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熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2023年06月20日 定例会

令和 5年第 2回定例会

  令和5年6月20日(火曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第2号                         │
│ 令和5年6月20日(火曜)午前10時開議                │
│ 第  1 一般質問                           │
└─────────────────────────────────────┘
                            午前 9時59分 開議
田中敦朗 議長  ただいまより本日の会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  日程第1「一般質問」を行います。
 発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
 まず、北川哉議員の発言を許します。北川哉議員。

         〔23番 北川哉議員 登壇 拍手〕

◆北川哉 議員  皆様おはようございます。熊本自由民主党市議団の北川哉でございます。
 今回は改選後初めての一般質問になりますが、熊本市議会の新たなスタートを飾るトップバッターとして登壇させていただく機会を与えていただき、先輩、同僚議員の皆様に心から感謝申し上げます。
 今回の市議選にて、皆様の温かい御支援をいただき無事に2期目を迎えることができ、引き続き市民の負託に応えられるよう誠心誠意、議会活動に取り組んでいきたいと決意を新たにしているところであります。
 1番バッターはほとんど経験がありませんが、熊本市政のリードオフマンになれるかがかかる質問ですので、大西市長をはじめ執行部の皆様から、できれば先頭打者ホームランの回答を引き出せればいいのですが、少なくともヒットで出塁ぐらいの成績だったねと言われるように、凡退しない質問にしたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 令和2年1月、世界を感染症の脅威に陥らせた新型コロナウイルス感染症は、日本にも感染症の恐怖を植え付け、私たちの生活を、そして人間の心や絆を奪うものとなりました。現在でも収束とまでいかない状況です。
 新型コロナウイルス感染症の位置づけは、これまで新型インフルエンザ等感染症、いわゆる二類相当となっておりましたが、令和5年5月8日から五類感染症になりました。
 これまで一般質問で私からは、新興感染症の認識、保健所・検査医療体制、病床増床、救急医療提供体制、差別・偏見・風評被害、医療非常事態宣言による病床数、ワクチン接種予約方法・回数・周知方法、経済観光への影響について質問させていただきました。
 収束した状況でありませんが、五類感染症となり、昨年12月には改正感染症法も成立し、感染症に対して新たな対策及び今後の脅威に対する対応が求められる形となりました。
 そこでお尋ねいたします。
 今後、新たに感染症が蔓延した場合の病床確保や感染症防止対策等について、これまでの3年間でのフィードバックや仕組みとして残すものはありますか。また、改正感染症法への対応状況をお示しください。
 健康福祉局長にお尋ねいたします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  新型コロナウイルス感染症への対応の経験を基に、改正感染症法への対応状況につきましてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、本年5月8日より感染症法上の位置づけが五類感染症となり、大きな転換点を迎えています。今後の新興感染症等への対策につきましては、昨年12月の感染症法の改正に伴い、国から基本方針等が順次示されています。
 具体的には、これまでの新型コロナウイルス感染症対策等の検証を踏まえ、平時からの医療機関との協定締結による発熱外来や病床の確保、発生予防や蔓延防止施策、検査体制・能力の向上等を盛り込んだ感染症予防計画につきまして、都道府県では関係機関で構成される連携協議会を新たに設置して見直すことや、保健所設置市にも計画策定が義務づけられました。
 本市におきましても、県の予防計画見直しと連動した本年度末の計画策定に向けて、約3年、計8回にわたる感染拡大の波ごとの対策と対応における課題等の検証作業をはじめ、感染症予防計画の実行性を担保するための保健所体制の強化等に係る健康危機対処計画の策定作業にも着手しております。
 また、新興感染症発生・蔓延時における医療体制構築の指針ともなる第8次熊本県保健医療計画の熊本・上益城医療圏での重点取組の見直しにも着手したところであり、今後も県や医療関係者、関係団体と緊密に連携を図りながら新興感染症等に備えてまいります。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  これまでの3年数か月に及ぶ感染症との闘いの中での教訓を今後も生かせるように、また必ず生かさなければいけないとの思いで質問させていただきました。
 国からの基本方針が順次示され、感染症予防計画の策定を保健所設置市として義務づけられ、健康危機対処計画の策定にも着手されているとの御答弁をお聞きして心強く思いました。
 連携協議会設置など県との連携についても、コロナ対策の中では、県と保健所設置市との間で入院調整が円滑に進まない、応援職員の派遣のニーズを共有できない、迅速な情報共有ができないなど連携が十分でないケースが見られました。
 その課題を解決すべく、入院調整の方法や医療人材の確保、保健所体制・検査体制の方針、情報共有の在り方などについて、予防計画に基づく取組状況を定期的に報告し相互に進捗確認するという観点から、平時からの連携強化や綿密な準備、感染症発生・蔓延時における機動的な対策の実施を図ることを目的とした協議会の設置の取組は大変重要なことと思います。これが確実に実行できるように期待します。
 本市では、これまでの教訓を踏まえ、新興・再興感染症への備えを行うとともに、地域経済、市民生活の再建、さらに発展に取り組むとし、熊本市経済再建・熊本市生活安心プランの改定を進めているとお聞きしました。この改定内容には、今回の質問の内容と同様のものが多く含まれており、改定が終了し、公表されましたら注視し、その実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 感染症法では、感染症について、感染力や感染した場合の重篤性などを総合的に勘案し、一~五類等に分類し、感染拡大を防止するために行政が講ずることができる対策を定めています。
 先ほどの質問の中でお答えいただいた改正感染症法についての対応に関しては理解できましたが、次は具体的に致死的状況を招く感染症が蔓延した場合、また、その状況が迫った場合の対応を教えてください。
 確かなこととして、一類感染症が日本で発生した場合は国が対応に入ることになりますが、本市としても、その場合の対応状況を把握しておくことは重要だと思います。
 一類感染症が本市で発生した、もしくは危機が迫った場合の詳しい対処方法をお示しください。例えば都市封鎖などの対処方法はどうでしょうか。
 健康福祉局長にお尋ねいたします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  致死的感染症への対応についてお答えいたします。
 感染症法により、類型ごとに実行できる措置及びその実施主体が定められており、エボラ出血熱などの一類感染症の場合、保健所設置市長は就業制限や入院勧告、汚染された場所の消毒等の措置を行い、消毒だけでは蔓延を防止できない場合は、患者のいる場所や病原体に汚染されたおそれのある建物を封鎖、交通を制限または遮断することができます。
 しかしながら、交通の制限や遮断は社会的影響が極めて大きいことから、必要最小限度のものでなければならず、また、措置の一部は人権の制限を伴う強制力があることから、感染者やその家族等の人権を尊重し、関係者が差別的な扱いを受けることのないよう実施する必要があると考えております。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  詳しい対処方法をお答えいただくことが難しいのは、あらかた思っておりました。
 各類型に対して実施する措置として示されているものも、お答えいただいた就業制限、入院勧告、建物の封鎖、交通の制限または遮断等でありますし、感染力の違いや感染経路も、今回の新型コロナウイルス感染症のように空気や飛沫感染と分類できない場合もあり、保健所設置市のみで対処できるものではないというのも理解します。
 しかしながら、国の水際対策では、封鎖に対する具体的な防疫訓練も行われていると思います。3年以上も苦しめられた新型コロナウイルス感染症との違いはあれど、致死的感染症に対しての防疫訓練が保健所設置市で行われるようにしていく必要性を感じます。社会的影響や人権的配慮、物流の途絶による生命の危機等があることも考えなければいけませんが、感染症の蔓延はそれこそ災害だと思います。災害訓練があるように、防疫に対する意識を市としても持ってもらえることを期待します。
 次の質問に移ります。
 今後の感染症蔓延に対しての対策について質問しましたが、今現在を考えると、五類感染症としての位置づけもあり、新型コロナウイルス感染症前の日常に戻りつつあります。
 これまでの3年数か月を振り返りますと、国の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、熊本県では熊本蔓延防止宣言、熊本市独自では医療非常事態宣言と発令されました。感染力が強く、感染の急拡大、病床が逼迫する状況で、命を守るためには必要な措置であったと私は思っております。
 その宣言があった中、私からは感染症による経済・観光への影響及び今後の取組についてと質問したことがあります。熊本城天守閣内部公開の延期、東京オリンピック聖火リレーも無観客で実施されたこと、JR熊本ビルのアミュプラザくまもと開業に関しては、式典等開業に伴う行事は感染対策が取られた中で行われたことなど、多くの行事が中止・延期・縮小となることを質問させていただき、熊本地震から復興した熊本の姿を、そして行政としての熊本市の魅力発信、多くの方に訪れていただき熊本を好きになっていただける政策についての答弁をいただきました。
 私もその言葉を信じ、感染症収束を待っての時期を、この質問をしたのが国内初感染から1年が経過したときでありましたので、それから2年以上をこの思いを成し遂げることなく過ごしてまいりました。
 そこでお尋ねいたします。
 コロナ禍の3年間で利用予定だった市関連施設へのイベントやコンベンション開催の再検討などの呼びかけや計画はありますか。また、今後の誘致に関しての戦略があればお聞かせください。
 経済観光局長にお尋ねいたします。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  新型コロナウイルス感染症で影響を受けましたイベント等への対応についてお答えいたします。
 本市施設で予定されておりました各種催事は、中止・延期となったものをはじめ、規模の縮小やオンライン・ハイブリッド方式での開催に変更されましたことから、熊本を訪問していただく機会が減少したところでございます。
 そこで、本市では、熊本国際観光コンベンション協会や施設管理者などと連携の上、中止・延期となった催事主催者に対し、コロナ収束後の開催に向けての働きかけを行ってまいりました。
 その結果、学会などのコンベンションにつきましては、先日開催されました人工知能学会をはじめ、数多くが本市で既に開催済み、もしくは開催予定など、活動の成果が出てきているところでございます。
 また、イベント開催基準の緩和や新型コロナウイルス感染症の五類移行に伴い、民間主催のイベント開催の動きも活発化してまいりましたことから、本市各施設で開催されるイベントやコンサートなどの誘致活動も強化しているところでございます。
 今後の誘致戦略につきましては、コロナ禍を踏まえた市場分析を行うとともに、熊本県へのTSMC進出を好機と捉え、半導体関連の国際会議や国内外からの誘客を伴うイベントなど、具体的なターゲットを定めた上で各主催者に効果的な誘致活動を行うこととしており、引き続き本市のにぎわい創出と地域経済の活性化に努めてまいりたいと考えております。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  コロナ禍の中では、本市経済対策や各種催事に関する様々なことに大変な苦労があったことと思います。開催基準の変更や感染防止対策、それこそ世論や社会の風潮による開催断念や規模縮小の判断にも大変苦労しましたし、皆様が悩まされました。
 そのような中で、いま一度ここ熊本市で催事開催を計画していただくこと、そして足を運ぼうと思っていただけることが重要だと思い、質問させていただきました。
 今回質問したことにより、誘致戦略課及び経済観光局内の各部署での取組がよく分かり、職員の皆様の心意気が大変期待できるものでした。その意気をこれからも持ち続けて、熊本市の発展に何とぞ力を入れていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 続きまして、少子化対策について質問いたします。
 政府は平成16年、2004年度版少子化社会白書において、合計特殊出生率が人口置き換え水準をはるかに下回り、かつ子供の数が高齢者人口(65歳以上人口)よりも少なくなった社会を人口減少社会と定義しております。それを基にして、日本の人口置き換え水準は2.08と推計され、1997年(平成9年)に少子社会となったと示しています。それ以降は回復することなく、今月、厚生労働省が発表した2022年人口動態統計月報年計の概数では、出生数は77万747人で前年より4万875人減少、女性1人当たりの子供の数を示した合計特殊出生率は1.26で、2005年と並び過去最低となっております。
 その現状を鑑み、政府においては異次元の少子化対策として、先日、こども未来戦略方針の素案を発表し、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造・意識を変える、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援するとの3つの基本理念も発表されました。児童手当の拡充、こども誰でも通園制度(仮称)、出産費用の負担軽減、高等教育費の負担軽減、医療的ケア児支援、男性育休取得促進と打ち出されました。
 熊本市でも、4月にはこども局ができ、市政だより5月号には、こどもの笑顔輝くまちへ、知っておきたい子育て支援制度のあれこれとして、結婚・妊娠・出産に関してはようこそ赤ちゃんプロジェクトや産後ケア事業、就学前に関しては子育てホットステーションとして子育てひろば等の施設の紹介、子供医療費助成制度の対象年齢18歳までの拡大、薬代無料、子育て支援優良企業認定制度の紹介、小中高校に関しましては親子のための相談LINEやこどもホットライン、子供食堂の紹介と、本市の子育て政策が掲載されておりました。その中でも、熊本市結婚子育て応援サイトの紹介があり、結婚・妊娠・出産・子育てなどのライフステージにも応じた取組の紹介は大変興味深いもので、すばらしいものでした。私の子供が小さいときに、このサイトがあったらよかったなと感心できるものでした。
 このように、国や市では今後少子化対策が進んでいくことを期待しておりますが、私が考える少子化対策は、今後、結婚・子育てを期待する今の学生たちが感じている不安を払拭することが重要で、その世代が子供を持つかどうかにつながっていることと思います。それは、中学入学や高校入学及びその費用が負担となっていないことを示す必要があると思います。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目に、子育てに係る費用、1人当たりどれくらいと試算されて政策に取り組んでいるかお聞かせください。
 2点目に、先ほど述べた市政だよりに掲載の子育て政策で、本市として特に推している政策及び先進的に取り組もうとされている政策があればお聞かせください。
 3点目に、子育て世代及び今後期待がかかる学生に熊本市の魅力を伝える場合にはどのようなことを伝えますか。
 以上3点をこども局長にお尋ねいたします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  少子化対策に関する御質問に順次お答えいたします。
 まず、子育てに係る1人当たりの費用試算についてでございますが、個別の施策を検討するに当たって、現状分析や市民ニーズを踏まえて制度設計を行う中で、例えばこども医療費助成につきましては、利用実績やアンケート調査等の結果を基に見直しに係る費用の試算を行っております。
         〔議長退席、副議長着席〕
 また、子育てに係る費用につきましては、本市独自の試算は行っておりませんが、内閣府をはじめ様々な機関による調査等が行われており参考にしております。
 次に、子育て政策における重点政策についてでございますが、まず、妊娠時から出産・子育て期までの伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行うようこそ赤ちゃんプロジェクトを確実に実施してまいります。
 また、子供医療費助成につきまして、本年12月から、高校3年生相当までの対象拡大と保険調剤にかかる自己負担無料化の準備を進めており、子育て世帯の不安や負担の軽減に取り組んでまいります。
 さらに、いじめや不登校の悩み等について、子供や保護者からの相談を受けるこどもホットラインを開設したところでございます。
 加えて、現在、学校の内外を問わず、子供の権利侵害に関わる事象・事案の解決に取り組むこどもの権利サポートセンターの開設準備を進めており、今定例会にいじめ解消の仕組みづくりに関する予算案を上程しているところでございます。
 最後に、熊本市で子育てすることの魅力についてどのようなことを伝えるかという御質問でございますが、本市は地下水や熊本城など自然や歴史文化に恵まれ、医療機関や教育機関、商業施設が高度に集積するなど都市機能が充実しており、生活しやすく、子育てや教育に適したまちでございます。
 また、様々な行政の取組とともに、民生委員・児童委員をはじめ地域の方々が見守りや相談・支援などに取り組まれるなど、子供や子育てを社会全体で温かく支えるまちでもございます。
 さらに、先ほどの重点政策をはじめ、子供・子育て支援の施策をより一層充実させてまいりたいと考えており、今後これまで以上に子育てしやすさが実感できるようになっていくまちでもございます。このようなことを若い方々に対し、本市の魅力として訴えてまいりたいと考えております。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  子供を育てるとき、また生まれたときの喜びは計り知れないものがあります。しかしながら、その子供を幸せに育てるには現実的にはお金がかかります。その点を行政として認識して各施策に反映しなければ、本当の幸せ、また少子化対策は実現しないと思います。本市の子育て政策は評価できる点も多くあります。その発信や利用について足りない部分はあるかと思いましたので、今後の課題として対応をお願いいたします。
 3点目の学生に熊本の魅力を伝えるにはとの問いでは、都市機能の充実、社会全体で支えるまちと魅力は伝わりますが、どうしても本市の子育て政策は支援の部分で発信不足なのか、若い世代に伝わっていないように感じます。今後、結婚・子育てを期待する今の学生が感じている不安を払拭することが重要で、その世代が子供を持つかどうかにつながっていると思います。
 私が今回の質問をこども局長にお聞きしたのは、4月に発足したこども局の今後の意気込みといいますか、やる気をお聞きしたいとの思いでした。質問した内容は、こども局を担う政策の一端でしかないと思います。大きな期待の中で発足したこども局に大きな期待を持っています。よろしくお願いいたします。
 続きましては、先ほどの質問でお話しした、今後、結婚・子育てを期待する今の学生たちが感じている不安を払拭することについての、中学入学や高校入学及びその他の教育費などが負担となっていないと示す必要性について質問いたします。
 令和5年度の熊本市在住の中学校入学者数は7,077名、高校等進学者数は6,451名、合計で1万3,528名となっています。この入学者に対して、熊本市では、高校等入学者には経済的理由で高等学校等への進学が困難な方に対し、進学支援金を令和4年度から開始しています。また、中学校の入学者に対しては、就学援助制度において、経済的な理由により就学困難と認められる児童・生徒の保護者に対し、新入学児童生徒学用品費を支給しています。就学が困難な世帯の子供が学校に通うためには大変重要な制度であります。
 しかしながら、現在の物価高騰により、大変厳しい現状があり、現在の子育て世代には大きな負担となっています。特に中学及び高校入学時には通うのが当たり前となっている現在では大変な負担になっていて、これは今後の子育て世代と期待される学生にも、その影響は色濃く出ていると思います。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目に、本市の進学支援制度の説明と、今後この制度の拡充についてのお考え、もしくは必要性についてお考えがあればお聞かせください。
 2点目に、大阪府では高校授業料無償化を打ち出していますが、本市としてはこの取組に対してどのように思われているのかお聞かせください。
 教育長にお尋ねいたします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  まず、進学支援金制度についてお答えいたします。
 この制度は、生活保護受給世帯や市町村民税の所得割が非課税の世帯における高校等への進学予定者に、入学時に必要な費用の一部とすることを目的として1人4万円を支給する制度です。
 高校等への進学には多額な費用が必要であり、4万円の進学支援金により、その全てを賄えるものではないことは承知しております。
 議員お示しのとおり、教育費への不安が将来子供を持たないことの一つの要因であると考えております。
 そのため、未来の熊本市を担う全ての子供たちが経済的な不安なく安心して進学できるような環境を整えることは、市としての責務であると認識しております。
 本市が独自に実施している進学支援金制度については、令和4年度から開始して間もない制度でありますので、物価高騰が入学準備に及ぼす影響なども含め、利用者の声を聞きながら効果の検証を行うとともに、子育て世代への支援の在り方について、こども局とも連携を図りながら検討してまいりたいと考えます。
 次に、大阪府の高校授業料無償化についてですが、高校の授業料については、現在全国的に、国の支援制度である高等学校等就学支援金により、所得や学校種に応じて授業料の一部または全部を支援しております。
 大阪府が打ち出した高校授業料無償化についての素案は、国の就学支援金と併せて大阪府独自の補助金により、所得の制限なく大阪府内の高校に通う全ての生徒と、大阪府から他府県の私立高校に通う生徒の授業料を無償化する制度です。
 しかしながら、この制度については、補助金の上限を超える授業料を学校側が負担することや、入学金など授業料以外の費用は保護者から徴収できることなど、問題点も指摘されております。私立学校の団体が制度に賛同しないことを議決するなど、制度の円滑な実施には課題が残る状況と承知しております。
 本市としては、国の施策や他都市の動向も踏まえながら、大阪府の状況を注視してまいりたいと考えます。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  進学支援制度の拡充や必要性の認識を持っていただいていることについて、期待できるものと受け止めました。
 教育費への不安が将来子供を持たないことの一つの要因であると考え、未来の熊本市を担う全ての子供たちが経済的な不安なく安心して進学できるような環境を整えることは、市としての責務であるとの言葉に期待します。
 例えば、先ほど述べた、熊本市在住で中学、高校に入学した1万3,528名に一律10万円の入学準備金を助成するとなれば、本市の子育て政策、少子化対策への意気込みを感じることができ、熊本市で子育てをしようと思う方が多くなるのではないかと思います。他都市との競争をすることはいいことではありませんが、熊本市の魅力向上としては必要なことだとも思います。確かにその財源を毎年どうしていくのかと言われれば大変厳しい状況にあると思いますが、私のところにお話をいただく中では本市の子育て支援へのよい話はあまり聞きません。不満よりは他都市の優位性を聞くことが多いです。
 また、今年度2人の入学を迎えた父親として、そしてその世代の保護者の代表としても、大変負担が大きかったことをお伝えしなければいけないと思い、切なる願いで質問いたしました。未来の熊本市を担う新たな命の誕生を期待するために必要だと思っていただき、取り組んでいただきたいと思います。
 2点目の大阪府での高校授業料無償化に対しての問いでは、本市の子育て施策においてどれくらい考えているのかを問いたいと思い質問いたしました。
 熊本市は高校を2校管轄しております。大阪府では、大阪市立高校は全て大阪府立へ移管されており、授業料無償化に関しましても格差ができることのない統一的な施策ができる点において熊本市とは違います。熊本市立の高校だけが授業料無償化を進めることは、入学希望の観点から差別にもつながりかねないですし、高校間の過度な競争を生んでしまうことにもなりかねませんので、すぐにできるものでないことは理解します。
 今後、国の少子化対策の一環で、高校及び大学に対しても無償化という考えが出てくるかもしれません。その必要性をもって要望していくことも重要ではないかと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、地域コミュニティー活性化について質問いたします。
 活性化と申しましたが、活性化以前の維持していくことの質問が主になると思います。地域コミュニティーでは、自治会をはじめ老人会や子供会、まちづくり団体やPTA等社会教育団体など様々な団体が活動を行っています。特に自治会は、地域コミュニティーの中心的な存在として関係団体と協力しながら、地域の防災や防犯、環境美化や地域の見守りなど様々な活動を支えています。
 そのように地域の活動を支える団体ですが、過疎化や高齢化、核家族化や個人の価値観の多様化などによって地域を支える人材が不足し、住民同士のつながりが希薄になってきています。これにより地域コミュニティーの機能が弱まり、地域によっては高齢化、独居化による孤独化の不安、地域で守り育てる子育て機能の低下、火災や地震等に対する地域防災機能の低下、病院や買物に行くバスの減少など、生活環境の悪化や犯罪や事故に対する地域防犯機能の低下、祭りや年中行事の継続困難による地域文化の衰退、行政からの情報伝達など連絡調整機能の低下、若年層の減少による地域産業の衰退等、様々な問題が顕在化しています。
 校区の各団体では、価値観の多様化の中で地域への関心が薄れ、隣近所との人間関係も希薄となり、なかなか担い手が育たないために、本来の活動が十分にできない状況が見られます。また役員体制においても、1人の人が幾つもの団体の役職を担っていたり、活動内容についても重複したりしている現状が見られます。4~6月にかけて各団体では総会が開催され、それも通常開催は4年ぶりとなる団体もあり、規約や役員改選では大変な御苦労をされているとお聞きし、私も当事者として困難を感じています。
 こうした厳しい現状を乗り越え、元気なまちをつくっていくためには、地域コミュニティーを支える住民、企業、行政等が力を合わせ、自発的に様々な地域課題の解決に取り組んでいくことが重要です。
 そこで、本市の考え方をお尋ねいたします。
 1点目に、自治会及び自治会長が担っている、本来であれば行政がするべきと考えられますが、お願いしている業務は何があるとお考えでしょうか。
 2点目に、自治会等地域団体での担い手不足を本市としてはどのようにお考えかお聞かせください。
 3点目に、今後の自治会活動維持についての所見、維持困難になった場合の本市財政や業務への影響についてお考えをお聞かせください。
 以上3点を文化市民局長にお尋ねいたします。
         〔金山武史文化市民局長 登壇〕

