2024年03月05日 定例会
令和 6年第 1回定例会
令和6年3月5日(火曜)
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│ 議 事 日 程 第6号 │
│ 令和6年3月5日(火曜)午前10時開議 │
│ 第 1 一般質問 │
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午前10時00分 開議
○田中敦朗 議長 ただいまより本日の会議を開きます。
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○田中敦朗 議長 日程第1「一般質問」を行います。
発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
まず、井坂隆寛議員の発言を許します。井坂隆寛議員。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇 拍手〕
◆井坂隆寛 議員 議席番号7番、井坂隆寛です。質問に入ります前に、令和6年能登半島地震でお亡くなりになられました方々に哀悼の意を表するとともに、被災された被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
本日、お忙しい中傍聴席にお越しの皆様、インターネット配信で御覧の皆様、また、質問の機会を与えてくださいました先輩議員、同僚議員の皆様に感謝申し上げ、本題に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、自転車の利用についてです。
昨年度、熊本市立の中高生の自転車乗車中の事故件数は14件で、これは決して少なくない件数です。熊本市内の高校や中学校の自転車通学生徒数は、令和4年度は3,465人、今年度は3,532人でおおむね一定です。来月、新学期を迎えるに当たり、再度学校から自転車通学生に対し交通安全の呼びかけ並びに交通指導を確認していただきたいと思います。
さて、自転車の歩道の通行と安全については、これまでにも都市整備委員会や教育市民委員会でたびたび取り上げられてきました。昨年の道路交通法改正で、全ての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となり、来年度から着用を自転車通学許可の条件に加える県立学校もあります。県内のヘルメット着用率は、昨年7月調査では全国平均13.5%を下回り8.3%、そして、熊本市内の着用率は昨年5月調査では8.0%、うち通学中は僅か1.5%です。引き続き通学中の着用率向上が課題です。
また、歩道の通行に関しては、内閣府配布資料によりますと、普通自転車歩道通行可の標識・表示がある場合、普通自転車は歩道を通行できますが、車道寄りの部分をすぐに停止できる速度で通行したり、歩行者通行を妨げるときは一時停止しなければならないことが上げられています。
ここで、教育長にお尋ねします。市立各学校における生徒、特に自転車通学生への交通安全指導の方針と方法について教えてください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 本市における交通安全指導は、様々な交通場面における危険について理解し、安全な歩行、自転車等の利用ができるように、各教科において、年間に指導すべき内容を整理して学校安全計画に位置づけることにより、系統的、体系的な安全教育を実施することとしております。
自転車乗車時の安全指導については、保健体育の授業や学級活動等により、交通ルールや事故の発生要因などについて学習するとともに、登下校時や日常的な教育活動全般の中で安全指導を行っております。加えて、交通安全協会等と連携して自転車教室を開催するなど、実践的な取組を行っているところであります。
これから新年度を迎えるに当たり、自転車通学する生徒の交通事故を防止するため、各学校に対して交通安全の呼びかけや交通指導の徹底についてお願いしてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。安全指導が保健体育の授業や学級活動の時間に行われていること、交通安全協会と連携した自転車教室も行われていることが確認できました。
新入生は特に、初めて自転車通学をする生徒が多いと思います。生徒の安全な登下校のため、新入生オリエンテーションなどでも安全な速度での通行や歩行者に配慮した一時停止について、そしてヘルメット着用についても触れてくださいますようお願いします。
次は、駐輪場の利用についてです。
新水前寺駅はバス停留場新設が計画され、交通結節点としてますます期待が寄せられています。ここには西側駐輪場、東側駐輪場があり、合わせて727台の自転車が駐輪できます。今後増設され、予定では今年の秋口には両駐輪場合わせて約1,000台の駐輪が可能となります。これまでの市内駐輪場整備の成果として、平成24年度に6,153台だった中心部の放置禁止区域及び郊外の駐輪場における自転車撤去数は、令和4年度には1,877台と3分の1以下にまで減少しています。しかしながら、この値は令和2年度から3年間ほぼ横ばいで、放置自転車が依然としてなくならないことを示しています。
ここで、都市建設局長に2点お尋ねします。過去3年間の市営駐輪場内の放置自転車の撤去台数及び措置費用を教えてください。また、市営駐輪場内に放置自転車があった場合の処理手順について教えてください。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの2点の御質問にお答えいたします。
まず、市営駐輪場における過去3か年の放置自転車撤去台数は、令和2年度が1,265台、令和3年度が1,372台、令和4年度が1,529台となっております。また、措置費用につきましては、令和2年度が約3,700万円、令和3年度が約3,500万円、令和4年度約3,400万円でございます。
次に、放置自転車の処理手順につきましては、熊本市自転車の安全利用及び駐車対策等に関する条例に基づき、7日間以上の長期留め置きが確認された自転車を平成保管所に移動・保管し、その旨を告示するとともに、防犯登録の所有者に返還はがきを郵送して引取りを促しますが、告示から6か月経過しても引取りがない場合には、当該自転車の処分を行っております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。撤去台数は、僅かに増加傾向にあること。また、放置自転車撤去にかかる措置費用ですが、これは約8割が整理指導員の人件費と伺っています。さらに、7日間以上の留め置きがあると平成保管所に運搬し、保管がなされることを改めて確認しました。以前、私が平成保管所を視察させていただいた際には、700台以上もの自転車が保管してある中に高校のステッカーが貼ってある自転車を多数見かけました。通学用自転車が保管されている間、生徒はどうやって通学するのか心配になりました。ステッカーには学校の連絡先が記載されているため、学校に電話をかけ知らせようかと思いましたが、返還はがきでの通知が手順であるとのことで断念しました。一連の市の対応について、学校や生徒、保護者はどの程度御存じなのでしょうか。今後、拡充される新水前寺駅駐輪場は、特に高校生の利用が多いと存じます。市内駐輪場を利用する生徒の通学用自転車に関しては、7日間以上の留め置きができないことへの対応や、連絡方法の改善を学校と協議し、その中で学校側には、校内駐輪場に留め置くなどの手だてをお願いすることも必要ではないでしょうか。
再度、都市建設局長に今後の御対応をお尋ねします。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 高校生の長期留め置きにつきましては、これまで長期休暇前に各学校に通知文を発出し対応をお願いしてまいりましたが、生徒によっては自宅が遠距離のために自転車を持って帰れない等の事情も推察されますことから、議員御提案の高校駐輪場での留め置きや通学許可ステッカーの活用によります生徒個人への啓発について、各学校と協議してまいりたいと考えております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 今後の利用について、各高校と協議を進めるとの前向きな御答弁ありがとうございました。自転車利用の推進と放置自転車対策は、同時に進めていくことが求められます。今後も、利用者に対する丁寧な利用方法や注意事項の説明、周知をお願いします。
次は、共生社会についてです。日本が外国人材から選ばれる国になり、その中でも熊本県、そして熊本市が選ばれる地域となってほしいと考えます。
では、質問にまいります。
現在の技能実習制度は、同じ業種で職場を変更する転籍が原則認められておらず、厳しい労働環境で失踪する実習生が全国で問題視されました。新制度の育成就労制度では人材の確保や育成を目的とし、1~2年働けば転籍を条件付で認めるなどの改善が行われます。この転籍には、日本語の習得が条件となり、日本で働きたい外国人にとって、今後、日本語の学習環境の充実が必要となり、働く地域を選ぶ基準とすることも考えられます。現在、熊本市では国際交流会館をはじめ市内6か所に地域日本語教室を開設し、ボランティアによる日本語支援が行われています。地域日本語教室のボランティアは、国際交流を主目的とし、生活言語習得のための手助けするグループです。一方で、就労する外国人には、学習や技能の習得に必要な学習言語の習得が必要です。交通費も出ない中、教室まで通ってきてくださるボランティアの方々に、国際交流の枠を超えたこれ以上の負担をお願いすることは、持続可能な取組とは言えません。また、来月開校する夜間中学、熊本ゆうあい中学校の生徒募集要項には、国籍は問いませんと記載とされていますが、ゆうあい中学校は全ての方が学び直しをする場であり、日本語の勉強から始める日本語学級の設置はありません。
熊本市では、今後も学習者の数は増えます。その学習が、いつまでもボランティアの方々の無償の御好意を前提にして成り立つものではいけないと考えます。組織立った効率的な対応や学習の仕組みが必要ではないでしょうか。令和5年第2回定例会では、大西市長が、地域日本語教室の拡充、そして、在住外国人の方のニーズの把握をされる旨御答弁いただき、私からは、予算や専門性を持った人材の確保を要望させていただきました。
その上で再度お尋ねします。今後、本市でも外国人住民、そして育成就労制度を利用する外国人に対し、日本語の習得を目指し勉強することができるよう、市が主導する専門的な組織や手だてが必要ではないでしょうか。大西市長のお考えをお聞きします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市では、これまで在住外国人の増加傾向を踏まえ、多文化共生社会の推進を熊本市国際戦略の基本施策の柱に位置づけ、外国人総合相談プラザの開設をはじめ、在住外国人の方に寄り添った取組を進めてまいりました。特に、在住外国人の方への日本語教育支援については、令和2年度より地域日本語教育の総合的な体制づくりに取り組み、日本語教育サポートプラザの設置、地域日本語教室の拡充など、地域資源を活用した体制の整備を進めてまいりました。
議員お尋ねの、外国人労働者の方への日本語習得支援については、国の指針においても、その活動状況に応じて、自立して生活できる日本語能力を身につけるよう支援する方針が示されております。今後も、在住外国人の方々のニーズの把握を行いますとともに、日本語教育の専門家とのネットワークの構築や人材育成のための仕組みづくりなど、本市の実情に応じた受け皿づくりについて、検討を深めてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。外国人のニーズの把握は、市が主体となり、外国人住民全体に対し調査を行っていただくよう要望します。
現在、計画策定が検討されている教育振興基本計画・教育大綱(素案)には、生涯にわたる学びの提供と学びの成果を生かす機会の創造が上げられています。多彩な学習機会創造の一環として、ぜひ、日本語学習への手だての御検討をお願いします。
質問を続けます。
熊本県では、台湾国籍を中心とする外国人住民や学齢人口の増加への対応として、インターナショナルスクールが注目されました。私は、台湾からの学齢人口が今後も増え続けた場合には、熊本にも中華学校ができるかもしれないと考え、先月、東京都千代田区にある中華学校を視察しました。ここでは、小学校1年生から高校3年生まで約370人の児童・生徒が学んでいます。全学年1クラスずつで、小学部40人学級、中学部30人学級、高等部20人学級です。1人1台のクロームブックを活用し、中国語、日本語、英語の教育は小学校1年生から行われています。3つの言語について、手厚い教育がなされていることや、台湾の今後の将来性を見据え、中華学校に子供を通わせている日本人の御家庭も5%ほどいらっしゃるそうです。熊本市の教育振興基本計画・教育大綱に基づく主な事業概要には、子供一人一人を尊重した教育の推進があり、その中に、外国にルーツを持つ子供への日本語教育の充実を図るとあります。
ここで、教育長にお尋ねします。外国から来た子供たちの支援について、熊本市立の小中学校、高等学校で行っていることを教えてください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 本市では、中央区の黒髪小、北区の楠小、南区の城南小の3校に、日本語指導担当教員をそれぞれ配置するとともに、日本語指導を必要とする児童・生徒の増加に適切に対応できるよう、日本語指導協力員も会計年度任用職員として雇用し、小中学生に指導を行っております。これらの指導者を児童・生徒の在籍校に派遣したり、児童・生徒がこの3校に通級したりすることにより、市内のどの小中学校に編入しても、日本語指導を受けられる体制を整えております。
指導内容としては、日常生活に必要な生活言語、授業内容を理解するために必要な学習言語及び進路指導などがあり、児童・生徒の実態に応じて個々に指導しております。また、市立高校においては、日本語指導サポーターが授業中の支援や放課後の補修などを行っております。
なお、編入してすぐの児童・生徒が安心して日本の学校生活に慣れることができるよう、学校生活をサポートする日本語指導支援員を派遣したり、保護者とのコミュニケーションを円滑にするために通訳を派遣したりするなど、個々の状況やニーズに応じた支援も行っております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。日本語指導支援員により、学習言語の指導や進路指導が行われていること、市立高校では日本語指導サポーターによる授業中の支援や放課後の補習などニーズに応じた支援体制が整えられていることが分かりました。
さて、NPO法人の方からお話を伺ったところ、外国から来た子供たちは日本語ができないのであって、決して理解力がないわけではないそうです。適切な学習言語としての日本語習得ができているのならば、もっとこの子供たちの可能性は広がるとさえおっしゃいました。教育長には、今後も全ての子供たちの教育的ニーズの把握と学びの機会の確保に取り組まれること、外国から来た子供たちに対しては、学習日本語の定着状況を的確に図られることをお願いします。また、必要に応じて登録日本語教員を配置することについても、今後御検討をお願いします。
さて、現在NPO法人が主体となり外国にルーツを持つ子供たちとその親に対する支援がなされています。しかしながら、市が行っているNPO法人に対する助成は十分ではないと感じます。今後は、NPO法人と行政が一緒になって運営や活動していく仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
台湾での取組の例を紹介しますと、台湾では、新住民と呼ばれる海外出身者に対する中国語習得への手だてが、その小学校に通学している児童の保護者に限定はされていますが、小学校の夜間の時間帯を利用し行われています。
ここで、再度大西市長にお尋ねします。外国人材への日本語教育支援、そして、外国にルーツを持つ子供たちとその親に対する日本語教育支援、いわば大人と子供の両方に対して同様の支援が求められているわけですが、実行に当たっては、市長と教育長、いずれかがリーダーシップを発揮しながら対応していくべきではないでしょうか。また、急速に増える外国住民とその子供たちの日本語教育のニーズに対応するため、今後どのような対応をお考えでしょうか。お教えください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 先ほどの教育長の答弁のとおり、現在、市内の公立小中学校では、外国籍の児童・生徒に対してどの学校に編入をしても、生活言語、学習言語、進路指導など児童・生徒の実態に応じた個別の日本語指導が受けられる体制となっております。また、国際交流会館におきましては、その児童・生徒のうち、さらなる支援が必要なケースに対しまして、保護者も一緒に参加できる日本語学習の機会を提供しております。
この取組は、NPO団体を中心に運営されており、個々の児童・生徒の状況に応じて日本語指導のほか、学習サポートや生活相談、進路相談などを中心にきめ細かに行われております。特に進路相談などは、保護者も一緒に参加することで、単なる日本語指導だけではなく、家族でコミュニケーションを取りながら学習や進路の状況について向き合う機会となっております。
今後も、子供に対する日本語教育に関しては、学校における支援を中心としつつ、先ほど御説明申し上げました地域日本語教育の総合的な体制づくりを進めていく中でニーズを踏まえ、その受け皿の在り方について検討してまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。熊本市国際戦略に上げられている多文化共生社会の推進ですが、取組の多くはNPO団体が中心となり提供されている点、そして、団体に対する助成は決して十分ではなく、持続可能な状況ではない点を再度強調させていただきます。今後は、学校における支援を中心としつつ、地域日本語教育の総合的な体制づくりを進めてくださるとの御答弁がありました。いつまでもニーズの把握段階にとどまり、具体的な対応策が講じられないことを懸念します。これは、ぜひ市長がリーダーシップを取り、進めてくださいますようお願いします。
外国人住民は、ともに熊本市を形づくる一員です。今から64年前の昭和35年5月に、熊本市民「愛市憲章」がつくられました。その中に「私たち熊本市民は、互いにあたたかく交わり、旅行者を親切に迎えましょう。」とあります。熊本市に住んでよかったとどなたからも言っていただける親切な熊本市であることを期待します。
次の質問にまいります。
先月、STEAM教育の、市の教育センター研究モデル校である五福小学校の公開授業及び授業研究会に参加しました。STEAM教育とは、各教科等での学習を実社会での問題発見や解決に生かすための教科横断的な学習のことです。私は、3年生の総合的な学習の時間を見学しました。探求学習の場と位置づけられ、児童・生徒が課題解決に向けて情報を収集、整理、分析したり、意見交換や成果発表を重ねたりしながら学習を進めています。授業では子供たちがタブレット端末を操作し、協働して課題に取り組む姿が見られました。授業後の参加者意見交換でも、評価を子供たちが決めていることや役割分担をし全員が活動していることなど、主体的協働的な学びへの高い評価の声がありました。また、教師が複数の無償アプリを用い、汎用性の高い授業を展開していることも好評でした。さらには、納得解を求めていく総合学習は、教師にとっても学びであるとのコメントもありました。
さて、この総合的な学習の時間ですが、東京都渋谷区教育委員会は、来年度、区立の全26小中学校で実施時間をこれまでの倍以上に増やすことを決めました。国語や算数などの最大9教科の授業時間を1割減らすことで年間85コマを生み出し、総合的な学習の時間に上乗せして、国が定める年間70コマから155コマに増やす見込みです。五福小学校では、総合的な学習の時間のカリキュラム作成の際は、先生方が、まず実際に町を歩き、町のことを知るそうです。次に、地域の方も交えて課題を学年部で話し合い、それを全職員で共有し、実際に教育活動を展開しながらカリキュラムの修正も行っていくとのことでした。私は、探求学習は授業準備を多く必要とし、先生方自身も学ぶことを要求されると感じます。実施時間の増加が先生方の負担増につながることを懸念しています。
ここで、教育長にお尋ねします。熊本市立の小中学校、高等学校の先生方の職員研修について、今年度実施した平均時間を教えてください。次に、総合的な学習の時間の熊本市での時間増加はお考えでしょうか。以上2点、お尋ねします。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 議員お尋ねの2点について、お答えいたします。
抽出した小学校10校、中学校5校、高等学校2校それぞれの校種における職員研修の年間の平均時間は、小学校で32時間、中学校で15時間、高等学校で20時間となっております。このうち、教育センターが指定した研究モデル校となっている小中学校5校の平均時間は27時間で、それ以外の学校と大きな差はございません。
総合的な学習の時間につきましては、学習指導要領に定められた標準授業時数に基づいて実施しております。市全体として、総合的な学習の時間の時数を増やす考えはありませんが、教員の負担に配慮しながら、学校や地域の特色に応じた総合的な学習の時間の充実に取り組んでいるところでございます。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。職員研修の平均時間は、小学校では32時間と教育指定モデル校の平均27時間よりも多くなっており、先生方の負担増加が懸念されます。今後、さらに工夫して実施されますことをお願いします。総合的な学習の時間は、今後の時数増加はお考えでないとのお答えがありました。引き続き、学校や地域の特色に応じた取組をお願いします。
熊本市では、市内教職員の年次有給休暇取得期間を9月からとし、先生方の年休取得率向上につながる環境づくりをしたり、小学校の部活動を統合型地域スポーツクラブなどに移行したり、先生方の負担軽減につながる取組を行ってきました。市教育委員会には、引き続きワーク・ライフ・バランスに十分留意しながら、先生方のスキルアップのための学びを支えてくださいますよう要望します。
では、次の質問にまいります。
先日行われました高校生議会に参加した高校生からは、資格試験の受験料の補助が欲しいとの声が聞かれました。高校生の大学進学に係る資格試験の利用は増えており、受験料も以前よりも値上がりしているため、負担は大きいと言えます。
ここで、教育長にお尋ねします。令和5年度に市立高校が取りまとめ、生徒が各種資格検定試験を受験した場合の、受験料の1人当たりの平均負担額を教えてください。また、令和5年度の市立高2校の教科書代の総額と1人当たりの平均額は幾らでしょうか。以上2点お願いします。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 議員お尋ねの2点につきまして、お答えいたします。
千原台高校の情報科及び情報ビジネス探究科では、1、2年生はビジネスや情報に関する多くの資格試験を全員が受験することとなっており、受験に係る1人当たりの年間平均額は約1万円であります。また、必由館高校では、漢字や数学などの検定のほか、服飾デザインコースでは被服製作検定やマナー検定、色彩検定を取りまとめておりますが、受験する試験や回数は生徒によって様々であります。
市立高校の教科書代につきましては、千原台高校、必由館高校ともに1人当たり年間約8,000円であります。全生徒の教科書代の合計は、千原台高校で約440万円、必由館高校は約810万円で、総額約1,250万円となります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。千原台高校では、資格検定試験受験料の平均は約1万円、必由館高校では、受験する試験は生徒により様々、そして、市立高校2校の教科書代の総額は1,250万円で、1人当たりの金額は両校とも年間約8,000円です。これは、資格試験の受験料とも近い金額で、もし、教科書が給与され、実質無償となるならば、生徒が資格試験によりチャレンジできるようになるのではないかと考えます。
県立高校の定時制通信制過程では、定時制に通う生徒370人、通信制に通う生徒945人を対象に、就業状況の確認や世帯所得上限、単位の修得条件は設けてありますが、教科書の給与を行っています。令和5年度の熊本県予算は定通教育教科書学習書給与費462万2,000円です。このように、教科書の給与、すなわち教科書代の無償化については、前例がないとは言えません。
ここで大西市長に、市立高校生の教科書代の無償化について、今後の御検討を提案します。まずは、市立高校両校をモデル校とし、単年度の試験的な実施を行い、両校の魅力を高めることにつながるのか、生徒の資格取得状況に変化があるのか、または、努力義務であるヘルメットの購入につながるのか、調査するための試行はできませんでしょうか。市立高校に通う生徒の教科書代の無償化について、市の財政負担を踏まえ市長のお考えをお聞かせください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員御提案の市立高校における教科書無償化については、高校生の熱い思いを受けての貴重な御提言であると受け止めております。教科書につきましては、義務教育段階では法律に基づき無償給与されておりますが、高校段階以上では実費負担していただいており、高校の定時制課程と通信制課程においては、就労している生徒等に対して教科書代を補助する制度があると承知しております。市の施策として、高校生の教科書代を補助するということであれば、補助対象の範囲を熊本市立高校だけではなくて、県立や私立の高校に通う生徒も含めて検討する必要があると考えております。
議員御提案の教科書代の無償化につきましては、財政面への影響も考慮しつつ、将来的な支援策の一つと捉え、引き続き情報収集に努めてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 将来的な支援策の一つと捉え、引き続き情報収集を行ってくださるとの前向きな御答弁ありがとうございました。
今年、熊本県では「世界津波の日」2024高校生サミットが開催されます。世界各国の高校生が自然災害の対策を学ぶ場として、国内各地でこれまでに5回にわたり開催されています。熊本市内はもとより、県内の高校生の活躍が大いに期待されます。このように様々な分野で活躍し、頑張っている高校生への支援、これはこども施策であるとも言えます。ぜひ熊本市から始められることを期待し、次の質問にまいります。
昭和47年の「森の都」都市宣言から50年の節目を迎え、熊本市は令和5年度から街路樹や公園などを所掌している都市建設局内に森の都推進部を設置しました。熊本市内の公園や街路樹として様々な種類の木が植えられています。「森の都」都市宣言の際に植樹された街路樹や公園の木は、経年的な老齢化、大径木化が進行し、倒木等の事故発生のリスクを有するようになりました。昨年7月には、三年坂で倒木事故が発生しました。幸い人的・物的な被害は生じていないということでしたが、これを受け市は、市内全域の街路樹や公園の樹木などを総点検し、倒木のおそれがある4,500本を今年3月末完了を目指し撤去すると、昨年11月に発表しています。
また、民有地への樹木の対応も必要です。民有地にある樹木への市の指導が課題となりますが、保存樹木については特別な対応ができないでしょうか。
ここで、熊本市指定保存樹木制度について、御紹介します。熊本市では、昭和49年度から保存樹木の指定を実施し、昨年11月時点では239か所、574本が指定されています。先人の残した貴重な銘木や老樹を保護し、次の世代に緑の遺産として引き継ぐため、緑地の保全及び緑化の推進に関する条例に基づき、保存樹木、または、保存樹林として指定し、市が管理経費の一部を助成しています。冒頭に申し上げました撤去する木とは対照的に、これらは残していく木として指定されています。
ここで、都市建設局長にお尋ねします。4,500本撤去との報道がありましたが、その具体的な撤去計画と今後の植樹計画、本数や木の種類について教えてください。また、撤去した木はどのように廃棄されるのでしょうか。さらには、保存樹木を含め民有地の樹木に対する指導は、どのような頻度、手段で行われているのでしょうか。以上3点をお尋ねします。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの樹木に関する数点の御質問にお答えいたします。
昨年7月の三年坂での街路樹の倒木事故を受けまして、道路、公園、市営住宅、区役所、小中学校などの市有施設におきまして、全数となる約5万2,900本の樹木の総点検を実施し、そのうち、約4,900本の樹木について倒木の危険性が高いと判定いたしました。樹勢回復が見込めると判断いたしました約400本を除く残りの約4,500本について、今年3月末までの撤去完了に向けて現在作業を進めており、撤去した樹木の処分は、原則として中間処理施設に持ち込み、木チップや堆肥などにリサイクルしております。捕植計画につきましては、倒木につながる要因を分析した上で、熊本の気候や土壌等の植栽条件に適した樹種を選定し、本数を決定することとしております。
〔議長退席、副議長着席〕
また、専門家の御意見をいただきながら、樹種に応じた植栽基盤の構造、点検や選定の在り方等を盛り込みました森の都再生プランを今年秋頃を目途に取りまとめ、より適切な樹木管理につなげてまいりたいと考えております。
次に、保存樹木の所有権や管理責任につきましては、議員御指摘のとおり所有者にありますことから、平成27年度から2年に一度、所有者に対してアンケート調査を実施し、樹木の状態を確認するとともに、相談窓口や助成制度の周知を図っております。樹木の維持管理に関する相談等があった際には、適宜現地立会いし、指導や助言に努めており、これらの取組を今後も継続することで、所有者の管理意識を醸成してまいりたいと考えております。
最後に、道路沿いの民有地の樹木につきましては、パトロールや通報等により通行上危険と判断しましたものは、所有者に対し口頭や文書により適正な管理を行っていただくよう指導しており、引き続き関係部署と連携し、被害発生防止に努めてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。森の都熊本市のため、今後も残す木、新しくしていく木、その両方に手をかけてくださいますよう森の都推進部に期待します。また、木の根により歩道の舗装がめくれ上がっている部分も見受けられます。街路樹の整備に併せこちらの整備の検討もお願いします。もうすぐ花見の季節です。可能であれば桜の木の撤去をしばし猶予していただき、最後に花を咲かせる姿を見ることができればと思います。
では、次の質問にまいります。
以前、熊本市の東部と西部それぞれの環境工場を視察し、ごみ焼却時の熱がお湯を沸かすことや植物の育成、さらには発電に利用されていることを知りました。落ち葉の季節、落ち葉の清掃は緑の多い熊本市にとっては課題と言えます。しかしながら、落ち葉や樹木が燃やされる際には、排出される二酸化炭素はカーボンニュートラルとして扱われながらも、発生する熱により発電が行われます。その発電量を数値化し明示することは、SDGsの取組や市民が森の都熊本を誇りに思うことにつながるのではないでしょうか。
