電話 〒861-5512 北区梶尾町1364-11 (MAP) 

熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2023年09月06日 定例会

令和 5年第 3回定例会

  令和5年9月6日(水曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第2号                         │
│ 令和5年9月6日(水曜)午前10時開議                 │
│ 第  1 一般質問                           │
└─────────────────────────────────────┘
                            午前10時00分 開議
田中敦朗 議長  ただいまより本日の会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  日程第1「一般質問」を行います。
 発言の通告があっておりますので、順次発言を許します。
 まず、吉村健治議員の発言を許します。吉村健治議員。

         〔25番 吉村健治議員 登壇 拍手〕

◆吉村健治 議員  皆さん、おはようございます。市民連合の吉村健治でございます。
 早速ですが、質問に入らせていただきます。
 LGBTQなどに関する質問をさせていただきます。
 性的マイノリティーをめぐる訴訟が、近年、数多く提起され、救済に積極的な判断が示されました。例えば、同性婚を認めない件に関して、過去2年余り、民法の違法性が問われた裁判において、違憲2件、違憲状態2件、合憲1件、計5件の一審判決が出ております。その違憲判決では、同性カップルが法的に婚姻できないことで、異性カップルが普通に認められている法的利益や、家族として認められるかどうかの人格的利益を享受できないと指摘し、法の下の平等を定めた憲法14条や個人の尊厳に基づく家族法の制定を求める憲法24条第2項に違反しているとし、国に立法措置を求めています。
 国民間で大きく価値観の隔たりがある問題について、通常、司法は三権分立の観点から、選挙で選ばれた政治家による立法解決に委ねるなど、伝統的に慎重な判断を下してまいりましたが、裁判では、性的マイノリティーの方々が当たり前に持つべき権利に関する議論が、一部の極論によって本質がゆがめられ、国会において一向に進展してこなかったこと、多数決の原理に翻弄されがちなマイノリティーの権利を、司法がやっと救済しようという意識に変わってきたものと理解、評価できます。
 本年7月、性同一性障害の経産省職員に対する女性用トイレの差別的使用制限をめぐり、最高裁判所は国の対応は違法であるとし、制限を認めない判断を下しました。原告は、性別適合手術は健康上の理由で受けていませんが、医師による性同一性障害の診断を受けた上で、2009年、診断内容や女性用トイレの使用希望を経産省担当者に伝えたところ、他の女性職員とのトラブルを避けるためとし、職場から2階以上離れたトイレの使用を求められたことで、人事院に対し使用制限の撤廃を要求したところ、退ける判定が出たため、裁判所に提起したものです。
 一審、二審で異なった判断が下されたため原告が上告し、長い年月を費やし、やっと不当性が認められました。判決では、原告による女性用トイレ使用を明確に反対した同庁女性職員は皆無で、別の階のトイレの使用時にトラブルは起きていないと認定した上で、経産省の当初の対応を容認した人事院の判断は、他の職員への配慮を重視し過ぎ、原告の不利益を不当に軽視するもので、著しく妥当性を欠くとした画期的な判断を下しました。
 当初私は、人事院がこんな前近代的な、差別的な考えを持っていたことに唖然とし、熊本市役所の現状を知りたいと思い、質問構成を考えておりましたが、実際にトランスジェンダーの方々の御意見を直接拝聴すると、専用のトイレを用意するなどの特別な配慮をしてほしいとの希望はなく、あくまでも、社会の中で差別を受けることなく、当たり前の人生を送りたいだけだということが分かってまいりました。
 このトイレ問題を契機に、様々な性的マイノリティーの方々に対する、当たり前に持つべき理解と知識を世の中に広め、まずは知ることから、そして近い将来、私たちの中に潜む差別意識をなくしたいとの思いが、今回の私の質問の趣旨であります。男性によるトイレや入浴施設などでの盗撮犯罪等と同列に語るべきレベルのものとは全く別次元の話であり、誰もが利用している身近な場所であるトイレにまつわる問題だからこそ、あえてこの判決をきっかけとして、差別解消に向けての質問をさせていただきます。
 さて、様々な調査によると、LGBTの方々は、日本の人口の5~8%存在すると推定され、その数字を基にすれば、私たちは性的マイノリティーの方々と身近な存在であるはずです。しかし、LGBTQに関する話題になると、身近に性的マイノリティーの方々はいないという声をよく聞きます。そのことは、当事者が、いわゆるカミングアウトすることで差別や偏見を恐れ、家族にすら言えない今の日本の現実を表しており、職場や学校で誰かに相談すると、いわゆる秘密暴露行為であるアウティングにより、同意なく性的指向・性自認を暴露されることなどで差別を助長し、痛烈に生きづらさを感じていることを意味しています。
 当該トイレ問題を受けて、以下質問いたします。
 働く人や来庁者、性同一性障害の方にとって利用しやすいトイレとは何でしょうか。
 差別禁止などの倫理規定が熊本市にあるか、文化市民局長に答弁を求めます。
 また、最高裁判決を受けて、熊本市の現状と課題、これからの取組について、市長に答弁を求めます。
         〔金山武史文化市民局長 登壇〕

◎金山武史 文化市民局長  初めに、利用しやすいトイレについての質問でございますが、本庁舎等で働く人や来庁者も、性同一性障害のある方もそうでない方も、誰にとってもプライバシーや安全性が確保され、快適で清潔なトイレが利用しやすいトイレと考えております。
 次に、差別禁止などの倫理規定についてですが、日本国憲法では、法の下の平等を定め、地方公務員法においては平等取扱いの原則を定め、また男女共同参画社会基本法においては、性別による差別的取扱いをしてはならないと定められております。
 本市においても、男女が一人の人間としてお互いに人権を尊重し、共に平等に社会参画する機会が確保され、その個性と能力を十分に発揮することができる、豊かで活力ある熊本市を築くこと等を目的として、平成20年12月に熊本市男女共同参画推進条例を制定し、性別による差別的取扱いの禁止を明記しております。また、本市職員行動規範においても、これらの法令遵守について定めております。
 性同一性障害のある方への偏見や差別はあってはならないものであり、職員向けの性的マイノリティーサポートハンドブックの作成や研修等、今後も引き続き人権に関する意識の向上に取り組んでまいります。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  最高裁判所判決につきましては、経済産業省のトランスジェンダーの職員に対しまして、女性トイレの使用を長期にわたり過度に制限した国の対応が違法とされたものと承知しております。
 本判決を受け、庁内で具体的議論を進めているところでございますが、本市が管理いたします市役所等の公共施設のトイレについては、職員だけではなく、多くの来庁者も使用されますことから、不審者への対策等も十分に検討する必要があると考えております。
 当面は、安全で快適に使用できるよう多目的トイレを御案内しつつ、他都市や民間の設置事例を参考に、当事者の意見を聞きながら、多くの方が利用しやすいトイレの在り方について、今後も検討を進めてまいりたいと考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  判決に伴う最高裁判所判事の5人の補足意見が出されていますので、参考までに要旨を御紹介いたしますと、経産省は、女性職員が抱く違和感が解消されたかどうかをきちんと調査し、原告に一方的な制約を課していた使用制限を維持することが正当化できるかを検討して、見直すべき責務があったという言うべきだ。
 また、当面の措置として、原告のトイレ使用に一定の制限を設けたことはやむを得ないとしても、同省はトランスジェンダーに対する理解の増進を図るための研修を実施し、制限を見直すことも可能だったのに、そうしなかった。多様性を尊重する共生社会の実現に向けて、職場改善を改善する取組が十分になされてきたとは言えない。
 また、ある裁判官は、性別は社会生活や人間関係における個人の属性として、個人の人格的な生存と密接不可分で、個人が真に自認する性別に即した社会生活を送ることは重要な法益として十分に尊重されるべきだ。トランスジェンダーの女性用トイレの利用について、女性職員らが一様に性的不安を持つという前提に立つことがなく、可能な限り両者の共生を目指し、性的マイノリティーの法益の尊重に理解を求める方向での対応が行われることを強く期待する。
 また、教訓を得るとすれば、人事担当者らはトランスジェンダーの人々の置かれた立場を十分に配慮し、真摯に調整を尽くすべき責務があることが浮き彫りになった。今後さらなる積み重ねを通じて、指針や基準が形づくられることを期待する。多くの人々の理解抜きにはよい解決は望めない。社会全体で議論され、コンセンサスが形成されていくことが望まれる。判決は不特定多数の人々の利用が想定されている公共施設の使用の在り方について触れるものではない。この問題は、機会を改めて議論されるべきだという補足説明をされています。
 このことは、私たち市民や熊本市としての考え方の判断材料として、また職員の研修時等に参考までに5人の裁判官の補足意見を御紹介いたしました。
 世の中には、私たちの性別の基本は異性愛の男性と女性の2種類が正常であり、多様な性は普通ではないという思い込みや誤解、無知がはびこり、いまだ多く見られます。それが当事者が持つ低い自己肯定感や、私たち隣人の性的マイノリティーへの否定的な感情、不当な差別意識を生んでいるのは間違いありません。様々な性差別の払拭のためにも、人間の性への正しい理解を図り、長年にわたり、いつの間にか私たちに刷り込まれた前近代的な家族観や多様な性についての間違った受け止め方を個々人で再点検しなければなりません。またそうすることで、少しでも性的マイノリティーに関する諸問題の解決に近づく一歩となると思います。
 次の質問に移ります。
 いわゆるLGBT理解増進法についてお聞きいたします。
 2004年、法的に性別を変更することを認めた性同一性障害特例法が施行され、生殖機能を永遠に失うことを変更要件に設けているため負担を強いるものの、国内のトランスジェンダーにとって、性別変更についての道を切り開けた一歩となりました。
 文部科学省も2015年、性同一性障害や性的マイノリティーとされる児童・生徒に対する理解を促すため、細部にわたる対応の実施を教育現場に求める指針を発表しました。2017年には、いじめ防止対策推進法に基づき基本方針を改定する際に、性的指向、性自認を理由とするいじめ防止を盛り込んだところ、まだ不十分ではありますが、現場の先生方や子供たちの理解が、私たち大人よりもはるかに進みつつある状況です。
 国連人権理事会から複数回にわたり、日本はLGBTに対する人権状況の改善勧告を受けている状況の中で、オリンピック憲章の中に性的指向を含むいかなる差別も受けない権利と自由がうたわれることを踏まえ、国会においてLGBT理解増進法が議員立法で2023年6月に成立し、同23日に施行されたところです。基本理念や地方公共団体の役割を定めた罰則のない理念法で、内容に関しては、当事者から差別助長法案ではないのかなどの多くの批判があることは承知しておりますが、施行を受けて、以下質問いたします。
 まず、この法律施行を受けての市長としての受け止め。
 また、条文に国と地方自治体は理解増進施策の策定・実施に努めるとしているが、熊本市として策定・実施に向け、どのような取組を行うのか。
 また、生きづらさを感じているLGBTQの方々へ、日本や熊本市の現状を踏まえ、市長からのコメントをお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  この法律は、性的指向及びジェンダーアイデンティティーの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的として施行されたものであると認識しております。
 本市はこれまでも、同性カップルのパートナーシップ宣誓制度を平成31年4月に導入いたしますとともに、セミナーや出前講座の実施によりまして、広く市民の皆様に対して、性的マイノリティーに関する正しい理解の啓発に取り組んできたところです。
 今後もこれらの取組を着実に継続することによりまして、性的マイノリティーを含む全ての市民の皆様が、お互いを尊重し、理解し合える社会の実現に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  御答弁ありがとうございました。
 広く市民に対し、性的マイノリティーに関する正しい理解の啓発に継続的に取り組み、全ての市民がお互いに尊重し、理解し合える社会の実現に向けて取り組んでいくとの答弁でした。
 しかし、差別というものは多岐にわたり、一度差別してしまう、されてしまうと、人々の意識を払拭するのは容易ではありません。極論かもしれませんが、差別することは犯罪にも値し、人の命を奪うこともあるという認識を社会全体で共有し、一日も早く差別という言葉自体がなくなる日が来ることを望みます。
 先ほど市長の答弁の中で、パートナーシップ宣誓制度を熊本市が導入しているとの答弁がありましたが、少々詳細にわたりお聞きしたいと思います。
 この制度の概要、対象者の要件、申請に必要な書類と流れ、通常の婚姻届と宣誓制度の必要書類等の違い、制度導入後の熊本市での申請件数、またアンケートや、申請者から制度に関する御意見等が過去あったか、またその内容と、それを受けて改善・改正がなされたか、文化市民局長に答弁を求めます。
         〔金山武史文化市民局長 登壇〕

