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熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2023年09月11日 定例会

令和 5年第 3回定例会

  令和5年9月11日(月曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第5号                         │
│ 令和5年9月11日(月曜)午前10時開議                │
│ 第  1 一般質問                           │
└─────────────────────────────────────┘
                            午前10時00分 開議
田中敦朗 議長  ただいまより本日の会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  日程第1「一般質問」を行います。
 発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
 まず、日隈忍議員の発言を許します。日隈忍議員。

         〔21番 日隈忍議員 登壇 拍手〕

◆日隈忍 議員  皆さん、おはようございます。
 自由民主党熊本市議団の日隈忍でございます。
 2期目の当選後、初めての一般質問となります。2期目もがん対策を中心とした健康づくり、そして地域の声を市政に届けることに尽力してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速通告書に沿って質問に入らせていただきます。
 通告1、がん対策を中心に今後の健康づくりについて、2点続けて質問いたします。
 今年の3月28日に、第4期がん対策推進基本計画が閣議決定されました。計画は5年ごとに見直され、この計画を基に全ての都道府県、市町村においてがん対策を実施することになります。厚生労働省は1年間に100万人以上が罹患するがんを国民病と言っても過言ではないと表現するほど重大な健康課題としています。
 熊本県のがん登録情報によると熊本市でも令和元年の1年間に6,250人ががんにかかり、2,006人の方が命を失っておられます。がんは熊本市民にとっても重大な健康課題となっております。そこで、今回閣議決定された第4期がん対策推進基本計画に対する認識と、第3次健康くまもと21基本計画におけるがん対策の方針を示してください。
 次に、都道府県はがん対策推進計画の策定が義務づけられています。市町村には義務づけられていませんが、指定都市の中でも静岡市、さいたま市、浜松市、札幌市、横浜市などはがん対策推進計画を策定しております。がん対策の実効性を高めるためにも熊本市がん対策推進計画を策定してはいかがでしょうか。
 以上、2点について大西市長に答弁をお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  がん対策に対する2点のお尋ねにお答えいたします。
 まず、国の第4期がん対策推進基本計画については、がん予防、がん医療、がんとの共生の3つの分野における施策並びに基盤整備に取り組み、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すものであると認識しております。
 次に、今年度策定予定の第3次健康くまもと21基本計画のがん対策については、国の第3次健康日本21に基づき、がん予防を基本的な考え方として発症予防や情報発信、相談支援に継続的に取り組むとともに、早期発見、早期治療につながる各種がん検診の受診率向上等に重点的に取り組む方針としております。
 また、がん医療やがんとの共生については、今年度策定予定の第8次熊本・上益城地域保健医療計画において、がん医療の提供体制や仕事と治療の両立支援等に重点的に取り組む方針としております。
 これらの2つの計画が密接に連携することにより、引き続き、本市のがん対策における様々な課題に総合的に取り組むことができるものと考えておりまして、本市がん対策推進計画の策定に関しては、今後、他都市の計画策定による効果等について研究してまいりたいと考えております。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  大西市長、答弁ありがとうございました。
 大西市長より国の計画について、誰一人取り残さない全ての国民とがんの克服を目指すものであるという認識が示されました。実現のためには予防対策の中心となるがん検診受診率を向上させることが前提となります。重点的な取組に大いに期待したいと思います。
 がん対策推進計画については、他都市の状況を十分検討していただき、次期の健康くまもと21にぜひ反映させていただきますようお願いしたいと思います。
 通告1について、2点続けて質問いたします。
 現在、本市のがん対策は健康づくり推進課が担当し、健康企画班、健康まちづくり班、健康増進班で構成されていますが、がんを担当する班の明記がありません。確認したところ、健康企画班ががん対策を担当しているということですが、がんは市民にとって最大の健康課題であることから、がん対策を専門に取り扱う班を新たに編成するべきではないかと思います。いかがお考えかお示しください。
 続けて、2点目について質問いたします。
 第4期がん対策推進計画においては、がんになっても安心して生活し、尊厳を持って生きることのできる地域共生社会を実現することで、全てのがん患者及び家族等の療養生活の質の向上を目指すと明記されています。目標である地域共生社会を実現するためには、患者、家族への理解を深めることが重要であり、地域で活動する患者会、がんサロンへの支援が必要ではないでしょうか。これまでの患者、家族会への支援の対策と、今後の患者支援の方針についてお示しください。
 以上、2点について健康福祉局長に答弁をお願いいたします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  2点のお尋ねにお答えいたします。
 まず、がん対策を専門的に担う体制についてでございます。
 本市のがん対策におきましては、がん予防に関することと、がん医療やがんとの共生に関することにつきまして、それぞれの業務を所管する部署で取り組んでいるところでありますが、がんは本市にとって重要な健康課題の一つでありますことから、議員御提案のがん対策を専門に取り扱う班の編成等につきまして、検討してまいりたいと考えております。
 次に、がん患者等の支援につきましては、県内のがん患者等のネットワークへの参画や本市がんサロンの定期的な開催等を通して、がん患者等の交流や課題の共有等に取り組んでおりまして、今後もがん市民講演会の4年ぶりの開催やSNS等により支援情報の積極的な発信を行うなど、がん拠点病院等と連携した多様な支援に努めてまいりたいと考えております。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 がん対策を専門に取り扱う班編成に取り組んでいただけることを期待しております。市民の皆さんにがん対策が効率的に行われ、本市が積極的に取り組んでいることを分かるような班編成にお願いしたいと思います。がんとの共生社会を実現するためには、がん患者、家族への支援が欠かせません。患者、家族の声を聞き、がん診療連携拠点病院と連携を深め、支援の強化をよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、通告2、地域の福祉を担う障がい者相談支援センターについて、4点続けてお尋ねいたします。
 私は長年にわたり地域活動に取り組んでいますが、地域では高齢者の福祉と障がい者の福祉が大きな課題と考えております。地域では、高齢者に関しての困り事はとにかくささえりあに相談すれば解決につながるとの認識が定着しつつあります。そして、社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門職が丁寧に対応することが、地域に暮らす高齢者の安心につながっております。一方で、地域には多くの障がい者の方が暮らしておられますが、これまで障がい者の福祉が地域の課題として取り上げられることがありませんでした。
 私は原因の一つとして、地域に障がい者福祉の専門家がいなかったことが原因ではないかと考えております。しかし、ここ一、二年で地域の中で障がい者の福祉について話し合う機会が増えてまいりました。これは市内9か所に設置されている障がい者相談支援センターに地域支援員が配置されたことがきっかけとなりました。今後も、地域支援員の活躍が期待されているところです。
 ここ数年、社会問題として8050問題が取り上げられています。御存じのように、8050問題とは、80代の親が50代の引き籠もる子供の生活を支えてきたが、親の高齢化により、経済的にも精神的にも立ち行かない状態になる問題ですが、同様に、地域では障がい者の生活を家族が中心になって支えてきた現実があり、障がい者を支えてきた家族に8050問題が起こる可能性が懸念されております。
 今後、障がい者相談支援センターには、地域の障がい者と家族を含む複雑な課題を解決する重要な役割が求められていると思います。これから地域と障がい者相談支援センターが連携し、障がい者への福祉サービスをより充実させることが必要と考えております。
 そこで、これまでの地域との連携の実績を示すとともに、今後は地域だけでなく、教育機関などとの連携も必要と思われますが、障がい者相談支援センターのこれからの地域での取組方針をお示しください。
 続けて質問いたします。
 また、様々な関係先との連携により、障がい者の皆さんを支える仕組みが確立しつつありますが、まだまだ十分ではありません。障がい者の皆さんの福祉サービスを向上させるためには、センターのさらなる充実も必要と考えております。現在の9か所から設置数を増加させることを検討できないでしょうか。また、人員については各センター4人または5人の体制のようですが、相談、支援数の増加に伴い、検討が必要ではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
 続けて質問いたします。
 8050に象徴される障がいのある子供と親が高齢化することで、包括支援センターとの連携が必要になってきます。障がい者支援と高齢者支援のワンストップでの対応が求められる状況が多くなると予想されますが、どのように進めているか、答弁をお願いしたいと思います。
 続けて質問いたします。
 また、来年は委託相談事業所として、契約更新の年となるようです。契約は各センターの運営母体である医療法人、社会福祉法人などと契約になりますが、障がい者相談福祉センターは契約委託期間が3年となっておりますが、地域との信頼関係を築き、連携を深めるために委託期間3年を延長すべきではないかと考えております。ちなみに、地域包括支援センターささえりあは6年であり、両センターが連携を深め、活動を充実させるためにも委託期間の延長が必要と考えます。
 以上4点、健康福祉局長に答弁をお願いいたします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  障がい者相談支援センターの取組方針につきまして、順次お答え申し上げます。
 熊本市障がい者相談支援センターは、障がいがある方やその家族に対する相談等の業務を総合的に行う重要な機関であり、現在、地域における様々な関係機関のネットワークの構築や連携を図り、障がいのある方が必要とされる支援につなげるとともに、地域の住民の皆様に対し、障がいへの理解に関しまして周知啓発を行っております。
 センターの体制につきましては、地域との連携による福祉施策強化のため、令和3年度から9か所ある全センターに地域支援員を1名ずつ増員し配置したところでございますが、今後は支援件数の推移や社会情勢の変化等を踏まえ、事業実績に関する検証や評価を行い、体制強化につきましても検討してまいります。
 次に、センターの委託期間についてのお尋ねでございますが、3年ごとに行われる障害者総合支援法の改正に伴って、センターに求められる役割等を見直すこととしていることから、現在の3年は合理的かつ効果的であると考えております。
 最後に、障がい者と高齢者のワンストップでの支援についてのお尋ねでございますが、議員が述べられましたように、障がいのある子やその親の高齢化は、近年特に留意すべき課題であると考えておりまして、今後も障がい者相談支援センターが中核的な役割を担い、地域包括支援センターささえりあとの連携を強化し、一体的な支援ができる協力体制を構築してまいりたいと考えております。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 地域における高齢化が進むと、障がい者相談支援センターの役割は、今後ますます重要になってきます。地域では障がい者に対しての理解がまだまだ十分ではありません。地域と連携して、障がいのある方が安心して暮らせるような活動が求められていると思います。今後は地域包括支援センターと連携した対応、さらには障害者総合支援法の見直しによる機能の充実に期待したいと思います。委託期間の見直しについては残念ながら現状では難しいようですが、地域との連携強化、事務負担軽減のためにも引き続き検討をお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 通告3、義務教育の質を確保するための人材育成・確保について、4点お尋ねいたします。
 全国的に教員不足問題が深刻な状況となり、働き方改革を中心に教育委員会も様々な取組を行い、教員採用試験志願者増加のための対策などを実施されていますが、今年度の教員志願状況は前年より120人減少し、平均倍率が2倍を切り1.9倍、特に小学校は倍率が1.3倍となり、教員の成り手不足は一層深刻化しております。教員が不足すると学校現場での働き方改革を進めることも難しく、過酷な環境が続き、ますます教員の成り手が不足するというような悪循環に陥ってしまうのではないかと心配しております。
 当面は教員不足の解決策を進めなければなりませんが、その対策として教員免許を持ちながら教育から離れている人材の積極的な活用対策が図られているようです。教員免許を持ちながらこれまで教育に携わることのなかった方、あるいは様々な理由で教育現場から長く離れていた方がペーパーティーチャーと呼ばれているようですが、ペーパーティーチャーの皆さんが安心して学校現場で対応できるような十分な研修体制はできていますでしょうか。さらには教育現場での指導体制についても教えていただければと思います。
 教育長に答弁をお願いいたします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  本年7月、教員の人材確保等を目的に、教員免許を持ちながら教職に就いていない方、いわゆるペーパーティーチャーを対象とした学校現場の見学やタブレットの体験をする講習会を行いました。一方、初任者や新規の臨時的任用教員、中堅教員等には、経験年数や職種に応じて、教育公務員倫理や特別支援教育についての研修を行っております。さらに、ICT活用に関する研修等の希望研修も実施しているところです。
 教育現場での指導体制については、校長が毎年度行う育成面談等を通して、教員一人一人の資質向上に関する研修計画を確認し、指導助言を行っております。また、校長が初任者担当の校内指導員を指名し、他の職員と連携して研修に当たっております。さらに、初任者5人~7人に対して、1人の初任者担当の指導教員が各学校を巡回し、個別の指導助言を行っているところです。
 臨時的任用教員の育成については、できる限り初任者研修に参加してもらうなど積極的に行うよう周知しております。
 教育委員会としては、教員の資質向上のための研修プログラムの開発と充実に努めているところです。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 初任者研修、そして、教育現場での指導体制が理解できました。初めての学校現場では、ペーパーティーチャーを含む初任者は大きな不安を持ちながら教育に関わることになると思いますので、不安解消のために万全の研修体制を準備してください。中でも長く学校現場から離れていた方は、教育のデジタル化への対応が困難であることが予想されます。計画的な研修をお願いしたいと思います。
 また、研修は初任者研修だけでなく、全ての教員が児童・生徒、保護者、地域から信頼されるような資質向上の研修にも力を入れていただきますようにお願いしたいと思います。
 通告3について、3点続けてお尋ねします。
 小学校の新規採用者は女性の割合が高いと思われます。数年後には結婚、あるいは出産を迎えられる方もおられると思います。その際、現状の教員不足の状況では、教員の皆さんが安心して十分な期間の産休・育休を取得できるのか心配しております。産休・育休の申請があった場合に、準備はできているのかお尋ねいたします。
 続けて質問いたします。
 令和4年4月に、育児・介護休業法が改正され、事業主に育休制度を案内し、取得の希望があるかを確認することが義務づけられております。現状の教員不足の状態では、男性教員が育休を取得することはなかなか困難だとは思いますが、少しでも取得しやすい環境を整えることが必要だと考えます。男性教師の育休取得については、どのようにお考えかお尋ねいたします。
 続けて質問いたします。
 教員不足の原因の一つとして、定年退職者の増加も指摘されております。現在の教員の皆さんはいつまでこの厳しい労働環境が続くのか、不安をお持ちの方も多いと思います。その不安を解消するためには、今後の定年退職者の予想数と新規採用者計画を示し、教員不足の現状がいつ解決できるのか見通しが必要ではないでしょうか。解決の見通しをお示しください。
 以上3点、教育長に答弁をお願いいたします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  教員確保について、3点お答えいたします。
 産休・育休を取得する教員の補充については、随時対応しているところですが、現状においては、臨時的任用教員の登録者が不足しているため、直ちに補充することができず、一部の学校現場には負担をかけている状況です。
 また、男性教員の育休取得を促進することは重要と考えており、子供が生まれた男性教員が勤務する学校の校長は必ず育児休暇計画表を作成するなど、育休を取得しやすい環境の整備に努めております。しかしながら、臨時的任用教員を直ちに補充できていない現状においては、男性教員が育休を取得しやすい環境とは言えないため、臨時的任用教員の確保に努めてまいります。
 次に、教員不足解消の見通しについてですが、本年度60歳に到達する正規採用の教員は管理職を除いて123名おり、昨年度実施したアンケートに基づき、そのうち7割が定年延長に応じることを前提として計画を立て、本年度実施の教員採用試験の採用予定者数を318名としたところです。このようにして計画的に正規採用の教員の割合を上げることで、教員不足が今後解消に向かうと見込んでおりますが、今後も一定数の臨時的任用教員は必要となることから、引き続き確保に努めてまいります。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 現状では根本的に教員不足を解決することは難しく、臨時的任用教員に頼らざるを得ない厳しい状況であることが分かりました。しかし、教員の皆さんが学校現場の教員不足に配慮し、結婚や出産、あるいは男性が育休を取得することをちゅうちょすることがないように、教員の確保をお願いいたします。
 教員不足改善のためには、定年延長に応じる教員の割合を上げること。そして採用計画予定者数を確実に達成し、正規職員の割合を上げていくことに尽きると思われます。正規採用の教員の割合を上げることは、労働環境の改善にもつながり、主体的に行動できる人を育むという基本理念の達成にもつながると考えます。重ねて、教員の確保により、教員の働く環境整備にぜひ取り組んでいただきますよう要望いたします。
 次の質問に移ります。
 通告4、子育て支援施設児童館の運営について3点お尋ねします。
 今回、一般質問の中で児童館を取り上げたのは、私の地元、西原校区の未就学児の保護者からの声がきっかけとなりました。その保護者は、最近の猛暑で熱中症が怖くて子供たちを公園で遊ばせることができなくなりました。近くに室内の安全な環境で安心して子供が体を動かせる場所がありません。そのために車で行ける商業施設を利用しています。保護者1人、子供2人を連れて行くと、3人で10分300円かかります。1時間1,800円で負担は大きいのですが、子供が喜ぶので利用しています。子育て世代にとっては大きな負担ですという内容でした。
 本市には子育て支援の施設として、児童館が市内に15か所ありますので案内しましたが、残念ながらまちづくりセンターには行ったことがないということで、行かれませんでした。本市には児童館は直営10館3室、そのほかに指定管理1、民間1となっており、3つの異なった方法で運営されております。直営の児童館は主にまちづくりセンターに併設されています。児童館は地域の子育て支援施設として重要な役割を担っていますが、まず、子育て支援施設である児童館に求められる役割を示してください。
 続けて質問いたします。
 これまでの直営、指定管理、民営のそれぞれの活動実績を基にした評価と今後の運営方針を示してください。
 続けて質問いたします。
 熊本市には子育て支援施設としてこども文化会館があります。指定管理で運営されている新町にある4階建ての大規模な施設で、多様な子育て支援活動を行っています。しかし、残念ながら駐車場がありません。市電、バスの利用を案内しておりますが、未就学児の子育て世代の皆さんが安心して、安全に移動するためには、まずは自家用車が一番の選択肢となります。これからの子育て世代が求めているのは、交通アクセスがよく、子供たちと保護者が安全に、安心して遊べること、そしてその場で子育て相談、保護者同士の交流、情報交換ができることなど、子育てに関する問題、課題をワンストップで解決できるような子育て支援施設ではないでしょうか。
 私は新たな子育て支援施設の一つとして、商業施設の一部を借り上げるなど、民間と連携し、車でのアクセスが容易で、子育て支援センター機能を持つ施設も検討すべきではないかと考えています。しかし、新たな施設は予算の問題もあり時間がかかることが予想されます。少子化の流れを食い止めるための時間は限られています。
 そこでお尋ねいたします。
 新たな支援施設について、保護者と子供たちが利用しやすくするために、他の都市では民間を利用した子育て支援施設が見られます。現在の小規模児童館に加え、民間を活用した子育て支援機能を持つ施設について、いかがお考えかお示しください。
 1点目、2点目をこども局長に、3点目を大西市長に答弁をお願いいたします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  児童館の運営についてお答えいたします。
 児童館は、児童の心身ともに健やかな育成を図るための施設でございまして、併せて子育て支援の役割を担っております。直営の児童館をはじめとして、自由な遊びの場を提供するとともに、地域の子供たちの活動を支援しており、また、指定管理や民営の児童館におきましては、民間のノウハウを活用した独自事業の実施など、様々な工夫を凝らした運営を行っておられます。本市の児童館は、小学校就学前のお子様とその保護者の方による利用が多く、子供の遊びとともに、保護者同士のコミュニケーションの場にもなっております。
 今後も、地域における子供のための拠点として、国のガイドラインに沿った活動を行いますとともに、利用者や市民の皆様の御意見を伺いながら、若い子育て世代のニーズに合った運営に取り組んでまいりたいと考えております。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本市においては、児童館や子育て支援センターを市内各所に設置し、お住まいに身近なところで御利用いただいております。また、現代美術館や森都心プラザ図書館に設置しております子育てひろばは、より広域からの御利用もあります。さらに、こども文化会館や城南児童館などは各種の自主事業も実施し、民間のノウハウを生かした運営を行っております。
 このような子育て支援の機能を有する施設は、子供の遊びや保護者の交流などの場として、気軽に利用いただけることが大変重要であります。そこで、今回、補正予算案に、子供、子育てに関する(仮称)こども計画の策定のための調査経費を計上したところでございまして、この調査において、子育て支援施設に関するニーズも丁寧に把握し、より子育てしやすい環境整備に努めてまいります。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 答弁にもありましたように、児童館は地域の子供たちの活動を直営、指定管理、民間、それぞれの立場で支援しており、その活動は評価できると思います。しかし、現在の児童館は就学前の子供たち、あるいは保護者の利用が多いために、設置場所、設備、駐車場を含めたアクセスなどの課題もたくさん見られます。児童館法による縛りもありますが、少子化対策の一環として子供たち、そして保護者を支援する児童館のさらなる充実を要望したいと思います。
 また、子育て世代のニーズを調査し、アクセス環境のよい民間と連携した施設の設置の検討もお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 通告5、小学校の運動場の照明設備の更新と必要性について、2点続けてお尋ねいたします。
 これまで小学校のスポーツ活動は部活動が担ってきましたが、本市でも教員の働き方改革の一環として小学校での部活が社会体育へと移行されております。しかしまだ指導者の確保、施設の整備をはじめ課題は多くあります。中でも最大の課題は指導者の確保であることは多くのスポーツクラブに共通したことではないでしょうか。さらに、指導者が確保できても多くの指導者は別の職業を持ちながらのため、練習開始時間が遅くなることが予想されます。社会体育ではスポーツの楽しさを知ることが最も大切なことであり、長時間の練習は必要ないと思いますが、スポーツの楽しさを知るためには一定の練習時間が必要となります。子供たちが安心して、安全に練習するためには、照明設備が必要という声もあります。
 私の地元、西原小学校には照明が6基設置されておりますが、設置後30年以上が経過し、設備が老朽化しているようです。さらに西原小学校の照明はいまだに水銀灯が使用されているようです。水銀灯に含まれるメッキ水銀の健康への影響や、地球温暖化防止の観点からも本市でもLEDへの転換を急がなければなりません。
 そこでお伺いいたします。
 市内の小中学校の照明設備の設置状況と年間の利用状況、保守管理状況、そして、水銀灯の現状をお知らせください。
 続けて質問いたします。
 市内のほとんどの小中学校は指定避難所になっており、地域の防災拠点としての役割を果たさなければなりません。小中学校に設置されている照明を防災の観点で見ると、熊本地震の経験から避難所に明かりがあることは、避難してきた皆さんの不安を取り払い、心を落ち着かせることから、避難所には必要な設備であると考えております。
 災害発生時、避難所には不特定多数の市民が体育館、または車中泊で来られることが予想されます。避難されてきた市民の皆さんを様々な事件・事故から守るためにも照明は必要と考えております。
 そこで、指定避難所の運動場における照明設備の必要性をどう考えるか、そして、現在、運動場に照明設備のない避難所への対応を今後どうするかお示しください。
 1点目を経済観光局長、2点目を政策局長に答弁をお願いいたします。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  照明設備を設置しております学校夜間開放施設は小学校30校、中学校29校の計59校ございまして、利用状況は立地場所や運動場の広さ等により差がありますものの、令和4年度の利用率は約6割となっております。また、その照明設備の保守管理は施設管理人が行っておりまして、照明やスイッチ不良などを把握した際には速やかに修理、補修を行っているところでございます。
 最後に、水銀灯についてでございますが、現在5校で使用しておりまして、設備の老朽化の状況などを踏まえ、順次変更してまいりたいと考えております。
         〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  私からは指定避難所における照明設備についてお答えします。
 本市の指定避難場所は、風水害時には小中学校等の体育館や校舎などの建物を使用することとしており、地震や火災時には運動場の使用も想定しております。そのような中、照明設備のない運動場や停電により照明設備が使用できない場合に備えまして、各学校に設置している分散備蓄倉庫に、投光器2台と発電機1基を配備し、非常時の照明を確保しております。避難場所における照明設備につきましては、避難者の皆様の安全確保の観点から、あらゆる状況にも対応できますよう、施設管理者や民間事業者と連携し、検討を進めてまいります。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 約44%の小中学校に照明設備が設置されているようですが、部活の社会体育への移行が進むと、設備のない小中学校でも照明設備の要望が出ることが予想されます。野外照明は周辺の住居、あるいは生活に悪影響が出る可能性もありますので、地域の皆さんと十分な話合いを行った上で対応していただきますようにお願いしたいと思います。
 また、水銀灯は水俣条約で製造、販売が禁止されております。世界でも最も深刻な水銀による健康被害が生じた熊本だからこそ、健康被害防止のためにも率先して教育施設からの早めの撤去を要望したいと思います。
 指定避難所である小中学校ではあらゆる場面を想定した設備の対策が必要となります。答弁では照明に限らず民間業者と連携した検討を進めるとのことでしたが、今後も校区に設置された防災連絡会と連携して避難所の安全確保の取組を強めていただきますよう要望いたします。
 これが最後の質問になります。
 通告6、熱中症の現状認識と今後の課題について、4点お尋ねいたします。
 近年、地球温暖化に伴い、気温の上昇、豪雨の頻度増加など、気候の変動による様々な影響が全国で現れており、今後も温暖化傾向は続き、長期にわたる影響が出ることが懸念されています。そして、気温の上昇がもたらす命に関わる重大な健康被害として、熱中症が全国的に多発しています。そのために、令和3年4月から予防対策の効果的な情報として、熱中症警戒アラートの運用が始まりました。今年の夏も全国で1,205回、熊本県で38回、警戒アラートが発表されました。熊本県は鹿児島県と並んで、全国2番目に発表回数が多い地域となっております。消防庁の集計によると、全国での熱中症による救急搬送は8万人を超えています。本市でも多くの市民が熱中症として救急搬送され、今や熱中症は夏に必ず一定の被害が発生する夏の災害として位置づけされつつあります。本市でも高齢者を中心に、夏の災害としての熱中症への対策に取り組む必要があります。まずは夏の災害としての熱中症に対する現状認識と今後の対応方針を示してください。
 大西市長に答弁をお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  熱中症は、人の命や健康に関わることから、その対策は重要な課題であり、今後も地球温暖化の影響による熱中症リスクの増加が予測される中、本市においても地球温暖化対策を推進するとともに、熱中症の予防対策に危機感を持って対応しなければならないと考えております。
 このような中、本年4月、気候変動適応法が改正されまして、熱中症の危険性が極めて高い場合に、予防行動を促す熱中症警戒情報に加え、より深刻な被害が発生し得る場合の熱中症特別警戒情報が創設されました。また、市町村長が冷房設備を有する施設を指定暑熱避難施設、いわゆるクーリングシェルターとして指定できるなど、対策強化が示されました。
 そこで本市では、令和6年春の法の全面施行に先立ち、本年8月より、市民の皆様が暑さをしのぐ施設として区役所等を開放する取組を開始しております。また、熱中症弱者と言われる高齢者や子供等の関係団体や施設に熱中症予防の注意喚起を行ったところであります。
 熱中症は市民や事業者の皆様の生活や活動に密接に関係することから、今後、全庁を挙げて、熱中症に対する理解の醸成や予防行動の促進など、熱中症対策をさらに強化してまいります。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  大西市長、答弁ありがとうございました。
 大西市長が危機感を持って対応していただくということでしたので、安心いたしました。しかし、今後も地球温暖化が進行することを想定すると、リスクが高いとされる高齢者、子供たちだけではなく、全ての市民の命と健康、さらに生産活動にも大きな影響を与えることが懸念されます。全庁を挙げての対策の強化をお願いいたします。
 通告6について、3点続けてお尋ねいたします。
 本市においても、今年は熱中症に加え、新型コロナ、インフルエンザなどの感染症も重なり、救急搬送の現場の負担も大きくなったのではないでしょうか。同時に、患者を受け入れる医療機関も一般診療に影響が出たのではないかと危惧しております。
 そこで、今年の熱中症による救急搬送の詳しい状況、そして、救急搬送の際の医療機関との連携状況、そしてその課題も示してください。
 続けて質問いたします。
 発表された熱中症警戒アラートに基づき、都道府県、市町村がそれぞれ対応を行いますが、本市でも予防対策に努めたとのことでした。リスクの高い高齢者を中心にクーリングシェルターの設置など実施されたと思います。その具体的な内容とその状況についてお示しください。
 続けて質問いたします。
 地球温暖化は今後も進み、それに伴い熱中症の発生は増加すると予想されております。地球温暖化は気候変動を含め、私たちの生活だけでなく、次の世代にも大きな影響を与えます。地球温暖化防止は今を生きる私たちの責任でもあります。その責任を果たすために二酸化炭素の排出等を抑制し、地球温暖化を止め、将来予測される被害を防止、軽減するために、国、地方公共団体、地域の事業者、市民など、全ての国民の連携、協力の下で一丸となって取り組まなければなりません。
 本市においても熱中症の予防対策を進めながら、並行して脱炭素の取組を確実に進めることが求められております。地球温暖化防止のために脱炭素を進めるためには多くの部局が連携することが必要です。そのためには環境局が中心になって庁内横断の組織が必要と考えております。今後の本市の脱炭素の取組計画について、お示しください。
 1点目を消防局長、2点目を健康福祉局長、3点目を環境局長に答弁をお願いいたします。
         〔福田和幸消防局長 登壇〕