ここで、環境局長に2点お尋ねします。東西環境工場の年間発電量と売電収入額を教えてください。また、運び込まれるごみのうち樹木、葉っぱの量はどのくらいか把握されていますか。把握されている場合は、それによる発電量を教えてください。また、把握されていない場合は、今後そのような指標の設置の検討がなされるかも併せてお答えください。
〔早野貴志環境局長 登壇〕
◎早野貴志 環境局長 東西環境工場の年間発電量は、令和4年度の実績で約9,960万キロワットアワーであり、その売電収入は、東部環境工場では約3億8,600万円でありますが、西部環境工場は委託契約の中で事業者に帰属することとなっております。
次に、家庭から出される落ち葉や剪定枝は燃やすごみの日に収集しており、生ごみ、その他のごみくずと併せて環境工場で受け入れることから、樹木に限定した搬入量は把握しておりません。そのため、樹木の焼却に伴う発電量の数値化や指標の設定は難しいと考えておりますが、廃棄物の適正処理と資源循環は地球温暖化対策の推進に重要であることから、積極的に取り組んでまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。樹木に限定した搬入量の把握はされていないとの御答弁で、残念ながら葉っぱや樹木を燃やして得られる売電収入額の算出には至りませんでした。しかしながら、廃棄物の適正処理と資源の循環は地球温暖化対策には欠かせません。引き続き、積極的な取組の推進をお願いします。
では、次の質問にまいります。
本市では、犯罪を防止し安全・安心なまち熊本市をつくる条例に基づき、町なかパトロールなどの取組が行われています。この条例は、昨年6月の定例会で改正され、パトロールの具体的な対象行為として明記されていた違法な落書きという文言が削除されました。町なかには依然として落書きがあります。店舗の壁に落書きがあるお店の店主にお話を伺いましたところ、「困っているが、消してもどうせまた書かれるからそのままにしている」。また、別の店舗ではエアコン室外機にまで落書きされていました。店主は、「何回消しても書かれる、もう諦めている」とお答えになりました。落書きは、電柱や橋の欄干、国道の下をくぐる地下道の壁にもあります。落書きは、違法行為であるとの発信を市が続けていかなければならないと感じます。
そこで、文化市民局長にお尋ねします。違法な落書きとはどのようなものであるか、その認識についてお聞かせください。
〔金山武史文化市民局長 登壇〕
◎金山武史 文化市民局長 違法な落書きは、建造物損壊罪や器物損壊罪などの罪に問われる可能性もある犯罪行為であり、地域の秩序や風紀を乱し、治安を悪化させる要因の一つともなることから、関係部局をはじめ県警や各種団体等と連携し、市民の皆様への啓発に取り組んでまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。落書きは犯罪行為であり、地域の秩序や風紀を乱し、治安を悪化させる要因であるとの認識は私も同感です。熊本市に観光に来られた方々も落書きが目に入るならば、残念な気持ちになるのではないでしょうか。また、被害を受けた方々が諦めざるを得ない状況に陥っていることは、理不尽極まりないことで本当に気の毒でなりません。落書きは、決して許されない犯罪行為であるとの認識を、市は市民に広く周知し、粘り強く啓発に取り組まれますことを要望します。
質問を続けます。
中心街には屋外広告物、看板を多く見かけます。密集していたり、夜には明かりがついたりし、町なかのにぎわいの演出にもつながっていると感じます。しかしながら、その設置には安全であることが大前提です。一昨年6月にビルの壁面に設置された看板が落下し、駐車してあった自動車に被害が生じました。人的被害がないのは幸いでしたが、この看板は市への必要な許可申請を行っておりませんでした。これを受け、市は、中心市街地アーケード周辺において類似した高所にある壁面看板の緊急見回りを行い、広告主等に対し安全点検の実施について周知を行ったと聞いています。
そこで都市建設局長にお聞きします。屋外広告物の設置状態の把握はどのようにされていますか。また、安全性等に懸念のある看板、屋外広告物への対策についてお聞かせください。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 本市には許可申請により設置される屋外広告物が約3万個あり、これに許可が不要な自家用・小規模等の屋外広告物等を加えれば、非常に多くの屋外広告物が存在しております。屋外広告物の安全管理は、広告主等の義務であり、許可申請時の書面による安全性の確認や、3年ごとの更新時に有資格者による安全点検報告を求めているため、許可物件については、一定の安全性は保たれていると考えております。また、中心市街地では、県警や広告業団体、自治会等と連携して定期的にパトロールを実施し、安全性に懸念がある屋外広告物等については、関係部署と連携して指導を行っております。
加えて、今年度から3か年かけまして、民間のノウハウを活用し市内一円の未申請広告物を許可申請へと誘導する取組や、広告業者や広告主等を対象に屋外広告物の安全に関する講演会の開催など、安全性に対する屋外広告業界全体の意識向上を図っているところでございます。
今後も、このような様々な取組を総合的、継続的に実施することで、安全・安心な町と良好な景観形成に努めてまいりたいと考えております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 ありがとうございました。屋外広告物の安全管理は、広告主等の義務であること、3年ごとの更新時に有資格者の安全点検が行われることが確認できました。また、屋外広告業界全体の意識向上を図るための講演会の開催等、今後も良好な景観形成に努められるとの心強い御答弁をいただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
最後の質問にまいります。
熊本市では、令和3年度から熊本市特定分野緊急就職奨励金制度、略して特就金を実施しました。介護、警備、運輸、建設の職種に就職された方を対象に、奨励金として就業時、3か月、そして6か月経過時にそれぞれ5万円、合計で最大15万円を交付しました。この制度の財源は、100%国からの交付金で、正式名称は新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金です。運輸業の就業者数を増やす目的は、2024年問題の対策としても有意義でした。
ここで、経済観光局長にお尋ねします。この特就金の各分野別の交付状況を教えてください。
質問を続けます。
1月に熊本城ホールで行われた熊本都市圏合同就職説明会では、35社が参加されていましたが、そのうち運輸業の参加は1社のみ、また、介護職2社、警備、建設はともにゼロ社でした。ここで、先ほどの特就金で奨励された業種の参加が低いことが気になりましたが、人材不足が一段落したとも言えます。では、代わりにどの業種の参加が増えたのか、パンフレットを確認しましたところ、参加企業35社中営業職募集の企業16社に次ぎ、製造業等で技術職を募集している業者が15社となっていました。製造業のニーズの高まりに応える手だてが今後必要であると考えられます。
ここで、経済観光局長にお尋ねします。熊本市には技能者表彰制度があります。この制度の概要とその表彰者の選考基準について教えてください。
〔村上和美経済観光局長 登壇〕
◎村上和美 経済観光局長 2点のお尋ねに順次お答えいたします。
まず、特定分野緊急就職奨励金の交付状況についてでございますが、交付件数は令和3~5年度までの3か年で合計559件となっております。そのうち運輸分野が93件、介護分野が279件、警備分野が137件、建設分野が50件となっており、人材確保の困難な分野において一定の効果が見られたところでございます。
次に、技能者表彰制度の概要と表彰者の選考基準についてでございますが、本市では技能尊重の重要性を広く社会一般に認識いただき、若年技能者の確保・育成、技能者の地位並びに技能水準の向上を図るため、技能者表彰を実施いたしております。技能者表彰制度には3つの表彰がございまして、優秀技能功労者は卓越した技能を有し、ほかの技能者の模範となり、後進の指導・育成に寄与した技能者を選考対象とし、優秀技能者特別表彰は、全国規模以上の技能競技大会等で優秀な成績を修めた技能者、優秀青年技能者は、卓越した技能を有し将来を嘱望されている技能者を対象といたしております。表彰者の選考は、広く関係団体より候補者の推薦をいただいた上で、業界代表者や学識経験者などからなる技能者表彰選考委員会で、経験年数や技能資格の取得状況、技能の発展並びに後進の育成に向けた取組等を審査基準に行っているところでございます。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 特就金の交付件数は3年間で559件で、人材確保の困難な分野での一定の効果が見られたとの御答弁をいただきました。また、技能者表彰制度の取組は、優れた技能・技術を持っている方を表彰することで、技能者・技術者同士の技の継承や、企業風土の醸成がなされることと思います。今後も多くの検定職種の技能者・技術者が表彰され、熊本市や熊本県、ひいては日本の技術力を世界に示すような人材へと成長されることを期待します。執行部には引き続き、産業、地域の担い手育成について一層の取組をお願いします。
質問を続けます。
私は先日、宇都宮ライトレール株式会社のLRT、ライトラインを視察しました。路線の全長14.6キロメートルのうち専用軌道は5.1キロメートル、車道との併用軌道は9.4キロメートルで、車両と整備を宇都宮市と芳賀町が保有し、宇都宮ライトレール株式会社が運行を行う上下分離方式が採用されています。ライトラインの走行に必要な電力は、家庭ごみの焼却による発電や太陽光発電により供給されていて、車内アナウンスではゼロカーボントランスポートであることがPRされています。
ここで、交通事業管理者に3点お尋ねします。1点目、今年度交通局を退職する運転士、そして、車掌の数は何人ですか。また、今年度採用された数はそれぞれ何人ですか。また、上熊本の車両工場にお勤めの方については、今後の人員の確保について採用の計画をお聞かせください。2点目、市電が環境にも配慮しているアピールポイントをお示しください。以上、お答えをお願いします。
〔伊藤幸喜交通事業管理者職務代理者 登壇〕
◎伊藤幸喜 交通事業管理者職務代理者 3点のお尋ねに順次お答えいたします。
まず、1点目の人員確保につきましては、今年度末までに交通局を退職する運転士は、既に退職した者を含めまして11名、車掌は1名で、採用した運転士は7名、車掌は1名となっております。また、上熊本車両工場につきましては、再任用職員の退職等に伴い、電車車両技術整備等を行う会計年度任用職員を令和6年4月から新たに2名雇用する予定でございます。
2点目の停留場の安全対策につきましては、議員御指摘のとおり、一部の停留場におきまして、横断歩道が乗り場に完全に接していない箇所や、停留場上の掲示物などにより待っている方々が見えにくくなっていることなどの課題があることは認識しております。横断歩道と停留場の位置関係につきましては、電停改良や舗装打ち換えの際に交通管理者とも協議しながら改善に取り組んでいるところでございます。また、停留場上の掲示物につきましても、移設や縮小などの対策に昨年度より取り組んでおり、今年度末までに完了する予定となっております。今後も引き続き、停留場の安全性向上に取り組んでまいります。
3点目の環境への配慮につきましては、基本的に市電は自動車と比べまして環境に優しい移動手段でございますが、来年度以降、輸送力の高い車両を導入するなど計画的に車両の更新を行い、運行効率を上げることで省電力化を進めてまいります。あわせまして、今後は市の脱炭素施策とも連携しながら、脱炭素電力の調達を検討するなど、さらに環境へ配慮した移動手段を目指してまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。大変失礼いたしました。私が先ほどの質問の中で、2点目の質問を失念しておりました。2点目の質問は、熊本市電では一部停留場の入り口が横断歩道に接続しておらず、利用者が一度車道を通行しなければならない場所が依然としてあります。また、昨年度、段山町停留場で人との接触事故がありましたが、運転士が停留場の掲示板に隠れて見えなかった歩行者に気づかなかったそうです。停留場の安全対策については、延伸前の課題として対応されますことを要望します、という内容で2点目、安全対策についてお尋ねいたしました。失礼いたしました。
最後にまいります。
今後の市電の改良点としては、運転士が利用できるトイレが少ないことが挙げられます。運転士は、健軍町停留場では民間の店舗で、田崎橋の終点では国の合同庁舎でトイレを使用しています。しかしながら、これらは夜間や早朝は利用できないそうです。延伸後、市民病院の終点や熊本駅に車両2編成程度を留め置くことができる車庫兼運転士待機場があるならば、始発・終電の時間の改善と併せて運転士の処遇改善につながると考えます。ぜひ、御検討をお願いします。運転士の離職者が採用者数を上回る現状に対しては、早急な対応が必要です。運転士の養成には長時間を必要とします。延伸が運転士の負担の増加に伴う離職につながり、持続可能な公共交通ではなくなってしまうことを懸念します。
市電は、今年100周年を迎えます。今後も持続可能な公共交通機関として、熊本市にお越しの観光客、通勤通学、市民の足として地域に親しまれ、公共交通は福祉の一環であるとの認識の下、適切な運賃の設定、運転士たちのウエルビーイング、それらを踏まえたダイヤ編成に努めてくださいますよう要望します。
以上で私の質問を終わります。
最後に、本日傍聴席にお越しくださった市民の皆様、インターネット配信を御覧くださった皆様、そして、今回質問の機会を与えてくださいました先輩議員並びに同僚議員の皆様、真摯に御答弁くださいました市長、そして、執行部の皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
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○大嶌澄雄 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開いたします。
午前10時59分 休憩
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午前11時10分 再開
○田中敦朗 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○田中敦朗 議長 一般質問を続行いたします。
齊藤博議員の発言を許します。齊藤博議員。
〔19番 齊藤博議員 登壇 拍手〕
◆齊藤博 議員 おはようございます。自由民主党熊本市議団の齊藤博でございます。令和6年第1回定例会において一般質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
通告に従いまして、質問を行ってまいりたいと存じます。執行部の皆様方、よろしくお願い申し上げます。
まず初めに、地震の経験に基づく防災井戸の設置についてお尋ねいたします。
令和6年1月1日、能登半島地震が発生いたしました。震度7の大きな揺れは、200名を超える方々の尊い命を奪い、今なお、多くの被災地の皆様は避難を余儀なくされている状況でございます。犠牲となられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、全ての被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
今回の能登半島地震においては、道路の損壊や寸断をはじめ、多くの港で隆起が確認されるなど、半島で起きた災害がゆえの被害が確認されております。また、水道管の損傷により、多くの被災地で断水が長期化している状況も今般の地震被害の特徴とも言えるのではないでしょうか。地震発生から1か月が経過した時点で、石川県内4万戸超で断水が続いておりました。また、2月末でも断水は、1万8,000戸を超えているとのことであります。長期的な断水で被災地の方々は、二次避難を余儀なくされるなど、生活の再建にも大きな影を落とす結果となりました。断水の長期化は感染症の拡大やトイレの衛生環境の悪化等を引き起こす要因となることから、災害時の迅速な給水確保の重要性が改めて浮き彫りとなりました。断水を引き起こした直接の要因は、配水管等の基幹管路と呼ばれる水道管の本管が、経年劣化等により大きく損傷したことであります。水道管本管の耐震化が進んでいれば、断水の長期化とその被害を最小限にとどめることができたのではとも考えます。
厚生労働省が公表しております令和3年度版水道事業における耐震化の状況によりますと、石川県内の水道管耐震適合率は、36.8%となっており、全国の平均41.2%を下回っておりました。
そこで気になりますのは、我が熊本県熊本市であります。熊本県の水道管耐震適合率は31.0%、実は熊本県は、全国都道府県平均を大きく下回っております。一方で熊本市は、厚生労働省によりデータが公表されておりません。
そこでお尋ねいたします。熊本市の水道管基幹管路の耐震適合率は、どのようになっておりますでしょうか。今後の災害対応のための整備方針や目標等を御説明いただきたいと存じます。上下水道事業管理者、お願いいたします。
〔田中陽礼上下水道事業管理者 登壇〕
◎田中陽礼 上下水道事業管理者 水道管基幹管路の耐震適合率の現状についてお答えいたします。
本市の上水道管の耐震化は、令和元年度に策定いたしました熊本市上下水道事業経営戦略の基本方針の一つである災害に強い上下水道の確立に基づき進めております。この中で防災・減災、強靭化につきましては、令和2年度に水道施設更新計画を策定し、計画的な管路整備に取り組んでおり、令和4年度末時点における耐震適合性のある基幹管路の割合は、80.3%となっております。この割合は、政令指定都市では3番目に高い水準にありますが、これは本市が早期に耐震管を採用し、新設及び更新を着実に進めてきた成果であると考えております。
今後の整備方針につきましては、令和11年度までに83%を達成することを目標に毎年度約7億円の事業費を確保し、年間0.8ポイントずつの向上を目指して着実に取り組んでまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 熊本市における水道管基幹管路の耐震適合率は、令和4年度末で80.3%、令和11年度までに83%を達成したいとのこと、間違いなく全国で見ても耐震化率はトップクラスであり、長年にわたる上下水道局の功績と言ってよいかと存じます。今後も不測の事態に備えることを怠ることなく、計画に基づき水道管基幹管路の耐震化を進めていただきたいと存じます。
大きな地震等の災害時には被災された方々への給水確保はいつも課題となります。水道管の耐震性を確保し、水道の供給体制を維持する努力は極めて大切でありますが、また一方でさらなる不測の事態に備えることも必要であります。耐震化が進む基幹管路に損傷がなくても、個々の家庭に引き込まれる給水管の損傷により断水する可能性は否定できません。水道に頼らない独自の水源の確保もまた十分に検討されるべきであります。
その選択肢の一つとして防災井戸が挙げられます。災害時には飲み水もさることながら、衛生環境を整えるためにも生活用水としての水の確保が必要となります。そのような観点からも防災井戸の存在は大きいと考えます。
熊本地震を契機とし、民間事業者と本市の間で締結する防災井戸の利活用に関する協定が現在進んでおります。熊本市が公表しております災害時協力企業井戸一覧によりますと、100か所を超える防災井戸を確認することができます。ただ一方で、行政管理の防災井戸が、市内にどれだけ存在するのか不明瞭であります。少なくとも災害に備え、17か所の広域避難場所をはじめ指定避難所等には、電源確保が困難な状況を想定し、手動ポンプ式防災井戸の完備が必要と考えます。
令和4年第2回定例会において、荒川議員からも防災井戸に関する質問が行われております。政策局長は、当時、次のように答弁されております。手押しポンプ式の防災井戸は、停電時や災害発生時の生活用水確保の手段として役立つものと考える。本市の避難所ごとの生活用水の確保等について協議検討する。
改めてお尋ねいたします。熊本市が所管する防災井戸の数と、今後広域避難場所や指定避難所等に防災井戸を設置する予定や計画があるのか、改めてお示しいただきたいと存じます。政策局長、お願いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 本市では熊本地震以降、災害による広域的な断水が発生した場合は、上水道が復旧するまでの間、これを補完するため、熊本駅白川口駅前広場や地下水観測井戸など、本市が管理する井戸9本を災害用井戸として、地域住民の皆様へ提供することとしております。
議員御指摘のとおり、先般の令和6年能登半島地震におきましては、広域的な断水が長期化し、被災者の皆様の生活に多大な影響を及ぼしており、改めて水の重要性を認識したところであります。そのような中、災害用井戸の広域避難場所や指定避難所への設置につきましては、大変有効であると考えておりますが、一方で日常における活用・管理や費用対効果などの課題もございます。
今後は、民間事業者の皆様が所有する井戸のさらなる利活用促進に向けた周知・広報に努めるとともに、まずは、拠点となる市有施設への設置を検討するなど、災害時における水の確保について、引き続き取り組んでまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 本市が管理する災害用として利用できる井戸は、9本とのこと、大切な情報であります。ホームページをはじめ、市民の皆さんにとって分かりやすい情報提供を改めてお願いしておきます。
また、拠点となる市有施設へ防災井戸の設置を検討するとの答弁いただきました。拠点とはどこでしょうか。例えば各区役所や広域避難場所等になるのでしょうか。いずれにしても、有事に備え行政管理の防災井戸を増設いただくよう強く要望しておきます。
次に、本市における農業と福祉分野の連携、すなわち農福連携についてお尋ねいたします。
そもそも農福連携とは、障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組であります。その取組によって、障がい者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性を求めるものであります。農福連携に対する支援の輪は、確実にその広がりを見せておりますが、その課題や問題点も明らかとなっています。
九州農政局は課題として、障がい者等への偏見や、農業側と福祉側のニーズのミスマッチ、マッチング機能の必要性等を指摘しております。課題を解決するためには、農業側と福祉側の相互理解が欠かせません。地方公共団体等が出会いの場や機会を創出し、体制整備の充実や拡充を積極的に図っていくことこそ、今、求められている取組だと考えます。
国は農福連携等推進会議を設置し、農福連携等推進ビジョンを策定するなど積極的にその取組を推奨しております。また、熊本県は、農福連携の所管を明確にし、健康福祉部障がい者支援課に農福連携コーディネーターを配置し、農林水産部村づくり課においては、農業分野から農福連携を支援する体制を整えております。また、民間での取組として、熊本県内においては農福連携を推進していくため、令和5年1月に熊本県、鹿児島県、宮崎県を対象地域とした、南九州農福連携コンソーシアムが立ち上がっております。さらに令和5年9月には、熊本県農福連携協議会が立ち上げられるなど、福祉事業者の皆さんが中心となり、民間レベルでの農福連携を充実・拡充させたいとする手段を構築しておられます。
そこで、お尋ねいたします。農福連携に係る本市の所管は農水局とお聞きしております。これまでの事業への取組方針や体制、その実績をお示しください。また、所管が農水局となっておりますが、福祉分野との連携が欠かせない事業であります。健康福祉局との所管連携は取れているのでしょうか。農水局長と健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔大塚裕一農水局長 登壇〕
◎大塚裕一 農水局長 議員御指摘のとおり、本市においても、農福連携が農業分野における労働力不足を解消するために有効な取組であると認識しております。しかしながら、令和3年度に実施した、認定農業者を対象とした労働力に関するアンケート調査では、6割が労働力不足であると回答している一方、障がい者雇用に関心のある農業者は8.2%と農福連携への関心が低い状況でありました。このため、熊本市認定農業者協議会等と共催する熊本市農業者大会などの機会において、農福連携の講演会や取組事例の紹介等を実施し、農業者の理解が深まるよう取り組んでおります。
また、障がい者が、生産工程に関わった農林水産物や食品であることを表示できるノウフクJASの認証取得費用の一部を補助するメニューを、夢と活力ある農業推進事業に令和3年度から加え、農業者等の農福連携の取組を推進しております。
なお、本市内でのこれまでの農福連携における農業者等の障がい者雇用の実績は、令和元年度から令和6年1月までの期間で延べ32件となっております。今後とも、優良事例を参考に、農業者の農福連携への理解醸成と障がい者の受入れに必要な環境整備支援に取り組んでまいります。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 私からは福祉分野の立場でお答えいたします。
障がいのある方が、農作業を通じて社会に参加できる農福連携は、自然との触れ合いにより心身の健康に好影響を与え、障がいの特性に応じた農作業を提供することが可能であるなど、障がいのある方にとって多くのメリットが期待できます。また、障がい者就労施設におきましても、農業者から農作業や加工等を請け負う施設外就労など、農業分野と福祉分野の相互理解を図りマッチングを行うことによって、利用者の賃金水準の向上や自立した生活の実現につながりますことから、とても重要な取組であると考えております。
こうした農福連携には、農業者側に障がいへの理解や障がい者雇用のノウハウが必要でありますことから、議員御紹介の熊本県農福連携協議会等と効果的なマッチング支援を検討するとともに、農水局と連携を取りながら、障がいのある方が農業現場で活躍できる機会をつくってまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 農水局長、健康福祉局長、いずれも農福連携の意義について御理解いただいているものと感じました。ぜひ、部局横断的に農業者の皆さんに御理解を求めながら、障がい者の皆さんが、農業現場で活躍できる機会をおつくりいただきたいと存じます。
農福連携をはじめ、業種を超えた横断的連携には、大きな可能性があると考えられております。農業に限らず、林業や水産業と福祉の連携を図ることもその一例であります。さらに、六次産業化を推進するためにも、農福連携は欠かせない要素となり得ます。そもそも、六次産業化は、一次産業である農業者が農畜産物の生産だけではなく、二次産業である製造業や加工業、また、三次産業であるサービス業や販売業に取り組むことで、生産物の価値をさらに高め、農業所得の向上を目指す取組であります。すなわち、六次産業化は、農業者が新たな価値や就業機会を自らつくり出し、多角化や高付加価値化を通じて、地域活性化に寄与することであります。そのように考えれば、六次産業化と農福連携は無縁ではありません。農家が潜在的に抱える担い手不足の改善に向け、農福連携という事業モデルは、六次産業化を推進する課題解決の一助となる可能性を秘めております。
熊本市内の福祉施設の中には、この六次産業化に自ら取り組んでおられる事業者もございます。A型就労継続支援事業所において、農地を借り上げ、自分たちでトラクターやビニールハウス等の農機具を調達し、そして、販売会で直接消費者の皆さんに販売するといった、いわゆる就労支援事業として、経営努力を行っている事業者もございます。事業規模に限りがあることから、食品としての加工や製造には着手できていないものの、六次産業化に向けた努力を続けておられます。
御紹介したような事例も含め、農福連携には様々な可能性がある一方、その推進に課題も多く高い障壁がございます。改めて農福連携の可能性を十分に認識いただき、行政サービスの一環の中で、業種横断的な取組をサポートしていただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。農業従事者や福祉事業所とのマッチング、農場で働かれる障がい者の皆さん方への支援制度の創設や、事業運営費や広報活動に係る助成金等、自治体としての事業支援サービスの拡充を図っていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。大西市長、農福連携に対する思いと併せて御答弁ください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 農福連携については、現在、国で検討されております食料・農業・農村基本法の改正案において、障がい者等の農業に関する活動の環境整備に関する条文が新設されるなど、地域農業の振興に新たな役割を担うものと位置づけられております。もとより、障がい者の社会参加に当たっては、受け入れる側の障がい者への理解や雇用に関する知識や経験、体制整備が重要であります。
しかし、先ほど農政局長が答弁いたしましたとおり、本市での農福連携の取組実績は、まだまだ多いとは言えない状況であり、まずは、受け入れる側であります農業者、そして、作業を請け負う障がい者就労施設の双方が、互いの特性などについて理解を深める取組を進めてまいります。また、障がい者が働きやすい環境を整備するため、農業者が、トイレや休憩所などを整備する場合の支援を引き続き行ってまいります。
障がい者にとって農業の分野に活躍する場ができることは、障がい者の就労問題において極めて意義深いことでございます。具体的には、農作業が体力や精神面での訓練に有効であること、また、農業技術を取得すれば農業関連の就職につながること、さらには地域交流の機会としても大きく期待できることもあり、本市が現在策定中の障がい者生活プランでも、農福連携の推進を明記しております。
今後も、県及びJA熊本中央会の農福連携コーディネーター等と連携し、農業者や障がい者就労施設に対して周知を図りますとともに、他都市の先行事例等を参考に、農業部局と福祉部局が連携し、農福連携の推進に強力に取り組んでまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 農福連携に対し御理解いただいていること、そして、その思いを共有させていただいていること、大変うれしく感じました。今後は、農水局や健康福祉局が部局横断的に農水連携事業を進めていただくことに大いに期待しておきます。
なお、それぞれの部署において、農福連携に関し、担当者や責任者を明確にし、事業の推進を図っていただくようにお願いしておきます。
次に、児童育成クラブについてお尋ねいたします。
熊本市内には、市が直接運営しております80か所の公営クラブのほか、保護者会や社会福祉法人等を通じて運営している15か所の民営クラブが存在いたします。特に今回の質問は、公営で運営している80か所にも上るクラブについて、その運営状況や課題、改善すべき点等について質問してまいります。
