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熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2023年09月07日 定例会

令和 5年第 3回定例会

  令和5年9月7日(木曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第3号                         │
│ 令和5年9月7日(木曜)午前10時開議                 │
│ 第  1 一般質問                           │
└─────────────────────────────────────┘
                            午前 9時59分 開議
田中敦朗 議長  ただいまより本日の会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  日程第1「一般質問」を行います。
 発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
 まず、山本浩之議員の発言を許します。山本浩之議員。

         〔22番 山本浩之議員 登壇 拍手〕

◆山本浩之 議員  皆さん、おはようございます。熊本自由民主党市議団の山本浩之でございます。
 このたび6度目の一般質問の機会をいただきましたことを会派の諸先輩方、同僚の皆様方に感謝申し上げます。また、お忙しい中にもかかわらず、傍聴にお越しくださった皆様方、インターネット議会中継にて視聴してくださっている皆様方に心より御礼申し上げます。
 それでは、早速ですが質問を始めます。
 初めに、熊本競輪場についてお尋ねいたします。
 本年4月、日本競輪選手会熊本支部所属の中川誠一郎選手が、史上47人目となる通算500勝を達成されました。
 また、8月には、北海道函館競輪場にて開催された全国高校総合体育大会、インターハイの自転車男子4,000メートル団体追い抜き決勝において、熊本県の千原台高校がこの種目での初の県勢優勝を果たしたという、うれしいニュースが届きました。
 もっとも、練習場所となるべき熊本競輪場は、平成28年4月の熊本地震の影響で使用することはできず、関係スポーツの選手の皆さんはバンクを駆けることなく、機械を使った基礎体力系の練習が中心となっているそうです。
 現在の熊本競輪場の状況を申し上げますと、2024年度の競輪事業再開、2025年度の全面開業に合わせて工事が順調に進んでいると聞き及んでおります。熊本競輪場の再開は、熊本地震被災からの力強い復興を象徴するものであり、熊本のみならず全国の競輪ファンがその再開を心待ちにしているのはもちろん、選手やアマチュア競技の皆様も大きな期待を寄せられています。
 そこで、熊本競輪場再開への道のりについて改めて確認させていただきたく、大西市長にお尋ねいたします。
 1点目、熊本競輪場再建の竣工からレース再開までの具体的なスケジュールについてお示しください。
 2点目、熊本競輪場再建後のにぎわいの創出や地域への貢献についてのお考えをお聞かせください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  競輪場の再建に関連したお尋ねにお答えいたします。
 まず、再開までの具体的なスケジュールにつきましては、現在進めておりますメインスタンドの耐震改修やバンクの新設等の工事が順調に進んでおりまして、来年3月末には工事が完了する見込みであります。
 その後、競輪開催に必要な機器の設置や国の確認等を経て、まずは場外での車券販売を開始したいと考えており、8年ぶりとなります競輪競技の再開につきましては、関係団体と協議を進めた上で、来年6月を目途に開催に向けた準備を整えたいと考えております。
 次に、再建後のにぎわい創出と地域貢献につきましては、周辺の自治会や商店街組合等で開催されますイベントへの支援、協力を行いますとともに、従前開催しておりました熊本けいりん夏祭りを地域の方々や選手会熊本支部の皆様と連携して復活させたいと考えております。
 また、令和6年度にはサービスセンターの改修工事を予定しておりまして、地域の拠点、緊急避難場所としてセンターを活用いただくとともに、併設しております子供用プールや会議室などを地域の方々に御利用いただくことで、さらなるにぎわいの創出と地域貢献につなげてまいりたいと考えております。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  来年3月には工事が完了し、令和6年6月中には競輪開催に向けた準備が整う見込みであるとの御答弁をいただき、安心いたしました。8年ぶりとなる熊本での競輪競技再開は、自転車競技に関わる全ての皆様の悲願であると言えます。長らく中断していた競輪競技の再開に向けては御苦労も多いかと存じますが、関係者の皆様が一丸となって取り組まれることを期待しています。
 また、再建後のにぎわい創出のために熊本けいりん夏祭りを再開することや、地域の皆様も利用可能なサービスセンターの改修工事を行うことは、地域防災や地域コミュニティーの拠点となる側面もございます。市民生活に貢献することができる多機能な競輪場の在り方をこれからも模索していただくことをお願いいたします。
 続きまして、熊本市自転車利用促進についてお尋ねします。
 自転車利用が進むのに伴い、自転車が歩行者にけがを負わせるといった事故が増加したことから、警察庁は自転車の違反の取締りを強化し、悪質、危険なものについては積極的に交通切符告知票、いわゆる赤切符で取り締まるようになりました。
 警察庁のまとめでは、自転車の交通違反の検挙件数は昨年2万4,549件で、2013年の7,193件と比べ、この10年間で約3.4倍まで増加し、そのほとんどが赤切符による処理です。また、自転車に関わる死亡、重傷事故の約4分の3は、自転車側に法令違反があるそうです。
 しかしながら、警察から赤切符を交付されても、起訴や略式起訴をされるのはごく一部であり、2019年に警察庁が都道府県警に対し行った調査では、起訴は1~2%にとどまっており、車の違反に比べ、制裁の実効性が低いのが現状です。
 このような中、警察庁は本年の8月3日、自転車の交通違反に対し、交通反則通告制度、いわゆる青切符の交付を可能にする制度変更を目指す方針を明らかにしました。これは違反抑止を図ることが狙いであり、信号無視などの違反をした利用者に反則金の納付を通告することができるようになります。
 導入には道交法改正が必要であり、警察庁によれば、年内にも有識者検討会からの提言を受け取り、来年の通常国会への法案提出を視野に準備を進めるとのことです。
 また、有識者検討会は、法律の専門家や自転車の製造・販売業者の団体、教育の関係者で構成され、取締りのほかに、自転車の通行帯や横断帯など交通規制や自転車をめぐる交通安全教育の在り方も議論されるとのことです。
 一般財団法人自転車産業振興協会が実施された2018年、2021年のアンケート調査を比較したところ、ルール、マナーを守るべきだと考える人は45.8%が62.2%に、違反は取り締まるべきだと考える人は37.3%から50.2%に増えており、今回導入を目指す決断をした背景には、世論の変化の影響もあると考えられます。
 そこでお尋ねいたします。
 青切符が今後導入されれば、相当の交付者数が想定されることになります。導入された場合に備えて、そもそも利用者が青切符を交付されないよう、交通安全の意識を高めるべきだと考えます。
 そこで、チャリチャリの取組をはじめ、自転車利用の促進をされている都市建設局長並びに、子供が青切符交付の対象となるかは今後議論される、議論の過程とのことですが、自転車利用者の中でも、特に学生の交通安全マナー遵守が度々問題として取り上げられていることを踏まえまして、教育長にもお尋ねいたします。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  自転車利用者の交通安全意識を高める取組についてお答えいたします。
         〔議長退席、副議長着席〕
 自転車利用者のマナーや安全対策については、昨年3月に、熊本市自転車の安全利用及び駐車対策等に関する条例を改正し、交通ルールの遵守やマナーの向上に加え、自転車保険の加入義務やヘルメット着用に関する規定を設け、各種報道媒体やイベント、自転車販売店、街頭指導等による周知広報、交通安全教室、さらには高校生とのワークショップの実施など、広く自転車の交通マナー向上や安全対策を進めてきております。
 今年度はこれらに加え、自転車通勤推進企業や自転車安全利用モデル校の認定制度を創設し、現在、企業や高校等を積極的に訪問し、取組に参加するよう働きかけを行っており、分かりやすい教材の作成も検討しているところでございます。
 また、シェアサイクルについては、これまでスマホアプリや駐輪ポートで安全利用に係る啓発を行っており、今後は花博など、各種イベントのタイアップ企画と連携した周知を行うなど、利用者の目に触れる機会を増やし、さらなるマナーアップを促してまいります。
 自転車の安全対策は、継続した取組が重要と考えておりまして、交通ルールの遵守やマナーの向上に関する世論が高まる中、本市としても、工夫を重ねながら幅広い利用者に対し、交通安全意識を高める取組を進めてまいりたいと考えております。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  学校における取組をお答えいたします。
 現在の各学校における安全教育については、学習指導要領を踏まえ、発達段階に応じた交通安全指導を繰り返し行っているところです。継続して自転車交通ルール等の周知を図り、その遵守を指導徹底していくことで、児童・生徒の交通安全意識向上につながるよう取り組んでいるところです。
 また、教育委員会としても、県教育委員会と連携して定期的な街頭指導を行うなど、マナーの向上に取り組んでおります。
 このほか、都市建設局と連携した熊本市自転車安全モデル校の指定も継続して行っており、昨年度のモデル校だった砂取小学校が今年度行われた交通安全子供自転車熊本県大会で優勝し、全国大会に出場するなど、学校での取組が結果となった例も出てきているところです。
 今後も関係機関と連携した取組を継続し、さらなる交通安全教育の充実に向けて取り組んでまいります。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  本市では、令和2年度に熊本市自転車3“ばい”プラン~熊本市自転車活用推進計画~を策定し、自転車でお出かけしたくなるまちづくりを基本理念に、自転車利用を推し進めてこられました。
 チャリチャリの普及など、自転車利用を促進する取組が広がりを見せつつある中、利用者が増えたことによって、マナー違反や法令違反の件数を増やさないような仕組みづくりが不可欠と考えます。すなわち、自転車が走りやすい環境を整えるために、自転車専用の走行空間の整備や確保もセットで行っていく必要があります。交通安全意識を高める取組と併せて、環境整備の御検討も行っていただきますようお願いいたします。
 また、学校教育における交通安全教育の必要性は、議論の余地のないところではございますが、交通事故やヒヤリハット事例の多さから、自転車通学者のマナー改善を図ってほしいとの切実な声を、日々地域の皆様よりいただいているところでございます。
 子供たちの日常生活において、交通社会を経験する場面は、自転車を利用するほかにありません。自転車が唯一、交通社会に参加できる乗り物でもあることから、交通社会に入る上での自己責任を子供たちに十分に認識させ、高い安全意識を持っていただくことは、自身の命と周りの方の命を貴いものと理解する第一歩であると考えます。
 こうしたことから、交通社会における社会性を育む絶好の機会となる交通安全教育の充実は、教育的意義が非常に大きく、重要なものとなります。当たり前の交通ルールとマナーを遵守することができる人間育成教育は、できるだけ小さい頃から力を注いだ方が効果が高いと言われています。引き続き、児童・生徒のさらなる交通安全意識向上につながるよう取組の充実を望みます。
 では、担い手不足の問題についてお尋ねいたします。
 近い将来、2040年には現役の世代の急減により、様々な業種における人手不足に加え、団塊のジュニア世代、1971年~1974年生まれが65歳以上となり、高齢者人口のピークが推計されています。
 担い手不足の予測をめぐっては、本年3月、情報サービス大手の研究機関であるリクルートワークス研究所が、2040年時点での生活を支える輸送や建設・土木、介護などの7職種における担い手の不足率の予測結果を発表しました。
 熊本県では、30.3%の不足率が示されていますが、これがなぜひときわ問題となるかというと、人々の生活維持サービスに欠かせない職種において、著しい労働力が不足することにございます。特に、物流や介護分野での労働力供給の制約は、生活の破綻を招きかねない深刻な課題となり得ます。
 これを打開する一般論として、都市から地方への移住や産業間の労働力の移動、また、女性やシニアの活躍、さらにはロボットやAIなどの最先端技術をより一層活用することも考えられますが、本市の特性や強みを生かす取組が必要と思われます。
 そこで、経済観光局長へお尋ねします。
 将来の担い手不足の対策についてお聞かせください。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  市民生活の維持に不可欠であります輸送、建築・土木、介護などをはじめとした企業の人手不足につきましては、本市でも取り組むべき課題であると認識いたしておりまして、人材定着及び還流による人材確保に取り組んでいるところでございます。
 熊本での人材確保を進めていくためには、本市で暮らし、働くことの価値を求職者自身に見出していただくことが重要でありますことから、様々な業種の地場企業の魅力とともに、都市としての高い利便性や暮らしやすさなどといった本市の魅力を様々な場面を通して発信しているところでございます。
 具体的には、求職者が地場企業を知るための機会として、合同就職説明会を毎月開催いたしますとともに、小中学生の将来の地元定着を目的として、しごと学びWEBライブを行い、地場企業で働く方々から仕事に対する思いや、やりがい等について発信いただくことで、熊本で働くことについて考える機会を提供しております。
 加えて、大学生を対象とした地場企業へのインターンシップでは、今年度、県外の大学生約160人に就労体験と併せ、生活の場としての本市の魅力を体感いただくことで、卒業後のUIJターン就業を促しております。
 現在、TSMCの熊本県への進出を契機として、熊本への関心が高まっておりますことから、求職者と企業のマッチングの機会を拡大するとともに、本市の暮らしやすさや地場企業の魅力を発信することで、引き続き人材確保を支援してまいりたいと考えております。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  様々な業界から人手が足りないという声が上がる中、自治体職員や国の安心安全を守る自衛官も同様の状況に直面しており、担い手の確保に試行錯誤を続けています。担い手不足が進めば、生活拠点の維持確保が困難となり、市民生活の利便性や質の低下を招く恐れがあります。
 人材の定着を図るためには、本市の魅力や住みやすさ、働きやすさを内外に発信することはもとより、人材の確保につながるような政策を実行できるよう、市民生活に欠かすことのできない職種の現場の声やニーズを正確につかむ必要があります。担い手不足の根本的な原因と課題を見極めながら、解消に向けてスピード感を持って対策を講じていただきますようお願いいたします。
 続きまして、今後の観光戦略についてお尋ねします。
 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが本年5月に5類へ引き下げられたことによる水際対策の緩和で、日本を訪れる外国人、インバウンドの回復傾向が全国的に鮮明となっております。
 福岡空港では、新型コロナウイルスの水際対策が緩和された昨年10月以降、国際線の再開や増便が加速し、本年5月の外国人入国者数は20万295人と、2019年5月と比較すると1.3倍増、九州の空港の中でいち早くコロナ前を上回りました。
 一方、熊本空港では、本年5月の外国人入国者数は3,889人、コロナ前の2019年5月と比較すると67.9%、およそ7割弱とコロナ前を下回っているものの徐々に回復の兆しが見えております。
 そこで、経済観光局長へお尋ねします。
 回復の兆しが徐々に見られるインバウンドに関して、本市において一層の経済波及効果を高めるための方策はお考えでしょうか。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  本市の訪日外国人旅行者数は、昨年10月の水際対策の緩和以降、急速に回復いたしておりまして、本年4月~7月の熊本城の外国人入園者数は約5万3,000人と、昨年度1年間の実績約3万5,000人を大きく上回っております。
 また、阿蘇くまもと空港では、9月より新たに台北便が週7便就航し、さらに11月には香港便の再開が予定されるなど、今後の需要の回復と増加が期待されているところでございます。
 国の観光立国推進基本計画では、インバウンド回復戦略として、旅行消費額の拡大や地方誘客の促進などが目標とされておりますことから、本市への来訪の大幅な増加が見込まれます台湾市場に向けまして、定期便の利用者が桜の馬場城彩苑などで利用できるクーポンの配布や、台湾での観光やMICEの誘致プロモーションを展開するなど、機会を捉えた消費喚起と誘客を図る取組を実施することといたしております。