◎金山武史 文化市民局長  本市のパートナーシップ宣誓制度は、一方または双方が性的マイノリティーであり、お互いを人生のパートナーとして、日常生活において相互に協力し合うことを約束した関係であることを熊本市長に対し宣誓する制度でございます。
 対象者の要件は、いずれか一方が市内に在住または本市に転入を予定していること、双方が近親者でなく18歳以上であること、双方に配偶者がいないこと及びほかにパートナーシップの関係にないこと、以上の要件の全てに該当する、一方または双方が性的マイノリティーの方です。
 必要な書類ですが、住民票または熊本市に転入予定であることを証明する書類、配偶者がいないことを証明する独身証明書の提出と本人確認書類の提示が必要となります。
 宣誓の手続ですが、希望日の3開庁日前までに日時を予約し、必要書類を持参の上、男女共同参画課にて職員立会いの下、宣誓を希望する2人が宣誓書に署名し、要件を満たしていることが確認された場合は宣誓書受領証が発行されるという流れになっております。
 通常の婚姻届との必要書類の違いについてでございますが、婚姻届では熊本市に本籍がない場合、戸籍謄本が必要なのに対し、パートナーシップ宣誓制度では住民票及び独身証明書の提出を求めております。また、婚姻届では成人2人の証人の署名が必要ですが、パートナーシップ宣誓制度では必要ありません。
 これまでの申請件数ですが、平成31年4月の制度導入以来、19組へ宣誓書受領証を交付しております。
 制度の見直しについてですが、導入以来4年以上が経過し、手続に関する御意見等もいただいていることから、今後、当事者の意見等も参考にしながら、より利用しやすい制度を目指してまいります。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  お答えいただいたこの制度に関して、あえて詳細にお聞きしましたのは、私も知らなかったんですけれども、申請に必要な書類等に、通常の婚姻届時には必要のない、独身証明書なる耳にしたことのない書類を本籍地で取得し、熊本市に提出しなければならないとの差別的ルールが存在するからです。
 独身証明書について質問します。
 なぜその書類を求めるのか、また独身証明書は今後とも必要か否か、市長に答弁を求めます。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  独身証明書が必要かどうかというお尋ねについてでございますが、双方に配偶者がいないことを要件としているため、独身証明書の提出を求めているところでございます。
 他都市では、独身であることを戸籍謄本等により確認している事例もありますことから、今後は当事者の意見等も参考にし、改善してまいりたいと考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  お答えいただいたように、双方に配偶者がいないことを要件としているとのことですが、異性カップルが婚姻届を出す際も、双方に配偶者がいないことは必要なはずです。LGBTカップルにだけ独身証明書なるものの提出義務を課していることは、明らかなる差別であるという認識を持つべきですが、改善するとのことで、早急に対処をお願いしたいと思います。
 独身証明書にかかわらず、私たちが生活する上で、私を含め、人は他人を差別し、知らないうちに傷つけていることがあります。質問の初めに、トイレ問題をきっかけに差別問題を考えましょうというお話をしましたが、まずは私たちのそれぞれの身近にある差別から考え、みんなが優しく他人を思いやることで、差別のない熊本市になるように希望したいと思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 教育を受ける権利に関してお伺いしますけれども、児童・生徒の不登校に関する質問をさせていただきます。
 今年も夏休みが終わり、多くの子供たちが学校に戻ってきましたが、学校に行くことができない、もしくは学校に行かない権利を自ら選択した子供たちが普段より増える時期でもあります。
 令和4年度第4回定例会において、公明党の浜田大介議員より、本市の対策をさらに強化すべきである旨の御質問と御意見があり、対応する人員不足や予算不足に関する御指摘や、他県における不登校・特例校の御紹介もあり、私も新しい知識を得ることができました。
 今議会においても、私を含め、不登校に関する一般質問が予定されており、不登校問題は今の時代、児童・生徒、家庭、教育界、そして熊本市の将来を左右する大問題であり、可及的速やかに対応し、対策を取らなければならない、先送りできない問題であると言えます。浜田議員の質問から約1年、まずは現状把握したいと思いますので、以下質問をさせていただきます。
 不登校児童・生徒に関して、不登校の言葉の定義。現在の市立の小中学校の児童・生徒数と不登校児童・生徒数。不登校児童・生徒のここ数年の推移と全児童・生徒数に占める割合。学年等で特徴があるのか、また不登校に至る要因はどんなものがあるのか。不登校児童・生徒で、どこにもつながっていない児童・生徒数の把握状況。その上で、現在、熊本市が行っている主な支援事業を教えてください。教育長に答弁を求めます。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  不登校児童・生徒について、7点続けてお答えいたします。
 文部科学省が行う児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、不登校とは、年度間に連続または断続して30日以上欠席した児童・生徒のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童・生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にある者。ただし、病気や経済的理由、新型コロナウイルスの感染回避による者を除くと定義されております。
 本市の児童・生徒数は、ここ数年、小学生約4万人、中学生約2万人、合計6万人前後で推移しております。その中で、不登校児童・生徒数は、令和2年度1,542人、約2.6%、令和3年度2,152人、約3.6%、令和4年度2,760人、約4.6%と、人数、全児童・生徒数に占める割合ともに増加傾向が見られております。
 また、不登校児童・生徒数は、学年が上がるにつれ増加傾向が見られるところです。
 不登校に至る要因は、無気力・不安が最も多く、次いで生活リズムの乱れ・遊び・非行や友人関係など多岐にわたっております。
 令和4年度の年間100日以上欠席のある不登校児童・生徒のうち、どこにもつながっていない児童・生徒は318人、23.1%存在しております。
 不登校の児童・生徒に対し、本市では、集団生活への適応など社会的自立を支援するフレンドリーや、ICTを活用した学習支援を行うフレンドリーオンライン、大学生を話し相手として派遣するユア・フレンド事業等、様々な支援を行っているところです。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  不登校児童・生徒の現状を正確に把握し、広く知ってもらうために、数字を含め御報告いただきました。
 私たちが理解しておくべき大前提として、私が育ったような昭和の時代の常識と今は違っており、子供たちにとっての居場所として、学校が唯一の選択肢ではないということが現代の常識であること。フリースクールをはじめホームスクール、通信制学校、子供食堂など、民間において子供たちの居場所や命を守る活動をされている方々や団体が多数あり、学校が唯一の選択肢であった時代に育った私たち大人が、正確に現状把握することが大切だと思われます。そしてその上で、中長期的スパンで、熊本市の未来を担う子供たちを大人が全力で支えていかなければなりません。全国的に不登校児童・生徒の増加が数字で明らかですが、その上で質問を続けます。
 先ほど御紹介いただいたフレンドリーや、本荘小学校、芳野中学校を拠点とするオンライン学習支援のそれぞれの登録者数と、利用者の在籍する学校との連携強化のための取組を教えてください。また、ユア・フレンドの前年度派遣回数と、その効果をお示しください。
 次に、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学習支援員、不登校対策サポーター、心のサポート相談員など、それぞれの人数とそれらの効果、例えば、不登校状態の未然防止や学校への復帰人数、また学校数に対しての不足数と、その対策をどうやっていくのか教えてください。
 不登校児童・生徒への授業配信を行っている学校数と学級数、その配信内容等を教育委員会がどの程度関与し助言しているのか。
 様々な対策をしているにもかかわらず不登校児童・生徒が年々増え続けていることに関して、教育委員会はどのように捉えているのか、教育長の答弁を求めます。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  自立支援を行う様々な対策についてお答えいたします。
 今年度は、7月時点でフレンドリーが47人、フレンドリーオンラインが199人登録されております。また、ユア・フレンドの令和4年度の派遣回数は、2,496回と多くの児童・生徒の支援につながっております。
 これまで、フレンドリーオンラインへの児童・生徒の参加状況等について、担当者が手作業で集計し、月末にまとめて学校へ報告していたため、在籍校では、児童・生徒の状況がリアルタイムで分からないという課題がありました。現在、参加状況等を自動集計し、いつでも在籍校が確認できるシステムの導入準備を進めており、連携強化に努めております。
 また、スクールカウンセラーは48人、スクールソーシャルワーカーは16人、学級支援員140人、不登校対策サポーターは12人、心のサポート相談員は36人を配置しており、令和4年度は、不登校児童・生徒の中で669人が登校できるようになり、不登校の状況の改善につながっております。
 それぞれの職種について、学校からの要望の全てには対応できておりませんが、児童・生徒の不登校数など、総合的に判断して配置しております。引き続き適正な配置に努めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症対策において、児童・生徒が登校できない場合には、全ての学校で授業配信を行いました。不登校児童・生徒についても多くの学校で実施しておりますが、配信内容については、授業のライブ配信を基本として、詳細については各学校で決定しているところです。
 不登校児童・生徒の増加は全国的な課題でもありますが、本市では、学校を子供たちが安心できる居場所とするとともに、不登校の児童・生徒については、どこにもつながっていないということが課題であると考えており、そのような児童・生徒をなくすことが必要であると考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  ただいま御報告いただきましたフレンドリーオンラインについては、まだスタートしたばかりですが、中身を見ますと、すばらしい取組ですので、継続して行ってほしいということと、内容をさらにブラッシュアップできるよう、児童・生徒を送り出す側の先生と拠点校の先生との情報交換や交流が簡単に取れるシステムの構築と、よりよいものにするための更新を随時お願いしたいと思います。
 また、不登校傾向にある児童・生徒に、学校に来なくていいと言っているようで心苦しいと感じ、学校以外の機関を勧めることに抵抗のある先生方が多いようです。学校に戻ることが全てではないこと、様々な学びの場があることなど、子供たちや家庭のそれぞれの状況に応じられるよう、少しでも前線に立つ全ての先生方の意識改革に取り組んでいただきたいと思います。その選択肢が増えることで、子供たちが仮に道に迷った際、どんな大人に出会えるかによって、その子の生きる道や未来が大きく左右されるかもしれないからです。そして私たち市民も、大人の一人として、社会の一員としての自覚を持って、他人事とせず、子供たちの権利に関心を持ち続けることが必要かと思います。
 質問を続けます。
 不登校児童・生徒の自立支援対策の周知方法についてお聞きいたします。
 現在の状況を教えていただきたい。
 また、集英社オンラインによれば、現状は学校に無理してこなくてよいと言いながら、学びの継続は自己責任となっている。登校するかしないかでなく、いろいろな場所で学べるようにすることが重要である。学校以外の受皿を教育行政が率先して整える必要性があると、教育長は話をされています。
 今、教育委員会が行っている様々な対策やフリースクール等を子供たちや保護者が利用しやすいように、その周知を学校関係者も含めて徹底するべきと考えますが、現状では十分なのか、そうでなければ今後どうしていくのか、教育長の答弁を求めます。
 続けて、学校以外の受皿としてフリースクール等が存在していますが、公的支援がほとんどなく、保護者にとっては金銭的負担が大きく、救われない子供がいる事実があります。他県他都市では、既に公的支援をする動きになっていることから、その実態も踏まえ、本市の考え方を市長に問います。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  不登校児童・生徒の自立支援対策の周知方法についてお答えいたします。
 学校では、不登校児童・生徒やその保護者に対して、さきに述べてきたような学校内外での様々な支援へのつなぎを行い、また、教育委員会からもホームページ等で不登校支援の案内を行っております。併せて各学校にも、社会的自立につながる教育の機会確保に努めるよう、今後とも継続した周知を行ってまいります。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  フリースクール等への公的支援についてのお尋ねにお答えいたします。
 さいたま市が令和5年6月に取りまとめました調査によりますと、20指定都市の中で、2つの指定都市がフリースクールへの補助金を、4つの指定都市がフリースクール等へ通う保護者への経済的支援を行っております。
 今後は、県内のフリースクールで構成される協議団体とも意見交換等を行いながら、ニーズの把握に努めてまいりたいと考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策を、我が国社会の真ん中に据えるこどもまんなか社会の実現を目的としたこども家庭庁が、4月、発足しました。その基本理念としては、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策立案、全ての子供のウェルビーイングの向上、誰一人取り残さず抜け落ちることのない支援、子供や家庭が抱える様々な課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ目のない包括的支援、待ちの支援から予防的な関わりを強化し、必要な子供、家庭に確実に届くようプッシュ型支援に転換する、データ、統計を活用したエビデンスに基づく政策立案を基本理念としております。
 子供や子育て当事者、地方自治体、支援を行う民間団体等の現場の意見を政策立案に反映し、仕組みの導入、各府省の縦割り行政を一元化することで理念どおり実現できるとすれば、政策を実のあるものにできるはずです。そのとき、現場の地方公共団体、地方自治体の重要性は大きく、責任が重大であります。
 子供を最も大切にしなくて本当に熊本市の未来があるのか、熊本市の本気度が問われます。今のように民間の善意に甘えるだけでは、いずれフリースクールなどの子供たちを支える善意のシステムは破綻します。どこにもつながっていない児童・生徒が318人、信じられないほど大きな数字だと思います。当事者、保護者、学校、地域団体、居場所をつくる民間団体等と行政との連携、バックアップは必須であります。
 学校に行く子供、行ける子供には公費が投入され、学校に行かない権利を行使した子供の費用が自己負担になるのは、子供の学ぶ権利や生きる権利を一部阻害しております。子供はひとしく社会で育て、支えるべき存在です。そうでなければ、ヤングケアラーや8050、9060問題と同様、負の連鎖が続き、社会にとっても大きな損失となります。逆に言えば、子供を取り巻く様々な問題を社会全体で支え合い、熊本市の予算配分を大きく変えることで子供政策のプライオリティーを上げ、将来の熊本を支える子供たちにとって、本市が心豊かで暮らしやすいふるさとになるのではと思います。次年度以降、子供に関する予算が以前と比べてどのようになるか、市民の皆さん方にも注視していただきたいと思います。
 いろいろ注文をつけましたが、教育委員会をはじめ子供に関わる方々、それぞれの場面で工夫を凝らし、問題に真摯に取り組んでおられることは私も知っております。今回の質問を通じ、子供たちのためにさらに何ができるかを考えるきっかけにしていただければ幸いです。そして、実際に事を進める場合には、現場で子供たちの身近にいる人たちの意見やアドバイスをしっかりと反映させることで、本当の意味での支援にならなければなりません。不登校問題とは、実は子供たちの問題ではなく、大人の問題だと思うのです。何を最重要課題にするか、何に予算を重点的に投入しなければならないのか、今を生きる、そしてこれから生まれてくる子供たちの未来がかかっています。こども家庭庁が言うこどもまんなか社会の実現に向けて、取組をお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 子供たちにとって、本当に役に立つ水泳の授業とは何かを考えてみました。
 本年7月21日午後1時頃、福岡県宮若市の犬鳴川で、お友達が川から上がってこないと一緒にいた友達から110番通報があり、警察と消防が付近を捜索したところ、川の中から小学6年生の女子児童3人が見つかり、いずれも心肺停止状態で病院に搬送され、3人とも死亡が確認されたという痛ましいニュースには、皆さん方も衝撃を受けたことかと思います。
 夏休みの初日に起こったこの悲劇以外にも、水の事故は毎年のように繰り返し発生し、これまで多くの貴い人命が失われ、御家族や関係者が突然の悲劇に打ちのめされ、一生癒えない心の傷を負われています。しかし、本当に悲劇の2文字で終わらせてよいのでしょうか。全ての水難事故をなくすことはできないかもしれませんが、悲しみを少しでも減らし、防ぐことは、私たちもできるはずです。
 報道によると、子供たちが通っていた小学校の校長は記者会見で、終業式後、水の事故に気をつけるよう全児童に呼びかけ、夏休みの約束というプリントにも、子供たちだけで川や海には行かないと記載していたと説明しました。また、児童たちに注意が十分響いていなかった、もう一度子供たちに繰り返し指導したいと涙ながらに話したということですが、学校現場で普段からできることはなかったのでしょうか。こういった事故を悲劇で終わらせないためにも、子供たちの水にまつわる学びがどうなっているか質問いたします。
 学習指導要領による水泳授業の流れと変遷を教えてください。また、時代にふさわしい水泳授業の目的について、教育長に答弁を求めます。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  学習指導要領による水泳授業の流れと変遷についてお答えいたします。
 昭和22年の学校体育指導要綱で水泳が取り上げられ、昭和26年の小学校学習指導要領で、その他の運動として水遊び、水泳が明記されました。また昭和30年、多数の児童・生徒が死亡した紫雲丸事故がきっかけで、学校のプール整備が加速したとも言われております。その後、学習する内容や学年を変更しながら現在に至っているところです。
 着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方については、平成19年の小学校学習指導要領から、各学校の実態に応じて5・6年生で取り扱うことと示されております。
 現行の小学校学習指導要領では、5・6年生で、安全確保につながる運動として、背浮きや浮き沈みをしながらタイミングよく呼吸をしたり、手や足を動かしたりして、続けて長く浮くことができるようにするとしております。
 命を守るために、非常時に慌てず、浮く・泳ぐことで対処できる知識・技能を身につけることは、時代にふさわしい水泳授業の目的の一つであると考えております。そのために、水の特性を体験的に学ぶことが大切であると考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  ただいま教育長から、水泳授業の流れと、その変遷について御案内いただきました。
 毎年その内容や学年を変更しながら、安全確保につながる運動として、続けて長く浮くこと、命を守るために、非常時に慌てず、浮く・泳ぐことで対処・技能を学ぶことが、時代にふさわしい水泳授業の目的であり、そのために、水の特性を体験的に学ぶことが大切であるとのことでした。その今の水泳授業の内容を鑑み、以下質問を続けます。
 本市と全国における子供の水難事故の実態と、水難事故がなくならない理由は何だと思うか。また、被害者を一人でも少なくするために学校現場でできることは何か、教育長に答弁を求めます。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  子供の水難事故について、3点お答えいたします。
 本市の児童・生徒の水難事故は、平成30年度ゼロ件、令和元年度1件、令和2年度2件、令和3年度1件、令和4年度ゼロ件です。そのうち死亡事故は、令和2年度の1件です。
 全国的な水難事故の実態は、警察庁のホームページでは、中学生以下の水難事故は、平成30年度133件、死者22人、令和元年度118件、死者30人、令和2年度117件、死者28人、令和3年度119件、死者31人、令和4年度104件、死者26人です。
 水難事故がなくならない理由としては、子供たちが、日常生活の中に潜む様々な危険を予測し、自他の安全に配慮して安全な行動を取る力を十分つけていないこと、事故災害時の適切な行動についての知識・技能が十分でないことが考えられます。
 被害者を一人でも少なくするためには、水難事故に遭わないための取組と、水難事故に遭った時に命を守る取組を学校で行うことが必要であると考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  本市と全国の水難事故の死亡数についてお答えいただきました。
 水難事故がなくならない理由として、日常生活の中に潜む様々な危険を予測し、自他の安全に配慮し安全な行動を取る力を十分つけていない。事故災害時の適切な行動についての知識・技能が十分でないことが考えられるとの答弁でした。
 だとしたら、学習指導要領における現代の水泳授業は時代に即していないと言えます。また、その要領に沿って、授業を熊本市において行うことは、命を守る授業をしていないことを意味しています。力を入れるべき本当に必要なことは、心に響く、命を守る授業で、水難事故にまず遭わないための知識を教えることです。幾ら水に落ちた場合の対処法を教えても、自然にはかないません。自然と親しむことは人間にとってとても大切であるということはもちろんですが、自然や水と親しむためにも、水の怖さ、自然の怖さを教え、具体的な危険箇所に近づかない、遊ばないなどを教わることで、子供たちが自分事として考え、命を守ることができるのではないかと思うのです。
 そこで質問します。
 水難事故に至らないための授業を全校一律に取り組むか否か、教育長に問います。
 また、水難事故の実態を鑑みて、子供の命を守るため、今回の質問の趣旨である水難事故に遭わないための様々な知識を教える授業に関して、市長の考えをお聞きいたします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  水難事故に至らないための授業についてお答えいたします。
 毎年、国からの水難事故防止に関する通知を受け、ゴールデンウイーク前及び夏休み前に教育委員会から通知を発出し、各校で水難事故防止についての指導を行っているところです。
 川や海に潜む危険を具体的に学ぶ機会は、水難事故に遭わないために重要であると考えております。消防局などの関係機関と連携を図り、学ぶ機会を各学校で広めてまいります。児童・生徒の命を守るために、水難事故防止、水難事故対応の学習を今後も進めてまいります。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  水難事故については、報道等で事故のニュースを見るたびに心を痛めており、事故に遭われた子供たちに哀悼の意を表しますとともに、御家族や関係者の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
 熊本市の未来を担う子供たちの命は、かけがえのないものであると考えておりますが、その貴い命を守るために、水難事故に遭わないための様々な知識を小中学校で教えるということは、大変重要なことであると考えております。
 今後も関係機関が連携して、事故防止のための対策や危険区域の確認など、水難事故対策を市を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  市長が市全体で取り組んでいくということで、子供たちの心に響く、実際に役に立つ授業を行っていただければと思います。
 やはり私は水泳の授業が今のままでよいとは思えません。速く泳ぎ、正しい泳法を学ぶだけでは命を守ることはできません。子供たちの命を守ること以上に、行政や教育の至上命題があるでしょうか。保護者が他人事ではなく、自らの子供たちの命を守る責務があるのはもちろん、私たち大人も今回の教訓を無駄にしないことで、亡くなった子供たちの失われた命、思いに報わなければなりません。
 水の楽しさ、自然のすばらしさを教え、同時に危険性や恐ろしさなどをしっかり教えることで、水難事故を事前に防止し、水難事故の対応力をつける授業との両輪で教育を提供することが子供たちの命を守ることにつながると信じます。水泳の授業とは、まさに命を守り、大切にすることを子供たち自身に考えてもらう授業であるべきです。このような取組を、ぜひとも先ほど市長が言われたとおり、早急にお願いしたいと思います。
 それでは、最後の質問に移らせていただきます。
 新局であるこども局職員の働く環境について。
 こども局の職員数の現状及び執務室配置について。また、執務室のスペースが適切か。また、働く環境と職員のモチベーションとは相関関係があるのか。また、こども局と同じ階で同居する熊本城総合事務所総務管理課執務室の配置等を変えることで、こども局の働く環境を改善できないのか。働く環境を整えるための具体的方策と実施時期についてお聞きいたします。こども局長にお尋ねします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  こども局の働く環境について、順次お答えいたします。
 まず、こども局の職員数及び執務室の配置についてございますが、全体の職員数は、現在、市立保育園なども含めて858名であり、このうち本庁舎隣接のビル2階に勤務する職員は47名でございます。
 その執務環境につきましては、関係法令の基準は満たしておりますが、打合せや作業スペースは十分には確保できておりませんことから、拡充する必要があると考えております。また、職員数については、今後も業務量などに応じて増員も必要になると考えております。
 次に、働く環境と職員のモチベーションの相関関係についてでございますが、事務処理の効率性だけではなく、職員の意欲や能力の発揮等の観点からも、生産性の維持向上のためには職場環境は大変重要であると考えております。
 働く環境を整えるための具体的方策と実施時期についてでございますが、熊本城総合事務所の分室につきましては、配置変更する方向で、現在、関係部局と連携しながら環境改善の準備を早急に進めているところでございます。年内をめどに、レイアウトの見直しや必要な備品等の整備を進めてまいりたいと考えております。
         〔25番 吉村健治議員 登壇〕