熊本市が運営しております各校区の児童育成クラブにおいては、様々な課題が存在いたします。使用施設の経年劣化により、早急な施設整備が求められるクラブが存在すること、また、大切な子供たちをクラブでお預かりする支援員が、熊本市の公営クラブで60人を上回る規模で不足していること等が挙げられます。特に支援員の不足は慢性的であり、深刻な担い手不足に直面しております。現在は、例えば、小学校給食担当の職員の皆さんに応援支援員としてクラブをお手伝いいただき、その不足分をカバーするなど不安定なクラブ運営を迫られている現状があります。そのほか、クラブを利用する児童数に対し、国が求める1人当たりの施設面積を確保できていない施設が9つに上るなど、狭隘率が課題となっているクラブも存在いたします。
さらに、クラブの全体運営にも課題があります。80にも上るクラブを統括している部署は教育委員会となっておりますが、支援員や応援支援員の確保、新規採用や人事異動、500名を超える関係者の給与や福利厚生に関する事務等々、効率性の高いクラブ運営を目指すには、改善を必要とする課題が多岐にわたります。また、本部である教育委員会と現場のクラブは、Cネット等のデジタル環境が整っておらず、情報のやり取りは、給与計算等も含め、いまだアナログに頼る部分も多いと聞いております。加えて、支援員の給与水準は、熊本市会計年度任用職員の給与水準に準じていることから、現場環境に応じた給与水準が担保されておらず、柔軟性に乏しいと言わざるを得ません。
また、国は新・放課後子ども総合プランにおいて、一定の入会基準を設けた放課後児童クラブと、全ての児童を対象とした放課後子供教室の2つの事業を推進しております。しかし、残念ながら熊本市が提供しているサービスは、一定の入会基準を設けた放課後児童クラブのみとなっています。
そこで、教育長にお尋ねいたします。今、御紹介した様々な課題を踏まえ、現状の児童育成クラブに対する教育委員会の認識をお示しください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 児童育成クラブは、利用する児童が安心して快適に過ごせる場所でなければならないと認識しております。毎年、狭隘施設及び老朽施設解消のための施設整備を行っており、令和6年度当初予算案におきましては、飽田南小、長嶺小、小島小、東町小、白坪小の5施設の新たな専用施設を整備する経費を計上しております。今後とも、児童が安心して快適に過ごせるよう計画的な施設整備に取り組んでまいります。
支援員の数につきましては、国の配置基準は満たしておりますが、配慮を要する児童を見守る支援員の数が不足している状況であります。このことにより、支援員の負担感が増していると認識しております。支援員不足の解消のため、処遇改善等を行って、その解消に取り組んでいるところであります。さらに支援員不足の要因の一つである多数の支援員が離職するという問題に対して、支援員の事務負担の軽減や相談体制の強化等を行い、働きやすい環境を整え、人材の確保に取り組んでまいります。
放課後児童育成クラブの運営につきましては、各クラブにパソコン等を配置するなど、事務の効率化に取り組んできたものの、議員御指摘のとおり、手作業に頼るところも多く、課の職員や支援員の事務負担となっていると認識しております。今後、負担となっている給与計算や福利厚生に関する事務などを軽減できるよう、運営の改善に取り組んでまいります。
放課後子供教室は、子供が放課後を安全・安心に過ごすための居場所の一つであると認識しております。来年度に先進自治体の視察等を行うこととしており、児童育成クラブと放課後子供教室が連携した取組等を研究してまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 狭隘、老朽施設改善のため、5つの小学校施設で新たに整備を進めるとのこと、現在の児童育成クラブが抱える課題を一つ一つ丁寧に検証いただき、子供たちの目線に立って効果的なクラブ運営がなされることに期待いたします。
私は先日、放課後の児童対策について、鎌倉市と藤沢市にお邪魔してまいりました。鎌倉市においては、放課後かまくらっ子と総称し、原則小学校の一画で十分なスペースが確保された施設で、児童育成クラブ及び子供教室が一体運営されておりました。また、藤沢市においては、児童育成クラブのみの運営ではありましたが、比較的小規模なクラブを小学校の外に設け、同じ校区に4つの児童クラブが存在するといった、同じ校区で複数のクラブが運営されている状況でありました。この2つの市、いずれの市もクラブや教室を民間事業者が運営しております。主に、鎌倉市は公立民営、藤沢市は民立民営となっています。一方、熊本市の80か所のクラブは、公営で運営されております。
厚生労働省の全国統計によりますと、熊本市同様の公営クラブは、全体の28%程度に過ぎず、民間事業者がクラブを運営している民営クラブの比率は、72%にも上ります。人材の確保や施設運営の効率化、サービスメニューの独自性や柔軟性を考えた場合、民間事業者の知見や経験値を生かしたクラブ運営が最良と考えられているからだと思います。
例えば、民間事業者にクラブ運営をお任せしたとして熊本市の課題を考えてみますと、人材の確保については給与水準の柔軟性が担保され、新規雇用において優位性が働くものと考えられますし、各クラブの運営事務を教育委員会で一括して所管する必要がなくなるというのも、大きな利点だと考えます。さらに、クラブの柔軟な運営が可能となることから、サービスメニューの充実が図られ、現在開設されていない放課後子供教室の運営を始める機会になるのではとも考えます。
そこで、教育長にお尋ねいたします。公立公営で行っている熊本市の80か所のクラブ運営を公立民営とし、民間事業者にクラブの運営を託すお考えはございませんでしょうか。熊本市が置かれている現状を踏まえ、公営から民営に運営形態を移行するメリットやデメリットを想定いただきながら御答弁ください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 児童育成クラブの民間委託につきましては、多くの市町村で取り入れられており、本市としても安定的なクラブの運営を行うための手段の一つと考えております。
民間委託した場合のメリットといたしましては、安定的な人材確保、ICT化による事務の効率化や利便性の向上、児童の活動プログラムの充実等が考えられます。デメリットといたしましては、財政負担の増加等があると考えております。
近年の児童数増加により、民営クラブの運営が困難となっている飽田南小において、令和7年度からモデル的に民間委託を実施し、その効果検証を行うとともに、利用者・関係者等の意見も伺いながら、他のクラブの民間委託についても検討してまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 令和7年度から飽田南小学校において、児童育成クラブを民間委託で運営したいとの答弁でありました。公設民営化に向けた第一歩だと感じます。初めての取組でもあることから、慎重に進めていただきたいと思いますが、その成果をほかの児童育成クラブに拡充することができるよう、子供たちのために鋭意努力いただきたいと存じます。
次に、熊本市民病院について、その現状と旧市民病院の跡地についてお尋ねいたします。
まずは、令和2年から続いたコロナ感染症、長きにわたりその感染症と戦い続け、熊本市民の生命を最大限守っていただきました熊本市民病院のスタッフの皆さんに心から敬意を表するとともに、改めて感謝申し上げます。
さて、今年度も残すところあと1月程度、昨年の5月には、コロナ感染症の分類が2分類から5分類へと変更となりました。空床保障として支払われていた病床確保料の制度が見直されたこと等で、病院の財務にも大きな影響があった1年だったと思います。3月には決算を迎える時期であります。今年度の決算の見込みを現状分析とともにお示しください。
あわせて、旧病院跡地についてお尋ねいたします。旧病院の解体では、工事中の粉じんや騒音、振動により周辺住民の皆様をはじめ多くの方々に御迷惑をおかけいたしましたが、昨年の7月にその工事を完了いたしました。今後は、旧病院跡地をどうするのか、ということに関心が寄せられます。一方、病院側からは、売却の方向で検討している旨の説明がなされておりますが、そもそも売却は決まったことなのでしょうか。病院事業会計に与える影響や、現存している管理棟の借入れ残高等を踏まえ、売却方針の理由を改めてお示しください。
以上2点、病院事業管理者にお尋ねいたします。
〔水田博志病院事業管理者 登壇〕
◎水田博志 病院事業管理者 まず、熊本市民病院の現状と今年度の決算見込みについてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の5類移行により、令和5年6月より全ての病床の稼動を開始いたしましたが、入院、外来の患者数は順調に増加し、前年度を上回る医業収益を見込んでいます。最終的な決算とは異なりますが、旧病院解体の費用を特別損失として計上していることから、約4億5,000万円の収支不足となるものの、解体費用を除くと収益的収支は収支均衡となる見込みでございます。
次に、旧病院跡地の今後の対応について、お答えいたします。
旧病院跡地は、管理棟に係る起債の償還が令和12年度まで、約10億円残っておりますが、病院事業での利活用は見込めず、売却により病院事業会計の収支改善が期待できることから、病院局として売却の方針を決定しています。売却先につきましては、市からの利用希望があれば有償譲渡を行いますが、市の調査で希望がなかったため、地域住民の皆様の御要望に沿うような方向で、令和6年度の民間事業者への売却に向けて調査等を進めているところです。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 実は、植木病院等を含む熊本市病院事業会計では、令和2~4年度にかけて決算状況は劇的に改善しています。コロナ禍の医療制度の影響によるものと考えられますが、3か年の純利益は66億円にも上ります。財務に大きな改善の兆しが見えてまいりました。今年度の熊本市民病院は、旧病院解体費用を計上することで4億5,000万円程度の赤字計上を予定とのことですが、その要因を除外すると収支均衡とのこと、来年度以降、事業会計改善に向け、改めて御奮起お願いいたします。
一方で、旧病院跡地は売却の意向が改めて示されました。病院事業での利活用が見込めない、事業会計の収支改善が図られる、熊本市からの利用希望がなかったことがその理由だそうであります。また、管理棟の借入れ残高が10億円程度残っていると明らかにしていただきました。さらに、令和6年度までには売却をしたいとの意向も示されました。
旧市民病院跡地の路線価は、1平米当たり8万6,000円程度であります。路線価ベースで考えると、旧市民病院跡地の土地の評価額は、11億7,000万円、路線価程度でしか売却できなかった場合、借入れ残高10億円を返済すればキャッシュフローベースでの収支改善には寄与できないのではとも考えます。
当該地は4,000坪を超え、その立地も、通称電車通りと東バイパスの交差点を近隣に控えております。自動車をはじめ、バスや市電利用者にとっても利便性が高く、交通の要所であります。一方で、当該地には、旧市民病院の地下構造物が存在します。600本にも迫るくいも地中に残ったままです。さらに、南側には管理棟として使われていた地上7階建ての建物がそのままとなっています。今後の土地利用については、地域の皆様からのお声が要望として上がっているとも聞いています。
このような背景を鑑み、旧病院跡地の処遇について私見を申し上げます。
この旧病院跡地は、熊本市病院局の所有資産です。それゆえ、不動産の処遇は病院局の判断となりますが、病院事業を抱えながら効果的な不動産の処遇を検討するというのは難しいのではと考えます。売却の選択肢を考慮しながらも、資産の有効活用を検討する可能性を残す意味で、病院局から当該地の所管を熊本市に有償で移行することはできないでしょうか。
そして、熊本市には次のような検討を行っていただきたいと思います。
旧市民病院跡地は地下構造物やくいが多く残っております。その現状を踏まえ、例えば地域の皆さん方のお声を反映し、低層の建物を前提としたスーパー等の商業施設や立体駐車場を配備し、その駐車場の一部をパークアンドライドの拠点とする。また、交通の要所であることから、公共交通の拠点にも利用できると考えます。簡易的なバスターミナルとしての活用や、タクシーやデマンドタクシー、あるいはシェアサイクルチャリチャリの拠点化、市電電車の簡易基地としての活用など、有効な案がないでしょうか。地域の皆さん方のためにも、緑化や公園の整備、医療施設の誘致も有効であります。
一方で、7階建ての旧管理棟は、例えば東区役所の分館機能を持たせたり、子育て支援やひきこもり支援、児童相談所の業務支援、ささえりあ等の高齢者支援の拠点化、また、企業者への支援として、安価な賃料で事務所スペースを提供するインキュベーション施設等の機能を担う建物として有効な活用ができないのでしょうか。民間の知見や経験を取り入れながら、熊本市でぜひ検討いただきたいと存じます。
所見を財政局長にお尋ねいたします。
〔三島健一財政局長 登壇〕
◎三島健一 財政局長 旧市民病院跡地を本市一般会計へ有償所管替えし、有効活用することについてお答えいたします。
病院事業管理者が先ほど答弁しましたとおり、本市では跡地に関して公共施設としての利活用の予定はないことから、病院局において、地域住民の皆様からの御要望に沿うような方向で民間事業者への売却を検討されていると承知しております。今後、具体的な手続を進めるに当たりましては、財政局としても適正かつ迅速に手続が進められるよう売却条件等に関し、関係局との連携調整を図るなど、支援を行ってまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 取りつく島がない御答弁でありました。旧病院跡地は、病院局のみならず熊本市にとっても貴重な財産であります。売却の意向に変更はなくとも、周辺地域の皆様方の意向に最大限配慮しつつ、売却をすることでのメリットを考慮し、有効な資産活用につながるよう十分に検討していただきますようにお願いしておきます。
次に、保育環境の改善に向けた取組について、2点お尋ねいたします。
まず、こども誰でも通園制度についてお尋ねいたします。
国は、こども未来戦略方針において、月一定時間までの利用可能な枠の中で就労要件を問わない通園制度を創設しようとしております。その背景にあるのは、ゼロ~2歳児の6割が就園していないという事実であります。現行の保育所の制度は、就労等で保育の必要性がある御家庭の子供さんが対象となっております。逆に専業主婦の御家庭は保育の必要性が認められず、保育所の制度の対象とはなっておりません。結果として、そのような御家庭では不安や悩みを抱え、孤立した育児に陥りやすくなることが懸念されております。国は就労要件を問わず、全ての子供の育ちを応援し、全ての子育て家庭に対する支援を強化するため、こども誰でも通園制度を創設しようとしているわけであります。
一方で、熊本市では、保育所等において一時預かり事業を行っております。今回、制度化が進められておりますこども誰でも通園制度と一時預かり事業とは何が違うのでしょうか。できるだけ簡潔に後ほど御答弁ください。
また、国は、こども誰でも通園制度の本格実施を見据え、2024年度、全国の自治体を対象とし試行的事業を実施することといたしております。熊本市は、その試行的事業に手を挙げたようですが、その対象となる保育事業者等は、どのように選定されるのでしょうか。地域や区ごとの公平性を担保することも必要ですし、事業の継続性を考慮した事業助成金制度の創設も不可欠であります。こども誰でも通園制度について、本市としての取組姿勢や見解をお示しください。
こども局長にお尋ねいたします。
〔木櫛謙治こども局長 登壇〕
◎木櫛謙治 こども局長 こども誰でも通園制度の試行的事業について、お答えいたします。
まず、一時預かり事業との違いでございますが、一時預かり事業は、未就学児を対象としておりまして、施設に事前に登録していただいた上で、突発的な事情により保育を必要とする場合などに、一時的にお預かりするものでございます。一方、こども誰でも通園制度は、ゼロ歳6か月~2歳児が対象で、保育を必要とする事由がない方でも定期的に利用いただけるものでございまして、こちらも施設に登録を行っていく方向で考えております。
次に、試行的事業に向けた取組についてでございますが、現在、国の検討会で事業の実施要綱等の議論が行われておりまして、本年3月に最終取りまとめが示される見込みでございます。国の制度を踏まえまして、4月以降、本市の制度設計、実施施設の公募、市民の皆様への周知や利用者の募集等を行い、9月頃をめどに試行的事業を開始したいと考えております。
利用者負担額につきましても、制度設計の中で検討してまいりますが、国の検討におきましては、1人当たり1時間300円程度と想定されております。また、令和5年度2月補正予算に、保育士人件費補助など8園程度を想定した所要の経費を約2,000万円計上しておりまして、実施施設につきましては、地域の実情に応じて選定する予定でございます。
この試行的事業を通じまして、令和8年度の本格実施に向け、課題の洗い出しや検証を慎重に行ってまいりたいと考えております。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 9月をめどに試行的事業を開始する、熊本市内で8園程度を選定、利用者負担額は1人当たり1時間300円程度を想定、予算は2,000万円ほどを計上し、保育事業者への助成制度を検討していきたいとの御答弁でありました。
子育て家庭に対する支援を強化するこども誰でも通園制度は、評価に値する制度と考えます。しかし、深刻な保育人材不足の環境下、新たな事業が展開していくことで、現場の職員の皆さん方の御負担が、さらに大きくなるのではとも懸念いたします。制度そのものをしっかり見極め、保育現場の皆さん方の声を公平に聞き取り、現場の現状をつぶさに国に報告することこそ、極めて大切なことと考えます。ぜひ、現場に目を注ぎ、現場に寄り添った観点で、こども誰でも通園制度の試行運営に取り組んでいただきたいと思います。
先ほども触れましたが、子供を健全に育むための保育現場等の人材不足は深刻であります。保育士確保がままならず、入園を希望するお子さんを受け入れられない、一時保育等の緊急事態対応ができない、障がい児保育やアレルギー対応食の提供が行えないなど、本来あるべき環境にほど遠く、その役割を十分に果たせていないと感じておられる保育事業者が多いとも感じます。人材確保に向けた様々な取組に、熊本市はさらに積極的に取り組むべきであります。潜在保育士と言われる方々への復職に向けた伴走支援や、そもそも、若い世代の皆さん方に、子供を育む現場の魅力をしっかりと発信していくこと等は、行政の役割と考えます。
ところで、熊本市教育委員会において、令和5年から新たな取組が教育現場でスタートしました。大学生学校教育活動アシスタントという取組であります。県内の大学生を対象とし、熊本市立の小中学校で学校職員と連携した学習指導の補助等を行い、教育現場での体験活動を通じて教職員としての資質能力や、本市の教員となる志望動機を高めてもらうための事業であります。学校現場でアシスタントとして活動しながら、学級経営や事業、支援の仕方等を学ぶことができるそうです。謝礼金は1時間当たり1,600円、活動時間は1日当たり4時間程度、具体的な活動内容は授業中や放課後の学習指導の補助、授業や家庭学習の課題準備の補助等が挙げられております。保育事業現場でもこのような制度を生かせないでしょうか。保育士になるために現場を経験するインターンシップとは異なる観点で、大学生や高校生に保育現場に興味を持っていただき、その現場で保育士の皆さんの仕事をサポートする、結果として保育の現場を経験することで、保育に従事したいと思う志望動機が高まる機会とならないでしょうか。ぜひ、保育分野でも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
まず、大学生学校教育活動アシスタント制度について、その意図や成果、課題等を教育長に御答弁いただき、続いて、保育現場における高校生や大学生によるアシスタント制度の導入について、こども局長にその所見をお尋ねしたいと思います。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 大学生学校教育活動アシスタント事業の目的は、教員志望の学生が大学で学んだ理論と本市の教育現場での体験活動を往還しながら、教員としての資質能力や、本市の教員となる志望動機を高めてもらうことであります。今年度開始した事業であり、その成果は今後現れることになりますが、学校現場の活動を実体験しつつ謝礼を得られる学生側、日頃からマンパワーの不足に悩む学校側の双方から歓迎されている事業であります。
課題といたしましては、135名の学生から申込みがありながら、41名しか配置できておらず、学生や学校の希望に十分応えられなかったことが挙げられます。そのため、教育委員会といたしましては、事業のさらなる拡充が必要と認識しております。令和6年度当初予算案におきましても、所要の経費を増額して計上しており、活動期間を前期と後期に分けて配置することで、より多くの学生に活動していただきたいと考えております。
〔木櫛謙治こども局長 登壇〕
◎木櫛謙治 こども局長 保育現場におけるアシスタント制度についてお答えいたします。
本市におきましては、職場体験の一環として、保育現場に中学生のナイストライや高校生のインターンシップを受け入れ、また、保育士を目指す学生の保育実習を行っております。今後も、保育業務に興味や関心を持っていただけるよう学生等が保育現場に携わる機会のさらなる拡充を図ってまいりたいと考えております。保育におけるアシスタント制度も、その取組の一つになると思われますため、教育委員会の制度や課題等を参考に研究してまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 大学生学校教育活動アシスタント制度は、その趣旨が学生にしっかりと伝わり、応募多数のようであります。保育の現場においても、保育士としての資質能力や保育士となる志望動機を高めてもらう意味でも、大学生学校教育活動アシスタント制度を参考としつつ、保育活動アシスタント制度の導入をぜひ前向きに御検討いただきたいと存じます。
私からの質問は以上でございます。御答弁いただきました大西市長はじめ執行部の皆様、誠にありがとうございました。また、御清聴いただきました全ての皆様に感謝申し上げ、質問を終わらせていただきます。誠にありがとうございました。(拍手)
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○田中敦朗 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午後 0時06分 休憩
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午後 2時00分 再開
○田中敦朗 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
────────────────────────────
○田中敦朗 議長 一般質問を続行いたします。
中川栄一郎議員の発言を許します。中川栄一郎議員。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇 拍手〕
◆中川栄一郎 議員 皆さん、こんにちは。熊本自由民主党市議団の中川栄一郎でございます。
まずもって、1月に発生いたしました能登半島地震によりまして犠牲になられた方々に対しまして、心からの哀悼の意を表し、被災された方々の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
このたびは伝統ある熊本市議会の場で発言の機会をいただきましたこと、先輩議員の皆様方、そして同僚議員の皆様方に心から御礼申し上げます。また、傍聴にお越しくださった皆様方、インターネット中継にて視聴していただいている皆様に重ねて御礼申し上げます。
初めての質問ということでございまして、地域案件主体となっておりますことをお許しいただきまして、最初の質問に入らせていただきます。
まず最初に、西南地域の振興について質問させていただきます。
人口減少問題について。
平成3年の熊本市合併から三十数年が経過し、旧飽託4町、天明、飽田、河内、北部町の中で一番遅れ感があるのが河内町ではないでしょうか。松尾、河内町など中山間地域から有明海沿岸にかけての人口の減少が著しいと思われます。河内町においても1990年の国勢調査では8,525人いた人口も、1998年には6,867人、令和5年4月1日現在の住民基本台帳人口では5,310人となっており、約30年間で約3,200人以上の人口が減少しております。また、高齢化率の推移も平成10年には24.6%でございましたが、令和5年には44.3%と倍近い数字となっております。数字の上でも過疎化が進み、少子高齢化、人口減少問題は地域の大きな問題となっております。
そういう中で、地元でも人口増加対策として無償で土地を提供され、移住定住を進めていく取組もされておりますけれども、土地の造成から水路、水道といったインフラ整備まで地域でされており、かなりの金銭的な負担も発生しております。また、小中学校への通学距離の問題などで、なかなか思うように進んでいないのが現状でございます。公共交通の利便性の悪さや道路の問題などで地元を離れる方も多い中、空き家もかなり増えております。近年、限界集落という言葉もよく聞かれますし、限界集落になりつつある地区もある中で、地域の将来が本当に心配されるところでございます。
そこで1点目として、熊本市としての人口減少問題に対してのお考えを政策局長にお聞きいたします。また2点目として、西区の中でも過疎化が深刻な松尾地区、河内地区などにおける人口減少に向けた地域の取組などを西区長にお尋ねいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 本市の総人口は、令和2年国勢調査において戦後初めての減少となり、年少人口は1985年頃から、生産年齢人口は2000年頃から減少が続いております。また、国立社会保障・人口問題研究所による最新の将来推計によりますと、本市の総人口は、2070年には54万8,000人程度まで減少する見込みとなっております。このような人口減少、少子高齢化の進行によって、様々な経済的・社会的影響が想定されますことから、令和6年度からを計画期間とする第8次総合計画におきましては、人口減少への対応を本市における最重要課題として位置づけ、2つの視点から総合的な対策を講じていくこととしております。
1つ目は、人口減少の抑制の視点であり、合計特殊出生率の増加や若者の結婚・出産・子育てに関する支援の充実、雇用機会の創出などに取り組むこととしております。また、今後も継続する人口減少への適応をもう一つの視点として、コンパクトで持続可能な都市づくりや、女性、高齢者など多様な主体の社会参画の推進、さらにはあらゆる分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進などに取り組むこととしております。
人口減少の抑制と適応は極めて重要であると認識しておりまして、引き続き、本市総合計画に基づき、各施策に積極的に取り組んでまいります。
〔河本英典西区長 登壇〕
◎河本英典 西区長 私からは、2点目のお尋ねにお答えいたします。
松尾、河内地区においては、西区の中でも人口減少や高齢化が著しい地域であり、その対策が重要であると認識しております。松尾、河内地区をはじめとした有明海沿岸地域では、地域の基幹産業であるミカン栽培やノリ養殖などの担い手不足も課題となっておりますことから、今年度は婚活支援といたしまして、2回の講演会や出会いの場を提供するみなとマッチを実施し、8組のカップルが成立したところでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
また、河内地区におきましては、移住定住促進や空き家の利活用、新たな魅力発信などを目的に本市で初めてとなる地域おこし協力隊2名を受け入れ、住民と協働で地域の魅力向上に取り組んでおります。
そのほか、高齢者等への買物環境の向上や見守り活動を目的とした移動販売にも官民連携で取り組んでおり、今後も地域住民や関係機関と連携を深めながら、効果的な事業を積極的に推進してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。本市の人口も2070年には54万人台まで減少する中で、第8次総合計画において最重要課題と位置づけいろいろな施策を講じ、若者の結婚、出産、子育て支援の充実などに取り組むとのことですので、改めて若い世代が安心して暮らせる、安心して子育てができるまちづくりを進めていかなければならないと思ったところでございます。
西区においても、婚活支援として婚活コーディネーターを呼んでの講演会が行われ、また、農業者、漁業者、担い手に対して、熊本港にて、出会いの場の提供としてみなとマッチを開催していただきました。8組のカップルができたと聞いております。このことは、出会いの場として十分な結果が出たと思われます。私も講演会に参加させていただき、地域ぐるみで若者の背中を押して、いろいろなイベントに参加させていくことの重要性を学ばせていただきました。今後も人口減少対策として、若い世代の出会いの場の提供として婚活事業の継続を切にお願いいたします。
また、地域おこし協力隊を受け入れたことにより、地域活動の活性化にもつながり、隊員のSNSでの情報発信により西区のよさが配信され、魅力の向上がしっかりされていると思われます。今後とも魅力あるまちづくりを目指し、若い子育て世代の移住定住の促進を図っていきたいと思っております。
そういう中で、冒頭でも紹介しました土地を提供しての移住定住促進の取組、いわゆる人口増加対策については、本市において何も支援策がないのが現状でございます。今後、そういう事業への御支援の検討をお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
2番、公共交通の利便性の低下について。
昨年の第4回定例会において、松川議員の質問にて交通弱者との表現が出されましたが、まさにそのとおりでありまして、高齢者にとって公共交通の減少は行動範囲が狭くなる要因であり、車の免許返納を呼びかけても「車のなかなら何もできん」という言葉が返ってまいります。河内町野出地区においては、コミュニティ交通の一環として乗り合いタクシーの運行をされておりますが、原則最寄りのバス停までとなっているため、本数が減ったバス路線では利用する頻度も減ってしまい、利用しづらい状況となっております。
また、子育て世代にとっても、高校に進学する時期に必ず公共交通の利便性の問題が出てまいります。公共交通である路面バスを利用しての通学なのか、自転車通学をするのか、それとも送り迎えをするのか、となってまいります。自転車通学の場合は、501号線は、大型車の通行が多過ぎることと、歩道整備がされていない区間があり事故を懸念することが理由で、今では自転車通学はさせられない状況となっております。バス通学の場合は、朝一番のバスで行かせても、朝課外や部活動の朝練に間に合わないという理由で、バスでの通学は利用しづらくなっております。そういう中でほとんどが送り迎えを余儀なくされております。そういう理由で、高校進学と同時に地元を出られる方も少なくはありません。利用客が減っているので本数を減らす、本数が減っているので利用しづらいといった負のスパイラルが起きております。
