗議員。
〔30番 田中敦朗議員 登壇 拍手〕
◆田中敦朗 議員 自由民主党熊本市議団の田中敦朗でございます。
3月に議長を退任させていただきまして、6月に早速一般質問をさせていただきます。妻からもう質問すっとねと言われましたが、やはり議員の本分、しっかりこういった質問の場に立つことだと思っておりますので、今日も市長をはじめ、執行部の皆さん、明快な答弁をどうかよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
まず最初に、庁舎建て替え問題についてお伺いいたします。
昨年の第2回定例会において、大西市長は、本庁舎を建て替えの方向で議論を再開したい旨を表明されました。今年3月には、新庁舎整備に関する基本構想の素案が示され、4月~5月にかけて市民説明会を実施するなど、建て替えの必要性や基本的な考え方について市民に説明し、また、意見を聴取されてこられました。
一方で、説明会等で出された意見を拝見いたしますと、本庁舎建て替えの必要性について、多くの市民の皆様が認識されているようですが、一部の方は本庁舎の耐震性能が不足していることについて、まだ御理解や納得はいただけていないようです。大変難解で複雑であるため、この耐震性能という部分で納得されることは、今後もないかもしれません。
そこで、今回の質問は、耐震性能以外の点に焦点を当てて行い、本庁舎の建て替えの必要性について、理解を深めていきたいと思います。
そもそも本庁舎の建て替えについて、一部の市民の方々が御納得いただけていない理由の一つに、市役所執行部による設備等の老朽化や財政負担の観点における必要性の説明が不足しているということがあるのではないでしょうか。
もともとこの建て替え問題のきっかけとなったのは、平成29年度に調査された熊本市本庁舎整備計画であり、その計画によると、仮に設備改修を行う場合、令和元年度から設計を行い、令和10年度には工事を完了し、供用を再開する予定でありました。熊本市公共施設等総合管理計画の目標耐用年数70年に照らせば、設備改修後に23年間活用できる計画でした。
しかし、耐震性能の調査の再検証や新型コロナウイルス感染拡大に伴い、議論を凍結してきたため、本庁舎は今年で築43年を経過し、仮に来年度から設備改修の設計に着手したとしても、令和16年度に完了することとなり、残り17年しか現庁舎は使用できません。
そこで、市長にお尋ねします。
仮に設備改修を行い、そのまま現庁舎を使い続けた場合にどのような課題点が残るのか。また、設備改修した現庁舎及び賃借している周辺の民間ビルを使い続けた場合の財政負担はどのようになるのか、以上2点についてお答えください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 庁舎建て替えについて、設備のみ改修を行い、そのまま現庁舎を使い続けた場合の課題についてお答えいたします。
設備のみ改修を行った場合、現庁舎は耐震性能が不足し、主要な建築設備が地下2階に配置されたままとなり、大規模な地震や水害が発生した場合には、防災拠点施設として機能を継続することができません。
さらに、窓口や執務スペースの狭隘化についても、課題として残ったままとなります。
次に、設備のみ改修を行った場合の事業費を現在の建設単価で試算いたしますと、約187億円となる見込みであり、その際に充当できる交付税措置等の総額は約8億円で、実質的な財政負担は約179億円となります。
また、基本構想素案では、現庁舎の狭隘化を解消するためには、約1万5,000平方メートルの増床が必要と整理しておりまして、その床面積分をさらに民間ビルを賃借することで対応した場合、年間6億円の賃借料が必要であり、議員御質問の目標耐用年数で試算いたしますと、約180億円が必要となります。
したがって、設備改修と民間ビルの賃借料を合わせた財政負担は、合計で約360億円となる見込みです。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 現庁舎を設備改修した場合は、耐震性能不足や浸水に対する脆弱性といった課題は解決できず、また、残りの耐用年数までに約360億円が必要との答弁でした。また、残りの耐用年数を考えると、設備改修が完了して10年後には次の建て替えの検討を始めなければならず、その際には合併推進債の活用はできないということです。
一方で、新庁舎を建て替えた場合の事業費は現時点で470億円、合併推進債の活用が可能であれば、市の財政負担は294億円と試算されています。よって、今建て替えた方が財政負担の面でも66億円有利であり、早期に本庁舎を建て替えた方がよいということが理解できます。
ただし、今後、建設地が決定されれば、概算事業費に用地取得費や駐車場整備費等が上乗せされ、事業費はますます大きくなることも懸念されます。
そこで、市長に2点お尋ねいたします。
今後、物価高騰などで建設費が上昇した場合の増加分はもとより、用地取得費や駐車場整備費についても合併推進債の活用は可能でしょうか。
また、仮に新庁舎を移転する場合は、現庁舎敷地については、にぎわい創出に寄与する用途となる建築条件を付した上で、民間事業者に貸付け等を行い、中心市街地の活性化を図るとともに、財政負担を軽減するために利活用することが最も有効であると考えますが、市長のお考えはいかがでしょうか。
加えて、民間事業者に貸付け等を行う場合、その利活用条件などの跡地に係る方針は、いつ頃示されるのでしょうか。詳細にお答えいただければ助かります。お願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず、合併推進債は、いわゆる投資的経費に充当可能でありまして、仮に建設費が高騰した場合の増加分をはじめ、現在、概算事業費としてお示しをしております470億円に含まれていない用地取得費、仮設庁舎費、駐車場整備費、什器購入費などについても充当が可能であります。
次に、仮に本庁舎等が移転することとなった場合の跡地利用についてですが、昨年度実施いたしましたサウンディング調査では、多くの民間事業者が、現庁舎敷地のポテンシャルを高く評価され、跡地利活用に強い関心を示されました。
また、地元経済界や市民の方々からも、庁舎建設を起爆剤としたまちづくりへの期待感や御要望をいただいております。
このようなことから、民間事業者等による跡地の利活用を通じ、市の財政負担の軽減に努めますとともに、この場所にふさわしい利活用や都市機能の導入等によりまして、これまで以上のにぎわいと経済効果を生み出していくことが重要であると考えております。
また、昨日、井本議員にもお答えいたしましたが、仮に本庁舎等が移転した場合の跡地の利活用が可能となる時期は、現庁舎が解体された後となりますため、基本計画の着手から六、七年後になると想定しております。
しかしながら、現在、議会をはじめ、市民の皆様からも跡地利活用への期待の声をいただいておりまして、私としても、そうした期待に応え、建設地決定後、土地の貸付けまたは売却に係る要件や地域価値の向上につながるような用途の誘致可能性について速やかに市場調査等を行い、できるだけ早く具体的な方針等を明らかにしたいと考えております。
いずれにいたしましても、跡地の利活用や周辺のまちづくりにおきましては、市が主体的に取り組み、様々な施策を効果的に展開することで、さらなる民間投資を呼び込み、エリア全体の発展につなげてまいりたいと考えております。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 合併推進債は、用地取得費、仮設庁舎費、駐車場整備費、什器購入費についても充当可能ということです。そうであれば、現在は国の補助や交付税で176億円賄える試算ですが、全ての費用を加算すれば、200億円を超える負担軽減を図れる可能性があるということになります。
27年後に200億円以上を市民負担で庁舎を建て替えるのか、今、多様な使途に活用できる合併推進債を活用して負担軽減を図るのか、どちらがよいかは明らかであると私は考えております。
また、跡地の利活用を通じ、財政負担の軽減だけではなく、本市の一等地にふさわしい用途の導入等を通じ、現庁舎周辺にこれまで以上のにぎわい効果を生み出そうとう市長のお考えを聞くことができました。
なお、70年後よりもっと先、次の建て替えのことを視野に入れますと、跡地を利活用される際は、土地を所有したまま民間に貸し出すことが最もよい方法ではないかと考えていますので、こちらについてもしっかりと御検討をお願いいたします。
さて、跡地の利活用を通じた新たなにぎわいを創出していくお考えがあることをお聞きしたところですが、本庁舎等についても毎日多くの市民が訪れるほか、2,700人の職員も勤務しています。このような市民や職員の皆さんによる飲食や買物等の経済活動は、長きにわたり地域経済を下支えし、中心市街地の活性化の一翼を担ってきました。熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議答申においては、本庁機能と中央区役所はそれぞれの担う機能が異なることから、個別に立地や配置について検討することもできるとあり、本庁機能と中央区役所は分棟が可能であると整理されたところです。
そこで、市長にお尋ねします。
本庁機能と中央区役所を1棟とした場合と分棟とした場合では、まちのにぎわいに与える影響、景観、建設費などの面でどのような違いがあるでしょうか、御答弁をお願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本庁機能と中央区役所を1棟とした場合と分棟とした場合の影響についてでございますが、現在、様々な観点から分析・検討を行っているところでございます。
まず、まちのにぎわいに与える影響でございますが、これまで実施いたしましたアンケート調査等によりますと、本庁・議会棟と中央区役所に来庁される市民等の数は、それぞれ1日当たり約1,000人であり、そのうち約半数が中心商店街等に立ち寄ると回答されました。
このようなことから、本庁機能と中央区役所を1棟とするより、分棟とする方が消費行動の対象となる中心商店街のエリアは広くなると考えられます。
次に、景観への影響でありますが、基本構想上の床面積で算定いたしますと、どの候補地であっても本庁機能と中央区役所を1棟で建設をする場合、景観計画上の高さ基準であります海抜55メートルを超えますとともに、周辺への圧迫感を与える可能性が高いと考えております。
最後に、建設費への影響でございますが、一般的に1棟の方が建設費が抑えられると考えられますが、景観上の観点から地下に階層を設けるなど、諸条件の設定によっては分棟の場合よりも建設費が高くなることもあります。
なお、基本構想でお示しをしております建設費の概算事業費360億円については、1平方メートル当たりの建設単価で算定をしており、1棟と分棟の場合で変わるものではありませんが、用地取得費や駐車場の整備にかかる経費なども含めた総額については、今後お示ししてまいりたいと考えております。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 本庁機能と中央区役所を1棟とした場合と分棟とした場合でも、基本構想上の建設費360億円は変わるものではないということでしたが、にぎわいや景観の面では分棟の方がよいという御答弁であったかと思います。今後、さらに詳細な分析・検討を進めていただきたいと思います。
なお、仮に分棟される場合は、窓口機能の在り方の見直しやデジタル技術を活用され、本庁機能と中央区役所の両方に業務のある方が不便にならないよう、十分に配慮を行っていただきたいと思います。
さて、本庁舎の整備について様々お尋ねしてまいりましたが、防災上の観点はもちろん、本市の負担などからしても、本庁舎の建て替えは、この機を逃さずに進めていかねばならない状況にあると私は理解できました。
また、今後の物価上昇を考えれば、現庁舎を改修し使い続けた場合は、27年後に建て替えが必要となり、現在の試算よりも確実に工事の費用は上がります。しかし、早期に建て替えれば、合併推進債が使え、物価上昇を織り込むと実質の債務は縮減していくということになり、財政やマネジメントのことを考えれば、まさしく今、着実にすべきことなのだと考えます。
また、先ほど申し上げた移転する場合の跡地については、貸した方がよいという私の申し上げた点ですが、億単位で定期借地権を貸し出せば、その年数×億円単位の歳入があります。また、売却せずに更地にして返してもらえるのであれば、それこそ次の建て替えのときに建設地を考えなくてもいい、またここに戻ってくればいいということになります。ここにいるほぼ全ての議員は、私も含めてこの世にはいないと思いますが、瀬尾議員は100年時代ですので、もしかしたら御存命かもしれませんが、とにかく今回のように移転先の検討で七転八倒せずに、今後永劫行ったり来たりすればよいということになり、未来の懸念を一つ解消することができます。
ここで、大阪御堂筋について触れますが、1923年就任の關一大阪市長は、大阪の100年先を見据え、都市大改造計画、御堂筋の拡幅、地下鉄の整備を進めました。1926年に工事着手、1937年に11年をかけて完成させました。片側4車線の8車線だった御堂筋は、人口と車両の増加により1970年、8車線に一方通行化されました。当時市民から大きな抵抗があり、必要ないと言われていた拡幅は、30年の時を超えて先見の明があったということが証明されました。
本市においても、庁舎の建て替えという大きな変化を、先ほど申し上げたように、未来の懸念を解消するとともに、中心市街地がさらに飛躍し、誰もが訪れたくなる国内外から選ばれる上質な生活都市を実現するために、市長の強いリーダーシップの下、跡地利用や周辺のまちづくりについてもしっかりと取り組まれ、市民が故郷に対して愛着と誇りを深めることができるように、御尽力いただくようにお願いいたします。
また、合併推進債活用が間に合えば、200億円市民負担が減少する可能性があります。そのお金はぜひとも教育や福祉、子供や高齢者の皆さんへの支援の充実に活用していただくようにお願いいたしまして、次の質問に移ります。
続きまして、宿泊税についてお伺いします。
昨年、宿泊税検討委員会が立ち上げられ、導入について有識者、学識経験者、業界団体、市民の方々に検討を重ねていただきました。結論が今年3月に出て、熊本市はその答申を受けました。宿泊税の導入は適当であるという前向きな答申が出た以上、いち早く決断し、制度設計を迅速に行い、周知を図り、一日でも早く導入し、それを財源に本市の観光振興に活用すべきだと考えますが、宿泊税についての市の考えを大西市長に伺います。
また、得た税収については、宿泊者が払い、宿泊事業者が徴収するというものであり、その性質上目的税として使途は限定すべきだと考えています。観光振興、滞在者へのサービス向上、新たな観光サービスの創設などに使われるべきだと、私は考えていますが、その点について財政局の考えをお伺いします。
あわせて、宿泊税が導入されれば、新たに宿泊事業者に税の徴収という負担を担っていただくことになります。私といたしましては、定着するまでの二、三年は、宿泊事業者に対して、徴収した税の1割程度を導入コストとして補助金や支援金などを創設し、支給していくべきだと考えますが、何らかの形で負担に報いる考えはないか、こちらも財政局にお伺いいたします。
最後になりますが、制度の中身について考えを聞いておきます。
税額について、幾つかの先行自治体においては、宿泊1回に当たり200円を徴収していることが多いと認識しています。本市においても、税額について、国内宿泊者は200円が妥当と考えていますが、国外の宿泊者は金額を増やしてもいいのではないかと私は考えています。その増額分をWi-Fiエリアの拡充や外国旅行者への支援拡充、例えば通訳支援、24時間の旅行者相談センター、観光名所やインターネットでの多言語表記の充実などに活用していけばよいと考えますが、国外旅行者からの徴収する税を増やすことについて、財政局長の考えをお伺いいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 宿泊税についてのお尋ねにお答えいたします。
全国的に人口減少が進み、地域経済活動の縮小が懸念される中、裾野が広く波及効果の高い観光産業は、地域経済の柱の一つであると認識しております。
本市では、コロナ禍を経て旅行需要が急速に回復いたします中、旅行者のニーズの多様化など観光を取り巻く状況の変化に的確に対応し、観光振興への取組を強化していく必要がありますことから、熊本市観光マーケティング戦略を策定いたしました。
この戦略に基づき、観光振興に積極的かつ継続的に取り組むための安定的な財源確保について、昨年度、外部の有識者の皆様からなる宿泊税検討委員会を設置いたしまして、検討していただきました結果、宿泊税の導入は適当であるとの答申を受けたところでございます。
このようなことから、今後、戦略のビジョンであります、訪れる人が、暮らす人と共に上質なときを創るまちくまもとを実現するため、令和8年のできるだけ早い時期の宿泊税導入に向け準備を進めてまいりたいと考えております。
〔原口誠二財政局長 登壇〕
◎原口誠二 財政局長 宿泊税につきまして順次お答えいたします。
1点目の宿泊税は、法定外目的税として導入し、観光資源の魅力創出による誘客、宿泊の促進や旅行者の満足度向上などの事業の拡充に活用することとしております。
次に、事業者への支援についてのお尋ねでございますが、宿泊税の徴収方法を宿泊事業者が宿泊者から徴収し、市へ納入していただく特別徴収を考えておりまして、宿泊事業者には、徴収に係る事務的負担や経費的負担をお願いすることになることから、特別徴収に対する交付金の制度化や宿泊事業者のレジシステム等の機器の更新に対する助成制度の導入を検討してまいります。
最後に、税額に差をつけることにつきましては、宿泊税検討委員会から「宿泊事業者の徴収にかかる事務負担の軽減や宿泊者への分かりやすさの観点から、できるだけ制度を簡素化することが望ましく、一律定額で導入し、その後の検証によって必要な見直しを行うことが適当である」との御意見をいただいたところでございます。
一方、議員お尋ねの宿泊者によって税額を変える場合は、宿泊事業者の徴収に係る業務が煩雑になることが懸念されます。今後、導入自治体の事例等を参考に、また、宿泊事業者等から丁寧に御意見をお伺いしながら、制度の詳細を検討してまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 議員人生の中でも5本の指に入る前向きな、意に沿うような答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
ぜひ一日も早く導入してほしいところですが、先ほど申し上げられたとおり、令和8年の早い時期ということです。制度の設計構築や周知、国や県とのやり取りなど時間がかかるためです。
そういった前向きな答弁をいただいた中で苦言を申し上げるのは心苦しいのですが、私が初めて宿泊税について質問した令和元年に決断をし、実現に向けて動いていれば、既に導入をできていたはずです。つまり令和5年、令和6年、令和7年、この宿泊税による税収を逃したこととなります。
年の宿泊者数を200万人とした場合、1人当たり200円徴収していたならば、3年間で12億円の税収が生じたはずでした。それを活用すれば何ができたでしょうか、つくづく決断させ切れなかったおのれのふがいなさを悔やみます。そして、当時決断できなかった熊本市役所についても、残念に思います。やるべきことであれば面倒くさがらずに、むしろ市長に決断を迫るくらいの気概を持った職員がどんどん増えてほしいと思います。
特にこの宿泊税に関しては、令和元年度中に業界団体の会長や理事長に私の方から意向の調査をし、考えをお伺いして目的に沿った活動していただけるのであれば、反対ではない旨の返答をいただいていました。そのことを各担当課にも伝えていたにもかかわらず、コロナを挟んだとはいえ、5年間かけて決断、7年かけて実現というのは、スピードを求められる時代にあまりに遅すぎるのではないでしょうか。今後はこのようなことがないように心からお願い申し上げまして、次に移ります。
市役所発注の工事についてお伺いいたします。
年度によって異なりますが、市役所が発注する工事は、随意契約や単価契約を除けば年間700件前後になります。そのうちのほとんどは契約どおりに執行されますが、中には様々な理由によって契約変更が生じる場合があります。市役所が発注した設計に基づいて設計会社が設計したにもかかわらず、そういったことが起こるということ、想定外が起こり得るため、ゼロにするのは不可能だと理解しますが、その工事を落札した事業者は、まさしく外れを引いたと言っても過言ではありません。
そこで、お伺いします。
現場と設計の差異によって工事額が2割以上増減し、契約変更になった件数は過去5年に遡って何件ありましたでしょうか。増減の内訳も合わせて総務局長に答弁を求めます。
また、契約変更の原因について、都市建設局はどのように認識しているのか、もし契約変更があった場合、受注者はどのような不利益を被る可能性があると考えるか、都市建設局長に答弁を求めます。
〔津田善幸総務局長 登壇〕
◎津田善幸 総務局長 私からは、工事契約の変更件数についてお答えいたします。
地方自治法施行令第167条の2第1項第1号の随意契約及び単価契約を除く工事案件において、過去5か年度で当初の契約額から2割以上増額、減額する変更契約を締結した件数は301件であり、全体の8.3%です。増額、減額別の内訳では、2割以上の増額が283件で全体の7.8%、2割以上の減額が18件で全体の0.5%でございます。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 契約変更となる主な原因といたしましては、例えば舗装の打ち換え工事を行う際の既存舗装の厚さや地中に埋設される障害物の有無など、設計時には正確な把握が困難な事項が工事着手後に判明し、現場と設計に差異が生じることによるものと捉えております。
このことにより、受注者には、当初契約時に予定していた作業手順や資機材調達計画などの現場条件に合わせた調整や、それに伴う変更契約手続に御協力をいただく必要が生じることとなります。
そのため、設計段階におきまして、試掘等による確認を可能な限り実施いたしますとともに、請負金額や工期の契約変更に際しましては、受発注者間で十分に協議を行うなどの対策を講じているところでございます。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 御答弁いただきましたが、5年間で減額が18件あり、年間平均して三、四件あるということ、700分の3か4で、外れという表現はどうかと思いますが、そういったことがあるというのはなかなかの確率です。宝くじに比べればかなりの高確率であり、毎年三、四事業者が涙を飲んでいるという実に切なく悲しい気持ちになります。
不利益のことを明確におっしゃらなかったので私が代わりに言いますが、もし3,000万円の工事が2割減になれば600万円の減となります。見込んでいた売上げが減少し、さらに契約変更が成立するまでは工事を進めることができず、そして、その工事が終わらなければ次の入札にも臨めず、その間の人件費が受注者にのしかかります。契約解除という手はありますが、立場の弱い受注者にその選択ができるとは思いません。受注者からすれば、踏んだり蹴ったりの状況です。そんな状況に陥っても歯を食いしばって契約変更に応じ、何とか工事を完遂したとき、その工事の評価が低かったらどう思うでしょうか。絶対に納得がいかないと思います。
今回は、質問いたしませんが、そういった差異により工事期間を延長した場合は、その人件費まで見るようにしたり、工事額の減額になる契約変更に応じた際は、評価点数を加算するような制度を導入した方がよいのではないでしょうか。
こういった課題については、次の一般質問で取り上げますので、検討しておいていただきたいと思います。
今回、2割以上の減額が5年で18件という答弁でしたが、私は、これは氷山の一角だと思っています。中には受注者からの協議を受け付けない、課題を封殺して事業を完遂させているということがあるのではないかと懸念しています。熊本市は、一生懸命やっていらっしゃるので、そういったことがないと信じたいですが、やはりいろいろな職員の方がおられる、そしていろいろな自治体がある中で、そういったことがゼロであるとは言えないと思います。
また、設計についても、土木の現場に精通している人間であれば当然理解し、調査したり、織り込んでおくべきものが、市役所や設計コンサルの調査不足によって織り込まれていなかったり、全く必要なくなったりということが起こっているのではないかと危惧しています。この2点についても、今後質問するかもしれませんのでよろしくお願いします。
今回は、発注工事に関わる課題についてのジャブ的な質問です。これから少しずつ詰めていきますので、質問をしたときに明快に答弁できるように準備をお願いして、次の質問に移ります。
市役所の人員不足についてお伺いします。
先日、ケースワーカーの人員不足について取り上げられましたが、事業者の方々と常日頃からやり取りをしていると、市役所はほかにも人員がまだ足りていない部署があるのではと感じます。都市建設局や土木センターにおいては、事業の量や市民に寄り添うための時間、上司が部下を指導・監督する時間等を考えれば、いまだ充足しているとは言えない状況だと見受けられます。
また、教育委員会や学校現場においても、政令指定都市となって増えた業務への対応や財政局が部活動支援員の拡充に難色を示すことから、働き方改革の推進が鈍化していると感じます。
また、先日事業者から聞きましたが、工事の際に文化財の発掘調査が必要になる場合がありますが、発掘実施までの期間がどんどん延びているとのことです。中には1年近く待たなくてはならないということもあるそうです。
定員管理計画が令和9年までということで、現在やっと増員中であるとは理解いたしますが、現状各所で生じている人員不足による事業の遅延やそご、組織マネジメント上の不具合について、それぞれの組織がどのように認識しているのか、また、今後充足していくまでどのように対処していくのか、都市建設局長、教育長、文化市民局長にお伺いします。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 都市建設局に関連することについてお答えいたします。
近年、インフラ施設の老朽化や、気候変動等に伴う自然災害の頻発化・激甚化など社会課題の多様化に伴いまして、都市建設局や土木センターにおける職員の業務量は増加し、求められる質も高まってきております。このため、安全で良好な都市基盤の形成等、様々な事業の着実な推進に向け、業務の効率化や組織力の強化に努めているところでございます。
具体的には、道路や河川等の維持管理におきまして、LINEを活用した市民の皆様からの通報システムの導入、画像データから劣化状況を判断するAI診断による橋梁点検などに取り組んでおりまして、今年度からはドローンを活用した高所点検等、新技術のさらなる導入を実施することとしております。
また、令和2年度に技術職職員採用プロジェクトチームを設置し、県内外の大学生や高校生に対しリクルート活動を行うなど、質の高い人材の確保に努めておりますとともに、管理職を中心に資料作成や業務分担、部下職員とのコミュニケーションの在り方等仕事の進め方を継続的に見直すことで、限られた人員下でも仕事の質の低下を招かない環境整備に取り組んでおります。
今後も引き続き、都市建設局や土木センターにおける業務対応力の底上げや組織体制の強化に取り組み、市民サービスのさらなる向上に努めてまいります。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 私からは、学校と教育委員会に係る御質問についてお答えいたします。
学校現場における働き方改革については、学校の抱える諸課題に対応するための学級支援員や部活動指導員など会計年度任用職員の増員を図っており、教職員の時間創造プログラムにおいても一定の成果が見られております。
しかしながら、年休取得日数以外の項目においては、目標達成に至っていないことから、引き続き学校現場の業務負担の軽減や人員体制の充実に努めてまいります。
また、教育委員会においても、様々な支援を必要とする児童・生徒への対応やICT教育の推進など、学校教育部門を中心に人員体制の充実を図ってまいりました。
一方で、議員御指摘の政令指定都市移行後に権限移譲された教員採用や人事等の管理業務に従事する職員については、増員に努めているものの、多様化する教育諸課題へ対応していく必要もあるため、職員一人一人にかかる負担が増しているものと認識しております。
今後も、事務事業の見直しや業務改善等による効率化を図るとともに、必要な人員の確保に努めてまいります。
〔早野貴志文化市民局長 登壇〕
◎早野貴志 文化市民局長 私からは、文化財についてお答えいたします。
近年、埋蔵文化財の発掘調査件数の増加に伴い、着手までに通常時よりも時間を要していることから、文化財専門職員の効果的な配置、調査工程及び事務作業の効率化を図るとともに、大規模事業等は民間調査機関に委託するなど、可能な限り調査期間の短縮に努めているところでございます。
また、文化財専門職員の増員を図るため、新規採用職員の募集において、例年の3名に加え、今年度は社会人経験枠を1名設けることで、即戦力となる人材の確保も進めているところでございます。
今後、調査の遅延が早期に解消されるよう、引き続き人事部局と連携し、適切な人員の確保に努めてまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 それぞれの部局が工夫しながら、人員不足を補い仕事を進めていただいているようです。政令指定都市移行後の見通しが甘く、私が指摘していたにもかかわらず、人員を増やそうとしなかった当時の熊本市の負の遺産によるマイナスを、今の市民や事業者、そして職員が受けているということです。
幸い、定員管理計画を見直していただき、人員増の真っ最中ですが、今の予定では充足しないのではないかと心配している次第であります。計画の途中ではございますが、いま一度定員管理計画を見直し、さらなる増員をするべきだと私は考えておりますが、市長の考えをお伺いいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 現在、令和5年2月に策定いたしました第7次熊本市定員管理計画に基づき、人員体制の強化に取り組んでおりまして、引き続き必要な職員数の確保に努めてまいります。
