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熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2021年09月13日 予算決算委員会

令和3年第3回予算決算委員会

               予算決算委員会会議録

開催年月日   令和3年9月13日(月)
開催場所    予算決算委員会室
出席委員    48名
        倉 重   徹 委員長    上 田 芳 裕 副委員長
        原 口 亮 志 委員     園 川 良 二 委員
        山 本 浩 之 委員     北 川   哉 委員
        古 川 智 子 委員     島 津 哲 也 委員
        吉 田 健 一 委員     伊 藤 和 仁 委員
        平 江   透 委員     荒 川 慎太郎 委員
        齊 藤   博 委員     田 島 幸 治 委員
        日 隈   忍 委員     吉 村 健 治 委員
        山 内 勝 志 委員     緒 方 夕 佳 委員
        高 瀬 千鶴子 委員     三 森 至 加 委員
        大 嶌 澄 雄 委員     光 永 邦 保 委員
        高 本 一 臣 委員     福 永 洋 一 委員
        西 岡 誠 也 委員     田 上 辰 也 委員
        浜 田 大 介 委員     井 本 正 広 委員
        藤 永   弘 委員     田 中 敦 朗 委員
        紫 垣 正 仁 委員     小佐井 賀瑞宜 委員
        寺 本 義 勝 委員     原     亨 委員
        大 石 浩 文 委員     村 上   博 委員
        那 須   円 委員     澤 田 昌 作 委員
        田 尻 善 裕 委員     満 永 寿 博 委員
        田 中 誠 一 委員     津 田 征士郎 委員
        藤 山 英 美 委員     落 水 清 弘 委員
        三 島 良 之 委員     坂 田 誠 二 委員
        白河部 貞 志 委員     上 野 美恵子 委員

議題・協議事項
  (1)議案の審査(15件)
     議第 220号「専決処分の報告について」
     議第 221号「専決処分の報告について」
     議第 222号「令和3年度熊本市一般会計補正予算」
     議第 223号「令和3年度熊本市公債管理会計補正予算」
     議第 225号「熊本市附属機関設置条例の一部改正について」
     議第 226号「熊本市現代美術館条例の一部改正について」
     議第 268号「和解の成立について」
     議第 269号「和解の成立について」
     議第 282号「令和2年度熊本市各会計(公営企業会計を除く。)決算について」
     議第 283号「令和2年度熊本市病院事業会計決算の認定について」
     議第 284号「令和2年度熊本市水道事業会計利益の処分及び決算の認定について」
     議第 285号「令和2年度熊本市下水道事業会計利益の処分及び決算の認定について」
     議第 286号「令和2年度熊本市工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について」
     議第 287号「令和2年度熊本市交通事業会計決算の認定について」
     議第 288号「専決処分の報告について」

                            午前10時00分 開会
○倉重徹 委員長  おはようございます。
 ただいまから予算決算委員会を開会いたします。
 今回、当委員会に付託を受け審査いたします議案は、補正予算2件、決算6件、条例2件、専決処分の報告3件、その他2件の計15件であります。
 まず、審査日程についてお諮りいたします。
 審査日程につきましては、日程表(案)のとおりとすることで御異議ありませんか。
        (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○倉重徹 委員長  御異議なしと認め、そのように決定いたします。
 これより総括質疑を行います。
 通告状況につきましては、一覧表のとおりとなっております。
 また、委員より申出のありました資料につきましては、お手元に配付いたしておきました。
 なお、質疑に当たっては、項目ごとに答弁者を指名いただきますようお願い申し上げます。
 それでは、予算決算委員会運営細目の発言順に従い、順次質疑を行います。
 これより、熊本自由民主党市議団の質疑を行います。持ち時間は75分となっております。
 まず、田中敦朗委員の質疑を行います。
        〔田中敦朗委員 登壇 拍手〕

田中敦朗 委員  熊本自由民主党市議団、田中敦朗でございます。
 予算決算委員会の総括質疑、人生で初めてのトップバッターということで、大変緊張しておりますが、順次会派を代表して質疑を行っていきたいと考えております。
 早速ですが、まず、新型コロナウイルス感染症による歳入歳出への影響についてお伺いいたします。
 令和元年度より、本市を翻弄し市民生活に多大な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症、現在第5波の真っただ中であります。ワクチン接種の効果が出ており、9月6日時点で入院されている酸素管理が必要になってくる中等症以上の方々の入院しておられる方109名の中で、60代以上の方が占める割合が約22%と少なくなっています。ワクチン接種に尽力されている医療関係者の方々、体制構築に尽力された市長以下市役所の皆様に、議員の一人として感謝申し上げます。
 ただ、反面50代以下が78%を占めるということであり、40代、50代の患者数が59人と約54%を占めている状況です。第5波の後は年末にも第6波が予想されます。冒頭ではありますが、これまでの経験を生かした効果的な対応をお願いする次第であります。
 さて、早速質疑に入ります。
 感染症への対応として、市民の生命、財産を守るため、年度内に第4弾から第12弾までの9度にわたる緊急対策や予定していた事業の見直しが行われました。また、感染症拡大による県独自の緊急事態宣言、本市独自の医療非常事態宣言など、人流の抑制や自粛の要請により、各分野に多大な影響が出たことによる税収減や、施設使用を休止したことによる収入減などが生じています。自治体にとって非常に重要な歳入と歳出に、令和2年度は激変が起こっていることが容易に想像できる状況です。
 そこでお伺いします。当初予定していた歳入歳出に対して、今決算、新型コロナウイルス感染症によってどのような影響があったか、財政局長に答弁を求めます。

        〔田中陽礼財政局長 登壇〕

◎田中陽礼 財政局長  新型コロナウイルス感染症による影響についてお答え申し上げます。
 歳入につきまして、感染症対策等の財源といたしまして、国・県支出金等が増額となる一方で、市税等が減額となりました結果、影響額は約845億円となりました。また、歳出につきましては、議員御案内のとおり総額約894億円の関連対策を実施しており、歳入影響額を約50億円上回る試算結果となりました。
 歳入のうち、減収となりました主なものといたしましては、市税では法人市民税やたばこ税の減収分のうち、後年度地方交付税により措置されない約3億円が実質的な減収額となっております。また、徴収猶予となりました固定資産税等約8億4,000万円がありますが、こちらは今後の徴収を想定しておりますことから、現時点では減収影響額には含めておりません。
 このほかに熊本城や動植物園等の閉園、市有施設の閉館等に伴います使用料等の減が約15億3,000万円、登園自粛等によります保育料の減免などの負担金等の減額が約5,000万円となっております。
 このように令和2年度は厳しい財政運営となりましたが、今年度も引き続き感染防止対策に加え、市民生活や地域経済を支えるため、取組を実施いたしますとともに、そのために必要な財政支援等を国や県に要望してまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  歳出については、歳入影響額を約50億円上回るという結果に、コロナ禍の影響の大きさを感じる次第です。後年度地方交付税措置により実質減少額が3億円にとどまっているということについては、やはり国の力の大きさを実感するところです。思いのほか大きい約15億円の市有施設の使用料減など、新型コロナウイルス感染症の影響が大きい中でも、年度内で調整を行われ、決算において50億7,716万円の黒字に収められましたこと、市長をはじめとする市役所の皆様の御苦労に敬意を表する次第です。
 今後も厳しい財政状況が続くと見込まれますので、堅実な財政運営を続けていただきますことをお願いいたしまして、次の質疑に移ります。
 新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策について、まず、第4弾専決処分、休業要請に伴う事業継続に向けた店舗への家賃支援についてお伺いいたします。
 この支援についてはスピード重視のため、第4弾においては地代の賃借料に対しては対象外で行わず、第10弾以降は飲食店を対象とし、地代についても支援を行うようになりました。対応を変更したことについては大いに評価いたしますが、年度内の支援に家賃と地代で格差が生じたこととなりました。
 公平公正を期するのであれば、第10弾の際に第4弾で行えなかった分の地代についての支援を行うべきではなかったでしょうか。なぜ行わなかったのか、行えなかった理由も併せて御答弁ください。
 経済観光局長の答弁を求めます。

        〔田上聖子経済観光局長 登壇〕

◎田上聖子 経済観光局長  緊急家賃支援金につきましては、経済団体等からの要望を受け、他都市に先駆け令和2年5月から支援を開始したもので、休業や営業時間短縮要請に合わせてこれまで3回実施し、現在4回目に取り組んでいる状況でございます。
 1回目の家賃支援金につきましては、国の休業要請や県の営業時間短縮の要請に1日でも協力いただいた全業種を対象に、家賃の8割の支援を実施いたしました。一方で、2回目以降は県の営業時間短縮要請に全面的に御協力いただいた飲食店を対象といたしまして、借地料を含め家賃の5割の支援を実施するなど、制度の見直しを行いました。
 このように1回目と2回目以降では補助率や対象事業者など、制度の仕組みが異なりますことから、借地料の支援につきまして、1回目の対象事業者への遡及は行わなかったものでございます。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  決算の質疑というものは、市役所が行った事業に対して指摘を行いますので、後出しじゃんけんのようなものなので、突っ込みようは幾らでもあるのは議員の皆さんも御承知のとおりとは思います。今回あえて第10弾のときにはしなかったのはなぜかというような理由を聞きました結果、借地料の支援については、昨年6月にも、9月にも議会がありましたので、第10弾を待たずとも、やろうと思えばできたはずです。しかし、それを行わなかった。新型コロナウイルス感染症の対策会議で、私も、また公明党の議員さんからも指摘をして、各事業者からも要望があったにもかかわらず、市役所なりの考えがあったにせよ、やろうと思えばできた格差の是正を行わなかったのは大変残念ですし、受けられなかった事業者の方の心には不満としこりが残ったということだけはお伝えをいたしまして、次に移ります。
 第7弾専決処分、感染防止実践店の市による広報及びステッカー等の配布についてお伺いいたします。
 令和3年6月から、熊本県感染防止対策認証店制度導入が始まり、また書類を出さなければならない、県と市が最初から連携してくれれば手間が減ったのにというような経営者の声が多数ありました。
 県と協議を重ね、連携をして制度の導入を図れば、この事業については段階的に制度の拡充が図られるような事態を防ぐことができたのではないか、事業者の手間を増やすことをなくすことができたのではないかと疑問に感じますが、このような形となった理由を、市長、お聞かせください。

        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本市が昨年8月に開始いたしました感染拡大防止実践店制度は、飲食店を起因とする感染状況等を踏まえ、一刻も早く感染拡大を防止し、経済活動との両立を図るため、全国に先駆けて独自の第三者認証制度を導入したものでございまして、市内約2,500件の飲食店が認証を取得され、感染防止対策に取り組んでいただいたところでございます。
 その後、飲食店における感染防止対策のさらなる徹底強化を図るため、本年4月、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針が改定され、国が全国の都道府県に対し、より厳格な基準に基づく第三者認証制度の導入等を行うよう示したことから、6月に熊本県において、国の基準による新たな認証制度を開始されたものでございます。
 新制度の創設に当たりましては、本市と県で協議を重ねまして、二重の認証制度により市民や事業者の混乱を避けるためにも、運用を一本化すべきと判断いたしまして、本市の認証制度は終了することとしたところでございます。
 今後とも県と連携をいたしまして、飲食店に対し丁寧なフォローアップ等を行いながら、感染防止対策の徹底強化に取り組んでまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  御答弁ありがとうございました。
 答弁を聞けば、なぜ二段階だったのかは理解できました。二度目に国より都道府県に指示をし、都道府県が事業主体となったため、市長の答弁のとおり、一本化を図り、申請先が変わって二度手間になっています。基準を厳格にするにしても、政令指定都市に任せておいていただければ、県の負担も減ったのではないかというようなことも考えられます。
 皆さんお聞きのとおり、この事業については、県市の連携という問題では事実上ありませんが、今回の感染症対策全般を見てみると、県と市の連携が円滑であり、良好であるとは断言できない点が見られ、大変残念に思った次第です。今後は県民、市民にとって何が最適かを優先に、押しつけ合ったり独断専行と言われないように、役割分担等、報連相していただきますようお願いいたしまして、次の質疑に移ります。
 第7弾専決処分、接待を伴う飲食店の従業員等に対するPCR検査の実施についてお伺いいたします。
 PCR検査が行われ、その結果、その方が陰性となり、安全が証明されたとしても、その飲食店に次の日に感染者が訪れ、従業員の方が感染すれば、そこで容易にクラスターが生じてしまいます。感染拡大防止に一定の効果は認められるものの、中心市街地においても一部の市民や店舗しかカバーできないこの事業は、選択と集中という考え方からも、費用対効果という観点からも一体どれだけの成果を出したのか疑問に思います。
 熊本市が考える本事業が目指す目的は達成できたのか、費用対効果が高かったと考えるか、この予算はどこから出たのか、健康福祉局長、お答えください。

        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  政府の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針では、歓楽街でのクラスター対策として、通常時からの相談、検査体制構築や感染拡大時の重点的な検査の実施が求められているところでございます。このようなことから、本市では、昨年9月よりクラスターの発生や店舗での飲食に伴う感染の拡大を防止し、利用者の皆様にも安心・安全な飲食を楽しんでいただくために、中心市街地の飲食店従業員を対象としたPCR検査を行政検査として実施しているところであり、財源は全て国費となっております。
 9月7日時点で延べ2,029店舗、4,863人が受検し、35人の陽性が確認されており、無症状の感染者を早期に発見できたことにより、その後の感染拡大防止につながっていると思われます。また、中心市街地の飲食店でのクラスターの発生状況を見てみますと、第3波となる11月~1月で9件、第4波の4月~6月で6件、第5波の7月~9月8日時点で1件と、減少傾向となっております。これは第4波以降、飲食店に対して早い段階から営業時間の時短要請を行ってきた効果に加え、検査により感染拡大時期に無症状の陽性者を発見できたこともクラスターの減少に寄与しているものと考えております。
 なお、検査時には定期的な受検を御案内するとともに、受検した目印となるステッカーの配布や掲載を了承された店舗につきましては、市ホームページにおいて、店舗名に加え、検査結果の判明日等を御紹介しているところでございます。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  御答弁によって、国費によって賄えているということ、本市財政には負担が生じていないということ、35人の陽性者を把握できたということは、安心するとともに一定の評価はできると思います。ただ、質疑で申し上げたとおり、一定の効果は認められますが、ただ漫然とすればよいというものではないと思います。
 拡大兆候期から減少期までは実施することに大きな意義はあると思いますが、これまでの検査の結果を見てみると、いわゆる波の間のなぎの際には今後は行わなくてもよいように思われます。1回の検査に約1万円かかるわけですから、国費でも税金は税金ですので、有効活用をお願いしたいと思います。
 今回緊急対策について3点質疑を行いましたが、最後に、専決処分についてお願いしておきます。
 時短の協力金の自治体負担分、ワクチン接種体制構築などの安心して通せるもの以外の事業を行う場合は、詳細な説明と我々議員から見て突っ込みどころがないものに仕上げてから実施をしていただきたい。緊急を要するため、熟度が低くなることは理解しますが、疑問を抱いたり、後で指摘することが多くなると、市役所執行部が過度の負担で機能していないのではないか、思いつきが事業になっているのではないかと心配になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、企業及び市役所のテレワークについてお伺いいたします。
 企業へのテレワークの依頼を発信されましたが、ホテルを活用したテレワーク支援以外に、手法などのアドバイスや補助金創設や国や県の事業紹介など、具体的な支援を市役所として積極的に行ったのか。また、市役所としてテレワークを実施されましたが、職員がテレワークを行うことによって、日常業務に支障が出なかったのか。
 企業のテレワークについては経済観光局長、市役所のテレワークについては総務局長に答弁を求めます。