現在、AIデマンドタクシーの実証実験も行われている中で、西区まで利用区域も広がりつつありますが、松尾地区から河内地区までの中山間地域まで導入が進めば、様々な課題も解決へ向かうのではないかと期待するところでございます。
そこで、中山間地域における公共交通の今後とAIデマンドタクシーの利用範囲の拡大についてのお考えを都市建設局長にお聞きいたします。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの公共交通に関する御質問にお答えいたします。
本市におけるコミュニティ交通は、これまで主に公共交通空白・不便地域において日常生活における移動手段の確保を図る観点から、既存のバス路線等と接続する形で導入を進めてまいりました。松尾、河内、芳野等の西区の中山間地域では、現在6つのデマンド型タクシーを運行しております。利用者の皆様からは、外出の機会が増えたなど一定の評価はいただいておりますが、もともと路線バスの運行本数が少ないこともあり、利用者は少ない状況が続いており、今後、路線バスの減便や路線廃止により、さらなる公共交通の利便性低下が生じるものと認識しております。
現在、本市で実施しておりますAIデマンドタクシーは、導入地域を順次拡大していくこととしており、議員御案内の地域においても通勤通学、高齢者の日常の買物や通院等の持続可能な移動手段の確保に必要な支援の実施に向け、地域の現状把握等を行ってまいりたいと考えております。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。本市におけるコミュニティ交通の不便地域、松尾地区から河内地区にかけての中山間地域の公共交通の一つとして、AIデマンドタクシーの導入地域の拡大に向け前向きに現状把握を行うとのことですので、交通弱者の対策として、また高齢者の移動手段として大いに期待しております。
御案内のとおり、現在6つのデマンド型タクシー、いわゆる乗り合いタクシーの運行が行われております。河内町のみかんタクシーをはじめ三の岳地区、大将陣地区、芳野地区、そして松尾町にて平山、上松尾地区のふれあいタクシーが運行されております。非常に良いシステムではございますけれども、最寄りのバス停までとなっておりますので、路線バスの運行本数が減っている以上、利用頻度もかなり下がっております。せめて近くの病院、ショッピングセンターとかバスターミナルまで運行していただければ利用頻度も上がり、利便性の向上とともに高齢者の方の行動範囲の拡大、移動手段の確保にもつながると考えます。高齢者の方の免許返納を推進していくためにも、ぜひとも御検討いただきたい事案でございます。
また、今後は、AIデマンドタクシーとともに、ライドシェアの普及にも期待いたします。まだまだ法律の規制など問題もありますが、許可を受けて有償のライドシェアを導入している自治体や、実証実験を検討中の自治体もあると聞いております。公共交通が不足しているエリアの空白地有償運送として御検討いただければ幸いです。今後とも、西南部地域の公共交通空白地域の利便性の向上に、御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
次に、西南部地域の主要道路、国道501号線について質問させていただきます。
国道501号線渋滞、通行止め対策問題について。
国道501号線は、本市西南部の重要な幹線道路であり、天明、飽田、小島、松尾、河内を通り玉名、荒尾、荒尾からは佐賀、福岡を結ぶ物流の重要な路線であります。また、大型車両の通行がかなりの割合を占めており、一車線のため交通事故や車の故障などが起きた場合は通行止めや片側通行を余儀なくされ、大渋滞が発生しております。よって、松尾町、河内町にとっては迂回路がないため、緊急車両の通行ができなくなり、緊急搬送が必要な場合が懸念されております。そのため、命の道とも呼ばれております。
そういう中で、有明海沿岸道路の必要性と早期実現を目指して、国にも要望しております。また、将来的には、峠の茶屋公園下の鎌研坂入り口から、島崎町までの直線距離で、約2.6キロメートル区間の新たなバイパス整備を行うことで、玉名広域農道ともつながり、経済効果はもちろんのこと、河内校区、芳野校区、松尾北校区などへの移住定住の促進や命の道の確保にもつながってくると考えております。
しかしながら、やはり何より緊急を要しますので、まずは、迂回路として県道101号植木河内港線、県道1号熊本玉名線の早期拡幅工事こそが必要となってまいります。県道1号熊本玉名線、花園馬水間については、北川議員とともに市長要望させていただいておりますけれども、まだまだ計画路線にもなっていないのが現状でございます。しかしながら、毎年多くの観光バスが通行しております。令和7年4月には金峰山自然の家の供用が開始される予定ですし、霊巌堂を含めた金峰山一体とJA柑橘選果場は、熊本市の小学生の社会見学のコースになっているため、まだまだ大型バスの運行も増えてくると思われます。そういう状況の中で、両脇からの雑木の生い茂りで観光バスの通行の妨げが起きており、バス運転手の一番嫌う路線となっております。また、本年1月の能登半島地震においては、海沿いの道路の寸断が被害の拡大につながっており、地形的に松尾、河内地区に似ているため、改めて道路の重要性が浮き彫りになりました。
そこで、国道501号線の渋滞、通行止めに対する対策として県道101号植木河内港線並びに県道1号熊本玉名線の拡幅を含めた今後のお考えを大西市長にお聞きいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 熊本地震では九州縦貫自動車道をはじめとする幹線道路が寸断され、国道501号に交通が集中したことで深刻な渋滞が発生し、支援物資の搬送や緊急車両の通行等に大きな影響が生じましたことから、災害時も交通機能を確保するダブルネットワークの構築は不可欠であると認識しております。
議員御質問の植木河内港線と熊本玉名線は、国道501号の迂回路を形成する重要な路線でありまして、これまで河内町岳において道路拡幅やバイパス整備を実施してまいりましたが、なお狭小な区間や急カーブ等により見通しの悪い箇所が点在しております。このようなことから、植木河内港線については、現在事業中の道路拡幅を令和7年度完了に向けて取り組みますとともに、熊本玉名線については、急峻な地形を呈しております地域もありますため、今年度現地調査を実施したところであり、それを踏まえ、地質等の調査や整備手法を検討してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。峠の茶屋周辺の道路拡幅工事やバイパス整備が行われ、通行の流れもかなりよくなってまいりました。しかしながら、まだまだ見通しの悪い箇所が点在しているのも事実でございます。植木河内港線の道路拡幅工事も令和7年度完了に向けてスピード感を持って取り組むとのことですので、改めて感謝いたします。また、熊本玉名線、馬水花園間についても現地調査していただき、今後整備手法を検討するとのことですので、一歩ずつ前へ進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
大西市長より、1つの道路が寸断された場合のダブルネットワークの構築は最重要課題であると言っていただきました。能登半島地震と同様、災害時の海沿いの道路の寸断が被害の拡大につながっており、改めて命の道の必要性が地域の大きな課題となっております。
本市と熊本県で策定された熊本県新広域道路交通計画において、10分・20分構想が掲げられております。熊本市圏北連絡道路、熊本市圏南連絡道路、熊本空港連絡道路、この3つを新たな高規格道路として位置づけられております。松尾北校区や河内校区、芳野校区にとっての命の道をこの熊本市圏北連絡道路へつなげる新たな高規格道路の計画はできないものでしょうか。もしくは、冒頭で申しました鎌研坂入り口から島崎までの直線距離で2.6キロのバイパス計画など、ぜひとも検討いただきたい事案でございます。今回は御回答いただけませんでしたが、今後ともしっかりと要望させていただきたいと思っております。
この計画こそ、現在地域が抱える人口減少問題、移住定住の推進、企業誘致等による地域の活性化、ひいては金峰山周辺の観光誘致にもつながってくると考えております。今後とも地域の実情を御理解いただき、御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
それでは、続きまして農林水産業について質問させていただきます。
この質問は、私は所属する委員会の所管の問題でありますけれども、地元にとりましては非常に重要な案件になりますので、あえて質問させていただきます。
熊本市における農林水産業の位置づけ。
熊本県は全国的に見ても農業県であります。農業生産額も3,477億円となっており全国第5位であります。熊本市においても農業生産額460億円と全国市町村で第8位、政令市では第3位という位置づけとなっております。
西南部地域においても、金峰山山系の花園地区から池ノ上地区、松尾地区、河内地区と伸びる中山間地域は、優秀な柑橘類の一大産地であり、現在も、価格も技術面でも県産柑橘の先進地として他の産地をけん引しております。また、田園地帯ではイチゴ、ナスビ、トマトなど優良産地となっております。そして、有明海ではノリの養殖、アサリ、ハマグリといった海産物の優良な産地であり、全てにおいて第1級の産地と言っても過言ではございません。ノリの養殖においては温暖化の影響は受けつつも、令和5年産秋の秋芽にいたっては近年にないほどの上質のノリの生産ができており、熊本県産ノリが全国1位の高値をつけており、事実上の日本一の産地であります。
しかしながら、本市の農政予算は、農業生産額460億円に対して50億円前後で、ここ数年横ばい状態だと思っております。調べてみますと、過去にも多くの議員の方々から同様の御質問が行われてきました。昨年の第3回定例会、予算決算委員会締めくくり質疑において、古川智子議員からも指摘がありましたが、本市の農政に対する予算があまりにも少な過ぎると思っております。これだけの実績が出ている農林水産業であり、農業者、漁業者ともに多くの後継者が残っている状況であります。この後継者、担い手のためにも、産地の維持形成が重要になってまいります。産地の維持のために基盤整備などを進めていきたいところですが、中山間地域においては傾斜、勾配といった問題もあり、基盤整備がなかなかできないのが現状です。しかし、産地では耕作放棄地をなくす取組の一つとして、補助事業を活用した作業道の整備や、地域でまとまり農道事業への申込みも行っておりますけれども、今の予算措置では申込みから約20年が要する見込みとなっております。これでは、産地が疲弊していくのは避けられない状況だと思っております。食料安全保障が叫ばれる中で、産地を守り、生産性を上げるためにも、農業予算の確保と充実が必要不可欠だと思っております。
また、昨年の第4回定例会においても、寺本議員からの予算措置に対する質問にて、新年度の予算編成において留意するとの財政局長答弁がございました。それを踏まえて、本年度の農業基盤整備費、農業耕地費といった農業予算の配分の考え方について、財政局長にお尋ねいたします。
〔三島健一財政局長 登壇〕
◎三島健一 財政局長 予算編成に当たっては、限られた経営資源の中で事業の優先度に応じた選択と集中を行うことなどにより、必要な事業を確実に推進していくことが重要でございます。令和6年度当初予算の編成に当たっては、こども施策の拡充を最重要課題と位置づけたところでございますございますが、これまでの議会からの御指摘等も踏まえ農業関係予算の拡充を図ることとし、市単独で実施する農業基盤整備事業を前年度比1億3,000万円増の6億円を計上したほか、排水機場の更新等に係る事業を前年度比7,000万円増の4億8,000万円計上するなど、耕地費の投資的経費について対前年度比2億6,000万円増額の16億9,000万円とした予算案を編成したところでございます。今後とも、農水産業をめぐる状況を丁寧に把握し、適切な予算編成に努めてまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。予算編成に当たっては、限られた経営資源の中で優先度に応じた予算の配分を進められていくとのことで、今回、農業基盤整備事業を前年比1億3,000万円増の6億円、排水機場更新に係る事業に対し前年比7,000万円増の4億8,000万円、耕地費の経費について前年比2億6,000万円増の16億9,000万円の予算編成がなされました。多くの議員の方からの指摘があっての措置だと思っております。排水機場の更新や農業基盤整備費、耕地費といった部分が少しでも上がることで、停滞している事業が前へ進むわけでございますので、産地としてもありがたいことだと思っております。ありがとうございます。
しかしながら、農業水産業費自体は、令和5年の当初予算の51億9,127万円から50億6,590万円と2.4%の減となっております。実際は、森づくり事業の分が都市建設局へ移行したことによる減少だと思っておりますけれども、やはり、農林水産業費自体にもう少し上げ幅を持たせていただくことが、第1次産業である農林水産業を守っていくことにつながると思っております。基盤整備費や農業事業費を推進していくことが産地の維持形成に最も重要です。食料安全保障、自給率向上、生産性を上げていくためにも、今後とも適切な予算編成に努めていただきますようにお願いいたします。
それでは続きまして、次の質問に入らせていただきます。
2番、農業支援金事業について。
ロシアのウクライナ侵攻により小麦を含めた農産物の輸入が滞り、やっと政府も自給率の向上、食料安全保障を重要な国の施策として掲げてまいりました。そんな中、私の周りにも農業に参入したいと言ってくる若者が増えてまいりました。また、実際にサラリーマンを辞めて実家の跡を継ぐ方や、奥様の実家の農業を継いだ方とか、息子は継がなかったけれども孫が継いでくれたとか、うれしい話が多々あります。今年度の熊本県農業コンクールにおいては、地元イチゴ農家の若手農業者がグランプリを獲得し、地元の新規就農者が新人王を獲得してくれました。やっと農業が見直される時代が来たように感じます。
国には新規就農者に手厚い支援がありますが、最近では非常に厳しい規制があるように思います。令和3年度までは年間150万円の支援金が5年間支給されておりました。しかしながら、令和4年の新規就農者育成総合対策事業からは、5年間から3年間に縮小されております。実際に本市管内でも支援金目当てに申請されて、畑は借りたものの無農薬での栽培だと言って全然農地には手を入れずに荒れ果てたという例もあり、審査が厳しくなったとは聞いております。しかし、新規で始められる方にとって農業機材、また、農業資材を一からそろえるためにはかなりの資金が必要です。現在、経営開始資金として150万円を3年間、経営発展支援事業として補助対象事業費上限1,000万円、自己負担4分の1となっておりますけれども、購入できる機械、資材等が限られておりますし、採択においてはポイントの算定基準が難しく、新規での参入者にはハードルが高過ぎるように思います。
また、所管の委員会でも質問させていただきましたが、農地利用等効率化支援金事業、いわゆる3割補助の事業においてもポイント制となっており、算定基準が大規模農家有利の基準となっておりますし、非常にポイントの取りづらい算定基準になっております。この2つの事業とも県を経由する国事業であり、熊本市で自由に要件を変更できるものではございません。私は、真に日本のこれからの農業を担う方々のための事業となってもらいたいと思っております。今後、この2つの事業の採択に関わるポイント制度の在り方について、国への要望をしていくことを考えております。例えば、新規就農者育成総合対策事業であれば、新規就農者をこれからも地域でサポートしていくというような推薦がある者はポイントが加算されるとか、農地利用効率化等支援金事業であれば、産地や地域独自の加算ポイントが設定されるなど、そういうことをしっかりと訴えていきたいと思っております。
このような制度改善についての本市の御意見をお伺いいたします。また、冒頭に紹介しましたように、本市の新規就農者や認定農業者などの地域の担い手が、今後も前向きに営農を続けていけるように、本市独自の事業支援などについて、本市の農業振興に対する思いを大西市長にお尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員御指摘のとおり、農地利用効率化等支援交付金などのポイント制度が導入されております国の担い手支援の関連事業につきましては、近年、農業者の皆様から利用しにくいとの声が本市に対しても寄せられておりまして、採択が厳しい状況にあると承知しております。本市の基幹産業である農業を継続的に発展させていくためには、国の事業を活用して意欲ある農業者の皆様の経営支援に的確に対応していくことが重要であります。
私自身、市長とドンドン語ろう!や農業者主催の農業者大会などで農業者の皆様と意見交換を行ってまいりましたが、本件をはじめ、皆様の御意見を踏まえながら、地域の実情、実態に即した制度となりますよう、今後も県や国へ提案してまいります。
なお、本市では夢と活力ある農業推進事業を措置し、認定新規就農者や認定農業者の皆様の施設整備等を支援しておりまして、引き続き、農業者の皆様の御意見を踏まえ、利用しやすい事業となるよう機動的に取り組んでまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。本市独自の支援事業である夢と活力ある農業推進事業、いわゆる夢活は、農業者にとりまして非常に使いやすい事業だと感じております。しかしながら、やはり予算の関係上、申込者全員の事業採択までは至っていないのが現状ですので、今後の適切な予算措置をお願いいたします。
農地利用効率化等支援交付金事業については、今後、産地を維持形成し、産地を守っていくためには必要な事業だと考えます。耕作放棄地をなくしていくためには、現在の担い手がやめていかれる農地を引き受けていくことが重要になります。私どもの試算では、今の営農規模の約1.5倍ほどの農地を持つことになると推察します。その場合、現状の農業用施設では無理が生じてまいります。補助事業を活用しての営農規模の拡大と設備投資を進めていくことが重要だと考えます。
また、新規就農者育成総合対策事業においても、経営発展支援事業としての融資を受けるには、算定基準がかなり厳しいため、諦められているのが現状です。本市においては、昨年度の採択者は1人だったと聞いております。今後も、国や県へ採択基準の見直しの提案を検討するということですので、期待いたします。
大西市長より、意欲ある農業者の経営確立支援に力を入れていくとの答弁いただきましたので、今後とも、本市の農業が継続的に発展しますように御支援お願いいたします。
続きまして、農業現場における鳥獣害対策について質問いたします。
現在、鳥獣被害対策のうち住宅地などの生活圏内被害対策については、令和5年第4回定例会において、田島議員、松川議員から質問があったと思いますけれども、今回は農林水産業被害についての質問させていただきます。
近年、農業被害額は有害鳥獣駆除隊の方々の御支援により、減少傾向になってきております。これは主にイノシシ被害の減少によるもので、アナグマ、タヌキといった中型獣類による果樹、スイカ、メロンなどの被害は横ばい、また、鳥類による果樹、露地野菜、ノリを含めた海産物の被害と相談件数は増加傾向にあると聞いております。特にカラス、ヒヨドリの地元河内での果樹類への被害は大変深刻です。また、カモによるノリの食害もかなり被害が出ております。また、河内町白浜地区ではカモによるブロッコリーの食害、沖新町高砂地区ではレンコンの新芽の食害が出ております。現在、銃以外での対策として県事業を活用して、カモ撃退装置の実証実験が行われております。一方で、河内地区、松尾地区などの本市果樹産地では、中山間傾斜地が主体であり、防鳥ネットの設置など被害の防止対策が困難であり、鳥類被害対策は猟銃による駆除が主流となっております。しかし、現在、銃猟免許を有する駆除隊員が不足しており、育成が急務となっております。
その要因の一つに、鳥類駆除の捕獲報奨金の低さもあると思っております。1羽当たり200円で、報奨金をもらうには日付入りデジタルカメラにて左向きで撮影し、鳥類の両足を提出することとなっております。1羽200円のカモ、ヒヨドリなどを駆除するために弾代が約200円かかり、面倒な報告書の作成があるために鳥類駆除はほとんどボランティアでやられているのが現状です。せめて1羽1,000円ぐらいの報奨金になれば、銃での駆除も増えてくると予想されます。また、銃猟免許の取得者も増えてくると思っております。
そこで、今大変被害が拡大している鳥類被害対策と銃猟免許を有する駆除隊員の育成に対しての本市独自の支援策などはないものでしょうか。農水局長にお聞きいたします。
〔大塚裕一農水局長 登壇〕
◎大塚裕一 農水局長 本市の有害鳥獣による温州みかん被害額は、令和4年度約2,700万円と農作物の中で一番大きく、その約3割が鳥類によるものとなっています。鳥類の被害対策は、重要な課題と認識しています。
鳥類への被害対策は、これまで猟銃による駆除のほか、議員御紹介の河内町白浜地区や沖新町高砂地区の平地では、令和4年度から県事業を活用し、カモにレーザー光を当てて追い払う撃退装置の実証実験を行っており、一定の効果を上げています。一方で議員御指摘のとおり、河内地区などの本市果樹産地は、金峰山系山腹の急傾地が主体であるため、防鳥ネットなどの被害防止対策が困難であり、猟銃による駆除を強化する必要があると考えています。
猟銃による駆除を進めるに当たっては、銃猟免許を有する駆除隊員の確保が必要であります。しかしながら、現状では当該隊員が高齢化しており、担い手の育成が急務であります。このため、今年度から銃猟免許取得に対する一部補助を実施し、駆除隊員の費用負担の軽減を図るとともに、経験の浅い銃猟免許所有者に対しましては、県事業を活用した射撃技術向上研修等を実施しています。
御提案の捕獲報奨金の上乗せについては、捕獲意欲の向上に有効であると考えており、アナグマ、タヌキなどの中型獣類では、令和6年度当初予算案において上乗せに係る所要の経費を計上しております。鳥類に対しましては、駆除隊員の負担軽減と持続可能な猟銃による鳥類被害対策における駆除体制の確保への効果について、今後検討してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。今年度から銃猟免許取得に対しての一部助成をしていただくとのことで、駆除隊員の育成、確保に有効だと考えます。隊員の高齢化により、若い担い手の育成が急務とはいえ、免許の取得には約10万円ほどかかり、猟銃も安く見積もっても5万円から10万円が必要となります。また、年間の維持経費だけでも約5万円ほどかかると聞いております。弾も2分の1補助とはいえ、補助金が入るまで半年ほどかかり、かなりの費用負担がかかっております。担い手がやる気を持って有害鳥獣駆除を行うためにも、費用負担の軽減は重要だと考えております。令和6年度より中型獣類に対しては、捕獲報奨金の上乗せを計上されているようですので、捕獲意欲の向上につながる措置だと思っております。
イノシシによる被害は減少傾向とはいえ、それは駆除隊の方々の御支援によるものであって、担い手の育成ができなければ、また一気に個体数は増える一方だと考えます。熊本県内でも各市町村ごとに独自の支援策を講じておられます。国のイノシシに対する報奨金は、成獣1頭7,000円、幼獣については1,000円となっております。本市の場合は、成獣、幼獣ともに3,000円の上乗せを行い、捕獲意欲の向上を図っておられますけれども、例えば阿蘇郡産山村の場合は、成獣に8,000円、幼獣に1万4,000円の上乗せを行い、1頭が成獣、幼獣ともに1万5,000円としています。ほかの自治体を見ても、熊本県内36の自治体で幼獣の大幅な上乗せを行われております。この状況は、個体数を減らすには、幼獣の捕獲こそが有効だということだと思われます。本市においても、今後は駆除隊員の負担軽減や捕獲報奨金の上乗せによる捕獲意欲の向上につながる措置を講じていただきますように切にお願いいたします。
それでは、最後の質問に入らせていただきます。
老人福祉センター廃止について。
令和5年第4回定例会において、熊本市の川上、南、西、河内の4つの老人福祉センターの廃止案が可決されました。私の地元の河内老人福祉センターについても、本年3月31日をもって廃止となります。地元自治会より、耐震性能不足と老朽化は理解するものの、もう少し時間の猶予をお願いしますといった要望書が提出されました。話合いの結果、附帯決議をもっての可決としたわけでございます。ある程度は住民の方も理解していただいたわけではございますけれども、やはり納得いかない部分もかなりあります。
そもそも地域は高齢化率が44.3%と加速する中で、高齢者福祉施設はむしろ増やしていくべきであり、耐震性能不足は仕方ないとしても、廃止ありきで4つの施設を廃止する以上、減った分増やしていくべきであり、時代に逆行しているように思えます。今後の高齢人口がますます増えていく中で、高齢者福祉に対する本市の方向性と附帯決議に盛り込まれた地域活性化に対する本市のお考え、方針を健康福祉局長にお聞きいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 老人福祉センター廃止に関連しまして、本市における今後の高齢者福祉施策の方向性などについてお答えいたします。
高齢者人口が今後ますます増加する中、人生100年時代を見据えると健康で生き生きとその人らしく生活できることが重要であり、現在策定を進めている第9期くまもとはつらつプランにおいて、効果的な健康づくりと生きがいづくりの推進を重点的取組に位置づけ、強化を図ることとしています。具体的には、骨折予防対策などビッグデータ分析結果に基づく取組や、プロスポーツチームと連携した健康づくり事業を実施するとともに、地域においては、くまもと元気くらぶの活動を活性化するための助成や、活動の質を高めるための専門職の無料派遣など、支援の強化を進めてまいります。
また、活動場所の確保につきましては、老人福祉センターなどの市有施設だけでなく、民間施設も含め地域にある既存の社会資源も有効活用しながら、誰もが身近な地域において健康づくりができる環境を整えることとしています。
今回、老人福祉センターを廃止することとなりますが、附帯決議を踏まえ廃止に伴い地域が衰退することのないよう、地域活性化策につきましても地域の皆様と一緒になって検討してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。河内老人福祉センターについては、附帯決議を踏まえ、地域が衰退することのないように地域活性化策についても話合いの場を設けていただくとのことですので、期待いたします。
利用者の方は、ほとんどが歩いて利用されている方ですので、ほかの地域の施設利用は厳しい状況です。また、河内温泉がなくなるのが一番危惧されておることでございます。そういう中で、健康づくりができる環境を整えるために、市有施設だけでなく民間施設も含め地域にある既存の社会資源も有効活用しながら、高齢者福祉や健康づくりができる環境の充実に努めていくと言っていただきました。
河内老人福祉センターの周辺には、閉館された温泉施設や温泉旅館などもございます。今後、地域においての活動の助成や支援を進めるとのことですので、老人福祉センターの利用者の方が気軽に健康づくりができる場としての利用や、くまもと元気くらぶの活動の拠点として利用できるなら、老人福祉センター廃止後の高齢者福祉に大変役立つと考えます。附帯決議にもありましたが、今後も地域と話合いを持ちながら、地元としましてもまちづくり、地域おこしの一環として河内温泉の復活に力を入れていきたいと考えておりますので、今後とも御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
以上で、準備しました質問は全て終了いたしました。真摯に受け答えをいただきました大西市長をはじめ執行部の皆様方に、また、御尽力をいただいた職員の方々に心より御礼申し上げます。また、インターネットにより視聴いただいた皆様、傍聴に足をお運びいただいた皆様に重ねて御礼申し上げます。今後とも、現場の声をしっかりと届けていける議員として努力、精進してまいりますので、先輩議員、同僚議員の方々の御指導、御鞭撻、そして地域の皆様方の御支援、御協力を重ねてお願いいたしまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○大嶌澄雄 副議長 本日の日程は、これをもって終了いたしました。
次会は、明6日(水曜日)定刻に開きます。
────────────────────────────
○大嶌澄雄 副議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 2時57分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり
令和6年3月5日
出席議員 47名
1番 田 中 敦 朗 2番 大 嶌 澄 雄
3番 村 上 麿 4番 瀬 尾 誠 一
5番 菊 地 渚 沙 6番 山 中 惣一郎
7番 井 坂 隆 寛 8番 木 庭 功 二
9番 村 上 誠 也 10番 古 川 智 子
11番 荒 川 慎太郎 12番 松 本 幸 隆
13番 中 川 栄一郎 14番 松 川 善 範
15番 筑 紫 るみ子 17番 島 津 哲 也
18番 吉 田 健 一 19番 齊 藤 博
20番 田 島 幸 治 21番 日 隈 忍
22番 山 本 浩 之 23番 北 川 哉
24番 平 江 透 25番 吉 村 健 治
26番 山 内 勝 志 27番 伊 藤 和 仁
28番 高 瀬 千鶴子 29番 小佐井 賀瑞宜
30番 寺 本 義 勝 31番 高 本 一 臣
32番 西 岡 誠 也 33番 田 上 辰 也
34番 三 森 至 加 35番 浜 田 大 介
36番 井 本 正 広 37番 大 石 浩 文
38番 田 中 誠 一 39番 坂 田 誠 二
40番 落 水 清 弘 41番 紫 垣 正 仁
43番 澤 田 昌 作 44番 満 永 寿 博
45番 藤 山 英 美 46番 田 尻 善 裕
47番 上 野 美恵子 48番 上 田 芳 裕
49番 村 上 博
欠席議員 1名
16番 井 芹 栄 次
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦
副市長 中垣内 隆 久 政策局長 田 中 俊 実
総務局長 宮 崎 裕 章 財政局長 三 島 健 一
文化市民局長 金 山 武 史 健康福祉局長 津 田 善 幸
こども局長 木 櫛 謙 治 環境局長 早 野 貴 志
経済観光局長 村 上 和 美 農水局長 大 塚 裕 一
都市建設局長 井 芹 和 哉 消防局長 福 田 和 幸
交通事業管理者職務代理者
伊 藤 幸 喜 上下水道事業管理者田 中 陽 礼
教育長職務代行者 田 口 清 行 中央区長 岡 村 公 輝