◆吉村健治 議員  こども局長からお答えいただきました。
 こども局の働く環境に関して、現状とその改善対策、子供を取り巻く様々な環境を改善する仕事をされる方々が、現状としては、言葉は少し悪いですが、劣悪な環境下に置かれている現状は看過できません。一日も早く、職員の方々が働きやすい環境をつくることは、仕事の効率化や優秀な職員のやりがいにもつながり、結果、子供たちのためになることから、年内と言わず早期の対応を、やればできるはずなので、早めにお願いしたいと思います。
 また今回は、こども局の働く環境を質問しましたが、議員の皆様方も見られたことあると思いますが、本庁舎の1階、2階は特に、またこども局の中身もそうですけれども、ちょっと環境的にはかなりまだ恵まれていない状況が続いていると思いますので、一言付け加えさせていただきます。
 4月の選挙で、幸いにも私も再選させていただき、市議会議員として活動できる喜びをかみしめながら、今回の一般質問に真剣に取り組ませていただきました。再び市民の皆様の負託を受けたからには、やはり議員として真っ当な仕事、真っ当な政治にこれからも努める所存です。
 今回の質問作成に当たり、直接貴重なお話をいただいた方々と、お手伝いいただいた議会局職員に対し深く感謝申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午前11時10分に再開いたします。