        〔田上聖子経済観光局長 登壇〕

◎田上聖子 経済観光局長  私からは、企業へのテレワーク支援につきましてお答えいたします。
 総務省が実施されました令和2年通信利用動向調査によりますと、企業がテレワークを導入しない主な理由といたしまして、業務の進行管理が難しい、情報漏えいが心配、文書の電子化が進まないなどが挙げられており、様々な面で支援が必要と考えております。
 そこで、本市では市内の宿泊施設が販売するテレワークプランの利用料金の一部を負担いたしますとともに、事業者向けセミナーや個別相談会の開催、ホームページや中小企業向けガイドブックによる国の助成制度や県の総合窓口等の周知に努めているところでございます。
 今後とも企業のテレワークのさらなる推進に向けまして、事業者の皆様の声をお伺いしながら、必要な対策を講じてまいります。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  私からは、職員のテレワークに関してお答えいたします。
 令和2年度に、庁外からも庁内情報システムにアクセスできる業務用端末を約3,000台導入したことによりまして、テレワーク時においても決裁や財務処理のほか、ウェブ会議等を行うことが可能となったところであります。日常業務に大きな支障はありませんでしたが、早急にテレワーク環境を整備したことから、端末操作やウェブ会議の実施のほか、連絡手法や体制の確保などにおいて一部課題があったと考えております。
 今後は、研修等による職員のスキルアップはもとより、テレワーク時における課題について速やかに対応してまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  大変シンプルな質疑でありましたけれども、この質疑で言いたかったことは2つありまして、まず、昨年市役所に連絡した際、課長、担当者はテレワーク中ですということで、連絡がつかなかったことが複数回ありました。急ぎではなかったからよいのですが、もし急ぎの連絡をするのであれば、携帯か自宅の電話にすることになり、そこから課長が連絡をするのであれば、それも個人の携帯か自宅の電話からすることになります。組織として行うのに個人に負担させるのは間違っておりますので、組織として改善を行っていただきますようお願いしておきます。
 一部課題もあったということですので、そちらの対応も重ねてお願いしておきます。
 もう一つ、企業へのテレワークのお願いでありますが、感染症対策のみのメリットしか見いだせないのであれば、多くの企業は職場での感染症対策で終わります。その中で市役所からのお願いばかりが経営者に届けば、市役所と企業間の温度差は広がるばかりで、私は経営者の方々から、ただでさえ厳しい経営環境の中、お願いを連呼されても、手間の多い申込みの改善やテレワークの先の経営の展望について周知が図られないなら取組む会社がいないのをなぜ市役所が分からないのかとお小言をいただきました。
 助成金や補助金については、都会と田舎では環境が違うので、国は、テレワークについて地方にある程度任せてくれてもよかったのではないかなというふうに思っています。
 局長の答弁から、事業者の声を聞いていただけるということですので、今後に期待いたしまして、次の質疑に移ります。
 本庁舎の基礎杭及び地下連続壁の効果等に関する耐震性能の検証業務委託についてお伺いたします。
 調査に関する特別委員会の議事録をさらっていくと、我が会派の落水議員が特別委員会で本事業で行われる調査について、委託業者が行った調査に対して、その結果を指定性能評価機関に評価してもらうのか、もらうべきだと問うたのに対し、執行部は、評価してもらうと解釈できるような答弁をしています。しかし、結果として、報告書を確認してみると正式な評価は受けておらず、指定性能評価機関から確認がとれているのは、委託業者が行った調査の方法の妥当性に過ぎません。これに違和感を抱いたため、担当課に確認したところ、仕様書の中には指定性能評価機関から評価を受けるという条項が入っていないとのことが確認できました。
 落水議員の質問が令和2年1月、そういうつもりの答弁ではなかったと改めて答えたのが令和2年11月です。議会側は約10か月間、誤解をしたまま時を過ごすこととなっています。もし1月の時点で指定性能評価機関から評価を受けるわけではないと確認ができていたのであれば、議会側からは、お金がかかったとしても評価を受けるべきではないかと指摘ができましたし、評価を受けることによって、議会が第三者にまで評価してもらったと市民に対して自信を持って説明できる材料になったのではないかと考えます。
 そこでお伺いします。なぜ今事業において指定性能評価機関からの評価を受けようとしなかったのか、また、指定性能評価機関から評価を受けた場合、どの程度予算が増額する予定であったか、見積りを取ったのであれば、その金額をお伺いいたします。
 総務局長の答弁を求めます。

        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  本庁舎の基礎杭及び地下連続壁の効果等に関する耐震性能の検証業務委託についてお答え申し上げます。
 本業務は、基礎杭の密集効果や地下連続壁の効果に関する定量的な算出を試みるもので、特殊な解析方法の使用が想定されたところでございます。したがいまして、解析方法の妥当性が判断できない段階において、指定性能評価機関による評価を予算や仕様書に盛り込むことはできなかったものでございます。
 次に、指定性能評価機関から評価を受ける場合でありますが、本業務の報告書を基に業務の見積書をとったところ、約1,700万円でございました。
 最後に、先ほど委員から御指摘の執行部の答弁に曖昧な表現があったことにつきまして、今後正確な説明を行うよう努めてまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  御答弁いただきましたけれども、最初から耐震の可、不可は委託業者が出しますと、特殊な解析方法なので指定性能評価機関による評価を仕様書には盛り込めませんでしたというふうにはっきりと、仕様書も提示して詳細に説明をしておけば、この空白の10か月は生まれませんでした。その後の議会とのやり取りも円滑に運んだのではないかというふうに思っています。
 この案件は、ただでさえ複雑で難解な案件でありまして、議員、議会と市役所執行部との方向性にずれがある案件に関しては、今後誤解の生じない説明と、誤解があった場合は素早い訂正をお願いしたいと思います。
 また、これは最近執行部の皆様にお願いをしていることですが、ミスや失敗、段取り間違いは人間なので必ず起こしますので、それが生じた場合は、素直に認めて謝罪をされて、なぜ起こったかを検証して、今後起こらないようにどのように対処するのかを報告してくださいと言っております。完璧な人間も完璧な組織も存在いたしませんので、その徹底をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 会計年度任用職員制度の運用についてお伺いいたします。会計年度任用職員は、地方公務員法第22条の2の規定に基づき、任用される非常勤職員です。これまでの臨時的任用職員や非常勤の特別職員と比べて、休暇、福利厚生、手当等の拡充がされますが、その一方で服務規律、守秘義務や職務に専念する義務等が適用され、かつ懲戒処分等の対象にもなります。
 この制度は、臨時職員や非常勤職員の待遇改善のために導入されましたが、皆さんの記憶にも新しいかと存じますが、立て続けに会計年度任用職員による不祥事が生じました。正職員ではないとはいえ、熊本市が採用した熊本市の職員です。また熊本市の信頼が失墜してしまったと、残念に思った次第であります。
 そこでお伺いいたします。会計年度任用職員をどのような採用基準で採用しているのか、職員としての研修はどのように行っているのか、募集の倍率は平均何倍くらいなのか、総務局長に答弁を求めます。

        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  会計年度任用職員は、原則として総務局において一括して募集しており、書類及び面接による選考を行っております。面接に当たりましては、部長級職員3名が本人の積極性や協調性、適正等を確認し、総合的に評価を行っております。
 次に、会計年度任用職員への研修は、配属された各所属において、総務局で作成する共通の研修資料を用いて実施しており、特に服務規律に関する事項を中心に行っております。
 なお、募集人数に対する採用人数の割合は、過去2年間の平均で約59%となっております。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  今現在会計年度任用職員は熊本市役所に約3,000人おります。正職員でも不祥事を起こすわけでありますから、今後も会計年度任用職員の方が不祥事を起こす可能性はゼロではありません。難しいですが、熊本市の職員であることの自覚を持っていただくこと、個人の働きの中で不祥事を起こせない業務を行っていただく体制づくりをお願いしたいと思います。
 また、人手不足が叫ばれる中で、会計年度任用職員が市役所に約3,000人いるということ、これが適当なのでしょうか。様々な議論があると思いますが、正職員を増やすべきではないか、業務委託をして企業の正職員の方にそういった業務を担っていただけないのか、ICTを活用して効率化できないか。
 本市の体制、人員管理、行政改革を推進して効率化と不祥事を起こせない環境づくりをお願いいたしまして、次に移ります。
 令和2年度の少子化対策についてお伺いいたします。令和2年度の出生数は概算で令和元年度の出生数から200人弱減少しています。令和元年度と合わせて、たった2年間で年間出生数が665人減っている状況であり、この対策を行政として緊急に行わなくてはならないような状況だと私は考えています。
 その中で、ここ数年予算組みやシーリングなどで努力された結果、例年50億円ほどの黒字が出ており、令和2年度決算においても約50億7,716万円の黒字が出ているのは、先ほど申し上げたとおりです。そろそろ子育て世代のマインドを後押しする子育て支援予算を投入すべきではなかったのでしょうか。黒字幅を圧縮してでも少子化対策に大きな予算を投入すべき時期がきているのではなかったのかと危機感を抱いています。
 そこでお伺いいたします。令和2年度の本市の少子化対策について、何を行ったのか、何が足りなかったのか、決算を通してどのように分析しているのか、健康福祉局長に答弁を求めます。

        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  少子化への対応は長期的な展望に立って総合的に対策を進める必要がありますことから、産前産後の母子へのサポート、待機児童の解消、ひとり親世帯への経済的支援等、安心して子育てできるよう支援を継続して行っているところです。
 令和2年度におきましては、新たに里帰り出産ができなくなった妊産婦に対するホームヘルパー派遣や本市独自のひとり親世帯への臨時特別給付金の支給などに取り組み、様々な支援を行ったところです。また、既存の不妊治療費助成事業の制度拡充を行いましたところ、申請件数が増加いたしました。さらに、令和3年度は、産後の心身の不安を解消するための産後ケア事業や、子育ての悩み相談を受ける児童家庭支援センターの運営を開始したところでございます。
 引き続き、若い世代が将来に希望を持ち、安心して結婚、妊娠、出産、子育てができるよう、切れ目のない支援を着実に行うとともに、SNS等の活用により、ライフステージに応じたニーズを把握し、少子化対策に効果的な事業について検討してまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  分析に関しては明確な御答弁はいただけませんでした。国の予算の活用、新たな事業を展開しているということは評価をしておりますが、できる限り早くそれなりの予算を投入して、子育て世代が求める政策の周辺自治体との格差をなくすこと、若い世代の周辺自治体への流入が緩やかになる住宅政策を行っていかなくてはならないのではないか、私は令和2年度決算を分析して、そう考えております。
 そういったことを行わない限り、この665人、下げ止まらないのではないかと大変危機感を抱いている次第でありますので、健康福祉局としてほかの局とも連携をしながら、下げ止まり維持をするような形で政策を打っていだたくようお願いいたしまして、次の質疑に移ります。
 教育施設の適正な管理についてお伺いいたします。私は今現在教育市民委員会の委員長として務めさせていただいておりますが、そういった立場から、また、熊本市のPTAの常任理事として、また、地元小学校のPTA役員として、様々な学校の状況をお伺いいたします。
 その中でも児童・生徒の学習環境、特に施設やトイレなどの状況については、どの学校もよい話を聞きません。令和2年度の決算上の財政措置では、各学校の施設の維持管理は十分ではないということではないでしょうか。特にトイレに至っては、ほとんどの古い学校では、臭い、暗い、汚いの3Kであり、子供の健康への影響も懸念される状況だと考えております。
 財政局においては、学校施設の現状を理解した上で予算措置を行えたと考えているのか、また決算から、十分に施設の維持管理ができた、できていると考えているのか、財政局長の答弁を求めます。

        〔田中陽礼財政局長 登壇〕

◎田中陽礼 財政局長  学校施設の維持管理費等について、2点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、予算措置についてでございます。学校施設の維持管理経費につきましては、例年教育委員会から施設の個別状況等を踏まえました予算が要求されまして、財政局でヒアリング等を通じ、必要と判断した予算を措置しているところでございます。また、委員御質問のございましたトイレ整備につきましては、予算の範囲内で優先度に応じて既存の維持補修経費等を活用して対応されていたところでございます。
 そのような中、昨年度教育委員会におきましては、令和3年度~12年度までの10年間でトイレの洋式化を進める整備計画を策定されたところでございまして、令和3年度当初予算におきましては、この整備計画に基づいた予算措置を行ったところでございます。
 次に、決算から見た維持管理についてということでございます。令和2年度の維持管理の決算状況を見ますと、トイレ関連を含む維持補修経費はほぼ100%の執行率となっておりまして、御指摘のトイレ整備につきましては、今後も洋式化計画に基づく予算を措置していく必要があると考えているところでございます。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  あえて教育長ではなく、なぜ財政局長に答弁をしていただいたかといいますと、はっきり言いまして、財政局はさすがに教育施設の現状までは把握できていないと思いますし、教育委員会からの予算要求を査定して行っているというのは十分に承知していますが、ここ最近様々な学校の話やそういった保護者の方々の話、また、市役所執行部の話を聞いていくうちに幾つか気づきました。1つは、教育や文化の分野の行政の方々は、予算要求をできない、しては駄目だと思っている節があるということ、そして、学校施設のマネジメントが現場では今ある予算で何とかするしかないというふうに思い込んでいるということ、また、学校のトイレはこんなものだとみんな思い込んでいるということなのです。
 皆さん、学校のトイレに行くことはないと思いますけれども、施設の管理は行政の責任です。学校のトイレの掃除、高学年は分かりますが、洗剤を使わせるのもためらわれる低学年の児童がどこまで行き届いた清掃ができるのでしょうか。トイレの洋式化が10年で行われるのはすばらしいですが、施設の維持管理を行政が責任を持って行うという大原則が今後徹底されない限りは、幾ら改修しても、年数がたてば臭い、暗い、汚いに一直線であります。
 また、施設の維持補修も、現場からの要望で、令和2年度に終わらず持ち越したものは15%あったと聞いています。教育長は今日ここにおられませんけれども、教育委員会には現状打破、その予算要求をお願いし、財政局には、現状改善につながり子供たちが快適に過ごせる環境が成り立つ予算査定、行政が責任を持って施設の維持管理を行う予算査定をお願いいたしまして、次に移ります。
 ごみ減量の取組についてお伺いいたします。久々のごみ関連の質疑です。御存じでない方もおられると思いますが、環境は私の主要政策の柱の一つでありまして、私が政治家を志した理由の一つでもあります。
 私が政治家を志した理由、4つありまして、1つは、不登校だったということから、教育を変えたいと思い、1つは、障がいを持って生まれた弟とともに育った経験から、福祉の充実を図りたいと考え、1つは、もう亡くなりました父が生前に環境を守る活動をしていたということから、持続可能な社会をつくりたいと志し、最後に、自らの初めて行う投票の際に、市民と議員の間の隔たりを実感したことから、政治家になろうと決断をいたしました。
 その環境の質疑質問でありますが、熊本地震以降、環境局のごみ関係部署の激務から質疑質問を控えておりましたが、もう丸5年たちますので、これからは遠慮会釈なく質疑質問をさせていただきたいと思っております。
 本日の質疑は、久々ということで軽いものになると思いますが、熊本市のごみ行政、これまで様々な取組をされてきました。大きなものでいえば、ごみ袋の有料化、プラごみの分別収集などになります。私が議員になって以降、着実に成果を出してこられたその尽力に敬意を表す次第であります。しかし、ここ3年を見てみると、じわじわと上昇しております。令和2年はコロナの影響だと分析できますが、なかなか掲げる目標を突破できていないのが現状だといえます。
 そこでお伺いいたしますが、令和2年度決算において、ごみ減量に向けて特に力を入れた事業、新たに取り組んだ事業をお伺いします。
 また、ごみ減量の目標達成がなかなかできない理由をどのように分析しているのか、環境局長にお伺いいたします。