東区長 本 田 昌 浩 西区長 河 本 英 典
南区長 本 田 正 文 北区長 中 川 和 徳
病院事業管理者 水 田 博 志
職務のため出席した議会局職員
局長 江 幸 博 次長 中 村 清 香
議事課長 池 福 史 弘 政策調査課長 上 野 公 一
令和6年3月5日(火曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第6号 │
│ 令和6年3月5日(火曜)午前10時開議 │
│ 第 1 一般質問 │
└─────────────────────────────────────┘
午前10時00分 開議
○田中敦朗 議長 ただいまより本日の会議を開きます。
────────────────────────────
○田中敦朗 議長 日程第1「一般質問」を行います。
発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
まず、井坂隆寛議員の発言を許します。井坂隆寛議員。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇 拍手〕
◆井坂隆寛 議員 議席番号7番、井坂隆寛です。質問に入ります前に、令和6年能登半島地震でお亡くなりになられました方々に哀悼の意を表するとともに、被災された被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
本日、お忙しい中傍聴席にお越しの皆様、インターネット配信で御覧の皆様、また、質問の機会を与えてくださいました先輩議員、同僚議員の皆様に感謝申し上げ、本題に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、自転車の利用についてです。
昨年度、熊本市立の中高生の自転車乗車中の事故件数は14件で、これは決して少なくない件数です。熊本市内の高校や中学校の自転車通学生徒数は、令和4年度は3,465人、今年度は3,532人でおおむね一定です。来月、新学期を迎えるに当たり、再度学校から自転車通学生に対し交通安全の呼びかけ並びに交通指導を確認していただきたいと思います。
さて、自転車の歩道の通行と安全については、これまでにも都市整備委員会や教育市民委員会でたびたび取り上げられてきました。昨年の道路交通法改正で、全ての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となり、来年度から着用を自転車通学許可の条件に加える県立学校もあります。県内のヘルメット着用率は、昨年7月調査では全国平均13.5%を下回り8.3%、そして、熊本市内の着用率は昨年5月調査では8.0%、うち通学中は僅か1.5%です。引き続き通学中の着用率向上が課題です。
また、歩道の通行に関しては、内閣府配布資料によりますと、普通自転車歩道通行可の標識・表示がある場合、普通自転車は歩道を通行できますが、車道寄りの部分をすぐに停止できる速度で通行したり、歩行者通行を妨げるときは一時停止しなければならないことが上げられています。
ここで、教育長にお尋ねします。市立各学校における生徒、特に自転車通学生への交通安全指導の方針と方法について教えてください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 本市における交通安全指導は、様々な交通場面における危険について理解し、安全な歩行、自転車等の利用ができるように、各教科において、年間に指導すべき内容を整理して学校安全計画に位置づけることにより、系統的、体系的な安全教育を実施することとしております。
自転車乗車時の安全指導については、保健体育の授業や学級活動等により、交通ルールや事故の発生要因などについて学習するとともに、登下校時や日常的な教育活動全般の中で安全指導を行っております。加えて、交通安全協会等と連携して自転車教室を開催するなど、実践的な取組を行っているところであります。
これから新年度を迎えるに当たり、自転車通学する生徒の交通事故を防止するため、各学校に対して交通安全の呼びかけや交通指導の徹底についてお願いしてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。安全指導が保健体育の授業や学級活動の時間に行われていること、交通安全協会と連携した自転車教室も行われていることが確認できました。
新入生は特に、初めて自転車通学をする生徒が多いと思います。生徒の安全な登下校のため、新入生オリエンテーションなどでも安全な速度での通行や歩行者に配慮した一時停止について、そしてヘルメット着用についても触れてくださいますようお願いします。
次は、駐輪場の利用についてです。
新水前寺駅はバス停留場新設が計画され、交通結節点としてますます期待が寄せられています。ここには西側駐輪場、東側駐輪場があり、合わせて727台の自転車が駐輪できます。今後増設され、予定では今年の秋口には両駐輪場合わせて約1,000台の駐輪が可能となります。これまでの市内駐輪場整備の成果として、平成24年度に6,153台だった中心部の放置禁止区域及び郊外の駐輪場における自転車撤去数は、令和4年度には1,877台と3分の1以下にまで減少しています。しかしながら、この値は令和2年度から3年間ほぼ横ばいで、放置自転車が依然としてなくならないことを示しています。
ここで、都市建設局長に2点お尋ねします。過去3年間の市営駐輪場内の放置自転車の撤去台数及び措置費用を教えてください。また、市営駐輪場内に放置自転車があった場合の処理手順について教えてください。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの2点の御質問にお答えいたします。
まず、市営駐輪場における過去3か年の放置自転車撤去台数は、令和2年度が1,265台、令和3年度が1,372台、令和4年度が1,529台となっております。また、措置費用につきましては、令和2年度が約3,700万円、令和3年度が約3,500万円、令和4年度約3,400万円でございます。
次に、放置自転車の処理手順につきましては、熊本市自転車の安全利用及び駐車対策等に関する条例に基づき、7日間以上の長期留め置きが確認された自転車を平成保管所に移動・保管し、その旨を告示するとともに、防犯登録の所有者に返還はがきを郵送して引取りを促しますが、告示から6か月経過しても引取りがない場合には、当該自転車の処分を行っております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。撤去台数は、僅かに増加傾向にあること。また、放置自転車撤去にかかる措置費用ですが、これは約8割が整理指導員の人件費と伺っています。さらに、7日間以上の留め置きがあると平成保管所に運搬し、保管がなされることを改めて確認しました。以前、私が平成保管所を視察させていただいた際には、700台以上もの自転車が保管してある中に高校のステッカーが貼ってある自転車を多数見かけました。通学用自転車が保管されている間、生徒はどうやって通学するのか心配になりました。ステッカーには学校の連絡先が記載されているため、学校に電話をかけ知らせようかと思いましたが、返還はがきでの通知が手順であるとのことで断念しました。一連の市の対応について、学校や生徒、保護者はどの程度御存じなのでしょうか。今後、拡充される新水前寺駅駐輪場は、特に高校生の利用が多いと存じます。市内駐輪場を利用する生徒の通学用自転車に関しては、7日間以上の留め置きができないことへの対応や、連絡方法の改善を学校と協議し、その中で学校側には、校内駐輪場に留め置くなどの手だてをお願いすることも必要ではないでしょうか。
再度、都市建設局長に今後の御対応をお尋ねします。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 高校生の長期留め置きにつきましては、これまで長期休暇前に各学校に通知文を発出し対応をお願いしてまいりましたが、生徒によっては自宅が遠距離のために自転車を持って帰れない等の事情も推察されますことから、議員御提案の高校駐輪場での留め置きや通学許可ステッカーの活用によります生徒個人への啓発について、各学校と協議してまいりたいと考えております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 今後の利用について、各高校と協議を進めるとの前向きな御答弁ありがとうございました。自転車利用の推進と放置自転車対策は、同時に進めていくことが求められます。今後も、利用者に対する丁寧な利用方法や注意事項の説明、周知をお願いします。
次は、共生社会についてです。日本が外国人材から選ばれる国になり、その中でも熊本県、そして熊本市が選ばれる地域となってほしいと考えます。
では、質問にまいります。
現在の技能実習制度は、同じ業種で職場を変更する転籍が原則認められておらず、厳しい労働環境で失踪する実習生が全国で問題視されました。新制度の育成就労制度では人材の確保や育成を目的とし、1~2年働けば転籍を条件付で認めるなどの改善が行われます。この転籍には、日本語の習得が条件となり、日本で働きたい外国人にとって、今後、日本語の学習環境の充実が必要となり、働く地域を選ぶ基準とすることも考えられます。現在、熊本市では国際交流会館をはじめ市内6か所に地域日本語教室を開設し、ボランティアによる日本語支援が行われています。地域日本語教室のボランティアは、国際交流を主目的とし、生活言語習得のための手助けするグループです。一方で、就労する外国人には、学習や技能の習得に必要な学習言語の習得が必要です。交通費も出ない中、教室まで通ってきてくださるボランティアの方々に、国際交流の枠を超えたこれ以上の負担をお願いすることは、持続可能な取組とは言えません。また、来月開校する夜間中学、熊本ゆうあい中学校の生徒募集要項には、国籍は問いませんと記載とされていますが、ゆうあい中学校は全ての方が学び直しをする場であり、日本語の勉強から始める日本語学級の設置はありません。
熊本市では、今後も学習者の数は増えます。その学習が、いつまでもボランティアの方々の無償の御好意を前提にして成り立つものではいけないと考えます。組織立った効率的な対応や学習の仕組みが必要ではないでしょうか。令和5年第2回定例会では、大西市長が、地域日本語教室の拡充、そして、在住外国人の方のニーズの把握をされる旨御答弁いただき、私からは、予算や専門性を持った人材の確保を要望させていただきました。
その上で再度お尋ねします。今後、本市でも外国人住民、そして育成就労制度を利用する外国人に対し、日本語の習得を目指し勉強することができるよう、市が主導する専門的な組織や手だてが必要ではないでしょうか。大西市長のお考えをお聞きします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市では、これまで在住外国人の増加傾向を踏まえ、多文化共生社会の推進を熊本市国際戦略の基本施策の柱に位置づけ、外国人総合相談プラザの開設をはじめ、在住外国人の方に寄り添った取組を進めてまいりました。特に、在住外国人の方への日本語教育支援については、令和2年度より地域日本語教育の総合的な体制づくりに取り組み、日本語教育サポートプラザの設置、地域日本語教室の拡充など、地域資源を活用した体制の整備を進めてまいりました。
議員お尋ねの、外国人労働者の方への日本語習得支援については、国の指針においても、その活動状況に応じて、自立して生活できる日本語能力を身につけるよう支援する方針が示されております。今後も、在住外国人の方々のニーズの把握を行いますとともに、日本語教育の専門家とのネットワークの構築や人材育成のための仕組みづくりなど、本市の実情に応じた受け皿づくりについて、検討を深めてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。外国人のニーズの把握は、市が主体となり、外国人住民全体に対し調査を行っていただくよう要望します。
現在、計画策定が検討されている教育振興基本計画・教育大綱(素案)には、生涯にわたる学びの提供と学びの成果を生かす機会の創造が上げられています。多彩な学習機会創造の一環として、ぜひ、日本語学習への手だての御検討をお願いします。
質問を続けます。
熊本県では、台湾国籍を中心とする外国人住民や学齢人口の増加への対応として、インターナショナルスクールが注目されました。私は、台湾からの学齢人口が今後も増え続けた場合には、熊本にも中華学校ができるかもしれないと考え、先月、東京都千代田区にある中華学校を視察しました。ここでは、小学校1年生から高校3年生まで約370人の児童・生徒が学んでいます。全学年1クラスずつで、小学部40人学級、中学部30人学級、高等部20人学級です。1人1台のクロームブックを活用し、中国語、日本語、英語の教育は小学校1年生から行われています。3つの言語について、手厚い教育がなされていることや、台湾の今後の将来性を見据え、中華学校に子供を通わせている日本人の御家庭も5%ほどいらっしゃるそうです。熊本市の教育振興基本計画・教育大綱に基づく主な事業概要には、子供一人一人を尊重した教育の推進があり、その中に、外国にルーツを持つ子供への日本語教育の充実を図るとあります。
ここで、教育長にお尋ねします。外国から来た子供たちの支援について、熊本市立の小中学校、高等学校で行っていることを教えてください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 本市では、中央区の黒髪小、北区の楠小、南区の城南小の3校に、日本語指導担当教員をそれぞれ配置するとともに、日本語指導を必要とする児童・生徒の増加に適切に対応できるよう、日本語指導協力員も会計年度任用職員として雇用し、小中学生に指導を行っております。これらの指導者を児童・生徒の在籍校に派遣したり、児童・生徒がこの3校に通級したりすることにより、市内のどの小中学校に編入しても、日本語指導を受けられる体制を整えております。
指導内容としては、日常生活に必要な生活言語、授業内容を理解するために必要な学習言語及び進路指導などがあり、児童・生徒の実態に応じて個々に指導しております。また、市立高校においては、日本語指導サポーターが授業中の支援や放課後の補修などを行っております。
なお、編入してすぐの児童・生徒が安心して日本の学校生活に慣れることができるよう、学校生活をサポートする日本語指導支援員を派遣したり、保護者とのコミュニケーションを円滑にするために通訳を派遣したりするなど、個々の状況やニーズに応じた支援も行っております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。日本語指導支援員により、学習言語の指導や進路指導が行われていること、市立高校では日本語指導サポーターによる授業中の支援や放課後の補習などニーズに応じた支援体制が整えられていることが分かりました。
さて、NPO法人の方からお話を伺ったところ、外国から来た子供たちは日本語ができないのであって、決して理解力がないわけではないそうです。適切な学習言語としての日本語習得ができているのならば、もっとこの子供たちの可能性は広がるとさえおっしゃいました。教育長には、今後も全ての子供たちの教育的ニーズの把握と学びの機会の確保に取り組まれること、外国から来た子供たちに対しては、学習日本語の定着状況を的確に図られることをお願いします。また、必要に応じて登録日本語教員を配置することについても、今後御検討をお願いします。
さて、現在NPO法人が主体となり外国にルーツを持つ子供たちとその親に対する支援がなされています。しかしながら、市が行っているNPO法人に対する助成は十分ではないと感じます。今後は、NPO法人と行政が一緒になって運営や活動していく仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
台湾での取組の例を紹介しますと、台湾では、新住民と呼ばれる海外出身者に対する中国語習得への手だてが、その小学校に通学している児童の保護者に限定はされていますが、小学校の夜間の時間帯を利用し行われています。
ここで、再度大西市長にお尋ねします。外国人材への日本語教育支援、そして、外国にルーツを持つ子供たちとその親に対する日本語教育支援、いわば大人と子供の両方に対して同様の支援が求められているわけですが、実行に当たっては、市長と教育長、いずれかがリーダーシップを発揮しながら対応していくべきではないでしょうか。また、急速に増える外国住民とその子供たちの日本語教育のニーズに対応するため、今後どのような対応をお考えでしょうか。お教えください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 先ほどの教育長の答弁のとおり、現在、市内の公立小中学校では、外国籍の児童・生徒に対してどの学校に編入をしても、生活言語、学習言語、進路指導など児童・生徒の実態に応じた個別の日本語指導が受けられる体制となっております。また、国際交流会館におきましては、その児童・生徒のうち、さらなる支援が必要なケースに対しまして、保護者も一緒に参加できる日本語学習の機会を提供しております。
この取組は、NPO団体を中心に運営されており、個々の児童・生徒の状況に応じて日本語指導のほか、学習サポートや生活相談、進路相談などを中心にきめ細かに行われております。特に進路相談などは、保護者も一緒に参加することで、単なる日本語指導だけではなく、家族でコミュニケーションを取りながら学習や進路の状況について向き合う機会となっております。
今後も、子供に対する日本語教育に関しては、学校における支援を中心としつつ、先ほど御説明申し上げました地域日本語教育の総合的な体制づくりを進めていく中でニーズを踏まえ、その受け皿の在り方について検討してまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。熊本市国際戦略に上げられている多文化共生社会の推進ですが、取組の多くはNPO団体が中心となり提供されている点、そして、団体に対する助成は決して十分ではなく、持続可能な状況ではない点を再度強調させていただきます。今後は、学校における支援を中心としつつ、地域日本語教育の総合的な体制づくりを進めてくださるとの御答弁がありました。いつまでもニーズの把握段階にとどまり、具体的な対応策が講じられないことを懸念します。これは、ぜひ市長がリーダーシップを取り、進めてくださいますようお願いします。
外国人住民は、ともに熊本市を形づくる一員です。今から64年前の昭和35年5月に、熊本市民「愛市憲章」がつくられました。その中に「私たち熊本市民は、互いにあたたかく交わり、旅行者を親切に迎えましょう。」とあります。熊本市に住んでよかったとどなたからも言っていただける親切な熊本市であることを期待します。
次の質問にまいります。
先月、STEAM教育の、市の教育センター研究モデル校である五福小学校の公開授業及び授業研究会に参加しました。STEAM教育とは、各教科等での学習を実社会での問題発見や解決に生かすための教科横断的な学習のことです。私は、3年生の総合的な学習の時間を見学しました。探求学習の場と位置づけられ、児童・生徒が課題解決に向けて情報を収集、整理、分析したり、意見交換や成果発表を重ねたりしながら学習を進めています。授業では子供たちがタブレット端末を操作し、協働して課題に取り組む姿が見られました。授業後の参加者意見交換でも、評価を子供たちが決めていることや役割分担をし全員が活動していることなど、主体的協働的な学びへの高い評価の声がありました。また、教師が複数の無償アプリを用い、汎用性の高い授業を展開していることも好評でした。さらには、納得解を求めていく総合学習は、教師にとっても学びであるとのコメントもありました。
さて、この総合的な学習の時間ですが、東京都渋谷区教育委員会は、来年度、区立の全26小中学校で実施時間をこれまでの倍以上に増やすことを決めました。国語や算数などの最大9教科の授業時間を1割減らすことで年間85コマを生み出し、総合的な学習の時間に上乗せして、国が定める年間70コマから155コマに増やす見込みです。五福小学校では、総合的な学習の時間のカリキュラム作成の際は、先生方が、まず実際に町を歩き、町のことを知るそうです。次に、地域の方も交えて課題を学年部で話し合い、それを全職員で共有し、実際に教育活動を展開しながらカリキュラムの修正も行っていくとのことでした。私は、探求学習は授業準備を多く必要とし、先生方自身も学ぶことを要求されると感じます。実施時間の増加が先生方の負担増につながることを懸念しています。
ここで、教育長にお尋ねします。熊本市立の小中学校、高等学校の先生方の職員研修について、今年度実施した平均時間を教えてください。次に、総合的な学習の時間の熊本市での時間増加はお考えでしょうか。以上2点、お尋ねします。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 議員お尋ねの2点について、お答えいたします。
抽出した小学校10校、中学校5校、高等学校2校それぞれの校種における職員研修の年間の平均時間は、小学校で32時間、中学校で15時間、高等学校で20時間となっております。このうち、教育センターが指定した研究モデル校となっている小中学校5校の平均時間は27時間で、それ以外の学校と大きな差はございません。
総合的な学習の時間につきましては、学習指導要領に定められた標準授業時数に基づいて実施しております。市全体として、総合的な学習の時間の時数を増やす考えはありませんが、教員の負担に配慮しながら、学校や地域の特色に応じた総合的な学習の時間の充実に取り組んでいるところでございます。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。職員研修の平均時間は、小学校では32時間と教育指定モデル校の平均27時間よりも多くなっており、先生方の負担増加が懸念されます。今後、さらに工夫して実施されますことをお願いします。総合的な学習の時間は、今後の時数増加はお考えでないとのお答えがありました。引き続き、学校や地域の特色に応じた取組をお願いします。
熊本市では、市内教職員の年次有給休暇取得期間を9月からとし、先生方の年休取得率向上につながる環境づくりをしたり、小学校の部活動を統合型地域スポーツクラブなどに移行したり、先生方の負担軽減につながる取組を行ってきました。市教育委員会には、引き続きワーク・ライフ・バランスに十分留意しながら、先生方のスキルアップのための学びを支えてくださいますよう要望します。
では、次の質問にまいります。
先日行われました高校生議会に参加した高校生からは、資格試験の受験料の補助が欲しいとの声が聞かれました。高校生の大学進学に係る資格試験の利用は増えており、受験料も以前よりも値上がりしているため、負担は大きいと言えます。
ここで、教育長にお尋ねします。令和5年度に市立高校が取りまとめ、生徒が各種資格検定試験を受験した場合の、受験料の1人当たりの平均負担額を教えてください。また、令和5年度の市立高2校の教科書代の総額と1人当たりの平均額は幾らでしょうか。以上2点お願いします。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 議員お尋ねの2点につきまして、お答えいたします。
千原台高校の情報科及び情報ビジネス探究科では、1、2年生はビジネスや情報に関する多くの資格試験を全員が受験することとなっており、受験に係る1人当たりの年間平均額は約1万円であります。また、必由館高校では、漢字や数学などの検定のほか、服飾デザインコースでは被服製作検定やマナー検定、色彩検定を取りまとめておりますが、受験する試験や回数は生徒によって様々であります。
市立高校の教科書代につきましては、千原台高校、必由館高校ともに1人当たり年間約8,000円であります。全生徒の教科書代の合計は、千原台高校で約440万円、必由館高校は約810万円で、総額約1,250万円となります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。千原台高校では、資格検定試験受験料の平均は約1万円、必由館高校では、受験する試験は生徒により様々、そして、市立高校2校の教科書代の総額は1,250万円で、1人当たりの金額は両校とも年間約8,000円です。これは、資格試験の受験料とも近い金額で、もし、教科書が給与され、実質無償となるならば、生徒が資格試験によりチャレンジできるようになるのではないかと考えます。
県立高校の定時制通信制過程では、定時制に通う生徒370人、通信制に通う生徒945人を対象に、就業状況の確認や世帯所得上限、単位の修得条件は設けてありますが、教科書の給与を行っています。令和5年度の熊本県予算は定通教育教科書学習書給与費462万2,000円です。このように、教科書の給与、すなわち教科書代の無償化については、前例がないとは言えません。
ここで大西市長に、市立高校生の教科書代の無償化について、今後の御検討を提案します。まずは、市立高校両校をモデル校とし、単年度の試験的な実施を行い、両校の魅力を高めることにつながるのか、生徒の資格取得状況に変化があるのか、または、努力義務であるヘルメットの購入につながるのか、調査するための試行はできませんでしょうか。市立高校に通う生徒の教科書代の無償化について、市の財政負担を踏まえ市長のお考えをお聞かせください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員御提案の市立高校における教科書無償化については、高校生の熱い思いを受けての貴重な御提言であると受け止めております。教科書につきましては、義務教育段階では法律に基づき無償給与されておりますが、高校段階以上では実費負担していただいており、高校の定時制課程と通信制課程においては、就労している生徒等に対して教科書代を補助する制度があると承知しております。市の施策として、高校生の教科書代を補助するということであれば、補助対象の範囲を熊本市立高校だけではなくて、県立や私立の高校に通う生徒も含めて検討する必要があると考えております。
議員御提案の教科書代の無償化につきましては、財政面への影響も考慮しつつ、将来的な支援策の一つと捉え、引き続き情報収集に努めてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 将来的な支援策の一つと捉え、引き続き情報収集を行ってくださるとの前向きな御答弁ありがとうございました。
今年、熊本県では「世界津波の日」2024高校生サミットが開催されます。世界各国の高校生が自然災害の対策を学ぶ場として、国内各地でこれまでに5回にわたり開催されています。熊本市内はもとより、県内の高校生の活躍が大いに期待されます。このように様々な分野で活躍し、頑張っている高校生への支援、これはこども施策であるとも言えます。ぜひ熊本市から始められることを期待し、次の質問にまいります。
昭和47年の「森の都」都市宣言から50年の節目を迎え、熊本市は令和5年度から街路樹や公園などを所掌している都市建設局内に森の都推進部を設置しました。熊本市内の公園や街路樹として様々な種類の木が植えられています。「森の都」都市宣言の際に植樹された街路樹や公園の木は、経年的な老齢化、大径木化が進行し、倒木等の事故発生のリスクを有するようになりました。昨年7月には、三年坂で倒木事故が発生しました。幸い人的・物的な被害は生じていないということでしたが、これを受け市は、市内全域の街路樹や公園の樹木などを総点検し、倒木のおそれがある4,500本を今年3月末完了を目指し撤去すると、昨年11月に発表しています。
また、民有地への樹木の対応も必要です。民有地にある樹木への市の指導が課題となりますが、保存樹木については特別な対応ができないでしょうか。
ここで、熊本市指定保存樹木制度について、御紹介します。熊本市では、昭和49年度から保存樹木の指定を実施し、昨年11月時点では239か所、574本が指定されています。先人の残した貴重な銘木や老樹を保護し、次の世代に緑の遺産として引き継ぐため、緑地の保全及び緑化の推進に関する条例に基づき、保存樹木、または、保存樹林として指定し、市が管理経費の一部を助成しています。冒頭に申し上げました撤去する木とは対照的に、これらは残していく木として指定されています。
ここで、都市建設局長にお尋ねします。4,500本撤去との報道がありましたが、その具体的な撤去計画と今後の植樹計画、本数や木の種類について教えてください。また、撤去した木はどのように廃棄されるのでしょうか。さらには、保存樹木を含め民有地の樹木に対する指導は、どのような頻度、手段で行われているのでしょうか。以上3点をお尋ねします。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの樹木に関する数点の御質問にお答えいたします。
昨年7月の三年坂での街路樹の倒木事故を受けまして、道路、公園、市営住宅、区役所、小中学校などの市有施設におきまして、全数となる約5万2,900本の樹木の総点検を実施し、そのうち、約4,900本の樹木について倒木の危険性が高いと判定いたしました。樹勢回復が見込めると判断いたしました約400本を除く残りの約4,500本について、今年3月末までの撤去完了に向けて現在作業を進めており、撤去した樹木の処分は、原則として中間処理施設に持ち込み、木チップや堆肥などにリサイクルしております。捕植計画につきましては、倒木につながる要因を分析した上で、熊本の気候や土壌等の植栽条件に適した樹種を選定し、本数を決定することとしております。
〔議長退席、副議長着席〕
また、専門家の御意見をいただきながら、樹種に応じた植栽基盤の構造、点検や選定の在り方等を盛り込みました森の都再生プランを今年秋頃を目途に取りまとめ、より適切な樹木管理につなげてまいりたいと考えております。
次に、保存樹木の所有権や管理責任につきましては、議員御指摘のとおり所有者にありますことから、平成27年度から2年に一度、所有者に対してアンケート調査を実施し、樹木の状態を確認するとともに、相談窓口や助成制度の周知を図っております。樹木の維持管理に関する相談等があった際には、適宜現地立会いし、指導や助言に努めており、これらの取組を今後も継続することで、所有者の管理意識を醸成してまいりたいと考えております。
最後に、道路沿いの民有地の樹木につきましては、パトロールや通報等により通行上危険と判断しましたものは、所有者に対し口頭や文書により適正な管理を行っていただくよう指導しており、引き続き関係部署と連携し、被害発生防止に努めてまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。森の都熊本市のため、今後も残す木、新しくしていく木、その両方に手をかけてくださいますよう森の都推進部に期待します。また、木の根により歩道の舗装がめくれ上がっている部分も見受けられます。街路樹の整備に併せこちらの整備の検討もお願いします。もうすぐ花見の季節です。可能であれば桜の木の撤去をしばし猶予していただき、最後に花を咲かせる姿を見ることができればと思います。
では、次の質問にまいります。
以前、熊本市の東部と西部それぞれの環境工場を視察し、ごみ焼却時の熱がお湯を沸かすことや植物の育成、さらには発電に利用されていることを知りました。落ち葉の季節、落ち葉の清掃は緑の多い熊本市にとっては課題と言えます。しかしながら、落ち葉や樹木が燃やされる際には、排出される二酸化炭素はカーボンニュートラルとして扱われながらも、発生する熱により発電が行われます。その発電量を数値化し明示することは、SDGsの取組や市民が森の都熊本を誇りに思うことにつながるのではないでしょうか。