 また、さらなる誘客施策といたしまして、アジアや欧米などの市場においても、県や九州内の関係自治体等と連携した周遊観光のプロモーションによる認知度向上と誘客に取り組むことといたしておりまして、このような取組を通じましてインバウンドを増加させ、地域経済への波及を図ってまいりたいと考えております。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  水際対策は終了し、我が国の観光スポットには多くの訪日外国人が訪れるようになりましたが、都市部だけではなく、地方部へ足を延ばす旅行客が増えたことも最近の傾向のようです。また、訪問先や関心事もそれぞれ多様化していることが特色の一つに挙げられます。
 このような中、本市においても、海外旅行客の受入体制を十分に整え、その経済波及効果を最大限に高める必要がございます。そのためには、本市への旅行者数を確実に増加させるとともに、滞在中の消費単価を上げるように努めねばなりません。御答弁にありましたとおり、阿蘇くまもと空港における台北便や香港便の増便は、旅行者数を増やす後押しとなります。
 また、関心事が多様化していることから、様々なコト消費が年々拡大しているのですが、このコト消費は、消費単価を上げることにつながります。熊本が誇る食文化、例えば熊本ラーメンや馬刺し、からしレンコンなど、外国人にも分かりやすく周知し、ほかにも自然や文化などの観光のコンテンツを掘り起こすことによって、訪日旅行客に本市を訪問先に選んでいただけるよう、効果的な取組を期待しています。
 先ほど、訪日外国人のインバウンドについてお尋ねいたしましたが、観光庁が公表されています旅行消費額を見てみますと、コロナ禍前の2018年は、日本人の国内旅行消費額が20.5兆円であり、訪日外国人の旅行消費額4.5兆円を4.5倍ほど上回っていました。
 国内旅行の消費額が地域経済へもたらす効果が大きい中、観光庁が8月16日に公表した旅行・観光消費動向調査によりますと、今年4月~6月までの日本人の国内旅行の消費額は5兆5,963億円となり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の同じ時期に迫っています。
 また、国内旅行者数を見てみますと、4月~6月までの旅行者数は1億3,364万人と、コロナ前と比べるとおよそ81%まで回復しています。1人当たりの消費額は、物価高の影響などで宿泊費や飲食費が増え、コロナ前に比べて14.6%増となったため、消費額全体では5兆5,963億円に上り、コロナ前のおよそ93%でした。
 結果的に、旅行者の数よりも消費額が先にコロナ前の水準に近づいた形となっています。
 関係者の見解として、日本経済新聞においてANAホールディングスの芝田社長は、足元の旅客動向や今後の見通しを、国内旅客で見ると、コロナ前の2019年比で4月~6月期は約8割まで戻り、年末には9割には達するだろう。尻上がりは続くと見ると語っております。
 そこで、経済観光局長へお尋ねします。
 年末には国内の航空需要の回復ぶりはコロナ前の9割に迫るとの観測もされておりますが、国内旅行に対する本市ならではの、本市の特色を生かした取組はあるのでしょうか。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  国内からの旅行客につきましては、全国旅行支援や本市独自の需要喚起策などによりまして、市内宿泊をはじめ回復傾向にございまして、熊本城の総入園者数も本年4月~7月までの実績が約40万人と、昨年同期の実績約25万人を大きく上回っているところでございます。
 観光庁によりますと、本年4月~6月期の九州への旅行者は、九州在住の方が全体の6割を占めるなど、現在はコロナ前に比べ近隣エリアへの旅行が多いものの、今後は遠距離からの観光客の回復が見込まれますことから、九州に加えて、東名阪などの航空路線や新幹線沿線の大都市を主なターゲットとした誘客を図ることといたしております。
 誘客に当たりましては、本市の魅力である熊本城や水前寺成趣園、ジェーンズ邸などの歴史文化施設に加えまして、世界に誇る水資源の恩恵を受けた飲食などとともに、これらの魅力を生かしましたナイトタイムエコノミー企画の周知も併せましてプロモーションを展開し、市内への宿泊、滞在を喚起し、旅行消費の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
 引き続き、国内外の旅行需要の早期回復に取り組みますとともに、今後の本市観光の持続的な発展のための基本的な指針といたしまして、旅行者の志向や動向などのデータ分析に基づく(仮称)熊本市観光マーケティング戦略の策定を現在進めているところでございまして、より戦略的な観光振興を目指してまいりたいと考えております。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  国内旅行の旅行者数や消費額が順調に回復する兆しを見せる中、今後の流れを左右するのは、いかに本市が旅行者を呼び込むための効果的なプロモーション活動を行うことができるかという点です。
 御答弁でも言及がありましたとおり、旅行者の動向を分析し、マーケティング戦略の策定を進めることが重要であるのはもちろんですが、今後の需要拡大が見込めるこの時期に、他都市も同様に、PR攻勢をかけるであろうことは容易に想定できます。タイミングを逃すことなく、積極的なプロモーション活動を展開されることを期待いたします。
 続きまして、グリーンスローモビリティの実証実験についてお尋ねします。
 本市におきましては、低速の小型電動車を使った移動サービス、グリーンスローモビリティ、いわゆるグリスロの実証実験が中心市街地周辺で実験開始されます。
 このグリスロ導入は、回遊性の向上などを図り、移動の側面からにぎわいを創出するとともに、長距離の移動が困難な方の移動を支援することを目的としています。期間は4か月間で、下通・新市街エリアと上通エリアにおいて、本年度に実証実験を予定しているそうです。
 グリスロは時速20キロ未満で公道を走行し、環境にも優しい移動手段として注目され、導入を検討する本市は2022年5月にも、全国都市緑化フェアくまもと花博に合わせて熊本城周辺で無料運行し、10日間で2,018人が利用されました。
 今回の実験では、電動車1台を使用し、ルートは下通・新市街エリアが蓮政寺公園を発着点としてアーケード周辺を進む2.7キロメートル、上通エリアが熊本電鉄藤崎宮前駅を出発して坪井、上乃裏などを経由して戻る2.3キロメートルを想定しています。所要時間はそれぞれ16分と14分で、停留所以外でも乗り降りできる区間を設け、運賃は1回100円程度です。
 他都市での取組に目を移しますと、九州でグリスロの取組を行っている宮崎県宮崎市では、宮崎県による宮崎駅西口駅前広場の再整備やJR九州、宮崎交通によるアミュプラザみやざきの開業を契機とし、グリーンスローモビリティを活用した公民連携によるまちづくりの一環として、令和2年3月18日からぐるっぴーの運行を開始しました。
 中心市街地活性化、回遊性向上をターゲットに、2台のグリスロが1日34便で宮崎駅周辺の中心市街地を12分間隔でぐるぐると周遊し、料金は100円、小学生無料です。
 宮崎市によれば、運行開始後、コロナ禍による利用者数減少により運行維持に273万円、2か月分の運行委託費が不足したため、情報発信ツールとしての活用や企業との連携、運営サポーターの募集を図るなど、運営基盤の強化や持続可能なスキームづくりに取り組まれたそうです。
 また、子供たちをターゲットに、乗って楽しい、見て楽しいを感じてもらい、家族も一緒に巻き込めるようなイベントも行っています。利用者である子供たちの親御さんからは、子供たちにとってはテーマパークのジェットコースターと同じ感覚だ、30回以上は乗っているよとの声も上がっているそうです。
 そこで、都市建設局長へお尋ねいたします。
 1点目、定員に限りがあるので運賃収入だけでは経営が厳しく、プラスアルファの取組が必要であると考えます。お考えをお示しください。
 2点目、車両単体の安全性のレベルが一般車より低いので、走行環境をよく吟味する必要があります。安全性の確保はどのようにお考えでしょうか。
 3点目、ほかの交通との関係を気にする必要があります。制限速度より低速で走行すると、ほかの車両などの交通流の妨げとなり、後方に他車が連なってしまったり、無理な追い越しが起きたりすると考えられます。特に町なかでは、積み下ろしのために商用車が路上駐車している場合も多いと思われます。自家用車や商用車とのすみ分けは考えられているのでしょうか。
 4点目、グリスロ活用の方向性として、なぜ宮崎市のように子供たちや家族向けではなく、御高齢者をターゲットにされたのでしょうか。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  ただいまの4点の御質問にお答えいたします。
 グリーンスローモビリティは、時速20キロメートル未満で公道を走ることができる電動車を活用した移動サービスで、地域課題の解決を図るため、全国で導入や実証実験が進められており、本市においても、中心市街地の回遊性の向上やにぎわいの創出等を目的として、昨年度より実証実験を実施しております。
 議員御指摘のように、グリーンスローモビリティは乗車定員が限られており、収益性が低い傾向にあることから、スポンサー収入等の公費以外の財源確保にも取り組んでいく必要があると認識しております。
 また、安全性の確保や他の交通との関係についてでございますけれども、運行ルートの設定に当たりましては、警察や関係者と協議し、幹線道路は可能な限り走行距離を短くすることや、低速でも他の交通に支障を来さない経路を組み込むなどの調整を行いながら、安全で効果的に運行できるルートを選定しているところでございます。
 最後に、グリーンスローモビリティ活用の方向性につきましては、長距離の歩行が困難な高齢者や本市への来訪者もターゲットの一つではありますが、実証実験では、藤崎宮前駅等の交通結節点との接続による公共交通の利用促進や、商店街とタイアップして特典が受けられる取組を実施するなど、交通以外の他の分野との連携や環境負荷軽減などの効果も追及していくことといたしておりまして、多くの市民の皆様に御利用いただきたいと考えております。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  グリーンスローモビリティの導入に際しては、まちづくり全体における位置づけ、ファーストマイル、ラストマイルとしての活用、容易な運営方式、地域間の移動の問題などがポイントになると思われます。
 加えて、グリーンスローモビリティの運用に当たって、様々な制約が存在する以上は、利用者のターゲットと目的を明確に定めることにより、市民の皆様にとって満足度の高い運用となるのではないでしょうか。
 グリーンスローモビリティは、小さな移動であり、短距離移送に強いという特徴がございます。町なかの回遊性を高めるための周遊運行のほか、例えば、公共交通空白地域や不便地域における高齢者などの交通弱者をターゲットに、自宅から最寄りの停留所へなど、日常の移動手段としてのサービスを提供することを想定してもよいかもしれません。
 公共交通空白地域や不便地域におきましては、デマンドタクシーの実証実験も進められています。グリーンスローモビリティは、デマンドタクシーと比較すると、より少人数をゆっくりと、低速で短い距離を運ぶことができるという点において、デマンドタクシーの運行が困難な部分を補完することが可能となります。
 グリーンスローモビリティは、地域が抱える様々な交通の課題と低炭素型モビリティーの普及を同時に進めることができる、今非常に注目されているサービスではありますが、本格導入に向けては、まだまだ残された課題が多いようにも感じます。スローで動くことの価値を生かしながら、ほかの交通や歩行者などとも親和性を高めることができるようなものとなるよう、今後も注視してまいります。
 最後の質問となりますが、くまもと花博2023秋についてお尋ねします。
 昨年開催されました第38回全国都市緑化くまもとフェアは、目標来場者数160万人を超え、168万人もの来場者があり、経済波及効果は約254.7億円、成功裏に幕を閉じました。
 他都市の花博と比較しますと、第36回信州花フェスタ2019では、来場者数は当初の想定50万人を超える70万5,000人で、県内への経済波及効果は46億円、第37回ひろしまはなのわ2020では、当初の想定では来場者数160万人でしたが、コロナ禍の影響でイベントやセレモニーの中止もあり28万6,000人、経済波及効果は62.5億円でした。
 くまもと花博の次に開催されました第39回ガーデンフェスタ北海道2022では、当初の目標来場者数の30万人を上回る約34万人の来場者数、経済波及効果は59億円となりました。
 他都市と比べても、コロナ禍の影響で大変難しい時期ではありましたが、関係者の皆様の努力が実を結び、くまもと花博は大成功であったと言ってよいのではないでしょうか。
 ところで、本市は来月10月28日~11月26日の30日間、昨年春に開催した第38回全国都市緑化くまもとフェアのレガシーを受け継ぎ、くまもと花博2023を開催します。
 街なかエリアの花畑広場及び中心市街地一帯、水辺エリアの動植物園を含む水前寺江津湖公園一帯、まち山エリアの金峰山一帯の3つのメイン会場で、20万人以上の来場を目標とされております。
 先月の8月上旬、私も伺わせていただきましたくまもと花博実行委員会第2回総会においては、事業内容の決定などが協議され、準備が着々と進んでいるようです。
 市民生活に花と緑があふれる上質な生活都市熊本の実現につながるレガシーイベントを開催されますことを大変うれしく思います。
 そこで、大西市長にお尋ねいたします。
 レガシーイベントを契機として、引き続き市民生活の中で花や緑への関心を高めていただくことは、持続可能な自然あふれる熊本市の実現のために不可欠です。今回のレガシーイベントはどのような位置づけで取り組まれるものであるか、お考えをお示しください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  昨年開催いたしました第38回全国都市緑化くまもとフェアくまもと花博は、コロナ禍の中での開催でありましたが、県内外から大変多くの皆様に御来場いただきました。また、御来場いただきました皆様方からは、いいイベントをありがとう、また来たいなどの言葉をかけていただくなど、市民の皆様にとって、花や緑に囲まれ、幸せを感じる機会になったのではないかなと考えております。
 このくまもと花博を通じて私がうれしく、また心強く感じたことは、各会場で何万本という植物や道路植栽帯等の維持管理に、緑のマイスターをはじめ、お子様から大人まで、多くの市民の皆様がボランティアとして積極的に携わり、また高校生によります庭園出展や各種ワークショップ、作品展示など、様々な主体が熱心に花や緑に関した企画を担っていただいたことであります。
 これはかねてより、市民協働による緑化活動をNEO GREEN PROJECTとして展開してきたことの成果の一つでありまして、今後もオープンガーデン、スポンサー花壇、地域での環境学習活動等の取組を継続し、地域コミュニケーションの広がりにつなげていきたいと考えております。
 6年前の開催地でありました横浜市では、緑化フェアを契機にボランティアが団体を結成し、自然環境を学びながら様々な緑化活動を展開されておりまして、本市でも、くまもと花博により培われた緑化への関心を絶やさず、多くの市民や事業者の皆様が参画し、花や緑に触れ合う取組を定着させるために、継続した取組として、くまもと花博2023を開催することといたしました。
 なお、今回のまち山エリア会場は、森の都を象徴する里山の一つであります金峰山一帯で行うこととしておりまして、地域資源の再発見を図る取組も実施してまいります。
 くまもと花博2023の開催によりまして、さらに多くの市民の皆様が花や緑に触れ、体験等を通じて学びを深めていただくことで、日常的に花や緑があふれる上質な生活都市の実現につなげてまいりたいと考えております。
         〔22番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  昨年の全国都市緑化くまもとフェアの開催に当たっては、多くの皆様が様々な形でイベントに御参加いただき、熊本市が育む豊かな自然、花や緑に対する市民の皆様の関心の高さを改めて示すこととなりました。
 緑化活動の一つであるNEO GREEN PROJECTについては、私の地元地域もモデル地区となり、碩台小学校や黒髪小学校での花の球根配布に、責任者として私も実際に参加いたしました。楽しく緑化活動を行う子供たちの姿が印象に残っており、球根がすくすくと育ち、花が咲いた様子を地域の皆様がとても喜んでいたとの声もあり、緑化活動を通じた地域コミュニティーの広がりを実感したところでございます。
 くまもと花博2023では、金峰山一帯をまち山エリアの会場に設定することによって、新たな地域資源の再発見を図るとの御答弁でございましたが、これは熊本市の自然環境や風土を再認識するきっかけづくりとしても大変有効であると考えます。市民の皆様をはじめ、熊本県花き園芸農業協同組合や熊本県フラワー装飾技能士会など、花卉生産業界や花卉専門職団体と協働されつつ、上質な生活都市の実現に向け、よりよい取組となることを望みます。
 今回用意しました質問は以上でございます。私のモットーでございますが、これからも市民の代表として初心を忘れることなく、謙虚さを持って職務を全うする所存です。御清聴ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