◎福田和幸 消防局長  熱中症による救急搬送についての御質問にお答えします。
 初めに、今年の熱中症による救急搬送人員は、調査を開始した5月1日から直近調査の8月31日までの速報値で、累計519人となっておりまして、対前年同期比ではマイナス70人と減少しておりますものの、7月からは気温上昇に伴いまして、熱中症による救急搬送者は増加しているところでございます。
 搬送者の内訳につきましては、性・年齢別では、65歳以上の高齢者の搬送が約半数を占め、男性の搬送が女性に比べ約1割多い状況でございます。発生場所別では、屋外での発生が約6割、屋内での発生が約4割でございます。また、症状別では、軽症者が約4割、中等症が約6割となっておりまして、重症者は6例で、そのうち5例が高齢者の搬送となっております。
 次に、医療機関との連携状況につきましては、日頃から救命センターをはじめ、救急告示医療機関とも連携を図っており、通常の受入れはもとより、集団発生時の受入れにおいても、迅速な救急搬送体制が確立できているものと認識しております。
 今後も動画等も活用しながら、熱中症予防啓発の強化に取り組んでまいりますとともに、市民の皆様におかれても十分な健康管理に努めていただきますよう、改めてお願いしたいと考えているところでございます。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  私からは熱中症対策の具体的な取組についてお答えいたします。
 本市では、今年度の新たな熱中症対策の取組といたしまして、市電電停のデジタルサイネージを活用した注意喚起を行うとともに、先ほど市長答弁にもありましたように、外出時に暑さをしのいでいただくため、区役所や公設公民館など市の施設26か所にポスターを掲示し、待合スペース等を御利用いただけるようにしております。対象施設の拡大につきましては、今後関係部局とともに検討してまいりたいと考えております。
 また、熱中症予防につきましては、地域団体の役員会など、各種会議への情報提供や、市公式LINEをはじめとするSNSでの積極的な情報発信など、今後も様々な啓発活動に努めてまいります。
         〔早野貴志環境局長 登壇〕

◎早野貴志 環境局長  私からは部局を越えた今後の脱炭素の取組についてお答えします。
 本市では、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、令和3年3月、熊本連携中枢都市圏を構成する市町村と共同で熊本連携中枢都市圏地球温暖化対策実行計画を策定し、再生可能エネルギーの利用促進や省エネルギーなどの対策を推進しております。地球温暖化対策は、市民生活や事業者の活動が都市、交通、経済、農水産業など多岐の分野にわたることから、市長を本部長とし、各局、区で構成する熊本市地球温暖化対策庁内推進本部を設置し、全庁的に連携して取り組んでおります。
 今後も、地球温暖化防止のため、推進本部において進捗管理を行いながら、実行計画に基づく施策を着実に推進し、脱炭素社会の実現を目指してまいります。
         〔21番 日隈忍議員 登壇〕

◆日隈忍 議員  答弁ありがとうございました。
 救急搬送の増加により、一般診療に影響したのではと心配しましたが、医療機関との連携が確立されているということで安心いたしました。搬送者のうち65歳以上の高齢者が半分を占めているということですが、やはり高齢者への予防啓発が重要であることが確認できました。
 クーリングシェルターは市の施設26か所に設置したとのことでしたが、リスクの高い高齢者が利用しやすい地域のコミセン、あるいは商業施設など、民間との連携で設置数をさらに増やしていただくようお願いしたいと思います。
 脱炭素の取組や熊本連携中枢都市圏の市町村と共に、2050年カーボンニュートラル実現に向けて温暖化対策庁内推進本部を設置し、全庁的に取り組んでいるとのことでしたが、2050年にカーボンニュートラルが確実に実現できるような取組をお願いしたいと思います。
 以上で、本日準備しました一般質問は終了いたしました。御清聴いただきまして本当にありがとうございます。そして、真摯に答弁をしていただいた大西市長、そして、執行部の皆さん、ありがとうございました。そして、質問作成に当たり、御協力いただいた議会局の皆さんには心より感謝申し上げます。そして、傍聴にお越しいただいた皆さん、そして、インターネットで最後までお聞きいただいた皆さん、ありがとうございました。日隈忍はこれからも日隈忍らしく誠実に、真面目に議会活動に取り組んでまいります。
 本日はありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午前11時10分に再開いたします。

                            午前10時56分 休憩
                            ───────────
                            午前11時09分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 高本一臣議員の発言を許します。高本一臣議員。