        〔三島健一環境局長 登壇〕

◎三島健一 環境局長  まず、ごみ減量に向けて特に力を入れた事業、新たに取り組んだ事業についてお答えいたします。
 本市では、年間3万7,500トン発生すると推計される食品ロスの削減を新たに取り組むべき課題としておりまして、高校生との共催によるイベントや大学生との共同による啓発チラシの作成など、若い世代と連携した取組を実施いたしました。また、フードバンク活動への支援として、家庭で使う予定のない食品を寄附するフードドライブを市職員を対象に実施するとともに、食品製造業者などへの協力依頼も行いました。
 さらに、コロナ禍において対面でのごみ減量講座等の開催が困難でありましたことから、LINEを活用したクイズの実施やYouTubeでのごみ出しルールの配信など、新たな手法を用いた周知啓発も行ったところです。
 2点目のごみ減量の目標達成につきましては、決算状況報告書の検証指標である1人1日当たり家庭ごみ処理量につきまして、近年は460グラム程度を推移しており、令和2年度が466グラムと令和元年度の検証値である454グラムに達していない状況でございます。昨年度は特にコロナ禍において家庭で過ごす時間が増えたことが要因と思われますが、依然、燃やすごみの中に紙やプラスチック製容器包装など、リサイクル可能なものが26%程度含まれており、分別ルールの不徹底により本来資源化されるべきものが焼却処理に回ったことも要因と考えます。
 そこで、今後も食品ロスの削減に取り組むとともに、ごみ分別アプリの積極的な広報など、ごみ出しルールの周知徹底を図ることでさらなるごみ減量、リサイクルを推進してまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  コロナ禍にあっても様々な新たな取組を行っているということ、また、ごみの中にもリサイクル可能なものが26%含まれていると課題を認識していることは大きく評価したいと思います。このリサイクル可能なものが10%削減されるだけで40グラム以上削減され、容易に目標は達成されます。令和3年においても、先日報道されましたローソンと行ったプラスチック削減のレジ袋の取組など、民間を巻き込んでどんどん新たな成果を上げていただくようにお願いしたいと思います。
 ただ、まだ足りないところや踏み込んでほしいところもあります。例えばごみ減量にダイレクトにつながる生ごみ処理機の補助金は、熊本市の世帯数の0.03%程度の100件ほどしか補助できない予算にとどまっています。このままでは世帯数の3%になるまで100年かかります。そして何よりごみに対する市民の当事者意識を醸成させなければなりません。そのためには、ごみをなぜ減らさなくてはならないのか、ごみが増えたらどんなデメリットがあるのかなど、生活の中で市民の皆さんがアクションを起こせるように、様々な働き方をさらに強めていただきますようにお願いし、今後の環境局の取組に期待して、最後の質疑に移ります。
 雇用創出につながる取組についてお伺いいたします。
 決算状況報告書171ページ、産学官連携、産業間連携などによる成長産業の振興と175ページ、企業立地の促進についてお伺いいたします。
 さて、熊本市についてお話をさせていただきたいと思っております。日本においては熊本市は古くから国外の北西と西側に対する防衛の要であり、戦国から明治までは南に対しても重要な地でありました。そして、豊かな水と肥沃な大地と豊穣の海による有数の農業漁業地帯、それを活用すれば十分に成り立つ経済が存在していました。その結果、これまでも議場や質疑で何度も申し上げてまいりましたけれども、強い1次産業、全国平均から見ると弱い2次産業、人口と観光庁、自衛隊に支えられた3次産業を保有する土地となっています。結果として、財政的には不況の影響を大きくは受けない税収の構造ができているのが現状です。
 しかし、翻ってみれば、好況の影響も大きくは受けないということであり、それはそれで成長の機会を逃してしまうという弱みを持っているといえます。つまり、熊本市が今後発展していくためには、今回質疑する2つの事業の成果が大変重要になってくるということであります。
 先日、一般質問を行った創造支援の推進も大事ですが、今回はこの2つに絞って質疑を行います。
 ということで、シンプルにお伺いいたしますが、産学連携、新製品開発支援等による製品化の令和2年度までの成果及び企業立地の本年度の成果とそれによる雇用の創出が何人になったのか、経済観光局長の答弁を求めます。

        〔田上聖子経済観光局長 登壇〕

◎田上聖子 経済観光局長  本市では、成長産業の振興を図るため、産学連携のマッチングや新製品、新技術の研究開発に必要な経費への支援などを行っており、平成28年度~令和2年度までの直近5年間の累計で、27件の製品化につなげてきたところでございます。
 また、企業立地の成果と雇用の状況につきましては、令和2年度に立地した企業件数は18件、新規雇用予定者数は292名でございまして、過去最大の立地件数となっております。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

田中敦朗 委員  御答弁ありがとうございました。
 製品化には様々な苦労が伴いまして、一朝一夕にはできないことを年平均5.4件実現されたことは大きく評価できると思います。引き続き、商品開発されたものの知名度向上、流通販売支援、生産増加に向けての後押しもぜひお願いしておきたいと思います。
 また、コロナ禍にあって過去最大の立地件数をたたき出し、雇用を292名創出するというのはなかなかできることではありません。議員の一人として心から賞賛と感謝を送りたいと思います。経済観光局長、担当課の皆さん、本当にありがとうございます。
 質疑でも申し上げたとおり、ある程度安定してしまっている熊本において、これからの発展に新たなものを創造するか、育てるか、外から引っ張ってくるかしかないと思います。成果を出しているこの2つの事業に、市長にはさらなる予算措置と拡大をお願いしたいと思っております。
 以上で私が準備した質疑は終わりました。コロナ禍で手かせ足かせの中、四苦八苦しているのが決算から見てとれましたが、コロナ禍だからこそやらねばならないこと、できることをやっている姿もかいま見ることができまして、心強く感じることができました。
 最後に、私から指摘した事項については、真摯に対応いただきますよう心からお願いいたしまして、我が会派の多彩な事務局長、オールラウンダー、光永委員にバトンタッチいたしまして、私の質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)


○倉重徹 委員長  田中敦朗委員の質疑は終わりました。
 次に、光永邦保委員の質疑を行います。
        〔光永邦保委員 登壇 拍手〕

◆光永邦保 委員  おはようございます。熊本自由民主党市議団2番手、光永邦保でございます。
 ただいま田中敦朗委員からは、テーマに基づいた質疑が主体でしたので、私からは決算資料、特に不用額調書と決算状況報告書、その内容そのものについて質問をさせていただこうと思います。
 まず、不用額調書から始めたいと思います。タブレットに用意した資料を御覧いただきたいと思います。
 不用額というのは、言うまでもなく予算に計上されたもののうち支出されないこととなった金額を指すわけですけれども、資料のグラフは直近6年間の不用額の動きをまとめたものです。
 平成28年度、29年度と大きく増加しているのは、熊本地震への対応によるものだと思いますが、その後落ち着きを見せた後に、昨年度から再び上昇に転じております。恐らく新型コロナウイルス感染症の影響によるものだろうと思っております。
 もちろん一言で不用額と申し上げましても、いろいろあるわけですけれども、予算運用の制度という観点から、私はしっかりとこれを分析する必要があると考えております。その上で幾つかの区分に従って質問をさせていただきます。
 最初に、不用額として挙げられた額が少ないのではないかと思われるものについて伺います。本来不用額は少ない方がいいとされますけれども、その逆のパターンになります。
 まず1点目、不用額調書35ページの上から2段目にあります顧問弁護士の報酬です。備考欄を見ますと、3人分の顧問弁護士報酬を確保していたが、委嘱が2人にとどまり、その後も追加委嘱に至らなかったとあります。3人分用意して、1人分を返納するわけですから、この12.84%よりももう少し多く返してもいいのではないでしょうか、また、弁護士2人体制で問題がなければ、今後はずっと2人体制にしてはどうかと思っております。これが1点目です。
 2点目は、旅費です。タブレットに資料を掲載していますので御覧ください。
 今回旅費として挙げられた事業項目が全部で22あるわけですけれども、不用額となった率の大きいものから順番に並べてみました。理由は全て同じで、新型コロナウイルス感染拡大防止対策で研修及び会議が中止または延期になったためとなっておりますが、不用率の数字に随分違いがあります。トップは不用率100%で、これは全額を返納したことになっていますけれども、下にいくほど90、80と、どんどん率が下がっていきまして、最後の3事業が20%台と少ないのが目につきます。同じ理由なのになぜこのように違いが出るのか、最下位の数字22.37%となった理由について説明をお願いします。
 3点目は、システム改修に伴い発生した不用額です。調書46ページ5段目を御覧ください。
 備考欄には、予定していたシステム改修が業者と調整の結果、改修不要となったためとありますが、事業のメインである改修をしなかったのであれば、もっと不用額が発生するのではないかと思います。説明をお願いします。
 1点目、2点目を総務局長、3点目を健康福祉局長にお願いいたします。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  不用額に関しまして、2点お答え申し上げます。
 1点目の報酬の不用額312万円余のうち、顧問弁護士の報酬に係る不用額は、1人1年分の180万円でございます。顧問弁護士は平成30年度までは3人体制でございましたが、過去の相談件数の推移から、令和元年度より2人体制としておりまして、今後も相談件数の大幅な増加がない限りは2人体制を維持することといたしております。
 2点目の旅費についてでございますが、執行額は3,361万円余でございまして、主な内訳としましては、令和2年7月豪雨の災害派遣に係る分が3,037万円余となっているところでございます。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  私からは、システム改修に伴う不用額につきましてお答えいたします。
 児童福祉総務費の委託料につきましては、28の事業に係る経費の総額でございまして、この不用額約3,400万円のうち、額が最も大きいものが子ども・子育て臨時特別給付金のシステム改修経費でございます。このシステム改修につきましては、当初専用システムにて対象者の抽出や支給データ作成、支給データ管理を行うこととして約2,000万円を見込んでおりましたが、特別給付金を早急に支給するため、対象者の抽出作業のみを行うことに変更いたしましたことから、約1,400万円の不用額が発生したものでございます。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  1点目については、弁護士報酬は一部であって不用額の全てではないというお答えでした。なるほどと理解できたわけですが、それならそう分かるように、これをきちんと書いていただきたいと思います。
 2点目については、人吉市などの水害への災害派遣に充てたために不用額が少なくなったということでした。これは本当に質問してよかったと思います。旅費の分析を見たときは、どこかもやもやした気持ちがあったわけですけれども、ただいまのお答えを伺って、ああそれはお疲れさまでしたと、そういう気持ちに変わりました。こういうところの説明をぜひ書いていただきたいと思います。
 3点目のシステム改修につきましても同様です。少しでも早く給付金を届けるためにやり方を見直した結果だと、そういう表現にしていただくと分かりやすいと思います。
 次は、不用率の数字が大きいものについて伺います。
 調書48ページ5段目にありますファミリー・サポートセンター事業です。対象者数や給付額等を正確に見込むことが困難であったとありますけれども、なぜ困難であったのか、具体的に説明をお願いします。
 健康福祉局長、お願いいたします。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  青少年育成費の扶助費の不用額につきましては、ファミリー・サポート・センター事業におきまして、新型コロナウイルス感染症防止に伴う学校の臨時休校等により、ファミリー・サポート・センターを利用しお子様を預けられた際の助成でございます。前年度のファミリー・サポート・センター事業の利用実績を参考に積算を行いましたが、助成対象となります学校の臨時休校等を理由とした御利用が少なかったため、不用額が発生したものでございます。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  やはり新型コロナウイルス感染症の影響で学校等の運営も不確定な中、先が読めない難しさがあったことについては、ただいまの御答弁で理解できました。その理解の上で、会計運用上の観点からは、やはり改善の余地があったのではないかと思っております。年間を通しての事業ですから、残り期間が短くなったところで見通しを判断し、予算の一部を減額補正する等、検討があってもよかったのではないかと思っております。
 もちろん検討されたのかもしれませんけれども、新型コロナウイルス感染症による不確定な情勢はまだまだ続きます。予算を丸ごと抱えて年度末を迎えることがないように努力をしていただきたいと思います。
 続きまして、不用額の発生により事業そのものに影響がなかったのかという観点からお尋ねいたします。
 まず地震関連で2点、39ページ3段目と50ページ1段目です。いずれも4割近い不用額が発生しています。被災者支援のためにせっかく準備した予算が、かなりの部分使用されていないというこのことの要因について教えてください。
 3点目は、49ページ4段目、債権回収のための予算です。新型コロナウイルス感染症の影響で対面折衝のための予算が半分近く使われていないというものです。こうした状態で本来の回収業務に影響はなかったのでしょうか。また、今後の対面折衝の必要性について変化はあるのでしょうか、教えてください。
 1点目を政策局長、2点目、3点目を健康福祉局長にお願いいたします。
        〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  1点目の被災者住宅再建支援事業についてお答えいたします。
 被災者住宅再建支援事業は、熊本地震の被災者の方を対象に、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンから区域外へ住宅を移転する際に、住宅の除却や移転先の住宅購入等に要する経費に対しまして、300万円を上限に助成するものでございます。令和2年度におきましては、3世帯分670万8,000円を予算計上しておりましたが、このうち2世帯が御都合等により申請に至らなかったために、約600万円が不用となったものでございます。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  私からは、災害救助費の扶助費や債権回収業務につきましてお答えをさせていただきます。
 まず、災害救助費の扶助費の主な不用額は、平成28年熊本地震に伴う災害弔慰金でございまして、この弔慰金の支給に当たりましては、熊本市災害弔慰金等支給審査委員会におきまして、対象とした案件について、その都度補正予算措置を行っているところです。
 この審査会は、令和2年度に4回開催しており、認定した案件につきましては速やかに支給する必要がございますことから、最終の2月補正予算におきましては、それまでの認定実績等を基に、年度末までの金額を見込み、不足が生じないように予算を確保してきたところでございます。しかしながら、その後の審査会において認定される案件がなかったために不用額が発生したものでございます。
 次に、平成28年熊本地震による災害援護資金貸付金の債権回収業務につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、電話を中心に折衝を行いましたが、前年度と比較いたしまして、収納率に大きな変化はございませんでした。しかしながら、貸付金の償還は令和元年度から始まり、今後回収が困難な事例が増加することも予想されますことから、電話による折衝だけではなく、より丁寧で効果的な債権回収を行うためにも、引き続き対面による折衝を継続してまいりたいと考えております。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  地震関連の不用額につきましては、いずれも被災者の方の事情に合わせて、また支援に万全を期すための措置と伺い、大変安心いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。
 また、債権回収につきましても、収納率に大きな変化はないと伺い、安心しました。同時に、厳しい環境下において対面の機会を確保していかれるということで、頭の下がる思いです。こちらもよろしくお願いいたします。
 同様の趣旨で、さらに3点お尋ねいたします。
 まず、調書51ページ4段目です。結核医療費公費負担の対象となる案件が想定を下回ったということで、約半分が不用額となっております。半分というのはかなり大きな落ち込みだと思います。コロナ対応下で結核そのものが抑え込まれているのか、それとも健診の機会が減少しているのか、考えられる範囲で結構ですから、要因について教えてください。
 2点目は、58ページ3段目です。不用率63.51%、妊産婦総合支援事業ですけれども、件数を正確に見込むことが困難で、負担金補助及び交付金の支払いが想定よりも下回ったとあります。これも具体的な内容を教えてください。
 3点目、57ページの1段目、不用率91.13%の事業です。備考欄を読んでみますと、システムの誤設定による入札中止で執行できなかったという驚きの内容がさらりと書いてあります。一体何があったんでしょうか、なぜこのようなことが起きたのか、今後の事業に重大な問題は生じなかったのでしょうか、具体的に説明をお願いします。
 1点目、2点目を健康福祉局長、3点目を環境局長お願いします。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  私からは、結核対策費及び妊産婦総合支援事業につきましてお答えさせていただきます。
 まず、結核医療費公費負担の予算額は、令和元年度の1人当たりの医療費を基に、令和2年度においても前年度並みで推移すると見込んだところでございます。医療費の実績が想定より大きく下回った要因につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、健診機会の減少や医療機関への受診控えが生じたことと併せて、医療費が高額となる入院患者等が前年に比べて少なかったことによるものでございます。
 次に、妊産婦総合支援事業につきましてでございますが、分娩前新型コロナウイルス感染症検査費助成事業は、新型コロナウイルス感染症に不安を抱いている妊婦の方を対象として、分娩前に実施した新型コロナウイルス感染症検査費用の一部を助成するものでございます。
 当初、多くの方に受検していただけるものと見込みまして、産科医療機関での周知や市ホームページ等での広報に努めてまいりましたが、結果的に検査を望まれなかった方が多かったこと、また、症状があり医師が医学的に必要と認めた場合は行政検査となりますことから、助成対象となります検査数が見込みを下回ったものと考えております。
        〔三島健一環境局長 登壇〕