○大嶌澄雄 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午前11時10分に再開いたします。
                            午前10時53分 休憩
                            ───────────
                            午前11時09分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 上野美恵子議員の発言を許します。上野美恵子議員。

         〔47番 上野美恵子議員 登壇 拍手〕

◆上野美恵子 議員  日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。改選後初めての一般質問です。市民の皆様から寄せられました声をしっかり届けてお尋ねいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、暑さ対策です。
 気象庁は、今年夏の暑さを観測史上最高と発表、日本列島は歴史的な猛暑となりました。熊本市も全国トップクラスの気温が続き、今や暑さは命に関わる災害級の事態です。熱中症による救急出動件数は、2019年度419人から2022年度は663人へと1.6倍に増え、本年度は7月までに313人でした。
 1、熱中症発生場所の約8割が屋内で、うち一番多いのが約半分を占める住宅です。熊本市は今年度、生活保護世帯への約120世帯分のエアコン設置補助を予算化しましたが、申請は約半数の61世帯でした。対象の要件が高齢者、障がい者、子供や難病患者等の要配慮者で、病弱でも対象外の厳しい条件でした。元気な人でも熱中症になる暑さです。熱中症リスク回避のため、エアコンがない、使えない、生活保護・低所得者世帯へのエアコン設置助成ができないでしょうか。
 2、止まらない物価高、光熱費高騰の中で、困窮世帯では電気代が怖いとエアコンを使わずに我慢されています。生活保護世帯の夏季加算実施を国へ求めるとともに、市としては低所得・保護世帯等への電気代助成ができないでしょうか。あわせて、光熱水費負担軽減のため、黒字経営の上下水道料金は低所得者の引下げができないでしょうか。
 3、学校現場では、教室のエアコン設置が進んだ一方、体育館への設置は進んでいません。歴史的猛暑への対応として、体育館へのエアコン設置を進めていただけないでしょうか。
 4、給食室、調理場の調理室は、使用中40度前後となり、地獄のような暑さです。建物の構造上の関係で、実態は認識されつつも手つかず、このまま放置すれば人災です。災害級の暑さ、人命に関わる問題として捉え、給食調理室へのエアコン設置を進めるべきではないでしょうか。
 以上、市長並びに教育長に伺います。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  暑さ対策の低所得者世帯等へのエアコン設置助成等につきましての質問にお答えさせていただきます。
 生活保護制度におけるエアコンの設置費用に対応する一時扶助は、要配慮者に限定されておりまして、本年度予算化した助成事業については、平成30年の制度改正時において対象とならなかった世帯を対象としたものでございます。
 その他の世帯への費用助成につきましては、生活費のやりくりによりエアコンを設置している世帯との公平性や均衡性を十分に考慮し、慎重に検討していく必要があると考えております。
 また、生活保護世帯への夏季加算実施の要請、それから低所得世帯等への電気代助成及び上下水道料金の引下げについてのお尋ねでございますが、夏季加算の創設につきましては、冷房器具の効果的な利用が図られるよう、九州市長会において、生活保護の基準を定める国への要望を行っているところでございます。
 また、現在、電力、ガスなどの価格高騰による影響を踏まえ、特に家計への影響が大きい生活保護世帯を含む低所得世帯に対し、国の臨時交付金を活用した現金給付を行っておりまして、今後も国等の動向や物価高騰の状況を注視し、対応してまいります。
 上下水道事業は、使用量に応じて利用者の負担により運営しておりますことから、特定の方を対象とした料金等の引下げは考えておりません。今後も支払い猶予など、お客様に応じたきめ細かな対応に努めてまいります。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  学校の暑さ対策について、2点お答えいたします。
 小中学校体育館へのエアコン設置については、子供たちの熱中症対策や防災面も含めた体育館の機能強化の観点からも重要だと認識しているものの、多額の費用を要することから、引き続き国に対して財政支援を要望してまいります。
 給食調理室へのエアコン設置については、これまで調理場の大規模改修の際に、エアコン整備を進めてまいりました。加えて、給食室前室などにエアコンを設置するとともに、調理室にはスポットクーラーを配備するなどの対応をしてきたところです。
 今後、調理場の老朽化対策を早急にまとめていくこととしており、エアコン整備についても検討してまいります。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  困窮世帯へのエアコン設置や電気代補助は、あまりに冷たい答弁だと思います。クーラーの効いた市長室にいれば、困窮者の方の苦労が分からないのではないでしょうか。
 気象庁が125年間の観測史上最高だと発表した今年の夏の暑さを、災害級だと認識して対応をお願いしたいと思います。
 水道料金の低所得者減免では、上下水道事業の純利益は2022年度47億5,284万円、毎年50億円近い純利益で推移しています。しかし、現在条例に規定された福祉的配慮の減免は昨年度で3件、皆無に近い状況です。毎年報告させる50億円近い利益のほんの一部を市民に還元し、困窮世帯への減免実施を要望しておきます。
 続いて、医療問題です。
 第1に、トラブル発生が止まらないマイナ保険証、8月24日、厚生労働省は、マイナンバーカードとのひもづけができずに、健康保険証として利用できないものが約77万件あると調査報告書を公表しました。ひもづけはマイナ保険証の大前提であり、それができていない欠陥は、制度の根幹に関わります。
 全国保険医団体連合会の調査では、約1万の医療機関からの回答で、65%、5,493医療機関がトラブルを経験しています。介護事業所等では、カードの管理・使用が難しく、対応し切れないとの声があります。しかも、トラブル解消には事業所職員がつきっきりで、全員がマイナ保険証になれば、医療機関も介護事業所もパンクをすると悲鳴が上がっていました。こうしたトラブルを放置して保険証を廃止すれば、とんでもない事態になります。
 現在、マイナカードそのものを返納する人も増えて、本市でもカウントし始めた6月から2か月で、64件の自主返納があり、毎月、毎日、誰かが返納している状況です。国に対し、現行の健康保険証を残すよう求めるべきではないでしょうか。
 第2に、子育て支援の位置づけが高まる中、子供医療費助成制度はどこでも急速に拡充されています。本市でも今年12月から、対象年齢を入院、通院ともに高校3年生まで拡充予定です。
 しかし、歯科で3歳から、医科で5歳から小6までの月700円、中学生、高校生が月1,200円の自己負担があります。今や自己負担を求める自治体も減りました。熊本県下で自己負担のある自治体はどこでしょうか。本市でも自己負担をなくして、速やかに完全無料化を実施すべきではないでしょうか。市長に伺います。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  マイナ保険証につきましては、国民や医療現場に不安や懸念の声があることは承知しておりまして、国におきましては、国民の不安払拭に向けた対応や医療現場でのトラブルについても、対策を実施していくこととしております。
 本市といたしましても、国民が安心して必要な医療を受けることができる環境を整備することは非常に重要であると考えておりまして、国に対してはトラブルの再発防止と安定的な運用を確保するよう、引き続き求めてまいります。
 次に、子供医療費助成制度についてのお尋ねにお答えいたします。
 子供医療費助成制度において、熊本県内の自治体で自己負担を求めておりますのは、熊本市と宇城市の2自治体でございます。
 本市においては、これまで順次、制度を拡充してまいったところでございまして、議員も御紹介いただきましたとおり、本年12月から助成対象を外来・入院ともに、これまで満15歳の中学校3年生までとしていたものを、満18歳に達する年の年度末まで延長いたしまして、また、助成対象になります全ての年齢で、保険調剤に係る自己負担をゼロにすることにいたしました。
 この制度拡充によりまして、全ての子育て世帯の方々に経済的負担軽減を実感していただきたいと考えております。
 一方、公的医療保険制度は、一定の受益者負担の考え方に基づいておりまして、自己負担は医療機関の選択や受診に当たり、慎重な判断を促す機能があるとされております。
 また、財政的なバランスと制度の安定性を考慮しつつ、子供・子育て支援施策を総合的に充実させていくためにも、現在のところ一部自己負担は必要であると御理解いただきたいと考えております。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  市長に伺います。
 子供医療費助成制度で自己負担を取っている宇城市は、小中学校の給食が完全無償です。また、東京都は今月1日から、18歳までの全ての子供を対象に月額5,000円、年間6万円の給付を行う018サポートの申請受付を開始しています。対象は約200万人、予算額は1,260億円です。
 子供医療費助成に自己負担を求める熊本市は、あまりにもけちではないですか。それでも自己負担を求めますか。お願いします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  今、議員からも御紹介ございました様々な自治体による子育て支援施策は、かなり差がございます。
 私どもといたしましてもできるだけ、これは国の支援、財政的な支援の裏づけもしっかりある中で、全国どこに行っても同水準のそういった医療やサービス、子育て支援サービスが求められているのではないかなと考えております。
 ただ、これはそれぞれの地域の実情に応じて判断がなされているわけでありますが、先ほどから申し上げておりますとおり、財政的なバランスと制度の安定性を考慮しつつ、子供・子育て支援策を総合的に充実させていくということで、現在のところ、この医療費助成の保険調剤に係る自己負担はゼロにいたしましたし、18歳までということで、大きな自治体の中でもかなり拡充している状況でございます。そういった意味でも自治体の規模、あるいは財政状況、様々な状況を踏まえて、それぞれが判断をなされた状況だと思います。
 私どもも、この子育て支援をはじめとした様々な支援は、非常に重要だと思っておりますので、できる限りのことをやりたいと思っているところでございます。
 上野議員からも、それからこの議場におられる多くの議員の皆様からも、様々な論点から御提案、そして御意見をいただいているところでございますので、しっかりと慎重に、この現状を判断しながら、少しでも熊本が子育てしやすい、そしてそうしたいろいろな制度が住民の皆さんのニーズにかなう充実したものになるように、これからも頑張って取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  全ての子供に給付をする東京都、一方で医療費助成には自己負担、学校給食無償化はしない熊本市、子育て最悪な市長の姿勢が問われていると思います。
 トラブル続きのマイナ保険証は、いまだ欠陥商品です。車での欠陥が見つかればリコールです。欠陥商品を売り続けたら悪質業者です。欠陥商品のマイナ保険証を発行し続けたら、熊本市も悪質業者になってしまうのではないでしょうか。マイナ保険証は一旦見合わせて、今は健康保険証を残すべきだと考えます。
 次に、有機農業推進と学校給食です。
 2021年の国連食料システムサミットでは、自然の中で営まれ、環境に優しいイメージの農林漁業が実際には、農薬・化学肥料の投入、工業化による環境破壊で、生物多様性喪失の要因の7割~8割を占めていると指摘されました。
 これからは環境に優しい持続可能な農業へと転換するため、国内外の有機農業の豊かな実践に学び、その実践が広がるような就農者への手厚い支援と有機農産物供給の仕組みづくりが必要です。
 第1に、フランスでは学校給食はもちろん、介護施設や病院、高齢者の宅配弁当等で有機農産物の調達が義務づけられています。東京都日野市では、学校給食における地元野菜の契約栽培システムを実施して、学校給食地元野菜等契約栽培支援事業で農家を支援しています。こうしたやり方を参考に、公共調達で有機農産物を買い支える有機農業支援の仕組みがつくれないでしょうか。
 第2に、千葉県いすみ市では、全国に先駆け学校給食への有機米100%供給を実施しました。有機米生産農家の希望が実現したもので、有機米使用によるコストアップへの対応として、市が有機米1俵2万円の保障をし、それでも足りない給食費のアップ分を市が負担しました。その後、2022年10月から小中学校の給食費を全額補助、無償化し、今では地元有機米100%の給食が完全無償で提供されています。
 このように環境に優しい有機農業推進の立場で、本市でも有機農産物の価格保障などできないでしょうか。
 第3に、本市でも有機農産物を学校給食に積極的に取り入れていただけないでしょうか。
 第4に、学校給食無償化は年々広がり、小中学校の完全無償化を実施、または年度内実施予定は491自治体です。全自治体の約3分の1です。安全な給食を子供たちに負担なく届ける、その立場で有機農業推進と一体の学校給食無償化を進めていただけないでしょうか。
 第5に、格差と貧困が広がる今、長期休暇明けに痩せて登校してくる子供がいるとの声があります。就学援助や生活保護等、困窮家庭の子供たちに、春休み、夏休み、冬休み期間中の給食費相当分を昼食費として支給できないでしょうか。
 市長並びに教育長にお尋ねします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  まず、有機農業推進と学校給食についての幾つかのお尋ねに、まとめてお答えさせていただきます。