         〔31番 高本一臣議員 登壇 拍手〕

◆高本一臣 議員  皆様、こんにちは。熊本自民の高本一臣です。
 もう何度か登壇しておりますが、やはりこの場に立つと、かなり緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 質問に先立ちまして、本日9月11日はアメリカの同時多発テロが起きた日でもあります。今から22年前の出来事であります。改めて犠牲になられました方の御冥福をお祈りするとともに、恒久的な世界平和を願う一日にしなければならないと思っております。
 さて、本日は通告順を一部変更しますことをお許しいただきまして、早速質問に入らせていただきます。
 まず1番目、渋滞解消に向けた都市圏道路の整備についてお尋ねいたします。
 熊本市を中心とした熊本都市圏においては、慢性的な交通渋滞により熊本市中心部と九州縦貫自動車道や阿蘇くまもと空港などの交通拠点をはじめとした交通アクセスが非常に悪く、本市中心部の自動車の平均速度は時速16.1キロと、3大都市を除く全国政令市の中でワースト、また渋滞箇所数が180か所あり、これも政令市ワースト、さらに都市中心部の中に高速道路が整備されていないため、高速道路インターチェンジから主要駅のアクセス時間が、これも政令市ワーストとうれしくない政令市のワースト3冠王という、大変不名誉な交通事情だということは、皆さんも御承知のとおりです。
 本市はこれまでに主要道路の整備、路線バスの平均速度が最も遅かった産業道路の整備、渋滞交差点の改良、信号時間の調整など、様々な渋滞対策を講じてこられました。しかしながら、世界的半導体メーカーTSMCの進出等により、想像以上のスピードで変化していく道路事情に対応が追いつかず、最近では市内中心部だけではなく、広域にわたって渋滞がひどくなったという市民の声を多く聞きます。
 また、そのTSMC進出を見据え、本市では新たな産業用地を整備するなど、都市圏道路事情はさらなる渋滞悪化が予想され、市民生活や経済活動に深刻な影響を与えてしまうおそれがあります。
 蒲島知事は先月、国へTSMCの進出に伴うインフラ整備の財政支援を要望されました。その額は1,140億円、しかし、この整備の要望は今後10年間のものであります。ハード事業には時間がかかるものです。近隣の自治体ではこの渋滞問題を喫緊の課題と捉え、工業団地の立地企業に時差出勤や分散退勤の対策、今日からまた実施される通勤バスの実証実験、また、合志市、菊陽町は合同で県に渋滞対策の要望を行うなど、官民一体となった積極的な対策が見えています。本市も渋滞対策は取り組んでいるものと思われますが、近隣の自治体と比較すると残念ながらその姿が見えてきません。
 渋滞問題は先ほども述べましたように、私たちの生活や経済に大きな影響を及ぼします。その対策は最優先課題だと認識します。国・県、近隣自治体と連携を取りながら、スピード感を持った取組が必要だと思いますが、現状の取組を都市建設局長にお尋ねいたします。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  ただいまの渋滞問題に関する御質問にお答えいたします。
 TSMC進出に伴う渋滞緩和に向けた喫緊の取組といたしまして、中九州横断道路と一体的な整備によりさらに効果が高まる熊本西環状道路や、セミコンテクノパークへのアクセスを向上させる県道辛川鹿本線バイパスなど、事業中路線の迅速かつ着実な推進を図っておりますほか、主要渋滞箇所への対策といたしまして、新外交差点や御領2丁目交差点の改良に着手しており、さらには、スマート交差点につきましても交通管理者と対策候補箇所の選定を進めているところでございます。
 また、経済振興や都市課題解決のために、全庁横断的な組織として半導体関連産業集積推進本部を設置し、6つのプロジェクトチームのうちの一つであります交通課題対策プロジェクトチームにおいて、今後の企業集積等を見据えた計画的な道路整備や公共交通との結節機能強化等に関する検討を行っているところでございます。その中で、熊本都市圏におけるさらなる産業用地整備の動きに伴い発生する交通量の推計等を行っているところでありまして、その結果を踏まえた効果的な対策も早急に検討してまいります。
 これら交通課題への対応のうち、市域内で完結せず都市圏全体で考えていく必要があるものにつきましては、現在、国、県、関係自治体、交通管理者、交通事業者等によって構成される熊本県交通渋滞対策協議会や熊本県土木部・熊本市都市建設局連携調整会議などにおいて、対策の方向性を協議しております。今後も引き続き関係機関と密に連携を図るとともに、市民の皆様へ取組の概要も適宜お示ししながら対策を進めてまいります。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  ただいまの局長の答弁を伺い、様々な対策を講じていらっしゃることを確認できました。ただ、現在整備中の西環状道路は、令和2年完成予定が令和7年にずれ込むなど、ハード整備事業でどうしても時間を要し、予定よりも遅れてしまいます。
 そこで提案ですが、本市職員の時差出勤の導入を検討してみてはいかがでしょうか。渋滞は大勢の人が同じ時間帯に移動するから発生するものであり、時間帯をずらすことにより緩和につながると考えます。また、行政が積極的に導入することにより、民間の企業にも波及していきやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。時差出勤の導入は渋滞緩和の有効な手段と考えますが、都市建設局長の見解を求めます。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  ただいまの時差出勤に関します御質問にお答えいたします。
 時差出勤につきましては、通勤時間が分散することで朝夕のピーク時間帯における交通量が抑制されますことから、ワーク・ライフ・バランスの観点だけでなく、渋滞対策としても有効な手段と考えております。
 本市でも、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、臨時的に対象者や時間帯を拡大して時差出勤を進めてきたところ多くの職員の活用がありましたので、今年度からはこの臨時措置を恒常的なものとし、働き方改革の一環としてより柔軟に取得できる制度としております。
 現在、渋滞対策の観点から現行制度の効果等についてアンケートを実施しているところでございまして、その結果も踏まえ、関係部局と連携しながら課題の整理や今後の展開について検討を進めていきたいと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  交通渋滞による経済損失、そして環境問題は計り知れないものがあります。時差出勤については、渋滞対策の観点からも検討を進めていくとの答弁でした。検討される中で、さらに効果のあるフレックス勤務の検討や、今年度から実施されているノー残業デーを平日の各曜日に分散する施策を周知徹底するなど、まずは市役所からの隗より始めよ、渋滞施策は待ったなしの状況です。ハード面、ソフト面の両面から、今後の市役所の積極的な取組に期待いたします。
 続きまして、公共交通結節による利便性向上についてお尋ねいたします。
 先ほど述べましたように、本市の主要渋滞箇所数は政令市ワーストであります。対策の一つとして、年々利用者が減少している公共交通の利便性を向上させることにより、マイカーから公共交通への転換施策が必要だと認識いたします。将来にわたり市民の皆さんが積極的に公共交通機関を利用できる仕組みを構築していくことは重要であります。公共交通で円滑に移動できる仕組みを推進することは、通勤通学はもとより、国内外の観光客が利用しやすい環境が整うことにもなります。ひいては経済の活性化にもつながります。
 利便性向上の対策はいろいろな手段が考えられますが、それぞれの公共交通機関を結節することも一つの方法であります。今から12年前、九州新幹線全線開業に伴い、JR新水前寺駅と市電の電停が結節されたことにより、利便性が大幅に改善され、現在では通勤通学をはじめ、観光客など多くの方が利用されています。さらなる利便性向上対策として、バス停を結節することでかなりの効果が見込まれると想定されます。このバス停の結節については12年前の9月議会において、田上議員が質問されていますが、当時、検討はされたものの周辺住民との合意形成ができなかったことや、関係機関との協議の結果、残念ながら見送られています。
 現在、JR新水前寺駅と市電の電停が結節され、利便性が向上したことにより、朝の通勤通学の時間帯や町なかでのイベント時などは市電に乗れない、いわゆる乗客の積み残しが発生するなど新たな課題が生じており、当時と比較すると環境はかなり変化しています。
 JR新水前寺駅へのバス停の接結については関係機関と協議中とのことですが、その見通しと進捗状況を教えてください。
 都市建設局長にお尋ねいたします。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  ただいまの御質問にお答えいたします。
 本市では、以前より交通渋滞の緩和や公共交通の利便性向上に向け、交通結節点の機能強化に取り組んでおり、JR新水前寺駅では平成19年度~平成23年度にかけて実施した市電の電停新設や横断歩道橋の設置により、JR新水前寺駅と市電の結節が大幅に改善したところでございます。
         〔議長退席、副議長着席〕
 一方、議員御指摘のとおり、JRから市電の乗換え時に乗客の積み残しが発生しており、さらにTSMCの進出や空港アクセス鉄道等、今後ますます豊肥本線の重要性が高まることを見据え、路線バスも含めさらなる結節機能の強化を図る必要があると考えております。そこで、現在JR高架下周辺でのバス停新設または移設について、周辺交通への影響をシミュレーションし、九州旅客鉄道株式会社、交通管理者等と協議を行っているところでございます。
 新水前寺駅周辺の道路は交通の要所区間で様々な課題がございますけれども、引き続き交通結節機能の強化に向け、関係機関と協議しながら取り組んでまいります。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  ただいまの答弁を伺い、課題はあるものの実現に向けて着実に進んでいると認識いたしました。バス停の結節により、駅から市電、バスへと乗換えの選択肢が増えることで、確実に利便性が向上し、市電の積み残しという課題の解決にもつながるはずであります。関係機関との間ではバス停の新設、または移設かで協議中とのことでした。12年前の検討段階では、バス停を移設するということで、周辺住民から難色を示されていますので、ぜひ高架下周辺での新たなバス停を設置する方向で進めていただきますようお願い申し上げます。
 供用開始の時期につきましては、もう少し時間がかかるようですが、一日でも早い実現を期待しています。局長、ここが肝です。これはバス停新設の話ですが、バス停だけれども、くれぐれも事業のストップだけは避けていただきますようよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、その他で準備していました要望について、お話しさせていただきます。
 白川遊歩道の一本化への整備について要望いたします。
 市内中心部を流れる白川右岸は、現在、白川ちゃりんぽみちが熊大先の龍神橋から熊本駅近くの白川橋まで整備され、歩行者も自転車も安心して通行できる空間として利用されています。一方、左岸では緑の空間を活用して毎月白川夜市が開催され、子供たちから高齢者まで、毎回多くの人でにぎわっています。しかし、右岸のように一本の道ではつながっていません。それは大雨時、大井手川の氾濫を防ぐためにある九品寺の樋門が存在することにより、道が途切れているからであります。当然、樋門の役割は維持させながら、何かしらの方法でつなげると白川右岸のように大変楽しい遊歩道が完成するのではないでしょうか。道の一本化、ノンストップの遊歩道の整備により、安心してランニングや散歩をすることが可能になり、健康増進等にも寄与するはずです。また、学生の通学や社会人の通勤の道ともなり、少なからず渋滞対策にもなるでしょう。
 左岸の一本化整備により両岸が白川を眺めながらの楽しい空間の場所に変身します。まだまだ幾つかの課題はありますが、現時点では周辺地域、住民の方々との合意形成もまだまだ十分ではありませんので、しかるべき時期に改めて質問したいと思います。
 この白川周辺は大西市長の育った地域でもありますので、頭の片隅に置いていただくと幸せであります。よろしくお願いいたします。
 続きまして、産後ケア事業の充実についてお尋ねいたします。
 厚労省が発表した人口動態統計によると、今年の1月~6月に生まれた赤ちゃんの数、出生数は前年に比べ3.6%、数にして1万3,890人の減、トータル37万1,052人と過去最少という大変ショックな報道がなされました。少子化に歯止めがかからない状況が数字を見て受け取られます。少子化対策は昨日の山中議員の質問でもあったように、婚活対策から生み育てる子育て世代の支援まで多岐にわたります。
 本日はその一つ、産後ケアに焦点を当ててお尋ねいたします。
 母子保健法の一部を改正する法律案、通称産後ケア法案は、産後ケアを必要とする出産後1年までの母子を対象とし、助産婦さんなどの専門職による心身のケアや、育児のサポートを行い、産後も安心して子育てができる支援体制を確保することを目的とした制度であります。背景には核家族化が進み、近くに親族らがいないため、周囲から子育ての援助が得られにくいことがあります。
 子供を授かって幸せ、そんな気持ちとは裏腹に、母親は出産後急激に変化するホルモンバランスや慣れない育児によって睡眠不足や心身の不調により、今や母親の約1割が産後うつを発症すると言われております。
 本市でも国の法律改正と同時に、令和3年度から産後ケア事業を行っています。一般の利用者は2割負担で済むので、事業が開始されて2年間の実績ではありますが、利用者は初年度の311名から782名と大幅に増えている状況であります。制度が開始され3年目となり、利用者や事業所からはより利用しやすいような改善を求める意見もあります。そこで4点のお尋ねです。
 現在の通所型は母子の心身の負担が大きいことから、居宅訪問型、いわゆるアウトリーチの導入を検討すべきではないかと思いますが、そのお考えをお尋ねいたします。
 2つ目、本市では利用の上限を宿泊型で7日以内、日帰り型で7回以内と区別されていますが、区別を外してトータルで利用できないでしょうか。また、同時に利用日数を増やすことが望まれていますが、その期待に応えていただけないでしょうか。
 3つ目です。現在、双子などの多胎児に関しては、単胎児と同様の利用回数であります。多胎児の育児は大変な体力を要します。また、おなかの中に複数の胎児が存在しますので、生まれてからもミルクがよく飲めなかったりすることが多いそうです。このような現状を鑑み、多胎児の持つ母親に対しては利用回数の増加が必要だと思いますが、その必要性についてお尋ねいたします。
 最後に4つ目です。利用申請においては現在、出産後となっていますが、妊娠中からの登録ができないでしょうか。
 以上、4点をこども局長にお尋ねいたします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  産後ケア事業について、順次お答えいたします。
 産後ケア事業は、本市では現在、産科医療機関や助産所への宿泊型と日帰り型により実施しております。特に出産後1か月間の産褥期は、外出への負担が大きく、居宅訪問、いわゆるアウトリーチ型へのニーズは高いと考えられますため、導入に向け検討を行ってまいります。
 利用回数につきましては、現在、国のガイドラインにより宿泊型及び日帰り型それぞれ7回としておりますが、令和4年度における利用申請された産婦お1人当たりの平均利用回数は合わせて3.3回でございまして、産後の必要な時期に専門的な支援が受けられるような制度の検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、多胎児の養育につきましては、時間的拘束や特有のお悩みも多く、単胎児に比べ負担が大きいと思われますことから、他都市の事例などを調査研究してまいりたいと考えております。
 利用申請につきましては、アセスメントの必要性などから出産後の利用申請としてきたところでございます。今般、国におきまして、対象者を支援が必要な全ての方とするよう見直しが行われたことからアセスメントが不要となりますため、妊娠中からの申請も含め、利用しやすい申請方法を検討してまいりたいと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  局長の答弁でもありましたように、そもそも産後ケアが必要な母子が外出することは大変な負担がかかります。居宅型のニーズが高いので導入に向けて検討を行うと力強い答弁いただき感謝申し上げます。
 利用回数を増やす、多胎児の回数変更には検討、あるいは他都市の事例を調査研究ということでありました。実施に向けての検討、調査研究に期待いたします。
 妊娠中からの申請については、利用できる対象者が見直されることから可能だと認識しましたので、よろしくお願いいたします。
 いずれにしても、今後産後ケアは、国の支援基準の見直しにより利用者が増えていくと考えられます。さらなる事業の周知に努めていただき、誰もが生み育てやすい熊本市の実現に向けて頑張っていただきたいと思います。
 続きまして、業務委託に係る最低制限価格制度の考え方についてお尋ねいたします。
 この制度については、平成25年度に要綱が制定され、平成29年の改正を最後に現在に至っています。本市では業務委託の競争入札をする場合、最低制限価格を設けることができる業種に庁舎の清掃業務委託、人的警備業務委託、消防用設備等保守点検業務委託、一般廃棄物処理業務委託の4業種が存在いたします。その最低制限価格は、庁舎の清掃業務委託、人的警備業務委託が入札書比較価格の10分の7、つまり70%、消防用設備等保守点検業務委託が、4分の3の75%、一般廃棄物処理業務委託が3分の2と設定されています。この設定はそれぞれの担当部局でなく、一律に総務局の契約政策課が決めているものであります。
 この制度、最後の改正から6年が経過しており、当時の状況から比較すると、現在は最低賃金の上昇に伴う人件費や、ガソリンなどの燃料の高騰と大きな環境の変化が見られます。また、現時点の設定では、業種の人手不足などが発生するのではないかと懸念いたします。このようなことから、最低制限価格の設定に関しては、事業を所管する担当部局がその業務の実情を把握していらっしゃるので、担当部局の裁量によって柔軟に設定することが妥当だと思いますが、市長の考え方をお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  業務委託に係る最低制限価格制度は、人件費の比率が高く一定の割合を占める庁舎等の清掃業務や人的警備業務等を対象にダンピングを防止し、従事者の労働条件や業務の品質等を確保するために導入したものでございます。
 また、最低制限価格の算定方法については、事業者に対する公平性を確保するため、業務ごとに適した最低制限価格の率を統一的な基準で設定しているところであります。
 このような中、人件費や資材の高騰等、社会情勢の変化に対応し従事者の適正な労働環境を確保しながら、質の高い行政サービスを提供することは大変重要であると認識しておりまして、本制度の運用につきましては、関係団体等の御意見や他都市の状況を参考にしながら検証してまいりたいと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  業務委託の一つでありますごみの収集を、私は8月の暑いさなかに体験してきました。その同行時間は僅か1時間程度でしたが、収集をしていただくいろいろな苦労が実感でき、改めてこの方たちのおかげできれいなまちが保たれていると感謝の気持ちを持った次第であります。聞くところによるとごみ収集はきつい、汚い、危険、いわゆる3Kの業種であります。人手不足、高齢化など、社員を募集しても応募すらないような状況だそうです。導入目的については、労働条件や業務の品質等の確保をするためだと認識いたしました。市長の答弁のようにこの業務委託は市民の生活に直結するものもありますので、質の高い行政サービスの提供に努めていかなければなりません。運営についてはより柔軟な対応をお願いいたします。
 6番目です。職員ポイントの導入についてお尋ねいたします。
 地方公務員に地域活動休暇を。自治体が条例を制定すれば、職員の特別休暇として地域貢献活動休暇を創設できるようになると先月報道されました。特別休暇の基準について、自治体の場合は一部を除き国家公務員のルールに準じています。現在、被災地支援のボランティア休暇はあるが、地域貢献活動のための休暇はなく、総務省は地域貢献のために活動する休暇を創設しても地方公務員法には抵触しないとの解釈を示し、今年度内に各自治体に通知をする見通しだということが分かりました。
 一方市長は、3期目のマニフェストで、職員の頑張りを応援するとともに、地域貢献できる人材を育むため、職員ポイント制度を導入すると掲げています。この両方の制度が実現すれば、人口減少、あるいは高齢化社会が進み、自治体やNPOなどの担い手不足が深刻化する地域の課題解決の有効な手段となり、同時に職員としても多様な地域活動の経験を積むことで、本来の公務にきっと役立つと認識いたします。
 本市独自の職員ポイントが導入されれば、先ほど紹介しました地域貢献活動休暇のさらなる後押しになり、公務への悪影響を懸念して地域活動の参加をためらう職員の背中を後押しする効果も期待できると考えます。国が検討している地域貢献活動休暇の創設は、議会や市民の理解が条件であります。仮に創設されると、市長のマニフェストに掲げてある職員ポイント制度がさらによき制度になると思いますが、この職員ポイント制度、どのような制度設計なのか、また、制度の導入時期はいつ頃になるのでしょうか。大西市長にスケジュールをお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  職員ポイントについては、市民向けに準備を進めておりますくまもとポイントと連携させ、職員の地域での活動を評価し、参加を後押しする制度としたいと考えております。対象となる活動内容や評価方法については、地域での活動や業務の質を向上させるための資格取得等を来年度の人事評価へ反映することを目指しておりまして、職員のモチベーションを高め、地域で活躍できる人材の育成に努めてまいります。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  答弁によりますと、細かな制度設計はこれからだと思いますが、地域での活動や業務の質を向上させるための資格取得等を来年度からの人事評価へ反映させるとのことでした。現在、多くの職員さんが自ら有給休暇を使い、地域や青少年の健全な育成のために活動していらっしゃるのを市長も御存じのはずだと思います。
 地域貢献活動休暇を創設し、さらにこの職員ポイント制度を活用することで、職員のモチベーションが高まり、地域で活躍できる人材育成という目的が達成されることを切に願っております。
 それでは、最後の質問に入りたいと思います。
 市役所庁舎の在り方についてお尋ねいたします。
 まず、これまでを振り返ってみますと、令和2年5月、何よりも新型コロナウイルス感染症への対策に行政資源を集中的に投入すべきと、議会での議論を一旦中断させていただきたいと市長より発言があり、議会もそれを了承しました。
 しかし、中断のさなか、翌年の3月に有識者会議を設置し、本庁舎の在り方について諮問することになりました。市長は庁舎特別委員会におきまして、あらゆる情報を公開し、この庁舎問題に対して市民の皆さんの理解がより一層進むよう進めてまいりたいと発言されています。その有識者会議において設置された耐震性能分科会は残念ながら非公開で開催されたため、市民の皆様の理解は進むどころか逆に疑念が生まれてしまいました。結局、その分科会で平成29年の調査及び令和2年の調査については、妥当な調査結果であると結論に基づいて、有識者会議では建て替えに限定された議論がなされ、今回の答申に至りました。
 分科会の非公開、また有識者のメンバーに本市の実情を把握している熊本在住の方がいないなど、当初から疑問を抱いた有識者会議でありました。予断を持たないと言いながらも結果は7回開催された有識者会議の協議を精査すると建て替えを前提とした会議と感じたのは私だけではないと思います。
 まずは有識者会議の設置から答申に至るまでを振り返って、市長の見解をお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  有識者会議は、本市が行った庁舎整備に関する2度の耐震性能調査に対し専門家から疑問が呈されるとともに、市議会からも様々な御意見が出されたことから、予断を持たず、客観的かつ専門的な立場から御審議いただくことを目的に設置したものでございます。また、議員御指摘の耐震性能分科会につきましては、会議を公開することで、審議途上の各委員の発言が最終的な結論であるかのような誤解を与えたり、発言の一部を捉えた批判を受けたりするなど、委員の自由闊達な議論が阻害される可能性があるという理由により、非公開が決定されたものと承知しております。
 なお、耐震性能分科会においては検討過程も含め、その内容が分かるものとして全ての会議資料、議事要旨を含む報告書を適切に公開しているところでございます。さらに、有識者会議、そして耐震性能分科会は、各分野において、国の審議会等の委員を歴任されるなど重責を担う立場にある専門家によって、約2年間、計14回にわたり丁寧かつ慎重に御審議いただいた上で答申が示されたものでありまして、建て替えが前提との御指摘は当たらないものと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  やはり見解の違いでしょうか。毎年政府の地震本部から公表される地震の発生確率マップというものがあります。全国の人口40万人以上の都市において今後30年間のうちに震度6以上の地震が来る確率をランキング形式にまとめてある資料によりますと、73都市中1位は63.4%の高知市、熊本市の確率は1.8%で56位となっています。有識者会議では熊本地震以上の地震がいつ来てもおかしくないとの観点だけで根拠を示す数値での具体的な話はされていませんでした。
 また、第5回の耐震性能分科会において、庁舎が防災拠点施設と考えたときに、一つの建物の中にいろいろな機能を入れておくことがよいのかということも議論した方がいいのではないか。機能を一か所に集めれば、そこは弱点となる可能性がある。分散については、有識者会議で議論されると考えると意見されていたのに、残念ながら有識者会議では議論がされておりませんでした。耐震性能分科会の協議はあくまで2度にわたる報告書が妥当かどうかであり、建て替えなければいけないという結論ではないと認識しております。あれだけのすばらしい専門家の皆さんで構成された有識者会議でしたので、建て替えるだけではなく、ほかの手法を用いた庁舎の在り方について議論がされてもおかしくはないと感じました。
 本市の実情を詳しく御存じない有識者会議の御意見は、あくまで一般論であり、その答申を受けての市長の建て替えを前提とした意思決定にはあまりにも唐突の感が否めません。意思決定までのプロセスが不透明で、本当に建て替えが今でよいのか、疑問を抱いている市民の方が理解できないままの状況で庁舎建て替えを進めることは、今後市民との合意形成を得るのは非常に困難だと認識します。まずは有識者会議や耐震性能分科会での内容を市民の皆さんに丁寧に、分かりやすく情報提供してから建て替えるのか、そうでないのかを判断し、意思決定をすべきだと考えます。仮に建て替えを進めるなら、まずは市民との合意形成に向けての努力が大前提だと考えます。合意形成に至らない場合、意思決定をするための手法の一つとして、住民投票が考えられます。前回も質問がありましたが、もう一度住民投票についての市長の考え方をお聞かせください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  令和5年第2回定例会においてお答えしましたとおり、本庁舎等の建て替えも含め、市政における重要な意思決定に当たっては、基本的には市民の皆様の代表である議会との議論が原則であると考えております。
 そのため、住民投票という制度はありますものの、私としてはこの基本的な原則に基づき、市民の皆様への適切な情報の提供や丁寧な説明を行い、広く御意見を伺いながら議会での議論を行ってまいりたいと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  住民投票については、前回と同じで好ましくないと市長の考え方が再認識できました。また、答弁では本庁舎等の整備については、市民の代表である議会との議論が原則であるとのことでした。市長の考え方に議員の一人として非常に重たい責任を感じ、改めて身の引き締まる思いでもあります。であれば、我々も市民の皆様への適切な情報の提供や丁寧な説明を行うため、議会の要請にかかわらず、市長自らが特別委員会に出席され、じっくりと丁寧な議論を進めていかなければならないと思いますが、その点についていかがでしょうか。大西市長にお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  議会に対する丁寧な説明が大変重要であることは言うまでもございませんが、必要に応じまして特別委員会などにおいて自ら説明する機会をいただきたいと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  市長は過去に1回だけ特別委員会に出席されています。
 これまでの委員会では、時には市長の考えと委員会に出席されている職員の方の答弁が果たして一致しているのかどうか疑問に思うこともありました。庁舎の在り方については言うまでもなく、次世代に大きく影響する事業であります。特別委員会出席の意思は示されましたので、市長、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、今後の進め方について4点お尋ねいたします。
 各区において7月に開催された市長とドンドン語ろう!では、庁舎等整備の現状報告が盛り込まれました。庁舎に関しては当初予定されていなかった影響もあってか、参加者は5区合わせて245名、私がのぞいた中央区では、予定時間をオーバーしたため、庁舎問題の質問について途中で打ち切られました。この庁舎の在り方問題に特化して市長とドンドン語ろう!を改めて開催すべきではないかと考えますが、開催を行う予定はありますでしょうか。
 2点目です。整備には有利な起債である合併推進債を活用するとのお考えでした。推進債は期限が迫っている状況でありますが、その活用についての見解をお尋ねいたします。
 3点目です。あらゆる情報を公開する観点から、職員、市民アンケートの調査内容を公表すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 4点目です。今月から来月末まで、民間活力の活用についてサウンディング調査を行うようですが、民間からの調査を行った後、それをどのように反映されるのでしょうか。
 1点目、2点目につきましては大西市長に、3点目、4点目につきましては政策局長にお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本庁舎等の建て替えにつきましては、本市にとって極めて重要な事業でありますことから、7月に各区で開催いたしました次期総合計画策定に向けた市長とドンドン語ろう!においても意見交換のテーマの一つとさせていただきました。
 当日は私から直接市民の皆様に対し、現庁舎の老朽化の状況や災害時のリスク、有識者会議における審議結果等も含めて説明を行い、それに対する御意見、御質問をいただきましたが、限られた時間の中で十分にお答えすることができなかった部分もございましたことから、後日、個別に詳しく回答させていただくこととしております。また、より多くの市民の皆様への周知を図るため、当日の模様を収めた動画や配布資料、いただいた御意見、御質問に対する回答をホームページで公開したところでございます。
 今後も、検討段階に応じて市長とドンドン語ろう!をはじめ、さまざまな機会を設け、市民の皆様に対し適切な情報の提供や丁寧な説明を行い、広く御意見を伺いながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、合併推進債の活用についてでございますが、合併推進債については、令和6年度までに実施設計に着手した事業に対して活用が可能な財源でありまして、その活用可能な期限が迫っていることは承知しております。今後も積極的に国への要望を行うなど、活用に向けて取り組みますとともに、民間活力の活用を含めた整備手法についても、丁寧かつスピーディーに検討を進めてまいりたいと考えております。
         〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  私からは職員、市民アンケートとサウンディング調査についてお答えします。
 本庁舎等の建て替えに関する職員及び市民アンケート調査については、職員アンケートは実施済、市民アンケートは現在実施中でございまして、いずれも10月中をめどに結果を取りまとめ、市ホームページ等で公表したいと考えております。なお、市民アンケートにつきましては、2,000人の市民の皆様に対し調査票を郵送するほか、各区役所やまちづくりセンター、市ホームページなどを通して、どなたでも自由に御回答いただくことができるようにしております。
 次に、サウンディング型市場調査につきましては、有識者会議の答申におきまして、市の財政負担に加え、まちづくりやにぎわい創出の観点から民間活力の活用は重要な要素であるとの御意見をいただいておりますことから、民間活力の活用について検討するため、民間事業者から幅広く御意見、御提案を伺うものでございます。
 今後、民間事業者との対話を進める中で、市民サービス向上や市の財政負担の軽減といった提案について、今後の事業スキームを検討する上での参考としたいと考えております。
         〔31番 高本一臣議員 登壇〕