◎金山武史 文化市民局長  町内自治会の皆様におかれましては、日頃から本市をはじめ関係機関からの行政文書の回覧や道路の境界立会い、事業推進に係る住民意見の集約など多岐にわたり御協力をお願いしているところでございまして、御協力に対し、この場を借りて心から感謝申し上げます。
 次に、自治会等における担い手不足についてでございますが、少子高齢化の進展のほか、人々の価値観の多様化などで地域の連帯感や人間関係が希薄となり、自治会活動に関心を示さない世帯が増えてきたことが大きな要因ではないかと考えております。
 このため、これまでも町内自治会活動の紹介や若い世代をターゲットにSNS等を活用した情報発信を行うなど、幅広い世代の地域活動へのきっかけづくりに取り組んでまいりました。加えまして、本定例会に補正予算案を上程しているボランティア活動や地域活動への参加のインセンティブとなるポイント制度の導入を進めることとしたところでございます。
 次に、今後の自治会活動の維持についてでありますが、自治会活動の担い手が不足し、地域コミュニティーの機能に支障が生じた場合、地域における防災・防犯や環境美化などの様々な活動が滞り、生活環境の悪化が心配されます。また、本市としても、住民意見の集約などで業務の円滑な遂行に支障を来したり、行政文書の回覧の依頼ができなくなることで別途行政コストが発生するなどし、結果として他の住民サービスにも影響することが懸念されます。
 こうしたことから、今後とも若い世代に対する自治会活動の周知や自治会役員の負担軽減など様々な支援策を講じ、持続可能な自治会活動の実現に努めてまいります。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  自治会等の地域コミュニティーの窮状に関しましては、今までも何度か質問させていただきました。
 今回は、具体的に自治会及び自治会長が担っているものについて問わせていただき、その影響までお答えいただきました。私は影響としてお答えいただいた行政コストについても、具体的に金額に換算し、試算することも必要ではないかと思います。そのことにより市民の皆様が地域コミュニティーの重要性に気づき、積極的に参加してくれるのではないかと思います。今後検討していただければと思います。
 お答えいただいた前段で、本来であれば行政がするべきものとして、ごみステーションの維持管理については入っておりませんでした。
 ごみステーションの維持管理については、自治会の課題として大きなものとなっています。私はごみステーションについては、自治会に本市から維持管理をお願いしているものと思っておりました。しかし、これは違った認識で、本市条例によれば、収集場所の管理はこれを利用する者がしなければならないとなっています。自治会が管理するものではなく、ステーションを設置している住民がしなければならないとなっています。
 また、熊本市ごみステーション設置要綱では、戸建て住宅、共同住宅に対して、その戸数によってごみステーションを設けるものとなっており、自治会等が新しくごみステーションを設置しようとするときは届出を提出し、調査を受けて設置するとの規定があります。あくまでも市としては、ごみを収集することが業務であり、ステーションを設置・管理するのは住民がするべきこととしています。そう言われれば確かにそうだろうということになりますが、実質的には町内自治会が設置を要望し、隣保組という組織をつくり、管理まで担っているのが現状ではないかと思います。
 それは、地域の連帯感や人間関係が希薄となってしまった現在では、そうするしか方法がないと思います。もし自治会がなくなり、設置や管理をそのステーションの近隣住民で設置要望から管理について話合いをするとなれば、現在の近隣関係では難しいと思います。また、難しくなれば、行政が話合いに入るなど人員が必要になり、行政コストは増すことになると思います。今後、ごみ収集やステーション設置、管理の問題については市が調査し、現実に即した対応を切に願います。
 人は一人では生きていけません。友達や周りの人とつながり、認め合うことで安心を得て生きています。子供や高齢者の方はもちろん、私たちは誰でも周りの人たちのちょっとした気遣いや見守りの中で支えながら暮らしています。コックをひねれば水やガスが出る、まちの安全は警察や消防が守ってくれる、そんなサービスを前提に、煩わしいことは行政に任せて、一人で生きていけると感じてしまう世の中になっていると感じます。
 しかし、人と人とのつながりが希薄になる中、周りの人とうまく関係をつくることができず孤立化する人たちや、互いが無関心な中で発生する都市型犯罪の問題など、問題点も多くなってきました。さらに災害によって行政サービスが途絶えたとき、一人で生きることのもろさがあらわになります。災害のときは外部から駆けつけたボランティアの支えや近所同士の見守りや支え合う力、すなわち地域コミュニティーの力が必要になります。それは、ここ熊本市に住む皆様は特に実感しているのではないでしょうか。地域コミュニティーがしっかりした地域の方が、一人で生きる人が多かった都市部より災害被害が少なく、その後の立ち上がりも早かったことは過去の災害により実証されたことと思います。
 自治会は地域コミュニティーの維持、活性化の最重要組織と捉え、本市からの支援をさらに拡充していくことをお願いして次の質問に移ります。
 自治会業務、担い手不足、今後の維持等について質問し、対応や要望をお話しさせていただきましたが、本市としても財政及び業務での危機感をお持ちなのが分かりました。
 ただ、私はこの状態が過疎になっているのではないかと思います。それは単に人口が極度に少ない状況ということでなく、地域社会維持困難の状況であれば過疎ではないかと思います。それは都市部であっても起こっていると思います。過疎とは、人口が急激かつ大幅に減少したため地域社会の機能が低下し、住民が一定の生活水準を維持することが困難となった状態と定義されていることが多くあります。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目に、過疎に対する考え方、過疎とはどのような状況かという認識をお聞かせください。
 2点目に、都市部での地域社会維持困難も私は過疎状態と思いますが、その点についてお考えをお聞かせください。
 3点目に、熊本市にも過疎化が深刻な地域があると思います。その認識と今後の過疎に対して、例えば過疎対策室のように専門的に対策していく部署が必要だと思いますが、どうでしょうか。
 以上3点について市長にお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  過疎とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法により、人口の著しい減少等に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある状態と定義されておりまして、本市には過疎地域として指定されているところはございません。
 しかしながら、地域別に見てみますと、人口減少や高齢化が著しい地域が存在しており、また、市内中心部においても自治会活動をはじめとした地域活動の担い手不足といった問題が深刻化している地域もありまして、今後地域コミュニティーの機能が低下し、防犯・防災、子育て、環境美化など地域で担われております様々な課題に対応できなくなることが懸念されております。
 このようなことから、本市ではこれまで地域担当職員による地域コミュニティー活動の活性化や地域の魅力向上に加えまして、河内地区での地域おこし協力隊の委嘱といった個別支援も行っているところです。
 今後は、マニフェストに掲げました区役所・まちづくりセンターの機能強化や、デジタルトランスフォーメーションの推進によります自治会活動の効率化、くまもとポイントの導入といった取組を進めますとともに、各地域の実態の把握と分析を行いながら、持続可能な地域社会の構築に向け、対応策を講じてまいりたいと考えております。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  本市では過疎地域と指定されているところはないが、地域別では地域活動の担い手の不足やコミュニティー機能の低下等、課題対応が困難になる認識を持たれており、個別支援や今後の取組強化を考えられていることについて期待したいと思いました。
 しかしながら、もう少し危機感を持って対応していただきたいのも素直な気持ちです。地域担当職員さんの活動は大変大きなものであり、担当を各校区に1人、もしくは町内ごとの担当を要望されることもあります。特にデジタルトランスフォーメーションの推進による自治会活動の効率化では、自治会単位での対応が困難なこともあり、一気に進むことではないことが課題としてあると思います。
 くまもとポイントの導入に関しては、地域参画を進める上では大変期待したいところではありますが、これこそ行政が本気で取り組んで、自らが指針となり進めていく必要があるように感じます。
 山梨県では、人口減少に歯止めがかからない現状を受け、人口減少危機突破宣言を打ち出されました。人口減少に関し、都道府県が独自に緊急事態を出すのは全国で初めてで、今後自治体や民間企業と連携し、具体的な対策を協議するとしています。
 熊本市でも緊急事態を必要とするときが来るかもしれませんし、地域によっては既にその状態にあるかもしれません。その点を鑑み、今後過疎に対して取り組んでいただきますようお願いいたします。
 最後の質問になります。
 今までは少子化対策や地域コミュニティーの活性化など、人がいなくなることによる課題についての質問でしたが、次は熊本市にどれだけ人を呼べるかの質問をしたいと思います。
 台湾の大手半導体メーカー、TSMCが菊陽町に進出することについて、九州フィナンシャルグループは10年間の熊本県内の経済波及効果がおよそ4兆3,000億円に上るという試算を発表されておりました。TSMCの工場での半導体の生産のほか、TSMCや関連産業の工場への設備投資、工業団地開発や新たに雇用される人たちの住宅への投資などが含まれています。熊本県の県内総生産への影響額は毎年2,000億円程度であり、3%ほどの成長の底上げ効果があるということです。
 雇用面では、TSMCの工場の1,700人をはじめ、関連産業も含め7,500人の雇用が生まれると見られています。第2工場の建設も予定されているようで、その効果はもっと大きくなることも予想されます。
 このように、熊本には経済的にもですが、雇用面や交流人口で人を呼び込むチャンスが訪れています。
 そこでお尋ねいたします。
 TSMC進出によることもですが、その他においても熊本市の定住人口増加への政策をお聞かせください。また、そのとき大事になる、熊本の魅力を伝える場合にどのようにお伝えするのかをお聞かせいただければと思います。
 大西市長にお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  TSMCの進出決定以降、多くの半導体関連企業の熊本県内への集積が進んでおりまして、今後ますますビジネスの活性化や交流人口の増加が期待されておりますことから、本市にとりましても人を呼び込み、定住人口の増加へとつなげていく絶好の機会であると考えております。
 定住人口の増加に向け、まずは働く場の確保が重要であると考えておりまして、戦略的な企業誘致や地場企業の事業拡大支援等に取り組みますとともに、熊本で働きたい方と企業とのマッチングによりまして、移住の促進や若者の地元定着などを進めております。
 また本市は、医療機関や高等教育機関、商業施設、エンターテインメント施設等が数多く集積するなど都市としての高い利便性を有する一方で、豊かな地下水や安全でおいしい農水産物に恵まれ、さらに、人と人とのつながりが保たれているバランスの取れた暮らしやすい都市であると考えております。
 さらに地理的にも九州の中心に位置しておりまして、九州各県の県庁所在地へのアクセス性のよさなど、人流・物流の面でも優位性を持った魅力にあふれた都市でもあります。
 このような本市の魅力を、私のトップセールスを含め、様々なプロモーション活動を展開しながら国内外に発信していくことで、定住人口・交流人口の増加に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
         〔23番 北川哉議員 登壇〕