◎三島健一 環境局長  私からは、3点目の入札中止による不用額についてお答えいたします。
 東部堆肥センターで生じる家畜排せつ物の液状分は、東部浄化センターに運搬し、バイオマス資源として発電に活用しております。平成31年4月の堆肥センター供用開始後、液状分の発生量が想定より多かったため、東部浄化センター内の貯留槽を現在の80立米から200立米に増設する工事を行うこととなりました。その工事は、令和2年度中の契約締結を予定しておりましたが、全庁的に運用する土木積算システムの誤設定の影響により、入札が中止となり、契約を行うことができませんでした。
 このため、令和2年度予算は不用額とし、令和3年第2回定例会に補正予算を計上し、改めて入札を実施することとなり、工期が約5か月遅れることとなりました。増設工事完了までの期間は、浄化センターでの処理を多くするなど、臨時的な対応を行うことにより、設備に負荷がかかっているものの、現時点では事業への影響は生じておりません。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  1点目の結核医療費の動向については、大変勉強になりました。単に病理学的な問題だけでなく、医療費負担の問題もあるということを再認識した次第です。
 2点目は、妊婦の方に対する、いわゆるPCR検査の助成と伺っております。あくまで任意を基本とする中で対象者を見込むことの難しさを感じております。全て本人の意思に任せるのか、本市として検査を受けるように勧めていくのか、今後検討が必要かもしれません。
 3点目の東部堆肥センターについての御説明、大変よく分かりました。臨時的な対応によって、現時点では事業への影響はないと伺い、安堵したところです。
 こういったことを読む側に安心させるところまで、しっかり資料の中に書き込んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 続いて、予算額と契約額、あるいは実績見込みとの差が大きいものについて質問をさせていただきます。
 1点目、67ページ5段目、一般排水路整備事業の工事について、2点目、83ページ3段目、災害復旧費について、3点目、85ページ3段目、熊本城災害復旧事業及び熊本城特別公開に係る備品について。
 以上3点につきまして、1点目、2点目を都市建設局長、3点目を文化市民局長にお願いいたします。
        〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  私の方からは、一般排水路整備事業と災害復旧費につきましてお答えいたします。
 まず、1点目の一般排水路整備事業の補償補填及び賠償金につきましては、予定しておりました4件の補償のうち、3件は執行いたしましたが、東区で渇水期に予定しておりました排水路改良工事が入札不調となりましたことから、同工事に伴います移設補償費が不用額となったものでございます。
 次に、令和2年度の都市計画施設災害復旧費の委託料の予算でございますけれども、これは令和元年度からの繰越明許費266万9,600円と令和2年度当初予算300万円の合計額となってございます。不用額はこの繰越明許費分の266万9,600円でございます。これは令和元年度から2か年で実施いたしました八景水谷公園法面復旧工事の委託料で、令和元年度に測量設計及び地質調査を行い、入札により安価で契約できましたため、工事による地下水への影響調査などを想定いたしまして、令和2年度に繰越ししたものでございますけれども、その必要がなく、不用額となったものでございます。
        〔横田健一文化市民局長 登壇〕

◎横田健一 文化市民局長  私からは、3点目の熊本城備品購入費の不用額についてお答えいたします。
 熊本城の備品につきましては、主に熊本城特別公開第2弾の特別見学通路の公開に必要なものとして計上したものでございます。実際の購入に当たりましては、管理運営業務委託業者と協議、精査を行った結果、無線機やスポットエアコン等は購入をいたしましたものの、ベンチ等の約200万円については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から設置を見送ったところでございます。また、緊急用に設置することとしておりましたAED購入費約150万円につきましては、他課から譲渡を受けることができたため、購入不要となったものなどが主な要因でございます。
 なお、新型コロナウイルス感染症の先行きが見通せない中、新たな備品購入が必要となるケースを考え、減額補正を行わなかったことから、450万円余の不用額が生じた次第でございます。
 今後とも予算の適切な執行に努めてまいります。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  1点目、2点目につきましては、ただいまの御答弁である程度分かりましたけれども、資料の備考欄、ここにはわずか二、三行の型通りの説明しかありません。また、熊本城関連の備品につきましては、予定より安く契約できたとして、それが半額になっているのを見ると、この買物は大丈夫だろうかと、かえって心配になってきます。ただいまの御答弁にありましたように、一部の購入を見送ったということとか、一部についてはただでいただいた備品があったということを知り、私自身なるほどと納得した次第です。こうした内容を読み手に伝える努力をお願いしたいと思います。
 同様の趣旨で、あと2点お尋ねします。
 1つ目、39ページ2段目、分散備蓄倉庫や資機材の購入について、2点目、46ページ4段目、子育て世帯への臨時特別給付金事業等において、支給対象者数を正確に見込むことが困難であったことについて。
 以上2点につきまして、政策局長、健康福祉局長にお願いいたします。
        〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  1点目の分散備蓄倉庫等の購入についてお答えします。
 分散備蓄倉庫につきましては、未設置の避難場所16か所分、683万2,000円を予算計上しておりましたが、入札により1か所当たり約14万円安価に購入ができたところでございます。これに加えまして、各施設管理者との協議によって、既存倉庫の活用が可能な7か所分の設置を見送ったこと等から、総額約390万円が不用となったものであります。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  私からは、臨時特別給付金事業についてお答えいたします。
 臨時特別給付金の支給対象となる方は、児童手当受給者、児童扶養手当受給者、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて収入が減少となったひとり親世帯でございます。その中の児童手当受給者につきましては、受給者のうち、公務員世帯以外につきましては本市で把握できますが、公務員世帯につきましては、直接本市で支給していないことから、国が示しました公務員割合や県庁等への聞き取りにより、世帯数を見込んだものの、実際の申請件数が見込みを下回ったものでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて収入が減少となったひとり親世帯につきましては、臨時特別給付金の追加給付の対象となりますことから、所得の低いひとり親世帯は収入への影響を特に受けやすいと想定し、全ての児童扶養手当受給世帯の受給者を支給対象と見込んだところでございます。
 なお、令和3年2月末までの申請受付けでございましたことから、令和2年12月及び令和3年1月に再度勧奨通知を送付いたしましたが、実際の申請件数が下回ったものでございます。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  1点目は、予定価格より安く契約できたということもさることながら、当初16か所の倉庫のうち、7か所については既にある倉庫を活用して設置を見送ったと、こっちの方が要因としては大きかったのではないかと感じたところです。
 また、2点目につきましては、システムを整備されている中、なぜ支給対象者数の見込みが難しいのだろうかと、前々から疑問に思っておりましたので、この機会に質問させていただきました。大変よく分かりました。
 公務員世帯の特定、所得の低いひとり親世帯への配慮等、きめ細かな見積もりと十分な支給額の確保という観点で、不用率25%という数字にも納得したところであります。
 いずれの事業もこうした内容をぜひ調書の中に書いていただきたいと思います。
 不用額調書から最後の質問です。
 45ページ4段目、あんま・はり・きゅう施術費が、昨年の実績を下回ったために、助成金28.16%が不用額となっております。備考欄に特段の記述はありませんけれども、これは新型コロナウイルス感染症の影響とは考えられないでしょうか。
 健康福祉局長、お願いいたします。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  老人医療給付費におきますあんま・はり・きゅう関連の御質問にお答えさせていただきます。
 75歳以上の方へのあんま・はり・きゅう施術費助成の令和2年度の助成実績は、令和3年3月以外の全ての月において前年度を下回り、前年度比17.6%の減少でございましたことから、予算2,790万円のうち約786万円の不用額が発生したものでございます。
 過去の実績では、年間の利用件数が減少したのは、熊本地震が発生いたしました平成28年度以来であり、また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う令和2年4月及び5月の国の緊急事態宣言発令期間や、令和3年1月の県独自の緊急事態宣言発令期間における前年度比減少率が23%以上と大きいことからも、新型コロナウイルス感染症の影響があったものと考えられます。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  詳しく調査をしないと、この関連性は分からないかもしれませんけれども、私も新型コロナウイルス感染症の影響ではないかと思い、質問させていただきました。予算運用上は実績が3割下がったので、余った額をそのまま不用額としてお返ししたということには何ら問題はありません。しかし、障がいを持って働く方の収入の3割落ち込んだ原因が新型コロナウイルス感染症であるとしたら、この数字は大変心が痛みます。せっかく確保した予算ですから、何か別の方法を考えて、そういった方を支援する道はないだろうかと考えてしまいます。
 簡単なことではないと思いますけれども、不用額の数字の中にこうした課題を読み取ることもまた大切なことだろうと思っております。御検討をよろしくお願いいたします。
 次は、もう一つの資料、決算状況報告書の内容につきまして質疑を進めていこうと思います。
 最初に、事業目的と事業内容の一貫性について、3点伺いたいと思います。
 1点目は、報告書47ページ、都市政策研究所に係る事業です。目的の欄の一番上に、PDCAサイクル、つまりプラン・ドゥー・チェック・アクションという行政評価の手法の中で、実情の把握と成果の検証によって総合計画の進行管理と効果的な事業展開を行っていくという説明があります。ところが、実績のところを見ますと、熊本都市計画史図集の刊行など、まちづくりの歴史に関する調査研究がメインに書いてあります。行政に直接関わるような目的の書き出しと、この実績の内容に一貫性が弱いというふうに感じております。
 2点目は、報告書61ページ、連携中枢都市圏構想の推進というところです。この目的の内容はいいのですけれども、実績の欄を見ますと、行政不服審査会の設置及び運営と、この記述しかありません。これはどういう関係にある事業なのかがよく分かりません。
 そして、3点目は、報告書82ページ、地域防災体制の強化における組織や計画の整備による体制強化のところですけれども、ここの実績のところには、さきの人吉市の豪雨災害に対する食糧支援の内容が書かれております。体制を整えていこうという年度の事業の中に、突然発生した水害に対する被災地支援が急に割り込んできているような印象を持っております。これはどうつながっているのでしょうか。
 以上3点につきまして、政策局長、総務局長、文化市民局長、お願いします。
        〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  1点目の決算状況報告書の効率的かつ効果的な事業展開については、4つの目的を掲げ、都市政策研究所は中長期的な視点での調査研究などを進めるという目的に対応しております。その目的に基づく事業内容としましては、報告書に記載している新型コロナウイルス感染症関連のアンケート分析のほか、交通系ICカードのデータ分析など、統計解析をベースとした調査研究等を行ったところでございます。
 これらの調査研究は、担当部局とも連携協力を図りながら実施しており、効果検証や政策立案の基礎資料となるものであり、効率的かつ効果的な事業展開の目的に資するものと考えております。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  私からは、決算状況報告書61ページの連携中枢都市圏構想の推進についてお答え申し上げます。
 熊本連携中枢都市圏構想におきましては、大きく3つの役割を掲げておりまして、このうち圏域全体の生活関連機能サービスの向上を目指す取組といたしまして、熊本連携中枢都市圏の構成市町村を中心とした13市町村により、行政不服審査の審査請求に係る第三者機関を共同設置いたしております。
 このことにより、行政運営の効率化を図り、圏域全体で制度を持続的に運営する体制を整備できたところであり、市域を越えた広域的連携の強化に寄与できたものと考えております。
        〔横田健一文化市民局長 登壇〕