◆高本一臣 議員  4点のお尋ねをしましたが、庁舎の在り方についてのドンドン語ろう!、ぜひ市長、これを開催していただきたいと思います。そして市長のそのときの聞く姿勢、これをしっかり実行していただきたいと思います。
 合併推進債については、期限が迫っていながらも民間活力と並行して活用を探っておられるようです。庁舎の整備事業はもちろん推進債の対象ではありますが、そもそもこの起債が活用できるのは本市と合併していただいた旧富合町、植木町、城南町のおかげでもあります。合併時の約束事はほぼ実行されていますが、3町とも新たな課題も生じています。人口増に伴い学童保育に通えない問題、あるいは国道3号線、国道266号線の渋滞問題、一方では過疎化の問題など、これらの優先課題に活用するのが本来の推進債だと考えます。
 アンケートの公表、サウンディング調査の反映については理解しました。アンケートの公表に関しては速やかな公表をお願いしておきます。市長の3期目の選挙では、議論の中断、また、有識者会議の途中でもあり選挙の争点にはなりませんでした。4月の統一選挙においても方向性がはっきりしていなかったため、私たちは残念ながら有権者、市民の皆さんに庁舎についての話をすることができにくい状況でありました。そういう意味ではこれから丁寧にじっくり議論し、市民の皆さんに判断材料を示していかなければなりません。市民の皆様にとってどの在り方がベストなのか、私もその使命感を持ってこれからの委員会、議会活動に臨みたいと思います。
 今回準備してきた質問は以上で終了しました。いかがでしたでしょうか、4期目の高本は。傍聴に来ていただいた皆様、インターネット中継で御覧の皆様、御協力いただいた執行部、そして議会局の皆様に感謝を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