また、今後、策定時には見込めなかった社会情勢や行政需要の変化等を踏まえまして、必要に応じた見直しを行ってまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 必要に応じた見直しを進めていくということで、明確にお答えいただきました。実際のところやはり人事部局、そして各局、さらには財政部局、このバランスで人員を増加したり、減らしたりというところで、かなりセンシティブでしかも難しい問題であるということは十分に理解しておりますが、やはりこの政令指定都市になって業務が増えた、そして様々な社会課題が増えているという中で、人員の増加はやむを得ないというか、必ず必要になっていると思っています。
もちろん、様々な答弁があっておりましたとおり、人を増やすだけが人員不足の解決方法ではないと理解していますが、市役所の仕事には、今のところ人でなければできない仕事が多々あります。見直しをしていくということですので、そういった人でなければならないところの拡充をお願いいたします。
人員に余裕が出てきたらどうするんだと心配される方がおられると思いますが、余裕が出てきたらしっかりと庁内のスキルアップに努めたり、上司からの技術やマネジメントの力を高めたり、災害大国である日本においては、災害が起きたときに多くの職員を派遣したり、また、霞が関に出向していただき、スキルや経験を積んでもらうこともできるようになります。
そういった切迫した状況から、ある程度余裕のある体制を一日でも早く実現していただくようにお願いしておきたいと思っております。
また、土木職の確保がかなり難しいということも聞き及びました。ほかの自治体でやっているところもあるということですが、一般職として採用し、土木職として育ってもらうこともできなくはないのかなと思っておりますので、様々な形で不足するであろう土木職を拡充する取組もしていただければとお願いして、次に移ります。
小児慢性特定疾病対策についてお伺いいたします。
小児慢性特定疾病は、長期にわたり治療や管理が必要な病気のうち、国が特定する疾患群を指します。この制度は、厚生労働省が認定した疾患にかかる子供とその家族の経済的負担を軽減するために設けられています。対象となる疾患には糖尿病、心臓病、腎臓病、ぜんそく、神経疾患、代謝疾患、悪性新生物などがあり、これらの疾患は慢性的で継続的な治療や医療管理が必要です。
制度の主な特徴は、医療費の助成です。対象となる子供が受ける医療費の一部が公費で負担され、自己負担額が軽減されます。助成の範囲には、入院、通院の費用、薬剤費、医療機器の費用などが含まれることがあり、必要に応じて通院費用の助成も受けられます。申請手続には、医師による診断書と所定の申請書類の提出が必要で、認定されると受給者証が発行されます。対象年齢は基本的に18歳未満ですが、18歳以上でも継続して支援を受けられる場合があります。これにより、子供とその家族は、経済的な心配を減らし、安心して治療を受け続けることができます。
この制度は、長期にわたる治療が必要な子供たちが適切な医療を受けられるようにし、生活の質を向上させることを目的としています。国の制度ということで、当然熊本市民の対象者も支援を受けられるのですが、現在熊本市においては、各区に相談窓口があるものの、専門の窓口がない状況です。熊本県は、既に自立支援相談事業を実施しており、相談会や各種勉強会の開催、交流イベントの実施を行っています。
熊本市は、対象者が1,000人を超えていると聞いています。早急に相談支援事業を行うべきだと考えますが、令和6年度の予算には相談支援事業の予算が計上されていません。こども局は、予算要求を行わなかったのでしょうか。
また、国から小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会を早急に立ち上げるように言われているということを聞きました。こちらも令和5年度には、熊本市は県の会議にオブザーバー参加であったと聞いていますが、本来であれば政令指定都市なので主体的に取り組むべきでないかと考えますが、今後はどう取り組んでいくのでしょうか。以上、2点をこども局長にお伺いいたします。
〔木櫛謙治こども局長 登壇〕
◎木櫛謙治 こども局長 小児慢性特定疾病対策についてお答えいたします。
慢性的な疾病を有する児童やその御家族の負担を軽減しながら、児童の将来の自立や成長を支援するためには、地域の社会資源を活用し、児童やその御家族の状況に応じた相談支援を行うことが重要であると考えております。
このことを踏まえ、令和6年度当初予算編成に当たって、児童等の自立に向けた相談支援にかかる経費を要求いたしました。
令和6年度は、熊本県と共同で小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会を開催し、県や関係者との連携を図り、児童等とその御家族の現状と課題やニーズの把握、支援策の検討、支援機関に関する情報の収集と共有を進めてまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 こども局長から令和6年度の予算要求をしているとの答弁でしたが、先ほど申し上げたとおり、令和6年度の予算には小児慢性特定疾病等の相談支援事業は計上されていません。
私は、専門の相談員による体制をいち早く実現すべきだと考えていますが、要求しているにもかかわらず、令和6年度に予算化されなかった理由を財政局長にお伺いいたします。
〔原口誠二財政局長 登壇〕
◎原口誠二 財政局長 小児慢性特定疾病対策につきましては、予算編成に当たりまして、現在、各区役所で対応しております相談支援の状況でありますとか、予算要求における委託で実施する場合の必要性等についてヒアリングを行ったところでございます。
その結果、対象者のニーズの把握や既存の相談支援における課題の現状を踏まえた実効性の高い事業手法等について、さらなる検討が必要であるとの考えから、令和6年度当初予算においては、予算計上を見送ったところでございます。
引き続き、相談体制等につきまして、担当部局と協議を進めてまいりたいと存じます。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 今の答弁で分かったことは、国が必要と認めて推進し、担当課が予算を要求しても、財政局財政課が実効性の高い事業手法と認めなければ予算がつかないということです。つまり、我々議員が熊本市に必要な政策だと考え提案する際には、当然担当課に対して質問は行いますが、担当課がその気になって実効性の高い事業手法を構築し、その必要性を立証し、財政課とひざ詰めで協議し、予算をもぎ取ってもらわねばならないということです。なかなか政策が実現しない理由がよく分かったと思います。
担当局、担当課のやる気スイッチをいかに押し、いかにして予算を獲得してもらうか、これが一番大事です。来年には小児慢性特定疾病の相談支援事業が実現するように、こども局、しっかり頑張ってください。応援しています。
財政局においては、御理解と予算づけ、そして、どういった情報や立証が必要なのかアドバイスしていただければと思っております。
また、協議会においても、オブザーバーではなく共同で開催をしていくということで、私はこの分野に関しては、県と市が協働して力を併せて進めていくことが、とても大事だと思っておりますので、ぜひ市長筆頭に連携してやっていただければと思っております。
以上で、準備した質問は終わりましたが、時間がありますので1点だけ要望させていただきます。
バドミントンのスーパー500が、今年も開催されますが、市の総合体育館、選手の皆さんからトイレに対する不満が多く、改善を要求されているということでございます。11月までに間に合うか分かりませんが、9月補正で改修予算をつけていただきまして、今年のスーパー500開催までに改修を終えていただければと思っております。大変実現が困難な要望をして申し訳ありませんが、この要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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○寺本義勝 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開いたします。
午前10時53分 休憩
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午前11時10分 再開
○寺本義勝 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○寺本義勝 議長 一般質問を続行いたします。
上野美恵子議員の発言を許します。上野美恵子議員。
〔47番 上野美恵子議員 登壇 拍手〕
◆上野美恵子 議員 日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。時間がありませんので早速質問に入らせていただきたいと思います。
通告に従ってお尋ねしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、初めに、TSMCの熊本進出と地下水の保全です。
TSMCの熊本進出は、経済面での期待が高まる一方で、この間指摘してきました地下水の枯渇や汚染などの不安が払拭されていません。さらに、知事がTSMCの第3工場誘致に積極的な姿勢を見せる中で、地下水保全の重要性は増しています。
東海大学名誉教授の市川勉氏は、企業による地下水くみ上げはもちろん、工場設置等の開発による涵養域面積の減少がくみ上げ量を上回る地下水損失になると指摘されています。汚染面でも、熊本学園大学教授の中地重晴氏は、使用される化学物質の把握とともに、産業廃棄物の処理処分に至るまでの対応が必要であると警告されています。稼働が迫る中で地下水の涵養、汚染、両面からの対策は急務です。
第1に、TSMC第1工場は、1日8,500立方メートルの地下水をくみ上げるとの公表です。第2工場と誘致される関連企業で予定されるくみ上げ量をお示しください。
あわせて、TSMC第1、第2工場と関連企業の誘致による白川中流域の開発面積と開発による地下水への影響を具体的なデータでお示しください。また、開発による涵養域減少が地下水減少に影響するという認識はお持ちでしょうか。
第2に、現在実施されております、あるいは予定されている涵養対策でくみ上げ量に対する涵養と、開発による地下水涵養量の損失を補うことができるのか、見通しをお示しください。
第3に、TSMCが使用する有機フッ素化合物も含めた化学物質を特定しなければ、適切な汚染対策はできません。使用される化学物質は把握されていますでしょうか。また、流域住民へも公表すべきではないでしょうか。
第4に、TSMC第2工場の排水は、新たな処理施設での対応が予定されています。整備の進捗状況を御説明ください。また、工場から出る産業廃棄物は安全に処理されますか、具体的に御説明ください。
以上、市長にお尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 地下水保全に関するお尋ねにお答えいたします。
まず1点目のTSMC及び関連企業誘致による白川中流域の開発面積及び地下水への影響についてでございますが、JASM第2工場の地下水採取量は公表されておりませんため、不明でございます。
開発面積は第1工場が約21万平方メートル、第2工場が約32万平方メートル、合計で約53万平方メートルでございます。
第2工場の採取量や関連企業の情報につきましては、今後も引き続き県や近隣自治体とも連携し、収集に努めてまいります。
また、涵養域での開発等に伴う地下水減少を防ぐため、白川中流域における湛水期間の延長や面積の拡大に取り組んでいるところでございまして、地下水への影響の有無を把握するため、引き続き市内20か所、33本の井戸で地下水位を観測し、工場稼働前後の状況を注視してまいります。
次に、地下水の涵養対策についてでございますが、白川中流域の開発行為については、熊本県環境影響評価条例によりまして、涵養域の減少に見合う量の涵養を促しております。
また、地下水の涵養の促進に関する指針によりまして、地下水採取に見合う量の涵養を義務づけておりますことから、一定の涵養が進むと考えております。
3点目のTSMCが使用する化学物質の把握と公表についてでございますが、使用される有機フッ素化合物等については、製造に関する情報であり、本市では把握をしておりません。
使用される場合は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等に基づき、適正に使用されるものと考えております。
4点目の新たな排水処理施設における整備の進捗状況と産業廃棄物の安全な処理についてのお尋ねでございますが、第2工場の新たな処理施設は、現時点で未着手でございまして、今後のスケジュールもまだ公表されておりません。工場から排出される産業廃棄物につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、適正処理に向けてその量や排出先を県へ報告することとなっておりますため、安全性が確保されるものと考えております。
引き続き、県や関係市町村と連携いたしまして、地下水の保全に全力で取り組んでまいります。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 答弁されましたように、情報が本当に少ない、そういう中でTSMCの第2工場の開発面積は、第1工場の1.5倍とのことです。これだけでもますます地下水のくみ上げや涵養域の減少に伴う涵養量の減少等の影響が各段に大きくなることが明らかになったと思います。
それに第3工場、さらに関連企業の誘致ですから、地下水対策の相当の強化が必要なことが分かります。県や誘致自治体の動きを外からながめているのでなく、73万市民の命の地下水を守るため、県と協力して地下水涵養量と流出量の将来予測を行い、科学的な根拠を基に地下水対策を進めてください。当事者としての責任ある取組をお願いしておきます。
次に、教員不足の解消と少人数学級ほか、働きやすい教育の環境づくりを伺います。
教員の長時間労働が社会問題となり、本市でも教職員の働き方改革に積極的に取り組まれてきました。しかし、目標としてきた残業時間を減らす取組は、1か月45時間、年間360時間が上限ですが、現状は目標に程遠く、1か月80時間の過労死ラインは超えないという当面の目標にすら届いていません。年休の取得目標は平均日数16日以上の目標をクリアしていますが、実態は目標に届いていない人が1,750人以上も残されています。進まない現状の中、達成の目標年次が2023年度から2025年度に先送りされています。
そういう中で、公立学校教職員の長時間労働解消議論をしてきた中教審の特別部会が5月13日に公表した審議のまとめは、教員の現状を何ら改善するものではなく、現場から零点と酷評されました。
第1に、過去には小学校で1人の教員が1日4コマの授業で済むような基礎定数の配分でしたが、現在は6コマとなり、勤務時間内には授業準備時間が25分しか取れず、長時間残業が避けられません。教員に残業代を払わない給特法もまた、青天井残業の要因で早急にやめるべきです。国に対し、少なすぎる教員定数の増員と速やかな給特法廃止を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
第2に、全日本教職員組合や新日本婦人の会などが共同して、今年1月~3月に行った、学校が持たない!緊急アンケートでは、教員の長時間労働解消のために必要なことの第2位が、少人数学級でした。子供たちへのきめ細かな対応と教員の負担軽減、両面での効果があり、現場の強い要求である少人数学級は、今こそ拡充すべきです。現在、小学校全学年と中学1年生で実施している少人数学級を、速やかに中学校全学年に広げ、さらに35人学級を30人学級へと拡充していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
第3に、毎年度当初から定数に対する未配置が続いています。一番多かった2022年度の34人より減っているものの、昨年度、今年度ともに約20人の不足、しかも、深刻なのは、2年連続で担任未配置があったことです。解決は、一刻の猶予もできません。教員不足解消のため、現場教員はもちろん、再任用募集に当たり、何らかの処遇改善を検討すべきではないでしょうか。
第4に、長期的対策として教育現場で働こうとする人を増やすため、教員志望者への市奨学金返済に当たり、教員志望者への支援として、返済の助成などができないでしょうか。
第5に、学校現場での勤務時間の繰上げ、繰下げは、約4割の学校でしか活用されていません。実際現場では申請しにくく、1校で1人ないし数人の活用にとどまっています。働きやすい条件づくりとして積極的に活用できるよう、学校現場への制度周知の徹底と活用しやすい環境づくりに取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
以上、教育長に伺います。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 教員の多忙化解消など5点についてお答えいたします。
まず、教員定数と給特法についてですが、これまで指定都市市長会等を通して、教職員定数の改善や教職調整額の見直し等を、国に要望してきたところでありますが、先般、中央教育審議会において、教職員定数の改善や教職調整額の10%以上への引上げ等を含む提言がまとめられたところです。
今後とも、国に対して現在の教員の勤務実態に鑑み、教職員定数のさらなる増員のほか、制度の見直しを求めることとしております。
次に、少人数学級の拡充についてです。
少人数学級は、必要な取組と認識をしております。中学校全学年への拡充については、財源確保などが課題となることから、これまでも必要な措置を国に求めており、引き続き要望してまいります。
なお、30人学級へのさらなる拡充については、ただいま述べましたような課題もあることから、現在のところは困難であると考えております。
次に、教員の処遇改善については、従来より国に対して給与の改善を求めているところであり、引き続き要望してまいります。
また、本市では、部活動改革検討委員会からの答申を踏まえた部活動指導に携わる教員の処遇改善について検討をしております。
次に、教員志望の若者への支援についてですが、他自治体においては、奨学金を借りた方に対して、当該自治体で教員となり一定期間勤務することを条件に補助を行っている事例もあることから、調査研究してまいりたいと考えます。
次に、勤務時間の繰上げ、繰下げについては、ワーク・ライフ・バランスの向上を目的としたものにも適用できるよう制度改正を行い、昨年9月に各学校へ通知をしております。
本年度からは、小学1年生~6年生のお子さん養育する者を対象とした子育て支援時間を新設したところであり、多様な働き方があることを周知徹底し、教職員のワーク・ライフ・バランスの向上に努めてまいりたいと考えます。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 教員の処遇改善や教師志望の若者への奨学金の助成など具体的に検討されるとのこと、早急な実現を要望しておきます。
少人数学級の拡充は、本市が全国に先駆けて拡充してきた実績があるので、せめて中学校の35人学級は早急な実施をお願いしておきます。
続いて、暮らし・生業を守る課題の第1、国民健康保険です。
物価高騰が続く中、熊本市は本年度1人平均で5,000円、総額7億3,000万円の国保料値上げを打ちました。しかも、6月からは病院での初診料、入院料、食事代など医療費負担が増えて、今後さらに国保加入者の方が負担が重いと言われます子育て支援金が、公的医療保険に上乗せで徴収されます。自営業者や年金生活者、非正規労働者等が加入する国保の加入者の平均所得は、他の医療保険加入者の半分程度かそれ以下であり、今年度の国保料引上げはその苦境に追い打ちをかけるものです。
抜本的な保険料の引下げ、子供の均等割廃止など、何らかの負担軽減を実施すべきではないでしょうか。
第2に、住宅リフォームの助成です。
先月、地元の建設業者の方々とお話しをしました。物価高騰で新築が減り、リフォームが増えている。地元の仕事が増えることをやってほしいなど、仕事づくりを求める声が多数ありました。住宅リフォームの助成制度は、住環境の改善で暮らしが向上するとともに、地域の中小・零細事業者の仕事づくりに大きく貢献でき、僅かな補助で大きな経済効果が得られます。
本市でも、若者の移住促進支援事業が行われていますが、社会問題化している空き家をリフォームして、若者のUターン、Iターンを支援する空き家リフォーム助成制度などは効果的だと思います。時代のニーズや社会情勢を踏まえた住宅リフォーム助成制度を実施できないでしょうか。
また、本市では、耐震診断の必要な戸建て住宅の耐震診断を行い、改修が必要な住宅への助成を行っています。昨年度末までに耐震診断を行った3,527戸のほとんどが耐震改修の必要な住戸ですが、補助制度を活用して昨年度末までに改修を行ったのは、4分の1程度です。耐震改修をはじめとした政策目的による住宅改修助成をさらに拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上2点、市長に伺います。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず1点目の国民健康保険についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、国民健康保険加入者は他の医療保険加入者に比べ、所得の低い方や医療費が高い方が多いという構造的な課題を抱えておりますことから、財政基盤が不安定であり、抜本的な保険料の引下げや子供に係る均等割を廃止することなどは困難であると考えております。
今後も子供の保険料も含めた加入者の負担軽減につながるような財政支援を国に強く要望をしてまいりたいと考えております。
次に、住宅リフォーム助成に関する2つの御質問について一括してお答えいたします。
本市では、政策目的に沿った公益性の高い住宅リフォームに対する助成制度として、高齢者や障がい者を対象とした住宅バリアフリー化事業や、戸建て木造住宅耐震化事業などを実施しております。
戸建て木造住宅耐震化事業におきましては、令和5年度より時期を分けて2段階で工事を実施する場合も補助対象とするなどの拡充を行ってまいりました。
また、令和2年度より実施しております移住者等を対象とした中古住宅購入補助制度に加えまして、令和6年度から子育て世帯や若者世帯が空き家を取得し、省エネや子育てを目的とした改修工事を行う場合の助成制度も創設する予定でございます。
なお、議員御提案の一般向け住宅リフォーム助成制度につきましては、慎重な検討が必要であると考えておりまして、今後も公益性の高い制度により支援を行ってまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 要望いたしました、そしてまた業者の皆さんの願いでもあった時代のニーズに合った子育て・若者世帯向けの空き家リフォーム助成を創設していただくとのこと、提案した側としても大変うれしく思います。ありがとうございます。さらなる各種制度の拡充を要望しておきます。
次は、庁舎整備です。
500億円もの市民の税金の使われ方が問われる市政の大問題です。この間の市民説明会や市民アンケートには、332人、960件の意見が出され、大きな無駄だとの意見も多々ありました。市民が建て替えに納得していないことが改めて浮き彫りとなりました。市長には、市民の疑問に答える立場で責任ある答弁をお願いいたします。
まずは、市の説明責任と市民合意です。
市長は、説明会後、地元紙で、市としての考え方は一定程度示すことができたとコメントされていました。市政の大事業、市庁舎建て替えで960件の意見に対し、補足・修正は僅か24件、2.5%、記載済みを除く818件の意見は聞きおくだけの対応が、市民参画による進め方と言えるでしょうか。
説明会アンケートの意見で、半数を超える483件に対して、市は説明して理解を求めるという方針です。市民説明会資料には、事業完了の先の先の先まで市民、議会との合意形成に努めると書かれていました。担当課は地元紙に、今後も市民の意見を伺い、様々な場面で説明する機会を設けたいとコメントしていました。今後説明責任を果たし、理解を求める場をどうつくっていかれますか、市長に伺います。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 庁舎建て替え問題に対する説明責任、市民合意についてのお尋ねにお答えいたします。
今回の市民説明会及びアンケートは、新庁舎整備に関する基本構想素案について御説明し、理解を深めていただいた上で御意見を伺うということを目的として実施し、当日は質疑が尽きるまで時間を延長するなど、一つ一つの御意見に丁寧に対応をさせていただいたところです。
このような対話を通じていただいた御意見のうち、基本構想素案に反映をしたもの、今後の検討段階で参考とすべきもの、既に基本構想素案内に記載のあるものが約半数でございまして、その他の御意見につきましても、本市の考え方を丁寧に説明させていただいたことで、市民参画の観点からも一定の成果が得られたと考えております。
今後も状況に応じまして、引き続き私も市民の皆様との対話に努めてまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 市長が設置されました庁舎整備の有識者会議答申でも、市民の合意形成の項目に市民意見の徴収、意見の反映が書かれています。市民の意見を聞かずに反映しないで進める市庁舎整備は、有識者会議も望んでいません。市民も議会も意見が分かれている中で、市長一人が揺るがぬ建て替え方針で進めるのは独断です。いかに市長が選挙で選ばれたといっても、全権委任されたわけではありません。
2022年の市長選挙での市長の得票率は24%、4人に1人以下の支持です。しかも、公約には庁舎建て替え問題を掲げずに有識者会議にげたを預け、選挙では一言も口にされていません。500億円もの市民の血税の使い道に関わる大問題、納税者である市民に建て替えの是非を問うべきです。それこそ73万市民のトップとしての責任ではないでしょうか。市民に建て替えの是非を聞かれませんか、お尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 今、改めてお尋ねがございましたけれども、投票率は全体として低かったのは事実でございますが、市長選のときの得票率については80%を超えるというような状況でございました。
ただ、今、上野議員もおっしゃったとおり、それで全て全権委任されたとも思っておりませんし、これまで数年にわたり丁寧にこうしたいろいろな疑問に答えるべく、この議会でも、そして様々な場でも御説明を申し上げてまいりました。
私自身もさきの市長選挙で一言も触れていないということはございませんで、きちんとこの問題に対する考え方は、報道にも、それからいろいろな市民の皆さんへのお話の中でもしっかり今の現状について考え方をお話してまいったところでございます。
その上で、昨年5月に有識者会議からのきちんとした答申が出されましたので、そのことを持ってしっかり皆さんには建て替える方針で進めるということを表明した上で、私はこれまで説明させてきていただいているところでございます。
そういうこともありまして、これまで繰り返し答弁も申し上げてまいりましたけれども、市民の皆さんの代表であるこの市議会の皆さん方としっかりここは議論をしながら、そして市民の皆さんへの説明を丁寧に行いながら、これからもこの説明責任を果たしながら、この市庁舎問題についての御理解を得られるべくしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 要するに、市民に聞かないということでした。これだけの大事業を住民合意なく進めることは、絶対に認められません。
次に、耐震性能についてお尋ねします。
市民説明会には私にも参加しましたが、多くの市民が市の説明に疑問を呈し、耐震性がないということに納得していません。耐震性で重要なのは、現庁舎地下の周りを厚さ60センチ、深さ19メートルの鉄筋コンクリートが配置された地下連続壁があり、その厚い壁が果たしている役割をきちんと見ることであり、耐震性のあるなしに大きな意味を持ちます。
幅60センチといえば、巨大な柱が地下室部分につながり、それを取り巻いている状態です。熊本の建築構造の第一人者で、熊本建築構造センター理事長を長く務めた三井宜之熊本大学名誉教授は、熊本地震で本庁舎が無傷だったのは、その成果ですと地下連続壁の効果を認めています。これは市民説明会での市庁舎はあれだけの地震に耐え抜いたのに、なぜ建て替えないといけないのかとの疑問への回答でもあります。
しかし、市長は、この間の議会で耐震性能分科会の判断を根拠に、地中連続壁の耐震性を否定する答弁を行ってきました。市民説明会での市の回答はそれを繰り返すものでした。
そこで、改めて地中連続壁の耐震性についてお尋ねいたします。
第1に、耐震性能分科会に対し、疑問を呈した専門家は現庁舎の工事記録集を見ることを求めていました。耐震性能分科会委員は、検証で現庁舎新築工事の工事記録集は見ましたか。
第2に、安井設計による平成29年度調査は竣工図で行われておらず、現存する建物の評価となっていません。熊大名誉教授の三井氏も、プロである安井設計が現存する建物の耐震性能調査を、設計図を基に実施をすることは考えられないと指摘されていました。専門家ならば当然気づくことを、耐震性能分科会はなぜ指摘しなかったのでしょうか。
第3に、本庁舎の地下工事を担当した大林組は、1960年以来、地中連続壁の研究を重ね、70年代後半には他の追随を許さない到達でした。日本建築センター基礎評定委員会からも多数の工事実績があり、調査研究の資料も多いとして、本庁舎地下に建設された連続壁の役割を1、地下室外壁として土圧・水圧を負担する構造体、2、長期荷重による応力を負担する構造体、3、地震・風、その他の振動及び衝撃などによる応力を負担する構造体、4、杭としての支持構造体、以上4つの役割を持つと評定しています。