 まず、公共調達は有機農業を支援する取組の一つであると考えますが、有機農産物を市内公共施設で取り扱う場合は、議員のおっしゃるコストアップへの対応のほか、本市の施設規模に応じた数量の確保などの課題対応が必要となります。
 公共調達における有機農産物の利用につきましては、その実現可能性について、国内外の取組事例を踏まえ研究していく必要があると考えております。
 次に、有機農産物の価格保障についてでありますが、有機農業が持続的に展開していくには、収穫量が減ったり手間が増えたりするなどの有機農業の特性を消費者が正しく理解して、適正価格で取引される社会の枠組みが成り立っていくことが重要であります。
 持続可能な食料供給の実現に向けて、国では適正な価格形成に関する議論を開始したところであり、そこでの議論を注視しながら、価格保障の手法にこだわらず、有機農業を含む環境に優しい持続可能な農業推進の方策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、子供たちに安全安心な給食を提供することは市の責務でありまして、これまでの特別栽培農産物やエコファーマーが生産した農産物等を取り入れる取組に加えまして、有機農産物の導入についても研究してまいります。
 また、学校給食の無償化につきましては、国に対し恒久的な財政支援の早期実現の要望を行っているところです。学校給食の負担軽減につきましても、現在、他都市の取組状況を参考に、効果的な制度となるよう検討を進めておりまして、今後、具体策をまとめていきたいと考えております。
 最後に、困窮する世帯の子供の長期休業中の昼食への支援については、学校の教職員や子供食堂、フードバンク等、子供への食事の提供に取り組んでいる団体へのヒアリングによりまして、実態把握に努め、研究してまいりたいと考えております。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  有機農産物の学校給食への導入については、環境負荷の低減や農家の支援に加え、有機農業に対する理解の促進など、食育の観点から有効な取組と考えております。
 必要量の確保や価格面において課題がありますが、環境に配慮した視点に立った学校給食の在り方が今後ますます重要になると考えられることから、先進事例を参考にしながら、関係部署と連携して効果的な導入方法について研究してまいります。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  住み続けられる地球環境と子供たちが安心して暮らし、成長できる社会へ、有機農業の推進と学校給食の無償化に積極的な取組をお願いしておきます。
 続いて、教職員不足と学校現場の課題です。
 教員不足が社会問題化し、本市でも年度当初からの担任未配置が常態化しています。学校現場の常態的な人員不足と教師の多忙化は喫緊の課題、本気の取組が必要です。また、細かな事務処理の不具合による教師の負担も、直ちに改善すべきです。
 1、この間、教員の募集は増えましたが、年度当初からの担任未配置は常態化し、絶対的に教員が足りません。年度当初からの担任未配置解消のため、さらに募集人員並びに採用を増やすべきではないでしょうか。
 2、担任すら不足する中で、産休育休の欠員補充も困難を極めています。しかし、休暇の前日から採用する現行のやり方では、スムーズに補充できません。半年以上前には把握できる産休育休では、必要な代替教員を年度当初から採用し、休暇が始まるまでには加配として、休暇代替が必要になった時点で直ちに学校へ配置するような措置ができないでしょうか。
 3、教材費の納入が振込徴収となりました。現場から、途中での急ぐ変更や細かな変更に対応できず、余計な手間がかかるとの声があります。現場の声を聞き、やり方を改善していただけないでしょうか。
 4、年休の手続にCネットパソコンの前でつながるのを30分も待っている、書面提出がよほどよい、時間の無駄との声があります。直ちに改善すべきではありませんか。関係局長にお尋ねします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  まず、教員採用の大幅な増員についてですが、教員の未配置解消を図ることを目的として、教員の新規採用を令和3年度に193名、令和4年度に224名、令和5年度に286名と大幅に増やしており、今年度実施の採用試験では318名を採用する予定としております。
 御提案の新規採用者のさらなる増員については、教員の未配置が生じないよう、定年延長の影響等も考慮しながら慎重に検討してまいります。
 次に、産休育休を取得する教員の補充についてですが、文部科学省より、年度途中に見込まれる産休育休代替教員を年度当初から、臨時的任用教員として前倒しで配置する場合の加配定数による支援が示されておりますが、本市においては、臨時的任用教員の登録者の不足により、今年度は活用することができておりません。来年度以降は、年度当初から臨時的任用教員を確保できるよう努めてまいります。
 学校徴収金については、保護者の利便性向上と学校の事務負担軽減を図ることを目的に、令和2年度から原則、口座振替とする管理システムを導入したところです。
 徴収方法の変更に伴い、請求や収納に要する作業が前倒しとなったため、購入品目の精査など、これまで以上に計画的な徴収と調達に努めておりますが、急な変更に対応できない場合もあることから、今後も学校現場の意見を聞きながら、運用マニュアルの見直しなど、必要な改善を図ってまいります。
         〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  Cネットパソコンにつきましては、性能が高く、テレワークにも対応できるモバイル型への入替えを計画的に行っているところでございます。
 現在、全体の約8割、5,800台をモバイル型にしており、本年12月には、学校を含め全ての入替えを完了し、これにより状況が改善されるものと考えております。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  産休育休の代替教員の確保は、市単独でも教員を増やす対応が必要だと考えます。本市が国・県に先駆けて35人学級を独自に拡充したとき、市単独で教員を採用しました。仮に50人程度の採用で2億円かかったとしても、教育予算の僅か0.28%程度です。急速に進んだIT教育には、年間約26億円です。今こそ人への投資を優先されるように要望いたしておきます。
 次は、TSMC熊本進出に伴う地下水の保全です。
 私ども共産党熊本市議団は、この間、TSMC周辺や使用水を処理する県の北部浄化センターの現地調査も行い、様々な角度から地下水保全について検討してまいりました。枯渇や汚染の不安は払拭されていません。
 1、5月に結ばれた協定書では、地下水涵養対策として、水田湛水への協力金が規定されています。TSMCがくみ上げる地下水量に見合う100%涵養には、新たにどの程度の水田湛水面積が必要でしょうか。そのために、どのような取組を行われますか。確保の見通しはありますか。
 2、TSMC進出による開発面積並びに関係企業の誘致、他の企業立地、道路の延伸拡幅、空港アクセス鉄道、シリコンバレー構想、大熊本空港構想などによる、白川中流域で想定される開発面積をお示しください。
 水田湛水面積を上回る白川中流域での大規模な開発が行われれば、これまでやってきた地下水涵養の効果が帳消しになります。大規模な開発による涵養域喪失に見合う地下水涵養量を、くみ上げに対する涵養の分に上乗せすべきではないでしょうか。
 3、TSMCの汚染水は、県の北部浄化センターで処理されます。処理後、規制基準に基づいた検査を行い、隣接の坪井川へ放流されます。1989年の使用開始から1日も休まず、1日約7万トンの汚水処理が行われています。仮に有害物質が基準値を超えても放流は止められずに、法令等に厳しい規制があっても汚染水は垂れ流されます。
 よって、工場から出る前の使用水を検査し、その内容を県や自治体が確認する、基準が守られている場合は下水道に流し、そうでない場合は工場からの流出をストップする、それを県や自治体がチェックする仕組みを企業と自治体とでつくる必要があるのではないでしょうか。
 4、有効な汚染対策には、使用する化学物質の把握が必要です。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律で、第一種特定化学物質に指定され、製造、輸入等原則禁止のPFOS、PFOAは使用しないと聞いています。半導体の製造過程に欠かせない有機フッ素化合物約4,700種の何が使用されるのでしょうか。それを把握し、公表すべきではないでしょうか。
 5、企業と自治体が結ぶ協定書には、枯渇防止では、地下水くみ上げ量に相当する涵養の目標値、その方法、事業効果の公表、くみ上げ量に相当する涵養ができない場合のくみ上げ量制限の明記。汚染対策では、TSMCが使用する化学物質等の公表、下水放出前の工場排水の検査と結果公表、異常値検出の場合の下水放出中止を協定に規定し、さらに、協定に、地下水の最大の受益地熊本市も自治体として参加すべきと考えますがいかがでしょうか。市長にお尋ねします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  TSMC熊本市進出と地下水保全等につきまして、幾つかの質問にお答えさせていただきます。
 地下水涵養に必要な水田湛水面積につきましては、それぞれの農地で浸透能力や湛水期間が異なるため、一律に示すことはできませんが、TSMCの地下水採取量の100%以上に相当する地下水涵養のため、熊本県やくまもと地下水財団等と連携し、湛水期間の延長や面積の拡大などに着実に取り組んでまいります。
 2つ目、白川中流域の大規模開発につきましては、熊本県や近隣自治体と連携し、情報共有に努めているところでございますが、熊本県において、地下水の涵養の促進に関する指針及び熊本県環境影響評価条例施行規則の改正が検討されておりまして、それにより許可採取者の地下水採取量に見合う量の涵養や、開発による涵養域の減少に見合う一定の涵養が進むものと考えております。
 3点目の工業排水の下水道放流についての御懸念でございますが、工場排水の水質につきましては、水質汚濁防止法や熊本県地下水保全条例等によりまして、規制基準が厳格に定められており、これらによりまして県や関係自治体で継続的に確認され、本市におきましても下水処理場からの放流水について、定期的な監視を行ってまいります。
 4点目、使用される有機フッ素化合物につきましては、製造に関する情報でありますことから、本市ではどのような物質が使用されるのかということについて詳細に把握しておりませんが、仮に使用される場合には、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律等に基づき、適正に使用されるものと考えております。
 最後に、地下水保全のための地下水涵養量の目標値等につきましては、県条例に基づき県に報告されることとなっております。また、排水については、法律や条例に厳格に規定されておりますことから、協定によらず適切に実施されるものと考えております。引き続き、県や関係市町村と連携し、地下水の保全に取り組んでまいります。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  地下水の涵養では、水田湛水事業の期間延長、面積拡大に取り組むと言われますが、これまで精いっぱい取り組んできた水田湛水事業について、さらに必要面積を広げられるのか、具体案がありません。
 また、TSMC進出だけでも工場面積23ヘクタール分の地下水浸透面積が減ります。その近隣に第2工場も進出すると報道されております。今後想定される白川中流域の開発面積分を上乗せして地下水を涵養しなければ、地下水位の減少は止まりません。汚水対策も含めて、これまでの答弁の域を一歩も出ない状況では、大切な地下水を将来にわたり守ることはできません。
 ここで協定に関し、1点端的に伺います。
 現在、TSMCの子会社JASMは、菊陽町に地下水採取の許可申請を出しています。加えて、TSMC工場用地は、県の地下水保全条例に指定された重点地域のため、県の採取許可も必要です。涵養や汚染に対する具体策が示され、それは企業と自治体との協定という形で約束されるまで、採取許可を行わないように県へ求めるべきではないでしょうか。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  今、御指摘のこと等につきましても、これは県、関係市町村におきまして、適切に法令や関係条例に基づき対応されるものと考えております。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  74万市民の命の水、地下水を守ることは、市長が体を張って行うべき課題です。1976年に熊本市議会が決議した地下水保全都市宣言では、市民の総意を結集して、貴重な水資源を後世まで守り伝えていくことを誓うと宣言されています。
 東区の庄口公園は、1975年に住宅公団の11階建て分譲住宅建設計画が持ち上がり、健軍水源地汚染の危険性ありという住民の訴えにより中止となり、2004年にも市電乗り入れ案が発表されましたが、健軍水源地直結の井戸、水道配管があることから中止されるなど、大切な地下水が市民の力で守られてきた実績があります。
 そして今は、大企業の進出に伴う枯渇、汚染から地下水を守るため、市民が一丸となって力を尽くすときではないでしょうか。市長にはその先頭に立っていただくことをお願いしておきます。
 最後に、市庁舎整備です。
 まず、市長の諮問機関、有識者会議に関してお尋ねします。
 1、有識者会議設置に当たり市長は、予断を持たずに、客観的な立場で意見を聞くと言われました。有識者会議設置に先立ち、およそ半年前の2020年12月から約1か月かけて、有識者ヒアリングとして6人の意見聴取が行われました。その6人全てが有識者会議の委員に就任されました。新たに加わったのは、耐震性能分科会を非公開にした山田哲氏だけです。ヒアリング対象の6人の有識者は、全て建て替える方向、または建て替え前提の意見で、その方々が委員になった時点で、有識者会議が建て替える方向での議論になることは明らかであり、議会も市民もだましたことにはなりませんか。
 2、同じく市長が有識者会議設置を表明されたとき、あらゆる情報を公開、有識者会議も当然公開されるべきと述べられました。あらゆる情報を公開というならば、有識者会議の耐震性能分科会議事録も公開すべきではないでしょうか。市長に伺います。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  有識者会議の委員等につきましてのお尋ねに、順次お答えさせていただきます。