○大嶌澄雄 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午後2時に再開いたします。
                            午後 0時02分 休憩
                            ───────────
                            午後 2時00分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 村上誠也議員の発言を許します。村上誠也議員。

         〔9番 村上誠也議員 登壇 拍手〕

◆村上誠也 議員  皆様こんにちは。自由民主党熊本市議団の村上誠也でございます。
 まずは本日登壇の機会をいただきましたことに対し、先輩議員、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。また、本日はお忙しい中、多くの支援者の皆様にもお越しいただいております。
 4月の初当選以来5か月が経過し、何分初めての質問で、議員各位をはじめ執行部の皆さんもほとんど顔見知りということもあり、大変緊張いたしております。早口になったり、お聞き苦しい点もあろうかと思いますが、市長をはじめ執行部の皆様には明確な御回答をいただきますよう、心からお願い申し上げます。
 さて、私は昭和58年から2年間参議院議員の秘書を務め、昭和60年4月から熊本市に奉職いたしました。この間、税務福祉分野を皮切りに、観光・文化・スポーツ分野、富合町、城南町、植木町との合併協議、政令指定都市への移行、東京事務所等での勤務を経て、平成31年4月からの南区長を最後に、令和3年3月をもって36年間務めた熊本市を定年退職いたしました。この行政経験を十分生かしながら、即戦力として市政発展のため精いっぱい努力していくことをお約束させていただきます。
 また、私が住む南区についても様々な課題があり、住民の皆様より多くの声をいただいております。今後は市議会議員として住民の皆様から負託を受けましたことに責任を持ち、南区の発展と住みやすいまちの実現に向けてもその役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速質問に入らせていただきます。
 物価高騰などに伴う指定管理団体に対する支援についてお伺いいたします。
 指定管理者制度は公の施設の利用に係る多様性、高度性を市民ニーズに的確に対応するため、管理運営に係る民間事業者の能力やノウハウを幅広く活用することが有効であることから、平成15年6月に地方自治法が改正され、創設されたものであります。この指定管理者制度については、本市の公の施設の指定管理者制度に係る指針において、指定期間や公募の方法などの基本的な考えが示されております。また、この中で自然災害や物価上昇等の経済状況の変動などの予測のつかない事由については、市と指定管理者のどちらが負担するのかなど、リスクの分担についても記載されているところです。
 今般のように急激な物価上昇や最低賃金の見直しが実施された場合、指定管理者の持ち出しはかなりの額になると予想されます。このような中、来年度以降の募集に関する仕様書を市のホームページ上で見ておりましたら、指定期間が5年の施設と3年の施設とでリスク分担の対応が違っておりました。期間が5年の施設の仕様書については影響額を算定し、管理者の各年度の収支差額を上限として管理者と協議の上、その一部を負担する、もしくは返還することとするとなっている一方で、期間3年の施設の仕様書にはもしくは返還させることとするという一文がない仕様書がございました。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、6月定例会で指定管理に関する債務負担行為が可決され、来年度以降の公募について各担当部局で準備されていると思います。先ほど指摘した仕様書の食い違いについては現在は修正され、統一した仕様書になっておりますので、単純な誤りだったのではないかと思いますが、今後、各施設の担当課任せでは大きな問題になりかねません。総合的なチェック体制を築き、全体の把握を行う部署が必要と考えますがいかがでしょうか。
 2点目、今回の仕様書から燃料光熱費については、市と管理団体との協議となっており、上下10%の変動が生じた場合とありますが、9.9%以下はゼロ円ということになるのでしょうか。大型施設を管理運営している団体にとっては大変な問題です。せめて10%に満たない変動についても幅を設けて一部を負担するということはできないのでしょうか。
 3点目、国の施策により、ここ数年最低賃金の見直しが行われており、管理団体も必死の思いで人材の確保に向け努力しておられます。管理期間5年間、人件費の見直しがないと相当額の負担が重くのしかかっている状況にあると思いますが、人件費についても物価の変動に伴う燃料光熱水費と同様にリスク分担の対象にしてはいただけないでしょうか。
 以上3点、財政局長にお尋ねいたします。
         〔三島健一財政局長 登壇〕