大林組が積み上げた研究と実績に加え、公の機関もその耐震効果を認め、あの熊本地震も耐え抜いた本庁舎地下連続壁の耐震性をなぜ耐震性能分科会は耐震性なしと評価するのでしょうか。
第4に、山下設計が作成した本庁舎構造計算書では、地下連続壁は耐震性を持つ設計でした。ところが、山下設計は耐震性能分科会で、地中連続壁は60センチの薄い壁がぶら下がっているようなモデルで、地盤の水平変位を受けるとコンクリートのみでつながった部分は壊れ、曲げ変形で壁自体も壊れてしまうと言っていました。自らの設計内容と食い違うことをなぜ言ったのでしょうか。
第5に、説明会では、14年も早く建てられた県庁は、耐震補強して使っているのに、なぜ市役所は耐震補強で駄目なのかとの声がありました。実際、県庁は耐震補強を行い、防災センターを別棟で建てました。熊本市も地中連続壁を正当に評価すれば、本庁舎は一般の行政棟として立派に使用できますし、庁舎全部を一体的に建て替えなくても、防災拠点部分だけを、例えば花畑別館跡地などに別棟で建設すれば、事業費も500億円など必要ありません。そういう検討をなぜしないのですか。
以上、市長にお尋ねします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず、本庁舎の耐震性能につきましては、耐震性能分科会で二度の耐震性能調査結果が妥当かどうか検証していただいておりますが、検証に必要な資料は委員の求めに応じて全て御提供し、御確認いただいております。
なお、当時の工事記録集については、耐震性能分科会が求める資料ではなかったため、お示しをしておりません。
次に、耐震性能分科会では、二度の耐震性能調査に対して疑問を呈した専門家からの御意見、及びこれに対する熊本市の考え方についても検証を行っておりまして、議員御指摘の平成29年度に設計図で耐震性能調査を行った点や、地下連続壁が耐震性能を有していない点も含め、検証結果は妥当であるとの判断をいただいております。
最後に、現庁舎につきましては、地下連続壁を正当に評価した上で、現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないということを確認しておりまして、耐震改修を行う場合には、周辺道路を長期間にわたり通行止めにしなければならないなど、実現性が低いと考えております。
このようなことから、現庁舎は建て替えが必要であると考えておりまして、議員御提案の防災センターを別地に整備する方法では、全庁一体となった防災拠点としての機能を十分に果たすことができないと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 1点目の質問で、工事記録集は耐震性能分科会に見せていないと答弁されました。
では、市長は工事記録集を御覧になったのでしょうか、端的にお答え願います。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 拝見しております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 御覧になったというならば、市長の目は節穴ではないでしょうか。
工事記録集は、現庁舎の事実の証明です。耐震性能分科会の報告書では、疑問を呈した専門家の意見に対し、市の考え方と分科会の見解が示されています。それを見ると、疑問を呈した専門家は、工事関係資料を調査し、アースアンカーの詳細を確認すること、地下連続壁と地下外壁との取り合いの詳細を明らかにすることを指摘しています。
それに対し、市はあくまでも竣工図の記載のみを確認しての見解にとどめ、分科会の見解も市の竣工図だけによる考えを追認しています。
ところが、疑問を呈した専門家が検証してほしいとこだわり続けた工事記録集、市長も見たと言いましたが、アースアンカー工法や、地下部分の壁が連壁と歯型によってしっかりとつなぎ合わさるJOF工法によって強力に接合されていること。それも含めて、大林組が耐震壁として利用できる地中連続壁を施工した記録が明確に記されています。
耐震性能分科会がまともに検証しようと考えたならば、市の考えをうのみにするのでなく、疑問を呈した専門家の意見こそ、事実に基づき正確かつ的確に検証すべきだったのです。専門家の意見は退け、市の考えを追認した耐震性能分科会の検証は、到底専門家とは言えないものだったのです。
耐震性能分科会報告書に明記されている工事関係資料の調査をせよという指摘を受け止めずに、専門家ならば絶対に外さないであろう工事記録集を耐震性能分科会が見なかったことは、耐震性能の判断を誤らせる決定的な要因であり、耐震性がないという耐震性能分科会の判断が大元から間違っているということがはっきりとしたと思います。
地中連続壁を工事した大林組は、1960年に地震力を負担する地中壁としての地中連続壁を自主的に開発、その効果や経済性が評価され、現庁舎竣工より7年も前の1974年には243件、70万平方メートルの実績がありました。そのことを大林組技術研究所構造研究室は、1975年にコンクリート工学のテクニカルレポートとして論文を発表しています。しかも、現庁舎のくいの強度は、このテクニカルレポートの発表とほぼ同時期、1973年7月に日本建築センターによる評価が行われています。その評価申請の窓口が、同じく大林組技術研究所の構造研究室でした。そのことがまた工事記録書にある本庁舎地中連続壁が耐震性のあるOWS法で施工されていることの裏づけと言えます。
結果的には、OWS工法による地中連続壁が採用されている現庁舎には,耐震性能があります。それが熊本地震という大地震の下で全く損傷しなかったことでも証明されています。
このような検証だから、耐震性能分科会は非公開で、議事録を公表できないのです。こういう誤った検証と判断だから、市長がどんなに耐震性能分科会の結論だからといっても市民が納得しないんです。
市民説明会などでは、県庁よりも14年も新しい市役所をどうして建て替えなければならないのか、なぜ耐用年数を30年も残して今の庁舎を壊すのかなどの意見が多数出されていました。しかし、今日の質問でも、市長はまともに答弁をされませんでした。今こそ市長は、この疑問に答えるべきです。市長には責任を果たすことを強く求めておきます。
また、市役所建て替えの根拠、耐震性能の不足が破綻していることがはっきりした今、地中連続壁に耐震性能があれば、地下にくいを打ち込む耐震補強も建て替えの必要もないことも指摘しておきます。
もう一点、お尋ねをします。
市長は防災、防災と、巨大な庁舎を建てれば防災が万全かのように言われます。しかし、箱を建てても中身がしっかりしなければ、災害に適切に対応することはできません。市長が73万市民のトップとして責任を持って陣頭指揮を執ることができますか。
私は、市長が度々海外視察に行かれることを指摘してきました。よく調べたら、昨年度議会の開催月6、9、12、2、3の5か月を除く残り7か月のうち5か月、市長は国内、海外合わせて月10日以上出張されていました。先月5月はインドネシアに8日間行かれて、14日もの出張でした。今年度は海外出張だけでも延べ30日です。こんなに出張ばかりで留守にして、どうやって立派な庁舎で陣頭指揮が執れるのでしょうか、御説明をお願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 通告にはございませんけれども、今どうやってこういったいろいろな災害対応をするのか、出張が多いということをおっしゃいましたけれども、私も出張してもきちんと職務を遂行できるような状況を常につくっておりまして、また、海外、国内問わず、今、全国市長会の役員、あるいは防災対策の特別委員長という役目も果たしていかねばなりません。当然熊本市のことだけでなく、国内やいろいろなところに出張したり、あるいは災害の起こった場合にはすぐ対応できるように、今回も、私は度々被災地である能登を訪れさせていただいております。
また、インドネシアの会議にしましても、私はずっと世界水フォーラムという大変貴重な場で、最初にも地下水の保全についての御質問ございましたけれども、そういったことについても、しっかりこの熊本の地下水保全の取組をアピールするために、誠心誠意努力してきたところでございます。
そういう中で、私自身これまで熊本地震をはじめ、新型コロナウイルスの対策や様々な危機管理事象については、全力で取り組んできたところでございまして、そうした点をぜひ御理解、御認識いただければと思います。これからも頑張ってまいります。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 どこにいても、国内でも海外でも陣頭指揮は執れるという答弁をされました。それならば、一極集中で大きな庁舎を建てなくても、分散型でもできるんではないんですか。だから、県庁は防災と別に建ててやっているんではないですか。あなたの答弁は、県のやり方を否定することになりますよ。
今年元日、能登半島地震発生のとき、石川県知事は上京中で、陣頭指揮を執れなかったことが後で問題にされていました。一刻を争う大災害を想定して建て替えが必要と言いながら、今のように留守ばかりでは能登半島地震の二の舞になりませんか。市長の行動からは、防災拠点は口先だけで陣頭指揮より何より、とにかく建て替えなければとしか私には見えません。
それでは、続いて建設地についてお尋ねいたします。
1、市民説明会・アンケートで、最も意見が多かったのが建設地の192件でした。候補地選定は市民の関心が高く、市民合意抜きに決めることはできません。十分な期間を取り市民参画の下、説明責任を果たし、市民合意を得て決定すべきではないでしょうか。
2、8月中旬にも候補地が決まるようなスケジュール案が示されています。もっと早くなるとも言われています。しかし、他の自治体が早くても1年、もしくは数年かけて決めている建設地を、本市がこれから二、三か月で決めるというスケジュールには無理があります。
例えば現地建て替えは無理のような説明ですが、市役所近隣の店舗からは移転建て替えは困る、それをいうなら住民投票でもやってほしいとの声もあります。こういう声を無視してスケジュール一辺倒で強行に進めることができるのでしょうか、いいのでしょうか、無理なスケジュールは見直すべきではないでしょうか。
3、市民説明会で熊本城の景観は大丈夫かという不安の声が多数ありました。候補地のうち民間所有の城東エリアと桜町NTT跡地は、いずれも熊本城の景観が心配されます。私はサクラマチに行って、屋上ガーデンから眺めてみました。ビルの谷間となった部分から熊本城が見えますが、もし市役所が建ったならば、確実に見えなくなるのではと思いました。熊本市が450億円を投じ、熊本城と庭続きが売りのサクラマチビルから熊本城の眺めが台無しでいいのでしょうか。民有地への建て替えの場合、熊本のシンボル、熊本城の景観への配慮はどのようにされるのでしょうか。
以上、市長にお尋ねします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 初めに、建設地に関するお尋ねにお答えいたします。
建設地の選定に係るこの市民の皆さんへの説明責任でございますが、市民説明会では、建設地に関する様々な御意見に対して、丁寧に市の考え方を説明させていただいたところでございまして、その内容はアンケートへの回答と合わせて本市のホームページに公開させていただいております。
このように、市民への説明、それから情報提供につきましては、これまでもきめ細かに取り組んできたところでございますが、今後長きにわたり市政の中心となります本庁舎等の建設地につきましては、市民の代表であり、また、私と同じく市民に対する責任を有する市議会との議論を経て決定をしたいと考えております。
次に、スケジュールの見直しについてのお尋ねでございますが、本庁舎等の建て替えにつきましては、これまで約6年間議論を行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による議論の中断もありまして、結果としてタイトなスケジュールになったことは認識をしております。
一方で、防災、交通利便性、事業費、今後のまちづくりなど建設地の選定に必要な要素につきましては、スピード感を持ちつつも丁寧に分析・調査を進めております。
このようなことから、今後いつ起こるか分からない災害への対応はもちろん、有利な財源であります合併推進債の活用期限を踏まえますと、現在お示ししておりますスケジュールで進めてまいりたいと考えております。
最後に、新庁舎が景観に与える影響につきましては、施設計画の具体化に合わせ、検討を進めることとなりますが、いずれの敷地の場合においても、良好な景観形成が図られる計画としてまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 スケジュールでは、6年間議論を行ってきたと答弁をされました。市民にとっては何の説明もないほぼ空白の6年間でした。市民が庁舎の問題の説明を受けたのは、昨年の市長とドンドン語ろう!と、今年4、5月の市民説明会だけです。市民の疑問はぬぐえず、市の考えを押し付ける場が提供されただけでした。そして最後、先ほどはタイトなスケジュールになったと答弁をされましたけれども、その原因は市長の進め方にあったことを認識していただきたいと思います。
また、景観につきましては、どこに建てても良好な景観になると答弁をされました。しかし、そうでしょうか、私にはそうは思えません。桜町NTT跡地は2025年の開業を目指して、(仮称)NTT西日本アセットプランニング新桜町ビル事業計画が以前ありました。2020年の景観審議会で審議され、高さ79.6メートルの14階建てビル、延べ床面積約3万7,500平方メートルの建設が、翌2021年4月に承認されていました。
この計画は立ち消えになっていますが、NTT跡地にビルを建設しようとする場合、敷地の形状もあります。一部細くなっています。3万7,500平方メートルでも14階ですから、建て方によるとはいえ、6万平方メートルの建物であれば、かなりの高さとボリュームになることが考えられます。市長はそのことを知って、良好な景観と答弁をされたのでしょうか、お尋ねします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 市庁舎のことにつきましては、これから具体的な規模等についても建て替えます中で、この景観については、当然いろいろな形でまた条件が出てくる中で、精査されていくと思います。
ただ、景観条例をはじめとした様々な景観を守るルールがこの熊本市にはございますので、そうした景観審議会のいろいろなことへのお考えもこれから具体案が進んでいきますと出てくると思いますが、私といたしましては、しっかりこの景観を守っていく、そしてその価値をしっかり高めていくことが必要であると考えております。
以上です。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 市役所の予定面積、今公表されているのは6万平方メートルです。今の庁舎より大きいです。桜町再開発のホテル、マンション、商業スペース、これを併せた面積より少し狭いくらいです。先ほど紹介したNTT開発の1.5倍もあります。そんな巨大なビルがNTT跡地の場所に建ったらどうなるか、イメージしてください。後から後から検討というのでなくて、決める前にきちんと検証する、それが責任ではないでしょうか。
市民のシンボル、熊本城への思いは、想像以上だと思います。景観審議会にかかった案件はことごとく承認されています。こんな市長のやることを市民は懸念をしているということを忘れないでいただきたいと思います。
それでは、最後に、財政面についてお尋ねいたします。
第1に、市民説明会では、建て替える際は今の費用の何倍にもなるのではとの意見や、最低限の費用であってまだまだ増えるのかとの質問に、市は御指摘のとおりと回答していました。
先日の特別委員会では、確かな事業費は実施設計終了後と答弁をされていました。これでは事業費は青天井ではないでしょうか。これでは困ります。一体幾らまで増えるとお考えでしょうか。事業費も決まらないのに、来年3月までに実施設計を契約するのですか。
第2に、全国で庁舎建設基金を積み立てずに庁舎を建てたところがありますか。
第3に、本市の決算では桜町再開発・熊本城ホール整備事業費が膨らんだ2017年度~2019年度にかけて投資的経費が跳ね上がっています。熊本地震の影響を差し引いても、総額450億円の投資の影響は否定できません。
一方で、税収は増税分を除けば増収とはなっていません。市民説明会では、庁舎整備で他の予算が減られないか、財政は大丈夫かという意見が多数ありました。
市債残高が5,000億円を超え、過去最悪の借金財政の今、市庁舎建設への500億円を超える投資は、各種市民サービスへ影響するのではないでしょうか。市長は市民のこの不安に応えることができますか、お尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 財政についてのお尋ねにお答えいたします。
まず、概算事業費につきましては、現在お示ししております基本構想の段階においては、求められる機能や期待される役割を果たすために必要な規模を確保し、物価高騰等を勘案した上でイニシャルコストとして算出したものでございます。
今後、建設地の形態や周辺環境など本庁舎等の要件の確定状況に応じて見直しを行い、設計の与条件を整理することで一括発注は十分可能であると考えております。
今後も市民の皆様の御意見を伺いながら、議会での議論を踏まえ、よりよい本庁舎等の在り方についてさらに検討を深めていきますとともに、私としては可能な限り本市の財政負担を軽減するため、合併推進債の活用を目指してまいりたいと考えております。
次に、議員お尋ねの庁舎整備基金を活用せずに庁舎建整備を行った事例の有無については、把握をしておりません。
また、次に、市庁舎建設への投資による市民サービスへの影響と市民の皆さんへの不安の対応ということでございますが、議員御指摘のとおり、本市の普通会計の令和4年度末の市債残高は約5,004億円でございますが、全額が後年度交付税措置をされます臨時財政対策債及び熊本地震関連分の市債を除いた、言わば通常分の市債残高は、平成11年度をピークとして減少傾向となっております。
実質公債費比率、将来負担比率などの健全化判断比率の指標におきましては、国が定めた基準を大幅に下回っておりまして、財政状況は健全な水準にあるものと考えております。
また、熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議からも、今後の財政見通しについては、健全な水準で推移していく見込みであると評価するとの答申をいただいております。
もとより、物価上昇など財政を圧迫するリスクはあり得ますが、税源の涵養、国費等の活用などによりまして、引き続き財政の健全性を維持してまいりたいと考えております。
市役所の本庁舎は、平時には行政事務やまちづくりの拠点でございまして、有事には防災の拠点として市民サービスを提供する中心的な役割を果たす施設でございます。
今後とも財政規律に十分留意をしつつ、新庁舎整備を含めてよりよい市民サービスの提供に努めてまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 るる御答弁いただきましたけれども、基金を使わずに建てたところは、把握をしていないという答弁がありました。基金も使わずに、全くそのままで建てれば、財政に直接負担が来ます。まさに計画性のないこんな計画、無計画な大型の箱物で、それを市民の負担にするというのは、あまりにも無謀ではないでしょうか。
私は、この点でもこの市庁舎の整備というのが、いかに市長がこの建てるということだけにこだわってやっているかということを疑問に思います。
市長は、新庁舎整備もやってよりよい市民サービスに努めると言われます。しかし、熊本市はどっちを向いてもお金のない話ばかりです。同じ箱物ならば、老朽化した市営住宅の廃止・集約はしないで、住まいは人権の立場で建て替えてください。古い団地に住む住民は、いつ出ていかなければならないかとおびえて暮らしておられます。
国民健康保険は、この物価高の中で一般会計、市長の下で毎年減らされて、そして今年は7.3億円も値上げされています。これこそ引き下げてください。県下で子供の医療費自己負担があるのは、宇城市と熊本市だけではないですか。これこそ完全無料、すぐにお金があるならやってください。財政が大丈夫ならば、こうしたことこそ真っ先に応えるべきではないでしょうか。
同じ政令市の北九州市役所は、1972年竣工で築52年です。でも、市長さんは建て替えずに大切に使うと言っておられるそうです。市民の財産である歴史と文化の詰まった現庁舎を大事にしなければならないと思います。私もそうだと思います。
奈良女子大の中山徹教授は、建築とまちづくりの雑誌で、ヨーロッパの旧市街は伝統的な建物が保存され、新たに開発された地区でも、建物の高さをそろえるなど景観に厳しい規制がかけられている。しかし、日本では床面積の供給を優先させるため、建物の高さ規制、景観形成が緩く、21世紀になっても開発を促すために積極的に規制緩和を進めている。人口が減る時代に規制緩和を進める必要はない。人口が減る時代にタワーマンションを建て続けるのは異常である。むしろ21世紀に形成された乱暴な景観こそ修正すべきであると、21世紀のまちづくりについて提言をされていました。ヨーロッパのまちづくりには、こんなことを学んでほしいと思いました。市長、いかがでしょうか。
本日、準備いたしました質問はこれで終わります。私は、引き続きこの熊本市が本当に住民にとって皆さんの願いがかなっていくような、そんな熊本市政になっていくようにと頑張っていきたいと思います。そのことの決意を申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
お忙しい中傍聴においでいただいた皆様、そしてインターネットで御視聴の皆様、本当に長時間の御清聴ありがとうございました。これで質問を終わります。(拍手)
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○寺本義勝 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午後 0時09分 休憩
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午後 1時59分 再開
○寺本義勝 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○寺本義勝 議長 一般質問を続行いたします。
山中惣一郎議員の発言を許します。山中惣一郎議員。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇 拍手〕
◆山中惣一郎 議員 皆さん、こんにちは。山中惣一郎でございます。本日は昨年に続き、2回目の一般質問の機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。
また、お忙しい中にもかかわらず、傍聴にお越しいただいた皆様、そしてインターネット中継で御覧いただいている皆様、心から御礼を申し上げます。
私はこの熊本市を次世代へつなげること、市政に関心を持ってもらい、市民と一緒に考え進めていくことを目指して日々活動しております。本日の質問を通じて、皆様とともに熊本市の未来を考える一助となれば幸いです。
それでは、質問させていただきます。
まず初めに、本市の地域防災体制についてお聞きします。
熊本地震から8年がたちました。この間、私たちは自助、公助、共助という防災の基本原則を学び、それを実践することの重要性を再認識しました。今年は能登半島地震が発生し、改めて公助や共助の取組がどれほど大切かを痛感させられました。
公助とは、行政が住民を助ける支援や救助活動を指しますが、その限界もあります。だからこそ自助、すなわち個々の備えと共助、つまり地域での助け合いが重要とされています。
私も熊本市地震の際に地域コミュニティの担い手として、避難所運営などに携わり、共助の重要性を身をもって感じました。
昨今、高齢化や人口減少により、この地域コミュニティの担い手が少なくなっている現状があります。住民による共助の仕組みが維持困難になっているとの認識は多くの自治体で共通しており、高齢化や過疎化などの進行により、共助や地域の防災活動の担い手となる自治会や自主防災組織の活動が低下している。山間部などを中心に高齢化が進み、都市部においてはコミュニティが希薄化していると指摘されています。
地域コミュニティの担い手不足は、特定の人物が地域の役職を兼務するという状態を生んでいます。私自身も現在、消防団と自治会の役職を兼任している状況で、災害時にそれぞれの地域組織が効果的に機能するのか心配に思うことがあります。
地域住民の安心な生活に欠かすことのできない共助がより効果的に機能すること、また、その仕組みが今後も維持されていくことを強く望みます。
そこで、2点お尋ねします。
まず、地域組織の中で、災害時に活動する自治会、避難所運営委員会、校区防災連絡会、自主防災クラブ、消防団などの各団体間の統率と連携について市の現状をお聞かせください。
また、これらの団体がどのように協力し、効果的な対応を実現しているかについて具体的な状況をお聞かせください。
さらに、消防団の現状についてお尋ねします。
市内には分団が未結成の校区がありますが、その地域では災害時に1つの分団が2つの校区域をカバーする必要があります。人手不足やコミュニティの不足により十分に機能しづらい現状があります。この現状について、本市の見解と対策をお聞かせください。1点目を政策局長、2点目を消防局長に御答弁をお願いします。
〔三島健一政策局長 登壇〕
◎三島健一 政策局長 地域の防災組織として、校区防災連絡会は校区自治協議会などの地域団体で構成されており、校区内の防災活動の取りまとめや調整を行っております。その傘下である避難所運営委員会は避難所の開設・運営、自主防災クラブは地域住民の避難誘導や救護、また、消防団は災害現場での消火をはじめ、救助・救出、警戒巡視などの役割を担っております。
大規模災害時には公助の支援には限界があることから、自助はもとより、これらの地域組織が連携して防災活動を行うことが、地域住民の生命・身体を守る上で極めて重要であると認識しております。
そのようなことから、校区防災連絡会を中心に災害時に各組織が円滑に活動できるように、毎年地域で実施している訓練や震災対処訓練において避難誘導の役割、避難所開設・運営の手順などを確認いただいているところでありまして、今後も地域防災力向上のための取組を推進してまいります。
〔平井司朗消防局長 登壇〕
◎平井司朗 消防局長 私からは、消防団未結成分団の校区の対応に関する御質問にお答えいたします。
本市の消防団につきましては、小学校区を基本に組織されておりますが、現在10校区におきまして分団が未結成となっております。
分団が未結成の校区につきましては、隣接する校区の分団が管轄区域として災害活動を実施しておりますが、1つの分団が複数の校区を管轄するため、団員への負担や議員御指摘のとおり、人手不足等が懸念されるところでございます。
本市といたしましては、分団が未結成の校区の解消に向けて管轄する分団の分団長等から意向を聴取し、必要に応じて新規設置に向けた説明を実施しているところでございます。
分団の設置に当たりましては、原則として小学校区ごとに一定数の団員の確保や施設等の整備を必要としておりますが、小学校区の統合や分離があった校区におきましては、地域の実情やニーズに合った分団の編成も推進しているところでございます。
今後も引き続き分団が未結成の校区の解消に取り組むとともに、地域防災の中核を担う消防団の確保に向けて入団促進や消防団員が活動しやすい環境の整備に努めてまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
本市が各組織の活動を支援し、訓練や役割確認を通じて地域防災力を向上させていることは心強く思います。
消防団については、未結成の校区の解消に向けた取組を進めているとのことで、引き続きよろしくお願いいたします。
消防団は、地域防災の要として住民との信頼関係を築きながら活動しています。地域活動や避難訓練の充実が求められます。校区に1つの消防団が存在することで、より円滑なコミュニケーションが取れ、地域防災力の向上に寄与できると考えます。
地域防災力の向上は、住民の安心感や生活の質の向上にもつながります。地域防災力の強化策としては、本市東区秋津まちづくりセンターが避難所開設・運営マニュアルを映像化し、DVDにまとめられています。再現ドラマや訓練の映像を熊本弁で紹介することで、地域住民にとって理解しやすい内容となっており、ほかの地域にも広がることを期待しております。
続いての質問です。
本市のアーバンスポーツへの取組についてお尋ねします。
アーバンスポーツとは、都市環境を舞台に行われるスポーツの総称です。これらのスポーツは自然環境ではなく、都市の構造物やインフラを積極的に活用することが特徴です。都市の風景を舞台に繰り広げられるこれらのスポーツは、自由なスタイルと自己表現の機会を提供し、特に若者の間で人気が高まっています。
東京2020オリンピック競技大会をきっかけに、都市部だけでなく地方都市でもアーバンスポーツのインフラ整備やイベント開催が進み、地域活性化の一助となっています。
アーバンスポーツには幾つかの代表的な種目があります。まず、スケートボードはその代表格です。このほか小型自転車を使ってジャンプやトリック、レースを行うBMX、都市の建物や壁、障害物を駆け抜けるパルクール、人工的な壁を登るスポーツクライミングなどのスポーツがあります。
アーバンスポーツの魅力は、その自由なスタイルと自己表現の機会にあります。順位を争うことよりも自分自身の楽しみや創造性、仲間との交流を重視する文化が根づいています。また、観客も一体となって楽しむことができるため、コミュニティ形成にも大きな役割を果たします。これらのスポーツは都市環境を活用することで日常の風景がスポーツの舞台となり、新しい視点と刺激を提供します。都市生活に新しい風を吹き込み、多くの人々に楽しみと健康をもたらすアーバンスポーツは、今後ますます注目されるスポーツ分野です。
他都市の事例として、さいたま市と富山市が挙げられます。さいたま市では大規模なアーバンスポーツイベントが開催されており、国内外から多くの観光客を生み出すことで、地域経済を活性化させています。