 有識者ヒアリングにつきましては、庁舎整備に関する本市の考え方を整理するため、各分野において国の審議会委員等を歴任され、優れた識見を有する方々に、それぞれ一度ずつ御意見を伺ったものでございます。その後、さらに慎重に検討を重ねるため有識者会議を設置することとし、議論の継続性の観点から、ヒアリング対象の方々に有識者会議の委員就任をお願いしたものでございます。
 また、私の方から有識者会議への諮問に当たりまして、予断を持たず、建て替えの是非を含めて御審議いただくことをお願いしたところでありまして、建て替え前提との御指摘は当たりません。
 次に、耐震性能分科会の審議は、有識者会議の運営要綱の規定及び熊本市情報公開条例に基づき、有識者会議において非公開とされたものでございます。
 具体的には、専門家の間でも意見が割れております極めて専門的な耐震性能について議論する場合において、会議を公開することで審議途上の各委員の発言が最終的な結論であるかのような誤解を与えたり、各委員の発言の一部を捉えた批判を受けたりするなど、委員の自由闊達な議論が阻害される可能性があるという理由によりまして、非公開にされたものと承知しております。
 なお、耐震性能分科会においては、検討過程も含め、その内容が分かるものとして、全ての会議資料、議事要旨を含む報告書を適切に公開されておりまして、今後も市民の皆様に御理解いただけるよう、その周知に取り組んでまいります。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  市長も有識者会議の会長も、予断を持たずということを異常なまでに繰り返しておられました。しかし、ゼロベースどころか出来レースではありませんか。こんな有識者会議の答申を理由に建て替えを進めることは、絶対に許されないことを申し上げておきます。
 この8月から、庁舎整備に係るサウンディング調査も始まっています。
 1、サウンディング調査は事業検討を進める情報収集の手法で、民間事業者の参入意欲の向上を期待するものです。今回の要綱では、参加者をディベロッパー、ゼネコン等と規定しており、民間事業者と一体整備の方針が今決まっているのでしょうか。
 2、民間と一体整備の場合、おのずと容積率が上がり、空間の高度利用が進められます。その場合、本市の景観基準は守られるのでしょうか。
 3、建物を中心にしたにぎわい創出では、市が450億円支出した桜町再開発やまちなか再生プロジェクトで整備された建物がにぎわいにどう貢献しているか検証が必要です。それぞれの店舗撤退件数、空き店舗の状況をお示しください。
 4、物価高騰で資材、原材料等が値上がりしています。基本計画策定時の現地建て替えでの建設費430億円は、現在どの程度と見込まれていますか。市長にお尋ねします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  サウンディング型市場調査については、事業化検討段階において民間事業者と直接対話し、事業内容や事業スキーム等の参考となる情報を広く収集するための手段でありまして、現段階において、整備方針について何ら決定しているものではございません。
 2つ目、景観基準の遵守についてのお尋ねでございますが、今後、本庁舎等建て替えの検討に当たっては、良好な景観形成のため、地域固有の特性を生かした景観とすることが重要であると考えておりまして、建設予定地とその周辺の景観が本市の魅力を向上させ、地域活動や経済活動の活性化を導く力となるよう、熊本市景観計画に沿って進めてまいります。
 なお、景観基準を含め、市の定めた準則を市が遵守することは当然であると考えております。
 また、3つ目の桜町再開発ビル等の御質問でございますが、桜町再開発ビルの開業からのテナントの推移につきましては、撤退したテナントは42店舗でありましたが、その後新規に入店した店舗もございまして、現時点での空きテナントは13店舗と伺っております。
 次に、まちなか再生プロジェクト適用物件については、これまでホテルやオフィスビルなど6件の建物が完成し、賃貸テナントの一部については現在も選定中であると伺っておりますが、大半は市民の皆様や観光客など多くの方々に利用され、にぎわいづくりに寄与していると考えております。
 最後に、建設費につきましては、検討過程において建設資材や労務単価の高騰などの状況を踏まえ、適切な時期に試算を行った上でお示しさせていただきたいと考えております。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  答弁にありましたように、桜町再開発では、開業時の149店舗のうち42店舗、約3分の1が撤退したと報告がありました。まちなか再生プロジェクト適用物件については答弁されませんでしたが、1階部分が全て空いているビルもあります。市は民間と一体でにぎわいを創出すると言いますが、できたばかりのビルのフロアが埋まらない状況で、官民一体の新たな開発を次々に進めてにぎわいにつながるのか、検証が必要です。
 市民や議会の理解、納得を抜きにサウンディング調査へと踏み出し、既成事実を積み上げて強行に建て替えを進める市民置き去りのやり方は、大いに問題であることを指摘しておきます。
 続きまして、市庁の建て替え表明後、初の庁舎問題説明の場となった7月の市長とドンドン語ろう!は、一般参加者が5か所で205名、時間の大半が説明、参加者発言には司会が1人1分でと注文し、市民の声はまともに聞かず、質問にもまともに答えず、参加者からは不満の声ばかりでした。
 そこで、市民への説明と合意形成で伺います。
 1、有識者会議答申でも、市民、議会をはじめ幅広い意見を聴取すべきと述べられています。過去には介護保険導入時、家庭ごみ有料化の提案時、校区または町内単位での説明会開催の実績があります。庁舎建て替えには住民投票をとの声があるくらい、重要な課題です。全市民を視野に入れた校区単位の、誰でも気軽に参加できる説明会を開き、市民の声を丁寧に聞くべきではないでしょうか。
 2、市長は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、議会へ庁舎問題の議論凍結を求めました。一方で、自身は有識者会議を設置し、建て替えの調査を進め、議会の審議再開も待たず、有識者会議の結論を理由に建て替える方針を決めました。
 地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、二元代表制の下、議会と首長は対等であり、議会は自治体運営の基本的な方針を議決し、執行機関を監視する役割を担っています。執行機関の長が議会審議をストップして、執行機関だけで物事を進め、しかも議会の合意すら得ないまま方針を決定して進むのは、二元代表制本来の在り方に反しませんか。市長にお尋ねします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  まず、市庁舎整備とその説明等につきましての御質問にお答えいたします。
 前回の議会でお示しいたしました本庁舎等の建て替えに関する方針については、7月に各区で開催いたしました市長とドンドン語ろう!の中で、私から直接市民の皆様へ現庁舎の状況や災害時のリスク、有識者会議の内容等について説明を行ったところでございます。
 加えて、当日配布した資料及びその模様を収めた動画を既にホームページで公開しておりますとともに、市民アンケート調査を行いまして、市民の皆様に広く周知を図り、今後御意見を伺うこととしております。
 議員御指摘の校区単位の説明会については、市民の皆様への周知を図る上で効果的であると考えられますが、現在はデジタル技術の進展によりまして、動画配信や各種SNSなどによる周知、意見聴取方法も普及しております。
 今後も様々な媒体を活用し、市民の皆様に対して適切な時期に適切な情報を発信し、丁寧な説明を行うとともに、広く御意見を伺いながら合意形成を図ってまいります。
 次に、議会での審議についてでございますが、令和2年5月、新型コロナウイルス感染症対策に行政資源を集中的に投入するため、庁舎整備に関する特別委員会における議論を中断させていただきました。しかしながら、議論中断の前にいただいておりました耐震性能調査についてさらなる検証を行うべきという議会からの御指摘を真摯に受け止め、議会のみならず市民の皆様への説明責任を果たすため、本庁舎等整備の在り方に関する有識者会議設置を議会にお諮りし、その審議状況について適宜御報告してきたところでございます。
 その上で、本年5月の有識者会議の答申を踏まえ、令和5年第2回定例会において、本庁舎等は建て替えの方針で進めることをお示しし、中断しておりました議論の再開をお願いしたところでございます。
 今後も、議会はもとより市民の皆様に対し丁寧な説明を行い、様々な御意見をいただきながら、本市にとってふさわしい本庁舎等の在り方について検討を深め、改めて必要な議案や予算をお諮りしてまいりたいと考えております。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  市長に1点伺います。
 校区単位の説明会は効果的であると答弁されました。それならば実施していただけるのでしょうか。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  まず、先ほど御説明申し上げましたとおり、様々な市民アンケート調査を今後行うこととしておりますので、そうしたことを踏まえながら、今後どういう意見の聴取、あるいは説明をさせていただくのか、この点について研究させていただきたいと考えております。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  効果的ならば実施すべきです。校区単位の説明会、お願いしておきます。
 建て替えの出発点は、耐震性能の不足です。一番肝腎な耐震性能分科会の議事は非公開にして建て替えに納得せよと言うのか、無理な話だと思います。2022年の庁舎整備に関する特別委員会で、耐震性能分科会の議事メモ、音声データが取ってあるとの答弁があります。あるものをいまだ非公開、これでは説明責任は果たされません。庁舎整備では、最も重要な耐震性能分科会の内容を隠し続けていることが一番の問題です。耐震性能分科会の情報を公開しない限り、市民も議会も絶対に納得できない、しかも議会を無視した進め方は、地方自治の本旨をゆがめるものであり、市長は襟を正すべきです。
 最後に、市長の姿勢に関して1点伺います。
 市長は、8月2日に開かれた中学生による子ども議会の全体会講評で、議会の印象がよくないと思う人は手を挙げてくださいと、ここで言われました。挙がった手が少なかったので、同じ質問を2回されました。この発言は何の先入観もない中学生に、あたかも議会がよくないかのような印象を押しつけるものです。
 憲法に規定された地方自治は民主主義の基盤であり、二元代表制はその大切な制度です。議場という民主主義を実行する場で、民主主義を学んでいる中学生に、二元代表制の一方である執行機関の長が議会をよくないと思わせるような発言をすることは、絶対に許されません。発言を撤回して、全ての参加者にその旨を伝えていただけませんか。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  議員お尋ねの子ども議会における私の発言でございますが、私が今回子供たちに質問した真意は、まず議会に対してどういう印象を持っているのか。いい印象を持っている人に手を挙げてもらう、そして悪い印象を持っている人に手を挙げてもらう、そういうことを通じて、一般的な議会の印象について問うたものであります。
 これは、何か議会をおとしめようというような意図を持って発言したものではございませんで、それまで中学生の子ども議会においては、様々な分科会に分かれていろいろな議論を積み重ね、そして本会議場で発表するというプロセスがなされました。こうしたプロセス、多様な意見をまとめて、意思決定していくということが、非常に大変で重要であるということを子供たちは学んだと思います。
 ところが、この議論の過程、プロセスというのは、なかなか一般報道でも、あるいはSNS等でも、今いろいろな議会や政治全般に対して、非常にネガティブな情報だけが切り取られて発出されているような部分があると思います。ところが実際には、ここで議員の皆さんがこうして約3か月に一度、重要な議案に対して、様々な教育や福祉、環境、今、上野議員も御質問されたような様々な議論を通して、この議会で熟議の中で、様々な重要な施策を決定している、その重みがあるということを表面的なことだけではなくて、そういうイメージで捉えるのではなくて、やはりそういったプロセスがしっかりあることが重要である。
 それから多様な、賛成、反対、いろいろな意見を子供たちは酌み取ってこれから判断してほしい、だからSNSやいろいろな情報を見ることは決して、それがすなわち悪いことではないと思いますけれども、その情報だけで何か切り取って判断するとか、考えを述べるということではなくて、しっかり皆さんにはこういう議会の場というものが機能しているんだということを理解してほしい、そういう一環で発言しております。
 そういう意味では、これは今回子ども議会において、私が講評を行った内容全てを、見て聞いていただければ、これは録音もどこかにあると思いますので、それを確認していただければ、上野議員にとっても私の意図、そして議会を重視しているということ、あるいはこういう議論の過程が非常に重要であるということを子供たちは理解したという、非常に有意義な機会になったと、私はそのように考えているわけでございます。
 私も県議会議員時代から長く議員を務め、この二元代表制の機能というのは極めて重要であるということを強く認識しておりますし、そういう態度でこれまでも臨んでまいりました。ですから、今、市長職にある現在においても、その重要性の認識はいささかも変わっておりません。適度な緊張と緊密を図りながら、この市議会、そして執行機関それぞれが互いにオープンな場で議論を交わし、そして市民の皆様のために、よりよい市政を実現していくことが二元代表制のあるべき姿、本髄であると考えております。
 ですので、こうしたお尋ねに対して、ぜひ全体を通してそういう意図がないと、議会を陥れるような発言という誤解は解いていただきたい、このように思います。
         〔47番 上野美恵子議員 登壇〕