◆北川哉 議員  戸建て住宅の新築、マンションの購入などの大きな買物と言われるものの選択をするとき、ほとんどの方は一生そこに住むつもりで購入を考えると思います。また、賃貸で住まわれる場合にも、そのときに子供がいる場合、もしくは家族設計を考えた場合には、学校は近いか、公園は近くにあるかと教育環境を重視すると思います。そしてその後の人生設計まで考えた場合には、病院は近くにあるか、買物をするところはあるかなど、様々なシミュレーションを行って選択されると思います。そのときに、先ほど市長にお答えいただいた熊本市の魅力をみんなが伝えることができれば、熊本市を選択してくれるのではないかと期待します。
 今回の質問をするに当たり、前述の住まいの選択を考えている友人から、熊本市の魅力は何だろうかと問われたことがありました。また、不動産業を営む友人から、営業するときに熊本市の魅力を伝えたいが、どのように伝えればいいのか教えてほしい、周辺都市に対して熊本市が優位なところを教えてほしいと問われたことがありました。決して熊本市周辺の市や町と奪い合いをするつもりで申し上げたわけではないのですが、やはり熊本市に多くの方に住んでいただきたい、熊本市を選択してほしいとの思いで魅力を伝えましたが、足りなかったことを反省しております。
 TSMCの進出について、質問で述べた経済効果や人口増加は、予測されている数の倍以上になると言われていることもあります。菊陽町を中心として周辺都市を合わせたときには、ともすれば熊本市より都市機能が充実し、人口が多い都市になることもあり得るといった話も聞きます。それに対抗していくことはナンセンスではありますが、県都として、そして政令指定都市としての役割を十分に果たせるような熊本市になっていかなければならないと思います。
 そのような中で、前議会の令和5年第1回定例会で、我が会派の澤田団長からの代表質問であった本市の均衡ある発展に関する質問、距離的に遠い西南部地区の発展に関すること、また一般質問では、津田征士郎前議員からありました西区まちづくり過疎対策に関する質問、白河部貞志前議員からありました地域バランスの取れた都市づくりの質問と、先輩議員から薫陶を大きく受けました。西南部地区の発展に関すること及び地域バランスの取れた都市づくりは、西区選出議員としては絶対に避けては通れないことになります。熊本市全体の魅力向上はもちろんですが、この絶好の機会に西南部地区が取り残されないよう様々な可能性を模索しながら、魅力発信に全力を尽くして取り組みたいと思います。
 質問は以上になります。市長をはじめ執行部の皆様、丁寧な御答弁ありがとうございました。5月23日の市長会見では、ChatGPTの実証実験が始まるとありましたので、もしかしたら質問に答える場合にはChatGPTが答えるのかなと思ったり、ChatGPTには答えられないような質問にしないといけないと思ったりもしました。実証実験は、議会答弁や機密情報を扱うものについては今のところは考えていないとされていましたので、その言葉を信じ、今回は市長をはじめ執行部の皆様に向けて質問しました。市長からの答弁を聞きながら、これは人間が導いた答えであったと信じています。
 これからは業務効率化に向けて用途も多岐にわたることと思います。ただ、質問をする側としては、いつまでも知見と経験を基にした人間が答えを導いて、活発で激しい議論を交わしていきたいと思わないこともないです。
 最後に、質問するに当たって御支援いただいた先輩議員、同僚議員の皆様、そして丁寧にサポートしていただきました議会局の皆様に心より感謝申し上げます。傍聴してくださった皆様、そしてインターネットにて御視聴いただいた皆様にも重ねてお礼を申し上げます。
 今後も皆様からの御指導や叱咤激励を力に変え、熊本市議会議員としての責務を果たしてまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

○大嶌澄雄 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午前11時10分に再開いたします。
                            午前10時57分 休憩
                            ───────────
                            午前11時10分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 山内勝志議員の発言を許します。山内勝志議員。

         〔26番 山内勝志議員 登壇 拍手〕

◆山内勝志 議員  市民連合の山内勝志でございます。市議会議員として2期目のスタートに当たり、一般質問の機会をいただきました。
 人口減少社会の到来に当たり、未来に目を向けた施策の展開等について質問させていただきます。執行部の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、ChatGPTの今後の活用方針についてお聞きいたします。
 最近、生成AI技術が大変話題となっております。特に昨年の秋にアメリカの企業が開発したChatGPTは、人々が無償で使用できるように一般公開されたこともあり、大変注目が集まっております。
 大西市長の記者会見でも、ChatGPTの活用を業務効率化や市民サービス向上の観点から検討していきたいとの発言がありました。市長は、将来の人口減少に伴い職員の確保が難しくなることを前提に、業務の効率性を高めて行政の質を向上させるという点で大変有効なツールだと期待していると述べていらっしゃいます。また、今月から3か月間、業務効率化や市民サービスの向上に活用できるかを検証するための実証実験も始められています。先行して実験を開始した横須賀市での結果も併せて、ChatGPTが基礎自治体にとって意義のあるものか、期待を込めて結果を待ちたいと思っております。
 人口減少社会で労働人口が減少していくことが避けられない状況で、AIを中心とした先進的な技術を積極的に活用すること自体は当然のことだと思います。ただ、現在ある種のブームとなったChatGPTに対しては、少し期待感が先行し過ぎているのではないかとも感じています。
 官公庁は以前から、どちらかというと民間に比べてIT化が遅れていると言われています。リアルタイムに進化するIT分野において、情報管理の基礎が強固とは言えない状況で、いきなり生成AIを活用することには少し慎重になる必要もあると思います。
 そもそも対話型の生成AIは人工知能と呼ばれることもありますが、人間と同じように思考や価値観を持っているわけではありません。単純に単語と単語の関係性で最も使われる可能性の高いものを接続し、自然な文章として作り出している、いわゆる統計を基礎としたツールです。ということは、出来上がった文章が正しいとは限らないということでもあります。あくまで確率として成立している内容だということです。テレビの情報番組でも、実際に導き出した文章の内容が事実と異なっているという検証も多く見受けられます。
 また、現在公開されているChatGPTは、過去の大量のデータを学習して、そのデータの中から言葉を抽出して作り上げてます。その基となるデータは、2020年頃までにインターネット上に存在していた情報を基に学習しているそうです。つまり2021年以降の最近の情報を反映した回答ではないということであり、これが1つの弱点と言われています。
 また、犯罪などに悪用されることも懸念されています。基本的には犯罪や差別に関わるような質問に対しては反応しないようにつくられているようですが、質問の内容をあたかも開発者の立場で質問したり、小説のアイデアとして犯罪を示唆するような質問をしたりすることで回答させることができるようです。実際にコンピューターウイルスの作成を命じると、数分間で完成させたという事例があります。
 疑い始めたら切りがないことではありますが、このChatGPTを使うに当たってはあくまで道具として、そしてその回答は一旦全部を疑ってみる、そして最終的には人間が必ず正しい回答であるかのチェックをする、これが基本であると思います。特にChatGPTが出した回答がどのような根拠でつくられたものであるか、これはブラックボックスとなっており、ましてや外国の企業の技術によってつくられたものであることを考えれば、やはり慎重にならざるを得ません。
 行政機関の場合、個人情報や市民の安全上重要な情報など大変センシティブなデータを扱います。生成AIの活用に当たっては、通常より慎重になるべき責任があると思います。活用に当たっては、許認可に直結する業務には使わないこと、情報の漏えいなどセキュリティーをしっかりと考えるなど、市内部で検証を重ねた上で活用してほしいと思います。
 神戸市では、ChatGPTなど生成AIを職員が業務で利用するルールを定めた条例の改正案が5月議会で可決されたとのことです。市民の氏名や病歴などの個人情報や市の非公開情報などの機密情報の入力を禁じるなど、入力データがAIの学習や履歴保存に使われないよう市独自のガイドラインを定めたものです。
 本市においても実証実験を通じてあらゆる検証を行い、その上で明確なルールをつくって議会とも協議を行って進めていただきたいと思います。また、児童・生徒の教育環境においても、生成AIは浸透していくと思われます。教育学習を提供する側、受ける側の両面から、この新技術をどのように受け入れるかも大きな課題となります。
 ChatGPTの今後の活用方針について、大西市長のお考えをお聞かせください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  生成AIのような革新的なデジタル技術は、加速度的に開発が進み発展していくものと思われ、これらを利活用することによりまして業務の効率性が高まり、市民サービスの向上に寄与することが期待されます。
 一方で、誤った情報の拡散や犯罪への悪用に加え、個人情報を含む機密情報の漏えいや著作権の侵害などが懸念されております。
 これらを踏まえ、本市では情報セキュリティー環境を整備し、職員を限定した上で、今月から生成AIの業務導入に向けた実証実験を開始いたしました。
 私は、教職員の働き方改革など教育分野はもとより、幅広い分野での利活用の可能性があると考えておりまして、実証実験において、リスクと有用性の観点から適切に検証した上でガイドラインを作成するなど、本格的な導入に向け検討を進めてまいります。
         〔26番 山内勝志議員 登壇〕