ここで、環境局長に2点お尋ねします。東西環境工場の年間発電量と売電収入額を教えてください。また、運び込まれるごみのうち樹木、葉っぱの量はどのくらいか把握されていますか。把握されている場合は、それによる発電量を教えてください。また、把握されていない場合は、今後そのような指標の設置の検討がなされるかも併せてお答えください。
〔早野貴志環境局長 登壇〕
◎早野貴志 環境局長 東西環境工場の年間発電量は、令和4年度の実績で約9,960万キロワットアワーであり、その売電収入は、東部環境工場では約3億8,600万円でありますが、西部環境工場は委託契約の中で事業者に帰属することとなっております。
次に、家庭から出される落ち葉や剪定枝は燃やすごみの日に収集しており、生ごみ、その他のごみくずと併せて環境工場で受け入れることから、樹木に限定した搬入量は把握しておりません。そのため、樹木の焼却に伴う発電量の数値化や指標の設定は難しいと考えておりますが、廃棄物の適正処理と資源循環は地球温暖化対策の推進に重要であることから、積極的に取り組んでまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。樹木に限定した搬入量の把握はされていないとの御答弁で、残念ながら葉っぱや樹木を燃やして得られる売電収入額の算出には至りませんでした。しかしながら、廃棄物の適正処理と資源の循環は地球温暖化対策には欠かせません。引き続き、積極的な取組の推進をお願いします。
では、次の質問にまいります。
本市では、犯罪を防止し安全・安心なまち熊本市をつくる条例に基づき、町なかパトロールなどの取組が行われています。この条例は、昨年6月の定例会で改正され、パトロールの具体的な対象行為として明記されていた違法な落書きという文言が削除されました。町なかには依然として落書きがあります。店舗の壁に落書きがあるお店の店主にお話を伺いましたところ、「困っているが、消してもどうせまた書かれるからそのままにしている」。また、別の店舗ではエアコン室外機にまで落書きされていました。店主は、「何回消しても書かれる、もう諦めている」とお答えになりました。落書きは、電柱や橋の欄干、国道の下をくぐる地下道の壁にもあります。落書きは、違法行為であるとの発信を市が続けていかなければならないと感じます。
そこで、文化市民局長にお尋ねします。違法な落書きとはどのようなものであるか、その認識についてお聞かせください。
〔金山武史文化市民局長 登壇〕
◎金山武史 文化市民局長 違法な落書きは、建造物損壊罪や器物損壊罪などの罪に問われる可能性もある犯罪行為であり、地域の秩序や風紀を乱し、治安を悪化させる要因の一つともなることから、関係部局をはじめ県警や各種団体等と連携し、市民の皆様への啓発に取り組んでまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。落書きは犯罪行為であり、地域の秩序や風紀を乱し、治安を悪化させる要因であるとの認識は私も同感です。熊本市に観光に来られた方々も落書きが目に入るならば、残念な気持ちになるのではないでしょうか。また、被害を受けた方々が諦めざるを得ない状況に陥っていることは、理不尽極まりないことで本当に気の毒でなりません。落書きは、決して許されない犯罪行為であるとの認識を、市は市民に広く周知し、粘り強く啓発に取り組まれますことを要望します。
質問を続けます。
中心街には屋外広告物、看板を多く見かけます。密集していたり、夜には明かりがついたりし、町なかのにぎわいの演出にもつながっていると感じます。しかしながら、その設置には安全であることが大前提です。一昨年6月にビルの壁面に設置された看板が落下し、駐車してあった自動車に被害が生じました。人的被害がないのは幸いでしたが、この看板は市への必要な許可申請を行っておりませんでした。これを受け、市は、中心市街地アーケード周辺において類似した高所にある壁面看板の緊急見回りを行い、広告主等に対し安全点検の実施について周知を行ったと聞いています。
そこで都市建設局長にお聞きします。屋外広告物の設置状態の把握はどのようにされていますか。また、安全性等に懸念のある看板、屋外広告物への対策についてお聞かせください。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 本市には許可申請により設置される屋外広告物が約3万個あり、これに許可が不要な自家用・小規模等の屋外広告物等を加えれば、非常に多くの屋外広告物が存在しております。屋外広告物の安全管理は、広告主等の義務であり、許可申請時の書面による安全性の確認や、3年ごとの更新時に有資格者による安全点検報告を求めているため、許可物件については、一定の安全性は保たれていると考えております。また、中心市街地では、県警や広告業団体、自治会等と連携して定期的にパトロールを実施し、安全性に懸念がある屋外広告物等については、関係部署と連携して指導を行っております。
加えて、今年度から3か年かけまして、民間のノウハウを活用し市内一円の未申請広告物を許可申請へと誘導する取組や、広告業者や広告主等を対象に屋外広告物の安全に関する講演会の開催など、安全性に対する屋外広告業界全体の意識向上を図っているところでございます。
今後も、このような様々な取組を総合的、継続的に実施することで、安全・安心な町と良好な景観形成に努めてまいりたいと考えております。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 ありがとうございました。屋外広告物の安全管理は、広告主等の義務であること、3年ごとの更新時に有資格者の安全点検が行われることが確認できました。また、屋外広告業界全体の意識向上を図るための講演会の開催等、今後も良好な景観形成に努められるとの心強い御答弁をいただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
最後の質問にまいります。
熊本市では、令和3年度から熊本市特定分野緊急就職奨励金制度、略して特就金を実施しました。介護、警備、運輸、建設の職種に就職された方を対象に、奨励金として就業時、3か月、そして6か月経過時にそれぞれ5万円、合計で最大15万円を交付しました。この制度の財源は、100%国からの交付金で、正式名称は新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金です。運輸業の就業者数を増やす目的は、2024年問題の対策としても有意義でした。
ここで、経済観光局長にお尋ねします。この特就金の各分野別の交付状況を教えてください。
質問を続けます。
1月に熊本城ホールで行われた熊本都市圏合同就職説明会では、35社が参加されていましたが、そのうち運輸業の参加は1社のみ、また、介護職2社、警備、建設はともにゼロ社でした。ここで、先ほどの特就金で奨励された業種の参加が低いことが気になりましたが、人材不足が一段落したとも言えます。では、代わりにどの業種の参加が増えたのか、パンフレットを確認しましたところ、参加企業35社中営業職募集の企業16社に次ぎ、製造業等で技術職を募集している業者が15社となっていました。製造業のニーズの高まりに応える手だてが今後必要であると考えられます。
ここで、経済観光局長にお尋ねします。熊本市には技能者表彰制度があります。この制度の概要とその表彰者の選考基準について教えてください。
〔村上和美経済観光局長 登壇〕
◎村上和美 経済観光局長 2点のお尋ねに順次お答えいたします。
まず、特定分野緊急就職奨励金の交付状況についてでございますが、交付件数は令和3~5年度までの3か年で合計559件となっております。そのうち運輸分野が93件、介護分野が279件、警備分野が137件、建設分野が50件となっており、人材確保の困難な分野において一定の効果が見られたところでございます。
次に、技能者表彰制度の概要と表彰者の選考基準についてでございますが、本市では技能尊重の重要性を広く社会一般に認識いただき、若年技能者の確保・育成、技能者の地位並びに技能水準の向上を図るため、技能者表彰を実施いたしております。技能者表彰制度には3つの表彰がございまして、優秀技能功労者は卓越した技能を有し、ほかの技能者の模範となり、後進の指導・育成に寄与した技能者を選考対象とし、優秀技能者特別表彰は、全国規模以上の技能競技大会等で優秀な成績を修めた技能者、優秀青年技能者は、卓越した技能を有し将来を嘱望されている技能者を対象といたしております。表彰者の選考は、広く関係団体より候補者の推薦をいただいた上で、業界代表者や学識経験者などからなる技能者表彰選考委員会で、経験年数や技能資格の取得状況、技能の発展並びに後進の育成に向けた取組等を審査基準に行っているところでございます。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 特就金の交付件数は3年間で559件で、人材確保の困難な分野での一定の効果が見られたとの御答弁をいただきました。また、技能者表彰制度の取組は、優れた技能・技術を持っている方を表彰することで、技能者・技術者同士の技の継承や、企業風土の醸成がなされることと思います。今後も多くの検定職種の技能者・技術者が表彰され、熊本市や熊本県、ひいては日本の技術力を世界に示すような人材へと成長されることを期待します。執行部には引き続き、産業、地域の担い手育成について一層の取組をお願いします。
質問を続けます。
私は先日、宇都宮ライトレール株式会社のLRT、ライトラインを視察しました。路線の全長14.6キロメートルのうち専用軌道は5.1キロメートル、車道との併用軌道は9.4キロメートルで、車両と整備を宇都宮市と芳賀町が保有し、宇都宮ライトレール株式会社が運行を行う上下分離方式が採用されています。ライトラインの走行に必要な電力は、家庭ごみの焼却による発電や太陽光発電により供給されていて、車内アナウンスではゼロカーボントランスポートであることがPRされています。
ここで、交通事業管理者に3点お尋ねします。1点目、今年度交通局を退職する運転士、そして、車掌の数は何人ですか。また、今年度採用された数はそれぞれ何人ですか。また、上熊本の車両工場にお勤めの方については、今後の人員の確保について採用の計画をお聞かせください。2点目、市電が環境にも配慮しているアピールポイントをお示しください。以上、お答えをお願いします。
〔伊藤幸喜交通事業管理者職務代理者 登壇〕
◎伊藤幸喜 交通事業管理者職務代理者 3点のお尋ねに順次お答えいたします。
まず、1点目の人員確保につきましては、今年度末までに交通局を退職する運転士は、既に退職した者を含めまして11名、車掌は1名で、採用した運転士は7名、車掌は1名となっております。また、上熊本車両工場につきましては、再任用職員の退職等に伴い、電車車両技術整備等を行う会計年度任用職員を令和6年4月から新たに2名雇用する予定でございます。
2点目の停留場の安全対策につきましては、議員御指摘のとおり、一部の停留場におきまして、横断歩道が乗り場に完全に接していない箇所や、停留場上の掲示物などにより待っている方々が見えにくくなっていることなどの課題があることは認識しております。横断歩道と停留場の位置関係につきましては、電停改良や舗装打ち換えの際に交通管理者とも協議しながら改善に取り組んでいるところでございます。また、停留場上の掲示物につきましても、移設や縮小などの対策に昨年度より取り組んでおり、今年度末までに完了する予定となっております。今後も引き続き、停留場の安全性向上に取り組んでまいります。
3点目の環境への配慮につきましては、基本的に市電は自動車と比べまして環境に優しい移動手段でございますが、来年度以降、輸送力の高い車両を導入するなど計画的に車両の更新を行い、運行効率を上げることで省電力化を進めてまいります。あわせまして、今後は市の脱炭素施策とも連携しながら、脱炭素電力の調達を検討するなど、さらに環境へ配慮した移動手段を目指してまいります。
〔7番 井坂隆寛議員 登壇〕
◆井坂隆寛 議員 御答弁ありがとうございました。大変失礼いたしました。私が先ほどの質問の中で、2点目の質問を失念しておりました。2点目の質問は、熊本市電では一部停留場の入り口が横断歩道に接続しておらず、利用者が一度車道を通行しなければならない場所が依然としてあります。また、昨年度、段山町停留場で人との接触事故がありましたが、運転士が停留場の掲示板に隠れて見えなかった歩行者に気づかなかったそうです。停留場の安全対策については、延伸前の課題として対応されますことを要望します、という内容で2点目、安全対策についてお尋ねいたしました。失礼いたしました。
最後にまいります。
今後の市電の改良点としては、運転士が利用できるトイレが少ないことが挙げられます。運転士は、健軍町停留場では民間の店舗で、田崎橋の終点では国の合同庁舎でトイレを使用しています。しかしながら、これらは夜間や早朝は利用できないそうです。延伸後、市民病院の終点や熊本駅に車両2編成程度を留め置くことができる車庫兼運転士待機場があるならば、始発・終電の時間の改善と併せて運転士の処遇改善につながると考えます。ぜひ、御検討をお願いします。運転士の離職者が採用者数を上回る現状に対しては、早急な対応が必要です。運転士の養成には長時間を必要とします。延伸が運転士の負担の増加に伴う離職につながり、持続可能な公共交通ではなくなってしまうことを懸念します。
市電は、今年100周年を迎えます。今後も持続可能な公共交通機関として、熊本市にお越しの観光客、通勤通学、市民の足として地域に親しまれ、公共交通は福祉の一環であるとの認識の下、適切な運賃の設定、運転士たちのウエルビーイング、それらを踏まえたダイヤ編成に努めてくださいますよう要望します。
以上で私の質問を終わります。
最後に、本日傍聴席にお越しくださった市民の皆様、インターネット配信を御覧くださった皆様、そして、今回質問の機会を与えてくださいました先輩議員並びに同僚議員の皆様、真摯に御答弁くださいました市長、そして、執行部の皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
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○大嶌澄雄 副議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午前11時10分に再開いたします。
午前10時59分 休憩
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午前11時10分 再開
○田中敦朗 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○田中敦朗 議長 一般質問を続行いたします。
齊藤博議員の発言を許します。齊藤博議員。
〔19番 齊藤博議員 登壇 拍手〕
◆齊藤博 議員 おはようございます。自由民主党熊本市議団の齊藤博でございます。令和6年第1回定例会において一般質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
通告に従いまして、質問を行ってまいりたいと存じます。執行部の皆様方、よろしくお願い申し上げます。
まず初めに、地震の経験に基づく防災井戸の設置についてお尋ねいたします。
令和6年1月1日、能登半島地震が発生いたしました。震度7の大きな揺れは、200名を超える方々の尊い命を奪い、今なお、多くの被災地の皆様は避難を余儀なくされている状況でございます。犠牲となられた方々に衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、全ての被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
今回の能登半島地震においては、道路の損壊や寸断をはじめ、多くの港で隆起が確認されるなど、半島で起きた災害がゆえの被害が確認されております。また、水道管の損傷により、多くの被災地で断水が長期化している状況も今般の地震被害の特徴とも言えるのではないでしょうか。地震発生から1か月が経過した時点で、石川県内4万戸超で断水が続いておりました。また、2月末でも断水は、1万8,000戸を超えているとのことであります。長期的な断水で被災地の方々は、二次避難を余儀なくされるなど、生活の再建にも大きな影を落とす結果となりました。断水の長期化は感染症の拡大やトイレの衛生環境の悪化等を引き起こす要因となることから、災害時の迅速な給水確保の重要性が改めて浮き彫りとなりました。断水を引き起こした直接の要因は、配水管等の基幹管路と呼ばれる水道管の本管が、経年劣化等により大きく損傷したことであります。水道管本管の耐震化が進んでいれば、断水の長期化とその被害を最小限にとどめることができたのではとも考えます。
厚生労働省が公表しております令和3年度版水道事業における耐震化の状況によりますと、石川県内の水道管耐震適合率は、36.8%となっており、全国の平均41.2%を下回っておりました。
そこで気になりますのは、我が熊本県熊本市であります。熊本県の水道管耐震適合率は31.0%、実は熊本県は、全国都道府県平均を大きく下回っております。一方で熊本市は、厚生労働省によりデータが公表されておりません。
そこでお尋ねいたします。熊本市の水道管基幹管路の耐震適合率は、どのようになっておりますでしょうか。今後の災害対応のための整備方針や目標等を御説明いただきたいと存じます。上下水道事業管理者、お願いいたします。
〔田中陽礼上下水道事業管理者 登壇〕
◎田中陽礼 上下水道事業管理者 水道管基幹管路の耐震適合率の現状についてお答えいたします。
本市の上水道管の耐震化は、令和元年度に策定いたしました熊本市上下水道事業経営戦略の基本方針の一つである災害に強い上下水道の確立に基づき進めております。この中で防災・減災、強靭化につきましては、令和2年度に水道施設更新計画を策定し、計画的な管路整備に取り組んでおり、令和4年度末時点における耐震適合性のある基幹管路の割合は、80.3%となっております。この割合は、政令指定都市では3番目に高い水準にありますが、これは本市が早期に耐震管を採用し、新設及び更新を着実に進めてきた成果であると考えております。
今後の整備方針につきましては、令和11年度までに83%を達成することを目標に毎年度約7億円の事業費を確保し、年間0.8ポイントずつの向上を目指して着実に取り組んでまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 熊本市における水道管基幹管路の耐震適合率は、令和4年度末で80.3%、令和11年度までに83%を達成したいとのこと、間違いなく全国で見ても耐震化率はトップクラスであり、長年にわたる上下水道局の功績と言ってよいかと存じます。今後も不測の事態に備えることを怠ることなく、計画に基づき水道管基幹管路の耐震化を進めていただきたいと存じます。
大きな地震等の災害時には被災された方々への給水確保はいつも課題となります。水道管の耐震性を確保し、水道の供給体制を維持する努力は極めて大切でありますが、また一方でさらなる不測の事態に備えることも必要であります。耐震化が進む基幹管路に損傷がなくても、個々の家庭に引き込まれる給水管の損傷により断水する可能性は否定できません。水道に頼らない独自の水源の確保もまた十分に検討されるべきであります。
その選択肢の一つとして防災井戸が挙げられます。災害時には飲み水もさることながら、衛生環境を整えるためにも生活用水としての水の確保が必要となります。そのような観点からも防災井戸の存在は大きいと考えます。
熊本地震を契機とし、民間事業者と本市の間で締結する防災井戸の利活用に関する協定が現在進んでおります。熊本市が公表しております災害時協力企業井戸一覧によりますと、100か所を超える防災井戸を確認することができます。ただ一方で、行政管理の防災井戸が、市内にどれだけ存在するのか不明瞭であります。少なくとも災害に備え、17か所の広域避難場所をはじめ指定避難所等には、電源確保が困難な状況を想定し、手動ポンプ式防災井戸の完備が必要と考えます。
令和4年第2回定例会において、荒川議員からも防災井戸に関する質問が行われております。政策局長は、当時、次のように答弁されております。手押しポンプ式の防災井戸は、停電時や災害発生時の生活用水確保の手段として役立つものと考える。本市の避難所ごとの生活用水の確保等について協議検討する。
改めてお尋ねいたします。熊本市が所管する防災井戸の数と、今後広域避難場所や指定避難所等に防災井戸を設置する予定や計画があるのか、改めてお示しいただきたいと存じます。政策局長、お願いいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 本市では熊本地震以降、災害による広域的な断水が発生した場合は、上水道が復旧するまでの間、これを補完するため、熊本駅白川口駅前広場や地下水観測井戸など、本市が管理する井戸9本を災害用井戸として、地域住民の皆様へ提供することとしております。
議員御指摘のとおり、先般の令和6年能登半島地震におきましては、広域的な断水が長期化し、被災者の皆様の生活に多大な影響を及ぼしており、改めて水の重要性を認識したところであります。そのような中、災害用井戸の広域避難場所や指定避難所への設置につきましては、大変有効であると考えておりますが、一方で日常における活用・管理や費用対効果などの課題もございます。
今後は、民間事業者の皆様が所有する井戸のさらなる利活用促進に向けた周知・広報に努めるとともに、まずは、拠点となる市有施設への設置を検討するなど、災害時における水の確保について、引き続き取り組んでまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 本市が管理する災害用として利用できる井戸は、9本とのこと、大切な情報であります。ホームページをはじめ、市民の皆さんにとって分かりやすい情報提供を改めてお願いしておきます。
また、拠点となる市有施設へ防災井戸の設置を検討するとの答弁いただきました。拠点とはどこでしょうか。例えば各区役所や広域避難場所等になるのでしょうか。いずれにしても、有事に備え行政管理の防災井戸を増設いただくよう強く要望しておきます。
次に、本市における農業と福祉分野の連携、すなわち農福連携についてお尋ねいたします。
そもそも農福連携とは、障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組であります。その取組によって、障がい者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性を求めるものであります。農福連携に対する支援の輪は、確実にその広がりを見せておりますが、その課題や問題点も明らかとなっています。
九州農政局は課題として、障がい者等への偏見や、農業側と福祉側のニーズのミスマッチ、マッチング機能の必要性等を指摘しております。課題を解決するためには、農業側と福祉側の相互理解が欠かせません。地方公共団体等が出会いの場や機会を創出し、体制整備の充実や拡充を積極的に図っていくことこそ、今、求められている取組だと考えます。
国は農福連携等推進会議を設置し、農福連携等推進ビジョンを策定するなど積極的にその取組を推奨しております。また、熊本県は、農福連携の所管を明確にし、健康福祉部障がい者支援課に農福連携コーディネーターを配置し、農林水産部村づくり課においては、農業分野から農福連携を支援する体制を整えております。また、民間での取組として、熊本県内においては農福連携を推進していくため、令和5年1月に熊本県、鹿児島県、宮崎県を対象地域とした、南九州農福連携コンソーシアムが立ち上がっております。さらに令和5年9月には、熊本県農福連携協議会が立ち上げられるなど、福祉事業者の皆さんが中心となり、民間レベルでの農福連携を充実・拡充させたいとする手段を構築しておられます。
そこで、お尋ねいたします。農福連携に係る本市の所管は農水局とお聞きしております。これまでの事業への取組方針や体制、その実績をお示しください。また、所管が農水局となっておりますが、福祉分野との連携が欠かせない事業であります。健康福祉局との所管連携は取れているのでしょうか。農水局長と健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔大塚裕一農水局長 登壇〕
◎大塚裕一 農水局長 議員御指摘のとおり、本市においても、農福連携が農業分野における労働力不足を解消するために有効な取組であると認識しております。しかしながら、令和3年度に実施した、認定農業者を対象とした労働力に関するアンケート調査では、6割が労働力不足であると回答している一方、障がい者雇用に関心のある農業者は8.2%と農福連携への関心が低い状況でありました。このため、熊本市認定農業者協議会等と共催する熊本市農業者大会などの機会において、農福連携の講演会や取組事例の紹介等を実施し、農業者の理解が深まるよう取り組んでおります。
また、障がい者が、生産工程に関わった農林水産物や食品であることを表示できるノウフクJASの認証取得費用の一部を補助するメニューを、夢と活力ある農業推進事業に令和3年度から加え、農業者等の農福連携の取組を推進しております。
なお、本市内でのこれまでの農福連携における農業者等の障がい者雇用の実績は、令和元年度から令和6年1月までの期間で延べ32件となっております。今後とも、優良事例を参考に、農業者の農福連携への理解醸成と障がい者の受入れに必要な環境整備支援に取り組んでまいります。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 私からは福祉分野の立場でお答えいたします。
障がいのある方が、農作業を通じて社会に参加できる農福連携は、自然との触れ合いにより心身の健康に好影響を与え、障がいの特性に応じた農作業を提供することが可能であるなど、障がいのある方にとって多くのメリットが期待できます。また、障がい者就労施設におきましても、農業者から農作業や加工等を請け負う施設外就労など、農業分野と福祉分野の相互理解を図りマッチングを行うことによって、利用者の賃金水準の向上や自立した生活の実現につながりますことから、とても重要な取組であると考えております。
こうした農福連携には、農業者側に障がいへの理解や障がい者雇用のノウハウが必要でありますことから、議員御紹介の熊本県農福連携協議会等と効果的なマッチング支援を検討するとともに、農水局と連携を取りながら、障がいのある方が農業現場で活躍できる機会をつくってまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 農水局長、健康福祉局長、いずれも農福連携の意義について御理解いただいているものと感じました。ぜひ、部局横断的に農業者の皆さんに御理解を求めながら、障がい者の皆さんが、農業現場で活躍できる機会をおつくりいただきたいと存じます。
農福連携をはじめ、業種を超えた横断的連携には、大きな可能性があると考えられております。農業に限らず、林業や水産業と福祉の連携を図ることもその一例であります。さらに、六次産業化を推進するためにも、農福連携は欠かせない要素となり得ます。そもそも、六次産業化は、一次産業である農業者が農畜産物の生産だけではなく、二次産業である製造業や加工業、また、三次産業であるサービス業や販売業に取り組むことで、生産物の価値をさらに高め、農業所得の向上を目指す取組であります。すなわち、六次産業化は、農業者が新たな価値や就業機会を自らつくり出し、多角化や高付加価値化を通じて、地域活性化に寄与することであります。そのように考えれば、六次産業化と農福連携は無縁ではありません。農家が潜在的に抱える担い手不足の改善に向け、農福連携という事業モデルは、六次産業化を推進する課題解決の一助となる可能性を秘めております。
熊本市内の福祉施設の中には、この六次産業化に自ら取り組んでおられる事業者もございます。A型就労継続支援事業所において、農地を借り上げ、自分たちでトラクターやビニールハウス等の農機具を調達し、そして、販売会で直接消費者の皆さんに販売するといった、いわゆる就労支援事業として、経営努力を行っている事業者もございます。事業規模に限りがあることから、食品としての加工や製造には着手できていないものの、六次産業化に向けた努力を続けておられます。
御紹介したような事例も含め、農福連携には様々な可能性がある一方、その推進に課題も多く高い障壁がございます。改めて農福連携の可能性を十分に認識いただき、行政サービスの一環の中で、業種横断的な取組をサポートしていただきたいと思います。
そこでお尋ねいたします。農業従事者や福祉事業所とのマッチング、農場で働かれる障がい者の皆さん方への支援制度の創設や、事業運営費や広報活動に係る助成金等、自治体としての事業支援サービスの拡充を図っていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。大西市長、農福連携に対する思いと併せて御答弁ください。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 農福連携については、現在、国で検討されております食料・農業・農村基本法の改正案において、障がい者等の農業に関する活動の環境整備に関する条文が新設されるなど、地域農業の振興に新たな役割を担うものと位置づけられております。もとより、障がい者の社会参加に当たっては、受け入れる側の障がい者への理解や雇用に関する知識や経験、体制整備が重要であります。
しかし、先ほど農政局長が答弁いたしましたとおり、本市での農福連携の取組実績は、まだまだ多いとは言えない状況であり、まずは、受け入れる側であります農業者、そして、作業を請け負う障がい者就労施設の双方が、互いの特性などについて理解を深める取組を進めてまいります。また、障がい者が働きやすい環境を整備するため、農業者が、トイレや休憩所などを整備する場合の支援を引き続き行ってまいります。
障がい者にとって農業の分野に活躍する場ができることは、障がい者の就労問題において極めて意義深いことでございます。具体的には、農作業が体力や精神面での訓練に有効であること、また、農業技術を取得すれば農業関連の就職につながること、さらには地域交流の機会としても大きく期待できることもあり、本市が現在策定中の障がい者生活プランでも、農福連携の推進を明記しております。
今後も、県及びJA熊本中央会の農福連携コーディネーター等と連携し、農業者や障がい者就労施設に対して周知を図りますとともに、他都市の先行事例等を参考に、農業部局と福祉部局が連携し、農福連携の推進に強力に取り組んでまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 農福連携に対し御理解いただいていること、そして、その思いを共有させていただいていること、大変うれしく感じました。今後は、農水局や健康福祉局が部局横断的に農水連携事業を進めていただくことに大いに期待しておきます。
なお、それぞれの部署において、農福連携に関し、担当者や責任者を明確にし、事業の推進を図っていただくようにお願いしておきます。
次に、児童育成クラブについてお尋ねいたします。