◎三島健一 財政局長  指定管理者制度に関する3点の御質問に順次お答えいたします。
 まず1点目の総合的なチェック体制についてでございます。本市の指定管理者制度におきましては、財政局資産マネジメント課が全庁的な運用の指針を策定・管理するなど、制度の総括に関する事務を行っております。一方、施設の所管課は、この指針を踏まえつつ、施設ごとの設置目的や機能等に応じた管理運営の詳細について指定管理者と協定を締結し、モニタリング等を通じて運営の助言、指導等を行っております。このように、資産マネジメント課と施設所管課がそれぞれの役割を果たしつつ相互に連携することで、施設の良好な管理運営に努めているところでございます。今後も、両者の連携のさらなる強化を図ることはもとより、資産マネジメント課の施設所管課へのチェック体制強化を図ってまいります。
 2点目の燃料光熱水費についてでございます。本市では、現在、燃料光熱水費の上昇に係るリスクは指定管理者の負担としておりますが、近年の燃料光熱水費高騰の状況を踏まえ、現在募集を行っている来年度からの指定管理者の選定に当たり制度の見直しを行いました。具体的には、電気、ガスなど種類ごとの本市の消費者物価指数が、選定の際の提案書提出時を基準として10%上昇し、かつ全体の収支不足が生じた場合、当該収支不足額を上限に、10%を超えた額について本市が負担することといたしました。この10%という基準は、過去の消費者物価指数の推移を踏まえて設定しており、これを下回る場合はこれまでどおり指定管理者に負担していただくこととなります。
 このような取組は本市としても初めてでありますことから、今後の燃料光熱水費の動向を注視しつつ、まずは来年度からの新たな制度の円滑な運用を図ってまいりたいと考えております。
 3点目の人件費についてでございます。人件費は事業者と労働者の雇用契約に基づくものであり、市民サービスの向上と効率的な施設運営を念頭に、労働基準法その他の労働関係法令の中で決定されるべきものでありますことから、変動リスクは指定管理者の負担としております。近年の人件費の動向について、統計法に基づき実施される毎月勤労統計調査において、賃金は過去10年間で3%程度の伸びにとどまっており、現時点では人件費の変動は指定管理者が負担できる範囲内であると考えております。
 しかしながら、近年、最低賃金が上昇傾向にあること、また、現在の制度では複数年にわたる指定管理期間中の人件費の上昇を予算の積算に反映できないという課題がありますことから、今後、最低賃金をはじめとする人件費の動向を注視するとともに、他都市の取組も参考にしながら研究してまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 1点目につきましては、指定管理者制度を総括する部署としてきちんと把握し、統一性を持たせることが重要です。各担当部署任せでは今回のように仕様書に記載漏れがあった場合には、トラブルの原因となりかねません。今後、管理体制とチェック機能をしっかり構築していただきますようお願いしておきます。
 2点目の燃料光熱水費の上下変動については、現在の状況を見ますと、かなりの確率で起こってくるのではないかと考えられます。答弁では提案書提出時を基準として10%上昇し、かつ全体の収支不足が生じた場合のみ負担するということでありますが、これは管理運営している団体にとっては持ち出し分が多くなり、大変苦しい経営を余儀なくされることとなります。また、10%に満たない変動での対応は厳しいというお答えであります。今後、市民サービスの低下を招かないよう、再度検討していただくことを要望しておきます。
 3点目の人件費については、名古屋市や横浜市などでは、人件費の高騰が管理団体の経営リスクにつながり、管理団体の健全運営を通じた公の施設の適正な管理運営と、ひいては市民サービスの質の低下を招かないよう指定管理者制度における賃金水準スライド制度を作成され、運用を始められております。本市の現行制度では管理期間中の上昇分は反映できないとのことでしたが、本市においてもこのような人件費について賃金水準スライド制度を設けていただき、公の施設の健全な管理運営ができる仕組みの検討について、再度強く要望しておきます。
 続けて、管理団体の収益事業の在り方についてお尋ねいたします。
 私も市役所退職後、市の施設を管理する団体で1年4か月勤めてまいりましたが、管理団体が自主事業で収入を上げることは認められている一方で、物品の販売などによる収益事業はこれまで認められておりませんでした。これまでは指定管理施設の担当部署と総合的な取りまとめを行う部署とでは収益事業に対する見解が違っており、現実的にはほとんどの管理団体が指定管理料のみで運営を行っているのが実情です。
 今般のように、物価高騰の中で、特に大型施設を運営している団体については、燃料光熱費だけでも、年間数千万円近い赤字が見込まれるとも聞いております。これは民間団体を含め大変な問題であり、死活問題です。管理団体が自主的な経営努力を行う収益増に向けた事業の展開について統一した見解をお聞かせください。
 大西市長、お尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本市の指定管理者制度において、これまで収益事業については明確な位置づけがなく、指定管理者が企画する自主事業においても収入を実費相当額までとするなどの制約がありましたことから、現在募集を行っております来年度からの選定に当たり、運用の見直しを行いました。具体的には、指定管理者が自らのノウハウを活用しつつ、収益を確保できる仕組みを提案事業と位置づけ、積極的な活用を図ることといたしました。この提案事業の実施によりまして、施設の有効活用による市民サービスの向上とともに、指定管理者の収益が確保されることでさらなる安定的な運用が可能となると考えておりまして、今回の募集における事業者からの積極的な提案を期待しております。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 管理団体が公の施設を管理・運営していくことは、市民の皆様と直接触れ合い、多くの声をいただく場所でもあります。これらの声を反映することができる提案事業の活用は、管理団体にとって収益増のみならず、市民サービスの向上にもつながっていくと考えております。今後も利用者の利便性向上のため、そして管理団体の収益増に向けた積極的な施策に取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
 続きまして、スポーツの振興と施設整備についてお尋ねいたします。
 私は職員時代に、スポーツ振興課長、文化スポーツ交流部長として、多くの国際スポーツ大会、合宿の誘致、そして本市で主催する熊本城マラソンをはじめとした事業の管理・運営業務などに関わってまいりました。本市では、全ての市民が生涯にわたってスポーツ活動を行う指針として熊本市生涯スポーツマスタープランを策定しており、このプランに基づく市民のスポーツ振興が図られております。現在の第2次熊本市生涯スポーツマスタープランは、平成24年度~令和3年度までの10年間を計画期間とするものであったかと記憶しております。しかし、次の第3次熊本市生涯スポーツマスタープランについて市のホームページ上で検索したところ、探し出すことができませんでした。
 また、熊本地震の影響により中間見直しができなかったことは理解しますが、マスタープランを検証する熊本市スポーツ推進審議会についても平成30年6月に開催されたのが最後のようで、市民に方向性を示す第3次マスタープランが策定されていないのは問題ではないかと思っております。既に第2次計画の満了から2年が経過し、本市のスポーツの振興、市民が生涯にわたってスポーツ活動を行う指針であり、その方向性を示す第3次生涯スポーツマスタープラン策定について、市長の見解をお伺いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  熊本市生涯スポーツマスタープランについては、新型コロナウイルス感染症の影響等により、スポーツ活動にも一定の制約が生じていたことから、令和2年度以降、次期プラン策定の基礎となるスポーツ動向調査を見送ってきたところです。本年5月に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類となり、現在では地域でのスポーツイベントをはじめ国際大会も開催されるなど、コロナ禍前と同様にスポーツ活動を行うことができる状況となってまいりました。
 このようなことから第3次熊本市生涯スポーツマスタープランについては、本年度策定予定の第8次総合計画を踏まえ、校区スポーツ協会や競技団体をはじめ、広く市民の皆様の声を伺いながら早急に策定し、本市のスポーツの振興に取り組んでまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。ただいま市長から早急な策定に向け取り組んでいくとの御答弁をいただきました。
 新型コロナウイルス感染症等によるスポーツ活動の制約などの影響は、確かにあったと思いますが、それならば一定期間第2次マスタープランの期間延長などを図るといった対応が必要であったと考えます。本市で活動いただいているスポーツ推進委員、各校区にいらっしゃるスポーツ協会員、総合型スポーツクラブ、スポーツリーダーバンクに登録されている方々をはじめ、スポーツに関わる全ての方にとって大変重要な指針であり、速やかな策定をお願いしておきます。
 次に、国際スポーツ大会等を含む誘致についてお尋ねいたします。
 先ほども述べましたが、私がスポーツ振興課長時代にラグビーのワールドカップや女子ハンドボール世界選手権大会の誘致を実現し、両大会合わせて観客動員数が37万2,000人と大変すばらしい大会となり、地方都市でも十分に対応できるということを示すことができたのではないでしょうか。今年は本市のアクアドーム熊本において、世界水泳選手権2023福岡大会に向けたドイツ競泳ナショナルチームの合宿が行われ、その後、世界マスターズ水泳選手権2023九州大会の水球競技が開催されました。海外や県内外からの宿泊、観光、飲食、さらには輸送業、警備業など運営面でもかなり経済効果は高かったのではないでしょうか。
 また、11月には世界を転戦するバドミントンの国際大会の一つとして、今年から4年間にわたり熊本マスターズジャパンスーパー500が開催される予定になっております。
 そこでお伺いいたしますが、このような盛り上がりを見せ、市民の皆様に感動と興奮を与え、スポーツのすばらしさ、楽しさを伝え、経済効果も十分見込める国際スポーツ大会などの誘致をどう捉え、今後の誘致にどうつなげていかれるつもりなのか、大西市長の見解をお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  国際スポーツ大会の開催は、トップアスリートのプレーを間近で観戦できるなど、スポーツの魅力に触れることで、競技力の向上や競技人口の拡大につながるとともに、選手や観戦に訪れる多くの皆様をお迎えすることで、交流人口の拡大による地域の活性化が期待できます。
 議員御紹介のラグビーワールドカップなど、これまでの大会においても様々な効果が見られました。さらに、この8月に開催いたしました世界マスターズ水泳選手権九州大会においても、本市で行われた水球競技に34の国や地域から443人の選手に御参加いただき、アンケートの結果、92.8%の方に熊本の滞在について、とても満足または満足との御回答をいただいたところです。
 国際スポーツ大会については、選手や関係者の皆様が競技はもとより熊本城など本市の歴史や文化に触れ、その様子を世界に発信していただくことで、熊本の都市としての魅力が広く認知される効果もあると考えており、今後とも県や競技団体等と連携を図りながら、新たな国際大会の誘致につなげてまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 国際スポーツ大会の誘致開催はインバウンドによる観光客誘致と同様に大きな魅力があると考えます。熊本の皆さんにもっと世界規模の大会を見て触れていただき、スポーツの持つ魅力、迫力、感動をもっと知っていただけるよう、ぜひとも大西市長には積極的にトップセールスでの誘致活動に努めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次にスポーツ施設に関する質問をさせていただきます。
 本市にあるスポーツ施設は藤崎台県営野球場をはじめ、県・市の総合体育館や、水前寺陸上競技場・野球場、アクアドーム熊本など多くの施設が点在しております。しかしながら、皆様御承知のとおりそのほとんどが古く、また、改修もままならない状況です。
 市長が1期目のマニフェストの中に、藤崎台県営野球場について、移転も含めた在り方を検討するため、県・市連携で検討会議を設置しますという項目がありました。当時私はスポーツ振興課長であり、その検討会議に参加し、県と協議を重ねてまいりましたが、いろいろな制約や考え方の違いから市長の1期目終了時点までには思うような結果が得られず、現在に至っているところです。
 また、当時、熊本県の野球関係8団体からも市長宛てに野球場の建設を望む要望書が提出されており、県民をはじめ市民の皆様もプロ野球が呼べる新しい球場の建設を心待ちにされているものと推察いたします。
 他都市の事例ですが、岩手県では県と盛岡市が共同で所有・管理し、PFI方式により、総額108億円の費用で、今年4月にきたぎんボールバークが建設されています。全面人工芝、LEDナイター照明、大型スコアボード、1・3塁側各3レーンの屋内ブルペン、2万人収容の観客席のほか、全天候型の屋内練習場、イベント広場など様々な施設があり、敷地内にはJリーグいわてグルージャ盛岡のホーム、いわぎんスタジアムもあり、敷地内には1,260台の駐車場が完備されております。またこの野球の振興、発展に向けて、元プロ野球選手である上原浩治氏が公式アンバサダーとして就任され、日本のプロ野球とアメリカメジャーリーグの経験を生かしてサポートされるとともに、地域の活性化にも取り組まれております。アクセスについても盛岡駅から最寄りの駅まで電車で7分、それから徒歩で15分という便利さです。
 そこでお尋ねいたしますが、県と市が単独で所有管理するのではなく、岩手県、盛岡市のように共同管理する方法で野球場の建設に向け、協議を行っていただけませんでしょうか。これは関係者一丸の悲願です。市長の見解をお伺いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  野球場などの新たなスポーツ施設については、スポーツの振興はもとより、各種イベントの開催による地域のにぎわいの創出など経済効果が期待される一方で、多くの整備経費や維持管理経費を要することから、民間活力を活用した多様な事業方式や資金調達方式を活用していくことが必要と考えております。
 藤崎台県営野球場は、競技力向上や生涯スポーツ推進の場として、これまで長い間、市民の皆様に愛されてきた施設であり、現在、県において野球場も含め県営スポーツ施設の在り方について検討が行われていると伺っておりますことから、引き続き、県の動向を注視いたしますとともに、他都市の事例につきましても研究してまいりたいと考えております。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。このスポーツ施設の在り方については、関係者をはじめたくさんの方々がとても関心を持っておられます。九州管内においても一番と言っていいほど設備が整っておりません。スポーツをこよなく愛する方々から見れば環境が整ったグラウンドで最高の試合を見たり、そのグラウンドでプレーしたりしたいと思っていらっしゃるはずです。県の動向を注視することも大切ではありますが、岩手県、盛岡市の事例であるように建設後の球場は立地条件や利便性についても大変評判がいいと伺っております。
 民間活力、資金調達も含め、共同所有・管理の在り方について県の検討材料の一つに加えていただけるよう働きかけをお願いしたいと思います。そして、県・市民の皆さん、関係者の皆さんの夢をかなえていただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、防災・減災に向けた危機管理についてお尋ねいたします。
 本市においては、平成28年の熊本地震により甚大な被害が発生したところでありますが、近年、台風や線状降水帯などの発生による風水害が全国各地で毎年のように発生いたしております。本市においても今年だけで高齢者等避難の警戒レベル3以上が7回もあり、白川流域での洪水や土砂災害による避難指示も発令されるなど、近隣住民の皆さんも大変不安を感じられたことと思います。
 国においては平成25年12月に国土強靱化基本法が施行され、また、本市においてもこうしたことを踏まえ、組織的、計画的に強靱化を推進するとともに、今後想定し得る災害等のリスクに対して最大限備えるため、令和2年3月に熊本市国土強靱化地域計画を策定されたところです。この地域計画は、私が南区長時代に策定されたもので大変強い思いがありますが、本計画の指針として、県の国土強靱化地域計画との調和を図るとともに、計画に位置づけた取組については進捗状況を毎年把握するとされております。
 そこでお尋ねいたします。
 熊本市国土強靱化地域計画はあらゆるリスクを見据え、どのようなことが起ころうとも、最悪な事態に陥ることが避けられるよう、行政機能、地域社会、地域経済を事前につくり上げていくとありますが、最悪な事態をどのように設定、分析され、そして課題の検討、リスクへの対応方策の進捗がどの程度進んでいるのかお聞かせください。