◎横田健一 文化市民局長  私からは、3点目の決算状況報告書82ページの人吉市への豪雨災害食糧支援についてお答えいたします。
 当該事業は当初予算で計上していたものではなく、令和2年7月豪雨災害に伴い、突発的に発生したため、一旦流用し9月補正予算による対応を行ったものでございます。
 補正予算計上に際しましては、既存の事業属性に位置づける必要があったため、食糧支援という当該事業の経験は災害時の組織運営や体制強化につながるものであると考えまして、地域防災体制の強化という基本方針の中の組織や計画の整備による体制強化に位置づけるものとしたところでございます。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  1点目の都市政策研究所の事業につきましては、やはり目的の欄に掲げた4つの内容に合わせるように事業実績をまとめる方が、一番理解しやすいと思っております。ただいま挙げていただいたアンケート分析やICカードのデータ分析などはとても分かりやすい例ですから、これを一番上の総合計画の進行管理のところに位置づけまして、2番目に書かれた中長期的な視点の調査研究の成果として、歴史的なまちづくり資料の刊行を持ってくれば、全体の考え方が整理され、分かりやすくなると思っております。
 2点目の連携中枢都市圏構想の内容につきましては、大きな取組の中のごく一部の事業だということで理解いたしました。そうであるなら、どこかに構想の全体像を記していただきたいし、関連するその他の事業があれば、そのページへの参照等を追記していただきたいと思います。
 3点目の被災地支援につきましては、御答弁いただき大変よく分かりました。私は年度当初の事業が別にあって、突然の災害発生でその予算を急遽流用したと思い、質問いたしました。9月補正予算による対応と伺いまして、納得できたんですけれども、それならば、やはりそのあたりの説明をきちんと書くべきだろうと思います。
 まず、補正予算であるということ、そして、目的の欄には組織や計画の整備という内容しかありませんので、災害時における他都市との連携強化とか、そういった表現を加えておけば、より理解が得られると思います。
 個人的には、災害時において備蓄品だけで対応するだけではなくて、予算を投入して食料品等を購入するような仕組みはとても大事なことだと思っております。これはそのひな形事業として、報告書の書き方を検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次は、適切な指標の設定について質問させていただきます。
 次の4つの事業については、事業目標を達成するために、さらに指標について検討すべきではないかと思っておりますけれども、それぞれ考えをお聞かせください。
 報告書54ページ、市民に信頼される職員の育成のための指標、同じく56ページ、働きやすい職場環境の整備と多様な人材の活用のための指標、以上2点を総務局長に。
 報告書196ページ、歩いて楽しめる都市空間の創出のための指標、同じく197ページ、熊本駅白川口(東口)駅前広場の整備のための指標、以上2点を都市建設局長にお願いいたします。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  検証指標についてお答えいたします。
 まず、市民に信頼される職員の育成につきましては、公務員としての意識や倫理観の高さを検証するため、職員倫理意識調査の平均点を指標といたしております。また、働きやすい職場環境の整備等につきましては、ワークライフバランスの推進を検証するため、休暇の取得率や年休の年間平均取得日数を指標としているところでございます。
 今後おのおのの事業の達成度をより分かりやすく計ることのできる指標について検討してまいります。
        〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  私からは、歩いて楽しめる都市空間の創出と熊本駅白川口(東口)駅前広場の整備についてお答えいたします。
 まず、歩いて楽しめる都市空間の創出につきましては、中心市街地において歩いて楽しめる魅力的な都市空間を創出するため、歩行環境の改善に向けた検討を行いますとともに、夜間景観や屋外広告物も含め、地域の景観に合わせたルールづくりや景観形成を図るものでございます。
 花畑広場整備の完了後に、拠点性や回遊性への効果を検証する指標を設定することといたしておりまして、現在は老朽建築物の建て替え件数のみを検証指標としているものでございます。
 次に、熊本駅白川口(東口)駅前広場の整備の現在の指標につきましては、新幹線開業等による交通結節機能強化を図る指標として、1日当たりのJR熊本駅の乗車人数としているところでございます。本年3月に熊本駅白川口(東口)駅前広場をはじめといたします駅周辺整備事業が完了いたしましたことから、今後にぎわい創出等への効果を検証する指標を追記したいと考えております。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  今回決算状況報告書にまとめられた206件の主要な事業のうち、指標の記述があるものが175の事業、これは全体の約85%に当たります。その中で、もっと指標について検討が必要かなと思われるものが23事業ありました。ただいまの4事業はその中から選んだものであります。指標がない事業の比率が高いのはやはり総務局で、中でも人の向上を求める事業については大変苦労するところだろうと思います。総務局長に御答弁いただいた内容は妥当なものと思いますけれども、さらに複数の視点から数値化をして、現状を把握できないものかとも思っております。ぜひとも粘り強い検討をこれからもよろしくお願いします。
 また、都市建設局長からは、今後の指標の検討方法について、大変的確な内容の御答弁をいただきました。中心市街地も、駅前の広場も人の動きが着実に変化しております。新たな動きを把握できるように検討を進めていただきたいと思います。
 報告書に関する最後の質問ですけれども、新型コロナウイルス感染症の事業への影響と今後の対応という観点で伺いたいと思います。
 1点目は、報告書の50ページです。昨年度はコロナ元年ともいうべき1年になったわけですけれども、急速に進めたテレワークの態勢、これは先ほど田中委員からも質問がありましたけれども、これを事業という観点から見て、その評価をどのようにしておられるのでしょうか、また、今後その環境を踏まえて、新たな指標を検討する必要はないでしょうか。
 2点目は、報告書89ページ、熊本城の着実な復旧と公開についてです。昨年度から非常事態宣言等、特別見学通路を含めて全面閉鎖をしてまいりましたが、経済活動に与える影響が余りにも大きかったように思います。現在でも大阪城、姫路城、名古屋城、これらは一定の条件下で見学可能となっておりますので、今後は柔軟に対応していくことについて検討されるのでしょうか。
 1点目を総務局長、2点目を文化市民局長にお願いいたします。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  テレワークに関してお答えします。
 新型コロナウイルス感染症の対策として、スピード感をもってテレワークに必要なパソコンや通信環境の整備を行ったことで、感染症の蔓延下においても庁内と変わらない環境で業務を継続することができたものと考えております。
 テレワークにつきましては、新型コロナウイルス感染症への対応はもとより、職員の多様な働き方を実現する有効な手段であり、今後も推進していきたいと考えておりまして、実施状況や効果を図るための新たな指標の設定について検討してまいります。
        〔横田健一文化市民局長 登壇〕

◎横田健一 文化市民局長  私からは、熊本城特別公開への対応についてお答えいたします。
 本市最大の観光地である熊本城は、今年6月28日から特別公開第3弾として天守閣を含めて公開を行ってまいりましたが、急速に拡大する新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、人の流れを抑制する観点から、8月2日から臨時的に閉園しているところでございます。
 熊本城の閉園が周辺施設の集客に与える影響は小さくないと存じておりますが、開園につきましては専門家の意見も参考にしながら、今後の感染者及び医療体制の状況を踏まえて判断してまいりたいと考えております。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  テレワークの評価につきましては、市役所で8時間働いた成果と自宅で8時間働いた成果を細かく比較をする必要があると思います。仕事の内容、自宅の環境でも差があると思いますし、中には自宅の方が効率がいいという分野があるのかもしれません。そのあたりが分かるように、今後検証していただきたいと思います。
 また、熊本城の公開については、ただいま文化市民局長から、今後の状況を踏まえて判断するという御答弁をいただきました。ゼロか1かではなくて、一定の条件下で特別見学通路のみでも開放するとか、ワクチン接種の有無など個別に条件を設定するとか、こうした柔軟な対応をぜひとも御検討いただきたいと思います。これはもうぜひともよろしくお願いいたします。
 以上、不用額調書、決算状況報告書の内容を中心に質疑を進めさせていただきました。決算資料の文字を読んで感じた疑問点の多くは、ただいまの御答弁によって解消されたように感じております。しかし、一番望ましいのは、このようにして聞かなくても読んだだけでよく分かると、それが報告資料のあるべき姿だろうと思っております。
 質疑の返しの中で、私はそれを書いてくださいと、繰り返しお願いいたしました。全体と部分の関係、それから事業相互の関連性、こういったものをより分かりやすく書いていく、そういう書き方にも心配りをしていただきたいと思います。これはもうぜひよろしくお願いします。
 これに関しまして、会計総室の方には資料のつくり方について何度もお願いをいたしまして、その都度対応していただいたことには、心より感謝申し上げます。ちょっとした工夫で、分析に要する時間が2割、3割短縮されたように思います。
 今回は、不用額調書に熊本地震、新型コロナウイルス感染症対策に係る事業については文頭にその旨を表記されるようになっておりましたけれども、その狙いについてお尋ねしたいと思います。
 会計管理者、お願いいたします。
        〔大関司会計管理者 登壇〕

◎大関司 会計管理者  不用額調書の記載についてお答えいたします。
 不用額調書は、未執行となった予算を不用額として把握できるように作成している決算関係資料でございます。令和元年第3回定例会予算決算委員会において、分析しやすい不用額調書のまとめ方などにつきまして委員より御指摘を受け、令和元年度決算から、不用額調書の表記方法を変更いたしました。
 具体的には、用語の解説等を追加したほか、予算に対する不用率や不用となった要因を区分して表記するなどの改善を図ったところでございます。
 委員お尋ねの件につきましては、従来不用額調書備考欄に簡潔な文章で不用となった理由のみを記載していたものに、文頭に熊本地震、新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の表記を加えることで、突発的な事業と通年の事業が区別できるなど、より分析しやすくなるものと判断し、変更いたしました。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  ただいま伺いましたけれども、事業ごとに分析するに当たっては大変有意義な着眼だろうと思っております。特に新型コロナウイルス感染症の影響度というのは、全く未知の部分がありますので、新型コロナウイルス感染症関連であれば、新型コロナウイルス感染症対応を目的とする事業、それだけではなくて、新型コロナウイルス感染症からどんな影響を受けたのかと、影響の度合いに応じて細かく分類する必要もあるかと思います。
 また、決算資料は単なる年度の締めではなく、今後の財政運用に生かしていくという観点も重要です。エクセルデータとして今LINEWORKSでいただけるようになりましたので、これをそのまま活用できるようにするなど、より分析しやすいデータのまとめ方について、財政局長の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
        〔田中陽礼財政局長 登壇〕

◎田中陽礼 財政局長  決算資料のまとめ方についてお答え申し上げます。
 ただいま会計管理者の答弁のとおり、決算資料につきましては、議会からの御意見等踏まえ改善に努めているところでございまして、引き続き分かりやすい決算資料となりますよう、委員から御紹介のありましたデータのまとめ方など、記載方法等について検討してまいります。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  膨大な決算資料をまとめ上げるまでには、大変な御苦労があるということは私も想像に難くないところです。まずは読んで分かる資料づくりに努力を傾注していただき、予算を使ってどんな成果があり、どんな課題があるのか、この部分について議会との間で共有できるようにしていただきたいと思います。
 資料の書き方について注文ばかりつけてまいりましたので、やはり褒めることも大事かと思いまして、決算状況報告書206事業の中から、これはすごいなと、優れた報告59事業を私が選び出しまして、会計管理者宛てに送付するようにしております。あくまでも個人の感性で選んだものですので、何の権威もありませんけれども、また参考資料としてぜひ御活用いただきたいと思います。
 その中でも私が選びました最優秀賞、5つの事業をここで紹介させていただきます。あくまで順不同です。
 報告書85ページ、文化市民局、文化活動の支援事業、同じく129ページ、環境局、再生可能エネルギーの導入促進等事業、同じく152ページ、農水局、消費者事業者ニーズに対応した良質な農産物の生産拡大等事業、4つ目、228ページ、教育委員会事務局、自ら学びに向かう力を育む教育の推進事業、5つ目、229ページ、これも教育委員会事務局ですけれども、豊かな心と健やかな体を育む教育の推進事業、これはどれも複数の指標を設定して多角的に検討されたすばらしい内容だと思います。
 さらに特別賞として、報告書106ページ、健康福祉局、地域包括ケアシステムの深化・推進事業、ここに特別賞を贈りたいと思います。これはもう報告書としても立派ですけれども、内容が心にしみて、もう泣きそうになりました。すばらしいと思いました。本当にありがとうございました。
 それでは、報告書について、るる述べてまいりましたけれども、最後に、新型コロナウイルス感染症等今後の厳しい環境に対応していくために、決算資料を詳細に分析することの必要性について、大西市長のお考えをお聞かせください。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  まず、答弁に先立ちまして、委員の方からお褒めの言葉を頂戴したということに関しまして、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げたいと思います。
 決算の議会への報告につきましては、地方自治法に定められておりまして、議員各位に本市の決算状況を分かりやすくお伝えするということは大変重要なことと認識しております。このため、これまでも平成28年熊本地震など、本市にとって影響の大きな事象が発生した際の決算におきましては、その影響額を分析しお示ししてきたところでございます。今後、感染状況が一定程度収束した段階で、感染症対策はもとより、市民生活や地域経済等に対して新型コロナウイルス感染症が及ぼした影響等を総括する必要があると考えておりまして、その中で財政への影響についても、決算の分析等を踏まえ、お示ししてまいりたいと考えております。
        〔光永邦保委員 登壇〕

◆光永邦保 委員  大西市長には私の意図するところをお酌み取りいただきまして、大変ありがとうございます。ただいまの御答弁にありましたけれども、確かに新型コロナウイルス感染症が一定程度収束した時期でいいと思います、一度きちんと新型コロナウイルス感染症が一体どういう影響を与えているのか、地震よりも状況は複雑だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○倉重徹 委員長  光永邦保委員の質疑は終わりました。
 以上で熊本自由民主党市議団の質疑は終わりました。
 質疑の途中ではありますが、この際、議事の都合により休憩いたします。
 午後1時ちょうどに再開いたします。
                            午前11時54分 休憩
                            ───────────
                            午後 1時00分 再開

○倉重徹 委員長  休憩前に引き続き会議を開きます。
 総括質疑を続行いたします。
 これより自由民主党熊本市議団の質疑を行います。持ち時間は60分となっております。
 まず、小佐井賀瑞宜委員の質疑を行います。
        〔小佐井賀瑞宜委員 登壇 拍手〕

◆小佐井賀瑞宜 委員  皆様お疲れさまでございます。自由民主党熊本市議団の小佐井賀瑞宜でございます。
 お疲れの出やすい一番の時間帯でございますけれども、理詰めの私が登壇しますので、お聞きの方はさぞお疲れが増すのではと、人様のことを余計に気にかけておりますけれども、皆様には何とぞお許しをいただきながら、しばしお付き合いをいただきたいと思います。
 それでは、私からは、令和2年度の決算総括についての経済の視点を絡めながら見解を求めてまいりたいと思います。
 まず、今回の決算書を拝見し、数値上、実質的な決算では約50億円ほどの黒字計上となっておりましたので、例年同様安定的な財政運営が見受けられるというふうに率直に感じました。しかし、年度間の繰越金や財政調整基金からの繰入れなどを除けば、単年度の実質収支は若干のマイナスとなっております。ただ、単年度実質収支がマイナスとなっていた年度はこれまでにもありましたので、決して珍しいものではないというふうに感じております。
 しかし、例年同じような現象が続くのであれば、そのひずみはどこかに必ず影響を及ぼすことは言うまでもございません。例えば財政調整基金等が著しく減少するなどの不安要素が表面化することも考えられますので、その部分についてもピンポイントで精査する必要があるというふうに思います。そのような視点で今回の決算書を拝見したところです。
 結果としては、示されている財政調整基金に目減りはあるものの、年度末と決算期の時期的要因などによって金額の違いも見受けられますし、また、本市の財政規模は大きく、県内ほかの自治体とは運営上の大きな違いもあるというのも特徴の一つですから、今回示された数値が一概に不安をあおるようなものと考えるのは、やや早計とも感じたところです。
 そのような意味を含め、例年の決算状況と比較してまいりますと、その総体的な収支バランスに際立つ変動は見受けられないという印象を受けております。加えて申せば、これまで熊本地震や現在も続くコロナ騒動の渦中にあって、急激に事業の変更や組織改編などの改革を強いられる中においては、財政局の手腕が求められたこの10年であったろうというふうに感じております。そして、今回も数値的には大きな変動もなく、黒字決算として提示されたことは、ある意味総括的に見て、時折の年度に応じて柔軟に対応がなされてきたことを物語っているというのが私の率直な感想でございます。そのような意味で、数値面での健全性はしっかりと担保されていると評価させていただきたいと思います。
 ただし、本来の住民サービスに通じる事業や運営状況にわたっては、それぞれの委員の皆様から緻密な分析の下、様々な御指摘があるものと思いますので、その点は真摯に受け止めていただき、次年度以降の財政運営に生かしていただけるよう願いたいと思います。私としては、執行部の皆さんにまずは御苦労さまとねぎらいを申し上げたいと思います。
 つまるところ、地方自治体の財政はどうしても地方経済の状況や中央政府の政策の影響は極めて大きくなるものです。地方財政計画はもちろんのこと、特に政府の経済財政諮問会議の提言である骨太の方針に沿った財政運営を強いられるという現実がございます。そのため今後も引き続き、時の国内経済状態や外交上の課題を含む世界的な政策の潮流を見極めてこそ、国内の方向性が決定づけられますので、そのことを念頭に置いてこそ地方の進むべき道筋が認知できるものと考えます。
 特に、令和2年度のコロナ禍にあっての財政運営は、担当部局は荒波状態の航海であったと思います。そのような意味から、今回の決算報告を行うにあたり、令和2年度は財政運営上のポイントや留意点が例年よりも際立つ思いがあったものと思います。まずこの点について、財政局長に率直に感想を交えてお聞かせいただきたいと思います。さらに、これまでの検証を深めるためにも、近況5年間ほどを目安に本市の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの推移についても御説明いただきたいと思いますし、それに対する見解があれば御教示いただきたいと思います。
 答弁は、財政局長にお願いいたします。
        〔田中陽礼財政局長 登壇〕