一方、富山市のMix Urban Skate Parkでは、地元出身のプロスケートボーダーと連携し、イベントを開催することで地域のにぎわいを創出しています。これにより若者のスポーツ参加を促進し、地域経済の活性化に寄与しています。
富山市の事例では、地域住民が積極的にスポーツに参加することによってコミュニティの結束力が強まり、健康的なライフスタイルが推奨されています。
さらに、本市にはスラックラインやトリッキングなどの優れたアーバンスポーツの指導者が多数おり、その方々と連携し、普及活動をさらに広げていただきたいと考えております。地域の指導者と連携した普及イベントや体験教室の開催が重要です。
そこで、経済観光局長にお尋ねします。
本市として、アーバンスポーツのイベント開催や普及に向けた施策、取組についてお聞かせください。
〔村上和美経済観光局長 登壇〕
◎村上和美 経済観光局長 アーバンスポーツを普及させるための取組についてお答えいたします。
スケートボードをはじめとするアーバンスポーツは、東京オリンピックを契機に人気が高まってきており、菊陽町ではアーバンスポーツ施設の整備が予定されるなど、競技人口の増加が期待されております。
本市におきましては、令和5年2月に熊本駅前アミュひろばにおいて、アーバンスポーツチャレンジパークを開催し、スケートボードやパルクールなどの体験教室に505名と多くの皆様方に御参加いただいたところです。
また、昨年度から市民総参加型のスポーツイベントとして例年開催しております、熊本市民スポーツフェスタの種目として新たに取り入れております。
アーバンスポーツには様々な競技があることから、引き続き熊本市民スポーツフェスタ等を通じて、子供たちをはじめ、多くの市民の皆様が楽しみながら競技に触れ合い、その魅力を知っていただく機会を設けることでアーバンスポーツの普及に取り組んでまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
今年はパリオリンピックが開催されます。既にオリンピックで実施されている3×3バスケットボールやBMXフリースタイル、スケートボードに加え、パリ大会では初めてブレイキンが採用され、アーバンスポーツの熱はさらに高まることが予想されます。
さらなる普及に向けた取組として、例えば大阪府豊中市では、アーバンスポーツ推進事業助成金という制度を設け、市民がアーバンスポーツに親しむ機会を提供しています。本市でも、同様の助成金制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、地域の指導者と連携した普及イベントや体験教室を開催し、幼少期からアーバンスポーツに触れる機会を増やすことも重要だと思います。そしていつか本市からオリンピックで活躍する選手が誕生することを期待しております。
次の質問に移ります。
近年、公共の広場や公共空間の重要性が改めて見直されています。ストレスの多い現代社会の中で、市民は自宅や学校、職場でもない第3の場所を心の中で求めてきているように思います。広場や公園は、生活の潤滑油になるような第3の場所になり得る存在だと私は考えています。
私の思う理想の広場は、偶然に出会った人同士が自然とコミュニケーションを生む場というものです。日常の中で同じリズムで動いている人たちが顔を合わせ、名前や所属を知らなくても交流が生まれ、そうした何気ない関係性が現代の社会で不足している、何となく気にかけあうコミュニケーションを補完する重要な役割を果たせるのではないかと考えています。
広場には、具体的な機能がないからこそ運営や関係性のつくり方が重要です。定期的なイベントを開催することで、地域の一部として人々が集まる場を提供できます。毎月第3土曜日にあそこに行けば誰かいるというように、日常に組み込まれた集まりは、人々にとって大きな助けとなります。大切なのは、ただ時間を共有することです。
多様性のある広場を作るためには、広場のサイズや開かれた状態が必要です。広場をオープンに保つことで、多様な人々が集まりやすくなります。イベントのメンバーが固定化しないように工夫したり、テーブルや椅子の配置を変えたり、どなたでもどうぞというメッセージを掲げたりすることで、広場の雰囲気を大きく変えることができます。広場を作り運営し、イベントを開催する人々は常に周囲から見られています。その姿勢や行動が地域の人々に信頼されることが重要です。
広場は社会の縮図であり、多様性を感じられる場であるべきです。だからこそ広場などのパブリックスペースの活用について、その意義を強く持ち、積極的に取り組む必要があります。地域住民や働く人々が足を運びたくなるようなプログラムを提供することも、広場の運営者の役割です。広場に関わる人々は、自分たちの行動を通じてその意義を地域に伝えることが求められます。
全国の他の自治体でも、公共の広場を活用した例が多く見られます。例えば富山市のグランドプラザは、再開発事業により整備された広場で、世代や価値観の異なる人々が自然に出会い、つながりを育む場合となっており、富山LRT路面電車セントラムの電停グランドプラザ前駅とも連携しています。
また、神戸市の三宮クロススクエアは、三宮駅周辺に新しい駅前空間を創出し、人と公共交通優先の空間を作り出すことで、日常的にぎわいを生み出し、駅とまちをつなぐことを目指しています。
令和5年度に本市が実施した広場ニスト育成スクールは、多様な人々に開かれた心地よい広場を創出し、地域社会に居場所と新しい出会いを提供することを目的としたプログラムです。受講生は4日間の座学と対話を通じて、広場活用の基礎となる考え方や具体化手法を学び、5人1組のグループで2回のトライアルイベントを企画、運営することで実践的な経験を積みました。各グループは、アドバイザーの助言や一部金銭的支援を受けながら安心してイベントを実施でき、受講生同士の信頼関係も築かれました。さらに受講生は、マイプランとして新しい価値を創出する計画を立案し、最終講座でプレゼンテーションを行いました。
スクール終了後には、くまもと広場ニストとして正式に認定され、今後本市が広場の利活用を促進する際に優先的に情報提供や協働の機会が与えられます。このスクールを通じて受講生は広場活用のスキルを身につけ、開かれた活気ある公共空間をつくり出し、熊本市民としての誇りの醸成、ひいては地域社会の発展に寄与する力を養うことを目指しています。広場ニストの今後の展開については、期待も込めて注目しているところです。
そこで、都市建設局長にお尋ねします。
昨年度の広場ニスト育成スクールの実施結果を振り返り、その成果や課題についてお聞かせください。
また、令和6年度における広場ニスト育成スクールの目標や具体的な活動計画についてもお聞かせください。今年度はどのような新しい取組や改善を予定しているのか、さらに他地域への展開、例えば本市の東区、西区、南区、北区での展開予定についてもお聞かせください。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 御質問に順次お答えいたします。
くもまと広場ニスト育成スクールは、広場等の公共空間に新しい価値を生み出すイベント等を企画・運営する人材を育成することを目的といたしまして、令和5年度から実施しております。育成スクールを終了した1期生9名の方について、先般広場ニストとして認定したところでございます。
その成果といたしまして、今年のゴールデンウイークには、早速広場ニスト認定者による子供向けスポーツイベントが花畑広場において実施され、多くの皆様に御参加いただいたところでございます。
一方、育成スクールの受講者からは、カリキュラム上の課題としてトライアルイベントまでの準備期間が短く、負担が大きかったとの声もいただいております。
次に、令和6年度の目標等につきまして、今年度は8月をめどに受講生を募集し、昨年度に引き続き講座やグループワーク、トライアルイベントの実施を予定しており、課題の改善を図りつつ継続的な人材育成に取り組むこととしております。
また、新たな取組といたしましては、受講生と広場ニスト認定者との交流の場を設けまして、実体験に即した学びの共有ですとか、幅広い分野の組み合わせによる新たな発想を生み出す機会としたいと考えております。
最後に、他地域への展開につきまして、広場ニストには中心市街地のみならず、様々な地域での活躍を期待しているところでございまして、既に中央区の託麻原校区において地域の防災イベント企画などの依頼が寄せられているところでございます。
今後もくまもと広場ニスト育成スクールを実施し、広場等の公共空間利活用の裾野を広げ、にぎわい創出と魅力の向上に取り組んでまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございました。
広場ニスト育成スクールの成果と課題について詳しくお話いただき、また、令和6年度の目標や活動計画、他地域への展開についてもお聞きすることができました。
広場ニスト育成スクールについては、応募者が多くて抽選になったと聞いておりますが、参加者の話によると、広場の利活用に対する温度差があったとのことです。抽選に外れた方々の中には意欲的な方もいらっしゃったかもしれませんので、より適切な人材を選ぶために、選考の際には面接などを取り入れることを御検討いただければと思います。
また、広場等の公共空間の利活用の裾野を広げるとのことでしたので、今後は中心部以外のスペースやほこみちを利用した歩道空間の活用などにも期待したいと思います。
次の質問に移ります。
全国的に、公営団地の老朽化が深刻な社会問題となっています。高度経済成長期以降、都市部への急激な人口集中に対応するため、日本全国で多くの住宅団地が開発されました。
国土交通省住宅局の持続可能なまちづくりに向けた住宅団地再生の手引きによると、2022年時点において全国で2,903の住宅団地があり、その多くが築40年以上を経過しています。これに伴い、急激な人口減少や高齢化の進行、住宅施設の老朽化など様々な課題が顕在化しています。
まず1つ目に、物理的老朽化として、建物自体の劣化や耐震基準改正前の建物における耐震性の不足が挙げられます。この問題は、住宅団地の安全性や住環境に直接的な影響を与えています。特に築40年以上の団地では、外壁のひび割れ、屋根や配管の老朽化、水回りのトラブルなどが頻発しています。これに加え、現在の耐震基準を満たしていない団地では、耐震補強が急務となっています。
次に、2つ目として、社会的老朽化の問題があります。
これは時代のニーズに合わない間取りや設備によるもので、特にエレベーターのない高層階の住宅では居住者の利便性が大きく損なわれています。また、現代のスタンダードであるLDK構成への対応不足により、若い世代や子育て世代の新規入居が難しくなり、結果的に団地の空室率が増加しています。
さらに、3つ目として、入居者の高齢化の進行の問題が挙げられます。入居者の平均年齢が上昇する中で、介護や医療のニーズが増加しており、高齢者が多いことでコミュニティの維持が困難になっています。高齢化の進行に伴い、地域の自治力が低下し、住民間の交流や支え合いが減少しています。これらの課題に対応しない場合、さきに挙げた3つの課題に加え、連鎖的にほかの問題が生じるリスクがあります。このままでは、まちとしての持続可能性が危ぶまれる状況です。
住宅団地は良好な住環境や良質な道路などの都市基盤、長い年月をかけて育まれた自然環境を有しているため、地方公共団体がこれを良質な社会試算として再生を支援していくことが求められています。特に再生支援を行う際には、公営住宅地のみならず、周辺住宅一帯への配慮をし、包括的なアプローチをしていくことが必要です。
全国的にはこうした課題に対処するために、民間企業との協力による団地再生プロジェクトが進められています。これらのプロジェクトでは、地域コミュニティの形成を重視し、若者や子育て世代の入居を促進しています。こうした事例を踏まえ、本市においても同様の取組を進めることが求められていると考えます。
そこで、都市建設局長にお尋ねします。
現在の市営団地の入居率と入居者の年代別の構成割合を教えてください。
また、本市でも、民間企業との協力による団地再生プロジェクトのような老朽化した市営団地の再生に合わせた若者世代の誘導などの取組を進めていく予定はあるのか、お聞かせください。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 まず、入居率と入居者の年代別の構成割合につきましては、2024年5月現在の市営住宅の入居率は約84%であり、入居者の年代別の構成割合は80代が約13%、70代が約24%、60代が約16%となっており、60代以上の方が約半数を占めている状態でございます。
次に、市営住宅の再生に合わせた若者世代の誘導に関する御質問についてお答えいたします。
市営住宅につきましては、現在改定中の市営住宅長寿命化計画におきまして、将来の人口減少を見据えた適正な管理戸数を定めることとしており、今後、各団地の耐用年限等を踏まえた集約建て替え等により、段階的に管理戸数の適正化を進めていく予定でございます。
その実現に向けましては、団地ごとに実情が異なることから、入居者にヒアリング等行いながら、個別の実施計画を策定し、事業を行ってまいる予定でございます。
現在実施中の高平・大窪団地集約建替事業では、官民連携手法の一つであるPFIを活用しておりまして、建て替え後に必要となる戸数を調査した上で敷地の有効利用の観点から建物の高層化を図っております。
これにより生まれた余剰地の活用に当たりましては、団地入居者の高齢化が進んでいる現状を考慮いたしまして、住宅分譲地とすることで若者世代の居住誘導を図り、地域コミュニティの活性化につなげたいと考えております。
今後も市営住宅の建て替え等を進める中で、地域のニーズや立地状況を踏まえ、民間のノウハウも活用しながら、多様な世代が暮らしやすいまちづくりに取り組んでまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁いただきありがとうございます。
本市の市営住宅長寿命化計画に基づく取組や、現在進行中の高平・大窪団地集約建替事業におけるPFIの活用など、官民連携の取組について詳細な御説明をいただき感謝いたします。特に、余剰地の活用による若者世代の居住誘導や地域コミュニティの活性化の重要性について理解が深まりました。
福岡県宗像市の日の里団地の事例を紹介させていただきます。
日の里団地は、住民の高齢化や建物の老朽化に伴う空室問題を解決するため、官民連携で再生が進められました。2010年に行政と地域が立ち上がり、2017年から企業が参画、2020年に具体的な取組が開始されました。
この団地では、団地を地域の活性化拠点とすることを目指し、1階に交流拠点を整備しました。地元農業と連携したブリュワリー、保育園、多世代コミュニティの場などを設け、住民が自らリノベーションを行うDIY拠点も導入しました。さらに、2階以上には地域企業の事務所やコワーキングスペースを設け、地域と企業の連携を強化しました。
この取組により、日の里団地は地域の価値を向上させ、地価の上昇にもつながりました。官民連携と住民のニーズを反映した再生計画が成功の要因です。
本市でも、このような成功事例を参考にしながら、地域コミュニティの活性化、若者世代の誘導、住環境の改善を包括的に進めていくことが重要だと考えます。市民が安心して暮らせる環境を提供し、持続可能なまちづくりを実現するために引き続き取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、余裕教室の現状と利用状況についてお尋ねします。
所管委員会に関連するものになりますが、御了承いただきたいと思います。
少子化と児童・生徒数の減少に伴い、全国の公立小中学校では、今後5年間以内に普通教室として使用される見込みのない教室、いわゆる余裕教室が増加しています。これらの余裕教室をどのように活用するかが課題となっています。
現在、本市では、余裕教室を特別支援教育の場など学校教育活動に活用されていますが、他都市ではそれ以外の様々な用途での活用が進んでいます。地域コミュニティの活動拠点として地域の文化活動やスポーツ活動の場として余裕教室を提供することで、地域の連帯感の強化、住民の交流促進を図るという例があります。
また、高齢者の交流スペースとして、高齢者向けのサークル活動や健康増進プログラムを行う場所として余裕教室を活用することで、高齢者の健康維持と社会的な孤立の防止を図るという例もあります。これらの取組は、地域社会全体の活性化に寄与するものであり、本市でも積極的に取り入れるべき取組だと考えます。
そこで、教育長にお尋ねします。
本市における小中学校の余裕教室の数と現在の活用状況についてお聞かせください。
また、学校教育活動以外に活用する計画があればお聞かせください。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 余裕教室の現状と活用についてお答えいたします。
熊本市立の小中学校における余裕教室の数は、令和3年度の文部科学省の調査では、小学校391教室、中学校188教室の計579教室であり、主に少人数指導教室や通級指導教室、カウンセリングルームなど学校教育活動に活用しております。
学校教育活動以外では、児童育成クラブや児童・生徒と地域との交流を図る場として活用している学校もあるところです。
現在のところ、教育委員会としては学校教育活動以外の活用計画は持っておりませんが、議員御案内のとおり、地域コミュニティの活動拠点や高齢者の交流スペースへの活用等、需要がある場合には、学校教育に支障がない範囲で活用できるよう関係部署と連携してまいりたいと考えます。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
今後は、都市部でも少子化の影響で生徒数が減少し、余裕教室の増加が予想されます。余裕教室を地域コミュニティの活動拠点や、子育て世代の交流スペースとして活用する具体的な計画を立てることが重要であると考えます。教育委員会と関係部署が連携し、余裕教室の有効活用について積極的に取り組んでいただけるようお願いします。
次の質問に移ります。
熊本市電は、令和6年8月1日に開業100周年を迎えます。この節目を記念して、昨年から様々なイベントが企画されています。開業100周年の1年前イベントとして、熊本市電の鉄道むすめ、辛島みくのオリジナルグッズの販売や熊本市電フォトコンテストが開催されました。今年度は、10種類の候補車両の中から人気ナンバー1車両を決定する推し電総選挙や「100年後の市電」こども絵画コンクールなど、未来を担う子供たちを対象とした企画も行われています。運賃100円の日や無料の日には多くの方々に御利用いただいており、熊本市電は市民の生活に欠かせない公共交通手段として親しまれています。
しかし、熊本市電では運行トラブルが相次ぎ、重大なインシデントが続いています。今年に入って5度目のトラブルが発生し、市民の皆様に不安を抱かせる結果となっています。熊本市交通局におけるインシデント等に関する検証委員会も設置されましたが、運行トラブルが続くことで市電延伸計画に対する不安も高まっています。
市電延伸計画は、健軍町電停から市民病院までの約1.5キロを延伸するもので、地域公共交通の充実を図るための重要なプロジェクトです。概算事業費は135億円で、令和11年度に一部区間で運行を始め、令和13年度に全線開通を目指しています。しかし、地元に住む私の下には、地域住民や近隣商店街の方から市の説明不足という声が多く聞こえ、計画に対する市民の理解が十分に進んでいない印象を受けています。
昨年10月~11月に行われたアンケートでは、57%の市民が市電延伸を必要と回答していますが、一方で、25%が必要ないと回答しています。特に延伸しても利用者は少ないと思うという意見が多く、地域住民は市電が通ることで逆に渋滞が発生するのではないかと懸念しています。商店街関係者は、健軍電停が終点でなくなることで、お客さんが来なくなると不安を抱いています。市電延伸後の利用見込みが1日当たり約2,300人、年間約84万人とされていますが、この予測についても市民から疑問の声が上がっています。
延伸計画には、国からの補助金も含まれており、本市は国土交通省の都市・地域交通戦略推進事業として2億3,500万円の補助を受ける予定です。この補助金は用地測量などに充てられる計画です。国の補助は、今年度から5年間で市が延伸の概算事業費として見積もっている約135億円のうち、交付金などを充てることで市の負担は53億円になると想定しています。しかし、この具体的な使用計画も市民には十分に伝わっていません。
市電延伸を計画する上で、市民の理解と協力は欠かせません。市電延伸計画に対する市民の声を真摯に受け止め、透明性のある説明を行いながら、令和13年度の全線開通まで市民と行政が一丸となって計画を進めていく必要があります。
そこで、都市建設局長にお尋ねします。
今後、市民の理解や合意を得るための説明会など周知の進め方についてお聞かせください。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 健軍地区における市電延伸の検討につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時的に議会での議論を中断しておりましたものの、令和5年第2回定例会から再開し、現在基本設計を進めているところでございます。
このような中、事業を推進する上で市民の皆様の御理解、御協力は欠かせないという認識から、市民懇話会やオープンハウス、アンケート調査など様々な手法で御意見をいただきながら、検討を進めてきたところでございます。
しかしながら、地元地域の皆様への説明をより丁寧に行うべきという声を真摯に受け止めまして、今後は事業の進捗に合わせたきめ細かな説明を行うとともに、地域の皆様との意見交換にも取り組んでまいりたいと考えております。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
市電延伸計画は、本市の今後の発展に大きなチャンスをもたらす重要なプロジェクトであると認識しています。大きな予算を使う以上、市民の皆様の理解と合意を得るために十分な議論が必要です。
この計画はやるか、やらないかの二択ではありません。地域住民や想定される利用者など、様々な方々との意見交換の場を設けることが不可欠です。成功に向けて説明不足による誤解や摩擦を避けるためにも、行政と市民が同じビジョンを共有し、一丸となって進めていくことが求められます。
今後、地域への丁寧な説明と意見交換の場を積極的に設け、市民の声を真摯に受け止めながら、令和13年度の全線開通を目指していただきたいと思います。
最後の質問に移ります。
ただいま御答弁いただきました市電の延伸計画が進行中の健軍・東町地域周辺には、先ほど触れました老朽化した市営団地や余裕教室が増加している小学校が存在します。私はこの地域の今後のまちづくりに大きな可能性を感じています。
例えばこれらの老朽化した公的施設を活用し、広場やコミュニティスペースを整備することで、地域住民が集まりやすい場を作り出すことができます。このような場では、マルシェやアーバンスポーツなどのイベントを開催し、新たな地域交流を創出することが期待できます。
また、この地域には東区役所、東警察署、市民病院、中学校や高等学校、自然豊かな江津湖や動植物園があり、子育てにも適した環境が整っています。さらに、熊本空港や益城熊本空港インターチェンジからのアクセスも良好で、交通の要所として非常に重要なエリアです。健軍・東町エリアは、本市の東の玄関口として重要な役割を果たすことができる地域だと考えます。
市電が市民病院まで延伸されれば、交通結節点としての機能が強化され、地域全体の利便性が大幅に向上します。また、シェアサイクルやパークアンドライドの活用を促進することで、地域の利便性をさらに高めることが期待されます。
数年前には、健軍地域から再生の要望が上がっていたと聞いております。TSMCの進出や市電の延伸計画など当時と状況が変わっていますが、大きな可能性を秘めたこの建軍・東町地域には、多くの分野にまたがる総合的な再生計画が必要ではないかと考えます。大きな予算をかけずに既存の資源を生かしながら、地域住民と一体となって30年、50年先の東区健軍・東町地域を作り上げていくことが重要だと考えます。
そこで、大西市長にお尋ねします。
市電の延伸を機に、東区健軍・東町地域の地域再生プロジェクトを計画されてはいかがでしょうか。既存資源を生かし、地域住民と協力して持続可能な健軍・東町地域を作り上げることについて、大西市長のお考えをお聞かせください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員お尋ねの健軍・東町地域は、交通結節拠点である健軍町電停を中心に、商業、医療などの都市機能や水前寺江津湖公園、動植物園等が立地をした都市の利便性と自然が調和する地域であり、その中心であります健軍地区は、本市が目指す多核連携都市における15の地域拠点の一つに位置づけられております。
健軍地区においては、地域が有する資源や特性を生かしつつ、都市機能の維持・確保を図りますため、令和3年度から商店街をはじめ、地域の皆様と意見交換会を行い、地域課題の共有を図ってまいりました。
また、次世代の担い手育成を目的として、小学校の授業において地域の将来について考え、まち歩きを通して地域の課題や魅力を発見する出前講座にも取り組んでいるところでございます。
今後も地域の皆様と意見交換を重ねながら、市電の延伸計画も踏まえ、官民が一体となって健軍地区の将来像を描いてまいりたいと考えております。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございました。
まちづくりには大きく長期的なビジョンが必要です。市民病院への新たな交通手段としての市電の延伸はもちろん重要ですが、それをきっかけとした地域の再整備が不可欠だと考えます。
例えば松本市の三の丸エリアプラットフォームでは、松本城三の丸エリアビジョンを実現するための組織があり、誰かに語りたくなる暮らしを目指し、地元・民間主体で様々なプロジェクトをサポートしています。
また、長野市の信州地域デザインセンターUDC信州は、都市のスポンジ化や人口減少に対応するために設立され、公・民・学の連携によりまちづくりを支援し、まちづくり人材の育成や情報発信を行うことで、地域の課題解決と魅力的なまちづくりを推進しています。
これらの事例のように、健軍・東町地域でも公・民・学が連携し、地域住民と一体となった再整備によって魅力的なまちづくりが推進されるのではないでしょうか。既存の資源を生かしながら持続可能なまちづくりを目指していくために、ぜひとも御検討をよろしくお願いします。
これで、私の質問は全て終わりました。
丁寧に御対応いただきました大西市長をはじめとする執行部の皆様、そして長時間お聞きいただいた先輩・同僚議員の皆様、傍聴してくださった皆様、インターネット中継で御覧いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
これからも市民の皆様の声を大切にしながら、一緒に熊本市の未来を築いてまいりたいと思います。
皆様よい週末をお過ごしください。御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○寺本義勝 議長 本日の日程は、これをもって終了いたしました。
この際、お諮りいたします。
明8日から6月12日まで5日間は、休日並びに議事の都合のため休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○寺本義勝 議長 御異議なしと認めます。
よって、明8日から6月12日まで5日間は、休会することに決定いたしました。
次会は、6月13日(木曜日)定刻に開きます。
────────────────────────────
○寺本義勝 議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 2時51分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり
令和6年6月7日
出席議員 46名
1番 寺 本 義 勝 2番 大 嶌 澄 雄
3番 村 上 麿 4番 瀬 尾 誠 一
5番 菊 地 渚 沙 6番 山 中 惣一郎
7番 井 坂 隆 寛 8番 木 庭 功 二
9番 村 上 誠 也 10番 古 川 智 子
11番 荒 川 慎太郎 12番 松 本 幸 隆
13番 中 川 栄一郎 14番 松 川 善 範
15番 筑 紫 るみ子 17番 島 津 哲 也
18番 吉 田 健 一 19番 齊 藤 博
20番 田 島 幸 治 21番 日 隈 忍
22番 山 本 浩 之 23番 北 川 哉
24番 平 江 透 25番 吉 村 健 治
26番 山 内 勝 志 27番 伊 藤 和 仁
28番 高 瀬 千鶴子 29番 小佐井 賀瑞宜
30番 田 中 敦 朗 31番 高 本 一 臣
32番 西 岡 誠 也 33番 田 上 辰 也
34番 三 森 至 加 35番 浜 田 大 介
36番 井 本 正 広 37番 大 石 浩 文
38番 田 中 誠 一 39番 坂 田 誠 二
40番 落 水 清 弘 41番 紫 垣 正 仁
43番 澤 田 昌 作 44番 満 永 寿 博
45番 藤 山 英 美 47番 上 野 美恵子
48番 上 田 芳 裕 49番 村 上 博
欠席議員 1名
16番 井 芹 栄 次
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦
副市長 中垣内 隆 久 政策局長 三 島 健 一
総務局長 津 田 善 幸 財政局長 原 口 誠 二
文化市民局長 早 野 貴 志 健康福祉局長 林 将 孝
こども局長 木 櫛 謙 治 環境局長 村 上 慎 一
経済観光局長 村 上 和 美 農水局長 金 山 武 史
都市建設局長 秋 山 義 典 消防局長 平 井 司 朗
交通事業管理者 井 芹 和 哉 上下水道事業管理者田 中 俊 実
教育長 遠 藤 洋 路 中央区長 土 屋 裕 樹
東区長 本 田 昌 浩 西区長 石 坂 強
南区長 本 田 正 文 北区長 吉 住 和 征
職務のため出席した議会局職員
局長 江 幸 博 次長 中 村 清 香
議事課長 池 福 史 弘 政策調査課長 岡 島 和 彦
令和6年6月7日(金曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第3号 │