◆山内勝志 議員  現在取り組まれている実証実験の結果を基にガイドラインを作成するとのことです。メリット、デメリットの両面からしっかりと検証を行っていただきたいと思います。
 近年のデジタル化やDX化については、多くの分野で導入に向けた具体的な動きが見られます。これからの社会の切り札となるべく大きな期待が寄せられますが、デジタルは魔法ではありません。基幹的な制度設計やデータ移行等のベーシックな作業は、最終的には人間の知見と努力によるものです。マイナンバーカードの不具合が全国で散見されるのも同様で、アナログからデジタルに移る場面が最も重要で、かつ人的エネルギーが必要となります。二重、三重の確認作業や広い視野での影響度の検証などが求められます。ChatGPT等の生成AIの活用については、実証実験後のガイドライン作成時には議会との情報交換等も行いながら、慎重に検討を行っていただくよう要望いたします。
 それでは次に、不適切保育是正のための第三者機関の活用についてお聞きいたします。
 先月、こども家庭庁は、保育所の不適切な保育について初めて全国の実態調査を行い、昨年4月~12月の間に園児の心身に影響を及ぼすような不適切な保育が914件確認されたと発表しました。この実態調査は、静岡県の保育園で園児を逆さづりにしたなどとして、保育士が暴行容疑で逮捕された事件を受けて行われました。最近報じられた事例を見ても、静岡県の事例のほか、昨年12月には富山県で、今年3月には青森県で発覚しています。いずれも園児への暴行・暴言などの虐待が報じられました。
 本市においても、昨年3月に東区の認定こども園で園児を叩くなどして暴行罪に問われた職員が起訴されるという事例が起きています。また、熊本乳児院では、子供への身体的・心理的な虐待があったとして、運営する社会福祉法人に熊本市が改善勧告を出したという事案も記憶に新しいところです。
 子供の被害はなかなか発覚しづらく、また施設や自治体によっては何を不適切とするのか、その基準が異なる場合もあります。そういった意味では、今回の調査で現れたものも氷山の一角ではないかとの意見も多く上がっています。
 不適切保育の再発防止には、子供と接する職員への日常的な研修が鍵となると思われますが、現状の保育士不足では仕事に追われ、十分な研修時間を取れないという現実もあると思います。国が主導して保育士の就労環境や処遇の改善を進めるべきとの声も多く、保育の質を保つ責任が国や自治体にもあると思います。
 子供は言葉にして被害を訴えることが難しいし、保護者が気づいたとしても、施設や自治体に訴えても声が届きにくい実態もあるのではないでしょうか。子供の声を代弁できるような第三者の目で問題点を洗い出し、改善につなげる、そのような現実的な仕組みを早急に構築していく必要があります。
 児童福祉法では、保育所などに対して原則年に1回以上、定期監査を行うことを自治体に義務づけています。ただ、定期監査が保育士などの配置基準等を確認することを主な目的としているため、保育サービスの内容や不適切保育の有無等を詳細にチェックするには至らないと思われます。また、監査する側も職員が十分な陣容とは言えず、対象施設が増加している状況では、不適切な保育を短期間で確認することはなかなか難しいのではないでしょうか。加えて、最近のコロナ禍の影響で実地の監査を控えている自治体も多いようです。書面審査やリモート検査が増え、ますます虐待や不適切な保育の発見が遅れてしまいます。
 そこで、福祉サービス第三者評価の制度を利用することが1つの解決策になると思われます。この福祉サービス第三者評価制度は、都道府県により認証されたNPO等の機関が専門的・客観的な立場から、保育の内容や運営体制などをチェックし、項目ごとに改善を促す制度です。その結果についても、事業者の同意を得た上で県のホームページ等で公表されます。保育の質の向上にも結びつけられ、保護者が保育所を選ぶ際の情報としても大変有益なものになります。国においても、2015年の子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、保育所での第三者評価を努力義務化しています。
 この第三者評価制度のポイントは、専門の評価機関が行うということと、その内容を誰でも見ることができるということです。また、評価の過程では、保護者とともに職員からのアンケートも行われ、預ける家庭だけではなく働いている人の声が見直しにつながるとも言われています。また、実地訪問による調査でも、調査員が実際の保育の様子を見て審査を行います。運営側にとっても、目に見えない弱点をしっかりとフィードバックすることで、従事者の雇用の確保であったり離職防止につながったりとメリットも多いと思われます。
 国は2019年度末までに、全ての保育事業者がこの第三者評価を受けることを目標に設定しておりましたが、コロナ禍の影響もあり、2021年の調査では全国で10%に満たない1,804事業者の参加にとどまっています。特に、受審した事業所は、東京都など受審費用の補助が充実している自治体に集中しており、有効性ははっきりしているものの、決して安くはない受審費用の負担がネックになっているようです。
 第三者評価の導入に最初に取り組んだ東京都においては、都がその費用を全額負担したため多くの事業者が受審し、最終的には受審を義務づけするに至りました。ほかの自治体でも義務化に向けての動きが見受けられますし、今後、国においても改善策の検討に乗り出すようです。
 本市においても、不適切保育を根絶するために、また保育士などの就業環境の向上のためにも、第三者評価の受審を積極的に推進し、そのためにも費用の助成を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 そこでお尋ねいたします。
 保育所の第三者評価の受審について、今後積極的に推進するお考えがありますか。また、受審費用の助成について導入の考えがあるのか、以上2点をこども局長にお伺いいたします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  不適切保育是正のための第三者評価の活用に関する御質問にお答えいたします。
 子供の安全・安心が最も配慮されるべき保育所において、不適切な保育の是正や未然防止のためには、子供の人権・人格を尊重する保育等について保育士一人一人が認識するとともに、職員間で共有することが重要でございます。
 このため本市におきましては、保育士に対する研修や、国や県の通知を踏まえた文書により、適切な保育に対する認識の徹底を図っているところでございます。
 そこで、御提案の第三者評価についてでございますが、不適切な保育を防止する上でも、子供への関わりや保育内容に関する保育士の意識づけを得るという利点がございます。
 本年5月にこども家庭庁が示した保育所等における虐待等の防止及び発生時の対応等に関するガイドラインにおきましては、第三者評価の活用を通じて、日々の保育について外部の多様な視点を得ながら保育士の気づきを促すことも考えられるとされたところでございます。
 本市としては、これまでも保育の質の向上を図るため第三者評価の活用について周知してきたところでございますが、不適切な保育の是正や未然防止の観点からも、さらに積極的な受審を促してまいります。
 また、第三者評価の受審費用につきましては、受審した保育所に対して最大15万円、施設給付費の加算を行っておりますが、他都市の状況を参考に研究してまいりたいと考えております。
         〔26番 山内勝志議員 登壇〕

◆山内勝志 議員  第三者評価の有効性については、国と同様に本市においても十分認識されているように思います。また、既に受審費用の一部を助成する仕組みもあるとのことです。
 しかしながら、実際の参加事業者数は、周知が十分ではないこともあり、まだまだ数が少ないように思われました。有効性と実績が到底釣り合っていないように感じます。
 また助成の方法も、現在は施設給付費の加算として行われているようですが、この第三者評価制度を推進していくためには、予算の項目自体を個別化して推進状況を見える化していただきたいと思います。私自身も、医療機関に勤務しているときに病院機能評価を何度か受審いたしました。覆面調査官が抜き打ちで視察するなど、審査を受ける側は大変ではありましたが、多くのことに気づかされ、改善点が浮き彫りとなり、ひいては職員のモチベーションアップにつながるということを経験いたしました。
 また、福祉サービス第三者評価は、保育所だけに限らず、障害者施設や高齢者施設においても実施されます。福祉、介護、医療の各分野においても、それぞれの質の向上が望まれますので、広く第三者評価制度の活用を御検討いただきたいと思います。
 それでは、次に、医療的ケア児のレスパイトケア等の強化についてお聞きいたします。
 医療技術の進歩によりNICU(新生児医療センター)などに長期入院した後、人工呼吸器や胃ろうなどを使いながら家庭で生活をする子供たちが増えています。2018年には医療的ケアが必要な子供、いわゆる医療的ケア児の人数は約2万人に達し、今後も増加していくことが予想されます。
 医療的ケア児は、常時医療処置やケアが必要であり、ほとんどの場合、家族が在宅で介護している状況があります。医療的ケア児の介護は、長時間目を離すことが難しい場合がほとんどです。このような状況で安全に、そして長期的な在宅介護をするためには、介護する側である家族の負担軽減が必要不可欠となります。
 介護者である家族の負担を軽減するため、医療的ケア児の一時的な預かり支援を行うことがレスパイトケアです。レスパイトとは休息という意味を持ちます。レスパイトケアは、医療的ケア児だけでなく、その家族も社会が支えるという家族支援の仕組みです。
 レスパイトケアが必要な背景として、家族の精神的・身体的な休息、きょうだいのイベントへの出席、ケア児自身の自立などがあります。ケア児は常時見守りが必要なため、介護者は常に緊張状態のまま過ごしています。自分では負担ではないと感じていたとしても、無意識のうちに精神的・肉体的な疲労が蓄積してしまいます。そのストレスが集中力の低下や慢性的疲労を引き起こし、大きな事故につながりかねません。
 また、ケア児の家庭にはきょうだいがいるケースも多くあります。ケア児の介護のためにと思い、どこかで我慢しているきょうだいがいます。そんなきょうだいの学校のイベントなどに、保護者が参加したいと考えるのは当然です。家族の思いやきょうだいの心のケアのためにもレスパイトケアは必要です。
 医療的ケア児の介護中に行うたんの吸引や経管栄養といった医療処置は、医療従事者あるいは家族しか行えません。そのため、医療ケアが行える事業所のレスパイトケアを受ける必要があります。その事業所の中でも、宿泊ができる医療型ショートステイへのニーズが年々高まっています。
 この医療型ショートステイは、家族のレスパイトだけではなく、家族以外の利用者との交流やケア児自身が自宅以外の場所で生活するための自立支援、家族の体調不良等の緊急時のサポート、病院から地域に移行する際のサポートなどの役割も担っています。そのため、身近な地域で必要なときにサービスを利用できる、そういった体制が必要であり、だからこそ医療型ショートステイの拡充を行う必要があります。
 ただ、実際には医療型ショートステイはまだまだ少ないのが現状です。医療的ケアが必要な子供2万人に対して、医療型ショートステイ施設は全国で349か所にとどまっています。以前と比べると、病院などの医療機関でレスパイトケアを引き受ける施設も増えてはいると思いますが、小児病棟の運営の特殊性やコロナ禍の影響もあり、医療サイドの受入れ体制についても課題がありそうです。
 今後さらに医療的ケアを必要とする子供たちが増えると見込まれる中で、施設整備や運営への支援、公的制度の見直しが喫緊の課題です。国でも現状を改善するための検討が進められているようですが、国の検討を待つだけではなく、各自治体でも独自の施策を取り入れる必要があると思います。
 現在、熊本市で開設されている医療型ショートステイの事業所の数は、東区に1か所、南区に1か所、北区に2か所の計4か所です。医療型ショートステイは医療人材の確保のほか施設整備にも経費がかかり、利用者数も限られていることから、経営負担もより大きいものだと推察されます。現在4か所の事業所をもっと増やしていくためにも、行政の果たす役割は大きいと思います。
 熊本市では、医療型ショートステイ事業所の新規開設を支援するため、人件費の助成を行う補助メニューが用意されています。対象となるのは、医療型ショートステイを運営する、開設後3年未満の診療所や介護老人保健施設及び開設後1年に満たない病院です。その補助内容は、新たに看護師などを雇用した場合の人件費総額の2分の1の範囲内等で、年間最大300万円を上限に助成するものです。
 事業者にとって、人件費は運営上大きなウエートを占め、このような補助制度は大変助かると思われます。しかし、開設後3年未満、あるいは開設後1年未満に限るという条件づけは少し厳しいように思います。現状の補助金制度について、補助枠や対象期間の拡充をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。また、特殊な事例かもしれませんが、台風等の進路によっては停電が予想され、自宅で使用している人工呼吸器等が停止する危険があるような状況で、あらかじめ避難的にケア児の受入れを行う施設の体制は、医療型ショートステイに限らずあるのでしょうか。
 また、今回は医療的ケア児のレスパイトケアについてお聞きしておりますが、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立してから2年がたちます。ケア児とその家族の生活をしっかりと支援し、この法の趣旨を全うするためにはあらゆる方面からの行政的支援が必要です。福祉の分野だけでなく、もちろん教育の分野や事業者支援としての経済の分野、あるいは施設開設の許認可などの都市整備の分野も含まれていると思います。担当する健康福祉局から、市のあらゆる部門に対して積極的な支援のための施策の展開を要請していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上3点について、健康福祉局長のお考えをお聞きいたします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  3点のお尋ねにつきまして、順次お答えいたします。
 まず、医療型短期入所施設体制整備事業補助金の補助額や対象期間につきましては、関係機関や団体等と協議を重ね決定したものであり、適正な内容であると考えておりますが、社会情勢や利用者等の意見を踏まえながら引き続き研究してまいります。
 次に、台風等による停電が予想される場合に、あらかじめ避難的に受け入れる体制についてでございます。
 医療的ケア児には、常時器具を装着される方もおられることから、停電時の対策につきましては細心の注意を払う必要があると考えております。
 そのため、本年4月からは在宅人工呼吸器使用者非常用電源を重度障害者日常生活用具給付事業の対象品目とし、居宅で人工呼吸器を使用する方への支援を拡充いたしました。現時点での申請はまだ1件でございますが、お問合せが増えている状況でございます。また、医療型短期入所の対象の方には施設利用の御案内も行っております。
 あらかじめ避難を受け入れる体制につきましては、平常時からの医療機関との連携や指定避難場所での対応方法など、現時点では様々な課題がありますことから、今後、関係部署等とともに整理・検討してまいります。
 最後に、積極的支援のための政策の展開についてでございますが、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律には、地方自治体の責務として、医療的ケア児や、その家族の支援に係る施策を主体的に実施することが示されております。この法律に基づき業務を遂行している市の関係部署に対しましては、今後も健康福祉局から積極的に情報共有を行い、医療的ケア児やその家族が安心して住み続けることができる地域社会の実現を目指してまいります。
         〔26番 山内勝志議員 登壇〕