                            午前10時55分 休憩
                            ───────────
                            午前11時10分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 浜田大介議員の発言を許します。浜田大介議員。

         〔35番 浜田大介議員 登壇 拍手〕

◆浜田大介 議員  皆様、こんにちは。公明党熊本市議団、浜田大介でございます。
 今回、4月の改選後初の一般質問となります。機会を与えていただいた議員の皆様に感謝申し上げます。
 限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。市長並びに執行部の皆様には、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
 初めに、最低賃金見直しに伴うコミセンへの影響についてお尋ねいたします。
 先月8月14日、熊本県の最低賃金を現行の853円から45円引き上げて、時給898円に改定するとの答申がありました。今回の引上げ率は過去最高の5.28%となり、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価上昇が続く中、パートやアルバイトで働く人など、労働者にとっては歓迎される一方で、企業側から見れば、人件費の大幅な増加となり、さらなる企業努力が求められることとなります。
 このような中、先日、地域コミュニティセンター運営委員会の会長さんより、今回の最低賃金の引上げでコミセンの運営も厳しくなる旨のお話を伺いました。コミセンの指定管理料については、平成17年度の指定管理者制度導入時に、一部を除き一律240万円とされ、15年間一度も見直されなかったことについて、令和元年第3回定例会の予算決算委員会で指摘がありました。これを受けて見直しがなされ、令和2年に42施設については指定管理料240万円を据え置き、残り32施設については増額した上で、今後3年間運営状況を検証することとなりました。
 しかしながら、この3年間はコロナ禍であったため、十分な運営状況の検証ができなかったと思われます。また、新型コロナウイルス感染症は今年5月から5類感染症とはなりましたが、例えば、私の地元のコミセンの利用率は、令和4年度と比較して5%ほどしか上がっていないとのことでした。コロナ禍前に利用していた団体やグループなどが、この3年間に解散するなどして、コロナ禍前の利用率までにはなかなか戻らないのが現状のようです。さらにこの3年間で、県の最低賃金は105円、13.24%の引上げ率となっており、これがこのままコミセンの人件費アップになっていると思われます。
 昨年の教育市民委員会で、文化市民局長は、3年後の改定に向け、人件費、物価の反映、そういったものをしっかり考えていく旨の答弁をされましたが、次期指定管理の改定である令和8年度まで最低賃金は今後2回改定され、さらなる上昇が見込まれます。そうなると、コミセンの収支はますます厳しくなり、これにより、利用する市民への影響が出ないかと心配しています。確かにコミセン指定管理の協定では、物価高や最低賃金の見直しについては管理者が負担することとなっています。しかし、コミセン運営委員会は地域の各種団体等により組織されており、契約期間の物価や人件費の上昇に対して一般企業のように企業努力で対応するのは難しいと考えます。
 そこでお尋ねいたします。
 今後最低賃金の引上げに伴い、指定管理料の見直しなど適切な対策の検討が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。文化市民局長にお尋ねいたします。
         〔金山武史文化市民局長 登壇〕