│ 令和6年6月7日(金曜)午前10時開議 │
│ 第 1 一般質問 │
└─────────────────────────────────────┘
午前10時00分 開議
○寺本義勝 議長 ただいまより本日の会議を開きます。
────────────────────────────
○寺本義勝 議長 日程第1「一般質問」を行います。
発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
まず、田中敦朗議員の発言を許します。田中敦朗議員。
〔30番 田中敦朗議員 登壇 拍手〕
◆田中敦朗 議員 自由民主党熊本市議団の田中敦朗でございます。
3月に議長を退任させていただきまして、6月に早速一般質問をさせていただきます。妻からもう質問すっとねと言われましたが、やはり議員の本分、しっかりこういった質問の場に立つことだと思っておりますので、今日も市長をはじめ、執行部の皆さん、明快な答弁をどうかよろしくお願いいたします。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
まず最初に、庁舎建て替え問題についてお伺いいたします。
昨年の第2回定例会において、大西市長は、本庁舎を建て替えの方向で議論を再開したい旨を表明されました。今年3月には、新庁舎整備に関する基本構想の素案が示され、4月~5月にかけて市民説明会を実施するなど、建て替えの必要性や基本的な考え方について市民に説明し、また、意見を聴取されてこられました。
一方で、説明会等で出された意見を拝見いたしますと、本庁舎建て替えの必要性について、多くの市民の皆様が認識されているようですが、一部の方は本庁舎の耐震性能が不足していることについて、まだ御理解や納得はいただけていないようです。大変難解で複雑であるため、この耐震性能という部分で納得されることは、今後もないかもしれません。
そこで、今回の質問は、耐震性能以外の点に焦点を当てて行い、本庁舎の建て替えの必要性について、理解を深めていきたいと思います。
そもそも本庁舎の建て替えについて、一部の市民の方々が御納得いただけていない理由の一つに、市役所執行部による設備等の老朽化や財政負担の観点における必要性の説明が不足しているということがあるのではないでしょうか。
もともとこの建て替え問題のきっかけとなったのは、平成29年度に調査された熊本市本庁舎整備計画であり、その計画によると、仮に設備改修を行う場合、令和元年度から設計を行い、令和10年度には工事を完了し、供用を再開する予定でありました。熊本市公共施設等総合管理計画の目標耐用年数70年に照らせば、設備改修後に23年間活用できる計画でした。
しかし、耐震性能の調査の再検証や新型コロナウイルス感染拡大に伴い、議論を凍結してきたため、本庁舎は今年で築43年を経過し、仮に来年度から設備改修の設計に着手したとしても、令和16年度に完了することとなり、残り17年しか現庁舎は使用できません。
そこで、市長にお尋ねします。
仮に設備改修を行い、そのまま現庁舎を使い続けた場合にどのような課題点が残るのか。また、設備改修した現庁舎及び賃借している周辺の民間ビルを使い続けた場合の財政負担はどのようになるのか、以上2点についてお答えください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 庁舎建て替えについて、設備のみ改修を行い、そのまま現庁舎を使い続けた場合の課題についてお答えいたします。
設備のみ改修を行った場合、現庁舎は耐震性能が不足し、主要な建築設備が地下2階に配置されたままとなり、大規模な地震や水害が発生した場合には、防災拠点施設として機能を継続することができません。
さらに、窓口や執務スペースの狭隘化についても、課題として残ったままとなります。
次に、設備のみ改修を行った場合の事業費を現在の建設単価で試算いたしますと、約187億円となる見込みであり、その際に充当できる交付税措置等の総額は約8億円で、実質的な財政負担は約179億円となります。
また、基本構想素案では、現庁舎の狭隘化を解消するためには、約1万5,000平方メートルの増床が必要と整理しておりまして、その床面積分をさらに民間ビルを賃借することで対応した場合、年間6億円の賃借料が必要であり、議員御質問の目標耐用年数で試算いたしますと、約180億円が必要となります。
したがって、設備改修と民間ビルの賃借料を合わせた財政負担は、合計で約360億円となる見込みです。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 現庁舎を設備改修した場合は、耐震性能不足や浸水に対する脆弱性といった課題は解決できず、また、残りの耐用年数までに約360億円が必要との答弁でした。また、残りの耐用年数を考えると、設備改修が完了して10年後には次の建て替えの検討を始めなければならず、その際には合併推進債の活用はできないということです。
一方で、新庁舎を建て替えた場合の事業費は現時点で470億円、合併推進債の活用が可能であれば、市の財政負担は294億円と試算されています。よって、今建て替えた方が財政負担の面でも66億円有利であり、早期に本庁舎を建て替えた方がよいということが理解できます。
ただし、今後、建設地が決定されれば、概算事業費に用地取得費や駐車場整備費等が上乗せされ、事業費はますます大きくなることも懸念されます。
そこで、市長に2点お尋ねいたします。
今後、物価高騰などで建設費が上昇した場合の増加分はもとより、用地取得費や駐車場整備費についても合併推進債の活用は可能でしょうか。
また、仮に新庁舎を移転する場合は、現庁舎敷地については、にぎわい創出に寄与する用途となる建築条件を付した上で、民間事業者に貸付け等を行い、中心市街地の活性化を図るとともに、財政負担を軽減するために利活用することが最も有効であると考えますが、市長のお考えはいかがでしょうか。
加えて、民間事業者に貸付け等を行う場合、その利活用条件などの跡地に係る方針は、いつ頃示されるのでしょうか。詳細にお答えいただければ助かります。お願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず、合併推進債は、いわゆる投資的経費に充当可能でありまして、仮に建設費が高騰した場合の増加分をはじめ、現在、概算事業費としてお示しをしております470億円に含まれていない用地取得費、仮設庁舎費、駐車場整備費、什器購入費などについても充当が可能であります。
次に、仮に本庁舎等が移転することとなった場合の跡地利用についてですが、昨年度実施いたしましたサウンディング調査では、多くの民間事業者が、現庁舎敷地のポテンシャルを高く評価され、跡地利活用に強い関心を示されました。
また、地元経済界や市民の方々からも、庁舎建設を起爆剤としたまちづくりへの期待感や御要望をいただいております。
このようなことから、民間事業者等による跡地の利活用を通じ、市の財政負担の軽減に努めますとともに、この場所にふさわしい利活用や都市機能の導入等によりまして、これまで以上のにぎわいと経済効果を生み出していくことが重要であると考えております。
また、昨日、井本議員にもお答えいたしましたが、仮に本庁舎等が移転した場合の跡地の利活用が可能となる時期は、現庁舎が解体された後となりますため、基本計画の着手から六、七年後になると想定しております。
しかしながら、現在、議会をはじめ、市民の皆様からも跡地利活用への期待の声をいただいておりまして、私としても、そうした期待に応え、建設地決定後、土地の貸付けまたは売却に係る要件や地域価値の向上につながるような用途の誘致可能性について速やかに市場調査等を行い、できるだけ早く具体的な方針等を明らかにしたいと考えております。
いずれにいたしましても、跡地の利活用や周辺のまちづくりにおきましては、市が主体的に取り組み、様々な施策を効果的に展開することで、さらなる民間投資を呼び込み、エリア全体の発展につなげてまいりたいと考えております。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 合併推進債は、用地取得費、仮設庁舎費、駐車場整備費、什器購入費についても充当可能ということです。そうであれば、現在は国の補助や交付税で176億円賄える試算ですが、全ての費用を加算すれば、200億円を超える負担軽減を図れる可能性があるということになります。
27年後に200億円以上を市民負担で庁舎を建て替えるのか、今、多様な使途に活用できる合併推進債を活用して負担軽減を図るのか、どちらがよいかは明らかであると私は考えております。
また、跡地の利活用を通じ、財政負担の軽減だけではなく、本市の一等地にふさわしい用途の導入等を通じ、現庁舎周辺にこれまで以上のにぎわい効果を生み出そうとう市長のお考えを聞くことができました。
なお、70年後よりもっと先、次の建て替えのことを視野に入れますと、跡地を利活用される際は、土地を所有したまま民間に貸し出すことが最もよい方法ではないかと考えていますので、こちらについてもしっかりと御検討をお願いいたします。
さて、跡地の利活用を通じた新たなにぎわいを創出していくお考えがあることをお聞きしたところですが、本庁舎等についても毎日多くの市民が訪れるほか、2,700人の職員も勤務しています。このような市民や職員の皆さんによる飲食や買物等の経済活動は、長きにわたり地域経済を下支えし、中心市街地の活性化の一翼を担ってきました。熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議答申においては、本庁機能と中央区役所はそれぞれの担う機能が異なることから、個別に立地や配置について検討することもできるとあり、本庁機能と中央区役所は分棟が可能であると整理されたところです。
そこで、市長にお尋ねします。
本庁機能と中央区役所を1棟とした場合と分棟とした場合では、まちのにぎわいに与える影響、景観、建設費などの面でどのような違いがあるでしょうか、御答弁をお願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本庁機能と中央区役所を1棟とした場合と分棟とした場合の影響についてでございますが、現在、様々な観点から分析・検討を行っているところでございます。
まず、まちのにぎわいに与える影響でございますが、これまで実施いたしましたアンケート調査等によりますと、本庁・議会棟と中央区役所に来庁される市民等の数は、それぞれ1日当たり約1,000人であり、そのうち約半数が中心商店街等に立ち寄ると回答されました。
このようなことから、本庁機能と中央区役所を1棟とするより、分棟とする方が消費行動の対象となる中心商店街のエリアは広くなると考えられます。
次に、景観への影響でありますが、基本構想上の床面積で算定いたしますと、どの候補地であっても本庁機能と中央区役所を1棟で建設をする場合、景観計画上の高さ基準であります海抜55メートルを超えますとともに、周辺への圧迫感を与える可能性が高いと考えております。
最後に、建設費への影響でございますが、一般的に1棟の方が建設費が抑えられると考えられますが、景観上の観点から地下に階層を設けるなど、諸条件の設定によっては分棟の場合よりも建設費が高くなることもあります。
なお、基本構想でお示しをしております建設費の概算事業費360億円については、1平方メートル当たりの建設単価で算定をしており、1棟と分棟の場合で変わるものではありませんが、用地取得費や駐車場の整備にかかる経費なども含めた総額については、今後お示ししてまいりたいと考えております。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 本庁機能と中央区役所を1棟とした場合と分棟とした場合でも、基本構想上の建設費360億円は変わるものではないということでしたが、にぎわいや景観の面では分棟の方がよいという御答弁であったかと思います。今後、さらに詳細な分析・検討を進めていただきたいと思います。
なお、仮に分棟される場合は、窓口機能の在り方の見直しやデジタル技術を活用され、本庁機能と中央区役所の両方に業務のある方が不便にならないよう、十分に配慮を行っていただきたいと思います。
さて、本庁舎の整備について様々お尋ねしてまいりましたが、防災上の観点はもちろん、本市の負担などからしても、本庁舎の建て替えは、この機を逃さずに進めていかねばならない状況にあると私は理解できました。
また、今後の物価上昇を考えれば、現庁舎を改修し使い続けた場合は、27年後に建て替えが必要となり、現在の試算よりも確実に工事の費用は上がります。しかし、早期に建て替えれば、合併推進債が使え、物価上昇を織り込むと実質の債務は縮減していくということになり、財政やマネジメントのことを考えれば、まさしく今、着実にすべきことなのだと考えます。
また、先ほど申し上げた移転する場合の跡地については、貸した方がよいという私の申し上げた点ですが、億単位で定期借地権を貸し出せば、その年数×億円単位の歳入があります。また、売却せずに更地にして返してもらえるのであれば、それこそ次の建て替えのときに建設地を考えなくてもいい、またここに戻ってくればいいということになります。ここにいるほぼ全ての議員は、私も含めてこの世にはいないと思いますが、瀬尾議員は100年時代ですので、もしかしたら御存命かもしれませんが、とにかく今回のように移転先の検討で七転八倒せずに、今後永劫行ったり来たりすればよいということになり、未来の懸念を一つ解消することができます。
ここで、大阪御堂筋について触れますが、1923年就任の關一大阪市長は、大阪の100年先を見据え、都市大改造計画、御堂筋の拡幅、地下鉄の整備を進めました。1926年に工事着手、1937年に11年をかけて完成させました。片側4車線の8車線だった御堂筋は、人口と車両の増加により1970年、8車線に一方通行化されました。当時市民から大きな抵抗があり、必要ないと言われていた拡幅は、30年の時を超えて先見の明があったということが証明されました。
本市においても、庁舎の建て替えという大きな変化を、先ほど申し上げたように、未来の懸念を解消するとともに、中心市街地がさらに飛躍し、誰もが訪れたくなる国内外から選ばれる上質な生活都市を実現するために、市長の強いリーダーシップの下、跡地利用や周辺のまちづくりについてもしっかりと取り組まれ、市民が故郷に対して愛着と誇りを深めることができるように、御尽力いただくようにお願いいたします。
また、合併推進債活用が間に合えば、200億円市民負担が減少する可能性があります。そのお金はぜひとも教育や福祉、子供や高齢者の皆さんへの支援の充実に活用していただくようにお願いいたしまして、次の質問に移ります。
続きまして、宿泊税についてお伺いします。
昨年、宿泊税検討委員会が立ち上げられ、導入について有識者、学識経験者、業界団体、市民の方々に検討を重ねていただきました。結論が今年3月に出て、熊本市はその答申を受けました。宿泊税の導入は適当であるという前向きな答申が出た以上、いち早く決断し、制度設計を迅速に行い、周知を図り、一日でも早く導入し、それを財源に本市の観光振興に活用すべきだと考えますが、宿泊税についての市の考えを大西市長に伺います。
また、得た税収については、宿泊者が払い、宿泊事業者が徴収するというものであり、その性質上目的税として使途は限定すべきだと考えています。観光振興、滞在者へのサービス向上、新たな観光サービスの創設などに使われるべきだと、私は考えていますが、その点について財政局の考えをお伺いします。
あわせて、宿泊税が導入されれば、新たに宿泊事業者に税の徴収という負担を担っていただくことになります。私といたしましては、定着するまでの二、三年は、宿泊事業者に対して、徴収した税の1割程度を導入コストとして補助金や支援金などを創設し、支給していくべきだと考えますが、何らかの形で負担に報いる考えはないか、こちらも財政局にお伺いいたします。
最後になりますが、制度の中身について考えを聞いておきます。
税額について、幾つかの先行自治体においては、宿泊1回に当たり200円を徴収していることが多いと認識しています。本市においても、税額について、国内宿泊者は200円が妥当と考えていますが、国外の宿泊者は金額を増やしてもいいのではないかと私は考えています。その増額分をWi-Fiエリアの拡充や外国旅行者への支援拡充、例えば通訳支援、24時間の旅行者相談センター、観光名所やインターネットでの多言語表記の充実などに活用していけばよいと考えますが、国外旅行者からの徴収する税を増やすことについて、財政局長の考えをお伺いいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 宿泊税についてのお尋ねにお答えいたします。
全国的に人口減少が進み、地域経済活動の縮小が懸念される中、裾野が広く波及効果の高い観光産業は、地域経済の柱の一つであると認識しております。
本市では、コロナ禍を経て旅行需要が急速に回復いたします中、旅行者のニーズの多様化など観光を取り巻く状況の変化に的確に対応し、観光振興への取組を強化していく必要がありますことから、熊本市観光マーケティング戦略を策定いたしました。
この戦略に基づき、観光振興に積極的かつ継続的に取り組むための安定的な財源確保について、昨年度、外部の有識者の皆様からなる宿泊税検討委員会を設置いたしまして、検討していただきました結果、宿泊税の導入は適当であるとの答申を受けたところでございます。
このようなことから、今後、戦略のビジョンであります、訪れる人が、暮らす人と共に上質なときを創るまちくまもとを実現するため、令和8年のできるだけ早い時期の宿泊税導入に向け準備を進めてまいりたいと考えております。
〔原口誠二財政局長 登壇〕
◎原口誠二 財政局長 宿泊税につきまして順次お答えいたします。
1点目の宿泊税は、法定外目的税として導入し、観光資源の魅力創出による誘客、宿泊の促進や旅行者の満足度向上などの事業の拡充に活用することとしております。
次に、事業者への支援についてのお尋ねでございますが、宿泊税の徴収方法を宿泊事業者が宿泊者から徴収し、市へ納入していただく特別徴収を考えておりまして、宿泊事業者には、徴収に係る事務的負担や経費的負担をお願いすることになることから、特別徴収に対する交付金の制度化や宿泊事業者のレジシステム等の機器の更新に対する助成制度の導入を検討してまいります。
最後に、税額に差をつけることにつきましては、宿泊税検討委員会から「宿泊事業者の徴収にかかる事務負担の軽減や宿泊者への分かりやすさの観点から、できるだけ制度を簡素化することが望ましく、一律定額で導入し、その後の検証によって必要な見直しを行うことが適当である」との御意見をいただいたところでございます。
一方、議員お尋ねの宿泊者によって税額を変える場合は、宿泊事業者の徴収に係る業務が煩雑になることが懸念されます。今後、導入自治体の事例等を参考に、また、宿泊事業者等から丁寧に御意見をお伺いしながら、制度の詳細を検討してまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 議員人生の中でも5本の指に入る前向きな、意に沿うような答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
ぜひ一日も早く導入してほしいところですが、先ほど申し上げられたとおり、令和8年の早い時期ということです。制度の設計構築や周知、国や県とのやり取りなど時間がかかるためです。
そういった前向きな答弁をいただいた中で苦言を申し上げるのは心苦しいのですが、私が初めて宿泊税について質問した令和元年に決断をし、実現に向けて動いていれば、既に導入をできていたはずです。つまり令和5年、令和6年、令和7年、この宿泊税による税収を逃したこととなります。
年の宿泊者数を200万人とした場合、1人当たり200円徴収していたならば、3年間で12億円の税収が生じたはずでした。それを活用すれば何ができたでしょうか、つくづく決断させ切れなかったおのれのふがいなさを悔やみます。そして、当時決断できなかった熊本市役所についても、残念に思います。やるべきことであれば面倒くさがらずに、むしろ市長に決断を迫るくらいの気概を持った職員がどんどん増えてほしいと思います。
特にこの宿泊税に関しては、令和元年度中に業界団体の会長や理事長に私の方から意向の調査をし、考えをお伺いして目的に沿った活動していただけるのであれば、反対ではない旨の返答をいただいていました。そのことを各担当課にも伝えていたにもかかわらず、コロナを挟んだとはいえ、5年間かけて決断、7年かけて実現というのは、スピードを求められる時代にあまりに遅すぎるのではないでしょうか。今後はこのようなことがないように心からお願い申し上げまして、次に移ります。
市役所発注の工事についてお伺いいたします。
年度によって異なりますが、市役所が発注する工事は、随意契約や単価契約を除けば年間700件前後になります。そのうちのほとんどは契約どおりに執行されますが、中には様々な理由によって契約変更が生じる場合があります。市役所が発注した設計に基づいて設計会社が設計したにもかかわらず、そういったことが起こるということ、想定外が起こり得るため、ゼロにするのは不可能だと理解しますが、その工事を落札した事業者は、まさしく外れを引いたと言っても過言ではありません。
そこで、お伺いします。
現場と設計の差異によって工事額が2割以上増減し、契約変更になった件数は過去5年に遡って何件ありましたでしょうか。増減の内訳も合わせて総務局長に答弁を求めます。
また、契約変更の原因について、都市建設局はどのように認識しているのか、もし契約変更があった場合、受注者はどのような不利益を被る可能性があると考えるか、都市建設局長に答弁を求めます。
〔津田善幸総務局長 登壇〕
◎津田善幸 総務局長 私からは、工事契約の変更件数についてお答えいたします。
地方自治法施行令第167条の2第1項第1号の随意契約及び単価契約を除く工事案件において、過去5か年度で当初の契約額から2割以上増額、減額する変更契約を締結した件数は301件であり、全体の8.3%です。増額、減額別の内訳では、2割以上の増額が283件で全体の7.8%、2割以上の減額が18件で全体の0.5%でございます。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 契約変更となる主な原因といたしましては、例えば舗装の打ち換え工事を行う際の既存舗装の厚さや地中に埋設される障害物の有無など、設計時には正確な把握が困難な事項が工事着手後に判明し、現場と設計に差異が生じることによるものと捉えております。
このことにより、受注者には、当初契約時に予定していた作業手順や資機材調達計画などの現場条件に合わせた調整や、それに伴う変更契約手続に御協力をいただく必要が生じることとなります。
そのため、設計段階におきまして、試掘等による確認を可能な限り実施いたしますとともに、請負金額や工期の契約変更に際しましては、受発注者間で十分に協議を行うなどの対策を講じているところでございます。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 御答弁いただきましたが、5年間で減額が18件あり、年間平均して三、四件あるということ、700分の3か4で、外れという表現はどうかと思いますが、そういったことがあるというのはなかなかの確率です。宝くじに比べればかなりの高確率であり、毎年三、四事業者が涙を飲んでいるという実に切なく悲しい気持ちになります。
不利益のことを明確におっしゃらなかったので私が代わりに言いますが、もし3,000万円の工事が2割減になれば600万円の減となります。見込んでいた売上げが減少し、さらに契約変更が成立するまでは工事を進めることができず、そして、その工事が終わらなければ次の入札にも臨めず、その間の人件費が受注者にのしかかります。契約解除という手はありますが、立場の弱い受注者にその選択ができるとは思いません。受注者からすれば、踏んだり蹴ったりの状況です。そんな状況に陥っても歯を食いしばって契約変更に応じ、何とか工事を完遂したとき、その工事の評価が低かったらどう思うでしょうか。絶対に納得がいかないと思います。
今回は、質問いたしませんが、そういった差異により工事期間を延長した場合は、その人件費まで見るようにしたり、工事額の減額になる契約変更に応じた際は、評価点数を加算するような制度を導入した方がよいのではないでしょうか。
こういった課題については、次の一般質問で取り上げますので、検討しておいていただきたいと思います。
今回、2割以上の減額が5年で18件という答弁でしたが、私は、これは氷山の一角だと思っています。中には受注者からの協議を受け付けない、課題を封殺して事業を完遂させているということがあるのではないかと懸念しています。熊本市は、一生懸命やっていらっしゃるので、そういったことがないと信じたいですが、やはりいろいろな職員の方がおられる、そしていろいろな自治体がある中で、そういったことがゼロであるとは言えないと思います。
また、設計についても、土木の現場に精通している人間であれば当然理解し、調査したり、織り込んでおくべきものが、市役所や設計コンサルの調査不足によって織り込まれていなかったり、全く必要なくなったりということが起こっているのではないかと危惧しています。この2点についても、今後質問するかもしれませんのでよろしくお願いします。
今回は、発注工事に関わる課題についてのジャブ的な質問です。これから少しずつ詰めていきますので、質問をしたときに明快に答弁できるように準備をお願いして、次の質問に移ります。
市役所の人員不足についてお伺いします。
先日、ケースワーカーの人員不足について取り上げられましたが、事業者の方々と常日頃からやり取りをしていると、市役所はほかにも人員がまだ足りていない部署があるのではと感じます。都市建設局や土木センターにおいては、事業の量や市民に寄り添うための時間、上司が部下を指導・監督する時間等を考えれば、いまだ充足しているとは言えない状況だと見受けられます。
また、教育委員会や学校現場においても、政令指定都市となって増えた業務への対応や財政局が部活動支援員の拡充に難色を示すことから、働き方改革の推進が鈍化していると感じます。
また、先日事業者から聞きましたが、工事の際に文化財の発掘調査が必要になる場合がありますが、発掘実施までの期間がどんどん延びているとのことです。中には1年近く待たなくてはならないということもあるそうです。
定員管理計画が令和9年までということで、現在やっと増員中であるとは理解いたしますが、現状各所で生じている人員不足による事業の遅延やそご、組織マネジメント上の不具合について、それぞれの組織がどのように認識しているのか、また、今後充足していくまでどのように対処していくのか、都市建設局長、教育長、文化市民局長にお伺いします。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 都市建設局に関連することについてお答えいたします。
近年、インフラ施設の老朽化や、気候変動等に伴う自然災害の頻発化・激甚化など社会課題の多様化に伴いまして、都市建設局や土木センターにおける職員の業務量は増加し、求められる質も高まってきております。このため、安全で良好な都市基盤の形成等、様々な事業の着実な推進に向け、業務の効率化や組織力の強化に努めているところでございます。
具体的には、道路や河川等の維持管理におきまして、LINEを活用した市民の皆様からの通報システムの導入、画像データから劣化状況を判断するAI診断による橋梁点検などに取り組んでおりまして、今年度からはドローンを活用した高所点検等、新技術のさらなる導入を実施することとしております。
また、令和2年度に技術職職員採用プロジェクトチームを設置し、県内外の大学生や高校生に対しリクルート活動を行うなど、質の高い人材の確保に努めておりますとともに、管理職を中心に資料作成や業務分担、部下職員とのコミュニケーションの在り方等仕事の進め方を継続的に見直すことで、限られた人員下でも仕事の質の低下を招かない環境整備に取り組んでおります。
今後も引き続き、都市建設局や土木センターにおける業務対応力の底上げや組織体制の強化に取り組み、市民サービスのさらなる向上に努めてまいります。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 私からは、学校と教育委員会に係る御質問についてお答えいたします。
学校現場における働き方改革については、学校の抱える諸課題に対応するための学級支援員や部活動指導員など会計年度任用職員の増員を図っており、教職員の時間創造プログラムにおいても一定の成果が見られております。
しかしながら、年休取得日数以外の項目においては、目標達成に至っていないことから、引き続き学校現場の業務負担の軽減や人員体制の充実に努めてまいります。
また、教育委員会においても、様々な支援を必要とする児童・生徒への対応やICT教育の推進など、学校教育部門を中心に人員体制の充実を図ってまいりました。
一方で、議員御指摘の政令指定都市移行後に権限移譲された教員採用や人事等の管理業務に従事する職員については、増員に努めているものの、多様化する教育諸課題へ対応していく必要もあるため、職員一人一人にかかる負担が増しているものと認識しております。
今後も、事務事業の見直しや業務改善等による効率化を図るとともに、必要な人員の確保に努めてまいります。
〔早野貴志文化市民局長 登壇〕
◎早野貴志 文化市民局長 私からは、文化財についてお答えいたします。
近年、埋蔵文化財の発掘調査件数の増加に伴い、着手までに通常時よりも時間を要していることから、文化財専門職員の効果的な配置、調査工程及び事務作業の効率化を図るとともに、大規模事業等は民間調査機関に委託するなど、可能な限り調査期間の短縮に努めているところでございます。
また、文化財専門職員の増員を図るため、新規採用職員の募集において、例年の3名に加え、今年度は社会人経験枠を1名設けることで、即戦力となる人材の確保も進めているところでございます。
今後、調査の遅延が早期に解消されるよう、引き続き人事部局と連携し、適切な人員の確保に努めてまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 それぞれの部局が工夫しながら、人員不足を補い仕事を進めていただいているようです。政令指定都市移行後の見通しが甘く、私が指摘していたにもかかわらず、人員を増やそうとしなかった当時の熊本市の負の遺産によるマイナスを、今の市民や事業者、そして職員が受けているということです。