熊本市内には、市が直接運営しております80か所の公営クラブのほか、保護者会や社会福祉法人等を通じて運営している15か所の民営クラブが存在いたします。特に今回の質問は、公営で運営している80か所にも上るクラブについて、その運営状況や課題、改善すべき点等について質問してまいります。
熊本市が運営しております各校区の児童育成クラブにおいては、様々な課題が存在いたします。使用施設の経年劣化により、早急な施設整備が求められるクラブが存在すること、また、大切な子供たちをクラブでお預かりする支援員が、熊本市の公営クラブで60人を上回る規模で不足していること等が挙げられます。特に支援員の不足は慢性的であり、深刻な担い手不足に直面しております。現在は、例えば、小学校給食担当の職員の皆さんに応援支援員としてクラブをお手伝いいただき、その不足分をカバーするなど不安定なクラブ運営を迫られている現状があります。そのほか、クラブを利用する児童数に対し、国が求める1人当たりの施設面積を確保できていない施設が9つに上るなど、狭隘率が課題となっているクラブも存在いたします。
さらに、クラブの全体運営にも課題があります。80にも上るクラブを統括している部署は教育委員会となっておりますが、支援員や応援支援員の確保、新規採用や人事異動、500名を超える関係者の給与や福利厚生に関する事務等々、効率性の高いクラブ運営を目指すには、改善を必要とする課題が多岐にわたります。また、本部である教育委員会と現場のクラブは、Cネット等のデジタル環境が整っておらず、情報のやり取りは、給与計算等も含め、いまだアナログに頼る部分も多いと聞いております。加えて、支援員の給与水準は、熊本市会計年度任用職員の給与水準に準じていることから、現場環境に応じた給与水準が担保されておらず、柔軟性に乏しいと言わざるを得ません。
また、国は新・放課後子ども総合プランにおいて、一定の入会基準を設けた放課後児童クラブと、全ての児童を対象とした放課後子供教室の2つの事業を推進しております。しかし、残念ながら熊本市が提供しているサービスは、一定の入会基準を設けた放課後児童クラブのみとなっています。
そこで、教育長にお尋ねいたします。今、御紹介した様々な課題を踏まえ、現状の児童育成クラブに対する教育委員会の認識をお示しください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 児童育成クラブは、利用する児童が安心して快適に過ごせる場所でなければならないと認識しております。毎年、狭隘施設及び老朽施設解消のための施設整備を行っており、令和6年度当初予算案におきましては、飽田南小、長嶺小、小島小、東町小、白坪小の5施設の新たな専用施設を整備する経費を計上しております。今後とも、児童が安心して快適に過ごせるよう計画的な施設整備に取り組んでまいります。
支援員の数につきましては、国の配置基準は満たしておりますが、配慮を要する児童を見守る支援員の数が不足している状況であります。このことにより、支援員の負担感が増していると認識しております。支援員不足の解消のため、処遇改善等を行って、その解消に取り組んでいるところであります。さらに支援員不足の要因の一つである多数の支援員が離職するという問題に対して、支援員の事務負担の軽減や相談体制の強化等を行い、働きやすい環境を整え、人材の確保に取り組んでまいります。
放課後児童育成クラブの運営につきましては、各クラブにパソコン等を配置するなど、事務の効率化に取り組んできたものの、議員御指摘のとおり、手作業に頼るところも多く、課の職員や支援員の事務負担となっていると認識しております。今後、負担となっている給与計算や福利厚生に関する事務などを軽減できるよう、運営の改善に取り組んでまいります。
放課後子供教室は、子供が放課後を安全・安心に過ごすための居場所の一つであると認識しております。来年度に先進自治体の視察等を行うこととしており、児童育成クラブと放課後子供教室が連携した取組等を研究してまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 狭隘、老朽施設改善のため、5つの小学校施設で新たに整備を進めるとのこと、現在の児童育成クラブが抱える課題を一つ一つ丁寧に検証いただき、子供たちの目線に立って効果的なクラブ運営がなされることに期待いたします。
私は先日、放課後の児童対策について、鎌倉市と藤沢市にお邪魔してまいりました。鎌倉市においては、放課後かまくらっ子と総称し、原則小学校の一画で十分なスペースが確保された施設で、児童育成クラブ及び子供教室が一体運営されておりました。また、藤沢市においては、児童育成クラブのみの運営ではありましたが、比較的小規模なクラブを小学校の外に設け、同じ校区に4つの児童クラブが存在するといった、同じ校区で複数のクラブが運営されている状況でありました。この2つの市、いずれの市もクラブや教室を民間事業者が運営しております。主に、鎌倉市は公立民営、藤沢市は民立民営となっています。一方、熊本市の80か所のクラブは、公営で運営されております。
厚生労働省の全国統計によりますと、熊本市同様の公営クラブは、全体の28%程度に過ぎず、民間事業者がクラブを運営している民営クラブの比率は、72%にも上ります。人材の確保や施設運営の効率化、サービスメニューの独自性や柔軟性を考えた場合、民間事業者の知見や経験値を生かしたクラブ運営が最良と考えられているからだと思います。
例えば、民間事業者にクラブ運営をお任せしたとして熊本市の課題を考えてみますと、人材の確保については給与水準の柔軟性が担保され、新規雇用において優位性が働くものと考えられますし、各クラブの運営事務を教育委員会で一括して所管する必要がなくなるというのも、大きな利点だと考えます。さらに、クラブの柔軟な運営が可能となることから、サービスメニューの充実が図られ、現在開設されていない放課後子供教室の運営を始める機会になるのではとも考えます。
そこで、教育長にお尋ねいたします。公立公営で行っている熊本市の80か所のクラブ運営を公立民営とし、民間事業者にクラブの運営を託すお考えはございませんでしょうか。熊本市が置かれている現状を踏まえ、公営から民営に運営形態を移行するメリットやデメリットを想定いただきながら御答弁ください。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 児童育成クラブの民間委託につきましては、多くの市町村で取り入れられており、本市としても安定的なクラブの運営を行うための手段の一つと考えております。
民間委託した場合のメリットといたしましては、安定的な人材確保、ICT化による事務の効率化や利便性の向上、児童の活動プログラムの充実等が考えられます。デメリットといたしましては、財政負担の増加等があると考えております。
近年の児童数増加により、民営クラブの運営が困難となっている飽田南小において、令和7年度からモデル的に民間委託を実施し、その効果検証を行うとともに、利用者・関係者等の意見も伺いながら、他のクラブの民間委託についても検討してまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 令和7年度から飽田南小学校において、児童育成クラブを民間委託で運営したいとの答弁でありました。公設民営化に向けた第一歩だと感じます。初めての取組でもあることから、慎重に進めていただきたいと思いますが、その成果をほかの児童育成クラブに拡充することができるよう、子供たちのために鋭意努力いただきたいと存じます。
次に、熊本市民病院について、その現状と旧市民病院の跡地についてお尋ねいたします。
まずは、令和2年から続いたコロナ感染症、長きにわたりその感染症と戦い続け、熊本市民の生命を最大限守っていただきました熊本市民病院のスタッフの皆さんに心から敬意を表するとともに、改めて感謝申し上げます。
さて、今年度も残すところあと1月程度、昨年の5月には、コロナ感染症の分類が2分類から5分類へと変更となりました。空床保障として支払われていた病床確保料の制度が見直されたこと等で、病院の財務にも大きな影響があった1年だったと思います。3月には決算を迎える時期であります。今年度の決算の見込みを現状分析とともにお示しください。
あわせて、旧病院跡地についてお尋ねいたします。旧病院の解体では、工事中の粉じんや騒音、振動により周辺住民の皆様をはじめ多くの方々に御迷惑をおかけいたしましたが、昨年の7月にその工事を完了いたしました。今後は、旧病院跡地をどうするのか、ということに関心が寄せられます。一方、病院側からは、売却の方向で検討している旨の説明がなされておりますが、そもそも売却は決まったことなのでしょうか。病院事業会計に与える影響や、現存している管理棟の借入れ残高等を踏まえ、売却方針の理由を改めてお示しください。
以上2点、病院事業管理者にお尋ねいたします。
〔水田博志病院事業管理者 登壇〕
◎水田博志 病院事業管理者 まず、熊本市民病院の現状と今年度の決算見込みについてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の5類移行により、令和5年6月より全ての病床の稼動を開始いたしましたが、入院、外来の患者数は順調に増加し、前年度を上回る医業収益を見込んでいます。最終的な決算とは異なりますが、旧病院解体の費用を特別損失として計上していることから、約4億5,000万円の収支不足となるものの、解体費用を除くと収益的収支は収支均衡となる見込みでございます。
次に、旧病院跡地の今後の対応について、お答えいたします。
旧病院跡地は、管理棟に係る起債の償還が令和12年度まで、約10億円残っておりますが、病院事業での利活用は見込めず、売却により病院事業会計の収支改善が期待できることから、病院局として売却の方針を決定しています。売却先につきましては、市からの利用希望があれば有償譲渡を行いますが、市の調査で希望がなかったため、地域住民の皆様の御要望に沿うような方向で、令和6年度の民間事業者への売却に向けて調査等を進めているところです。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 実は、植木病院等を含む熊本市病院事業会計では、令和2~4年度にかけて決算状況は劇的に改善しています。コロナ禍の医療制度の影響によるものと考えられますが、3か年の純利益は66億円にも上ります。財務に大きな改善の兆しが見えてまいりました。今年度の熊本市民病院は、旧病院解体費用を計上することで4億5,000万円程度の赤字計上を予定とのことですが、その要因を除外すると収支均衡とのこと、来年度以降、事業会計改善に向け、改めて御奮起お願いいたします。
一方で、旧病院跡地は売却の意向が改めて示されました。病院事業での利活用が見込めない、事業会計の収支改善が図られる、熊本市からの利用希望がなかったことがその理由だそうであります。また、管理棟の借入れ残高が10億円程度残っていると明らかにしていただきました。さらに、令和6年度までには売却をしたいとの意向も示されました。
旧市民病院跡地の路線価は、1平米当たり8万6,000円程度であります。路線価ベースで考えると、旧市民病院跡地の土地の評価額は、11億7,000万円、路線価程度でしか売却できなかった場合、借入れ残高10億円を返済すればキャッシュフローベースでの収支改善には寄与できないのではとも考えます。
当該地は4,000坪を超え、その立地も、通称電車通りと東バイパスの交差点を近隣に控えております。自動車をはじめ、バスや市電利用者にとっても利便性が高く、交通の要所であります。一方で、当該地には、旧市民病院の地下構造物が存在します。600本にも迫るくいも地中に残ったままです。さらに、南側には管理棟として使われていた地上7階建ての建物がそのままとなっています。今後の土地利用については、地域の皆様からのお声が要望として上がっているとも聞いています。
このような背景を鑑み、旧病院跡地の処遇について私見を申し上げます。
この旧病院跡地は、熊本市病院局の所有資産です。それゆえ、不動産の処遇は病院局の判断となりますが、病院事業を抱えながら効果的な不動産の処遇を検討するというのは難しいのではと考えます。売却の選択肢を考慮しながらも、資産の有効活用を検討する可能性を残す意味で、病院局から当該地の所管を熊本市に有償で移行することはできないでしょうか。
そして、熊本市には次のような検討を行っていただきたいと思います。
旧市民病院跡地は地下構造物やくいが多く残っております。その現状を踏まえ、例えば地域の皆さん方のお声を反映し、低層の建物を前提としたスーパー等の商業施設や立体駐車場を配備し、その駐車場の一部をパークアンドライドの拠点とする。また、交通の要所であることから、公共交通の拠点にも利用できると考えます。簡易的なバスターミナルとしての活用や、タクシーやデマンドタクシー、あるいはシェアサイクルチャリチャリの拠点化、市電電車の簡易基地としての活用など、有効な案がないでしょうか。地域の皆さん方のためにも、緑化や公園の整備、医療施設の誘致も有効であります。
一方で、7階建ての旧管理棟は、例えば東区役所の分館機能を持たせたり、子育て支援やひきこもり支援、児童相談所の業務支援、ささえりあ等の高齢者支援の拠点化、また、企業者への支援として、安価な賃料で事務所スペースを提供するインキュベーション施設等の機能を担う建物として有効な活用ができないのでしょうか。民間の知見や経験を取り入れながら、熊本市でぜひ検討いただきたいと存じます。
所見を財政局長にお尋ねいたします。
〔三島健一財政局長 登壇〕
◎三島健一 財政局長 旧市民病院跡地を本市一般会計へ有償所管替えし、有効活用することについてお答えいたします。
病院事業管理者が先ほど答弁しましたとおり、本市では跡地に関して公共施設としての利活用の予定はないことから、病院局において、地域住民の皆様からの御要望に沿うような方向で民間事業者への売却を検討されていると承知しております。今後、具体的な手続を進めるに当たりましては、財政局としても適正かつ迅速に手続が進められるよう売却条件等に関し、関係局との連携調整を図るなど、支援を行ってまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 取りつく島がない御答弁でありました。旧病院跡地は、病院局のみならず熊本市にとっても貴重な財産であります。売却の意向に変更はなくとも、周辺地域の皆様方の意向に最大限配慮しつつ、売却をすることでのメリットを考慮し、有効な資産活用につながるよう十分に検討していただきますようにお願いしておきます。
次に、保育環境の改善に向けた取組について、2点お尋ねいたします。
まず、こども誰でも通園制度についてお尋ねいたします。
国は、こども未来戦略方針において、月一定時間までの利用可能な枠の中で就労要件を問わない通園制度を創設しようとしております。その背景にあるのは、ゼロ~2歳児の6割が就園していないという事実であります。現行の保育所の制度は、就労等で保育の必要性がある御家庭の子供さんが対象となっております。逆に専業主婦の御家庭は保育の必要性が認められず、保育所の制度の対象とはなっておりません。結果として、そのような御家庭では不安や悩みを抱え、孤立した育児に陥りやすくなることが懸念されております。国は就労要件を問わず、全ての子供の育ちを応援し、全ての子育て家庭に対する支援を強化するため、こども誰でも通園制度を創設しようとしているわけであります。
一方で、熊本市では、保育所等において一時預かり事業を行っております。今回、制度化が進められておりますこども誰でも通園制度と一時預かり事業とは何が違うのでしょうか。できるだけ簡潔に後ほど御答弁ください。
また、国は、こども誰でも通園制度の本格実施を見据え、2024年度、全国の自治体を対象とし試行的事業を実施することといたしております。熊本市は、その試行的事業に手を挙げたようですが、その対象となる保育事業者等は、どのように選定されるのでしょうか。地域や区ごとの公平性を担保することも必要ですし、事業の継続性を考慮した事業助成金制度の創設も不可欠であります。こども誰でも通園制度について、本市としての取組姿勢や見解をお示しください。
こども局長にお尋ねいたします。
〔木櫛謙治こども局長 登壇〕
◎木櫛謙治 こども局長 こども誰でも通園制度の試行的事業について、お答えいたします。
まず、一時預かり事業との違いでございますが、一時預かり事業は、未就学児を対象としておりまして、施設に事前に登録していただいた上で、突発的な事情により保育を必要とする場合などに、一時的にお預かりするものでございます。一方、こども誰でも通園制度は、ゼロ歳6か月~2歳児が対象で、保育を必要とする事由がない方でも定期的に利用いただけるものでございまして、こちらも施設に登録を行っていく方向で考えております。
次に、試行的事業に向けた取組についてでございますが、現在、国の検討会で事業の実施要綱等の議論が行われておりまして、本年3月に最終取りまとめが示される見込みでございます。国の制度を踏まえまして、4月以降、本市の制度設計、実施施設の公募、市民の皆様への周知や利用者の募集等を行い、9月頃をめどに試行的事業を開始したいと考えております。
利用者負担額につきましても、制度設計の中で検討してまいりますが、国の検討におきましては、1人当たり1時間300円程度と想定されております。また、令和5年度2月補正予算に、保育士人件費補助など8園程度を想定した所要の経費を約2,000万円計上しておりまして、実施施設につきましては、地域の実情に応じて選定する予定でございます。
この試行的事業を通じまして、令和8年度の本格実施に向け、課題の洗い出しや検証を慎重に行ってまいりたいと考えております。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 9月をめどに試行的事業を開始する、熊本市内で8園程度を選定、利用者負担額は1人当たり1時間300円程度を想定、予算は2,000万円ほどを計上し、保育事業者への助成制度を検討していきたいとの御答弁でありました。
子育て家庭に対する支援を強化するこども誰でも通園制度は、評価に値する制度と考えます。しかし、深刻な保育人材不足の環境下、新たな事業が展開していくことで、現場の職員の皆さん方の御負担が、さらに大きくなるのではとも懸念いたします。制度そのものをしっかり見極め、保育現場の皆さん方の声を公平に聞き取り、現場の現状をつぶさに国に報告することこそ、極めて大切なことと考えます。ぜひ、現場に目を注ぎ、現場に寄り添った観点で、こども誰でも通園制度の試行運営に取り組んでいただきたいと思います。
先ほども触れましたが、子供を健全に育むための保育現場等の人材不足は深刻であります。保育士確保がままならず、入園を希望するお子さんを受け入れられない、一時保育等の緊急事態対応ができない、障がい児保育やアレルギー対応食の提供が行えないなど、本来あるべき環境にほど遠く、その役割を十分に果たせていないと感じておられる保育事業者が多いとも感じます。人材確保に向けた様々な取組に、熊本市はさらに積極的に取り組むべきであります。潜在保育士と言われる方々への復職に向けた伴走支援や、そもそも、若い世代の皆さん方に、子供を育む現場の魅力をしっかりと発信していくこと等は、行政の役割と考えます。
ところで、熊本市教育委員会において、令和5年から新たな取組が教育現場でスタートしました。大学生学校教育活動アシスタントという取組であります。県内の大学生を対象とし、熊本市立の小中学校で学校職員と連携した学習指導の補助等を行い、教育現場での体験活動を通じて教職員としての資質能力や、本市の教員となる志望動機を高めてもらうための事業であります。学校現場でアシスタントとして活動しながら、学級経営や事業、支援の仕方等を学ぶことができるそうです。謝礼金は1時間当たり1,600円、活動時間は1日当たり4時間程度、具体的な活動内容は授業中や放課後の学習指導の補助、授業や家庭学習の課題準備の補助等が挙げられております。保育事業現場でもこのような制度を生かせないでしょうか。保育士になるために現場を経験するインターンシップとは異なる観点で、大学生や高校生に保育現場に興味を持っていただき、その現場で保育士の皆さんの仕事をサポートする、結果として保育の現場を経験することで、保育に従事したいと思う志望動機が高まる機会とならないでしょうか。ぜひ、保育分野でも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
まず、大学生学校教育活動アシスタント制度について、その意図や成果、課題等を教育長に御答弁いただき、続いて、保育現場における高校生や大学生によるアシスタント制度の導入について、こども局長にその所見をお尋ねしたいと思います。
〔田口清行教育長職務代行者 登壇〕
◎田口清行 教育長職務代行者 大学生学校教育活動アシスタント事業の目的は、教員志望の学生が大学で学んだ理論と本市の教育現場での体験活動を往還しながら、教員としての資質能力や、本市の教員となる志望動機を高めてもらうことであります。今年度開始した事業であり、その成果は今後現れることになりますが、学校現場の活動を実体験しつつ謝礼を得られる学生側、日頃からマンパワーの不足に悩む学校側の双方から歓迎されている事業であります。
課題といたしましては、135名の学生から申込みがありながら、41名しか配置できておらず、学生や学校の希望に十分応えられなかったことが挙げられます。そのため、教育委員会といたしましては、事業のさらなる拡充が必要と認識しております。令和6年度当初予算案におきましても、所要の経費を増額して計上しており、活動期間を前期と後期に分けて配置することで、より多くの学生に活動していただきたいと考えております。
〔木櫛謙治こども局長 登壇〕
◎木櫛謙治 こども局長 保育現場におけるアシスタント制度についてお答えいたします。
本市におきましては、職場体験の一環として、保育現場に中学生のナイストライや高校生のインターンシップを受け入れ、また、保育士を目指す学生の保育実習を行っております。今後も、保育業務に興味や関心を持っていただけるよう学生等が保育現場に携わる機会のさらなる拡充を図ってまいりたいと考えております。保育におけるアシスタント制度も、その取組の一つになると思われますため、教育委員会の制度や課題等を参考に研究してまいります。
〔19番 齊藤博議員 登壇〕
◆齊藤博 議員 大学生学校教育活動アシスタント制度は、その趣旨が学生にしっかりと伝わり、応募多数のようであります。保育の現場においても、保育士としての資質能力や保育士となる志望動機を高めてもらう意味でも、大学生学校教育活動アシスタント制度を参考としつつ、保育活動アシスタント制度の導入をぜひ前向きに御検討いただきたいと存じます。
私からの質問は以上でございます。御答弁いただきました大西市長はじめ執行部の皆様、誠にありがとうございました。また、御清聴いただきました全ての皆様に感謝申し上げ、質問を終わらせていただきます。誠にありがとうございました。(拍手)
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○田中敦朗 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午後 0時06分 休憩
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午後 2時00分 再開
○田中敦朗 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○田中敦朗 議長 一般質問を続行いたします。
中川栄一郎議員の発言を許します。中川栄一郎議員。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇 拍手〕
◆中川栄一郎 議員 皆さん、こんにちは。熊本自由民主党市議団の中川栄一郎でございます。
まずもって、1月に発生いたしました能登半島地震によりまして犠牲になられた方々に対しまして、心からの哀悼の意を表し、被災された方々の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
このたびは伝統ある熊本市議会の場で発言の機会をいただきましたこと、先輩議員の皆様方、そして同僚議員の皆様方に心から御礼申し上げます。また、傍聴にお越しくださった皆様方、インターネット中継にて視聴していただいている皆様に重ねて御礼申し上げます。
初めての質問ということでございまして、地域案件主体となっておりますことをお許しいただきまして、最初の質問に入らせていただきます。
まず最初に、西南地域の振興について質問させていただきます。
人口減少問題について。
平成3年の熊本市合併から三十数年が経過し、旧飽託4町、天明、飽田、河内、北部町の中で一番遅れ感があるのが河内町ではないでしょうか。松尾、河内町など中山間地域から有明海沿岸にかけての人口の減少が著しいと思われます。河内町においても1990年の国勢調査では8,525人いた人口も、1998年には6,867人、令和5年4月1日現在の住民基本台帳人口では5,310人となっており、約30年間で約3,200人以上の人口が減少しております。また、高齢化率の推移も平成10年には24.6%でございましたが、令和5年には44.3%と倍近い数字となっております。数字の上でも過疎化が進み、少子高齢化、人口減少問題は地域の大きな問題となっております。
そういう中で、地元でも人口増加対策として無償で土地を提供され、移住定住を進めていく取組もされておりますけれども、土地の造成から水路、水道といったインフラ整備まで地域でされており、かなりの金銭的な負担も発生しております。また、小中学校への通学距離の問題などで、なかなか思うように進んでいないのが現状でございます。公共交通の利便性の悪さや道路の問題などで地元を離れる方も多い中、空き家もかなり増えております。近年、限界集落という言葉もよく聞かれますし、限界集落になりつつある地区もある中で、地域の将来が本当に心配されるところでございます。
そこで1点目として、熊本市としての人口減少問題に対してのお考えを政策局長にお聞きいたします。また2点目として、西区の中でも過疎化が深刻な松尾地区、河内地区などにおける人口減少に向けた地域の取組などを西区長にお尋ねいたします。
〔田中俊実政策局長 登壇〕
◎田中俊実 政策局長 本市の総人口は、令和2年国勢調査において戦後初めての減少となり、年少人口は1985年頃から、生産年齢人口は2000年頃から減少が続いております。また、国立社会保障・人口問題研究所による最新の将来推計によりますと、本市の総人口は、2070年には54万8,000人程度まで減少する見込みとなっております。このような人口減少、少子高齢化の進行によって、様々な経済的・社会的影響が想定されますことから、令和6年度からを計画期間とする第8次総合計画におきましては、人口減少への対応を本市における最重要課題として位置づけ、2つの視点から総合的な対策を講じていくこととしております。
1つ目は、人口減少の抑制の視点であり、合計特殊出生率の増加や若者の結婚・出産・子育てに関する支援の充実、雇用機会の創出などに取り組むこととしております。また、今後も継続する人口減少への適応をもう一つの視点として、コンパクトで持続可能な都市づくりや、女性、高齢者など多様な主体の社会参画の推進、さらにはあらゆる分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進などに取り組むこととしております。
人口減少の抑制と適応は極めて重要であると認識しておりまして、引き続き、本市総合計画に基づき、各施策に積極的に取り組んでまいります。
〔河本英典西区長 登壇〕
◎河本英典 西区長 私からは、2点目のお尋ねにお答えいたします。
松尾、河内地区においては、西区の中でも人口減少や高齢化が著しい地域であり、その対策が重要であると認識しております。松尾、河内地区をはじめとした有明海沿岸地域では、地域の基幹産業であるミカン栽培やノリ養殖などの担い手不足も課題となっておりますことから、今年度は婚活支援といたしまして、2回の講演会や出会いの場を提供するみなとマッチを実施し、8組のカップルが成立したところでございます。
〔議長退席、副議長着席〕
また、河内地区におきましては、移住定住促進や空き家の利活用、新たな魅力発信などを目的に本市で初めてとなる地域おこし協力隊2名を受け入れ、住民と協働で地域の魅力向上に取り組んでおります。
そのほか、高齢者等への買物環境の向上や見守り活動を目的とした移動販売にも官民連携で取り組んでおり、今後も地域住民や関係機関と連携を深めながら、効果的な事業を積極的に推進してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。本市の人口も2070年には54万人台まで減少する中で、第8次総合計画において最重要課題と位置づけいろいろな施策を講じ、若者の結婚、出産、子育て支援の充実などに取り組むとのことですので、改めて若い世代が安心して暮らせる、安心して子育てができるまちづくりを進めていかなければならないと思ったところでございます。
西区においても、婚活支援として婚活コーディネーターを呼んでの講演会が行われ、また、農業者、漁業者、担い手に対して、熊本港にて、出会いの場の提供としてみなとマッチを開催していただきました。8組のカップルができたと聞いております。このことは、出会いの場として十分な結果が出たと思われます。私も講演会に参加させていただき、地域ぐるみで若者の背中を押して、いろいろなイベントに参加させていくことの重要性を学ばせていただきました。今後も人口減少対策として、若い世代の出会いの場の提供として婚活事業の継続を切にお願いいたします。
また、地域おこし協力隊を受け入れたことにより、地域活動の活性化にもつながり、隊員のSNSでの情報発信により西区のよさが配信され、魅力の向上がしっかりされていると思われます。今後とも魅力あるまちづくりを目指し、若い子育て世代の移住定住の促進を図っていきたいと思っております。
そういう中で、冒頭でも紹介しました土地を提供しての移住定住促進の取組、いわゆる人口増加対策については、本市において何も支援策がないのが現状でございます。今後、そういう事業への御支援の検討をお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
2番、公共交通の利便性の低下について。
昨年の第4回定例会において、松川議員の質問にて交通弱者との表現が出されましたが、まさにそのとおりでありまして、高齢者にとって公共交通の減少は行動範囲が狭くなる要因であり、車の免許返納を呼びかけても「車のなかなら何もできん」という言葉が返ってまいります。河内町野出地区においては、コミュニティ交通の一環として乗り合いタクシーの運行をされておりますが、原則最寄りのバス停までとなっているため、本数が減ったバス路線では利用する頻度も減ってしまい、利用しづらい状況となっております。
また、子育て世代にとっても、高校に進学する時期に必ず公共交通の利便性の問題が出てまいります。公共交通である路面バスを利用しての通学なのか、自転車通学をするのか、それとも送り迎えをするのか、となってまいります。自転車通学の場合は、501号線は、大型車の通行が多過ぎることと、歩道整備がされていない区間があり事故を懸念することが理由で、今では自転車通学はさせられない状況となっております。バス通学の場合は、朝一番のバスで行かせても、朝課外や部活動の朝練に間に合わないという理由で、バスでの通学は利用しづらくなっております。そういう中でほとんどが送り迎えを余儀なくされております。そういう理由で、高校進学と同時に地元を出られる方も少なくはありません。利用客が減っているので本数を減らす、本数が減っているので利用しづらいといった負のスパイラルが起きております。