◎金山武史 文化市民局長  地域コミュニティセンターの指定管理料については、全ての指定管理者の更新時期となる令和5年度において、施設の運営に必要となる人件費等を積算するとともに、各施設におけるコロナ禍前の利用状況や決算収支等を勘案し改定を行ったところでございます。改定した指定管理料を基に、各指定管理者において収支状況や地域の実情に応じた創意工夫により運営をしていただいております。
 そうした中、賃金上昇に係る負担につきましては、本市が定める指定管理者制度運用マニュアルを踏まえて作成した協定書におきまして、指定管理者である地域コミュニティセンター運営委員会に負っていただくこととなっているところではありますが、昨今の急激な物価上昇等、経済情勢の変化も踏まえ、今後施設が適切に運営されていくよう注視してまいります。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 市としては、令和5年度の改定は、コロナ禍前の利用状況や決算収支等を勘案して改定したとのことですが、先ほども述べましたように、今後コロナ禍前の利用状況に戻るには、まだ時間がかかるのではないかと危惧しています。
 文化市民局長からは、賃金上昇に係る負担は指定管理者側で負うこととなっているが、昨今の急激な物価上昇など経済情勢の変化も踏まえ、今後施設が適切に運営されていくよう注視していくとの御答弁で、一定の理解はいたしますが、少なくとも現在最低賃金で運営している指定管理者にとっては10月からは時給を45円引き上げなければならないわけですから、令和5年度の決算にどう影響するか運営に影響がないかヒアリングを行うなど、指定管理者側に寄り添った対応をしていただくことを求めて次の質問に移ります。
 放課後児童育成クラブについてお尋ねいたします。
 本市は令和2年度より、以前より実施済みの4校を除く残り76校について、小学校3年生以下18時までの受入れを、小学校6年生19時までに拡充するため、計画的な整備に取り組まれています。
 計画では、まず整備が比較的容易な小学校より順次拡充し、並行して施設が狭い学校の解消と支援員確保を進め、令和7年度をめどに全クラブで受入れを可能にする計画となっています。計画期間の半分である3年半が経過し、残り2年半となりましたが、これからは大規模校の整備が多く、狭隘施設の解消や支援員確保などの課題も多いと考えます。
 そこで1点目として、計画に対する現在までの進捗状況を教えてください。また、令和7年度整備完了のめどは立っていますでしょうか。
 続けてお尋ねいたします。
 こども家庭庁では、本年6月28日付で各都道府県市区町村宛てに、放課後児童クラブにおける食事提供についてという事務連絡が発出されています。その参考資料には、夏休み等の長期休暇中の食事提供の調査結果があり、それによると、放課後児童クラブを実施している1,633の市区町村中、長期休暇中の食事提供が実施されているクラブが存在する市区町村は、約61%の995市区町村でありました。また、その995市区町村内に存在する放課後児童クラブ1万3,097か所のうち、食事提供が実施されているクラブは2,990か所で、22.8%を占めていることが分かりました。
 事務連絡では、長期休暇中の食事提供について、地域の実情に応じた対応を求めており、家庭の負担軽減のためにも、自治体の検討を促しています。また、事務連絡に併せて食事提供の事例集も示され、学校給食センターを活用した取組や弁当事業者と連携した取組、認定こども園の調理室を活用した取組、法人で一括して調理する取組、子供食堂と連携した取組などの事例が示されています。
 そこで2点目として、放課後児童育成クラブにおける長期休暇中の食事提供について、本市の現状と事務連絡を受けての検討状況をお尋ねいたします。
 以上2点、教育長にお尋ねします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  放課後児童クラブについて、2点お答えいたします。
 高学年の受入れの進捗状況については、公設公営80クラブ中、41クラブで6年生までの受入れを完了し、18クラブで4年生までの受入れを開始したところです。議員御指摘のとおり、残り21クラブは大規模校が多く、狭隘施設の解消や支援員確保などの課題があります。
 現在、課題のある施設については、都市建設局から技術的アドバイスをもらいながら狭隘施設の解消に取り組んでいるところです。また、支援員の確保についても、一般的な募集に加え、各大学や校区自治協、退職した教職員、市職員等へ募集を行うなど人員確保に努めております。引き続き、令和7年度までに整備を完了し、全クラブでの高学年受入れを目指してまいります。
 次に、長期休暇中の食事提供についてですが、本市の公設公営の児童育成クラブにおいては現在、長期休暇中の食事の提供は行っておりません。本市においても今後、他都市の食事提供の事例を参考にし、子供たちへの安全な食事の提供方法等、様々な課題を整理し、保護者の負担軽減や利便性向上のため、長期休暇中の食事提供について検討してまいります。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 放課後児童育成クラブの整備状況については、21クラブについて狭隘施設の解消や支援員確保などの課題があるとのことでした。どちらも財政的支援が必要であります。特に現在の支援員の時給が最低賃金であることから、成り手が少ないのではないかと思います。先ほども触れましたように、10月から最低賃金も上がります。今後、支援員確保はさらに難しくなるのではないかと危惧しております。
 財政局におかれましては、放課後児童育成クラブの令和7年度までの整備完了のため、狭隘施設の解消、また支援員確保への十分な財政的予算措置をしていただくようよろしくお願いいたします。
 長期休暇中の食事提供については、課題を整理し、実施する方向で検討されていると受け取りました。子供たちへの安全な食事の提供、保護者の負担低減、さらには支援員への負担がかからないような食事提供の実現に向けて、しっかり検討していただくようお願いいたします。
 次に、不登校予防と睡眠教育についてお尋ねします。
 先ほど吉村議員の質問で、令和4年度末での不登校児童・生徒数は2,760人との答弁がありました。特に新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあってか、令和2年度の1,542人から約1.8倍と急激に増えており、このまま増え続けることを大変危惧しております。不登校の定義は、年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたものと定義されており、理由がはっきりしないケースが多く、不登校になった本人でさえも原因を把握していないという場合も少なくないようです。
 私は、今後本市として、不登校とならないよう、その予防的対策に力を入れるべきであると思っております。
 このような中、不登校予防として、近年、睡眠教育が注目されていることを知りましたので御紹介いたします。
 堺市のある中学校では、8年前の2015年に、当時、不登校の多い学校と少ない学校の違いは、睡眠時間の差が考えられると分析していた熊本大学の三池輝久名誉教授の研究に着目しました。そこで、同中学校で生徒全員の眠りに入る時間を調査した結果、全生徒の約7割が午前0時までに寝ているのに対し、年間30日以上欠席する不登校生徒の約8割が午前0時以降に就寝していることが明らかになりました。
 同中学校では、このことを根拠に、睡眠不足が不登校を誘発する一因と結論づけ、睡眠教育を開始した結果、5年間で不登校の生徒は半減したとのことでした。また、小学校に入る前の早い時期から睡眠改善を促し、不登校予防を図る必要性も浮き彫りになりました。現在では、同校と地元住民が主導して、幼稚園などを中心に低年齢層への睡眠教育の普及を推進しているとのこと。また、堺市内の約半数の小学校、中学校でも睡眠教育を実施しているとのことです。科学的な知見を根拠にしっかり調査した上で取り組まれており、不登校児童・生徒が増え続けている現状に歯止めをかける有効な取組ではないかと考えます。
 そこで、不登校予防についての本市の取組と、睡眠教育による不登校予防についてのお考えを教育長にお尋ねいたします。
         〔遠藤洋路教育長 登壇〕