◆山内勝志 議員  現在の熊本市の補助金制度については、関係機関との十分な協議を重ねて決定したとのことです。しかしながら、現状の受入れ体制が脆弱であることも事実です。より一層の拡充のためには、常に前向きな検討を続けていただきたいと思います。
 また、コロナ禍の局面が変わったのに伴い、医療サイドの受入れについても行政が橋渡しを行い、医療、福祉、介護の幅広い分野の中から利用者が選択しやすくなるように、マネジメントを行っていただきたいと思います。熊本市民病院でも、小児のレスパイトケア受入れを表明されておられますので、受入れの拡充についても期待するところです。
 近年の異常気象により、台風の多発化や線状降水帯の頻発等により在宅で療養するケア児の安全を心配するような事態が増えています。短期入所の基準などはあろうかとは思いますが、柔軟な受入れができるよう御検討いただきたいと思います。
 医療的ケア児支援法の成立は、関係者の方々にとっては大きなターニングポイントになると期待されています。自治体の責任としても、あらゆる分野で企画立案の段階から、この法律の趣旨を十分に認識し、施策を展開しなければなりません。健康福祉局におかれては、常に先頭に立って発信を行っていただくよう重ねて要望いたします。
 それでは、次に介護分野のデジタル化の推進についてお尋ねいたします。
 介護分野での人材不足は大きな社会問題として認識されてはいるものの、抜本的な解決には至っていないのが現状です。厚生労働省は2030年に44万人、2040年には69万人の介護人材が不足するという試算結果を発表しております。このままでは多くの高齢者が必要な介護サービスを受けられない介護難民となるおそれがあります。この問題を解決するためには、介護需要の伸びを抑制することと、介護を提供する側、いわゆる供給側の能力の強化を同時に進めることが重要です。
 人口減少社会によって絶対的に労働力が不足する中、あらゆる産業がデジタル化を進めていますが、介護の現場は少し遅れているような印象があります。一方で、長引くコロナ禍で環境が激化し、人材不足はさらに深刻化し、昨年度は介護事業者の倒産が過去最高になってしまいました。
 介護現場のデジタル化には、紙の書類などのアナログデータの電子化や、夜間の見守りセンサーや介助ロボットの導入などが挙げられます。モバイルを使って利用者の自宅で情報を入力すれば、リアルタイムに介護チームである訪問医や訪問看護師、ケアマネジャーなどに情報が共有されます。業務時間の短縮にもなるし、利用者の家族にまで範囲を広げれば、遠くの家族にも利用者の様子が分かって安心につながります。
 利用者のベッドにセンサーを埋め込み、呼吸数や心拍数を遠隔で常時モニタリングすることもできます。利用者がベッドを離れたかどうかも検知ができるため、徘徊の防止も可能です。これによって夜間の巡回の数を減らすこともできます。
 導入すれば負担の軽減につながるデジタルのアイテムですが、実際にはデジタル化があまり進んでいない状況もあります。その大きな要因が導入コストの負担や操作の不慣れと言われています。国もIT化の補助金制度を用意するなど後押ししてきましたが、多くの介護現場では二の足を踏んでいる状況もあるようです。
 一つには、デジタル化に関する情報収集という意味で、まだ広く知れわたっておらず、どのような有効性があるのかなどの周知ができていないようです。また、導入しても使い方に慣れるまでの余裕もなく、従来の方法のまま、せっかく導入した機器を放置していることもあるようです。
 こういった状況を打破するために、北九州市では先進的介護北九州モデルを掲げ、保健福祉局に先端的介護システム推進室を置き、介護ロボット等導入支援・普及促進センターを開設しています。ここではデジタル機器を導入する前の相談から、デジタル機器の選定、導入後のアフターフォローまで、一貫して伴走型の支援を提供しています。この北九州市の取組は、利用者のニーズや介護現場の課題を酌み取ることで多くの成功事例を増やしているようです。
 単にデジタル機器の購入費用を補助するというだけではなく、北九州市の例のように、その事業所に適した機器の選定であるとか、購入後の運営のやり方、あるいは操作の方法、緊急時の対処方法などを積極的に情報提供する、そのような体制の確立が今必要なのではないでしょうか。
 さらに、介護関係者と行政との間で情報連携のためのデジタル化も必要です。これは介護者の情報を、行政と介護関係者と家族の間で共有できるものとして、福岡市や別府市などで既にシステムの導入が行われています。このシステムによって、訪問調査票や主治医意見書などの申請手続や、介護認定審査会の結果確認などをオンラインで行うことが可能となります。例えばケアマネジャーの方は、介護認定などの情報を確認するために行政の窓口へ何回も出向いたり、何度も電話をかけたりしていた手間を省くことができます。行政側にとっても、窓口や電話での対応に時間を割く必要がなくなり、担当職員の業務負担軽減にもつながります。
 また、システム上で写真や動画を投稿できる機能もあるので、介護現場の見える化として、日々の生活や異変があった際の状況などを関係者間で速やかに情報共有できます。家族に対しても、電話だけでは様子を伝えにくいような変化を小まめに伝えられるので、介護サービスの質の向上や、離れて住む家族の安心感にも結びつきます。
 本市においても、認定情報の開示について、ケアマネジャーが開示請求を提出した日から3日後となっているため、もっと速やかに開示していただきたい旨の要望が寄せられています。このようなシステムの導入により介護現場の負担が少なくなるのであれば、ぜひとも導入に向けて検討を進めていただきたいと思います。
 本市においても、介護のデジタル化について、その必要性は十分認識されていると思いますが、実情としては熊本県が行っているデジタル関連機器導入の補助事業への参加を周知するだけにとどまっているように思います。
 そこでお尋ねいたします。
 北九州市の事例に見られるように、デジタル化を強力に推進するためには伴走型の支援策が有効だと思いますが、いかがでしょうか。また、行政と介護関係者を結ぶ介護情報共有システムがあらゆる理由で必要と思われます。先進市の事例を参考に導入を進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。健康福祉局長のお考えをお聞きいたします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  介護分野のデジタル化に関するお尋ねに順次お答えいたします。
 ICTや介護ロボット等のテクノロジーの活用につきましては、介護の現場における職員の負担軽減を図り、人材を確保するための有効な手段であると考えており、これまでも導入費用の助成に関し周知を行うなど普及を図ってきたところでございます。
 お尋ねの伴走型の支援体制につきましては、令和2年8月から国において事業化され、地域での相談窓口の設置も進んでいるところであり、本市におきましても、先進事例について調査するなど検討してまいります。
 次に、介護関係者と行政との情報連携のためのデジタル化ですが、ケアマネジャー等介護従事者の負担軽減のほか、いち早く情報共有することで利用者への介護サービスが速やかに提供されるなど、有効な手段であると考えております。
 本市におきましても、議員御紹介の先進市の事例も参考にしながら、導入に向けて検討してまいります。
         〔26番 山内勝志議員 登壇〕

◆山内勝志 議員  介護分野のデジタル化は、介護従事者の人材不足や経営面の厳しさを考慮すれば、基礎自治体としては待ったなしの大きな課題です。地理的にも近い北九州市で先進的な取組が行われているのを好機と捉え、現地視察などを重ね、伴走型支援の在り方について前向きな検討を始めていただくようにお願いいたします。
 また、介護関係者と行政との情報連携については、導入に向けて検討いただけるとのことです。これについても、隣県での実績もあるので現実的なタイムスケジュールを策定し、いち早く実現していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に移らせていただきます。
 最後に、地域手当の適用化に向けての本市の方針についてお尋ねいたします。
 新年度となり、町なかに多くの人出が戻ってきたような気がします。景気の動向調査においても改善の兆しが見られ、特にコロナ禍が縮小するにつれ、経済活動や社会生活が徐々に正常化しているように思います。人手不足や物価上昇などマイナス要因も残ってはいるものの、旅行客の増加や個人の消費動向は改善傾向にあるようです。
 先月、連合熊本が発表した2023年の春闘の結果を見ると、平均で1万4,000円以上の賃上げが行われ、31年ぶりの高水準だったようです。最近の記録的な物価高や大手企業の満額回答を背景に、地方の人材確保を意識して賃上げの動きが活発になったようです。特に半導体関連の製造業分野が高い賃上げ状況のようです。
 熊本の独自の背景においては、TSMCの進出に伴う大規模な投資意欲が見られ、半導体産業を中心に今後も経済的な活況が予想されています。それに伴い、技術者や新卒者などの人材確保面においても、その競争性が激しくなっております。このような状況はよい面ばかりではなく、採用行動の激化により優秀な人材を確保することが難しくなることも予想されます。ここ熊本市の職員採用においても、民間との競合を考えた場合、より一層魅力のある就業環境となるよう処遇改善に努める必要があると思います。
 熊本市の職員も含めた公務員の給与は、民間給与を参考に国家公務員との均衡を取る形で決定されています。また、それぞれの自治体職員の給与が突出することがないよう、国家公務員の給与制度に準じて給与制度が形づくられています。
 その公務員の給与制度の中に、地域手当というものがあります。これは都市部などの物価や賃金の高い地域に勤務する公務員に対して支給されているもので、民間の給与制度に準じた手当です。手当額は7段階に分かれており、最も高いものは基礎的な給料の20%相当が支給され、最も低い7級では3%相当が支給されます。
 地域手当は、国家公務員も地方公務員も同じ基準を用いており、現在の地域手当の対象都市は2014年に決定されており、10年に一度の間隔で割合や対象都市が見直されます。現在最も高い地域は東京都の20%で、ほかの政令指定都市を見ると、大阪市、横浜市、川崎市が16%、千葉市、さいたま市、名古屋市が15%、相模原市、神戸市が12%、京都市、堺市、広島市、福岡市が10%、仙台市、静岡市が6%、札幌市、新潟市、浜松市、岡山市、北九州市が3%となっております。
 お気づきのように、政令指定都市20市の中で、この地域手当が唯一支給されていない都市が熊本市です。前回の見直しの際には、新潟市と熊本市の2市が対象外でしたが、新潟市は適用となり、熊本市だけが取り残されています。公務員の給与を規定する一般職の職員の給与に関する法律においては、地域手当は地域における民間の賃金水準を基礎とし、物価等を考慮して決定すると定められています。地域の賃金水準と物価のいずれもが決定のよりどころとなっております。
 ちなみに、九州内で地域手当が支給されている都市は、政令市以外では福岡県の春日市と福津市が10%、太宰府市、糸島市、新宮町、粕屋町が6%、筑紫野市、宇美町が3%、そして長崎市が3%です。これらの都市と比較しても、熊本市は賃金も物価も低いということでしょうか。
 総務省が発表した2021年の消費者物価地域差指数を見ると、熊本市よりも物価指数が低い都市には、名古屋市、広島市、新潟市、浜松市、岡山市、北九州市、福岡市があります。これら7つの政令指定都市よりも熊本市の物価は高いのです。賃金についても、TSMCの進出に影響を受けた賃金の上昇は明らかであり、裏づけとなるようなこの春の春闘の結果も出ています。
 地域手当は自治体が独自に設定するものではありませんが、人事院をはじめ国の関係機関には実情に応じた見直しを行うよう、しっかりと働きかける必要があります。今後、優秀な人材をこの熊本市の職員として確保するためにも、何としても地域手当の次期見直し年である2024年に向けて、地域手当の適用化を図るべきだと考えます。ぜひとも熊本市職員のトップとして、大西市長には強く国に対しての要請行動を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大西市長の所見をお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  地域手当は給与構造改革の一環として、平成18年4月から全国の公務員の本俸を平均4.8%削減する一方で、地域の実情に合わせた給与水準を確保するために導入されたものです。
 本市がこの手当の支給地域になることで、本市に勤務する公務員の給料の引上げとなり、質の高い優秀な人材の確保や、地域経済の実情に合った給与水準になるものと考えております。
 このようなことから、令和6年度の重点施策として、本市を支給地域にするよう既に人事院や関係省庁に対し要望を行ったところでありまして、今後も継続して働きかけてまいりたいと考えております。
         〔26番 山内勝志議員 登壇〕

◆山内勝志 議員  地域手当の適用については、少なくとも政令指定都市移行時に新潟市と同時に実現すべきだったと思っております。物価については、以前から政令市の真ん中くらいの位置にあり、また、賃金も他都市と比べて遜色があるとも思えません。
 いずれにしても、TSMC進出に伴う民間賃金の上昇は間違いありません。物価と賃金の双方を総合的に勘案すれば、政令市の中で唯一適用対象外となる理由はないように思います。
 また近年は、熊本市に採用された新卒者の採用辞退や早期離職も問題となっています。業務の繁忙さだけでなく、上着やコートを入れるロッカーもなく、お弁当を広げられるようなスペースもなく、さらには会議室もないような前時代的な労働環境では職員のモチベーションも上がりません。少なくとも正当な地域手当の受給が今の職員だけでなく、これから熊本市で働きたいと思う若い人々にプラスの影響を与えることになります。
 魅力のある都市であり続けるためにも、働く職員の処遇は重要な課題であると思います。大西市長をはじめ幹部の皆様、また議場の議員の皆様、そして市民の皆様方にも御理解いただきたいと思います。
 以上で、私が用意した質問は終了いたしました。市長をはじめ執行部の皆様には、真摯な御回答をいただきありがとうございました。また、本日傍聴においでいただきました皆様、オンラインで視聴していただいた皆様方に感謝いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午後2時に再開いたします。