 政策局長、お願いいたします。
         〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  議員御案内のとおり、平成25年に国土強靱化法が施行され、本市におきましては、熊本地震の教訓を踏まえ、想定し得るリスクに対して最大限備えることを目指し、令和2年3月に熊本市国土強靱化地域計画を策定いたしました。本計画は、今後起こり得る地震や風水害などの大規模な自然災害に対しまして、起きてはならない最悪の事態として44のリスクシナリオを設定するとともに、それぞれの事態について脆弱性の評価・分析を行い、平時からのハード、ソフトの取組を幅広く位置づけたものでございます。
 お尋ねの本計画の進捗状況につきましては、毎年度、重要業績指標を用いて把握することとしておりまして、令和4年度末は約9割の指標において、順調または概ね順調となる見込みであります。
 引き続き、本計画に基づき、どのような災害に対しても最悪の事態に陥ることがないよう、防災・減災対策を着実に推進してまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 本計画の進捗状況は約9割で、概ね順調であるというお答えでしたが、最悪な事態に陥ることを避けるには市民の皆様にその内容や行動すべき事項を正確に理解してもらうことが大切であると思います。今後起こり得る自然災害に対して、対応方法について住民の皆さんにも広くお知らせし、備えていただくことにも力を注いでいただきたいと思います。
 次に、本市には地震や風水害などのリスクを特定し、リスクごとの計画を策定されている地域防災計画があります。私たちが暮らす西南部の海岸線は熊本地震後の津波注意報が発表された際、車での避難しかできない地域であったことから大渋滞が起こり、避難先まで相当の時間を要したと伺っており、今でも避難に関して大変不安をお持ちの方々がたくさんいらっしゃいます。
 また、私が南区長在任時の令和2年には、台風10号の最接近と満潮の時間帯が重なり、高潮の警戒性が高まったことから、天明4校区、飽田西校区、川尻校区の避難所を閉鎖し、皆さんに対しできるだけ遠くの避難所に避難を呼びかけた経験があります。このように地震や台風、津波や高潮といった自然災害はいつどこで起こるか分かりません。沿岸部を抱える南区はほとんど平たん地で、高齢者をはじめ、病院や福祉施設に入所されている方々の避難も含め、今後の対応策をはっきりさせておく必要があるのではないでしょうか。
 我が会派の古川議員もこの避難場所の問題についてお尋ねになったことがありますが、令和元年の垂直避難ができる施設の必要性についての質問に対し、当時の政策局長より各種イベントや訓練を通じ、津波の際の避難行動に対する啓発に取り組む。垂直避難施設などについては、他都市の事例調査等を行い、その必要性について研究・検討してまいりたいと答弁されております。熊本市国土強靱化地域計画の中でも避難誘導体制の整備として、既存公的施設に垂直避難のための外付け階段や転落防止用の柵の設置を検討するとありますが、これまで述べたことを踏まえ、どのような研究・検討をされてきたのか、垂直避難施設への対応について、政策局長にお伺いいたします。
         〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  本市の西南部における沿岸地域は、高い建物が少なく、津波や高潮の際に垂直避難ができる施設は小中学校、県立高等学校の公共施設等に限られていると認識しております。そこで、毎年度実施している震災対処訓練等において、地域の皆様とともに垂直避難施設までのルートや危険箇所の確認、住民アンケート、ワークショップ等を通じて、避難行動に関する研究や周知啓発に努めているところであります。
 議員お尋ねの垂直避難のための外付け階段などの整備につきましては、建物の構造上の問題や安全確保面での課題もありますことから、引き続き施設管理者や地域の皆様との協議を進めてまいります。
 今後も垂直避難の在り方については、既存の公共施設はもとより民間施設のさらなる活用を進めるとともに、市民の皆様の安全かつ適切な避難行動につながるよう、引き続き訓練等を通じた周知啓発に努めてまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。ただいま御答弁いただきましたが、早急な対応が必要です。構造上の問題や安全確保などの問題があるとしても、自然災害は待ったなしの状況です。民間施設の活用についても既にお話を進められているということは評価いたしますが、できるだけ早く安全対策の検討と安心して避難できる場所の確保に向け取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
 沿岸地区を抱える南区、西区においては、垂直避難場所の確保は大変重要な問題です。天明地域には今回、一体型義務教育学校が設置されます。現在の小学校は廃止され、再利用策はまだこれから検討されることと思いますが、この校舎を利用し、2階以上は避難所として活用していただきたいと思います。
 また、飽田西校区、川尻校区もハザードマップでは大変災害リスクの高い地域であり、西区においても避難所として同様のことが言える状況にあります。高齢者も多く、避難に必要な移動手段を考えますと、現在ある公共施設に外付け階段や転落防止用の柵の設置を含め、地域住民の皆様にいち早く見える形での対応が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 危機管理の観点から政策局長にお尋ねいたします。
         〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  議員お尋ねの外付け階段や転落防止柵の対応につきましては、天明校区施設一体型義務教育学校においては、屋上避難のための外付け階段による避難経路の確保などについて検討していくこととしております。また、閉校になる4校については、地域の皆様から引き続き施設を避難所として活用できないかといった御意見をいただいており、本市としても防災上必要であるとの観点から、閉校後の避難所としての機能維持について、教育委員会や区役所を交えて協議を行っているところでございます。
 また、他の沿岸地域における垂直避難の在り方についても、先ほどの答弁と同様、引き続き市民の皆様の安全かつ適切な避難行動につながりますよう取り組んでまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 天明4校区や飽田西校区には公共施設以外には高い建物がなく、また、熊本地震の際にもあったように、道路の大渋滞が起こった場合には命を守る行動さえ取れないという状況も想定されます。いかに近くて安心して避難できるかが重要となります。現在の天明4校区の小学校を避難場所として機能維持について協議を行っているということでありますので、多少前進していると感じたところであります。
 引き続き設置に向け地域の皆さんの御意見も踏まえ協議を行っていただきたいと思います。また、飽田西校区、川尻校区についても教育委員会や民間施設の協議も含め、垂直避難所の早期設置に向けしっかりと取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。
 道路に関する課題と土地利用についてお尋ねいたします。
 近年、中九州横断道路や九州中央自動車道、熊本天草幹線道路など、本市と九州各都市を結ぶ地域高規格道路の整備が目に見える形で加速しております。このような道路整備の進捗により、九州各地との観光や経済面での交流促進が期待されています。また、御存じのとおり、熊本都市圏における円滑な交通ネットワークの形成のため、市中心部から高速道路インターチェンジや熊本空港までを結ぶ新たな3つの高規格道路からなる10分・20分構想が掲げられ大きな期待を集めています。しかしながら、このような高規格道路の整備については、長期的な時間軸で取り組む事業であり、その効果の発現には長い年月が必要となります。
 現在、各区や各地域における道路に関する課題については様々なものがありますが、このような長期的スパンの事業に合わせて、既に熊本市道路整備プログラムに位置づけられている路線など、短期、中期的な事業についても着実に進めていくことが重要であり、今後のそれぞれの地域の均衡ある発展にもつながっていくものと考えております。今回は、このような観点から、私の地元である南区の道路に関する課題とその沿線の土地利用について質問したいと思います。
 まず初めに、国道501号飽田バイパスについて、平成7年の着工から28年が経過し、地域住民の皆さんは早期の開通を心待ちにされております。現在、国道501号は、幅員が狭い上に大型車の通行量も多く、道路沿線にお住いの方々は道路からの振動と行き交う車の音で、ゆっくり眠れない日々を送られております。また、梅雨時期には道路が冠水し、通行止めになることも多く、これだけ多くの車両が通行する道路なのにどうしてこう整備が進まないのかという声をたくさんいただいてまいりました。同じく県道229号畠口川尻停車場線も雨季には飽田病院前をはじめ、道路が冠水し通行止めになるなど、市民生活に大きな影響を与えている状況です。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、国道501号飽田パイバスについては、熊本市道路整備プログラムにおいて中期Aと位置づけられておりますが、その開通時期を明確にお示しください。もし、早期の開通が難しいのであれば、その理由と課題をお聞かせください。
 2点目、既に車道部分、歩道部分が出来上がっているところがあり、舗装さえすれば部分的にも通行が可能なところも存在します。部分的にも供用開始はできないのでしょうか。
 3点目、国道501号及び県道229号の冠水対策についても明確なお答えをお願いいたします。
 以上3点、都市建設局長にお伺いいたします。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  ただいまの3点の御質問に順次お答えいたします。
 まず、国道501号飽田バイパスの開通時期等についてでございますが、当バイパス整備に当たりましては、これまでも地域の冠水問題や交差点形状等といった様々な課題に対し、沿線住民の皆様の御意見をいただきながら検討を重ねてまいりました。
 そのうち下内田地区の立体交差につきましては、令和2年度に整備方針を決定し、今年度は地盤改良及び橋梁下部工工事を実施しております。なお、事業着手から相当期間が経過しているため、地域の皆様に事業への理解を深めていただけるよう、今年度改めて現在の進捗を含めた説明会を実施することといたしております。
 当該路線は全体的に軟弱地盤であることや冠水課題箇所も多く、地盤改良や雨水対策等課題解消に時間を要することから、今後も地域の皆様の御理解と御協力を得られるよう丁寧な説明を心がけ、早期の供用開始に向け着実な事業推進に努めてまいります。
 次に、2点目の部分的な供用開始についての御質問でございますが、現道と接続する交差点や排水施設が未整備であり、大型車両等の通行において安全確保が困難でありますことから、供用開始は全区間完成後と考えておりますが、工事期間中の迂回路設置等については今後も地域の皆様と協議してまいりたいと考えております。
 最後に、国道501号等冠水対策についての御質問でございますが、当該地域周辺は御指摘のとおり、大雨により度々道路冠水が発生しております。対策といたしまして、本市の方で排水路をコンクリート張りにする等の整備を計画的に進めており、また、熊本県において、2級河川除川や2級河川千間江湖の河道拡幅工事を実施中でございます。整備を進めるに当たっては、地域の合意形成が大変重要であるため、今後とも地域の皆様の御理解と御協力を得ながら、冠水被害の防止と軽減に取り組んでまいります。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 国道501号、飽田バイパスの開通には冠水対策や立体交差、地盤改良などの整備が必要とのことで、明確な開通時期はお示しいただけませんでした。着工から28年が経過しており、歌の文言ではありませんがどれだけ待てばいいのでしょうか。地域の皆さんにとっては日常生活に関わる大きな問題であり、できるだけ早い開通を望まれております。さらには今後、熊本西環状道路、熊本天草幹線道路などの整備が進めば、需要が高まる路線でもあります。今後は地域の説明会を実施するとのことでありますので、県・市の取組状況を注視し、私も全力でサポートしてまいりたいと考えておりますので、早期開通に向けて取り組んでいただきますよう要望しておきます。
 また、部分的供用開始についても、大型車両の通行は困難であると認識はしておりますけれども、地域の皆さんが生活道路の一部として通行ができるよう、利便性の確保を重視し、積極的に供用開始に向けた検討をお願いしたいと思います。
 国道501号、県道229号の冠水対策については、地域住民の皆さんとの合意形成が大変重要であるとのことでした。私も早期解決に向け、地元及び県・市との協議に積極的に参加し、行政も縦割りの関係でなく、各部署同士や県ともしっかりと連携を取り、地域住民の皆さんとも十分な対話と協議を重ねて解決方法を検討し、事業の推進に努めていただきたいと思います。
 最後です。西南部の土地利用の促進についてお尋ねいたします。
 現在、令和7年度からの県の都市計画区域マスタープランの見直しに伴い、第3次熊本市都市マスタープランの見直しや、それに伴う都市計画の見直しに向けた検討も進んでいるとお聞きいたしております。第2次熊本市都市マスタープランにおいては、人口減少・高齢化の進展していく中においても、長期的に都市の活力を維持するため、コンパクトで持続可能な都市づくりに向けて、中心市街地とその15の地域拠点から成る多核連携都市を都市構造の将来像として掲げています。また、その実行計画である立地適正化計画では、それらの地域拠点への都市機能や居住の誘導を図ることとされています。
 御承知のとおり、飽田天明地区には地域拠点もなく、近くの拠点となると川尻地区、刈草地区、西区の城山地区であり、以前は単独の町であった飽田・天明はぽっかりと空いた地区となり、将来的には拠点となるほかの地域へ誘導される地域となってしまいます。AIデマンドタクシーの実証実験が拡大されましたが、高齢者の皆さんや運転免許をお持ちではない方々が住み慣れた地域で、安心して生活を送ってもらえるよう、行政はもちろんのこと、我々議員も含めて真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。
 現在も国道501号線沿線には、小売店舗が数軒だけで、ほとんどが市街化が抑制されている市街化調整区域に当たり、大型店舗や事務所の立地も全く認められず、地域内で買物さえままならない状況であり、地域の未来が大変心配される状況であります。菊陽町に進出するTSMC関連では、本市主導で東区、北区において土地利用の促進が図られています。しかしながら、南区、西区においても今後目を向けてみますと、現在本市で事業を進めている熊本西環状道路や県・国において進められている熊本天草幹線道路など、地域高規格道路の整備の進展が見込まれております。
 また、国の計画によりますと、天明の海路口町に熊本天草幹線道路のインターチェンジが設けられるということであり、国道501号線や県道熊本港線への交通需要が今後ますます高まるものと考えております。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、このような状況を踏まえると、国道501号線沿線だけでも市街化区域となるよう検討すべきではないでしょうか、いかがでしょうか。
 2点目、8月に陳情書の提出をさせていただきましたが、南区、西区に影響がある県道熊本港線は熊本西環状道路の起点ともなり、将来的には熊本天草幹線道路や有明海沿岸道路ともつながる可能性のある重要な路線でもあります。現在は開発に厳しい要件が重なっておりますが、見直していただくことはできないでしょうか。一部の地域を取り残すことがないような見直しをお願いしたいと思います。
 都市建設局長にお伺いいたします。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  ただいまの土地利用に関する2点の御質問にまとめてお答えいたします。
 本市が目指す多核連携都市とは、人口減少下においても地域拠点に日常生活サービスを維持・確保することで、郊外部を含めた地域生活圏全体の居住者の暮らしやすさを維持するものであり、地域拠点だけでなく熊本市域をバランスよく発展させていく必要があると考えております。
 国道501号や主要地方道熊本港線沿線については、その大部分が市街化調整区域であり、まとまった田畑などの優良農地が多くを占めております。市街化調整区域は都市計画法上、市街化を抑制すべき区域とされておりまして、市街化区域へ編入するためには、将来の人口予測や農地の保全など、多方面からの検討が必要であり、今後、人口減少が見込まれる中、市街化区域を大きく拡大することは非常に難しい状況でございます。
 一方で、将来的に西南部地区においては、熊本港の機能強化や高規格道路の整備等により、アクセス性が飛躍的に向上することで、企業の誘致や熊本港の物流・人流の拠点化に弾みがつくなど、地理的なポテンシャルは一層高まると考えております。引き続き、国や県と連携しながら港や道路等の基盤整備などを進め、西南部地区の発展につなげてまいりたいと考えております。
         〔9番 村上誠也議員 登壇〕