◎遠藤洋路 教育長  不登校の予防と睡眠に関する教育についてお答えいたします。
 睡眠不足など、子供たちの生活習慣の乱れが、学習意欲、体力、気力の低下の要因の一つと指摘されており、それらが原因で不登校となっているケースもあると考えております。
 本市では、体育、保健体育、特別活動、総合的な学習の時間など関連する教科等で、子供たちが自らの健康や環境を適切に管理し、改善していくための資質・能力を育成し、生活習慣の確立に向けて取り組んでいくことが重要であると考えております。
 加えて、不登校予防のための睡眠教育についても、御紹介のあった三池名誉教授の話を伺うとともに、既に実施されている自治体の取組について、聞き取り調査などを行ってまいります。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 睡眠教育について、三池名誉教授の話を伺うなど調査を行っていただけるとのことで、感謝いたします。
 睡眠教育をはじめ、不登校予防に力を入れることで、不登校児童・生徒が一人でも減少することを願い、次の質問に入ります。
 本年4月に本市こども局がスタートして5か月が経過しました。
 そこで、本年度よりスタートした新しい取組についてお尋ねいたします。
 初めに、妊娠内密相談センターについてお尋ねします。
 本市は、複雑で多岐にわたる課題を抱える妊産婦を支援する体制を強化するため、本年4月に妊娠内密相談センターを開設し、予期せぬ妊娠に悩む方への伴走型の相談支援のほか、妊娠・出産、不妊・不育等に関する専門的な相談支援、児童・生徒向けの性に関する教育等を行っています。このほか本市には、妊娠・出産・子育ての相談に24時間、年中無休で対応する、にんしんSOS熊本という窓口もあり、電話やメールで受け付けています。また、各区役所や産婦人科などの医療機関など、様々なところで妊娠に関する相談を受けることができます。妊娠内密相談センターは、特に内密という言葉をつけて、匿名の人からの相談にも応じているところが特徴であると認識しています。
 本年6月の第2回定例会では、4月~5月までの2か月間の相談件数が53件との報告があり、そのうち最も多く、半数の26件を占めたのが思いがけない妊娠に関する相談であり、その次に多かったのが出産・養育についての14件と、この2つで全体の4分の3を占めていました。本センターの特徴からして、相談者が安心して相談でき、何でも話せるような信頼関係をどう築いていくか、また、未成年者など多くの若い方へセンターの存在を知っていただくことが大事であろうと思います。
 また、スタッフの専門性を生かして、望まない妊娠とならないような予防的な知識啓発にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。例えば、学校の性教育ではなかなか行き届かない知識を与える役割をセンターが果たすよう、学校と連携していただきたいと思っております。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、妊娠内密相談センターの現在までの相談状況。
 2点目、相談者との信頼関係を築く工夫。
 3点目、センターの存在を知っていただく工夫。
 4点目、学校との連携について。
 以上4点、こども局長にお尋ねいたします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  妊娠内密相談センターについて、4点お答えいたします。
 まず、現在までの相談状況でございますが、4月の開設以降8月末までの間に、延べ195件の相談をお受けしております。
         〔議長退席、副議長着席〕
 主な相談内容としては、思いがけない妊娠に関する相談が72件、出産・養育についての相談が59件であり、この2つで全体の6割以上を占めております。
 次に、相談者との信頼関係を築く工夫につきましては、センターでは、保健師、社会福祉士、心理相談員が専門職としての強みを生かしながら、匿名での相談にも寄り添い、丁寧に話を伺いながら、伴走型の相談支援を行っております。相談者の中には、様々な理由から悩みを周囲に打ち明けられない方もおられるため、まずは思いを受け止め、指導や否定をせずに傾聴することで不安を和らげ、安心して相談できる関係の構築に努めております。
 次に、センターの存在を知っていただくための取組についてでございますが、市のホームページや市政だよりに加え、市公式LINEなどのSNSを活用するほか、商業施設や大学等に広報用のカードを設置するなど、周知に取り組んでおります。
 また、学校及び教育委員会との連携につきましては、性に関する悩みをセンターに相談できることをお知らせするため、市立中学校、高校、支援学校の全ての生徒に対し、夏休み前に広報用のカードを配布したところでございます。
 子供たちが性に関する正しい知識を学び、予期せぬ妊娠を予防するとともに、将来の妊娠・出産について自己決定できる力を身につけていくことは大変重要であると考えております。このため学校等と意見交換を行い、教育現場のニーズを踏まえた支援者向けの研修会を行うなど、今後もさらに連携を強化してまいります。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 これまでの相談状況については、延べ195件の相談があったとのことで、月平均にすると39件となります。先ほど申しましたように、5月末時点では月平均26.5件でしたので、相談件数は増加傾向であることが分かりました。
 また、センターの存在を知っていただく取組については、広報用のカードを市立中学校、高校、支援学校の全ての生徒に配布したことは大変よい取組だと思います。今後は県立学校や私立の中学校、高校など、市立以外の学校の生徒にも配布するなど、継続して広報に努めていただきたいと思っております。お願いいたします。
 相談者にしっかり寄り添い、信頼関係を築く工夫をされているようで、今後早期支援につながる、安心して相談できる窓口を目指し、頑張っていただきたいと思います。他都市に例がない先進的な取組でありますので、本市の取組が全国に広がるよう、頑張っていただきたいと思います。
 次に、こどもの権利サポートセンターについてお尋ねします。
 本市は本年4月、学校の内外で起きるいじめや体罰等、子供の権利を侵害するものから子供を守るため、こどもの権利サポートセンター開設準備室をこども局内の組織として発足しました。また、学校や教育委員会とは別の相談ルートとしてこどもホットラインを開設し、子供や保護者がより気軽に相談できるようにしました。この事業については、こども家庭庁が公募した、学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証事業というモデル事業に本市が手を挙げて採択されたとのことです。
 第2回定例会の報告では、こどもホットラインを設置することで、子供を真ん中に考え、相談者の気持ちに寄り添い、話を聞き、助言を行う。また、事案に応じて学校などの関係機関や関係者に対し聞き取りや、その後の調整、専門機関へのつなぎ、経過及び結果の把握などを行い、事案の解決に取り組むとありました。
 まだ始まって5か月ほどですが、本センターが、学校現場で起きているいじめや体罰をはじめとした、様々な問題の長期化や重大化を防止する役割を担っていただくことを期待いたします。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、こどもホットラインの現在の相談状況。
 2点目、相談状況から見えてきた課題と対策。
 3点目、こどもの権利サポートセンター本格開設の時期や開設に向けた取組について。
 以上3点をこども局長にお尋ねいたします。
         〔木櫛謙治こども局長 登壇〕