                            午前11時59分 休憩
                            ───────────
                            午後 1時59分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 高瀬千鶴子議員の発言を許します。高瀬千鶴子議員。

         〔28番 高瀬千鶴子議員 登壇 拍手〕

◆高瀬千鶴子 議員  公明党熊本市議団の高瀬千鶴子です。
 4月の統一地方選挙で御支援いただきました皆様に心より感謝申し上げます。本日が2期目となりまして初めて、そして通算6回目の質問となります。今回質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に心より感謝申し上げます。
 また、お忙しい中、傍聴にお越しいただきました皆様、インターネット中継で御覧いただいている皆様にも心から御礼申し上げます。
 今回の台風2号、梅雨前線による記録的な大雨により広範囲で被害が出ております。このたびお亡くなりになられました皆様、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
 改めて線状降水帯の怖さを痛感したところであり、十分注意が必要であると感じております。
 それでは、通告の順に従い質問してまいります。市長並びに執行部の皆様には、明快な答弁をよろしくお願いいたします。
 まず初めに、がん予防とがん検診の推進について質問いたします。
 これまでも度々質問を重ねてまいりました。このたび政府が第4期がん対策推進基本計画を3月に閣議決定し、誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指すとの目標を掲げて、検診受診率6割を目指すとしています。
 今回の第4期基本計画のポイントは、がんの予防に今までよりも力点が置かれている点です。喫煙や飲酒、運動不足など、がんの発症リスクを高める生活習慣の改善はもちろん、予防できるがんは徹して予防するものです。
 胃がんの原因の98%を占めると言われるピロリ菌、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)、肝がんの原因の7割を占めるとされるB型・C型肝炎ウイルスからの感染症を防ぐことが大事となります。
 ピロリ菌につきましては、藤永先輩が最後の最後まで取り組まれており、今後はしっかり経過を確認していきたいと思いますので、肝がん予防に関して質問いたします。
 皆様も御存じかと思いますが、肝炎ウイルスに感染し、治療などせずそのままにしておくと、将来、慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行してしまいます。肝炎ウイルス検査は個人情報を適切に管理する必要がありますので、あくまでも本人が希望することが前提となりますが、本市では、初めて肝炎検査を受ける方は無料で受けられますので、一生に一度は受けていただくことが大事と考えます。
 そこで、最近の肝炎検査受検者数の推移、市民の皆様への周知啓発促進など、本市の取組状況を御教示ください。
 続きまして、子宮頸がんの予防に関して質問いたします。
 これまでも、我が会派の伊藤議員、三森議員から質問しておりますが、政府から子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨の再開が通達され、感染症対策課の皆様にはいち早く御対応いただき大変感謝しております。本当にありがとうございます。
 皆様も御存じのとおりでありますが、HPVは男女ともに感染し、ヒトからヒトに感染してしまいます。今や世界の常識となりつつありますが、HPV感染のリスクを減らすためには、男女ともにHPVワクチンを接種することが望まれます。
 そこで、積極的勧奨再開後の対応状況、接種件数の推移を教えてください。
 また、HPVワクチンは現在4価と9価があります。この2種類のワクチンの違い、特徴等を御教示ください。
 さらに、今回、4価HPVワクチンの適応が肛門がん等へ追加され、男性への使用も可能とされました。現在、男性への接種は任意とされており、全額自己負担となっております。これから国の動きも出てくるかと思いますが、男性に対する接種費用について独自助成を開始する自治体も増えてきております。男性の接種費用への助成について、今後の本市のお考えをお伺いします。
 引き続き、今後の集団検診の在り方について質問いたします。
 ここ数年は、コロナ禍の影響で集団検診が中止となったほか、感染予防から集団検診を避けていた方も多くいたに違いありません。今後、がん検診の受診控えの影響で進行してしまったがんが発見されるのではないかと危惧しております。
 今年の2月からは、肺がん検診がかかりつけ医でも受けられるよう、個別検診を進めていただき大変ありがとうございました。
 これまで特定健診、がん検診の受診率向上を目指す対策の一つとして、特定健診とがん検診がセットで受けられるようにと訴えてきました。受診者側から見ても、一度に全ての検診が受けられるというのはとても利便性が高いと考えます。
 そこで、今後の集団検診の在り方について、本市としてのお考えを教えてください。
 また、具体的な取組事例などありましたら御教示ください。
 まとめて健康福祉局長にお尋ねします。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  がん予防とがん検診の推進についてのお尋ねに順次お答えいたします。
 まず、肝炎対策の取組についてですが、本市では、平成20年度よりウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業として無料肝炎検査を実施しており、現在、約350の医療機関で検査を受けることができます。受検者数につきましては、平成27年度の約4,500人をピークに減少傾向となっております。
 そのような中、本市におきましては、昨年度、厚生労働省が実施する、知って、肝炎プロジェクトの積極的広報地域に選定され、肝炎の正しい知識の普及と肝炎ウイルス検査受検促進を目的として、スペシャルサポーターである著名人と一緒に、街頭キャンペーン、日本消化器病学会九州支部例会におけるトークイベント、市長表敬訪問など数々の啓発イベントを行いました。また、SNSやホームページでの動画配信、テレビ、新聞や市政だよりによる広報など、幅広い世代に対して周知を行ったところでございます。
 今後も身近な医療機関で気軽に検査を受けられる体制を維持するとともに、市民の皆様へ肝炎検査の重要性について、あらゆる広報媒体を活用し啓発を行ってまいります。
 次に、子宮頸がんの予防についてですが、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨の再開により、令和4年度において定期接種対象者と、国が勧奨を控えていた時期に接種機会を逃した方が公費で接種できる、いわゆるキャッチアップ接種の対象者へ個別通知を行うとともに、市ホームページを通じてワクチンの有効性や副反応など、予防接種に関する正しい情報の提供を行いました。
 年度ごとの接種件数は、令和元年度は492件、令和2年度は1,640件、令和3年度は3,903件、令和4年度は定期接種3,178件、キャッチアップ接種3,373件となっております。
 また、2種類のワクチンの違いについてですが、4価HPVワクチンは、子宮頸がんの原因の50~70%を占める2つの型のウイルスの感染を防ぐ効果があります。令和5年度から定期接種に追加となった9価HPVワクチンは、さらに5つの型を加え80~90%の子宮頸がんの原因となるウイルスの感染を防ぎ、子宮頸がんの罹患を予防する効果があるとされております。
 予防接種法に基づく子宮頸がんワクチンの接種は、標準的な接種間隔6か月の間に3回の接種が必要ですが、9価HPVワクチンの特徴として、15歳になるまでに受けることで2回での接種も可能となっております。
 次に、HPVワクチンの男性への接種については、昨年8月の厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において議論が始まりました。現在、有効性や安全性等の観点から、予防接種法に基づく定期接種対象のワクチンに採用するかどうかについて専門家による検討が進められており、今後も国の動向を注視しつつ、費用助成について研究してまいります。
 最後に、がんの集団検診の在り方についてですが、集団検診は、特定健診と同時に本市が実施している肺がんなど5つのがん検診を受診できる利点があり、医療機関での個別検診や各校区で実施している巡回検診とともに、がん検診を推進するに当たって重要であると考えております。
 今後もがん検診全体の受診率向上を図るため、従来からのはがきによる受診勧奨と併せ、集団検診の利点を周知してまいります。
 具体的な取組事例ですが、令和4年度から新たに花畑広場を会場とした集団検診を開始し、3日間で約200人の受診がありました。また、本年4月からは集団検診のインターネット申込み時に特定健診と全てのがん検診の一括選択を可能としたほか、市政だよりにおいても同時受診の案内を行っております。今年度も同様の取組を継続し、受診機会の拡充に取り組んでまいります。
         〔28番 高瀬千鶴子議員 登壇〕

◆高瀬千鶴子 議員  御答弁ありがとうございました。
 肝炎検査受検者数につきましては近年減少傾向にあるようです。啓発イベントなど取り組まれていますが、肝炎ウイルスに感染すると、症状もなく長い時間をかけて進行していきますので、特に若い世代の方に積極的に検査を受けていただけるよう、さらに市民の方への周知啓発をお願いします。
 子宮頸がんの予防に関しましては、これまでも素早く御対応いただき大変ありがとうございます。男性に対する接種費用の助成については、国の動向を注視しつつ研究してくださるとのことでした。今後も対象者の方が選択できるチャンスを逃さないよう、HPVワクチンの正しい情報発信をお願いいたします。
 今後の集団検診の在り方については、初質問のときから特定健診とがん検診がセットで受けられるようにと訴えておりましたので、インターネット申込み時に特定健診と全てのがん検診の一括選択が可能となったことは大変うれしく思います。今後も市民の皆様が利用しやすい集団検診となるよう、よろしくお願いいたします。
 続きまして、3年ぶりに開催されました熊本城マラソンについて質問いたします。
 コロナ禍の影響で開催が中止されておりましたが、今回記念すべき10回目の開催となり、多くのランナーの方が待ち望んだ開催であったと思います。3年前には、公明党熊本市議団からも5名でファンランに参加しました。
 私は初めての参加でしたが、スタート地点に集った多くのランナーの方の笑顔、熱気に満ちあふれる様子が今でも思い出されます。
 これまでは、熊本城マラソンが開催されるときは、我が家の周辺は交通規制のど真ん中にありますので、沿道に出て応援したり、自宅に帰ってテレビ中継を見ながら応援したりしておりました。また、その日に外出する予定があるときは、交通規制が始まる前に規制区域外へ脱出するなど、事前準備をする必要があり、多少の苦労もありますが、それでも熊本城マラソンが無事に開催されるようにと陰ながら協力してまいりました。
 しかし、今回熊本城マラソンが開催されたことにより、とても困難を強いられた市民の方から御相談がありました。その方は、熊本城マラソンが行われているときに急にゼロ歳のお子さんの具合が悪くなり、主治医のいる熊大病院を受診したいと向かったところ交通規制のため通行できず、病院から遠いパーキングに車を止め、お子さんを抱きかかえて病院に向かったそうであります。その間、どれほど不安であったか、過酷であったか、お母様の心情を想像すると大変心が痛みます。
 また、同じくお子さんの具合が悪くなり、熊本地域医療センターを受診しようとされましたが、やはり交通規制に阻まれ、時間をかけて遠回りして日赤病院を受診された方もいらっしゃいました。病院までの道のりは、きっと具合の悪いお子様を連れ、気が気ではなかったと思います。
 久しぶりに熊本城マラソンが開催されて、沿道では歓声が飛び交う一方で、このように困難を抱えた方がいらっしゃったことは事実であります。
 改めて、これからも熊本城マラソンが市民の皆様に喜んでいただけるイベントとして続いていくよう、何点か確認させていただきます。
 1点目、今回3年ぶりに開催されました熊本城マラソンですが、開催されたことによる効果や見えてきた課題などがありましたら御教示ください。
 2点目、現在の熊本城マラソンのコースは、熊大病院、国立病院機構熊本医療センター、熊本地域医療センターなど救急医療の病院が交通規制の中に入っているようですが、今のコース設定となった理由を教えてください。また、熊本城マラソン開催時の救急搬送体制はどのように設定されていますでしょうか。
 3点目、今回の相談者の方から、急病のときも子供が安心して受診できるようにしてほしいとの要望がありました。また、緊急時にどのルートを移動すれば病院にたどり着けるのか、熊本市のホームページやインスタグラム、大西市長のツイッターなどで情報発信をしてほしいとの御要望もありました。今後、御検討いただけないでしょうか。
 以上3点につきまして、経済観光局長にお尋ねします。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  熊本城マラソンに関する3点のお尋ねに順次お答えいたします。
 まず、開催の効果と課題についてでございます。
 現在、経済波及効果を算定中でございますが、コロナ禍で3年ぶりの開催となりました今年の熊本城マラソンには、約1万2,000人のランナーの方々が参加され、約23万人の観客の皆様から熱い応援をいただくなど、大きなにぎわいの創出につなげることができたところであり、交流人口の増加による地域活性化に一定の効果があったものと考えております。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、大会運営に必要不可欠なボランティアや救護所を担う医療関係者の確保に苦慮したところでございますが、感染症法上の位置づけの変更に伴い市民生活も徐々に日常を取り戻していることから、次回大会では解消されるものと考えております。
 次に、コースにつきましては、人流や物流を勘案し、市民生活への影響が最小限となるよう交通管理者等の関係機関と協議を重ね設定したものでございまして、日本陸上連盟の公認コースとなっております。
 また、マラソン開催時の救急搬送体制につきましては、全コースにおいて緊急車両の通行を最優先とするなど、消防局と密に連携し万全を期しているところでございます。
 最後に、病院までのルートの情報発信につきましては、大会開催中、沿線医療機関へのアクセスに一定程度の影響が及びますことから、交通規制の情報につきましては事前に大会ホームページ等で周知するとともに、地区ごとの詳細な規制情報をチラシにし、沿線に配布いたしております。さらに、大会当日はコールセンターを設け、最新の規制情報や迂回路情報などについて、個別に情報提供を行っているところでございます。
 今後も関係機関との連携を密にしながら、必要な情報がより得やすくなるようSNSを活用した取組を充実させるなど、皆様に安心していただける大会運営に努めてまいりたいと考えております。
         〔28番 高瀬千鶴子議員 登壇〕