◎田中陽礼 財政局長  2点の御質問にお答えいたします。
 まず、財政運営上のポイント、留意点についてでございますが、令和2年度は熊本地震からの復興のその先のステージとして、地域共生社会の実現に向けた取組へ移行するとともに、新型コロナウイルス感染症への対応として、議会の御協力の下、6回の専決を含む15回の補正予算を編成するなど、感染状況を見極めながら臨機応変に対応する必要がございました。
 歳入面で、市税や熊本城入園料などの減収が見込まれる中、歳出面では、新型コロナウイルス感染症対策を最優先に、感染拡大防止対策はもとより、制度融資に対する利子補給など、経済及び市民生活を支えるための取組に多額の一般財源を要することとなりました。このような状況に対応いたしますため、国や県に対する財政支援の拡充の要望や財政調整基金の取崩しを行いましたほか、感染症対策に財源と職員のマンパワーを集中するため、一般会計の政策的経費を対象に事業の見直しを行うなどの財源対策を講じてまいりました。
 次に、プライマリーバランスについてでございます。
 本市の、直近5年間のプライマリーバランスを平成28年度から令和元年度まで順に申し上げますと、熊本地震からの復旧経費や熊本城ホール整備等の影響で152億円、160億円、98億円、224億円と、4年連続の赤字でございました、一方で、令和2年度は復旧経費や大型事業が落ち着いたことから借入額が減少し、29億円の黒字に転じたところでございます。
 今後とも、毎年作成いたします財政の中期見通しの中で、財政指標等をお示しいたしますとともに、予算編成過程において市債残高の増加等に十分留意しつつ、財政規律を遵守しながら健全な財政運営に努めてまいります。
        〔小佐井賀瑞宜委員 登壇〕

◆小佐井賀瑞宜 委員  御答弁のとおり、6回の専決を含む15回の補正予算編成で、まさに臨機応変の対応に迫られていたと感じます。一部情報共有という面では、議会からのお叱りがあったようにも記憶いたしておりますが、執行部の皆さんにとっては知力、労力、時間を投じて業務に傾注されたと感じています。ただ、今も引き続き緊張感が漂っております。それゆえ、財政局長が述べられましたとおり、今後も中期的な財政展望を明らかにし、丁寧な説明に努められますよう願っております。
 さて、市役所内における財政運営については評価を得られるとしても、冒頭申し上げたとおり、個々の事業が社会に及ぼす影響などまで含め、考察しますと、果たしてどのような結果を招くのか、また、次年度へ向けて効果的な財政運営といえるのかというマクロ的な観点も必要であると考える次第です。
 そこで、もう少し深掘りしてみたいと思います。先ほどはプライマリーバランスの推移についても見解をいただきました。答弁のとおり、熊本地震以降は復興に要する必要経費が上昇いたしますので、投資拡大が広がる分、大幅なマイナスが際立ちます。しかし、決算全体では、冒頭述べましたとおり例年並みに安定的な数値を示しています。また、将来負担比率や実質公債費比率に著しい上昇などは見受けられません。これは、投資は拡大しても補助金や交付金の充足によって健全性が図られながら資産形成が促進されているといえるでしょう。
 ただし、そのような意味から、さらに考察すれば、逆に少々気がかりな点も浮上してまいりました。それは、令和2年度は例年とは逆にプラスになっている点に注目をしなければなりません。この要因は投資的経費が大きく目減りしていることにあるといえます。各大型事業の終焉を迎えたこともございますが、コロナ禍という特異な状況でありましたので、事業の一時中断はやむなしとの判断に至るかもしれません。また、急激な組織改編も実施されておりましたので、従来計画していた事業も進退の判断に苦慮されたことと思います。しかし、果たしてそれが妥当な判断であったといえるのかについては、やや検証の必要があると感じています。
 以前私は、常任委員会でも次のような提言を申し上げました。どのような状況に至っても経済全体の行方を見据えた事業展開が大切ではないのか、公共投資の削減にはなるべく踏み切らないように努めていただきたい。執行部の皆さんには記憶に残っているものと思います。
 そこで、改めてこの意義を申し伝えながら、お尋ねさせていただきたいと思います。
 世情では、よく経済の安定は難しいと申しますが、経済の安定化を図るための政治的手法の一つは明らかであると考えます。それは言うまでもなく、世情の景気状況に応じた対策を講じることであります。つまり、その基本はインフレ社会なのか、またデフレ社会なのかという視点を基軸に対策に乗り出すということは極めて重要であります。
 現在の国内社会は、20年以上にわたる長期的デフレに悩まされ続けてきました。ですから、デフレ脱却のための政策を展開することが必須ということは御案内のとおりでございます。そして、その元凶たるものは、総需要の不足が主たる要因ですから、デフレギャップの穴埋めが必要になります。社会のGDPが成長しない、所得が上昇しない、これはまさに総需要の不足の一言に尽きます。一般の経済識者であれば誰もが理解しているGDP三面等価の原則から見いだせる答えです。そして、デフレだからこそ民間の市場経済が委縮することはごく自然な現象です。設備投資、科学技術投資、人的投資など、あらゆる投資が鈍化せざるを得なくなるのは当然のことと思います。それゆえ、経済の第2エンジンを担う公的機関が経済の流動性を高めるための公共投資を率先して行うことでしか、デフレ脱却の道は開かれません。
 また、重ねて申し上げますが、デフレで経済の活力が損なわれているときに、行政が過度な行財政改革等にかじを切れば、さらに経済の体力を損なうことは明らかです。加えて申せば、そのような状況下での増税は愚作の何物でもありません。
 分かりやすく400年前の時代にたとえて申し上げれば、飢饉で食糧難に至っているときに、殿様が農家に対して大幅に年貢米を要求することと全く同じことでございます。つまるところ、一揆が発生して社会構造が崩壊し、治安の安定が図れなくなるのと同じことでございます。このことは経済の本文である経世済民の道から外れています。このような場合には、中央政府は物価の適正化とともに、経済の安定化を図るため、貨幣を流通させ、地方行政とともに食料や資源の供給力強化を促し、需要を埋めることが肝要です。この経済の本質を理解した上で、政策の生かし方を考案しなければなりません。
 現在、これほど国内経済の低迷が続く中、本市においては、これまで熊本地震の特需、中心市街地の再開発という動きはあったものの、これからはその陰りが露骨に表面化するものと思われます。このことは以前の本会議質問で市長が自ら述べられていたことです。ですから、今はコロナ禍だからこそ、緊縮財政に気を取られることなく、新たな事業展望にも目を向けておかなければならないと感じる次第であります。
 そのような観点で、昨年の公共事業、公共投資の状況はどうであったか、都市建設局、経済観光局の投資環境は十分であったのかなどについて見極める必要があると思います。決算を踏まえれば、公共投資への抑制が見受けられると思いますが、令和2年度における投資的経費の状況を鑑みた上で、地域経済への影響について担当部局としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか、財政局長に御所見をいただきたいと思います。
        〔田中陽礼財政局長 登壇〕

◎田中陽礼 財政局長  投資的経費の状況と地域経済への影響についてお答え申し上げます。
 令和2年度の投資的経費は一般会計で約456億円となり、前年度の約753億円と比べ、297億円余りの大幅な減少となりました。これは、令和元年度の熊本城ホール整備事業や、桜町地区再開発事業などの大規模な施設整備が完了したことに加え、熊本地震からの復旧が進んだことに伴う災害復旧費の減によるものでございます。
 一方で、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策など、国の施策に対応するとともに、熊本市震災復興計画に基づく新たな熊本の経済成長を牽引するプロジェクトとして、熊本駅白川口(東口)駅前広場やシンボルプロムナード等の整備を行うなど、着実に都市基盤の整備に取り組んでまいりました。
 投資的経費への抑制が見受けられるとの御指摘につきましては、熊本地震の影響が大きい平成28年度以降を除き、本市の指定都市移行後の平成24年度から熊本地震発生前の平成27年度までの4か年平均と比較いたしますと、令和2年度は29億円上回る水準となっており、地域経済にも一定の効果を及ぼしているのではないかと考えているところでございます。
        〔小佐井賀瑞宜委員 登壇〕

◆小佐井賀瑞宜 委員  ただいまのお尋ねは、資産形成が不足気味ではないのかというやや厳しい視点で見解を求めたところでございましたが、地震発生前の指定都市移行後から比較すると、水準を上げているとの答弁でございました。
 確かに振り返ってみれば、拠点性を持った都市づくりが加速したことは理解できますし、望ましいことであろうと考えますので、担当部局を中心に計画的な進捗が図られてきたのであろうというふうに推察いたすところです。しかし、今日私がこのようなところに視点を置いているのは、やはり一抹の不安がよぎるからであります。それは公共投資の抑制という機運が、コロナ禍において今後も続くのではないかと考えるからであります。
 一般的に世情の声の一部には、みんなが疲弊しているから市もお金を使うな、税金を大切にしなさい、我慢しなさいと、まことしやかな論評で世間の賛同を得ようとする機運が醸成されることがございます。これこそが、俗に言うポリティカル・コレクトネスです。我々議会が正当な経済観念を所持していなければ、このようなポリコレの空気に流され、結果として経済成長の機運を損ない、デフレ脱却は程遠くなります。いつまでたっても国民、市民全体の給与は上昇せず、暮らしの豊かさを実感するには至りません。そのような意味からすれば、特に今回の決算の提示とともに、今年度も事業の組替えによる補正予算も提示されておりましたので、大変気がかりになっていたところです。
 今後も同じような空気が蔓延し、それぞれに計画すべき事業が計画立案の段階で足踏みし、得られるはずの経済効果が消失することも十分に考えられます。財源を使わないから、財政の健全化が担保されるのではなく、使ってこそ経済成長の足がかりとしなければならないのは、財政の本質であるというふうに認識をいたしております。
 何もしなければ、まちの活力、体力を損なうことが危惧されます。これまで申し述べました状況と今回提示された決算総括を見て、今後の財政出動の必要性について、市長はいかがお考えでしょうか、御所見をいただきたいと思います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  令和2年度決算における投資的経費につきましては、先ほど財政局長もお答えしたとおり、熊本地震発生前を上回る規模となったところでございます。今後も防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策や公共施設の老朽化対策、都市基盤の整備の加速化などについて、引き続き計画的に取り組んでいく必要がございます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、深刻な打撃を受けた地域経済を支えるため、制度融資に対する利子補給や緊急家賃支援などにも取り組んでまいりました。厳しい経済情勢でございますが、適切な時期に必要な投資を行うことは、雇用の創出や地域経済の回復にも寄与することとなるため、今後ともハード、ソフト両面での対策が必要であると考えております。
 このようなことから、今後想定されます国の経済対策などの動向を注視しますとともに、市債残高の増加など、財政規律にも十分留意しつつ、必要な投資を行ってまいりたいと考えております。
        〔小佐井賀瑞宜委員 登壇〕

◆小佐井賀瑞宜 委員  市長におかれましては、投資のタイミングを計っていらっしゃるというふうに理解いたしました。
 ただ、経済の成長率の低迷や災害の多発などを考えますと、日本全土、地方全域に至るまで求められる需要は幾つもございます。だからこそ市長が述べられましたとおり、国土強靭化を基軸とした基盤整備、そして事業体のバックアップなど、併せて支援する必要があると思います。
 また、先般落水議員が御進言されておられた国内ワクチン開発などの医療や科学技術投資など、拡充すべきことが山積みと考えます。今般の社会では、国、地方かかわらず、国が制定する法律に基づき、地方行政が担う業務や財政需要は高まる一方です。しかし、20年前に着手された地方交付税の大幅な削減以降、明らかに地方は疲弊気味であるにもかかわらず、地方の状況に応じた交付税の基礎的な算定基準が大幅に見直されたなどの話は聞き及びません。救済策として提示されているのは、現実的な財政需要に対応するため、臨時財政対策債という切り札で、後年度以降の財政措置を国債発行であながっているというまことに理解しがたい制度が運用されている事実だけであります。トータルで拝察すれば、地方の財政運営がいかにも政府の債務を膨らませるかのようなあしきイメージを醸成させる空気の存在が気がかりであります。
 国策として、地方の自立という理念は掲げてあるものの、現実との乖離は大変大きいと言わざるを得ません。元来、地方行政を下支えする中央政府の責務は大きいはずです。そうであれば、政府には現実問題を捉えた財政と税制の見直しは必須であります。地方は慎重な財政運営と財政出動が求められているわけですから、国においては大胆な財政運営と財政出動を行うのが本筋であり、これこそがG7でも発せられている現在の世界の潮流です。
 今回の決算審査にあたり、執行部の皆さんが投資というキーワードについて、計画的に前向きに捉えていらっしゃることを確認させていただきましたが、今議会で提示されている事業組み替えによる補正についても不安視していることは否めません。だからこそ、先般の一般質問で御提言申し上げましたとおり、地方における財政確保のあるべき姿について、今後も皆さん方と一緒にさらに研究を深めてまいりたいと感じる次第であります。
 少々長くなってしまいましたが、それではこれにて私の質疑は終結し、盟友の田島議員にバトンを委ねたいというふうに思います。お付き合いをいただきまして、ありがとうございました。
 以上です。(拍手)

○倉重徹 委員長  小佐井賀瑞宜委員の質疑は終わりました。
 次に、田島幸治委員の質疑を行います。
        〔田島幸治委員 登壇 拍手〕

◆田島幸治 委員  引き続き、自由民主党熊本市議団、田島幸治でございます。
 私からは、まず最初に令和2年度決算状況報告書の235ページ、義務教育施設整備事業についてお尋ねいたします。
 ページ下段の取組による成果と2年度に残った課題にも記載されておりますが、学校施設は老朽化が進行しているものが多く、計画的な対応が必要であるとあります。先日8月の大雨で、避難情報が発令された際、地元消防団員が避難状況を確認するため、一時避難場所に指定されている小学校に出動しました。体育館の中に入ってみたところ、雨漏りがしており、床に7個のバケツが広範囲にわたって設置されていたとのことでした。まさに学校施設の老朽化の進行を目の当たりにされた出来事であります。幸いそのときは避難している住民はいなかったということですが、大規模な災害が発生した場合であれば、使える面積が制限されたであろうことが予想されます。
 体育館などの学校施設は、有事の際の避難施設であることはもちろんのこと、第一義的には、子供たちの学びの場です。安全で良好な環境は担保されなければいけません。特に体育館は、雨漏りが続けば床の損傷など、けがや事故につながり、また、現在は新型コロナウイルス感染症の感染防止等で使用は控えられておりますが、日頃は地域の皆さんもミニバレーなどで体育館を使用されております。
 そこで2点、教育長にお尋ねします。
 1点目に、令和2年度における本市小中学校体育館の雨漏り修繕の実施件数をお示しください。
 2点目に、現在教育委員会では、何校の小中学校体育館の雨漏りを把握されているのでしょうか、小中それぞれの学校数と今後の修繕計画についても併せてお示しください。
        〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  体育館の雨漏りについてですが、令和2年度は小学校4校、中学校4校、計8校の体育館について修繕を行いました。現在小学校24校、中学校16校において体育館の雨漏りを確認しており、今年度は優先順位の高いものから、小学校6校、中学校7校の修繕を行う予定です。
 雨漏りの修繕については、令和元年度から計画的に取り組んでおり、令和5年度の修繕完了を目指しております。
        〔田島幸治委員 登壇〕