◎木櫛謙治 こども局長  こどもの権利サポートセンターについて、3点お答えいたします。
 まず、こどもホットラインへの相談につきましては、8月末現在で33件の相談に対し、延べ168回の対応を行っており、子供本人から5件、保護者から26件という状況でございます。
 次に、課題とその対策についてでございますが、まず、気兼ねなく相談できるホットラインの認知度の向上のため、子供たちに配布されているタブレットにホットラインのアイコンを表示させる等、目に留まりやすい広報を行ってまいります。また、相談者に寄り添った対応をさらに充実させる必要があると考えており、支援のコーディネートや円滑に直接対応できる体制を構築してまいりたいと考えております。
 次に、子供の権利サポートセンターの本格開設の時期や開設に向けた取組でございますが、今後、議員御紹介の国の実証事業におきまして、タブレットを活用した相談や、こども食堂と連携した相談受付の取組をモデル的に実施するとともに関係機関との調整を進め、来年1月中をめどに開設を目指してまいりたいと考えております。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 こどもホットラインの現在の相談状況は、8月末現在で33件の相談に対し、延べ168回の対応を行ったとのこと。また、子供本人からも5件の相談があったとのことです。
 御答弁にあったように、ホットラインの認知度向上が今後の課題であると私も思います。子供たちに本センターが気兼ねなく相談できる窓口であることを知ってもらい、子供の権利の理解が深まるよう努めていただきたいと思います。
 今後は、来年1月の本格開設に向けて相談者に寄り添う対応の充実や支援のコーディネート、円滑に直接対応できる体制を構築したいとのことですが、現在の体制は事務職1名、元養護教諭1名、元学校長2名、会計年度任用職員1名の5名体制で、今後は専門職による体制強化が必要と思います。強化に当たっては、先ほどの妊娠内密相談センターのように保健師や社会福祉士、心理相談員などの専門職を配置し、さらには弁護士の配置なども必要になるかと思います。この点については予算措置が必要でありますので、財政局長、よろしくお願いいたします。
 次に、デジタル地域通貨についてお尋ねいたします。
 近年、全国で地域通貨を導入する自治体が増えています。本市議会でも過去に先輩議員より地域通貨導入について提案があっておりますが、これまではあまり積極的に検討されていないように思います。
 この地域通貨は2000年頃から始まり、2005年頃に全国で300以上の通貨が発行されブームとなりましたが、紙媒体でコストもかかり、持続可能性に課題があったようです。しかし、近年、デジタルという形で再度注目され、過去の取組で得たノウハウも蓄積され、成功事例も出てきているようです。そこで、本市もそろそろ本腰を入れて検討する時期に来ているのではないかと思います。
 地域通貨を導入するメリットとしては、ボランティアなどの地域活動の推進や地域課題の解決、地域コミュニティーの活性化に資するとともに、地域経済、特に地元商店街などを活性化させる力があります。
 私が考えるデジタル地域通貨のイメージは、例えば、今後取り組まれるくまもとポイント事業で獲得したポイントを地域通貨とする。また、現在取り組まれている熊本市のもっと健康!げんき!アップくまもとで獲得したポイントを地域通貨とする。このほか校区自治体や本市のイベントに参加したり、エコ活動に取り組んだり、アンケートに回答した御礼に地域通貨を付与する。そして地元商店街と連携し、できるだけたくさんの加盟店を増やして利用できるようにする。利用に当たっては、スマホが使えない方のために、スマホと専用カードの2種類があればいいと思っております。
 地域通貨を利用すれば、新型コロナウイルス感染拡大対策や物価高騰対策で実施したプレミアム付商品券などの事業も、地域通貨の仕組みの上で実現可能となり、システムの開発費や導入コストを削減できます。また、コンビニでのチャージや公共料金の支払い、大手決済サービスとの連携など可能性は広がります。うまくいけば、大きな効果を生み出せると思います。当然、設備投資など、コスト面、セキュリティー対策など検討すべきことも多いと思いますが、研究チームを立ち上げたり、他都市の成功事例を調査したりするなど、本市として導入に向けた検討を始めてみてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。大西市長にお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  地域通貨は、地域コミュニティーの活性化や地域経済の活性化などの効果が期待できる反面、利用できる地域や店舗が限られることや、既に流通しているキャッシュレス決済とのすみ分けなど様々な課題もあると認識しております。
 本市においては、市民の皆様の地域活動への参加を促す取組の一つとして、くまもとポイント事業の構築に着手したところでございまして、まずはこのポイント事業を着実に進めていくことが重要であると考えております。
 一方で、金融機関や経済団体による地域通貨の構築事例や市民ポイントとの交換事例なども見られることから、将来的なポイント事業との連動も見据え、メリット・デメリットの洗い出しや、他都市事例等の調査研究を進めてまいりたいと考えております。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 まずは、くまもとポイント事業を着実に進めていくとのことで理解いたしました。
 私としては、このデジタル地域通貨は本市だけにとどまらず、熊本県全体で取組をつくるべきと思っております。そうすることで、県の旅行支援などにも使えますし、県全体の活性化になると思っております。また、同時に民間の協力も必要であり、県、市、民間が一緒になって仕組みを考えていただきたいと思っております。
 市長からは、調査研究を進めるとの御答弁をいただきましたので、今後の積極的な調査研究を期待して次の質問に移ります。
 民生委員協力員制度についてお尋ねいたします。
 昨年12月に、全国で民生委員・児童委員の一斉改選が行われました。改選結果によると、定数24万547人に対し、委嘱数は22万5,356人と、委嘱率93.7%、委嘱数のうち新任委員の割合は32%でした。これを本市で見ると、定数1,469人に対し、委嘱数は1,300人と、委嘱率88.5%、新任委員の割合は33.3%でした。また、全国の政令市で比較した場合、最も委嘱率が高いのは京都市の99.2%、最も委嘱率が低いのが川崎市で80.9%、本市は川崎市の次に低く88.5%でした。ちなみに政令市平均は92.7%で、本市より4.2ポイント高くなっています。
 私は、この結果を少し意外に思いました。というのは、民生委員は、長年地域でお世話をしている信用ある人が地域から推薦されていることから、地域コミュニティーが活発なところが委嘱率も高いものと思っておりました。例えば、本市の町内会加入率は85.46%であり、政令市では浜松市、新潟市に次いで3番目に高い加入率を維持しています。また、大西市長も地域主義を掲げられており、熊本地震を経験した本市の地域力は政令市でも高いと認識しているからです。
 そこで、町内会加入率と民生委員の委嘱率に因果関係があるのか調べてみました。
 まず、国の規定で政令市の場合、220~440世帯に1人の民生委員を配置する基準があること、各政令市では、それぞれの事情により220~440世帯の幅の範囲内で、各地域に割り当てる1人当たりの担当世帯数が違うことが分かりました。その上で、民生委員の定数を単純に世帯数で割ると、本市は担当世帯数が1人当たり228世帯と、政令市の中で最も手厚く民生委員が割り当てられていることが分かりました。
 したがって、単純に町内会加入率が高ければ民生委員委嘱率も高くなると考えるのは早計であることが理解できました。しかし、やはり決めた定数に対してきっちり委嘱できるように、本市を含め各市頑張っているのが実情かと思います。
 このような中、政令市の約半数で民生委員協力員制度を導入していることを知りました。民生委員協力員制度とは、民生委員の負担の軽減を図ることを主な目的として設置するものであり、その活動は民生委員活動の一部を補佐し、協力することです。また、この制度の導入により、新たな地域福祉の担い手の掘り起こしにもなります。
 そこで、制度を導入している千葉市のお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。
 千葉市の場合、本市と比較して町内会加入率が61.6%と、本市よりも23.86ポイントも低い加入率ですが、民生委員委嘱率は92.87%と本市よりも4.37ポイント高く、民生委員協力員制度が一定の効果を上げていると考えています。千葉市では、民生委員1人につき1人の協力員を配置可能としており、現在の協力員数は141人、千葉市全体の民生委員定数の1割程度が配置されています。また、協力員にも個人情報守秘義務を課しています。
 協力員の活用事例としては、将来の民生委員候補として協力員になってもらい、例えば担当世帯の何割かを担当してもらうケース、このほか、新しく民生委員となった方が何をしてよいのか分からないなどの不安を解消するため、それまで民生委員だった方が逆に協力員になって、新任の民生委員の補佐をしてもらうケースなど、民生委員の引継ぎの問題の解消にも制度が役に立っています。
 平成26年の制度導入当初は30人ほどでしたが、だんだん口コミで広がっていったようです。また、地域差もあり、積極的に活用している地区もあれば、全く使っていない地区もあるとのことでした。
 一方、本市においても、一部の地域では独自の取組として、民生委員活動の一部を補佐する協力者を配置し、高齢者の見守り活動などをしていただいている事例もあると伺っております。
 そこで、民生委員の負担軽減に寄与する民生委員協力員制度の導入についてのお考えを、大西市長にお尋ねいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  地域における福祉に対するニーズが多様化、複合化する中、よりきめ細かな支援が必要であり、日頃から積極的に地域での見守り活動等の地域福祉活動を行う民生委員の役割は極めて重要であると認識しております。
 そこで、昨年度から定期的に、熊本市民生委員・児童委員協議会及び熊本市社会福祉協議会と市の三者によります協議の場を設けておりまして、民生委員協力員の導入に関しても、民生委員の成り手の確保に向けた負担軽減策の一つとして協議しているところです。
 引き続き、地域福祉活動の体制づくりについて関係団体等の御意見を踏まえながら、他都市の導入効果を検証するなど検討を進めてまいりたいと考えております。今後も民生委員活動の活性化を図り、地域共生社会の実現につなげてまいりたいと考えております。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 昨年度から民生委員協力員の導入に関して協議しているとのことで、安心いたしました。
 関係団体の御意見をしっかり伺って、また他都市の事例を参考にし、民生委員の負担軽減になるよう、本市が主体的に動いていただき、導入に向けて進めていただくことを改めて要望いたします。
 次に、最後の質問となります。
 再生資源物の屋外保管に関する条例についてお尋ねいたします。
 本年2月、独り暮らしの高齢の御婦人宅を訪問した際、自宅横の空き地に高い鉄板の囲いができており、中には建設関係の重機があり、鉄骨や鉄板のようなものが置いてありました。御婦人いわく、今後どのような施設ができるのか聞こうにも、中で働いている人はアジア系の人で言葉が通じない。騒音や臭いなどが心配で、最悪住めなくなるのではないかと心配されていました。
 写真を撮って市に確認したところ、鉄骨や鉄板などの資材置場の場合、届出や許可は要らないので把握できていないとのことでした。幸い、その後その囲いは撤去され、中に置いてあったものはなくなっていました。
 また5月にも、別の地域で同様の市民相談がありました。国道沿いにスクラップ工場のような施設ができているが、今後どのようになるのか心配との声でした。現場を見に行ったところ、こちらもやはり2メートル以上の囲いがあり、中には重機やトラックがありました。現時点では、まだ差し迫った問題はないようでしたが、今後どうなるのか近隣住民から不安な声が上がっており、何かしらの対応が必要ではないかと思いました。また、どちらも市街化調整区域であり、今後このような施設が乱立することで、近隣住民とのトラブルが発生しないかと心配しております。
 そこで、この問題を解決するために、先進的に再生資源物の屋外保管に関する条例を定めている自治体があることを知り、先ほどと同様千葉市に伺い、お話を伺いました。千葉市では、平成30年頃より市内の市街化調整区域を中心に多くの再生資源物の屋外保管施設、いわゆる金属スクラップヤードが建設され、操業に伴う騒音・振動や不適切な保管による火災の発生など、地域住民の生活の安全に支障を来す状況が発生しました。
 例えば、金属スクラップの山の中のリチウムイオン電池が発火し火災となった事例など、平成30年~令和5年までに19件の火災が発生しております。また、騒音や振動など、80件以上の苦情が上がっています。一方、金属スクラップは有価物であることから廃棄物処理法の対象とならないため、行政への届出の必要もなく、保管についても規制する法令等がありません。そのため、こういった施設の把握もできにくく、把握しても住民の苦情等がなければ行政指導ができない現状があります。
 そこで千葉市では、令和3年に再生資源物の屋外保管を行う者が守るべき義務など、必要な事項を定めた条例を制定しました。この条例は主に関東で広がっているようで、政令市では、さいたま市でも条例化が進められているようです。これらの条例には、主に届出制と許可制があり、千葉市は許可制の条例を全国で初めて制定しました。千葉市では、条例をつくったことで、事前に把握していた70件の事業所に対し、実際には94件の届出があったとのことです。
 そこでお尋ねいたします。
 1点目、本市内で外国人による再生資源物の屋外保管の事業所数をどの程度把握されているのでしょうか。把握に至るプロセスも含めてお示しください。
 2点目、それらの中で、過去に市民から苦情や相談、心配する声は上がっていないでしょうか。
 3点目、本市として、再生資源物の屋外保管に関する条例の制定を検討されてはと思いますが、いかがでしょうか。
 以上3点、環境局長にお尋ねいたします。
         〔早野貴志環境局長 登壇〕

◎早野貴志 環境局長  再生資源物の屋外保管に関する3点の御質問にお答えいたします。
 再生資源物の屋外保管の事業者数については、廃棄物処理法の規制対象である有害使用済機器の取扱いの有無の確認や、市民の皆様からの苦情や廃棄物の取扱い等の問合せを契機とした立入調査により把握しております。
 本市域内の事業者数は、金属スクラップ等を取り扱う8事業者、プラスチックを取り扱う1事業者の計9事業者であり、そのうち外国の方が代表者となっている事業者は、聞き取りにより6事業者と把握しております。
 市民の皆様からの騒音や振動等の苦情や相談等については、これまで5事業者に対してあっておりますが、立入調査後は指導に応じ改善されていることから継続している案件はございません。
 現在、再生資源物を屋外に保管する金属スクラップヤードなどの管理棟を市街化調整区域などに建築する場合、都市計画法、農地法等の手続が必要であり、無条件に事業を行うことはできません。また、手続が必要ない場合でも、騒音・振動等の苦情については、騒音規制法などの関係法令に基づき指導を行っております。
 引き続き、関係部署と連携し、事業者の現状把握に努めるとともに、悪質な事業者の増加により対応が困難な場合には、課題を整理し条例の必要性について検討してまいります。
         〔35番 浜田大介議員 登壇〕

◆浜田大介 議員  ありがとうございました。
 近年、このような問題が出てきた背景としては、世界的な環境汚染の問題が深刻化する中、有害廃棄物が国境を越えて移動することを規制する国際条約であるバーゼル条約が1989年にスイスで採択されたこと、これで以前は国内で発生し、そのまま輸出していた廃棄物を国内で分別し、有価物として輸出するように変わってきたことが原因の一つであると考えられているようです。
 御答弁では、本市域内の9事業者のうち、外国の事業者が6事業者であり、そのうち5事業者について市民からの苦情や相談等で立入調査をしているとのことでした。現状では把握できているようで少し安心しました。ただ、今後市街化調整区域などでこういった金属スクラップ等を扱う事業者が増え、把握が難しくなることを懸念します。また、敷地内で発生した油や有害物質を含む汚水等による土壌汚染や、それらが地下に浸透して地下水汚染とならないか大変心配しています。
 引き続き、可能な限りの状況把握をお願いするとともに、状況が悪化するようであれば早めの条例制定の検討をお願いいたします。
 本日、用意しました質問は以上でございます。
 御答弁いただいた市長並びに執行部の皆様、長時間お付き合いいただいた議員各位の皆様に感謝申し上げます。また傍聴のため、お忙しい中議場に足を運んでいただいた皆様、インターネットで傍聴していただいた皆様に心から感謝申し上げます。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