◆高瀬千鶴子 議員  御答弁ありがとうございました。
 開催に当たり、一定の効果、また課題もあるようでした。また、今後は必要な情報がより得やすくなるよう、SNSを活用した取組も充実させてくださるということでした。いざというときに、情報を必要とされる方が瞬時に的確な情報が得られるよう情報発信に努めていただき、これからも熊本城マラソンが多くの市民の皆様に愛される大会となるようよろしくお願いいたします。
 続きまして、子育て支援について、これまで届いた要望も踏まえて質問いたします。
 子育て支援といえば公明党なくして語れません。古くは教科書の無償配布、近年では幼児教育・保育の無償化など、多くの子育て支援策を提案し、実現してまいりました。
 昨年11月には、子育て応援トータルプランを発表し、若い世代や子育て世代の現実に根差した希望のプランであると、識者の方からも高い評価をいただいているところです。
 政府が3月末に発表した異次元の少子化対策の具体策のたたき台にも、公明党の主張が随所に反映されています。子供の利益を第一に考えるこども真ん中社会の実現に向け、本年4月よりこども政策の司令塔、こども家庭庁が発足、本市にもこども局が誕生しました。
 先日、公明党市議団でこども局の視察に行ってまいりました。こども局の中にはこども育成部、こども福祉部、児童相談所が属しており、こどもの権利サポートセンター開設準備室も設置されています。
 また、妊娠内密相談センターが開設されており、フロアの奥まった部屋に看板が掲げられておりました。6名体制で対応されていましたが、今後の対応は可能か少し気にかかりました。4月からスタートしたばかりですので、しっかり運用状況を確認し、適切に対応いただければと思います。
 そこで、順次お尋ねいたします。
 1点目、こども局が誕生し、私の勝手なイメージであったかもしれませんが、こども局は1か所にあるものだと思っておりました。実際はこども育成部とこども福祉部が別になっており、遠く離れていることが利用者の方からの利便性はどうだろうと考えてしまいます。日頃はリモート会議を活用しながら情報の共有や意思疎通を図っていると言われておりましたが、今後、こども局が一体となる方向性やお考えはありますでしょうか。
 2点目、今年度、こどもの居場所支援整備事業を開始されると伺いました。家庭や学校に居場所のない子供たちが安心できる場所が必要であると考えていましたので、大事な事業だと感じています。そこで、この事業の内容、スケジュール感など御教示ください。
 3点目、児童手当の拡充について、政府は13日、少子化対策財源の考え方を示したこども未来戦略方針を決定していますが、対象年齢、所得制限、支給額など、制度の見直しが行われる点やスケジュール感をお伺いします。
 4点目、子供医療費の助成について、大西市長が3期目の重点政策の第1番目に子供医療費の高校3年生までの支援拡充を掲げておられ、今年12月から開始すると伺っています。確認でありますが、今回見直される点について御教示ください。
 5点目、最近、子育て世代の方からいただいた要望から2点質問いたします。
 働くお母様にとって、まず気がかりなのが、いざ子供が病気になったときに預かってくれるところがあるかどうかであり、働くお母様は病児・病後児保育の充実を望んでおられます。
 現在、病児・病後児保育を行ってくださっている事業所は何件ありますでしょうか。また、受入れ可能な人数などが分かりましたら御教示ください。
 もう1点は、土曜日の預かり保育についてです。日頃は幼稚園に通わせていらっしゃる保護者の方から、土曜日も仕事のために一時預かり保育を利用したかったが、いっぱいで預けられなかった。特にゼロ歳児の受入れが難しかったとの御相談をいただきました。日頃から自宅で保育をされている保護者の方からも、一時預かり保育がなかなか利用できないとの御意見もいただいております。
 そこで、一時預かり保育の現状、今後の対応についてお伺いします。
 以上、5点まとめてこども局長にお尋ねします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  子育て支援に関する御質問に順次お答えいたします。
 まず、こども局が一体となる方向性についてでございますが、こども局は、子供をめぐる複雑かつ多岐にわたる課題に迅速、的確かつ丁寧に対応するため、全庁的・総合的な牽引役を担う組織でございます。
 そこで、執務室の配置に当たりましては、本庁各部局との政策調整や教育委員会との連携を強化するため、こども育成部を本庁舎隣接のビルとし、相談窓口を集約して専門的な拠点をつくることを念頭に、こども福祉部と児童相談所をウェルパル、あいぱるとしたものでございます。
 拠点が離れておりますものの、子供・子育て関連のサービスに係る手続につきましては引き続き区役所が窓口でございまして、市民の皆様の利便性が低下することがないよう配慮しているところでございます。
 こども局内の組織間の意思疎通につきましては、デジタル機器を活用したリモート会議等により円滑に行っており、引き続き効率的、効果的な業務運営に努めてまいります。
 次に、こどもの居場所支援整備事業についてでございますが、この事業は、不登校やひきこもり、ヤングケアラー等で家庭や学校に居場所のない子供に安全で安心できる居場所を提供するもので、子供とその家族が抱える多様な課題に応じた支援を包括的に実施するものでございます。
 具体的には、学習支援や生活習慣の形成支援、食事の提供、課外活動などを行い、週5日程度開設する予定としており、8月の開始に向けて現在準備を進めているところでございます。
 今年度は、まず試行的に1か所設置し、学校や地域及び関係機関とも連携しながら、その課題や成果等を検証し、来年度以降のより効果的な実施方法について検討してまいります。
 次に、児童手当の拡充についてでございますが、去る6月13日に閣議決定されたこども未来戦略方針におきまして、現在15歳までとなっている対象年齢を18歳までに拡充すること、所得制限を撤廃すること、支給額について第3子以降は3万円に増額すること等が示されました。
 スケジュールとしては、いずれも令和6年度中の実施に向けて検討することとされているところでございます。
 次に、子供医療費の助成についてでございますが、今回見直しを図り拡充することは大きく2点でございます。
 1点目は、助成対象を外来・入院ともに高校3年生の満18歳に達する年の年度末まで拡大すること。2点目は、助成対象になる全ての年齢で、これまで最大1,200円の負担を求めていた保険調剤に係る自己負担を無料化することで、これらにより全ての年代で経済的負担を軽減するものでございます。
 次に、病児・病後児保育を実施している施設数についてでございますが、本市が業務委託契約を締結している施設が8か所あり、定員は1日当たり51名でございます。
 また、内閣府が推進している企業主導型保育施設にも病児保育があり、本市と協定を締結している施設は、本年5月末現在、7か所あり、定員は1日当たり27名でございます。さらに、熊本連携中枢都市圏を形成する市町村のうち8つの自治体と病児・病後児保育施設の相互利用を可能とする協定を締結しており、利用可能な施設数は計13か所でございます。
 最後に、一時預かり保育についてでございますが、現在、本市におきましては、公立の春日保育園及び私立保育所等10施設において実施しているところでございます。
 令和4年度は、延べ7,000人を超える受入れを行ったところでございますが、土曜日を含め、受入れは先着順になっているため、お預かりできない場合もございます。
 一時預かりにつきましては、就労だけではなくリフレッシュやレスパイト等で利用を希望される保護者もおられますことから、今後、ニーズの把握や分析を行ってまいります。
         〔28番 高瀬千鶴子議員 登壇〕

◆高瀬千鶴子 議員  御答弁ありがとうございました。
 こども局の発足は、子供の利益を第一に考えるこども真ん中社会の実現に向けた大事な大事な司令塔であります。今後も様々な課題に対して迅速な対応をしていただきますようよろしくお願いします。
 また、こどもの居場所支援整備事業については、今年度、試行的に1か所設置されるとのことでした。できれば、子供さんが1人で行ける校区内に居場所設置を目指していただき、少しハードルを下げるなど、御検討くださるよう要望いたします。
 病児・病後児保育、一時預かり保育については、今後、ニーズの把握や分析を行ってくださるとのことですので、利用を希望される保護者の方が安心して預けられるような体制の構築をお願いいたします。
 続いて、男性の育児休業についてお尋ねいたします。
 これまでも我が会派の三森議員、吉田議員より、男性の家事・育児への参加の必要性について訴えてきておられます。
 昨年10月より、男性版産休と呼ばれる出生児育児休業、産後パパ育休が始まりました。この制度は、出生後8週間以内に最長4週間の休みを男性が取得できるものです。この男性版産休とは別に通常の育休も、これまで夫婦いずれも子供が1歳になるまで原則1回しか取れなかったものが、夫婦それぞれが2回まで分けて取れるようになりました。
 先日、NHKの番組で北九州市の取組を紹介しておりました。少し調べてみたところ、北九州市では2014年に市長をはじめ幹部職員がイクボス宣言を実施し、部下のワーク・ライフ・バランスを支援する管理職の表彰制度をつくったり、管理職の業績目標に育児・介護との両立支援などを盛り込み意識改善を図っておられ、その結果、男性職員の育休取得率が大幅に前進されておりました。
 このイクボスとは、育児とボスを組み合わせた造語でありますが、部下や同僚のワーク・ライフ・バランスの向上を目指し、個人のキャリアを応援する上司のことであります。私的には、この北九州市の管理職への表彰制度は腑に落ちない点もあります。そもそも男性が家事や育児に参加するのは当たり前という世の中を目指すわけですので、むしろイクボスでない管理職の方への声かけ、意識改革を進めるべきだと思います。
 そこでお尋ねします。
 1点目、北九州市では、管理職の業績目標に育児・介護との両立支援などを盛り込み意識改善を行っていらっしゃいますが、本市では育休取得に対する上司の意識改革はどのように行われていますでしょうか。
 2点目、男性版育休制度がスタートし、本市の現在の男性職員の育児休暇の取得率はどのように変化しましたでしょうか。
 3点目、今後の男性職員の育児休業取得の目標、さらに育児休業取得促進に向けて、新たな取組などがありましたら教えてください。
 以上3点につきまして、大西市長にお尋ねします。
 引き続き質問いたします。
 ラーケーションの導入についてお尋ねします。
 先日、愛知県の公立校で、児童・生徒が保護者の休暇に合わせて、年3日まで平日に登校しなくても欠席扱いにしないラーケーションの日を導入するとの新聞記事を読みました。これは大変画期的な取組だと思いましたので、提案したいと思います。
 このラーケーションという言葉は、ラーニング、学習とバケーション、休暇を組み合わせた造語であります。
 登校しなかった日は、校外で自主活動の日として扱われ、受けられなかった授業は家庭で自習するというものです。1日ずつでも、連続して3日取得してもよいとされています。また、愛知県の見解によると、特に法改正は必要ないとのことであります。
 愛知県は製造業の盛んなところで、工場勤務など特徴的な地域であるかもしれませんが、今は多くの職種があり働き方も多様です。特にサービス業の方々は、土日祭日関係なくお仕事をされていますので、平日お休みされる方がほとんどであります。これまでも後ろめたい気持ちで学校を休ませ、子供たちとお出かけされる保護者の方も少なからずいらっしゃったかと思いますが、このラーケーションの日が導入されれば、堂々と安心して休ませることができますので、家族そろってのお出かけも可能となります。
 そこでお尋ねします。
 ラーケーションの日導入について、本市のお考えを教えてください。教育長にお尋ねします。
 1問目は大西市長、2問目は遠藤教育長、よろしくお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  男性の子育てへの参画は、女性の活躍推進はもとより少子化対策においても重要でありますことから、子供が生まれる男性職員が育児休業を取得することが当たり前の職場風土づくりを早期に進めていく必要があると考えております。
 このようなことから、所属長が男性職員の育児休暇計画表を作成することや、私から全職員に対して育児休業取得に向けたメールを発信するなど、上司の意識改革に取り組んでまいりました。
 その結果、市長事務部局の男性職員の育児休業取得率については、令和2年度が10%であったのに対し、令和3年度は26%に、そして令和4年度は49%と、着実に上昇しているところです。
 今後の育児休業の取得目標につきましては、今年度80%、令和6年度85%、令和7年度90%と掲げ、その実現に向けて、育児休業の取得を原則とした休暇計画表とするほか、新たに育児休業の取得状況や体験談等の情報を庁内に発信していくことで、男性の育児休業の取得を加速してまいりたいと考えております。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  私からは、ラーケーションの導入についてお答えいたします。
 愛知県では、休み方改革プロジェクトにおいて、家族と子供が一緒に過ごせる仕組みづくりの一環として、家族の休みに合わせて、平日子供たちが保護者とともに校外学習ができるラーケーションの日を設け、本年度の2学期以降、順次導入すると伺っております。
 愛知県教育委員会に内容等について問い合わせましたところ、様々な課題についても想定しており、今後試行錯誤しながら進めていきたいということでありました。
 この取組はこれからスタートするものであり、様々な課題への対応も含め、本市として愛知県の取組について注視してまいりたいと考えます。
         〔28番 高瀬千鶴子議員 登壇〕