◆田島幸治 委員  現在小学校で24校、中学校で16校の合計40校で雨漏りが確認され、今年度は13校の修繕の予定ということでした。残り27校は令和5年度の修繕完了が計画されているとのことですが、施設の老朽化により、今後も修繕の必要件数は増加していくのではないでしょうか。9月は台風のシーズンでもあり、雨漏りを放置すれば、建物が加速的に老朽化していきます。早急な対応が必要と思われますので、よろしくお願いいたします。
 次に、同じく決算状況報告書235ページの最下段、検証値を踏まえた課題への対応では、学校施設の老朽化対策については、学校施設長寿命化計画に沿って、長期的な視点から計画的に長寿命化改良や予防保全を行うとされています。この学校施設長寿命化計画は、2019年1月に策定されましたが、本年3月の本委員会における我が会派齊藤委員の質疑に対する答弁でもございましたように、上位計画である公共施設等総合管理計画が今年度に見直しを予定されています。一般的には上位計画が見直されれば、個別計画についても見直しを行う必要があると思いますので、今後公共施設等総合管理計画の見直しがなされれば、個別計画である学校施設長寿命化計画自体の見直しが必要となり、計画的な長寿命化の実現はさらに先延ばしになることになります。しかしながら、施設の老朽化は待ってくれません。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。今後の具体的な学校施設の長寿命化改良や予防保全に関する計画について、どのように進めていかれるのでしょうか。
        〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  学校施設長寿命化計画につきましては、今年度策定予定であります公共施設等総合管理計画の実施計画に沿って、来年度から実施することとしております。施設の老朽化による学校施設の不具合については、今後も修繕等の対応にて、適切な維持管理を図ってまいります。
        〔田島幸治委員 登壇〕

◆田島幸治 委員  学校施設長寿命化計画については、来年度から実施されるということで安心いたしました。
 工事も大規模なものになりますし、どの学校をいつまでにどういったという計画がなされなければ、予算も立てられないと思いますので、数値目標も示した上で、計画的な予防保全が進められることを期待いたします。一方で、対処療法的な修繕等の維持管理も、明確に予算を分けて実行願います。
 体育館は入学式や卒業式など、式典の会場としても使用されますことから、学校長をはじめ教職員の皆さんも、当日に雨が降らないか、天候が一番心配ですとおっしゃられております。何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、一般会計歳入決算の寄附金についてお尋ねいたします。
 総務省が公表している資料によれば、ふるさと納税の受入寄附金額は、ふるさと納税制度発足当初の2008年には日本全体で寄附金が約81億円にとどまっていたものの、2011年に東日本大震災の災害支援の一つの形として注目を浴び、2012年以降、複数のふるさと納税サイトの開設によって、世間一般への認知が広がっていきました。
 その後、2015年度の制度改正により、控除限度額が2倍になった後の返礼品競争の激化により、一気に受入寄附金額は増加していきました。
 返礼品競争の過熱化により、2017年には総務大臣より通知がなされましたが、その後の制度趣旨を踏まえた適切な対応後においても、昨年2020年には受入金額が約6,725億円、受入件数は約3,489万件とさらに増加してきており、今後もさらなる市場規模の拡大が予想されています。
 近年では、寄附する自治体を返礼品で選ぶという認識も定着しているようです。そもそも寄附金は、本来無償の行為であるべきものですが、ふるさと納税制度による寄附については、世帯別金額控除の上限はあるものの、所得控除と住民基本控除、特例控除を組み合わせることで、寄附額から2,000円を差し引いた金額の税額控除を受けられます。令和3年度課税における控除額の実績は、全国で約4,311億円、控除適用者は約552万人となっております。
 そこで、本市における寄附金収入額は、2016年の熊本地震発生時に災害支援としての寄附金をピークに下降傾向にあります。全国のトレンドから推測すると、他の市町村への流失は否めませんが、現状の推移をお示しください。
 1点目に、本市ふるさと納税の寄附金収入額について、過去5年分の推移を、2点目に、ふるさと納税による減収額について、過去5年分の推移をお示しください。3点目に、昨年11月に返礼品のリニューアルが行われているようですが、令和2年度の決算において、どの程度影響があったのでしょうか。
 以上3点を政策局長にお尋ねいたします。
        〔田中俊実政策局長 登壇〕

◎田中俊実 政策局長  ふるさと納税に関するお尋ねについて、順次お答えいたします。
 ふるさと納税の寄附金収入額の推移については、平成28年度は36億8,669万円、29年度は12億156万円、30年度は6億7,616万円、令和元年度は3億8,912万円、2年度は6億1,477万円となっております。
 寄附金税額控除額の推移につきましては、平成28年度は3億2,354万円、29年度は6億3,888万円、30年度は9億1,467万円、令和元年度は9億5,212万円、2年度は14億205万円であります。
 農畜産物等の返礼品の拡充による寄附金収入額の影響につきましては、拡充を行った令和2年11月から令和3年3月までの寄附額と前年同期を比較しますと、2億9,005万円の増加となっております。
        〔田島幸治委員 登壇〕

◆田島幸治 委員  ありがとうございました。
 本市においても住民税等の減収額の推移から、ふるさと納税が定着していることがうかがえるのではないでしょうか。一方で、収入額の推移を見て見ますと、熊本地震の災害に対する寄附金以外では、返礼品に力を入れていなかったように思えてなりません。
 私がこの質問をしたのは、当時の返礼品の少なさに、熊本市はふるさと納税の受入れはしていないのではないかと思えるくらいで、実際に昨年10月末まで20の返礼品しかありませんでした。しかし、昨年11月のリニューアルで、農畜産物などの拡充が図られ、約5倍の108の返礼品に増えております。これは非常に評価できるものと考えます。今後の収入額の増加も期待できるのではないでしょうか。
 このように、全国、また熊本県内他市町村の実績を見ても、災害支援は別といたしましても、やはり農水産物の返礼品が充実している市町村は上位にランキングしております。農業県の本市においても農業生産額では全国上位に位置しており、昨年からのコロナ禍においても、食に関する巣ごもり需要も見込めることから、まだまだ伸び代があるのではないでしょうか。
 本市はこれまでにも、首都圏によるプロモーション活動やオンラインを活用したトッププロモーションなど、様々な取組によって農水産物の販路拡大、ブランド化を目指してきました。しかし、先ほど紹介したように、既に数千万件規模となっているこのふるさと納税制度についても、農水産物の新たな販路の一つと捉えた戦略も必要になってきているのではないかと私は考えております。
 そこで、ふるさと納税制度を活用した農水産物のブランド化、競争力の向上について今後どのように進めていくのか、農水局長にお伺いいたします。
        〔岩瀬勝二農水局長 登壇〕

◎岩瀬勝二 農水局長  現在本市では、熊本産品のブランド化を推進し、新たな販路を開拓するため、大消費地でのアンテナショップの設置やeコマース市場を効果的に活用した事業等を展開しているところでございます。全国規模で多くの人々に利用されているふるさと納税制度についても、そのスケールメリットから、熊本産品の認知度アップにつながる一つの有効な機会として認識しているところでございます。
 今後、出品条件を充たす多くの生産者の参加を得て、豊かで上質な熊本産品というイメージがブランドとして定着すれば、競争力向上にもつながるものと考えております。事業参加に当たっての課題把握に努めながら、引き続き生産者等に対し、事業への参加を呼びかけてまいりたいと考えております。
        〔田島幸治委員 登壇〕

◆田島幸治 委員  ありがとうございました。
 返礼品は安定して供給されなければいけないことから、葉物野菜等は難しいかもしれませんが、JAと共同した季節の野菜ボックスや野菜の定期便などであれば、可能と思われますので、今後検討する価値はあると思います。
 総務省のふるさと納税ポータルサイトに、ふるさと納税には3つの大きな意義がありますと示されております。その第3に、自治体が国民に取組をアピールすることで、ふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと、それは選んでもらうにふさわしい地域の在り方を改めて考えるきっかけへとつながりますとあります。
 これまで返礼品ばかりを述べてまいりましたが、寄附金の使い道にも工夫を凝らしながら、納税者が熊本に対してさらに関心を持ってもらい、共に豊かになることを期待して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○倉重徹 委員長  田島幸治委員の質疑は終わりました。
 次に、大石浩文委員の質疑を行います。
        〔大石浩文委員 登壇 拍手〕

◆大石浩文 委員  自由民主党熊本市議団の大石浩文でございます。
 会派の最後の総括質疑を務めるに当たり、スムーズな質疑を心がけたいと思いますが、感染症対策上必要なマスク着用でのやり取りとなりますので、皆さんも日頃感じていらっしゃるように、多少しゃべりづらく、また、表情も分かりにくいため、感情や気持ちが伝わりにくいという弱点がございます。マスク越しのコミュニケーションを効果的に行うためには、抑揚のある声による表情に加えて、目元の表情がとても大事だそうですので、私ももちろん心がけますが、市長はじめ執行部の皆さんにもぜひその点に御留意の上、御答弁をいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、通告の最初の項目、令和2年度決算における働き方改革の現状と課題であります。新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大や大規模な自然災害などの危機的な事態が生じる中、住民の安全・安心を確保するため、全国各地の自治体で公務員の方々が日々全力で職務に精励しておられます。改めて、この未曽有の事態において厳しい環境の下、困難な業務に対し、誇りをもって真摯に取り組んでおられる本市をはじめとした公務員各位に対しまして、心からの敬意を表します。
 そのような状況の一方で、国においては、近年就業意識の多様化や勤務環境への関心の高まりなどを背景に、国家公務員の志望者が減少し、若年層職員の離職も増加しているといわれております。このことは、先月10日に人事院勧告で示された公務員人事管理の現状と課題の報告においても、人材の確保は喫緊の課題だと指摘されており、さらには公務職場全体の魅力を高め、個々の職員が意欲を持って全力で働ける環境を実現するためには、幹部職員の組織マネジメントが極めて重要であるとも述べられています。
 加えて、仕事と家庭生活の両立が図られるよう、長時間労働の是正が必要であり、勤務時間の柔軟な運用によるテレワークの活用と、職員の事情に応じた働き方が可能な働きやすい勤務環境の整備が求められているとし、具体的な取組を求めています。
 このことは、多くの自治体で取り組む働き方改革の抱える課題とほぼ一致するものであり、そのような視点から、本市の現状と課題について質疑を行います。
 お手元のタブレットに添付させていただいた資料1には、令和2年度までの5年間の職員の超過勤務と決算額の推移、また、時間外が月80時間を超えた職員数の3年間の推移と年休の年間平均取得日数、そして、資料2、3に、80時間を超える職員の局別の状況が示されております。
 資料からは、熊本地震の発災、新型コロナウイルス感染症への対応という特殊要因はあるものの、平成28年を除けば、超過勤務時間数はほぼ横ばいですが、月80時間を超える職員数は、3年で約1.82倍、倍増に近い数値となっています。
 そこでお尋ねしますが、このような推移の状況をどう捉えていますか、また、この状況を踏まえ、長時間労働の是正に向けては、具体的にどのような取組を行っていますでしょうか、あわせて、職員が能力を発揮できる環境実現のために重要とされる管理職のマネジメント能力向上の取組状況について、総務局長の御答弁をお願いいたします。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  本市職員の時間外勤務は、熊本地震発災前の平成27年度と比べ、大幅に減少はしているものの、近年はおおむね横ばいの傾向にございます。しかしながら、昨年度以降、新型コロナウイルス感染症対応に伴い、保健所をはじめとする特定の部署を中心に時間外勤務が月80時間を超える職員が増加している状況にございます。このようなことから、全庁的に積極的かつ抜本的な事務事業の見直しに取り組み、事務事業を縮小、延期することなどにより、生み出した人員を保健所業務にシフトすることなどにより、時間外勤務の削減を図っているところでございます。あわせまして、全体的な時間外勤務の削減を図りますために、職場ごとに目標値設定や時間外勤務のルールの徹底に加え、事務の効率化や簡素化、職員の意識改革等に全庁一丸となって取り組んでいるところでございます。
 また、管理職のマネジメント能力向上の取組につきましては、課長級承認者を対象に研修を実施しているほか、昨年度から新たに幹部職員や所属長を対象とした外部講師による働き方改革研修を実施しているところであります。
 引き続き様々な機会を捉え、管理職のマネジメント能力向上に取り組んでまいりたいと考えております。
        〔大石浩文委員 登壇〕

◆大石浩文 委員  本市職員の時間外勤務は、令和2年度において決算額で約15億7,000万円、時間数は約61万時間ほどで、ここ数年横ばいの状況であり、まだまだ長時間労働の是正には至っていないようであります。また、時間外勤務が80時間を超える職員数は増加傾向にあるとともに、お話にもありました局別状況に見られるように、特定部署への偏りが顕著となっております。
 改善に向けた取組について御説明いただきましたが、増加し続ける行政課題、また、公務という特殊性もあり、自治体において恒常化する長時間労働は、民間企業以上に解消が困難であることを示しているようであります。
 続けて、働き方改革における多様な人材が働きやすい環境の整備について伺います。
 午前の質疑と一部重複しますが、令和2年度5月補正にて、職員3,000人分のテレワーク環境整備予算を計上されましたが、現在の整備状況と今後の取組をお示しください。
 また、テレワーク実施の状況及び実施についての職員の方々の受け止めはどうであったか、さらには、今後の展開はいかがお考えでしょうか。
 また、資料の中途退職者、特に普通退職者ですが、また、病気休職者の状況は共に増加傾向にありますが、その要因をどう捉えていますか。
 さらに、どのような対応が必要と考え、取組を進めているのでしょうか。
 総務局長にお伺いいたします。
        〔宮崎裕章総務局長 登壇〕