現在、AIデマンドタクシーの実証実験も行われている中で、西区まで利用区域も広がりつつありますが、松尾地区から河内地区までの中山間地域まで導入が進めば、様々な課題も解決へ向かうのではないかと期待するところでございます。
そこで、中山間地域における公共交通の今後とAIデマンドタクシーの利用範囲の拡大についてのお考えを都市建設局長にお聞きいたします。
〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕
◎井芹和哉 都市建設局長 ただいまの公共交通に関する御質問にお答えいたします。
本市におけるコミュニティ交通は、これまで主に公共交通空白・不便地域において日常生活における移動手段の確保を図る観点から、既存のバス路線等と接続する形で導入を進めてまいりました。松尾、河内、芳野等の西区の中山間地域では、現在6つのデマンド型タクシーを運行しております。利用者の皆様からは、外出の機会が増えたなど一定の評価はいただいておりますが、もともと路線バスの運行本数が少ないこともあり、利用者は少ない状況が続いており、今後、路線バスの減便や路線廃止により、さらなる公共交通の利便性低下が生じるものと認識しております。
現在、本市で実施しておりますAIデマンドタクシーは、導入地域を順次拡大していくこととしており、議員御案内の地域においても通勤通学、高齢者の日常の買物や通院等の持続可能な移動手段の確保に必要な支援の実施に向け、地域の現状把握等を行ってまいりたいと考えております。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。本市におけるコミュニティ交通の不便地域、松尾地区から河内地区にかけての中山間地域の公共交通の一つとして、AIデマンドタクシーの導入地域の拡大に向け前向きに現状把握を行うとのことですので、交通弱者の対策として、また高齢者の移動手段として大いに期待しております。
御案内のとおり、現在6つのデマンド型タクシー、いわゆる乗り合いタクシーの運行が行われております。河内町のみかんタクシーをはじめ三の岳地区、大将陣地区、芳野地区、そして松尾町にて平山、上松尾地区のふれあいタクシーが運行されております。非常に良いシステムではございますけれども、最寄りのバス停までとなっておりますので、路線バスの運行本数が減っている以上、利用頻度もかなり下がっております。せめて近くの病院、ショッピングセンターとかバスターミナルまで運行していただければ利用頻度も上がり、利便性の向上とともに高齢者の方の行動範囲の拡大、移動手段の確保にもつながると考えます。高齢者の方の免許返納を推進していくためにも、ぜひとも御検討いただきたい事案でございます。
また、今後は、AIデマンドタクシーとともに、ライドシェアの普及にも期待いたします。まだまだ法律の規制など問題もありますが、許可を受けて有償のライドシェアを導入している自治体や、実証実験を検討中の自治体もあると聞いております。公共交通が不足しているエリアの空白地有償運送として御検討いただければ幸いです。今後とも、西南部地域の公共交通空白地域の利便性の向上に、御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
次に、西南部地域の主要道路、国道501号線について質問させていただきます。
国道501号線渋滞、通行止め対策問題について。
国道501号線は、本市西南部の重要な幹線道路であり、天明、飽田、小島、松尾、河内を通り玉名、荒尾、荒尾からは佐賀、福岡を結ぶ物流の重要な路線であります。また、大型車両の通行がかなりの割合を占めており、一車線のため交通事故や車の故障などが起きた場合は通行止めや片側通行を余儀なくされ、大渋滞が発生しております。よって、松尾町、河内町にとっては迂回路がないため、緊急車両の通行ができなくなり、緊急搬送が必要な場合が懸念されております。そのため、命の道とも呼ばれております。
そういう中で、有明海沿岸道路の必要性と早期実現を目指して、国にも要望しております。また、将来的には、峠の茶屋公園下の鎌研坂入り口から、島崎町までの直線距離で、約2.6キロメートル区間の新たなバイパス整備を行うことで、玉名広域農道ともつながり、経済効果はもちろんのこと、河内校区、芳野校区、松尾北校区などへの移住定住の促進や命の道の確保にもつながってくると考えております。
しかしながら、やはり何より緊急を要しますので、まずは、迂回路として県道101号植木河内港線、県道1号熊本玉名線の早期拡幅工事こそが必要となってまいります。県道1号熊本玉名線、花園馬水間については、北川議員とともに市長要望させていただいておりますけれども、まだまだ計画路線にもなっていないのが現状でございます。しかしながら、毎年多くの観光バスが通行しております。令和7年4月には金峰山自然の家の供用が開始される予定ですし、霊巌堂を含めた金峰山一体とJA柑橘選果場は、熊本市の小学生の社会見学のコースになっているため、まだまだ大型バスの運行も増えてくると思われます。そういう状況の中で、両脇からの雑木の生い茂りで観光バスの通行の妨げが起きており、バス運転手の一番嫌う路線となっております。また、本年1月の能登半島地震においては、海沿いの道路の寸断が被害の拡大につながっており、地形的に松尾、河内地区に似ているため、改めて道路の重要性が浮き彫りになりました。
そこで、国道501号線の渋滞、通行止めに対する対策として県道101号植木河内港線並びに県道1号熊本玉名線の拡幅を含めた今後のお考えを大西市長にお聞きいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 熊本地震では九州縦貫自動車道をはじめとする幹線道路が寸断され、国道501号に交通が集中したことで深刻な渋滞が発生し、支援物資の搬送や緊急車両の通行等に大きな影響が生じましたことから、災害時も交通機能を確保するダブルネットワークの構築は不可欠であると認識しております。
議員御質問の植木河内港線と熊本玉名線は、国道501号の迂回路を形成する重要な路線でありまして、これまで河内町岳において道路拡幅やバイパス整備を実施してまいりましたが、なお狭小な区間や急カーブ等により見通しの悪い箇所が点在しております。このようなことから、植木河内港線については、現在事業中の道路拡幅を令和7年度完了に向けて取り組みますとともに、熊本玉名線については、急峻な地形を呈しております地域もありますため、今年度現地調査を実施したところであり、それを踏まえ、地質等の調査や整備手法を検討してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。峠の茶屋周辺の道路拡幅工事やバイパス整備が行われ、通行の流れもかなりよくなってまいりました。しかしながら、まだまだ見通しの悪い箇所が点在しているのも事実でございます。植木河内港線の道路拡幅工事も令和7年度完了に向けてスピード感を持って取り組むとのことですので、改めて感謝いたします。また、熊本玉名線、馬水花園間についても現地調査していただき、今後整備手法を検討するとのことですので、一歩ずつ前へ進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
大西市長より、1つの道路が寸断された場合のダブルネットワークの構築は最重要課題であると言っていただきました。能登半島地震と同様、災害時の海沿いの道路の寸断が被害の拡大につながっており、改めて命の道の必要性が地域の大きな課題となっております。
本市と熊本県で策定された熊本県新広域道路交通計画において、10分・20分構想が掲げられております。熊本市圏北連絡道路、熊本市圏南連絡道路、熊本空港連絡道路、この3つを新たな高規格道路として位置づけられております。松尾北校区や河内校区、芳野校区にとっての命の道をこの熊本市圏北連絡道路へつなげる新たな高規格道路の計画はできないものでしょうか。もしくは、冒頭で申しました鎌研坂入り口から島崎までの直線距離で2.6キロのバイパス計画など、ぜひとも検討いただきたい事案でございます。今回は御回答いただけませんでしたが、今後ともしっかりと要望させていただきたいと思っております。
この計画こそ、現在地域が抱える人口減少問題、移住定住の推進、企業誘致等による地域の活性化、ひいては金峰山周辺の観光誘致にもつながってくると考えております。今後とも地域の実情を御理解いただき、御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
それでは、続きまして農林水産業について質問させていただきます。
この質問は、私は所属する委員会の所管の問題でありますけれども、地元にとりましては非常に重要な案件になりますので、あえて質問させていただきます。
熊本市における農林水産業の位置づけ。
熊本県は全国的に見ても農業県であります。農業生産額も3,477億円となっており全国第5位であります。熊本市においても農業生産額460億円と全国市町村で第8位、政令市では第3位という位置づけとなっております。
西南部地域においても、金峰山山系の花園地区から池ノ上地区、松尾地区、河内地区と伸びる中山間地域は、優秀な柑橘類の一大産地であり、現在も、価格も技術面でも県産柑橘の先進地として他の産地をけん引しております。また、田園地帯ではイチゴ、ナスビ、トマトなど優良産地となっております。そして、有明海ではノリの養殖、アサリ、ハマグリといった海産物の優良な産地であり、全てにおいて第1級の産地と言っても過言ではございません。ノリの養殖においては温暖化の影響は受けつつも、令和5年産秋の秋芽にいたっては近年にないほどの上質のノリの生産ができており、熊本県産ノリが全国1位の高値をつけており、事実上の日本一の産地であります。
しかしながら、本市の農政予算は、農業生産額460億円に対して50億円前後で、ここ数年横ばい状態だと思っております。調べてみますと、過去にも多くの議員の方々から同様の御質問が行われてきました。昨年の第3回定例会、予算決算委員会締めくくり質疑において、古川智子議員からも指摘がありましたが、本市の農政に対する予算があまりにも少な過ぎると思っております。これだけの実績が出ている農林水産業であり、農業者、漁業者ともに多くの後継者が残っている状況であります。この後継者、担い手のためにも、産地の維持形成が重要になってまいります。産地の維持のために基盤整備などを進めていきたいところですが、中山間地域においては傾斜、勾配といった問題もあり、基盤整備がなかなかできないのが現状です。しかし、産地では耕作放棄地をなくす取組の一つとして、補助事業を活用した作業道の整備や、地域でまとまり農道事業への申込みも行っておりますけれども、今の予算措置では申込みから約20年が要する見込みとなっております。これでは、産地が疲弊していくのは避けられない状況だと思っております。食料安全保障が叫ばれる中で、産地を守り、生産性を上げるためにも、農業予算の確保と充実が必要不可欠だと思っております。
また、昨年の第4回定例会においても、寺本議員からの予算措置に対する質問にて、新年度の予算編成において留意するとの財政局長答弁がございました。それを踏まえて、本年度の農業基盤整備費、農業耕地費といった農業予算の配分の考え方について、財政局長にお尋ねいたします。
〔三島健一財政局長 登壇〕
◎三島健一 財政局長 予算編成に当たっては、限られた経営資源の中で事業の優先度に応じた選択と集中を行うことなどにより、必要な事業を確実に推進していくことが重要でございます。令和6年度当初予算の編成に当たっては、こども施策の拡充を最重要課題と位置づけたところでございますございますが、これまでの議会からの御指摘等も踏まえ農業関係予算の拡充を図ることとし、市単独で実施する農業基盤整備事業を前年度比1億3,000万円増の6億円を計上したほか、排水機場の更新等に係る事業を前年度比7,000万円増の4億8,000万円計上するなど、耕地費の投資的経費について対前年度比2億6,000万円増額の16億9,000万円とした予算案を編成したところでございます。今後とも、農水産業をめぐる状況を丁寧に把握し、適切な予算編成に努めてまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。予算編成に当たっては、限られた経営資源の中で優先度に応じた予算の配分を進められていくとのことで、今回、農業基盤整備事業を前年比1億3,000万円増の6億円、排水機場更新に係る事業に対し前年比7,000万円増の4億8,000万円、耕地費の経費について前年比2億6,000万円増の16億9,000万円の予算編成がなされました。多くの議員の方からの指摘があっての措置だと思っております。排水機場の更新や農業基盤整備費、耕地費といった部分が少しでも上がることで、停滞している事業が前へ進むわけでございますので、産地としてもありがたいことだと思っております。ありがとうございます。
しかしながら、農業水産業費自体は、令和5年の当初予算の51億9,127万円から50億6,590万円と2.4%の減となっております。実際は、森づくり事業の分が都市建設局へ移行したことによる減少だと思っておりますけれども、やはり、農林水産業費自体にもう少し上げ幅を持たせていただくことが、第1次産業である農林水産業を守っていくことにつながると思っております。基盤整備費や農業事業費を推進していくことが産地の維持形成に最も重要です。食料安全保障、自給率向上、生産性を上げていくためにも、今後とも適切な予算編成に努めていただきますようにお願いいたします。
それでは続きまして、次の質問に入らせていただきます。
2番、農業支援金事業について。
ロシアのウクライナ侵攻により小麦を含めた農産物の輸入が滞り、やっと政府も自給率の向上、食料安全保障を重要な国の施策として掲げてまいりました。そんな中、私の周りにも農業に参入したいと言ってくる若者が増えてまいりました。また、実際にサラリーマンを辞めて実家の跡を継ぐ方や、奥様の実家の農業を継いだ方とか、息子は継がなかったけれども孫が継いでくれたとか、うれしい話が多々あります。今年度の熊本県農業コンクールにおいては、地元イチゴ農家の若手農業者がグランプリを獲得し、地元の新規就農者が新人王を獲得してくれました。やっと農業が見直される時代が来たように感じます。
国には新規就農者に手厚い支援がありますが、最近では非常に厳しい規制があるように思います。令和3年度までは年間150万円の支援金が5年間支給されておりました。しかしながら、令和4年の新規就農者育成総合対策事業からは、5年間から3年間に縮小されております。実際に本市管内でも支援金目当てに申請されて、畑は借りたものの無農薬での栽培だと言って全然農地には手を入れずに荒れ果てたという例もあり、審査が厳しくなったとは聞いております。しかし、新規で始められる方にとって農業機材、また、農業資材を一からそろえるためにはかなりの資金が必要です。現在、経営開始資金として150万円を3年間、経営発展支援事業として補助対象事業費上限1,000万円、自己負担4分の1となっておりますけれども、購入できる機械、資材等が限られておりますし、採択においてはポイントの算定基準が難しく、新規での参入者にはハードルが高過ぎるように思います。
また、所管の委員会でも質問させていただきましたが、農地利用等効率化支援金事業、いわゆる3割補助の事業においてもポイント制となっており、算定基準が大規模農家有利の基準となっておりますし、非常にポイントの取りづらい算定基準になっております。この2つの事業とも県を経由する国事業であり、熊本市で自由に要件を変更できるものではございません。私は、真に日本のこれからの農業を担う方々のための事業となってもらいたいと思っております。今後、この2つの事業の採択に関わるポイント制度の在り方について、国への要望をしていくことを考えております。例えば、新規就農者育成総合対策事業であれば、新規就農者をこれからも地域でサポートしていくというような推薦がある者はポイントが加算されるとか、農地利用効率化等支援金事業であれば、産地や地域独自の加算ポイントが設定されるなど、そういうことをしっかりと訴えていきたいと思っております。
このような制度改善についての本市の御意見をお伺いいたします。また、冒頭に紹介しましたように、本市の新規就農者や認定農業者などの地域の担い手が、今後も前向きに営農を続けていけるように、本市独自の事業支援などについて、本市の農業振興に対する思いを大西市長にお尋ねいたします。
〔大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 議員御指摘のとおり、農地利用効率化等支援交付金などのポイント制度が導入されております国の担い手支援の関連事業につきましては、近年、農業者の皆様から利用しにくいとの声が本市に対しても寄せられておりまして、採択が厳しい状況にあると承知しております。本市の基幹産業である農業を継続的に発展させていくためには、国の事業を活用して意欲ある農業者の皆様の経営支援に的確に対応していくことが重要であります。
私自身、市長とドンドン語ろう!や農業者主催の農業者大会などで農業者の皆様と意見交換を行ってまいりましたが、本件をはじめ、皆様の御意見を踏まえながら、地域の実情、実態に即した制度となりますよう、今後も県や国へ提案してまいります。
なお、本市では夢と活力ある農業推進事業を措置し、認定新規就農者や認定農業者の皆様の施設整備等を支援しておりまして、引き続き、農業者の皆様の御意見を踏まえ、利用しやすい事業となるよう機動的に取り組んでまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。本市独自の支援事業である夢と活力ある農業推進事業、いわゆる夢活は、農業者にとりまして非常に使いやすい事業だと感じております。しかしながら、やはり予算の関係上、申込者全員の事業採択までは至っていないのが現状ですので、今後の適切な予算措置をお願いいたします。
農地利用効率化等支援交付金事業については、今後、産地を維持形成し、産地を守っていくためには必要な事業だと考えます。耕作放棄地をなくしていくためには、現在の担い手がやめていかれる農地を引き受けていくことが重要になります。私どもの試算では、今の営農規模の約1.5倍ほどの農地を持つことになると推察します。その場合、現状の農業用施設では無理が生じてまいります。補助事業を活用しての営農規模の拡大と設備投資を進めていくことが重要だと考えます。
また、新規就農者育成総合対策事業においても、経営発展支援事業としての融資を受けるには、算定基準がかなり厳しいため、諦められているのが現状です。本市においては、昨年度の採択者は1人だったと聞いております。今後も、国や県へ採択基準の見直しの提案を検討するということですので、期待いたします。
大西市長より、意欲ある農業者の経営確立支援に力を入れていくとの答弁いただきましたので、今後とも、本市の農業が継続的に発展しますように御支援お願いいたします。
続きまして、農業現場における鳥獣害対策について質問いたします。
現在、鳥獣被害対策のうち住宅地などの生活圏内被害対策については、令和5年第4回定例会において、田島議員、松川議員から質問があったと思いますけれども、今回は農林水産業被害についての質問させていただきます。
近年、農業被害額は有害鳥獣駆除隊の方々の御支援により、減少傾向になってきております。これは主にイノシシ被害の減少によるもので、アナグマ、タヌキといった中型獣類による果樹、スイカ、メロンなどの被害は横ばい、また、鳥類による果樹、露地野菜、ノリを含めた海産物の被害と相談件数は増加傾向にあると聞いております。特にカラス、ヒヨドリの地元河内での果樹類への被害は大変深刻です。また、カモによるノリの食害もかなり被害が出ております。また、河内町白浜地区ではカモによるブロッコリーの食害、沖新町高砂地区ではレンコンの新芽の食害が出ております。現在、銃以外での対策として県事業を活用して、カモ撃退装置の実証実験が行われております。一方で、河内地区、松尾地区などの本市果樹産地では、中山間傾斜地が主体であり、防鳥ネットの設置など被害の防止対策が困難であり、鳥類被害対策は猟銃による駆除が主流となっております。しかし、現在、銃猟免許を有する駆除隊員が不足しており、育成が急務となっております。
その要因の一つに、鳥類駆除の捕獲報奨金の低さもあると思っております。1羽当たり200円で、報奨金をもらうには日付入りデジタルカメラにて左向きで撮影し、鳥類の両足を提出することとなっております。1羽200円のカモ、ヒヨドリなどを駆除するために弾代が約200円かかり、面倒な報告書の作成があるために鳥類駆除はほとんどボランティアでやられているのが現状です。せめて1羽1,000円ぐらいの報奨金になれば、銃での駆除も増えてくると予想されます。また、銃猟免許の取得者も増えてくると思っております。
そこで、今大変被害が拡大している鳥類被害対策と銃猟免許を有する駆除隊員の育成に対しての本市独自の支援策などはないものでしょうか。農水局長にお聞きいたします。
〔大塚裕一農水局長 登壇〕
◎大塚裕一 農水局長 本市の有害鳥獣による温州みかん被害額は、令和4年度約2,700万円と農作物の中で一番大きく、その約3割が鳥類によるものとなっています。鳥類の被害対策は、重要な課題と認識しています。
鳥類への被害対策は、これまで猟銃による駆除のほか、議員御紹介の河内町白浜地区や沖新町高砂地区の平地では、令和4年度から県事業を活用し、カモにレーザー光を当てて追い払う撃退装置の実証実験を行っており、一定の効果を上げています。一方で議員御指摘のとおり、河内地区などの本市果樹産地は、金峰山系山腹の急傾地が主体であるため、防鳥ネットなどの被害防止対策が困難であり、猟銃による駆除を強化する必要があると考えています。
猟銃による駆除を進めるに当たっては、銃猟免許を有する駆除隊員の確保が必要であります。しかしながら、現状では当該隊員が高齢化しており、担い手の育成が急務であります。このため、今年度から銃猟免許取得に対する一部補助を実施し、駆除隊員の費用負担の軽減を図るとともに、経験の浅い銃猟免許所有者に対しましては、県事業を活用した射撃技術向上研修等を実施しています。
御提案の捕獲報奨金の上乗せについては、捕獲意欲の向上に有効であると考えており、アナグマ、タヌキなどの中型獣類では、令和6年度当初予算案において上乗せに係る所要の経費を計上しております。鳥類に対しましては、駆除隊員の負担軽減と持続可能な猟銃による鳥類被害対策における駆除体制の確保への効果について、今後検討してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。今年度から銃猟免許取得に対しての一部助成をしていただくとのことで、駆除隊員の育成、確保に有効だと考えます。隊員の高齢化により、若い担い手の育成が急務とはいえ、免許の取得には約10万円ほどかかり、猟銃も安く見積もっても5万円から10万円が必要となります。また、年間の維持経費だけでも約5万円ほどかかると聞いております。弾も2分の1補助とはいえ、補助金が入るまで半年ほどかかり、かなりの費用負担がかかっております。担い手がやる気を持って有害鳥獣駆除を行うためにも、費用負担の軽減は重要だと考えております。令和6年度より中型獣類に対しては、捕獲報奨金の上乗せを計上されているようですので、捕獲意欲の向上につながる措置だと思っております。
イノシシによる被害は減少傾向とはいえ、それは駆除隊の方々の御支援によるものであって、担い手の育成ができなければ、また一気に個体数は増える一方だと考えます。熊本県内でも各市町村ごとに独自の支援策を講じておられます。国のイノシシに対する報奨金は、成獣1頭7,000円、幼獣については1,000円となっております。本市の場合は、成獣、幼獣ともに3,000円の上乗せを行い、捕獲意欲の向上を図っておられますけれども、例えば阿蘇郡産山村の場合は、成獣に8,000円、幼獣に1万4,000円の上乗せを行い、1頭が成獣、幼獣ともに1万5,000円としています。ほかの自治体を見ても、熊本県内36の自治体で幼獣の大幅な上乗せを行われております。この状況は、個体数を減らすには、幼獣の捕獲こそが有効だということだと思われます。本市においても、今後は駆除隊員の負担軽減や捕獲報奨金の上乗せによる捕獲意欲の向上につながる措置を講じていただきますように切にお願いいたします。
それでは、最後の質問に入らせていただきます。
老人福祉センター廃止について。
令和5年第4回定例会において、熊本市の川上、南、西、河内の4つの老人福祉センターの廃止案が可決されました。私の地元の河内老人福祉センターについても、本年3月31日をもって廃止となります。地元自治会より、耐震性能不足と老朽化は理解するものの、もう少し時間の猶予をお願いしますといった要望書が提出されました。話合いの結果、附帯決議をもっての可決としたわけでございます。ある程度は住民の方も理解していただいたわけではございますけれども、やはり納得いかない部分もかなりあります。
そもそも地域は高齢化率が44.3%と加速する中で、高齢者福祉施設はむしろ増やしていくべきであり、耐震性能不足は仕方ないとしても、廃止ありきで4つの施設を廃止する以上、減った分増やしていくべきであり、時代に逆行しているように思えます。今後の高齢人口がますます増えていく中で、高齢者福祉に対する本市の方向性と附帯決議に盛り込まれた地域活性化に対する本市のお考え、方針を健康福祉局長にお聞きいたします。
〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕
◎津田善幸 健康福祉局長 老人福祉センター廃止に関連しまして、本市における今後の高齢者福祉施策の方向性などについてお答えいたします。
高齢者人口が今後ますます増加する中、人生100年時代を見据えると健康で生き生きとその人らしく生活できることが重要であり、現在策定を進めている第9期くまもとはつらつプランにおいて、効果的な健康づくりと生きがいづくりの推進を重点的取組に位置づけ、強化を図ることとしています。具体的には、骨折予防対策などビッグデータ分析結果に基づく取組や、プロスポーツチームと連携した健康づくり事業を実施するとともに、地域においては、くまもと元気くらぶの活動を活性化するための助成や、活動の質を高めるための専門職の無料派遣など、支援の強化を進めてまいります。
また、活動場所の確保につきましては、老人福祉センターなどの市有施設だけでなく、民間施設も含め地域にある既存の社会資源も有効活用しながら、誰もが身近な地域において健康づくりができる環境を整えることとしています。
今回、老人福祉センターを廃止することとなりますが、附帯決議を踏まえ廃止に伴い地域が衰退することのないよう、地域活性化策につきましても地域の皆様と一緒になって検討してまいります。
〔13番 中川栄一郎議員 登壇〕
◆中川栄一郎 議員 ありがとうございます。河内老人福祉センターについては、附帯決議を踏まえ、地域が衰退することのないように地域活性化策についても話合いの場を設けていただくとのことですので、期待いたします。
利用者の方は、ほとんどが歩いて利用されている方ですので、ほかの地域の施設利用は厳しい状況です。また、河内温泉がなくなるのが一番危惧されておることでございます。そういう中で、健康づくりができる環境を整えるために、市有施設だけでなく民間施設も含め地域にある既存の社会資源も有効活用しながら、高齢者福祉や健康づくりができる環境の充実に努めていくと言っていただきました。
河内老人福祉センターの周辺には、閉館された温泉施設や温泉旅館などもございます。今後、地域においての活動の助成や支援を進めるとのことですので、老人福祉センターの利用者の方が気軽に健康づくりができる場としての利用や、くまもと元気くらぶの活動の拠点として利用できるなら、老人福祉センター廃止後の高齢者福祉に大変役立つと考えます。附帯決議にもありましたが、今後も地域と話合いを持ちながら、地元としましてもまちづくり、地域おこしの一環として河内温泉の復活に力を入れていきたいと考えておりますので、今後とも御支援いただきますようによろしくお願いいたします。
以上で、準備しました質問は全て終了いたしました。真摯に受け答えをいただきました大西市長をはじめ執行部の皆様方に、また、御尽力をいただいた職員の方々に心より御礼申し上げます。また、インターネットにより視聴いただいた皆様、傍聴に足をお運びいただいた皆様に重ねて御礼申し上げます。今後とも、現場の声をしっかりと届けていける議員として努力、精進してまいりますので、先輩議員、同僚議員の方々の御指導、御鞭撻、そして地域の皆様方の御支援、御協力を重ねてお願いいたしまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○大嶌澄雄 副議長 本日の日程は、これをもって終了いたしました。
次会は、明6日(水曜日)定刻に開きます。
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○大嶌澄雄 副議長 では、本日はこれをもって散会いたします。
午後 2時57分 散会
〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり
令和6年3月5日
出席議員 47名
1番 田 中 敦 朗 2番 大 嶌 澄 雄
3番 村 上 麿 4番 瀬 尾 誠 一
5番 菊 地 渚 沙 6番 山 中 惣一郎
7番 井 坂 隆 寛 8番 木 庭 功 二
9番 村 上 誠 也 10番 古 川 智 子
11番 荒 川 慎太郎 12番 松 本 幸 隆
13番 中 川 栄一郎 14番 松 川 善 範
15番 筑 紫 るみ子 17番 島 津 哲 也
18番 吉 田 健 一 19番 齊 藤 博
20番 田 島 幸 治 21番 日 隈 忍
22番 山 本 浩 之 23番 北 川 哉
24番 平 江 透 25番 吉 村 健 治
26番 山 内 勝 志 27番 伊 藤 和 仁
28番 高 瀬 千鶴子 29番 小佐井 賀瑞宜
30番 寺 本 義 勝 31番 高 本 一 臣
32番 西 岡 誠 也 33番 田 上 辰 也
34番 三 森 至 加 35番 浜 田 大 介
36番 井 本 正 広 37番 大 石 浩 文
38番 田 中 誠 一 39番 坂 田 誠 二
40番 落 水 清 弘 41番 紫 垣 正 仁
43番 澤 田 昌 作 44番 満 永 寿 博
45番 藤 山 英 美 46番 田 尻 善 裕
47番 上 野 美恵子 48番 上 田 芳 裕
49番 村 上 博
欠席議員 1名
16番 井 芹 栄 次
説明のため出席した者
市長 大 西 一 史 副市長 深 水 政 彦
副市長 中垣内 隆 久 政策局長 田 中 俊 実
総務局長 宮 崎 裕 章 財政局長 三 島 健 一
文化市民局長 金 山 武 史 健康福祉局長 津 田 善 幸
こども局長 木 櫛 謙 治 環境局長 早 野 貴 志
経済観光局長 村 上 和 美 農水局長 大 塚 裕 一
都市建設局長 井 芹 和 哉 消防局長 福 田 和 幸
交通事業管理者職務代理者
伊 藤 幸 喜 上下水道事業管理者田 中 陽 礼
教育長職務代行者 田 口 清 行 中央区長 岡 村 公 輝
東区長 本 田 昌 浩 西区長 河 本 英 典
南区長 本 田 正 文 北区長 中 川 和 徳
病院事業管理者 水 田 博 志
職務のため出席した議会局職員
局長 江 幸 博 次長 中 村 清 香
議事課長 池 福 史 弘 政策調査課長 上 野 公 一