◆高瀬千鶴子 議員  御答弁ありがとうございました。
 男性の育児休業取得の促進については、国が掲げる目標をはるかに上回る目標を本市では掲げておられます。また、両親とも育休を取得した場合、2025年度からは給付金の割合が手取りで10割相当に引き上げられる予定であります。育児休業取得が当たり前となる取組はもとより、真の育児参画を促していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ラーケーションの日につきましては、御家族での時間を持つことで思い出づくりに役立ててもらうことが目的であると思います。
 愛知県では、2学期以降、順次導入されるとのことであり、今後の動向を注視していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、高齢者支援について3点質問いたします。
 まず、高齢者宅への自動録音電話機の購入費助成について再度お尋ねいたします。
 昨年9月、第3回定例会におきまして、高齢者宅への自動録音電話機の普及及び購入費の助成が必要ではないかと大西市長に御見解をお尋ねしたところ、大西市長から、自動録音電話機購入費の助成については、電話でお金詐欺が増加している状況であり、自動録音電話機が詐欺被害防止に非常に効果的であると認識している。特に65歳以上の高齢者が被害者となる割合が高い状況の中、高齢者の安全で安心した生活環境を守るためにはさらなる対策の強化を行う必要があると考えており、自動録音電話機の導入に向け、購入費の助成も含め具体的に検討するよう指示をしたとの大変前向きな御答弁をいただいておりました。
 私もこれから前進していくものと期待しておりましたが、今年度の予算に計上されておらずに大変残念でした。
 そこでお尋ねいたします。
 自動録音電話機購入の補助について、今回予算から外されてしまった理由を教えてください。また、今後の市としてのお考えを教えてください。
 文化市民局長にお尋ねします。
 引き続き、これまでに度々市民の方からいただいた御要望であります、加齢性難聴者を対象とした補聴器購入費への補助について質問いたします。
 現在、難聴の方の補聴器購入費補助は、高度難聴者・重度難聴者に対して補聴器購入費の補助を行っていますが、加齢性難聴者に対しての支援はありません。
 皆さんも御存じのことと思いますが、難聴は家族や友人、地域とのコミュニケーションが取りづらく、認知症になるリスクを高めるとともに、フレイルが進行してしまうとも言われています。
 以前の新聞記事になりますが、補聴器が必要な高齢者の経済的負担を軽減しようと、那覇市では加齢性難聴者を対象に補聴器購入費を独自に補助しているとの記事を見つけました。また、神奈川県愛川町では、コロナ禍で高齢者の外出機会が減っている上に、難聴であればコミュニケーションも取りづらく、閉じこもり傾向を助長してしまうことを懸念し、助成制度を決めたとの別の記事も見ました。
 これまで補聴器購入費用の助成についてお問合せがあるたびに、すみません、熊本市は聴覚障がい者の方が対象なんですよとお答えしていましたが、これらの記事を見つけ、独自に頑張っているところがあるんだと知り、調べてみると、自治体独自の助成制度が全国的にも38市区町村で行われており、少しずつですが広がってきていることが分かりました。
 反対に実施していない自治体からは、財源確保が難しいとの意見も寄せられているようですが、神奈川県相模原市では、自治体における介護予防などの取組を幅広く支援する国の保険者機能強化推進交付金を活用し、財源を確保されているようであります。
 そこでお尋ねいたします。
 熊本市において、加齢性難聴者を対象とした補聴器の購入費の助成について、今後の方向性、御見解について教えてください。
 健康福祉局長にお尋ねします。
 引き続き、高齢者の地域見守り体制の構築についてお尋ねいたします。
 先日、地元校区を歩いて移動していましたら、買物袋を重そうに持って歩く高齢の方がいらっしゃいました。見るからにきつそうでありましたので、大丈夫ですかと声をかけましたら、大丈夫、大丈夫との返事でしたので一旦通り過ぎたのですが、気にかかったので振り返ってみると、既に道路に転倒されていました。すぐに駆けつけると、頭から血を出されていましたので救急車を呼びましょうかと尋ねましたら、これくらい大丈夫、家に帰るとおっしゃいましたので御自宅までお送りしました。
 道すがら状況をお聞きしましたら、誰にも迷惑をかけたくないと、一生懸命お独り暮らしで頑張っておられました。介護保険なども利用されておらず、手続の仕方も分からないということでしたので、早速地域の民生委員さんに連絡し、介護認定の手続のお手伝いなどをお願いしたところでした。
 また、コロナ禍の影響で地域のコミュニティーが低下していることも要因としてあるかもしれませんが、孤独死される方も高齢の方とは限らず、65歳以下の方でもいらっしゃると耳にするようになりました。
 高齢者人口が最も多くなる令和22年頃を見据えると、今から17年先となりますが、私自身も前期高齢者の一員となりますので、まずは地域のコミュニティーの再構築、地域の見守り体制の構築が必要であると思います。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、本市では介護保険サポーター・ポイント制度を導入されていますが、現在の介護保険サポーター登録者数、活動内容、ポイント制度の仕組みについて教えていただけますでしょうか。
 2点目、介護予防サポーター養成講座を毎年開講されているようですが、修了者数、その後の活動について教えてください。
 3点目、私自身も認知症サポーターの一人でありますが、今後、校区ごとなどでブラッシュアップ研修などを開催していただけると、顔見知りの方がいたりして、地域での相談などもできるのではないかと考えます。校区ごとの認知症サポーターブラッシュアップ研修を実施することは可能でしょうか。
 4点目、今後、地域の見守り体制を構築するに当たり、地域ごとに介護予防サポーター、認知症サポーターの方々にも御協力していただき、地域まるごと見守り隊(仮称)を結成することなどはできないのでしょうか。
 以上、1点目から3点目を健康福祉局長に、4点目を大西市長にお尋ねします。
         〔金山武史文化市民局長 登壇〕

◎金山武史 文化市民局長  自動録音電話機の購入補助についてお答えします。
 電話でお金詐欺への対策として、自動録音電話機が有効であることから、今年度予算の編成過程において、導入促進について検討を進めてまいりました。
 その結果、熊本県警が行っている通話録音電話機の貸出し制度における貸出し台数に余力があったことから、令和5年度当初予算への計上を見送り、県警の制度の周知を図ることとしたものです。
 こうした中、熊本県警では、貸し出す電話機が予定の台数に達したため本年5月をもって受付を停止いたしました。代わりまして、民間事業者が本年5月から始めたナンバーディスプレイ費用の無償化などのサービスが、高齢者の詐欺被害防止に効果が見込めるとして周知を図っておられるところであります。
 本市としても、これを踏まえ、まずは複数の民間事業者が実施する詐欺被害防止の取組について市民に広く周知を図るとともに、従来から行ってきた出前講座や地域見守り活動及び市政だよりなどの広報による注意喚起を積極的に行うことにより、消費者被害の未然防止に努めてまいります。
         〔津田善幸健康福祉局長 登壇〕

◎津田善幸 健康福祉局長  まず最初に、加齢性難聴者に対する補聴器の購入助成についてお答えいたします。
 昨年度末、高齢者の難聴の実態及び補聴器に対するニーズを把握するため、65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者1万7,000人を対象にアンケートを実施いたしました。その結果、18.5%の方が聞こえ方に不自由さを感じておられ、そのうち64.5%の方は補聴器を所持しておられないということが分かりました。
 補聴器を所持しておられない理由ですが、高額であるとの経済的理由が約20.7%である一方、補聴器の使用が煩わしいが22.2%、どれだけ改善するか分からないが20.1%と、補聴器の使用に不安を持つ意見も多く見られました。
 こうした結果を踏まえますと、加齢性難聴でお困りの方に対しましては、単に補聴器購入費の助成だけではない支援の検討が必要であると考えています。
 今後は、現在、国で検証中の聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果の研究結果も踏まえ、加齢性難聴で悩んでおられる方への支援の在り方を総合的に検討してまいります。
 続きまして、高齢者の地域での見守りにつきまして、3点の御質問にお答えいたします。
 最初に介護保険サポーター・ポイント制度についてですが、登録者数は本年5月末時点で122名、その活動内容は、サポーター受入れ機関として登録されている介護保険施設などにおいて、レクリエーションの支援や清掃などのボランティア活動を行っていただくものとなっております。
 この制度は、高齢者の社会参加や地域支援活動を通じて、支援者自身の健康増進や介護予防を目的に実施しており、ボランティア活動時間に応じて、ポイントが付与され、1ポイントを100円に、最大で年間5,000円の転換交付金が受け取れるというものでございます。
 次に、介護予防サポーター養成講座についてですが、本講座は、地域の高齢者の健康づくりや介護予防の取組を行う人材養成のために実施しており、これまでに522名の方に受講していただいております。
 本講座の修了後、住民主体の介護予防活動であるくまもと元気くらぶなどの地域活動において、運動のサポートや介護予防の啓発など各サポーターの得意分野を生かした支援を行っていただいております。
 最後に、認知症サポーターブラッシュアップ研修についてですが、認知症サポーター養成講座の受講生には、校区内での認知症高齢者見守り訓練や、身近な場所での認知症カフェなど、それぞれの地域において活動していただいております。
 今後の高齢化の進展に伴う認知症の増加を考えたとき、地域における見守り体制のさらなる充実は重要であることから、議員御提案の認知症サポーターブラッシュアップ研修の実施についても検討してまいります。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  4点目の、地域における高齢者の見守り体制を構築する際の介護予防サポーター、あるいは認知症サポーターとの連携についてお答えさせていただきます。
 本市では、これまで地域包括ケアシステムの構築を推進していく中で、高齢者支援センターささえりあを中心に、地域の自主性や主体性に基づいた高齢者の見守り体制づくりを進めております。
 近年では、自主防災クラブが小学生の登下校見守り活動と併せて高齢者の見守り活動を行ったり、夏休みのラジオ体操の場に高齢者の参加を促したりするなど、地域の状況に応じて工夫した取組が実施されているところです。
 今後も介護予防サポーターや認知症サポーターなどの地域で高齢者を支える人材を育成し、支援者間のつながりを強化するとともに、地域包括ケアシステム推進会議等を通して、地域における様々な関係団体の連携を深めることで、高齢者の地域での見守り体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
         〔28番 高瀬千鶴子議員 登壇〕

◆高瀬千鶴子 議員  御答弁ありがとうございました。
 自動録音電話機購入の補助については、現在、県警での貸出しが終了し、民間事業者が新たな取組を始めているとのことでした。私から県警の通話録音電話機の貸出し制度を紹介した方は、今お使いの電話機では対応できないと、結局は電話機を購入されることになりました。
 今回の答弁では、民間事業者任せで本市としての取組はないようです。昨年9月の大西市長の大変前向きな答弁とは相反しておりますので、今後の本市としての取組を要望しておきます。
 また、加齢性難聴者の方への補聴器購入費の補助については、アンケート結果から、単に補聴器購入費の助成だけではない支援が必要であり、今後も国の動向を見ながら、加齢性難聴で悩んでおられる方への支援の在り方を総合的に検討してくださるとのことでした。補聴器を所持していない理由の20.7%の方は、高額であるとの経済的な理由をお持ちであることも事実でありますので、引き続き御検討いただきますようよろしくお願いします。
 認知症サポーターのブラッシュアップ研修については、実施について検討してくださるとのことでした。
 また、地域での高齢者の見守り体制については、地域の状況に応じ、工夫した取組が実施されているところもあるようです。
 先日、ある自治会長さんとお話しする中で、孤独死だけは出したくないとおっしゃっていたのがとても印象に残っています。日頃からのコミュニティー構築が重要でありますので、各種団体での連携が強化されますよう取組をよろしくお願いいたします。
 最後になりますが、皆様も御存じのとおり、先月、5月19日~21日には、広島で主要7か国首脳会議、G7サミットが開催され、ウクライナのゼレンスキー大統領も来日し、会合に参加されました。ウクライナは、かつて世界3位の核兵器大国であったそうですが、1994年にNPTに加盟した際に核兵器を放棄しています。今回ゼレンスキー大統領が広島の地に来られたことは、本当に大きな意味があったと感じています。
 また、G7首脳が初めてそろって広島平和祈念資料館を訪問しました。被爆者と懇談し、原爆慰霊碑に献花するなど歴史的な日となりました。さらに、核兵器のない世界の実現に向けた決意を再確認するとともに、原爆投下以降77年間にわたって核兵器が使用されていない重要性を強調し、核戦争に勝者はなく、核戦争は決して起こしてはならないと、核軍縮に特化したG7初となる広島ビジョンが発出されました。
 私たち公明党は、唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器のない世界の構築をリードできるよう、これからも全力で取り組んでまいる決意です。
 以上をもちまして、今回準備しました質問は終わりました。真摯に御答弁いただきました大西市長をはじめ執行部の皆様に感謝いたします。また、真摯にお聞きいただいた先輩、同僚議員の皆様、そして平日の午後という大変お忙しい中、傍聴においでいただいた皆様、インターネット中継にて御覧いただいた皆様にも心より感謝申し上げます。
 これからも市民の皆様のお役に立てるよう努力していくことをお誓いし、私の質問を終わります。本当にありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。
 次会は、明21日(水曜日)定刻に開きます。

      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。
                            午後 2時53分 散会


〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり





令和5年6月20日
出席議員 48名
      1番   田 中 敦 朗        2番   大 嶌 澄 雄
      3番   村 上   麿        4番   瀬 尾 誠 一
      5番   菊 地 渚 沙        6番   山 中 惣一郎
      7番   井 坂 隆 寛        8番   木 庭 功 二
      9番   村 上 誠 也       10番   古 川 智 子
     11番   荒 川 慎太郎       12番   松 本 幸 隆
     13番   中 川 栄一郎       14番   松 川 善 範
     15番   筑 紫 るみ子       16番   井 芹 栄 次
     17番   島 津 哲 也       18番   吉 田 健 一
     19番   齊 藤   博       20番   田 島 幸 治
     21番   日 隈   忍       22番   山 本 浩 之
     23番   北 川   哉       24番   平 江   透
     25番   吉 村 健 治       26番   山 内 勝 志
     27番   伊 藤 和 仁       28番   高 瀬 千鶴子
     29番   小佐井 賀瑞宜       30番   寺 本 義 勝
     31番   高 本 一 臣       32番   西 岡 誠 也
     33番   田 上 辰 也       34番   三 森 至 加
     35番   浜 田 大 介       36番   井 本 正 広
     37番   大 石 浩 文       38番   田 中 誠 一
     39番   坂 田 誠 二       40番   落 水 清 弘
     41番   紫 垣 正 仁       43番   澤 田 昌 作
     44番   田 尻 善 裕       45番   満 永 寿 博
     46番   藤 山 英 美       47番   上 野 美恵子
     48番   上 田 芳 裕       49番   村 上   博


説明のため出席した者
  市長       大 西 一 史    副市長      深 水 政 彦
  副市長      中垣内 隆 久    政策局長     田 中 俊 実
  総務局長     宮 崎 裕 章    財政局長     三 島 健 一
  文化市民局長   金 山 武 史    健康福祉局長   津 田 善 幸
  こども局長    木 櫛 謙 治    環境局長     早 野 貴 志
  経済観光局長   村 上 和 美    農水局長     大 塚 裕 一
  都市建設局長   井 芹 和 哉    消防局長     福 田 和 幸
  交通事業管理者  古 庄 修 治    上下水道事業管理者田 中 陽 礼
  教育長      遠 藤 洋 路    中央区長     岡 村 公 輝
  東区長      本 田 昌 浩    西区長      河 本 英 典
  南区長      本 田 正 文    北区長      中 川 和 徳

職務のため出席した議会局職員
  局長       江   幸 博    次長       中 村 清 香
  議事課長     池 福 史 弘    政策調査課長   上 野 公 一

 
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