◆村上誠也 議員  ありがとうございました。
 国道501号や熊本港線の区域変更は、現段階では大変難しいとの答弁でありました。しかし、そこに住んでいる皆さんにとっては住みやすいまちであることが一番の喜びであります。市街化調整区域、農業振興地域などの網がかかっている上、地域拠点もなく、他地域に誘導されるなど、取り残された感が非常に強いと言わざるを得ません。今後期待できる高規格道路の整備や、熊本港の強化も大切ではございますが、今、生活をする住民の皆さんにとっては、今の状況を何とかしてもらいたいという強い思いがございます。今後も西南部の地域の問題については、しっかりと議論させていただき、住みやすいまちの実現に向けて取り組んでまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、私が用意しました質問は終わります。初めての質問で本当に大変緊張いたしましたが、市長をはじめ執行部の皆さん、議会局の皆様には丁寧な御回答等をいただき無事に終えることができました。本日は貴重な機会をいただき、お付き合いいただきました多くの皆様に感謝を申し上げます。また、本日御多忙の中、傍聴席においでいただきました皆様、そしてインターネット中継で視聴していただきました皆様にも心から感謝を申し上げます。本日は誠にありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。
 この際、会議規則第3条第2項の規定により、議席の一部を変更いたします。
 満永寿博議員の議席を44番に、藤山英美議員の議席を45番に、田尻善裕議員の議席を46番に、それぞれ変更いたします。
 次会は、明12日(火曜日)定刻に開きます。

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田中敦朗 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。
                            午後 2時56分 散会


〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり





令和5年9月11日
出席議員 47名
      1番   田 中 敦 朗        2番   大 嶌 澄 雄
      3番   村 上   麿        4番   瀬 尾 誠 一
      5番   菊 地 渚 沙        6番   山 中 惣一郎
      7番   井 坂 隆 寛        8番   木 庭 功 二
      9番   村 上 誠 也       10番   古 川 智 子
     11番   荒 川 慎太郎       12番   松 本 幸 隆
     13番   中 川 栄一郎       14番   松 川 善 範
     15番   筑 紫 るみ子       16番   井 芹 栄 次
     17番   島 津 哲 也       18番   吉 田 健 一
     19番   齊 藤   博       20番   田 島 幸 治
     21番   日 隈   忍       22番   山 本 浩 之
     23番   北 川   哉       24番   平 江   透
     25番   吉 村 健 治       26番   山 内 勝 志
     27番   伊 藤 和 仁       28番   高 瀬 千鶴子
     29番   小佐井 賀瑞宜       30番   寺 本 義 勝
     31番   高 本 一 臣       32番   西 岡 誠 也
     33番   田 上 辰 也       34番   三 森 至 加
     35番   浜 田 大 介       36番   井 本 正 広
     37番   大 石 浩 文       38番   田 中 誠 一
     39番   坂 田 誠 二       40番   落 水 清 弘
     41番   紫 垣 正 仁       43番   澤 田 昌 作
     44番   満 永 寿 博       45番   藤 山 英 美
     46番   田 尻 善 裕       47番   上 野 美恵子
     49番   村 上   博

欠席議員  1名
     48番   上 田 芳 裕


説明のため出席した者
  市長       大 西 一 史    副市長      深 水 政 彦
  副市長      中垣内 隆 久    政策局長     田 中 俊 実
  総務局長     宮 崎 裕 章    財政局長     三 島 健 一
  文化市民局長   金 山 武 史    健康福祉局長   津 田 善 幸
  こども局長    木 櫛 謙 治    環境局長     早 野 貴 志
  経済観光局長   村 上 和 美    農水局長     大 塚 裕 一
  都市建設局長   井 芹 和 哉    消防局長     福 田 和 幸
  交通事業管理者  古 庄 修 治    上下水道事業管理者田 中 陽 礼
  教育長      遠 藤 洋 路    中央区長     岡 村 公 輝
  東区長      本 田 昌 浩    西区長      河 本 英 典
  南区長      本 田 正 文    北区長      中 川 和 徳

職務のため出席した議会局職員
  局長       江   幸 博    次長       中 村 清 香
  議事課長     池 福 史 弘    政策調査課長   上 野 公 一
 
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