幸い、定員管理計画を見直していただき、人員増の真っ最中ですが、今の予定では充足しないのではないかと心配している次第であります。計画の途中ではございますが、いま一度定員管理計画を見直し、さらなる増員をするべきだと私は考えておりますが、市長の考えをお伺いいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 現在、令和5年2月に策定いたしました第7次熊本市定員管理計画に基づき、人員体制の強化に取り組んでおりまして、引き続き必要な職員数の確保に努めてまいります。
また、今後、策定時には見込めなかった社会情勢や行政需要の変化等を踏まえまして、必要に応じた見直しを行ってまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 必要に応じた見直しを進めていくということで、明確にお答えいただきました。実際のところやはり人事部局、そして各局、さらには財政部局、このバランスで人員を増加したり、減らしたりというところで、かなりセンシティブでしかも難しい問題であるということは十分に理解しておりますが、やはりこの政令指定都市になって業務が増えた、そして様々な社会課題が増えているという中で、人員の増加はやむを得ないというか、必ず必要になっていると思っています。
もちろん、様々な答弁があっておりましたとおり、人を増やすだけが人員不足の解決方法ではないと理解していますが、市役所の仕事には、今のところ人でなければできない仕事が多々あります。見直しをしていくということですので、そういった人でなければならないところの拡充をお願いいたします。
人員に余裕が出てきたらどうするんだと心配される方がおられると思いますが、余裕が出てきたらしっかりと庁内のスキルアップに努めたり、上司からの技術やマネジメントの力を高めたり、災害大国である日本においては、災害が起きたときに多くの職員を派遣したり、また、霞が関に出向していただき、スキルや経験を積んでもらうこともできるようになります。
そういった切迫した状況から、ある程度余裕のある体制を一日でも早く実現していただくようにお願いしておきたいと思っております。
また、土木職の確保がかなり難しいということも聞き及びました。ほかの自治体でやっているところもあるということですが、一般職として採用し、土木職として育ってもらうこともできなくはないのかなと思っておりますので、様々な形で不足するであろう土木職を拡充する取組もしていただければとお願いして、次に移ります。
小児慢性特定疾病対策についてお伺いいたします。
小児慢性特定疾病は、長期にわたり治療や管理が必要な病気のうち、国が特定する疾患群を指します。この制度は、厚生労働省が認定した疾患にかかる子供とその家族の経済的負担を軽減するために設けられています。対象となる疾患には糖尿病、心臓病、腎臓病、ぜんそく、神経疾患、代謝疾患、悪性新生物などがあり、これらの疾患は慢性的で継続的な治療や医療管理が必要です。
制度の主な特徴は、医療費の助成です。対象となる子供が受ける医療費の一部が公費で負担され、自己負担額が軽減されます。助成の範囲には、入院、通院の費用、薬剤費、医療機器の費用などが含まれることがあり、必要に応じて通院費用の助成も受けられます。申請手続には、医師による診断書と所定の申請書類の提出が必要で、認定されると受給者証が発行されます。対象年齢は基本的に18歳未満ですが、18歳以上でも継続して支援を受けられる場合があります。これにより、子供とその家族は、経済的な心配を減らし、安心して治療を受け続けることができます。
この制度は、長期にわたる治療が必要な子供たちが適切な医療を受けられるようにし、生活の質を向上させることを目的としています。国の制度ということで、当然熊本市民の対象者も支援を受けられるのですが、現在熊本市においては、各区に相談窓口があるものの、専門の窓口がない状況です。熊本県は、既に自立支援相談事業を実施しており、相談会や各種勉強会の開催、交流イベントの実施を行っています。
熊本市は、対象者が1,000人を超えていると聞いています。早急に相談支援事業を行うべきだと考えますが、令和6年度の予算には相談支援事業の予算が計上されていません。こども局は、予算要求を行わなかったのでしょうか。
また、国から小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会を早急に立ち上げるように言われているということを聞きました。こちらも令和5年度には、熊本市は県の会議にオブザーバー参加であったと聞いていますが、本来であれば政令指定都市なので主体的に取り組むべきでないかと考えますが、今後はどう取り組んでいくのでしょうか。以上、2点をこども局長にお伺いいたします。
〔木櫛謙治こども局長 登壇〕
◎木櫛謙治 こども局長 小児慢性特定疾病対策についてお答えいたします。
慢性的な疾病を有する児童やその御家族の負担を軽減しながら、児童の将来の自立や成長を支援するためには、地域の社会資源を活用し、児童やその御家族の状況に応じた相談支援を行うことが重要であると考えております。
このことを踏まえ、令和6年度当初予算編成に当たって、児童等の自立に向けた相談支援にかかる経費を要求いたしました。
令和6年度は、熊本県と共同で小児慢性特定疾病児童等地域支援協議会を開催し、県や関係者との連携を図り、児童等とその御家族の現状と課題やニーズの把握、支援策の検討、支援機関に関する情報の収集と共有を進めてまいります。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 こども局長から令和6年度の予算要求をしているとの答弁でしたが、先ほど申し上げたとおり、令和6年度の予算には小児慢性特定疾病等の相談支援事業は計上されていません。
私は、専門の相談員による体制をいち早く実現すべきだと考えていますが、要求しているにもかかわらず、令和6年度に予算化されなかった理由を財政局長にお伺いいたします。
〔原口誠二財政局長 登壇〕
◎原口誠二 財政局長 小児慢性特定疾病対策につきましては、予算編成に当たりまして、現在、各区役所で対応しております相談支援の状況でありますとか、予算要求における委託で実施する場合の必要性等についてヒアリングを行ったところでございます。
その結果、対象者のニーズの把握や既存の相談支援における課題の現状を踏まえた実効性の高い事業手法等について、さらなる検討が必要であるとの考えから、令和6年度当初予算においては、予算計上を見送ったところでございます。
引き続き、相談体制等につきまして、担当部局と協議を進めてまいりたいと存じます。
〔30番 田中敦朗議員 登壇〕
◆田中敦朗 議員 今の答弁で分かったことは、国が必要と認めて推進し、担当課が予算を要求しても、財政局財政課が実効性の高い事業手法と認めなければ予算がつかないということです。つまり、我々議員が熊本市に必要な政策だと考え提案する際には、当然担当課に対して質問は行いますが、担当課がその気になって実効性の高い事業手法を構築し、その必要性を立証し、財政課とひざ詰めで協議し、予算をもぎ取ってもらわねばならないということです。なかなか政策が実現しない理由がよく分かったと思います。
担当局、担当課のやる気スイッチをいかに押し、いかにして予算を獲得してもらうか、これが一番大事です。来年には小児慢性特定疾病の相談支援事業が実現するように、こども局、しっかり頑張ってください。応援しています。
財政局においては、御理解と予算づけ、そして、どういった情報や立証が必要なのかアドバイスしていただければと思っております。
また、協議会においても、オブザーバーではなく共同で開催をしていくということで、私はこの分野に関しては、県と市が協働して力を併せて進めていくことが、とても大事だと思っておりますので、ぜひ市長筆頭に連携してやっていただければと思っております。
以上で、準備した質問は終わりましたが、時間がありますので1点だけ要望させていただきます。
バドミントンのスーパー500が、今年も開催されますが、市の総合体育館、選手の皆さんからトイレに対する不満が多く、改善を要求されているということでございます。11月までに間に合うか分かりませんが、9月補正で改修予算をつけていただきまして、今年のスーパー500開催までに改修を終えていただければと思っております。大変実現が困難な要望をして申し訳ありませんが、この要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○寺本義勝 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開いたします。
午前10時53分 休憩
───────────
午前11時10分 再開
○寺本義勝 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
────────────────────────────
○寺本義勝 議長 一般質問を続行いたします。
上野美恵子議員の発言を許します。上野美恵子議員。
〔47番 上野美恵子議員 登壇 拍手〕
◆上野美恵子 議員 日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。時間がありませんので早速質問に入らせていただきたいと思います。
通告に従ってお尋ねしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、初めに、TSMCの熊本進出と地下水の保全です。
TSMCの熊本進出は、経済面での期待が高まる一方で、この間指摘してきました地下水の枯渇や汚染などの不安が払拭されていません。さらに、知事がTSMCの第3工場誘致に積極的な姿勢を見せる中で、地下水保全の重要性は増しています。
東海大学名誉教授の市川勉氏は、企業による地下水くみ上げはもちろん、工場設置等の開発による涵養域面積の減少がくみ上げ量を上回る地下水損失になると指摘されています。汚染面でも、熊本学園大学教授の中地重晴氏は、使用される化学物質の把握とともに、産業廃棄物の処理処分に至るまでの対応が必要であると警告されています。稼働が迫る中で地下水の涵養、汚染、両面からの対策は急務です。
第1に、TSMC第1工場は、1日8,500立方メートルの地下水をくみ上げるとの公表です。第2工場と誘致される関連企業で予定されるくみ上げ量をお示しください。
あわせて、TSMC第1、第2工場と関連企業の誘致による白川中流域の開発面積と開発による地下水への影響を具体的なデータでお示しください。また、開発による涵養域減少が地下水減少に影響するという認識はお持ちでしょうか。
第2に、現在実施されております、あるいは予定されている涵養対策でくみ上げ量に対する涵養と、開発による地下水涵養量の損失を補うことができるのか、見通しをお示しください。
第3に、TSMCが使用する有機フッ素化合物も含めた化学物質を特定しなければ、適切な汚染対策はできません。使用される化学物質は把握されていますでしょうか。また、流域住民へも公表すべきではないでしょうか。
第4に、TSMC第2工場の排水は、新たな処理施設での対応が予定されています。整備の進捗状況を御説明ください。また、工場から出る産業廃棄物は安全に処理されますか、具体的に御説明ください。
以上、市長にお尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 地下水保全に関するお尋ねにお答えいたします。
まず1点目のTSMC及び関連企業誘致による白川中流域の開発面積及び地下水への影響についてでございますが、JASM第2工場の地下水採取量は公表されておりませんため、不明でございます。
開発面積は第1工場が約21万平方メートル、第2工場が約32万平方メートル、合計で約53万平方メートルでございます。
第2工場の採取量や関連企業の情報につきましては、今後も引き続き県や近隣自治体とも連携し、収集に努めてまいります。
また、涵養域での開発等に伴う地下水減少を防ぐため、白川中流域における湛水期間の延長や面積の拡大に取り組んでいるところでございまして、地下水への影響の有無を把握するため、引き続き市内20か所、33本の井戸で地下水位を観測し、工場稼働前後の状況を注視してまいります。
次に、地下水の涵養対策についてでございますが、白川中流域の開発行為については、熊本県環境影響評価条例によりまして、涵養域の減少に見合う量の涵養を促しております。
また、地下水の涵養の促進に関する指針によりまして、地下水採取に見合う量の涵養を義務づけておりますことから、一定の涵養が進むと考えております。
3点目のTSMCが使用する化学物質の把握と公表についてでございますが、使用される有機フッ素化合物等については、製造に関する情報であり、本市では把握をしておりません。
使用される場合は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等に基づき、適正に使用されるものと考えております。
4点目の新たな排水処理施設における整備の進捗状況と産業廃棄物の安全な処理についてのお尋ねでございますが、第2工場の新たな処理施設は、現時点で未着手でございまして、今後のスケジュールもまだ公表されておりません。工場から排出される産業廃棄物につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、適正処理に向けてその量や排出先を県へ報告することとなっておりますため、安全性が確保されるものと考えております。
引き続き、県や関係市町村と連携いたしまして、地下水の保全に全力で取り組んでまいります。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 答弁されましたように、情報が本当に少ない、そういう中でTSMCの第2工場の開発面積は、第1工場の1.5倍とのことです。これだけでもますます地下水のくみ上げや涵養域の減少に伴う涵養量の減少等の影響が各段に大きくなることが明らかになったと思います。
それに第3工場、さらに関連企業の誘致ですから、地下水対策の相当の強化が必要なことが分かります。県や誘致自治体の動きを外からながめているのでなく、73万市民の命の地下水を守るため、県と協力して地下水涵養量と流出量の将来予測を行い、科学的な根拠を基に地下水対策を進めてください。当事者としての責任ある取組をお願いしておきます。
次に、教員不足の解消と少人数学級ほか、働きやすい教育の環境づくりを伺います。
教員の長時間労働が社会問題となり、本市でも教職員の働き方改革に積極的に取り組まれてきました。しかし、目標としてきた残業時間を減らす取組は、1か月45時間、年間360時間が上限ですが、現状は目標に程遠く、1か月80時間の過労死ラインは超えないという当面の目標にすら届いていません。年休の取得目標は平均日数16日以上の目標をクリアしていますが、実態は目標に届いていない人が1,750人以上も残されています。進まない現状の中、達成の目標年次が2023年度から2025年度に先送りされています。
そういう中で、公立学校教職員の長時間労働解消議論をしてきた中教審の特別部会が5月13日に公表した審議のまとめは、教員の現状を何ら改善するものではなく、現場から零点と酷評されました。
第1に、過去には小学校で1人の教員が1日4コマの授業で済むような基礎定数の配分でしたが、現在は6コマとなり、勤務時間内には授業準備時間が25分しか取れず、長時間残業が避けられません。教員に残業代を払わない給特法もまた、青天井残業の要因で早急にやめるべきです。国に対し、少なすぎる教員定数の増員と速やかな給特法廃止を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
第2に、全日本教職員組合や新日本婦人の会などが共同して、今年1月~3月に行った、学校が持たない!緊急アンケートでは、教員の長時間労働解消のために必要なことの第2位が、少人数学級でした。子供たちへのきめ細かな対応と教員の負担軽減、両面での効果があり、現場の強い要求である少人数学級は、今こそ拡充すべきです。現在、小学校全学年と中学1年生で実施している少人数学級を、速やかに中学校全学年に広げ、さらに35人学級を30人学級へと拡充していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
第3に、毎年度当初から定数に対する未配置が続いています。一番多かった2022年度の34人より減っているものの、昨年度、今年度ともに約20人の不足、しかも、深刻なのは、2年連続で担任未配置があったことです。解決は、一刻の猶予もできません。教員不足解消のため、現場教員はもちろん、再任用募集に当たり、何らかの処遇改善を検討すべきではないでしょうか。
第4に、長期的対策として教育現場で働こうとする人を増やすため、教員志望者への市奨学金返済に当たり、教員志望者への支援として、返済の助成などができないでしょうか。
第5に、学校現場での勤務時間の繰上げ、繰下げは、約4割の学校でしか活用されていません。実際現場では申請しにくく、1校で1人ないし数人の活用にとどまっています。働きやすい条件づくりとして積極的に活用できるよう、学校現場への制度周知の徹底と活用しやすい環境づくりに取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
以上、教育長に伺います。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 教員の多忙化解消など5点についてお答えいたします。
まず、教員定数と給特法についてですが、これまで指定都市市長会等を通して、教職員定数の改善や教職調整額の見直し等を、国に要望してきたところでありますが、先般、中央教育審議会において、教職員定数の改善や教職調整額の10%以上への引上げ等を含む提言がまとめられたところです。
今後とも、国に対して現在の教員の勤務実態に鑑み、教職員定数のさらなる増員のほか、制度の見直しを求めることとしております。
次に、少人数学級の拡充についてです。
少人数学級は、必要な取組と認識をしております。中学校全学年への拡充については、財源確保などが課題となることから、これまでも必要な措置を国に求めており、引き続き要望してまいります。
なお、30人学級へのさらなる拡充については、ただいま述べましたような課題もあることから、現在のところは困難であると考えております。
次に、教員の処遇改善については、従来より国に対して給与の改善を求めているところであり、引き続き要望してまいります。
また、本市では、部活動改革検討委員会からの答申を踏まえた部活動指導に携わる教員の処遇改善について検討をしております。
次に、教員志望の若者への支援についてですが、他自治体においては、奨学金を借りた方に対して、当該自治体で教員となり一定期間勤務することを条件に補助を行っている事例もあることから、調査研究してまいりたいと考えます。
次に、勤務時間の繰上げ、繰下げについては、ワーク・ライフ・バランスの向上を目的としたものにも適用できるよう制度改正を行い、昨年9月に各学校へ通知をしております。
本年度からは、小学1年生~6年生のお子さん養育する者を対象とした子育て支援時間を新設したところであり、多様な働き方があることを周知徹底し、教職員のワーク・ライフ・バランスの向上に努めてまいりたいと考えます。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 教員の処遇改善や教師志望の若者への奨学金の助成など具体的に検討されるとのこと、早急な実現を要望しておきます。
少人数学級の拡充は、本市が全国に先駆けて拡充してきた実績があるので、せめて中学校の35人学級は早急な実施をお願いしておきます。
続いて、暮らし・生業を守る課題の第1、国民健康保険です。
物価高騰が続く中、熊本市は本年度1人平均で5,000円、総額7億3,000万円の国保料値上げを打ちました。しかも、6月からは病院での初診料、入院料、食事代など医療費負担が増えて、今後さらに国保加入者の方が負担が重いと言われます子育て支援金が、公的医療保険に上乗せで徴収されます。自営業者や年金生活者、非正規労働者等が加入する国保の加入者の平均所得は、他の医療保険加入者の半分程度かそれ以下であり、今年度の国保料引上げはその苦境に追い打ちをかけるものです。
抜本的な保険料の引下げ、子供の均等割廃止など、何らかの負担軽減を実施すべきではないでしょうか。
第2に、住宅リフォームの助成です。
先月、地元の建設業者の方々とお話しをしました。物価高騰で新築が減り、リフォームが増えている。地元の仕事が増えることをやってほしいなど、仕事づくりを求める声が多数ありました。住宅リフォームの助成制度は、住環境の改善で暮らしが向上するとともに、地域の中小・零細事業者の仕事づくりに大きく貢献でき、僅かな補助で大きな経済効果が得られます。
本市でも、若者の移住促進支援事業が行われていますが、社会問題化している空き家をリフォームして、若者のUターン、Iターンを支援する空き家リフォーム助成制度などは効果的だと思います。時代のニーズや社会情勢を踏まえた住宅リフォーム助成制度を実施できないでしょうか。
また、本市では、耐震診断の必要な戸建て住宅の耐震診断を行い、改修が必要な住宅への助成を行っています。昨年度末までに耐震診断を行った3,527戸のほとんどが耐震改修の必要な住戸ですが、補助制度を活用して昨年度末までに改修を行ったのは、4分の1程度です。耐震改修をはじめとした政策目的による住宅改修助成をさらに拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上2点、市長に伺います。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず1点目の国民健康保険についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、国民健康保険加入者は他の医療保険加入者に比べ、所得の低い方や医療費が高い方が多いという構造的な課題を抱えておりますことから、財政基盤が不安定であり、抜本的な保険料の引下げや子供に係る均等割を廃止することなどは困難であると考えております。
今後も子供の保険料も含めた加入者の負担軽減につながるような財政支援を国に強く要望をしてまいりたいと考えております。
次に、住宅リフォーム助成に関する2つの御質問について一括してお答えいたします。
本市では、政策目的に沿った公益性の高い住宅リフォームに対する助成制度として、高齢者や障がい者を対象とした住宅バリアフリー化事業や、戸建て木造住宅耐震化事業などを実施しております。
戸建て木造住宅耐震化事業におきましては、令和5年度より時期を分けて2段階で工事を実施する場合も補助対象とするなどの拡充を行ってまいりました。
また、令和2年度より実施しております移住者等を対象とした中古住宅購入補助制度に加えまして、令和6年度から子育て世帯や若者世帯が空き家を取得し、省エネや子育てを目的とした改修工事を行う場合の助成制度も創設する予定でございます。
なお、議員御提案の一般向け住宅リフォーム助成制度につきましては、慎重な検討が必要であると考えておりまして、今後も公益性の高い制度により支援を行ってまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 要望いたしました、そしてまた業者の皆さんの願いでもあった時代のニーズに合った子育て・若者世帯向けの空き家リフォーム助成を創設していただくとのこと、提案した側としても大変うれしく思います。ありがとうございます。さらなる各種制度の拡充を要望しておきます。
次は、庁舎整備です。
500億円もの市民の税金の使われ方が問われる市政の大問題です。この間の市民説明会や市民アンケートには、332人、960件の意見が出され、大きな無駄だとの意見も多々ありました。市民が建て替えに納得していないことが改めて浮き彫りとなりました。市長には、市民の疑問に答える立場で責任ある答弁をお願いいたします。
まずは、市の説明責任と市民合意です。
市長は、説明会後、地元紙で、市としての考え方は一定程度示すことができたとコメントされていました。市政の大事業、市庁舎建て替えで960件の意見に対し、補足・修正は僅か24件、2.5%、記載済みを除く818件の意見は聞きおくだけの対応が、市民参画による進め方と言えるでしょうか。
説明会アンケートの意見で、半数を超える483件に対して、市は説明して理解を求めるという方針です。市民説明会資料には、事業完了の先の先の先まで市民、議会との合意形成に努めると書かれていました。担当課は地元紙に、今後も市民の意見を伺い、様々な場面で説明する機会を設けたいとコメントしていました。今後説明責任を果たし、理解を求める場をどうつくっていかれますか、市長に伺います。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 庁舎建て替え問題に対する説明責任、市民合意についてのお尋ねにお答えいたします。
今回の市民説明会及びアンケートは、新庁舎整備に関する基本構想素案について御説明し、理解を深めていただいた上で御意見を伺うということを目的として実施し、当日は質疑が尽きるまで時間を延長するなど、一つ一つの御意見に丁寧に対応をさせていただいたところです。
このような対話を通じていただいた御意見のうち、基本構想素案に反映をしたもの、今後の検討段階で参考とすべきもの、既に基本構想素案内に記載のあるものが約半数でございまして、その他の御意見につきましても、本市の考え方を丁寧に説明させていただいたことで、市民参画の観点からも一定の成果が得られたと考えております。
今後も状況に応じまして、引き続き私も市民の皆様との対話に努めてまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 市長が設置されました庁舎整備の有識者会議答申でも、市民の合意形成の項目に市民意見の徴収、意見の反映が書かれています。市民の意見を聞かずに反映しないで進める市庁舎整備は、有識者会議も望んでいません。市民も議会も意見が分かれている中で、市長一人が揺るがぬ建て替え方針で進めるのは独断です。いかに市長が選挙で選ばれたといっても、全権委任されたわけではありません。
2022年の市長選挙での市長の得票率は24%、4人に1人以下の支持です。しかも、公約には庁舎建て替え問題を掲げずに有識者会議にげたを預け、選挙では一言も口にされていません。500億円もの市民の血税の使い道に関わる大問題、納税者である市民に建て替えの是非を問うべきです。それこそ73万市民のトップとしての責任ではないでしょうか。市民に建て替えの是非を聞かれませんか、お尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 今、改めてお尋ねがございましたけれども、投票率は全体として低かったのは事実でございますが、市長選のときの得票率については80%を超えるというような状況でございました。
ただ、今、上野議員もおっしゃったとおり、それで全て全権委任されたとも思っておりませんし、これまで数年にわたり丁寧にこうしたいろいろな疑問に答えるべく、この議会でも、そして様々な場でも御説明を申し上げてまいりました。
私自身もさきの市長選挙で一言も触れていないということはございませんで、きちんとこの問題に対する考え方は、報道にも、それからいろいろな市民の皆さんへのお話の中でもしっかり今の現状について考え方をお話してまいったところでございます。
その上で、昨年5月に有識者会議からのきちんとした答申が出されましたので、そのことを持ってしっかり皆さんには建て替える方針で進めるということを表明した上で、私はこれまで説明させてきていただいているところでございます。
そういうこともありまして、これまで繰り返し答弁も申し上げてまいりましたけれども、市民の皆さんの代表であるこの市議会の皆さん方としっかりここは議論をしながら、そして市民の皆さんへの説明を丁寧に行いながら、これからもこの説明責任を果たしながら、この市庁舎問題についての御理解を得られるべくしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 要するに、市民に聞かないということでした。これだけの大事業を住民合意なく進めることは、絶対に認められません。
次に、耐震性能についてお尋ねします。
市民説明会には私にも参加しましたが、多くの市民が市の説明に疑問を呈し、耐震性がないということに納得していません。耐震性で重要なのは、現庁舎地下の周りを厚さ60センチ、深さ19メートルの鉄筋コンクリートが配置された地下連続壁があり、その厚い壁が果たしている役割をきちんと見ることであり、耐震性のあるなしに大きな意味を持ちます。
幅60センチといえば、巨大な柱が地下室部分につながり、それを取り巻いている状態です。熊本の建築構造の第一人者で、熊本建築構造センター理事長を長く務めた三井宜之熊本大学名誉教授は、熊本地震で本庁舎が無傷だったのは、その成果ですと地下連続壁の効果を認めています。これは市民説明会での市庁舎はあれだけの地震に耐え抜いたのに、なぜ建て替えないといけないのかとの疑問への回答でもあります。
しかし、市長は、この間の議会で耐震性能分科会の判断を根拠に、地中連続壁の耐震性を否定する答弁を行ってきました。市民説明会での市の回答はそれを繰り返すものでした。
そこで、改めて地中連続壁の耐震性についてお尋ねいたします。
第1に、耐震性能分科会に対し、疑問を呈した専門家は現庁舎の工事記録集を見ることを求めていました。耐震性能分科会委員は、検証で現庁舎新築工事の工事記録集は見ましたか。
第2に、安井設計による平成29年度調査は竣工図で行われておらず、現存する建物の評価となっていません。熊大名誉教授の三井氏も、プロである安井設計が現存する建物の耐震性能調査を、設計図を基に実施をすることは考えられないと指摘されていました。専門家ならば当然気づくことを、耐震性能分科会はなぜ指摘しなかったのでしょうか。
第3に、本庁舎の地下工事を担当した大林組は、1960年以来、地中連続壁の研究を重ね、70年代後半には他の追随を許さない到達でした。日本建築センター基礎評定委員会からも多数の工事実績があり、調査研究の資料も多いとして、本庁舎地下に建設された連続壁の役割を1、地下室外壁として土圧・水圧を負担する構造体、2、長期荷重による応力を負担する構造体、3、地震・風、その他の振動及び衝撃などによる応力を負担する構造体、4、杭としての支持構造体、以上4つの役割を持つと評定しています。