◆上野美恵子 議員  そんな言い訳は成り立ちません。熊本市議会の本会議場での発言だということを理解されていません。
 私も議場内で市長の発言を聞きましたが、音声データを起こした発言メモも頂いておりますので、御紹介します。
 市長が「議会のイメージがあまりよくないと思う人、手を挙げてください」と言うと、僅かに中学生が手を挙げました。すると市長は、「さっきまでは議長さんとか何人か議員さんがいたけど、いなくなっちゃったんでもう一回聞きます」と、ここで海外旅行で問題になっていた女性国会議員のフランス旅行の研修のジェスチャーをされました。そして、畳みかけるように聞かれて、大多数の中学生が手を挙げました。その後の発言は、「よくないですよ、何でだと思う。みんなすごく準備して質問を考えて、ここで緊張しながら、みんなによく見られるように1人1時間やり取りして、よかれと思ってやっているんだけど、なかなか伝わらない。この中学生の議会に出てくる人ですら、あんまりいいイメージ持っていないね。何か居眠りしているんじゃないかとか、何か悪いことしているんじゃないかとか、何となくイメージが悪い。どんな活動しているとか、どんな意見を持っているかなど伝わってきませんよね」、こんな発言で議員の活動の苦労が伝わってくるでしょうか。
 発言にあったように、「みんなによく見られるように」「居眠りしているんじゃ」「何か悪いことしているんじゃ」、どれも議会をおとしめ、誤った理解を押しつけるものではないですか。
 そもそも熊本市議会の本会議場で、執行機関のトップが議会のことをとやかく言うこと自体が大問題です。それが地方自治の本旨、二元代表制を理解していないと指摘しているんです。
 発言は撤回していただきたいと思います。何と言われても、この本会議場で中学生に議会がよくないと思わせる発言をしたことは、絶対にあってはなりません。地方自治の本旨を理解しない前代未聞の発言であり、絶対に許されないと思います。これは市長の資格が問われる問題です。今一度、発言の撤回を求めたいと思います。
 そして同時に、執行機関と議会の在り方、地方自治の基本すら理解しない、だから重要課題の市庁舎整備も、市民や議会を無視して独断的に進めるんです。憲法や地方自治法に規定された地方自治の本旨、議会制民主主義を今一度学び直して、市民の声にしっかりと耳を傾けていただくように再度、再度お願いいたします。
 今日の質問は、これで終わりです。引き続き、私も皆さんの命や暮らし、子育て、教育が最優先の市政になるように頑張っていきます。その決意を申し述べて質問を終わります。
 お忙しい中、傍聴にいらした皆様、インターネット視聴の皆様に、長い時間の傍聴、ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午後2時に再開いたします。