◎宮崎裕章 総務局長  昨年度は、テレワークに必要なパソコンや通信環境整備を段階的に進め、約3,000台での利用が可能となったところでございます。今後は、テレワークの実施状況を踏まえ、より安全で使い勝手がよい手法について検討してまいりたいと考えております。
 このテレワークにつきましては、昨年6月のテレワーク用パソコン導入以降、整備台数の増加に伴い、実施人数も増えており、約3,000台の整備が完了した本年2月以降においては、1月当たり延べ約1万人の職員が実施しているという状況にございます。職員からは、集中して業務ができた、今後も実施したいなど、前向きな意見が多く寄せられているところでございます。今後、行政事務のデジタル化に向けました業務プロセスの見直しや組織風土の醸成、運用面におけます改善等を図りながら、テレワークを多様な働き方の一つとして浸透させ、生産性の高い市役所の実現につなげてまいりたいと考えております。
 次に、中途退職者の増加要因ですが、20代~30代の職員の普通退職の増加によるもので、その多くはほかの行政機関等への転職や家庭の事情など、自己都合を理由とするものでございます。そのような中途退職者を抑制するため、職員が働きがいを感じ、長きにわたり持てる力を最大限発揮してもらえるような職員満足度の高い職場環境の整備に努めてまいります。
 また、休職者につきましては、メンタル不調によるものが7割程度で推移しており、その要因につきましては、職員のプライベートに関するものや仕事に関するものなど、多岐にわたっています。このように、個々の職員が置かれた状況は異なることから、産業医のカウンセリング等きめ細かな対応を継続して行い、一人一人に寄り添いながら働きやすい職場環境づくりに努めてまいります。
        〔大石浩文委員 登壇〕

◆大石浩文 委員  コロナ禍の影響もあり、課題はあるものの、テレワークの環境整備と実施が進んだこと、また、職員も前向きに受け止めていることは、働きやすい職場づくりの有効策として認知されつつあるといえます。
 若い職員の中途退職者数の増加というのは多少気になる傾向ですが、局長の言われた職員が働きがいを感じ、持てる力を最大限発揮できるような職員満足度の高い職場環境、多様な働き方を選択できる環境の実現を目指し、根気よく改革を継続していただきたいと思います。
 しかしながら、過去から現在まで、また、将来に向けても増加し続ける新たな行政課題の数々、公務という特殊性から自治体が主体的に事業範囲を見直すことに限界はありますが、放置すれば事務事業の数は右肩上がりに増大し続けることとなり、当然のこととして、職員数など行政サービス実行の担い手に応じた事務事業の数量削減は、避けることのできない大きな課題です。そのような中にも、長時間労働の本質的な原因、要因を究明し、課題分析、有効な対策を導き出そうとの組織的な取組は極めて重要であり、単に職員の意識改革を求めるだけでなく、現在の意識形成に影響を与えている様々な要因にも着目し、組織的な対策を同時に講じていく必要があると考えます。
 また、超過勤務の現状からは、明らかに部署や職員による偏りが見られますので、業務量の適正化とともに、職員の配属履歴や適性からくる職員個々の生産性も考慮した職員配置に努めることで、より実効性の高い定員配置を実現する必要があるのではないでしょうか。
 これまでは、長く職員定数の削減が行政改革の主要施策とされてきました。しかし、現状は地震をはじめとした災害対応や感染症対策など、今後想定される危機を念頭に置いた専門職の配置など、必要な人員の確保が避けられない状況にあり、長期休業、各種休暇取得等を見込んだ中での適正な職員定数の設定が求められていると考えます。
 本市においては、令和2年2月に策定された第6次熊本市定員管理計画において、令和元年度~5年度まで5年間で160人の職員を削減することとしていますが、このような現状を見れば、定員圧縮には限界感があり、削減による本来業務への支障や行政サービスの低下なども指摘されており、職員削減には慎重な対応が求められます。
 そこで、市長にお尋ねいたします。前述の長時間労働の是正などの課題を踏まえた働き方改革の推進に対するトップとしてのお考え、また、現行第6次熊本市定員管理計画の見直しに対してはどのようなお考えをお持ちでしょうか、御答弁をお願いいたします。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  働き方改革の推進と定員管理計画についてお答えいたします。
 本市では、テレワークの推進等多様なワークスタイルの構築に向けた取組はもとより、業務プロセスの改善や事務事業の見直しに積極的に取り組む等、働き方改革を強力に推進しているところです。この取組を推進することは、職員がその能力を最大限に発揮することができる環境を整え、職員の働きがいや働きやすさを実現する上で、極めて重要であります。
 また、この働き方改革の推進によって生み出された人的資源を本市の重要施策等に再配置するなど、定員管理計画の下、適正な人員管理に努めているところでございます。
 人員管理に当たりましては、社会情勢の変化や新たな政策課題等に迅速かつ柔軟に対応することが重要であると考えておりまして、定員管理計画についても適切な行政運営に必要な人員の確保に十分に意を用いながら適宜見直しを行ってまいりたいと考えております。
 今後もこれらの取組によりまして、限りある行政資源を有効に活用しながら、将来にわたり持続可能な市政運営を実現してまいりたいと考えております。
        〔大石浩文委員 登壇〕

◆大石浩文 委員  定員管理計画については、適切な人員確保に意を用い、適宜見直しを行うとのことでした。長時間労働の是正により、時間外勤務が仮に3割、4割と削減されれば、必要な専門職など新たな人材がどれだけ確保できるだろうかとも考えてしまいます。今後、業務量の適正化とともに職員の生産性も考慮した、より実効性の高い定員配置を実現していただきたいと思います。
 働き方改革とは、ネーミングに手段が用いられたことから、何をするのか分かりやすい反面、共有すべき行政サービスの向上と目的を見失いかねません。困難な中にも根気よく、最大の経営資源である職員のモチベーションと能力の向上を目指した環境整備を着実に前に進めていただくようお願いいたします。
 それでは、次の項目に移ります。
 御存じのように、コロナ禍の中で、開催の是非が問われた東京オリンピックに引き続き、東京パラリンピックが開催され、今月9日にその幕を閉じました。自国開催によってこれまで余り目にすることのなかった様々なパラスポーツにふれ、私たちはその魅力に引き込まれるとともに、苦難を乗り越え、それぞれの競技において能力の限界に挑むパラアスリートの方々の姿に大きく心を揺り動かされました。競泳男子で3つのメダルを獲得した本市出身の富田宇宙選手は、首にかけたメダルの重みにこうコメントをされました。
 私だけの力では取れなかった。パラリンピックはオリンピックよりもたくさんの方々の力が必要なのです。24時間支えられて競技ができる、それが全部詰まったメダルです。そしてさらに、今は見えない自分にも可能性があると思えるようになったとも語っています。
 長い月日、幾多の困難や挫折とも闘ってきたパラ選手たちの言葉は、コロナ禍ですさみがちな多くの市民の心に力強いエールを送ってくれました。共生社会の実現という大会の理念に思いをはせ、多くのパラリンピアンの栄誉をたたえ、心から拍手を送りたいと思います。
 本市においては、このパラリンピックの理念と同じく、共生社会の実現を目指し制定された条例が熊本市手話言語条例であります。平成30年9月の一般質問において、私も手話言語条例の早期制定を大西市長にお願いいたしましたが、その1年半後の令和2年2月定例会に提案、議決していただき、同年4月からの施行というまさに早期制定が実現された条例であり、市長をはじめ執行部の皆さんには深く感謝をしております。
 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、市の責務、市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策について定めています。また、施策の推進について、市は具体的に6項目の施策を実施するものとし、必要な財政上の措置を講ずるよう努めると規定しています。
 そこでお尋ねですが、この条例施行初年度の令和2年度においては、条例に規定される手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する施策、手話通訳士等の確保及び養成に関する施策など6項目について、条例施行前と比較し、具体的にどのような取組を推進し、そのために必要な予算措置を行われたのでしょうか、健康福祉局長にお尋ねいたします。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  熊本市手話言語条例制定に伴う取組につきましては、条例第7条第2項に規定する具体的な方針として、障がい者の方々や関係団体等より意見を聴取の上、本年7月に熊本市手話に関する施策の推進方針を作成したところであり、また、令和2年4月の条例施行後、直ちに市長記者会見への手話通訳者の配置を開始したところでございます。
 今後はこの推進方針に基づき、遠隔手話サービスの導入、手話動画の作成、字幕の挿入、事業進捗管理のための会議等の取組を計画しておりまして、あわせて必要な予算を確保してまいります。
        〔大石浩文委員 登壇〕

◆大石浩文 委員  条例施行後の取組については、残念ながら令和2年度には特になく、本年7月に施策の推進方針を策定したので、今後の計画において予算確保に努めるとのことでした。
 聾唖者をはじめとする聴覚障害の方々は、条例の制定によって手話への理解が深まり、普及が図られ、手話を使いやすい社会環境が広がることに大きな期待を寄せています。今後は、聾唖者をはじめとする聴覚障害の方々、関係団体との密な協議を重ねていただいて、合意形成を図りながら着実に効果的な施策の実現へと取り組んでいただきますよう、お願いいたします。
 次に、本条例に関連し、決算状況報告書の111ページに記載があります手話通訳者等派遣事業についてお尋ねいたします。
 手話通訳者等派遣事業とは、聴覚等に障害のある方が官公庁や学校等の公的機関や病院などに赴く場合や、講演会や研修会に参加するときなど、円滑に意思疎通ができるように手話通訳者などを派遣する事業で、以前はメニュー事業でしたが、現在は市町村必須事業となっており、その位置づけが強化されています。
 決算状況報告書には、利用件数のみ記載がありますが、事業実施の状況と決算の詳細についての説明を健康福祉局長にお願いいたします。
        〔石櫃仁美健康福祉局長 登壇〕

◎石櫃仁美 健康福祉局長  本市の手話通訳者等派遣事業につきましては、一般財団法人熊本県ろう者福祉協会に業務を委託しております。令和2年度における手話通訳者等派遣事業全体の利用件数は2,005件であり、利用経費の内訳につきましては、手話通訳者への謝礼として、4時間以上利用分が1件6,000円で282件の利用に対し169万2,000円、4時間未満が1件3,000円で1,723件の利用に対し516万9,000円、通訳者の公共交通機関や私用車への利用料として125万1,000円余、協会に対する事務費として15万円、合計の826万2,000円余となっております。
        〔大石浩文委員 登壇〕

◆大石浩文 委員  近年、市民の聴覚障がい者や手話に対する理解も進み、手話を学習する人も年々増え続け、説明いただきましたとおり、資料4にもありますが、本市の派遣件数も増加傾向にあり、令和元年度2,392件、令和2年度はコロナ禍の影響で微減となりましたが、2,005件、県内他市町村と合計しますと、4,053件となっており、今後手話通訳者の養成、派遣等のさらなる充実に向けた取組が必要になっております。
 また、御説明いただいたように、手話通訳者派遣については、現在熊本県ろう者福祉協会が本市だけでなく県内他市町村の委託を受けて、中央区水前寺の熊本聴覚障害者総合福祉センターにおいて、2名の職員の方が自らも手話通訳を担当しながら手話通訳派遣コーディネーターとして業務を担当しているようであります。
 コーディネーターの方の業務内容は、適正な通訳派遣の調整だけでなく、派遣終了後の聴覚障がい者や手話通訳者からの相談、その他の事務的な仕事も含まれ、内容が多岐にわたり、年々業務量も増え、大変な激務となっているとのことであり、体調に支障を来すほどの状況になっているそうです。
 昨年コーディネーターの方は、過労が重なり、手話通訳者の職業病といわれる頚肩腕症候群を発症され、休職され、また、もうお一方のコーディネーターの方も、過度な業務負担により体調を崩され、現在も休みがちの状況にあるとのことでした。このように協会においては、増加する派遣件数を現状の2名体制で賄うには限界の状況にあり、コーディネーターの増員が不可欠となっており、このままでは残念ながら県内の半数を占める本市の派遣事業の委託を引き受けることができない状況にあると、今後の継続について大変危惧しておられます。
 しかしながら、資料のとおり、この5年間は派遣事業の事業費のほとんどが手話通訳者への報償費や交通費で、協会への事務費がわずかに年間15万円のみとなっており、コーディネーターの人件費等は含まれていないのが現状です。聞くところによると、協会が近年委託を更新した人吉市、天草市、益城町など、上益城郡の自治体など12市町とは事務費1件1,000円にて受託しており、今後は他の自治体とも同額での受託を依頼していきたいとの方針のようです。
 ここ数年2,000件を超える派遣を委託しています。本市の現状の事務費、年間15万円は、1件当たりに換算すれば、令和2年度で1件約75円、令和元年度においては、1件約63円での委託になります。この5年間を見ても、他市町村の負担する事務費との差は余りに大きく、誰が見ても事務費の見直しは急務ではないかと感じますが、いかがでしょうか。
 また、気象庁の緊急記者会見や新型コロナウイルス感染症対策の政府や知事、市長の会見等にも手話通訳が配置されるようになりまして、近年手話通訳の必要性についての社会的認知は確実に向上しているものの、その一方では、手話通訳者の高齢化が進み、担い手不足が起こっており、高度な業務水準に対応できる手話通訳者への業務の集中による健康問題も指摘されています。
 まだまだ手話通訳はボランティアとの考えが強く、社会的に必要な事業として評価されていない状況であり、手話通訳者の待遇改善や正規職員雇用の確立が強く求められています。
 そこでお尋ねいたしますが、ここ数年、本市において2,000件を超える派遣件数となっております手話通訳者等派遣事業においては、委託を今後継続をしていくのであれば、新たなコーディネーターを派遣するか、もしくは新たに雇用できる程度の事務費へと改善すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、高齢化による担い手不足や健康問題が指摘される手話通訳者の待遇改善についても、条例に規定を持つ本市としても、積極的に取り組んでいただきたいのですが、いかがお考えでしょうか、大西市長の考えをお示しください。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  聴覚に障がいのある方の福祉向上と社会参加を進めるためには、情報の獲得やコミュニケーションが保障されることは必要不可欠でありまして、手話通訳者の担う役割は大変重要なものと認識しております。このような中、本市においても手話通訳者の高齢化や担い手不足は喫緊の課題であると考えております。現在課題解決のための仕組みづくりを担当部局に指示しておりますところでございまして、できるだけ速やかに熊本県ろう者福祉協会と事務費や派遣費等について協議してまいりたいと考えております。
        〔大石浩文委員 登壇〕

◆大石浩文 委員  ありがとうございました。
 事務費については速やかに協議するとの答弁でしたが、必ず改善するとの市長の気持ちは、マスク越しでも、目元の表情から私には伝わりました。事業継続のための適正な事務費への見直しとともに、担い手が不足している手話通訳者の待遇改善についても、本市が先頭に立って取り組んでいただくようお願いしておきます。
 県内唯一の手話言語条例の趣旨に沿って、手話への理解を深め、聴覚障がい者が手話を使用して安心して暮らすことができる地域社会の実現とともに、ひいては条例の理念にある共生社会の実現へとつながっていくことを期待いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○倉重徹 委員長  大石浩文委員の質疑は終わりました。
 以上で自由民主党熊本市議団の質疑は終わりました。
 総括質疑の途中ではありますが、本日の審査はこの程度にとどめ、残余につきましては、明14日(火曜)、午前10時から再開したいと存じます。
 これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
                            午後 2時13分 閉会


出席説明員
   市長       大 西 一 史    副市長      深 水 政 彦
   副市長      中 村   賢    政策局長     田 中 俊 実
   総務局長     宮 崎 裕 章    財政局長     田 中 陽 礼
   文化市民局長   横 田 健 一    健康福祉局長   石 櫃 仁 美
   環境局長     三 島 健 一    経済観光局長   田 上 聖 子
   農水局長     岩 瀬 勝 二    都市建設局長   井 芹 和 哉
   会計管理者    大 関   司    代表監査委員   井 上   学
   教育長      遠 藤 洋 路

議会局職員
   局長       富 永 健 之    次長       和 田   仁
   議事課長     池 福 史 弘    政策調査課長   上 野 公 一
 
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