大林組が積み上げた研究と実績に加え、公の機関もその耐震効果を認め、あの熊本地震も耐え抜いた本庁舎地下連続壁の耐震性をなぜ耐震性能分科会は耐震性なしと評価するのでしょうか。
第4に、山下設計が作成した本庁舎構造計算書では、地下連続壁は耐震性を持つ設計でした。ところが、山下設計は耐震性能分科会で、地中連続壁は60センチの薄い壁がぶら下がっているようなモデルで、地盤の水平変位を受けるとコンクリートのみでつながった部分は壊れ、曲げ変形で壁自体も壊れてしまうと言っていました。自らの設計内容と食い違うことをなぜ言ったのでしょうか。
第5に、説明会では、14年も早く建てられた県庁は、耐震補強して使っているのに、なぜ市役所は耐震補強で駄目なのかとの声がありました。実際、県庁は耐震補強を行い、防災センターを別棟で建てました。熊本市も地中連続壁を正当に評価すれば、本庁舎は一般の行政棟として立派に使用できますし、庁舎全部を一体的に建て替えなくても、防災拠点部分だけを、例えば花畑別館跡地などに別棟で建設すれば、事業費も500億円など必要ありません。そういう検討をなぜしないのですか。
以上、市長にお尋ねします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 まず、本庁舎の耐震性能につきましては、耐震性能分科会で二度の耐震性能調査結果が妥当かどうか検証していただいておりますが、検証に必要な資料は委員の求めに応じて全て御提供し、御確認いただいております。
なお、当時の工事記録集については、耐震性能分科会が求める資料ではなかったため、お示しをしておりません。
次に、耐震性能分科会では、二度の耐震性能調査に対して疑問を呈した専門家からの御意見、及びこれに対する熊本市の考え方についても検証を行っておりまして、議員御指摘の平成29年度に設計図で耐震性能調査を行った点や、地下連続壁が耐震性能を有していない点も含め、検証結果は妥当であるとの判断をいただいております。
最後に、現庁舎につきましては、地下連続壁を正当に評価した上で、現行の建築基準法等が求める耐震性能を有していないということを確認しておりまして、耐震改修を行う場合には、周辺道路を長期間にわたり通行止めにしなければならないなど、実現性が低いと考えております。
このようなことから、現庁舎は建て替えが必要であると考えておりまして、議員御提案の防災センターを別地に整備する方法では、全庁一体となった防災拠点としての機能を十分に果たすことができないと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 1点目の質問で、工事記録集は耐震性能分科会に見せていないと答弁されました。
では、市長は工事記録集を御覧になったのでしょうか、端的にお答え願います。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 拝見しております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 御覧になったというならば、市長の目は節穴ではないでしょうか。
工事記録集は、現庁舎の事実の証明です。耐震性能分科会の報告書では、疑問を呈した専門家の意見に対し、市の考え方と分科会の見解が示されています。それを見ると、疑問を呈した専門家は、工事関係資料を調査し、アースアンカーの詳細を確認すること、地下連続壁と地下外壁との取り合いの詳細を明らかにすることを指摘しています。
それに対し、市はあくまでも竣工図の記載のみを確認しての見解にとどめ、分科会の見解も市の竣工図だけによる考えを追認しています。
ところが、疑問を呈した専門家が検証してほしいとこだわり続けた工事記録集、市長も見たと言いましたが、アースアンカー工法や、地下部分の壁が連壁と歯型によってしっかりとつなぎ合わさるJOF工法によって強力に接合されていること。それも含めて、大林組が耐震壁として利用できる地中連続壁を施工した記録が明確に記されています。
耐震性能分科会がまともに検証しようと考えたならば、市の考えをうのみにするのでなく、疑問を呈した専門家の意見こそ、事実に基づき正確かつ的確に検証すべきだったのです。専門家の意見は退け、市の考えを追認した耐震性能分科会の検証は、到底専門家とは言えないものだったのです。
耐震性能分科会報告書に明記されている工事関係資料の調査をせよという指摘を受け止めずに、専門家ならば絶対に外さないであろう工事記録集を耐震性能分科会が見なかったことは、耐震性能の判断を誤らせる決定的な要因であり、耐震性がないという耐震性能分科会の判断が大元から間違っているということがはっきりとしたと思います。
地中連続壁を工事した大林組は、1960年に地震力を負担する地中壁としての地中連続壁を自主的に開発、その効果や経済性が評価され、現庁舎竣工より7年も前の1974年には243件、70万平方メートルの実績がありました。そのことを大林組技術研究所構造研究室は、1975年にコンクリート工学のテクニカルレポートとして論文を発表しています。しかも、現庁舎のくいの強度は、このテクニカルレポートの発表とほぼ同時期、1973年7月に日本建築センターによる評価が行われています。その評価申請の窓口が、同じく大林組技術研究所の構造研究室でした。そのことがまた工事記録書にある本庁舎地中連続壁が耐震性のあるOWS法で施工されていることの裏づけと言えます。
結果的には、OWS工法による地中連続壁が採用されている現庁舎には,耐震性能があります。それが熊本地震という大地震の下で全く損傷しなかったことでも証明されています。
このような検証だから、耐震性能分科会は非公開で、議事録を公表できないのです。こういう誤った検証と判断だから、市長がどんなに耐震性能分科会の結論だからといっても市民が納得しないんです。
市民説明会などでは、県庁よりも14年も新しい市役所をどうして建て替えなければならないのか、なぜ耐用年数を30年も残して今の庁舎を壊すのかなどの意見が多数出されていました。しかし、今日の質問でも、市長はまともに答弁をされませんでした。今こそ市長は、この疑問に答えるべきです。市長には責任を果たすことを強く求めておきます。
また、市役所建て替えの根拠、耐震性能の不足が破綻していることがはっきりした今、地中連続壁に耐震性能があれば、地下にくいを打ち込む耐震補強も建て替えの必要もないことも指摘しておきます。
もう一点、お尋ねをします。
市長は防災、防災と、巨大な庁舎を建てれば防災が万全かのように言われます。しかし、箱を建てても中身がしっかりしなければ、災害に適切に対応することはできません。市長が73万市民のトップとして責任を持って陣頭指揮を執ることができますか。
私は、市長が度々海外視察に行かれることを指摘してきました。よく調べたら、昨年度議会の開催月6、9、12、2、3の5か月を除く残り7か月のうち5か月、市長は国内、海外合わせて月10日以上出張されていました。先月5月はインドネシアに8日間行かれて、14日もの出張でした。今年度は海外出張だけでも延べ30日です。こんなに出張ばかりで留守にして、どうやって立派な庁舎で陣頭指揮が執れるのでしょうか、御説明をお願いします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 通告にはございませんけれども、今どうやってこういったいろいろな災害対応をするのか、出張が多いということをおっしゃいましたけれども、私も出張してもきちんと職務を遂行できるような状況を常につくっておりまして、また、海外、国内問わず、今、全国市長会の役員、あるいは防災対策の特別委員長という役目も果たしていかねばなりません。当然熊本市のことだけでなく、国内やいろいろなところに出張したり、あるいは災害の起こった場合にはすぐ対応できるように、今回も、私は度々被災地である能登を訪れさせていただいております。
また、インドネシアの会議にしましても、私はずっと世界水フォーラムという大変貴重な場で、最初にも地下水の保全についての御質問ございましたけれども、そういったことについても、しっかりこの熊本の地下水保全の取組をアピールするために、誠心誠意努力してきたところでございます。
そういう中で、私自身これまで熊本地震をはじめ、新型コロナウイルスの対策や様々な危機管理事象については、全力で取り組んできたところでございまして、そうした点をぜひ御理解、御認識いただければと思います。これからも頑張ってまいります。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 どこにいても、国内でも海外でも陣頭指揮は執れるという答弁をされました。それならば、一極集中で大きな庁舎を建てなくても、分散型でもできるんではないんですか。だから、県庁は防災と別に建ててやっているんではないですか。あなたの答弁は、県のやり方を否定することになりますよ。
今年元日、能登半島地震発生のとき、石川県知事は上京中で、陣頭指揮を執れなかったことが後で問題にされていました。一刻を争う大災害を想定して建て替えが必要と言いながら、今のように留守ばかりでは能登半島地震の二の舞になりませんか。市長の行動からは、防災拠点は口先だけで陣頭指揮より何より、とにかく建て替えなければとしか私には見えません。
それでは、続いて建設地についてお尋ねいたします。
1、市民説明会・アンケートで、最も意見が多かったのが建設地の192件でした。候補地選定は市民の関心が高く、市民合意抜きに決めることはできません。十分な期間を取り市民参画の下、説明責任を果たし、市民合意を得て決定すべきではないでしょうか。
2、8月中旬にも候補地が決まるようなスケジュール案が示されています。もっと早くなるとも言われています。しかし、他の自治体が早くても1年、もしくは数年かけて決めている建設地を、本市がこれから二、三か月で決めるというスケジュールには無理があります。
例えば現地建て替えは無理のような説明ですが、市役所近隣の店舗からは移転建て替えは困る、それをいうなら住民投票でもやってほしいとの声もあります。こういう声を無視してスケジュール一辺倒で強行に進めることができるのでしょうか、いいのでしょうか、無理なスケジュールは見直すべきではないでしょうか。
3、市民説明会で熊本城の景観は大丈夫かという不安の声が多数ありました。候補地のうち民間所有の城東エリアと桜町NTT跡地は、いずれも熊本城の景観が心配されます。私はサクラマチに行って、屋上ガーデンから眺めてみました。ビルの谷間となった部分から熊本城が見えますが、もし市役所が建ったならば、確実に見えなくなるのではと思いました。熊本市が450億円を投じ、熊本城と庭続きが売りのサクラマチビルから熊本城の眺めが台無しでいいのでしょうか。民有地への建て替えの場合、熊本のシンボル、熊本城の景観への配慮はどのようにされるのでしょうか。
以上、市長にお尋ねします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 初めに、建設地に関するお尋ねにお答えいたします。
建設地の選定に係るこの市民の皆さんへの説明責任でございますが、市民説明会では、建設地に関する様々な御意見に対して、丁寧に市の考え方を説明させていただいたところでございまして、その内容はアンケートへの回答と合わせて本市のホームページに公開させていただいております。
このように、市民への説明、それから情報提供につきましては、これまでもきめ細かに取り組んできたところでございますが、今後長きにわたり市政の中心となります本庁舎等の建設地につきましては、市民の代表であり、また、私と同じく市民に対する責任を有する市議会との議論を経て決定をしたいと考えております。
次に、スケジュールの見直しについてのお尋ねでございますが、本庁舎等の建て替えにつきましては、これまで約6年間議論を行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による議論の中断もありまして、結果としてタイトなスケジュールになったことは認識をしております。
一方で、防災、交通利便性、事業費、今後のまちづくりなど建設地の選定に必要な要素につきましては、スピード感を持ちつつも丁寧に分析・調査を進めております。
このようなことから、今後いつ起こるか分からない災害への対応はもちろん、有利な財源であります合併推進債の活用期限を踏まえますと、現在お示ししておりますスケジュールで進めてまいりたいと考えております。
最後に、新庁舎が景観に与える影響につきましては、施設計画の具体化に合わせ、検討を進めることとなりますが、いずれの敷地の場合においても、良好な景観形成が図られる計画としてまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 スケジュールでは、6年間議論を行ってきたと答弁をされました。市民にとっては何の説明もないほぼ空白の6年間でした。市民が庁舎の問題の説明を受けたのは、昨年の市長とドンドン語ろう!と、今年4、5月の市民説明会だけです。市民の疑問はぬぐえず、市の考えを押し付ける場が提供されただけでした。そして最後、先ほどはタイトなスケジュールになったと答弁をされましたけれども、その原因は市長の進め方にあったことを認識していただきたいと思います。
また、景観につきましては、どこに建てても良好な景観になると答弁をされました。しかし、そうでしょうか、私にはそうは思えません。桜町NTT跡地は2025年の開業を目指して、(仮称)NTT西日本アセットプランニング新桜町ビル事業計画が以前ありました。2020年の景観審議会で審議され、高さ79.6メートルの14階建てビル、延べ床面積約3万7,500平方メートルの建設が、翌2021年4月に承認されていました。
この計画は立ち消えになっていますが、NTT跡地にビルを建設しようとする場合、敷地の形状もあります。一部細くなっています。3万7,500平方メートルでも14階ですから、建て方によるとはいえ、6万平方メートルの建物であれば、かなりの高さとボリュームになることが考えられます。市長はそのことを知って、良好な景観と答弁をされたのでしょうか、お尋ねします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 市庁舎のことにつきましては、これから具体的な規模等についても建て替えます中で、この景観については、当然いろいろな形でまた条件が出てくる中で、精査されていくと思います。
ただ、景観条例をはじめとした様々な景観を守るルールがこの熊本市にはございますので、そうした景観審議会のいろいろなことへのお考えもこれから具体案が進んでいきますと出てくると思いますが、私といたしましては、しっかりこの景観を守っていく、そしてその価値をしっかり高めていくことが必要であると考えております。
以上です。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 市役所の予定面積、今公表されているのは6万平方メートルです。今の庁舎より大きいです。桜町再開発のホテル、マンション、商業スペース、これを併せた面積より少し狭いくらいです。先ほど紹介したNTT開発の1.5倍もあります。そんな巨大なビルがNTT跡地の場所に建ったらどうなるか、イメージしてください。後から後から検討というのでなくて、決める前にきちんと検証する、それが責任ではないでしょうか。
市民のシンボル、熊本城への思いは、想像以上だと思います。景観審議会にかかった案件はことごとく承認されています。こんな市長のやることを市民は懸念をしているということを忘れないでいただきたいと思います。
それでは、最後に、財政面についてお尋ねいたします。
第1に、市民説明会では、建て替える際は今の費用の何倍にもなるのではとの意見や、最低限の費用であってまだまだ増えるのかとの質問に、市は御指摘のとおりと回答していました。
先日の特別委員会では、確かな事業費は実施設計終了後と答弁をされていました。これでは事業費は青天井ではないでしょうか。これでは困ります。一体幾らまで増えるとお考えでしょうか。事業費も決まらないのに、来年3月までに実施設計を契約するのですか。
第2に、全国で庁舎建設基金を積み立てずに庁舎を建てたところがありますか。
第3に、本市の決算では桜町再開発・熊本城ホール整備事業費が膨らんだ2017年度~2019年度にかけて投資的経費が跳ね上がっています。熊本地震の影響を差し引いても、総額450億円の投資の影響は否定できません。
一方で、税収は増税分を除けば増収とはなっていません。市民説明会では、庁舎整備で他の予算が減られないか、財政は大丈夫かという意見が多数ありました。
市債残高が5,000億円を超え、過去最悪の借金財政の今、市庁舎建設への500億円を超える投資は、各種市民サービスへ影響するのではないでしょうか。市長は市民のこの不安に応えることができますか、お尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 財政についてのお尋ねにお答えいたします。
まず、概算事業費につきましては、現在お示ししております基本構想の段階においては、求められる機能や期待される役割を果たすために必要な規模を確保し、物価高騰等を勘案した上でイニシャルコストとして算出したものでございます。
今後、建設地の形態や周辺環境など本庁舎等の要件の確定状況に応じて見直しを行い、設計の与条件を整理することで一括発注は十分可能であると考えております。
今後も市民の皆様の御意見を伺いながら、議会での議論を踏まえ、よりよい本庁舎等の在り方についてさらに検討を深めていきますとともに、私としては可能な限り本市の財政負担を軽減するため、合併推進債の活用を目指してまいりたいと考えております。
次に、議員お尋ねの庁舎整備基金を活用せずに庁舎建整備を行った事例の有無については、把握をしておりません。
また、次に、市庁舎建設への投資による市民サービスへの影響と市民の皆さんへの不安の対応ということでございますが、議員御指摘のとおり、本市の普通会計の令和4年度末の市債残高は約5,004億円でございますが、全額が後年度交付税措置をされます臨時財政対策債及び熊本地震関連分の市債を除いた、言わば通常分の市債残高は、平成11年度をピークとして減少傾向となっております。
実質公債費比率、将来負担比率などの健全化判断比率の指標におきましては、国が定めた基準を大幅に下回っておりまして、財政状況は健全な水準にあるものと考えております。
また、熊本市本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議からも、今後の財政見通しについては、健全な水準で推移していく見込みであると評価するとの答申をいただいております。
もとより、物価上昇など財政を圧迫するリスクはあり得ますが、税源の涵養、国費等の活用などによりまして、引き続き財政の健全性を維持してまいりたいと考えております。
市役所の本庁舎は、平時には行政事務やまちづくりの拠点でございまして、有事には防災の拠点として市民サービスを提供する中心的な役割を果たす施設でございます。
今後とも財政規律に十分留意をしつつ、新庁舎整備を含めてよりよい市民サービスの提供に努めてまいりたいと考えております。
〔47番 上野美恵子議員 登壇〕
◆上野美恵子 議員 るる御答弁いただきましたけれども、基金を使わずに建てたところは、把握をしていないという答弁がありました。基金も使わずに、全くそのままで建てれば、財政に直接負担が来ます。まさに計画性のないこんな計画、無計画な大型の箱物で、それを市民の負担にするというのは、あまりにも無謀ではないでしょうか。
私は、この点でもこの市庁舎の整備というのが、いかに市長がこの建てるということだけにこだわってやっているかということを疑問に思います。
市長は、新庁舎整備もやってよりよい市民サービスに努めると言われます。しかし、熊本市はどっちを向いてもお金のない話ばかりです。同じ箱物ならば、老朽化した市営住宅の廃止・集約はしないで、住まいは人権の立場で建て替えてください。古い団地に住む住民は、いつ出ていかなければならないかとおびえて暮らしておられます。
国民健康保険は、この物価高の中で一般会計、市長の下で毎年減らされて、そして今年は7.3億円も値上げされています。これこそ引き下げてください。県下で子供の医療費自己負担があるのは、宇城市と熊本市だけではないですか。これこそ完全無料、すぐにお金があるならやってください。財政が大丈夫ならば、こうしたことこそ真っ先に応えるべきではないでしょうか。
同じ政令市の北九州市役所は、1972年竣工で築52年です。でも、市長さんは建て替えずに大切に使うと言っておられるそうです。市民の財産である歴史と文化の詰まった現庁舎を大事にしなければならないと思います。私もそうだと思います。
奈良女子大の中山徹教授は、建築とまちづくりの雑誌で、ヨーロッパの旧市街は伝統的な建物が保存され、新たに開発された地区でも、建物の高さをそろえるなど景観に厳しい規制がかけられている。しかし、日本では床面積の供給を優先させるため、建物の高さ規制、景観形成が緩く、21世紀になっても開発を促すために積極的に規制緩和を進めている。人口が減る時代に規制緩和を進める必要はない。人口が減る時代にタワーマンションを建て続けるのは異常である。むしろ21世紀に形成された乱暴な景観こそ修正すべきであると、21世紀のまちづくりについて提言をされていました。ヨーロッパのまちづくりには、こんなことを学んでほしいと思いました。市長、いかがでしょうか。
本日、準備いたしました質問はこれで終わります。私は、引き続きこの熊本市が本当に住民にとって皆さんの願いがかなっていくような、そんな熊本市政になっていくようにと頑張っていきたいと思います。そのことの決意を申し添えまして、質問を終わりたいと思います。
お忙しい中傍聴においでいただいた皆様、そしてインターネットで御視聴の皆様、本当に長時間の御清聴ありがとうございました。これで質問を終わります。(拍手)
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○寺本義勝 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午後 0時09分 休憩
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午後 1時59分 再開
○寺本義勝 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○寺本義勝 議長 一般質問を続行いたします。
山中惣一郎議員の発言を許します。山中惣一郎議員。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇 拍手〕
◆山中惣一郎 議員 皆さん、こんにちは。山中惣一郎でございます。本日は昨年に続き、2回目の一般質問の機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。
また、お忙しい中にもかかわらず、傍聴にお越しいただいた皆様、そしてインターネット中継で御覧いただいている皆様、心から御礼を申し上げます。
私はこの熊本市を次世代へつなげること、市政に関心を持ってもらい、市民と一緒に考え進めていくことを目指して日々活動しております。本日の質問を通じて、皆様とともに熊本市の未来を考える一助となれば幸いです。
それでは、質問させていただきます。
まず初めに、本市の地域防災体制についてお聞きします。
熊本地震から8年がたちました。この間、私たちは自助、公助、共助という防災の基本原則を学び、それを実践することの重要性を再認識しました。今年は能登半島地震が発生し、改めて公助や共助の取組がどれほど大切かを痛感させられました。
公助とは、行政が住民を助ける支援や救助活動を指しますが、その限界もあります。だからこそ自助、すなわち個々の備えと共助、つまり地域での助け合いが重要とされています。
私も熊本市地震の際に地域コミュニティの担い手として、避難所運営などに携わり、共助の重要性を身をもって感じました。
昨今、高齢化や人口減少により、この地域コミュニティの担い手が少なくなっている現状があります。住民による共助の仕組みが維持困難になっているとの認識は多くの自治体で共通しており、高齢化や過疎化などの進行により、共助や地域の防災活動の担い手となる自治会や自主防災組織の活動が低下している。山間部などを中心に高齢化が進み、都市部においてはコミュニティが希薄化していると指摘されています。
地域コミュニティの担い手不足は、特定の人物が地域の役職を兼務するという状態を生んでいます。私自身も現在、消防団と自治会の役職を兼任している状況で、災害時にそれぞれの地域組織が効果的に機能するのか心配に思うことがあります。
地域住民の安心な生活に欠かすことのできない共助がより効果的に機能すること、また、その仕組みが今後も維持されていくことを強く望みます。
そこで、2点お尋ねします。
まず、地域組織の中で、災害時に活動する自治会、避難所運営委員会、校区防災連絡会、自主防災クラブ、消防団などの各団体間の統率と連携について市の現状をお聞かせください。
また、これらの団体がどのように協力し、効果的な対応を実現しているかについて具体的な状況をお聞かせください。
さらに、消防団の現状についてお尋ねします。
市内には分団が未結成の校区がありますが、その地域では災害時に1つの分団が2つの校区域をカバーする必要があります。人手不足やコミュニティの不足により十分に機能しづらい現状があります。この現状について、本市の見解と対策をお聞かせください。1点目を政策局長、2点目を消防局長に御答弁をお願いします。
〔三島健一政策局長 登壇〕
◎三島健一 政策局長 地域の防災組織として、校区防災連絡会は校区自治協議会などの地域団体で構成されており、校区内の防災活動の取りまとめや調整を行っております。その傘下である避難所運営委員会は避難所の開設・運営、自主防災クラブは地域住民の避難誘導や救護、また、消防団は災害現場での消火をはじめ、救助・救出、警戒巡視などの役割を担っております。
大規模災害時には公助の支援には限界があることから、自助はもとより、これらの地域組織が連携して防災活動を行うことが、地域住民の生命・身体を守る上で極めて重要であると認識しております。
そのようなことから、校区防災連絡会を中心に災害時に各組織が円滑に活動できるように、毎年地域で実施している訓練や震災対処訓練において避難誘導の役割、避難所開設・運営の手順などを確認いただいているところでありまして、今後も地域防災力向上のための取組を推進してまいります。
〔平井司朗消防局長 登壇〕
◎平井司朗 消防局長 私からは、消防団未結成分団の校区の対応に関する御質問にお答えいたします。
本市の消防団につきましては、小学校区を基本に組織されておりますが、現在10校区におきまして分団が未結成となっております。
分団が未結成の校区につきましては、隣接する校区の分団が管轄区域として災害活動を実施しておりますが、1つの分団が複数の校区を管轄するため、団員への負担や議員御指摘のとおり、人手不足等が懸念されるところでございます。
本市といたしましては、分団が未結成の校区の解消に向けて管轄する分団の分団長等から意向を聴取し、必要に応じて新規設置に向けた説明を実施しているところでございます。
分団の設置に当たりましては、原則として小学校区ごとに一定数の団員の確保や施設等の整備を必要としておりますが、小学校区の統合や分離があった校区におきましては、地域の実情やニーズに合った分団の編成も推進しているところでございます。
今後も引き続き分団が未結成の校区の解消に取り組むとともに、地域防災の中核を担う消防団の確保に向けて入団促進や消防団員が活動しやすい環境の整備に努めてまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
本市が各組織の活動を支援し、訓練や役割確認を通じて地域防災力を向上させていることは心強く思います。
消防団については、未結成の校区の解消に向けた取組を進めているとのことで、引き続きよろしくお願いいたします。
消防団は、地域防災の要として住民との信頼関係を築きながら活動しています。地域活動や避難訓練の充実が求められます。校区に1つの消防団が存在することで、より円滑なコミュニケーションが取れ、地域防災力の向上に寄与できると考えます。
地域防災力の向上は、住民の安心感や生活の質の向上にもつながります。地域防災力の強化策としては、本市東区秋津まちづくりセンターが避難所開設・運営マニュアルを映像化し、DVDにまとめられています。再現ドラマや訓練の映像を熊本弁で紹介することで、地域住民にとって理解しやすい内容となっており、ほかの地域にも広がることを期待しております。
続いての質問です。
本市のアーバンスポーツへの取組についてお尋ねします。
アーバンスポーツとは、都市環境を舞台に行われるスポーツの総称です。これらのスポーツは自然環境ではなく、都市の構造物やインフラを積極的に活用することが特徴です。都市の風景を舞台に繰り広げられるこれらのスポーツは、自由なスタイルと自己表現の機会を提供し、特に若者の間で人気が高まっています。
東京2020オリンピック競技大会をきっかけに、都市部だけでなく地方都市でもアーバンスポーツのインフラ整備やイベント開催が進み、地域活性化の一助となっています。
アーバンスポーツには幾つかの代表的な種目があります。まず、スケートボードはその代表格です。このほか小型自転車を使ってジャンプやトリック、レースを行うBMX、都市の建物や壁、障害物を駆け抜けるパルクール、人工的な壁を登るスポーツクライミングなどのスポーツがあります。
アーバンスポーツの魅力は、その自由なスタイルと自己表現の機会にあります。順位を争うことよりも自分自身の楽しみや創造性、仲間との交流を重視する文化が根づいています。また、観客も一体となって楽しむことができるため、コミュニティ形成にも大きな役割を果たします。これらのスポーツは都市環境を活用することで日常の風景がスポーツの舞台となり、新しい視点と刺激を提供します。都市生活に新しい風を吹き込み、多くの人々に楽しみと健康をもたらすアーバンスポーツは、今後ますます注目されるスポーツ分野です。
他都市の事例として、さいたま市と富山市が挙げられます。さいたま市では大規模なアーバンスポーツイベントが開催されており、国内外から多くの観光客を生み出すことで、地域経済を活性化させています。