                            午後 0時10分 休憩
                            ───────────
                            午後 1時59分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 菊地渚沙議員の発言を許します。菊地渚沙議員。

         〔5番 菊地渚沙議員 登壇 拍手〕

◆菊地渚沙 議員  皆様、こんにちは。参政党熊本市議団の菊地渚沙です。
 このたびは伝統あります熊本市議会で発言の機会をいただきましたことを、先輩議員、同僚議員の皆様に厚く御礼申し上げます。初めての質問ということで、大変緊張しておりますが、精いっぱい頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして、質問させていただきます。
 1、子供の教育について。現在、国民が負担する税金の割合は47%近くとなり、百姓一揆が起きた五公五民に迫る勢いです。年金は目減りし、物価は下がる気配を見せません。働き盛りの現役世代も給料は上がらずに、全世代で厳しい経済状況を強いられております。
 限られた資源をどう使うのか、これまでの常識にとらわれない未来へのかじ取りが行政と政治に求められています。社会環境の変化に伴いまして、個人主義が浸透する現在において、核家族化が進み、子育てはいつしか孤独の「孤」育てとなりました。
 本市では、地域主体のまちづくりを掲げており、今後さらに人と人とが協力し合ってつながりを深めること、子供を産み育てやすい環境を整えること、そして未来をたくましく生き抜く力を育む教育こそが、将来の社会を支える力となり、巡り巡って高齢者支援につながると信じてやみません。
 そうしたことから、本日は子供にまつわる問題に焦点を当て、質問を考えてまいりました。所管委員会に関するテーマが多くなりますが、今後の委員会内での議論につなげていきたい内容でもございますので、御容赦ください。
 (1)タブレット学習の弱点と対策。
 熊本市は、小中学校の生徒1人につき1台タブレット端末が貸し出され、ICT教育に力を入れております。1学期に娘の小学校の授業参観に行った際、ほぼ全クラスでタブレットを活用した授業が行われていました。タブレットを用いて研究発表するクラスは、生徒が生き生きとして活気がありましたが、一方でタブレットを使った漢字の書き順を教わる授業では、退屈そうな生徒や落ち着きのない生徒が目立ちました。
 タブレット学習の強みは、自宅でオンライン授業が受けられる、学習管理がしやすい、採点の手間が省ける、自分のペースで勉強できる、資料や教材が邪魔にならないなどが挙げられます。
 反対に、タブレット学習の弱点は、書いて覚えることが少ないので記憶が定着されにくい懸念があること、熟考しないので深い理解ができにくく、読解力や思考力が身につきにくい点が挙げられます。ほかにも、身体的な影響として視力の低下、睡眠への影響、姿勢の乱れ、デジタル認知症の可能性が懸念されます。
 以上のことを踏まえまして、教育長にお尋ねいたします。本市では、タブレット端末を活用したICT教育に力を注いでおりますが、タブレット学習の弱点と対策について、本市のお考えをお聞かせください。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  本市におけるタブレット端末の活用は、全国学力・学習状況調査の質問の集計結果から、全国的に見ても高い活用率となっております。
 議員御案内のとおり、タブレット端末を用いた学習は、個別最適な学びや協働的な学びなどを行うために活用することが期待されております。
 一方で、御指摘のとおり、タブレット端末で簡単に答えを検索してしまうことで、調べることや考える力が身につきにくいこと、身体的な影響、依存などのマイナスの影響の懸念があることも事実であります。
 授業においては、常にタブレット端末を使うのではなくて、使うことが効果的な場面で活用すべきであると考えております。また、思考力が身につきにくいという御指摘については、例えば単に答えを検索するのではなく、検索した結果からさらに考えるといった深い学びを行うことが大切であると考えております。
 教育委員会としても、引き続き学校への研修などを通して周知を図ってまいります。
 タブレット端末の長時間使用に関する問題は、先日、家庭で親子が対話し、使用時間を設定できるスクリーンタイム機能を使用できるようにしたところです。今後も学校や御家庭の声を聞きながら、全体としてよりよくタブレット端末を学びに活用していただくように取り組んでまいります。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  御答弁ありがとうございます。
 タブレット学習に合った効果的な学びがある一方で、マイナスの影響の懸念があるということですので、今後は効果的な場面と、そうでない場面の使用時間のバランスを取るといった対策の御検討をお願い申し上げます。
 熊本市の教育振興の基本理念には、豊かな人生とより良い社会を創造するために、自ら考え、主体的に行動できる人を育むとあります。テストの点数や偏差値では測れない能力を伸ばすことは、とても大切です。コロナ禍で失われた子供たちの貴重な3年間を取り戻すためにも、これまでに実施されていた様々な体験の機会をコロナ前と同水準まで戻していただきますよう、重ねてお願い申し上げます。
 続きまして、(2)フリースクールの公的支援。本件につきましては、おととい6日の吉村議員の質問と重複しますので、割愛させていただきます。
 なお、大西市長の御答弁では、今後、関係団体とニーズの把握に努めてまいるとのことですので、子供たちの大切な居場所の一つになっておりますフリースクールの公的支援について、執行部の皆様に早急に御対応いただきますよう、私からもお願い申し上げて、次の質問に移ります。
 (3)これからの時代を生き抜く力の育成。
 先日、教育市民委員会の視察で、大阪にある企業運営型フリースクールに行ってまいりました。このスクールは、もともと進学塾として運営されておりましたが、偏差値教育から新しい学びの追求へ、時代の変化とともに方向転換し、企業共同の人材育成にかじを切りました。これからの時代を生き抜く力を養う学習方法の一つとして、探求型学習があります。
 探求型学習とは、与えられた課題に対し情報を集め、整理、分析し、結論のまとめとプレゼンテーションを自ら主体的に行うことで、課題解決に必要な思考力、判断力、表現力などを養う学習方法のことです。実際に、大阪のフリースクールの探求型学習の授業を見学させていただきましたが、少子化の原因と対策をテーマに、子供たちの自由な発想と大人顔負けの議論、そして子どもたちの真剣な表情に、これこそ生きた学びと感動いたしました。
 現在、本市でも既に総合学習の時間を利用して探求型学習に取り組んでおります。私の地元であります西原中学校では、栄養教諭による地元の特産品である水前寺ノリを使った授業など、学校ごとに特色ある取組がなされているそうです。しかし、別の校区では、お母さんたちから話を伺うと、学校や先生によって探求型学習の内容にばらつきがあるように感じたとの声をいただいております。
 そこで教育長に質問です。
 今後、探求型学習をもっと浸透させていくために、どのような取組を考えていますでしょうか。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  小中学校では、各教科や総合的な学習の時間において探求型学習を行っております。自ら課題を見つけ、情報を収集し、整理、分析し、まとめたり発信したりする探求的な学習を通して、児童・生徒が学びを深めることを目指しております。
 総合的な学習の時間は、各学校、各学年で探求課題を設定して学習を進めております。そのため、学校や教師によって児童・生徒の学習の充実度に差が見られることがあり、本市の課題であると考えております。
 総合的な学習の時間における探求的な学習を浸透させるために、教育センターの研究モデル校の先進的な取組の発信のほか、初任校3年目研修や教育課程研究協議会で学ぶ機会を設けるなど、さらなる充実を図ってまいります。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  これからの時代を生き抜く力の育成方法の一つとして、探求型学習を取り上げさせていただきましたが、学校や先生によって、児童・生徒の学習の充実度に差が見られるという課題を認識されていることが分かりました。
 子供たちの興味関心を伸ばすためには、課題設定がポイントとなってくるとは思いますが、教師が設定するのではなく、子供たちに課題を自由に選んでもらうことや、先生方が日頃から興味や関心を持っている課題を取り上げることで、学習意欲が高まり、より探求型学習の充実度が高まるのではないでしょうか。
 そのためには、教える側の先生方にも興味や関心事に向き合うための余白の時間の確保が必要です。本市で既に取り組んでおられます教員の働き方改革の推進を、今後ともよろしくお願いいたします。
 続きまして、(4)全ての子供の居場所づくり。
 現在、共働き家庭が増えており、小学校入学とともに児童育成クラブを利用する家庭が増えております。利用児童の多くは低学年ですが、3、4年生になると育成クラブに通わずに、家で留守番させているという保護者の声をよく聞きます。
 民間の調査によりますと、小学生の留守番経験は約7割ほどになります。学校があるときは放課後の数時間程度ですが、夏休みになりますと半日から丸一日ほど、家で過ごす子供も少なくありません。本市では、放課後や休日に学校の校庭を開放して遊べるようにはなっておりますが、一昔前と違い学校のプール教室もなく、暑い夏は家の中で過ごす子供が多いようです。このように、夏休み中の子供の過ごし方は、子育て真っ最中の親には悩ましい問題です。
 本市では、スポーツ振興課主催のスポーツ教室や地域の方が開催している講座などがありますが、定員の問題や距離の問題、タイミングが合わないなど、なかなか参加できない者が多いというのが実情です。子供が遊べる室内施設といえば、児童館や公民館がありますが、近くにあるとは限りません。子供の足で行ける距離にあるのは、やはり学校です。
 学校の利活用の例として、私が以前住んでいた子育て支援に力を入れているまち、東京都江戸川区では、すくすくスクールという事業があります。放課後や学校が休みの日に、教室、校庭、体育館などの学校施設を活用し、地域の方の協力もあり、児童が伸び伸びと自由な活動ができる取組をしております。
 取組内容は様々で、スポーツ系では卓球、チアダンス、サッカー、剣道、空手、野球、一輪車、ドッジボール、バレーボール、バスケットボールなどがあります。文化系では、日本舞踊、和太鼓、三味線、英会話、書道、茶道、工作、手芸、囲碁、将棋、絵手紙、墨絵、短歌、映画鑑賞会、花の栽培、野菜づくり、田植え、防災訓練などがあります。児童育成クラブとは異なり、利用登録すれば保護者の就業の有無などにかかわらず、どんな子供でも利用できるのが特徴です。
 例えば、午前中はすくすくスクール、午後は家で過ごすなど、子供たちは日によって柔軟に予定を組むことができます。
 以上を踏まえて大西市長に質問いたします。
 心身の状態や親の就業の有無など、個別の事情にかかわらず、全ての子供が行きたいときに行けるような居場所づくりを保護者は求めています。そういった場所の必要性について、本市の見解をお聞かせください。
 また、実現につきまして、一度に365日網羅することが難しい場合は、例えば夏休みの期間だけでも、そういった場所をつくるといったことから始めるのはいかがでしょうか。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  全ての子供の居場所づくりについてのお尋ねにお答えいたします。
 核家族や共働きが一般的になり、学校の放課後や夏休みをはじめとする長期休業中など、子供が1人で過ごすことが多くなっております。先日開催いたしました市長とドンドン語ろう!においても、放課後等の居場所に関する多数の御意見をいただきました。子供が1人で過ごす状況に不安を覚える保護者が多くおられることは十分承知しておりまして、子供の居場所づくりは重要な課題と認識しております。
 現在、放課後や長期休業中は児童育成クラブが対応しておりますが、施設面に加え、活動内容など運用面においても様々な課題がございます。また、健全な遊び場の確保等を目的とした児童館についても、就学前の子供とその保護者の利用が多い状況です。
 このようなことから、まずは既存の施設等の利活用について、利用者をはじめ市民の皆様の御意見をいただきながら、ニーズに合った利用しやすい環境整備に努めていきたいと考えております。
 また、子供の居場所につきましては、場の確保とともに運営する人の確保が不可欠でありまして、全ての子供に居場所をつくるためには、地域や企業等との連携が必要であります。
 このため、例えば市民主体の活動として広まってきております子供食堂について、夏休み期間中の開催を増やしていただくなど、地域主体による子育て支援を展開する中で、子供の居場所の充実に努めてまいりたいと考えております。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  もともと子育ては、親族や地域社会の助け合いを中心に行われていましたが、外に出て働くお母さんが増えたことなどが理由で、専業主婦が当たり前だった頃と比べて、今は地域との関わりを持ちたくても、忙しくてなかなかできない家庭が増えているのではないでしょうか。
 異次元の少子化対策として、経済的支援や労働政策も大切ですが、それだけでは解決しない育児の不安や悩みは、お母さん一人では抱え切れません。お母さん一人に子育てを任せるのではなく、子供は宝といいますように、地域で一緒に育てていく意識で、今後も様々な施策に取り組んでいただくことを切に願います。
 そのためには、地域住民との対話を大切に、前例にとらわれない柔軟な発想が必要です。全ての子供の居場所づくりの事業につきましては、今年4月に新設しましたこども局の予算の中に既に入っておりますが、その中身は、福祉的役割のものが中心となっております。来年度は、今回質問で取り上げさせていただきましたように、心身の状態や親の就業の有無など、個別の事情にかかわらず、全ての子供が行きたいときに行けるような居場所づくりを進めていただきたいと思います。
 地域の方々や部署間での連携が必要となりますが、こども局が他局を引っ張っていただくことを期待いたします。
 続きまして、2、豊かな地下水と自然環境を守るくまもとグリーン農業について。(1)くまもとグリーン農業の課題。
 本市は約74万人の水道水を地下水で賄っている地下水都市です。全国でも珍しい地下水保全を目的とした堆肥センターを設置するなど、地下水を守るために日々注力しております。
 農業の分野におきましても、熊本の豊かな自然環境を次世代へつないでいくため、くまもとグリーン農業という環境に配慮した持続可能な農業に取り組まれております。くまもとグリーン農業は、化学肥料、化学合成農薬不使用に取り組んだ有作くん100といった独自の認定制度があります。今年はくまモンのロゴが一新され、ますますPRに力を入れておりますが、一般市民の認知度はまだまだ低く、スーパーでもあまり見かけません。給食の食材にもほとんど使われていないと、関係部署の方に聞きました。
 そこで農水局長に質問です。
 すばらしい取組にもかかわらず、くまもとグリーン農業が一般に普及していない理由をお聞かせください。
         〔大塚裕一農水局長 登壇〕