一方、富山市のMix Urban Skate Parkでは、地元出身のプロスケートボーダーと連携し、イベントを開催することで地域のにぎわいを創出しています。これにより若者のスポーツ参加を促進し、地域経済の活性化に寄与しています。
富山市の事例では、地域住民が積極的にスポーツに参加することによってコミュニティの結束力が強まり、健康的なライフスタイルが推奨されています。
さらに、本市にはスラックラインやトリッキングなどの優れたアーバンスポーツの指導者が多数おり、その方々と連携し、普及活動をさらに広げていただきたいと考えております。地域の指導者と連携した普及イベントや体験教室の開催が重要です。
そこで、経済観光局長にお尋ねします。
本市として、アーバンスポーツのイベント開催や普及に向けた施策、取組についてお聞かせください。
〔村上和美経済観光局長 登壇〕
◎村上和美 経済観光局長 アーバンスポーツを普及させるための取組についてお答えいたします。
スケートボードをはじめとするアーバンスポーツは、東京オリンピックを契機に人気が高まってきており、菊陽町ではアーバンスポーツ施設の整備が予定されるなど、競技人口の増加が期待されております。
本市におきましては、令和5年2月に熊本駅前アミュひろばにおいて、アーバンスポーツチャレンジパークを開催し、スケートボードやパルクールなどの体験教室に505名と多くの皆様方に御参加いただいたところです。
また、昨年度から市民総参加型のスポーツイベントとして例年開催しております、熊本市民スポーツフェスタの種目として新たに取り入れております。
アーバンスポーツには様々な競技があることから、引き続き熊本市民スポーツフェスタ等を通じて、子供たちをはじめ、多くの市民の皆様が楽しみながら競技に触れ合い、その魅力を知っていただく機会を設けることでアーバンスポーツの普及に取り組んでまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
今年はパリオリンピックが開催されます。既にオリンピックで実施されている3×3バスケットボールやBMXフリースタイル、スケートボードに加え、パリ大会では初めてブレイキンが採用され、アーバンスポーツの熱はさらに高まることが予想されます。
さらなる普及に向けた取組として、例えば大阪府豊中市では、アーバンスポーツ推進事業助成金という制度を設け、市民がアーバンスポーツに親しむ機会を提供しています。本市でも、同様の助成金制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、地域の指導者と連携した普及イベントや体験教室を開催し、幼少期からアーバンスポーツに触れる機会を増やすことも重要だと思います。そしていつか本市からオリンピックで活躍する選手が誕生することを期待しております。
次の質問に移ります。
近年、公共の広場や公共空間の重要性が改めて見直されています。ストレスの多い現代社会の中で、市民は自宅や学校、職場でもない第3の場所を心の中で求めてきているように思います。広場や公園は、生活の潤滑油になるような第3の場所になり得る存在だと私は考えています。
私の思う理想の広場は、偶然に出会った人同士が自然とコミュニケーションを生む場というものです。日常の中で同じリズムで動いている人たちが顔を合わせ、名前や所属を知らなくても交流が生まれ、そうした何気ない関係性が現代の社会で不足している、何となく気にかけあうコミュニケーションを補完する重要な役割を果たせるのではないかと考えています。
広場には、具体的な機能がないからこそ運営や関係性のつくり方が重要です。定期的なイベントを開催することで、地域の一部として人々が集まる場を提供できます。毎月第3土曜日にあそこに行けば誰かいるというように、日常に組み込まれた集まりは、人々にとって大きな助けとなります。大切なのは、ただ時間を共有することです。
多様性のある広場を作るためには、広場のサイズや開かれた状態が必要です。広場をオープンに保つことで、多様な人々が集まりやすくなります。イベントのメンバーが固定化しないように工夫したり、テーブルや椅子の配置を変えたり、どなたでもどうぞというメッセージを掲げたりすることで、広場の雰囲気を大きく変えることができます。広場を作り運営し、イベントを開催する人々は常に周囲から見られています。その姿勢や行動が地域の人々に信頼されることが重要です。
広場は社会の縮図であり、多様性を感じられる場であるべきです。だからこそ広場などのパブリックスペースの活用について、その意義を強く持ち、積極的に取り組む必要があります。地域住民や働く人々が足を運びたくなるようなプログラムを提供することも、広場の運営者の役割です。広場に関わる人々は、自分たちの行動を通じてその意義を地域に伝えることが求められます。
全国の他の自治体でも、公共の広場を活用した例が多く見られます。例えば富山市のグランドプラザは、再開発事業により整備された広場で、世代や価値観の異なる人々が自然に出会い、つながりを育む場合となっており、富山LRT路面電車セントラムの電停グランドプラザ前駅とも連携しています。
また、神戸市の三宮クロススクエアは、三宮駅周辺に新しい駅前空間を創出し、人と公共交通優先の空間を作り出すことで、日常的にぎわいを生み出し、駅とまちをつなぐことを目指しています。
令和5年度に本市が実施した広場ニスト育成スクールは、多様な人々に開かれた心地よい広場を創出し、地域社会に居場所と新しい出会いを提供することを目的としたプログラムです。受講生は4日間の座学と対話を通じて、広場活用の基礎となる考え方や具体化手法を学び、5人1組のグループで2回のトライアルイベントを企画、運営することで実践的な経験を積みました。各グループは、アドバイザーの助言や一部金銭的支援を受けながら安心してイベントを実施でき、受講生同士の信頼関係も築かれました。さらに受講生は、マイプランとして新しい価値を創出する計画を立案し、最終講座でプレゼンテーションを行いました。
スクール終了後には、くまもと広場ニストとして正式に認定され、今後本市が広場の利活用を促進する際に優先的に情報提供や協働の機会が与えられます。このスクールを通じて受講生は広場活用のスキルを身につけ、開かれた活気ある公共空間をつくり出し、熊本市民としての誇りの醸成、ひいては地域社会の発展に寄与する力を養うことを目指しています。広場ニストの今後の展開については、期待も込めて注目しているところです。
そこで、都市建設局長にお尋ねします。
昨年度の広場ニスト育成スクールの実施結果を振り返り、その成果や課題についてお聞かせください。
また、令和6年度における広場ニスト育成スクールの目標や具体的な活動計画についてもお聞かせください。今年度はどのような新しい取組や改善を予定しているのか、さらに他地域への展開、例えば本市の東区、西区、南区、北区での展開予定についてもお聞かせください。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 御質問に順次お答えいたします。
くもまと広場ニスト育成スクールは、広場等の公共空間に新しい価値を生み出すイベント等を企画・運営する人材を育成することを目的といたしまして、令和5年度から実施しております。育成スクールを終了した1期生9名の方について、先般広場ニストとして認定したところでございます。
その成果といたしまして、今年のゴールデンウイークには、早速広場ニスト認定者による子供向けスポーツイベントが花畑広場において実施され、多くの皆様に御参加いただいたところでございます。
一方、育成スクールの受講者からは、カリキュラム上の課題としてトライアルイベントまでの準備期間が短く、負担が大きかったとの声もいただいております。
次に、令和6年度の目標等につきまして、今年度は8月をめどに受講生を募集し、昨年度に引き続き講座やグループワーク、トライアルイベントの実施を予定しており、課題の改善を図りつつ継続的な人材育成に取り組むこととしております。
また、新たな取組といたしましては、受講生と広場ニスト認定者との交流の場を設けまして、実体験に即した学びの共有ですとか、幅広い分野の組み合わせによる新たな発想を生み出す機会としたいと考えております。
最後に、他地域への展開につきまして、広場ニストには中心市街地のみならず、様々な地域での活躍を期待しているところでございまして、既に中央区の託麻原校区において地域の防災イベント企画などの依頼が寄せられているところでございます。
今後もくまもと広場ニスト育成スクールを実施し、広場等の公共空間利活用の裾野を広げ、にぎわい創出と魅力の向上に取り組んでまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございました。
広場ニスト育成スクールの成果と課題について詳しくお話いただき、また、令和6年度の目標や活動計画、他地域への展開についてもお聞きすることができました。
広場ニスト育成スクールについては、応募者が多くて抽選になったと聞いておりますが、参加者の話によると、広場の利活用に対する温度差があったとのことです。抽選に外れた方々の中には意欲的な方もいらっしゃったかもしれませんので、より適切な人材を選ぶために、選考の際には面接などを取り入れることを御検討いただければと思います。
また、広場等の公共空間の利活用の裾野を広げるとのことでしたので、今後は中心部以外のスペースやほこみちを利用した歩道空間の活用などにも期待したいと思います。
次の質問に移ります。
全国的に、公営団地の老朽化が深刻な社会問題となっています。高度経済成長期以降、都市部への急激な人口集中に対応するため、日本全国で多くの住宅団地が開発されました。
国土交通省住宅局の持続可能なまちづくりに向けた住宅団地再生の手引きによると、2022年時点において全国で2,903の住宅団地があり、その多くが築40年以上を経過しています。これに伴い、急激な人口減少や高齢化の進行、住宅施設の老朽化など様々な課題が顕在化しています。
まず1つ目に、物理的老朽化として、建物自体の劣化や耐震基準改正前の建物における耐震性の不足が挙げられます。この問題は、住宅団地の安全性や住環境に直接的な影響を与えています。特に築40年以上の団地では、外壁のひび割れ、屋根や配管の老朽化、水回りのトラブルなどが頻発しています。これに加え、現在の耐震基準を満たしていない団地では、耐震補強が急務となっています。
次に、2つ目として、社会的老朽化の問題があります。
これは時代のニーズに合わない間取りや設備によるもので、特にエレベーターのない高層階の住宅では居住者の利便性が大きく損なわれています。また、現代のスタンダードであるLDK構成への対応不足により、若い世代や子育て世代の新規入居が難しくなり、結果的に団地の空室率が増加しています。
さらに、3つ目として、入居者の高齢化の進行の問題が挙げられます。入居者の平均年齢が上昇する中で、介護や医療のニーズが増加しており、高齢者が多いことでコミュニティの維持が困難になっています。高齢化の進行に伴い、地域の自治力が低下し、住民間の交流や支え合いが減少しています。これらの課題に対応しない場合、さきに挙げた3つの課題に加え、連鎖的にほかの問題が生じるリスクがあります。このままでは、まちとしての持続可能性が危ぶまれる状況です。
住宅団地は良好な住環境や良質な道路などの都市基盤、長い年月をかけて育まれた自然環境を有しているため、地方公共団体がこれを良質な社会試算として再生を支援していくことが求められています。特に再生支援を行う際には、公営住宅地のみならず、周辺住宅一帯への配慮をし、包括的なアプローチをしていくことが必要です。
全国的にはこうした課題に対処するために、民間企業との協力による団地再生プロジェクトが進められています。これらのプロジェクトでは、地域コミュニティの形成を重視し、若者や子育て世代の入居を促進しています。こうした事例を踏まえ、本市においても同様の取組を進めることが求められていると考えます。
そこで、都市建設局長にお尋ねします。
現在の市営団地の入居率と入居者の年代別の構成割合を教えてください。
また、本市でも、民間企業との協力による団地再生プロジェクトのような老朽化した市営団地の再生に合わせた若者世代の誘導などの取組を進めていく予定はあるのか、お聞かせください。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 まず、入居率と入居者の年代別の構成割合につきましては、2024年5月現在の市営住宅の入居率は約84%であり、入居者の年代別の構成割合は80代が約13%、70代が約24%、60代が約16%となっており、60代以上の方が約半数を占めている状態でございます。
次に、市営住宅の再生に合わせた若者世代の誘導に関する御質問についてお答えいたします。
市営住宅につきましては、現在改定中の市営住宅長寿命化計画におきまして、将来の人口減少を見据えた適正な管理戸数を定めることとしており、今後、各団地の耐用年限等を踏まえた集約建て替え等により、段階的に管理戸数の適正化を進めていく予定でございます。
その実現に向けましては、団地ごとに実情が異なることから、入居者にヒアリング等行いながら、個別の実施計画を策定し、事業を行ってまいる予定でございます。
現在実施中の高平・大窪団地集約建替事業では、官民連携手法の一つであるPFIを活用しておりまして、建て替え後に必要となる戸数を調査した上で敷地の有効利用の観点から建物の高層化を図っております。
これにより生まれた余剰地の活用に当たりましては、団地入居者の高齢化が進んでいる現状を考慮いたしまして、住宅分譲地とすることで若者世代の居住誘導を図り、地域コミュニティの活性化につなげたいと考えております。
今後も市営住宅の建て替え等を進める中で、地域のニーズや立地状況を踏まえ、民間のノウハウも活用しながら、多様な世代が暮らしやすいまちづくりに取り組んでまいります。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁いただきありがとうございます。
本市の市営住宅長寿命化計画に基づく取組や、現在進行中の高平・大窪団地集約建替事業におけるPFIの活用など、官民連携の取組について詳細な御説明をいただき感謝いたします。特に、余剰地の活用による若者世代の居住誘導や地域コミュニティの活性化の重要性について理解が深まりました。
福岡県宗像市の日の里団地の事例を紹介させていただきます。
日の里団地は、住民の高齢化や建物の老朽化に伴う空室問題を解決するため、官民連携で再生が進められました。2010年に行政と地域が立ち上がり、2017年から企業が参画、2020年に具体的な取組が開始されました。
この団地では、団地を地域の活性化拠点とすることを目指し、1階に交流拠点を整備しました。地元農業と連携したブリュワリー、保育園、多世代コミュニティの場などを設け、住民が自らリノベーションを行うDIY拠点も導入しました。さらに、2階以上には地域企業の事務所やコワーキングスペースを設け、地域と企業の連携を強化しました。
この取組により、日の里団地は地域の価値を向上させ、地価の上昇にもつながりました。官民連携と住民のニーズを反映した再生計画が成功の要因です。
本市でも、このような成功事例を参考にしながら、地域コミュニティの活性化、若者世代の誘導、住環境の改善を包括的に進めていくことが重要だと考えます。市民が安心して暮らせる環境を提供し、持続可能なまちづくりを実現するために引き続き取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、余裕教室の現状と利用状況についてお尋ねします。
所管委員会に関連するものになりますが、御了承いただきたいと思います。
少子化と児童・生徒数の減少に伴い、全国の公立小中学校では、今後5年間以内に普通教室として使用される見込みのない教室、いわゆる余裕教室が増加しています。これらの余裕教室をどのように活用するかが課題となっています。
現在、本市では、余裕教室を特別支援教育の場など学校教育活動に活用されていますが、他都市ではそれ以外の様々な用途での活用が進んでいます。地域コミュニティの活動拠点として地域の文化活動やスポーツ活動の場として余裕教室を提供することで、地域の連帯感の強化、住民の交流促進を図るという例があります。
また、高齢者の交流スペースとして、高齢者向けのサークル活動や健康増進プログラムを行う場所として余裕教室を活用することで、高齢者の健康維持と社会的な孤立の防止を図るという例もあります。これらの取組は、地域社会全体の活性化に寄与するものであり、本市でも積極的に取り入れるべき取組だと考えます。
そこで、教育長にお尋ねします。
本市における小中学校の余裕教室の数と現在の活用状況についてお聞かせください。
また、学校教育活動以外に活用する計画があればお聞かせください。
〔遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 余裕教室の現状と活用についてお答えいたします。
熊本市立の小中学校における余裕教室の数は、令和3年度の文部科学省の調査では、小学校391教室、中学校188教室の計579教室であり、主に少人数指導教室や通級指導教室、カウンセリングルームなど学校教育活動に活用しております。
学校教育活動以外では、児童育成クラブや児童・生徒と地域との交流を図る場として活用している学校もあるところです。
現在のところ、教育委員会としては学校教育活動以外の活用計画は持っておりませんが、議員御案内のとおり、地域コミュニティの活動拠点や高齢者の交流スペースへの活用等、需要がある場合には、学校教育に支障がない範囲で活用できるよう関係部署と連携してまいりたいと考えます。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
今後は、都市部でも少子化の影響で生徒数が減少し、余裕教室の増加が予想されます。余裕教室を地域コミュニティの活動拠点や、子育て世代の交流スペースとして活用する具体的な計画を立てることが重要であると考えます。教育委員会と関係部署が連携し、余裕教室の有効活用について積極的に取り組んでいただけるようお願いします。
次の質問に移ります。
熊本市電は、令和6年8月1日に開業100周年を迎えます。この節目を記念して、昨年から様々なイベントが企画されています。開業100周年の1年前イベントとして、熊本市電の鉄道むすめ、辛島みくのオリジナルグッズの販売や熊本市電フォトコンテストが開催されました。今年度は、10種類の候補車両の中から人気ナンバー1車両を決定する推し電総選挙や「100年後の市電」こども絵画コンクールなど、未来を担う子供たちを対象とした企画も行われています。運賃100円の日や無料の日には多くの方々に御利用いただいており、熊本市電は市民の生活に欠かせない公共交通手段として親しまれています。
しかし、熊本市電では運行トラブルが相次ぎ、重大なインシデントが続いています。今年に入って5度目のトラブルが発生し、市民の皆様に不安を抱かせる結果となっています。熊本市交通局におけるインシデント等に関する検証委員会も設置されましたが、運行トラブルが続くことで市電延伸計画に対する不安も高まっています。
市電延伸計画は、健軍町電停から市民病院までの約1.5キロを延伸するもので、地域公共交通の充実を図るための重要なプロジェクトです。概算事業費は135億円で、令和11年度に一部区間で運行を始め、令和13年度に全線開通を目指しています。しかし、地元に住む私の下には、地域住民や近隣商店街の方から市の説明不足という声が多く聞こえ、計画に対する市民の理解が十分に進んでいない印象を受けています。
昨年10月~11月に行われたアンケートでは、57%の市民が市電延伸を必要と回答していますが、一方で、25%が必要ないと回答しています。特に延伸しても利用者は少ないと思うという意見が多く、地域住民は市電が通ることで逆に渋滞が発生するのではないかと懸念しています。商店街関係者は、健軍電停が終点でなくなることで、お客さんが来なくなると不安を抱いています。市電延伸後の利用見込みが1日当たり約2,300人、年間約84万人とされていますが、この予測についても市民から疑問の声が上がっています。
延伸計画には、国からの補助金も含まれており、本市は国土交通省の都市・地域交通戦略推進事業として2億3,500万円の補助を受ける予定です。この補助金は用地測量などに充てられる計画です。国の補助は、今年度から5年間で市が延伸の概算事業費として見積もっている約135億円のうち、交付金などを充てることで市の負担は53億円になると想定しています。しかし、この具体的な使用計画も市民には十分に伝わっていません。
市電延伸を計画する上で、市民の理解と協力は欠かせません。市電延伸計画に対する市民の声を真摯に受け止め、透明性のある説明を行いながら、令和13年度の全線開通まで市民と行政が一丸となって計画を進めていく必要があります。
そこで、都市建設局長にお尋ねします。
今後、市民の理解や合意を得るための説明会など周知の進め方についてお聞かせください。
〔秋山義典都市建設局長 登壇〕
◎秋山義典 都市建設局長 健軍地区における市電延伸の検討につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一時的に議会での議論を中断しておりましたものの、令和5年第2回定例会から再開し、現在基本設計を進めているところでございます。
このような中、事業を推進する上で市民の皆様の御理解、御協力は欠かせないという認識から、市民懇話会やオープンハウス、アンケート調査など様々な手法で御意見をいただきながら、検討を進めてきたところでございます。
しかしながら、地元地域の皆様への説明をより丁寧に行うべきという声を真摯に受け止めまして、今後は事業の進捗に合わせたきめ細かな説明を行うとともに、地域の皆様との意見交換にも取り組んでまいりたいと考えております。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございます。
市電延伸計画は、本市の今後の発展に大きなチャンスをもたらす重要なプロジェクトであると認識しています。大きな予算を使う以上、市民の皆様の理解と合意を得るために十分な議論が必要です。
この計画はやるか、やらないかの二択ではありません。地域住民や想定される利用者など、様々な方々との意見交換の場を設けることが不可欠です。成功に向けて説明不足による誤解や摩擦を避けるためにも、行政と市民が同じビジョンを共有し、一丸となって進めていくことが求められます。
今後、地域への丁寧な説明と意見交換の場を積極的に設け、市民の声を真摯に受け止めながら、令和13年度の全線開通を目指していただきたいと思います。
最後の質問に移ります。
ただいま御答弁いただきました市電の延伸計画が進行中の健軍・東町地域周辺には、先ほど触れました老朽化した市営団地や余裕教室が増加している小学校が存在します。私はこの地域の今後のまちづくりに大きな可能性を感じています。
例えばこれらの老朽化した公的施設を活用し、広場やコミュニティスペースを整備することで、地域住民が集まりやすい場を作り出すことができます。このような場では、マルシェやアーバンスポーツなどのイベントを開催し、新たな地域交流を創出することが期待できます。
また、この地域には東区役所、東警察署、市民病院、中学校や高等学校、自然豊かな江津湖や動植物園があり、子育てにも適した環境が整っています。さらに、熊本空港や益城熊本空港インターチェンジからのアクセスも良好で、交通の要所として非常に重要なエリアです。健軍・東町エリアは、本市の東の玄関口として重要な役割を果たすことができる地域だと考えます。
市電が市民病院まで延伸されれば、交通結節点としての機能が強化され、地域全体の利便性が大幅に向上します。また、シェアサイクルやパークアンドライドの活用を促進することで、地域の利便性をさらに高めることが期待されます。
数年前には、健軍地域から再生の要望が上がっていたと聞いております。TSMCの進出や市電の延伸計画など当時と状況が変わっていますが、大きな可能性を秘めたこの建軍・東町地域には、多くの分野にまたがる総合的な再生計画が必要ではないかと考えます。大きな予算をかけずに既存の資源を生かしながら、地域住民と一体となって30年、50年先の東区健軍・東町地域を作り上げていくことが重要だと考えます。
そこで、大西市長にお尋ねします。
市電の延伸を機に、東区健軍・東町地域の地域再生プロジェクトを計画されてはいかがでしょうか。既存資源を生かし、地域住民と協力して持続可能な健軍・東町地域を作り上げることについて、大西市長のお考えをお聞かせください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員お尋ねの健軍・東町地域は、交通結節拠点である健軍町電停を中心に、商業、医療などの都市機能や水前寺江津湖公園、動植物園等が立地をした都市の利便性と自然が調和する地域であり、その中心であります健軍地区は、本市が目指す多核連携都市における15の地域拠点の一つに位置づけられております。
健軍地区においては、地域が有する資源や特性を生かしつつ、都市機能の維持・確保を図りますため、令和3年度から商店街をはじめ、地域の皆様と意見交換会を行い、地域課題の共有を図ってまいりました。
また、次世代の担い手育成を目的として、小学校の授業において地域の将来について考え、まち歩きを通して地域の課題や魅力を発見する出前講座にも取り組んでいるところでございます。
今後も地域の皆様と意見交換を重ねながら、市電の延伸計画も踏まえ、官民が一体となって健軍地区の将来像を描いてまいりたいと考えております。
〔6番 山中惣一郎議員 登壇〕
◆山中惣一郎 議員 御答弁ありがとうございました。
まちづくりには大きく長期的なビジョンが必要です。市民病院への新たな交通手段としての市電の延伸はもちろん重要ですが、それをきっかけとした地域の再整備が不可欠だと考えます。
例えば松本市の三の丸エリアプラットフォームでは、松本城三の丸エリアビジョンを実現するための組織があり、誰かに語りたくなる暮らしを目指し、地元・民間主体で様々なプロジェクトをサポートしています。
また、長野市の信州地域デザインセンターUDC信州は、都市のスポンジ化や人口減少に対応するために設立され、公・民・学の連携によりまちづくりを支援し、まちづくり人材の育成や情報発信を行うことで、地域の課題解決と魅力的なまちづくりを推進しています。
これらの事例のように、健軍・東町地域でも公・民・学が連携し、地域住民と一体となった再整備によって魅力的なまちづくりが推進されるのではないでしょうか。既存の資源を生かしながら持続可能なまちづくりを目指していくために、ぜひとも御検討をよろしくお願いします。
これで、私の質問は全て終わりました。
丁寧に御対応いただきました大西市長をはじめとする執行部の皆様、そして長時間お聞きいただいた先輩・同僚議員の皆様、傍聴してくださった皆様、インターネット中継で御覧いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
これからも市民の皆様の声を大切にしながら、一緒に熊本市の未来を築いてまいりたいと思います。
皆様よい週末をお過ごしください。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○寺本義勝 議長 本日の日程は、これをもって終了いたしました。
この際、お諮りいたします。
明8日から6月12日まで5日間は、休日並びに議事の都合のため休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○寺本義勝 議長 御異議なしと認めます。
よって、明8日から6月12日まで5日間は、休会することに決定いたしました。
次会は、6月13日(木曜日)定刻に開きます。
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○寺本義勝 議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 2時51分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり
令和6年6月7日
出席議員 46名
1番 寺 本 義 勝 2番 大 嶌 澄 雄
3番 村 上 麿 4番 瀬 尾 誠 一
5番 菊 地 渚 沙 6番 山 中 惣一郎
7番 井 坂 隆 寛 8番 木 庭 功 二
9番 村 上 誠 也 10番 古 川 智 子
11番 荒 川 慎太郎 12番 松 本 幸 隆
13番 中 川 栄一郎 14番 松 川 善 範
15番 筑 紫 るみ子 17番 島 津 哲 也
18番 吉 田 健 一 19番 齊 藤 博
20番 田 島 幸 治 21番 日 隈 忍
22番 山 本 浩 之 23番 北 川 哉
24番 平 江 透 25番 吉 村 健 治
26番 山 内 勝 志 27番 伊 藤 和 仁
28番 高 瀬 千鶴子 29番 小佐井 賀瑞宜
30番 田 中 敦 朗 31番 高 本 一 臣
32番 西 岡 誠 也 33番 田 上 辰 也
34番 三 森 至 加 35番 浜 田 大 介
36番 井 本 正 広 37番 大 石 浩 文
38番 田 中 誠 一 39番 坂 田 誠 二
40番 落 水 清 弘 41番 紫 垣 正 仁
43番 澤 田 昌 作 44番 満 永 寿 博
45番 藤 山 英 美 47番 上 野 美恵子
48番 上 田 芳 裕 49番 村 上 博
欠席議員 1名
16番 井 芹 栄 次
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦
副市長 中垣内 隆 久 政策局長 三 島 健 一
総務局長 津 田 善 幸 財政局長 原 口 誠 二
文化市民局長 早 野 貴 志 健康福祉局長 林 将 孝
こども局長 木 櫛 謙 治 環境局長 村 上 慎 一
経済観光局長 村 上 和 美 農水局長 金 山 武 史
都市建設局長 秋 山 義 典 消防局長 平 井 司 朗
交通事業管理者 井 芹 和 哉 上下水道事業管理者田 中 俊 実
教育長 遠 藤 洋 路 中央区長 土 屋 裕 樹
東区長 本 田 昌 浩 西区長 石 坂 強
南区長 本 田 正 文 北区長 吉 住 和 征
職務のため出席した議会局職員
局長 江 幸 博 次長 中 村 清 香
議事課長 池 福 史 弘 政策調査課長 岡 島 和 彦