◎大塚裕一 農水局長  くまもとグリーン農業は、土づくりを基本に、化学肥料や化学合成農薬の使用量を一般の栽培より減らした環境に優しい農業のことであり、本市も県と協調して推進しております。
 現在、本市では販売農家の約3分の2がくまもとグリーン農業の生産宣言を行っており、制度全体としては一定の普及が見られています。
 一方で、有作くん100や有機農業などの化学肥料、化学合成農薬を使用しない高度な取組については、一般の栽培と比べ収穫量の減少や雑草・病害虫防除の負担の増加など、農業経営に係る一定のリスクを伴うことから、普及が進んでいないのが実情と考えています。
 本年6月に、くまもとグリーン農業マークが一新されたことを契機と捉え、今後も県や農業関係団体等と連携し、くまもとグリーン農業に対する農業者及び消費者双方の理解醸成に努めてまいります。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  制度全体としては一定の普及が見られるとのことですが、今後はもう一歩進んで、有作くん100にもチャレンジしていただきたいと思います。
 県内には、既に何十年も前から化学肥料、農薬に頼らない農業に取り組んでおられる農家さんもいますので、例えばマイスター制にして、技術支援の体制を構築してみてはいかがでしょうか。
 熊本県の食料自給率はカロリーベースで56%です。後継者不足、耕作放棄地の増加など、農業を取り巻く課題は山積みですが、資材を輸入依存している農業から脱却し、食料自給率100%を目標に、自立した食料システムの構築に行政主導で取り組むことが急務の課題ではないでしょうか。今後も県の農業を、人口の多い熊本市が支える仕組みづくりを期待いたします。
 (2)学校給食への有機米の導入とオーガニックビレッジ宣言。
 午前中の質問と重複にはなりますが、お母さんたちの間でも関心の高いテーマですので、質問させていただきます。
 昨年10月に、全国初のオーガニック給食フォーラムが東京で開催され、農業生産者、消費者の間でオーガニック給食が注目されています。
 オーガニック給食とは、化学肥料を使用しない農産物によって作られた給食のことで、全国オーガニック給食マップによりますと、実施している自治体は現在約60を超えており、最近では人口の多い関西や関東でも広がりを見せています。政令市では、名古屋市の小学校で、学校給食にオーガニックバナナを導入した実績があり、神奈川県相模原市は、今年6月に政令市で初めてオーガニックビレッジ宣言を出しました。
 有機農産物の給食への導入は、新規就農者の売り先の確保という利点もあります。国の調査によりますと、新規就農者のうち有機農業に取り組んでおられる農家は、全体の約二、三割ですが、販路が思うように開拓できず、離農される方が少なくありません。有機農産物の売り先として、学校給食という選択肢があることで経営が安定し、年々深刻化しております後継者不足と耕作放棄地の問題解消につながるのではないでしょうか。
 有機農業は、収量が減るのではという懸念を持たれる方もいらっしゃると思いますが、オーガニック給食の先進地であります千葉県いすみ市では有機米に取り組んでおり、初年度は雑草が生えて思うように収量が確保できなかったものの、農業指導を受けると、収量が確保できるようになったそうです。
 現在、熊本市の学校給食の提供数は、教職員も合わせ1日約6万5,000食を提供しております。仮に市内で生産される有機米を全て買い取ったとしますと、約21回分実現できる計算となります。
 熊本県全体では、グリーン農業を宣言している農家が2万軒を超えておりますので、大西市長と蒲島知事の連携により、茶わん1杯すぐに、市内の小中学校の給食に有機米を提供できるのではないでしょうか。
 予算につきましては、愛知県東郷町では、有機米を取り入れるために1食当たり通常より70円多くかかったので、これを熊本市に当てはめますと、単純計算で1回当たりの差額補填は455万円になります。
 また、TSMCなど水を多く使う企業の進出に伴いまして、今後、地下水涵養地の増加が見込まれる中、白川中流域で有機米を増産し、市内の給食で提供するのはいかがでしょうか。都市部では田んぼに入ったことのない子供もいますので、環境教育、食農教育として田植え体験もいいかもしれません。
 流通につきましては、本市では公益財団法人熊本県学校給食会を通して食材調達しておりますが、同じ財団式を導入している東京都武蔵野市では、カレーはルーから手作りするほど、子供たちが口にする食べ物にこだわりを持って給食を提供しております。
 財団式の特徴は、市からの受託料で賄う適正なコスト運用が求められる一方で、民間企業とは異なり、利益を生むことは求められません。武蔵野市では、献立作成をする栄養士と調理部門を両方手がけることができ、経費の全額を食の質の維持向上に向けることが実現できています。熊本市も今後研究していただきたいと思います。
 以上のことを踏まえ、大西市長にお尋ねいたします。
 1点目、学校給食への有機米の導入について、市の見解をお聞かせください。2点目、今後熊本市は、オーガニックビレッジ宣言を行う予定はあるか教えてください。
 なお、本日はオーガニック給食に興味関心のある方が傍聴にいらっしゃっています。ぜひ前向きな御答弁、お願い申し上げます。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  学校給食における有機米の導入につきましては、環境負荷の低減や農家の支援に加えまして、有機農業に対する理解の促進など、食育の観点から有効な取組と考えております。しかしながら、本市の学校給食において、基本物資を取り扱います公益財団法人熊本県学校給食会に確認いたしましたところ、現在、有機米の取扱量は少なく、価格についても高額になるとのことでした。
 現時点において課題はありますものの、持続可能な農業に対する理解の醸成のため、既に有機米の導入に取り組んでいる自治体を参考にしながら、効果的な導入方法について研究してまいります。
 また、議員御指摘のとおり、農業者とともに事業者や消費者が参画するオーガニックビレッジ宣言は、さきに農水局長が答弁いたしました経営リスクなど、有機農業の特性に対する市民の皆様の理解醸成や、適正価格による販路確保に有効な方法の一つであると考えます。
 有機農産物をはじめ、環境に優しい栽培方法で生産された農産物に対しては、消費者から一定のニーズがあると認識しております。引き続き、くまもとグリーン農業の推進に当たって、オーガニックビレッジ宣言という手法を選択するかどうかについては、他自治体の取組や農業者の御意見など、様々な観点から研究してまいりたいと考えております。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  大西市長、ありがとうございます。
 市内農業者の意向を確認しながら研究していただけるとのことですので、まずは年に1回からでも実現できるように、今後の取組に期待いたします。
 熊本のすばらしい自然と地下水を守るため、持続可能な農業生産のため、子供たちに安心安全なものを食べさせてあげたいという政策の目的が、関係者の方々に伝わることを切に願います。
 予算につきましては、他都市では差額の補填は国の補助金を活用している自治体もございますので、ぜひ続けられる仕組みの構築の研究をお願いいたします。
 共働きの家庭が増え、仕事や家事、育児に追われ、日々の生活をこなすのに精いっぱいで、食事の支度に手間暇かけたくても、なかなかできないジレンマを抱えているお母さんたちも少なくありません。日本の国家予算に占める医療費などの社会保障費は年々上がっており、青天井の状態です。子供たちへの質の高い食事を提供することが丈夫な体をつくり、将来の医療費の抑制にもつながることが期待されます。私たちの体は、食べたもの、飲んだ水からつくられます。今後も給食をはじめとした食の課題について、継続して取り組んでまいります。
 3、新型コロナワクチン接種について。
 熊本市は、明日9月8日から、新型コロナウイルスオミクロン株の亜種であるXBB.1.5系統に対応する新しいワクチン、mRNAワクチンの接種券が対象者に発送され、9月20日から接種が始まります。
 この新型コロナウイルスオミクロン株のXBB.1.5系統に対応するmRNAワクチン、通称XBB対応mRNAワクチンの特徴について、全国有志医師の会がその中身について情報公開しました。
 全国有志医師の会とは、医師、歯科医、獣医、医療従事者約1,500名から成る団体で、新型コロナウイルス感染症に対する対策の見直しと国民の安全と健康を守るため、治験段階のワクチン接種事業の中止を求めて2022年2月に立ち上がった団体です。
 この団体が提示した内容は、次のとおりです。
 1、XBB対応mRNAワクチンは、XBB抗体がほとんどつくられず、有害なスパイクタンパクが中和されずに免疫抑制、重い副作用を起こす危険性がある。
 2、コロナウイルスは変異が早く、現在の感染の主流はXBB株から変異株EG.5系統に既に移行していて効果がない。
 3、XBB対応mRNAワクチンは、マウスでの臨床実験のみで、人への集団投与は日本が初めての薬剤である。
 4、XBB対応mRNAワクチンを接種してもXBB株の抗体はほとんど上昇せず、3年前の武漢株の抗体ばかりが上昇する。
 5、元データでは一見、接種により抗体が上がり効果があるように見えるが、抗体はほぼ上がらず、XBB株にさえ効果が見込めない。このことは、中和抗体価の縦軸の目盛りが常数ではなく対数で表記することで、抗体が一見上がっているように見せる印象操作がされていると、この団体が伝えております。
 現在、本市では、生後6か月から4歳児までの乳幼児を対象とした新型コロナウイルスワクチンの初回接種券を一斉送付しております。しかし、現在、乳幼児対象の接種券を一斉送付から申込制に切り替える自治体が増えており、熊本市周辺では、益城町、菊陽町をはじめ県内10以上の自治体が申込制に変わっております。
 私は、予防接種救済制度の認定数が過去最高のペースで増えていることからも、コロナワクチン接種の一旦中止を求めますが、まずは接種券の一斉送付により、保護者が積極的に接種を希望しないにもかかわらず、心理的な圧迫や同調圧力から接種をさせてしまいかねない状況を変えたいと思っております。
 そこで、健康福祉局長にお尋ねいたします。
 現在、本市では、生後6か月から4歳児までの乳幼児を対象にした新型コロナワクチンの初回接種券を一斉送付しておりますが、これを一斉送付ではなく、申込制に変えていただけないでしょうか。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  乳幼児を対象といたしました新型コロナワクチン接種券の送付方法について、お答えいたします。
 生後6か月から4歳までの乳幼児を対象とした新型コロナワクチン接種は、乳幼児専用のワクチンを用い、既定の間隔で3回接種を受けることで初回接種が完了いたします。乳幼児の接種券は、対象となる生後6か月に達した時点で発送しているところでございますが、今年度の出生児が接種可能となる10月からは、接種を希望する保護者等からの申請に基づき、接種券を発行する方法に変更することとしております。
 なお、その周知につきましては、現在、乳幼児期に接種が必要な定期予防接種を案内する際に、新型コロナワクチン接種の説明チラシを同封し、対応しているところでございます。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  ありがとうございます。
 本件につきましては、以前からコロナワクチンに関して問題提起されておりました先輩議員の皆様の努力の積み重ねにより実現したものと認識しております。先輩議員の皆様、厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。また、健康福祉局の皆様におきましても、冷静かつ迅速な御対応を心から感謝申し上げます。
 未知のウイルスと言われ、世界に瞬く間に広がったパンデミックですが、この社会的混乱から得られた教訓を生かし、今後新たな問題に直面した場合も、公正公平な情報開示と冷静な御判断をお願い申し上げます。
 それでは、最後の質問です。
 4、LGBT理解増進法施行に伴う懸念について。
 今年5月12日、エマニュエル駐日米大使が動画をSNS上に投稿したことなどがきっかけとなり、同月19日開催のG7広島サミットへ向けて急進的に提出され、国会で成立しましたいわゆるLGBT理解増進法ですが、一般市民の感覚では、しっかりとした討議もされないまま成立した感が拭えません。
 差別は決して許されないことですし、LGBTにかかわらず、相手の気持ちや考えを尊重すること、相手を理解することは、人権を尊重する上で絶対に守るべき大切なことです。しかし今、LGBTに先進的に取り組んでいる国で混乱が生じていることは御存じでしょうか。
 LGBT先進国でありますアメリカのカリフォルニア州では、子供が性転換手術を望んだ場合、それを拒否した親は虐待したことになるという法整備により、親子が引き裂かれ社会問題になっております。そのため、アメリカは今では、性的マイノリティーの権利を制限する反LGBTQ法、例えばLGBTQの教育の禁止、未成年へのホルモン治療禁止など、50州のうち49州が法案を通しています。
 一方で、LGBT当事者の方の中には、保護者との関係で困難を経験したり、生きづらさを抱え、自殺未遂を起こすほど思い悩んでいる方もいるということは、紛れもない事実です。こうした現状を踏まえ、日本でもLGBT理解増進法に沿った施策について、慎重に慎重を重ねるべきであると考えます。
 一親として不安に思うのが、小学生の子供がいますので、性に関し全く予備知識がない小さな子供たちがLGBTの教育を受けることで、今まで何の意識もなく遊んできた友人を意識するきっかけとなり、逆に不安を助長させることになってしまったり、また、自分自身の性的アイデンティティーを勘違いしたことを後から気がついて、手術やホルモン剤治療により体に大きな負担がかかり、取り返しがつかないことになったりするのではないかとの懸念が拭えません。この事例も実際にアメリカで起こっており、既に社会問題となっております。
 そこで、教育長に2点お尋ねです。
 1点目、本市におけるLGBTの教育は何歳児から行うのか、既に決定されているのでしょうか。2点目、LGBTの教育の具体的な方針が決定していましたら、その方針をお聞かせください。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  LGBTに関する教育についてお答えいたします。
 学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づき、発達段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮するとともに、集団で指導する内容と個々の児童・生徒の状況に応じ、個別に指導する内容を区別しておくなど、計画性を持って実施しております。
 LGBTに関する内容は、中学1年生の保健体育の教科書の発展的内容の部分に性の多様性として扱われており、来年度から使用する小学3、4年生の保健の教科書でも、発展的内容の部分に性についての心の多様性として扱われておりますが、義務教育期間における児童・生徒の発達段階を考慮し、基本的には個別指導で対応することとしております。
 LGBTに係る不安や悩みを抱える児童・生徒への個別指導を行うに当たっては、LGBTに関する教職員の理解を深めるとともに、相談体制の充実や児童・生徒の心情に寄り添った支援を行っていく必要があると考えております。
 また、日常の教育活動を通じた人権教育により、児童・生徒の発達段階に応じて、様々な多様性に関する理解や自他の人権の尊重等の態度を育む取組を進めることが重要であると考えております。
         〔5番 菊地渚沙議員 登壇〕

◆菊地渚沙 議員  性の多様性を教育している国の中には、学校と保護者との間で摩擦が起きる事例があり、タイミングや内容について、保護者の理解を得ながら丁寧に進めていくことが重要です。
 現在、国会内でも、判断力が未発達な子供に対し、性転換のためのホルモン治療や外科手術を受けさせて、トラブルにつながる問題が海外で起きていることを踏まえ、日本でも同様の事態を防ぐ働きかけが必要だという声が上がっております。女性の安心安全の権利保持と併せて、今後、社会混乱を招きかねないための法整備を含めた検討も、早急に進みつつあると伺っています。
 熊本市議会におきましても、議員の皆様には今後ともこの件につきまして、慎重な議論をお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。
 市長並びに関係局長の皆様、真摯な御答弁誠にありがとうございました。初めての一般質問ということで、献身的に支えてくださいました議会局の皆様に重ねて御礼申し上げます。また、議場にお越しの皆様、お忙しい中、足をお運びいただきまして、ありがとうございます。インターネット視聴してくださった皆様にも、重ねて御礼申し上げます。
 引き続き、市民の皆様の声を代弁し、熊本市議会議員としての責務を果たしてまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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田中敦朗 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。
 次会は、明8日(金曜日)定刻に開きます。

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田中敦朗 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。
                            午後 2時45分 散会


〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり





令和5年9月7日
出席議員 47名
      1番   田 中 敦 朗        2番   大 嶌 澄 雄
      3番   村 上   麿        4番   瀬 尾 誠 一
      5番   菊 地 渚 沙        6番   山 中 惣一郎
      7番   井 坂 隆 寛        8番   木 庭 功 二
      9番   村 上 誠 也       10番   古 川 智 子
     11番   荒 川 慎太郎       12番   松 本 幸 隆
     13番   中 川 栄一郎       14番   松 川 善 範
     15番   筑 紫 るみ子       16番   井 芹 栄 次
     17番   島 津 哲 也       18番   吉 田 健 一
     19番   齊 藤   博       20番   田 島 幸 治
     21番   日 隈   忍       22番   山 本 浩 之
     23番   北 川   哉       24番   平 江   透
     25番   吉 村 健 治       26番   山 内 勝 志
     27番   伊 藤 和 仁       28番   高 瀬 千鶴子
     29番   小佐井 賀瑞宜       30番   寺 本 義 勝
     31番   高 本 一 臣       32番   西 岡 誠 也
     33番   田 上 辰 也       34番   三 森 至 加
     35番   浜 田 大 介       36番   井 本 正 広
     37番   大 石 浩 文       38番   田 中 誠 一
     39番   坂 田 誠 二       40番   落 水 清 弘
     41番   紫 垣 正 仁       43番   澤 田 昌 作
     44番   田 尻 善 裕       45番   満 永 寿 博
     46番   藤 山 英 美       47番   上 野 美恵子
     49番   村 上   博

欠席議員  1名
     48番   上 田 芳 裕


説明のため出席した者
  市長       大 西 一 史    副市長      深 水 政 彦
  副市長      中垣内 隆 久    政策局長     田 中 俊 実
  総務局長     宮 崎 裕 章    財政局長     三 島 健 一
  文化市民局長   金 山 武 史    健康福祉局長   津 田 善 幸
  こども局長    木 櫛 謙 治    環境局長     早 野 貴 志
  経済観光局長   村 上 和 美    農水局長     大 塚 裕 一
  都市建設局長   井 芹 和 哉    消防局長     福 田 和 幸
  交通事業管理者  古 庄 修 治    上下水道事業管理者田 中 陽 礼
  教育長      遠 藤 洋 路    中央区長     岡 村 公 輝
  東区長      本 田 昌 浩    西区長      河 本 英 典
  南区長      本 田 正 文    北区長      中 川 和 徳

職務のため出席した議会局職員
  局長       江   幸 博    次長       中 村 清 香
  議事課長     池 福 史 弘    政策調査課長   上 野 公 一
 
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