○大嶌澄雄 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午後2時に再開いたします。
                            午後 0時03分 休憩
                            ───────────
                            午後 2時00分 再開

田中敦朗 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  一般質問を続行いたします。
 田中誠一議員の発言を許します。田中誠一議員。

         〔38番 田中誠一議員 登壇 拍手〕

◆田中誠一 議員  自由民主党熊本市議団の田中誠一でございます。
 現在、これからの新しい目線での指針となる次期総合計画の策定が進められております。今回の質問では、熊本市の将来構想に関係する項目を中心に、地域や現場からの声を踏まえ、お尋ねしてまいります。
 大西市長をはじめ、執行部の皆さん方の明快なる答弁をお願いしまして、早速質問に入らせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、市長がマニフェストで掲げられた地域社会の実現に関してお尋ねいたします。
 私は、大西市長が3期目の市長選に当選された直後、昨年の第4回定例会の一般質問で、市長選のマニフェストで全市に実現すると決意された地域社会とは、具体的にどういうものなのかとお尋ねいたしました。これに対しまして、市長は次のように答弁されております。
 地域社会とは、多様な個人が尊重されつつ、生活の基盤である地域コミュニティーにおいて、多くの個人や団体等がこれまで以上につながり、積極的に協力しながら自主自立のまちづくりを行い、お互いに支え合う豊かな社会である。そして、次期総合計画には、市民の幸福度の視点を盛り込み、誰もが憧れる上質な生活都市熊本を実現してまいりたいと決意を示されました。
 現在、次期総合計画の策定が進められております。先月、総合計画審議会で示されました骨子案を拝見しました。私の理解不足かもしれませんが、市長が描かれる地域社会がどう書き込まれ、基本計画の中でどのように実現していかれるのか見えてきませんでした。
 そこでまず、大西市長にお尋ねします。
 前回、私に答弁された地域社会というビジョンを、総合計画にどのように位置づけ、どういうアプローチで実現していくのか、お考えをお聞かせください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  議員御案内のとおり、令和4年第4回定例会の一般質問におきまして、地域社会の具体的な姿について、私の考えをお示ししたところでございます。
 現在、策定を進めております第8次総合計画におきましては、上質な生活都市の実現に向けたまちづくりの基本理念として、市民と地域、そして行政、それぞれが果たすべき責任や役割を担いつつ、互いに支え合う成熟した地域社会を基盤としたまちづくりに取り組むことを掲げたところでございます。
 さらには、上質な生活都市の実現のために掲げる8つのビジョンの一つに、全ての市民生活の質の維持・向上を位置づけ、様々な取組により活力ある地域コミュニティーを推進したいと考えております。
 今後は、まちづくりの基本理念はもとより、具体的な取組を通じ、市民や地域の皆様と対話を重ねながら、成熟した地域社会、ひいては上質な生活都市を実現してまいりたいと考えております。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 次期総合計画においても、地域の今、そして未来をしっかり見据えながら、地域社会の実現に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、地域社会の実現に向けた具体的な取組についてお尋ねいたします。
 さて、私の地元の日吉東校区では、新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年度以降、校区自治協議会の総会も書面開催を余儀なくされていましたが、去る5月14日、4年ぶりに対面での総会を開催することができました。また、校区の夏祭りである日吉東まつりも、今月23日に開催予定でありまして、私も含め、地域の皆さんは開催を心待ちにしております。
 コロナ禍が明け、中止を余儀なくされたイベントや地域活動が再開されています。地域活動への熱意が盛り上がっている今こそ、地域社会の実現に向けて具体的なアクションを起こすべきではないでしょうか。本市では、地域コミュニティーの活性化に向け、自治会組織運営ガイドラインの策定やDXの推進、さらには、くまもとポイント事業などの取組が進められております。中でもくまもとポイント事業については、地域の担い手確保や地域活動の活性化の有効なツールになると、大いに期待しているところであります。
 私は、この事業を地域の皆さんに広く普及させるために、地域活動の拠点であるまちづくりセンターが推進主体になるべきだと考えます。
 そこで、文化市民局長にお尋ねします。
 この事業をどのように地域に普及・浸透させ、市長が描かれる地域社会の実現にどう活用していかれるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
         〔金山武史文化市民局長 登壇〕

◎金山武史 文化市民局長  本市が目指す持続可能な地域社会の実現に向けては、より多くの方が自分の住む地域に目を向け、お互いに協力しながら、自主自立のまちづくりを進めていくことが肝要でありますが、地域の担い手の確保は年々難しくなっていると認識しております。
 このため、このくまもとポイント事業を通じて地域活動に関わる機会が少ない現役世代、特に若年層に向けて、大型イベント等でのPRブースによる広報やSNS等を活用して事業の周知を行うとともに、地域活動に参加してみたくなるようなインセンティブを設けるなど、地域活動への参加を促進してまいりたいと考えております。
 また、日頃から地域との関わりが深いまちづくりセンターと連携し、今後、自治会など地域活動を担っている方々の御意見を幅広くお聞きしながら、丁寧に制度設計を行い、地域に普及・浸透し、市民の皆様に愛される事業となるよう努めてまいります。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 制度設計に当たり、多くの市民を巻き込み、幅広く意見を聞き取ることが普及・浸透につながっていくと思います。ぜひ、まちづくりセンターと連携しながら、愛される事業へと大切に育てていただくことを期待しております。
 次に、喫緊の課題であります少子化対策についてお尋ねいたします。
 昨年生まれた子供の数は77万747人となり、統計を開始した1899年以来最低の数字となりました。また、昨年の合計特殊出生率は、2005年と並んで1.26と過去最低となっております。このまま進めば少子化のスピードが加速し、2060年近くには50万人を割り込んでしまうことが予想されています。本市においても、令和3年の出生数は6,093人となっており、平成27年の7,062人と比較すると、僅か6年間で1,000人も減少しております。昨年は初めて6,000人を割り込んだ模様でございます。
 国は、今年6月にはこども未来戦略方針を策定し、次元の異なる少子化対策として抜本的に政策を強化するとしております。我が国の少子化の最大の要因は、未婚化と言われています。未婚者は過去40年弱で大幅に増加し、生涯未婚率は2020年で、女性では17.81%に、男性では28.25%となっております。もはや男性の4人に1人以上が生涯未婚という時代でございます。
 この未婚化対策として最も重要なものは、経済面を含めた若者の生活基盤をしっかり支えていくこと。具体的には、若者の就労機会の拡充、賃金アップや働き方改革など、特に非正規労働者の処遇改善などを行い、将来への不安を払拭し、未来を描ける環境を地道につくっていくしかございません。
 次に、少子化対策として、複数の子供を産み育てていくためには、養育費、医療費、教育費などの家計負担の軽減や仕事と子育ての両立、将来のキャリアへの影響、子育ての悩みなどの不安解消が必要であります。そのための経済的な支援、雇用環境の整備、育児休暇などに対する事業者への働きかけなどは、国と地方が連携して取り組むことで効果的な支援が可能となります。
 少子化の加速は、我が国が直面している静かな有事でございます。これらの対策は、一朝一夕に効果が現れるものではないということ。もし今、政策が実施され効果的に機能したとしても、実際に少子化に歯止めがかかるのは、今生まれてくる赤ちゃんが子供を産む世代になる25年~30年後であることを忘れてはなりません。つまり四半世紀にわたる長期的な視点で、今効果的な施策を立案し、継続的に実施しなければならないということでございます。
 これらのことを踏まえた上で、大西市長にお尋ねします。長期的な視点で、熊本市として何を優先し、少子化対策に取り組んでいくのか、市長のお考えをお聞かせください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  出生数の減少や少子化の進行は社会経済に多大な影響を及ぼし、本市の将来を左右する喫緊かつ最優先の課題であり、マニフェストの具体的取組の最初の項目に子育て支援を掲げ、強い危機感を持って取り組むこととしております。
 少子化は、未婚化、晩婚・晩産化と、その背景にある仕事と家庭の両立の難しさ、子育ての不安や負担、就労や雇用面での将来への不安など、様々な要因が複雑に絡み合っています。
 このため、若い世代の方々の不安を取り除き、結婚・妊娠・出産・子育てに安心感を持っていただくことが必要であり、今後も、子育て世帯の経済的負担の軽減や結婚を希望される方への支援など、短期的にも効果を実感していただける施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、長期的な視点として地域主体の子育て支援の充実が不可欠と考えておりまして、民生委員・児童委員による見守りに加えまして、市民の皆様の自発的な活動で広がり、地域交流や子供の見守り拠点にもなっております子供食堂への支援など、子育てを地域社会で分かち合い、安心して子育てできる、子供を核としたまちづくりを進めてまいりたいと考えます。
 現在、第8次総合計画を策定中でございますが、市民の皆様の御意見を伺いながらニーズを的確に把握し、より効果的な少子化対策を取りまとめ、子供の笑顔が輝き、若い世代の方々に夢や希望を持っていただける上質な生活都市を実現してまいりたいと考えます。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 繰り返しになりますが、少子化対策は長期的な視点で継続的に実施しなければなりません。今を生きる、そして未来の若い方々が夢や希望を持てるような対策を講じていただきますよう切にお願いいたします。
 次に、マイナ保険証に関してお尋ねします。
 マイナンバーカードをめぐっては、マイナ保険証に別人の情報が登録されたり、障害者手帳の情報が他人のマイナンバーカードにひもづけされたりするミスが続出しております。先月8日のマイナンバー総点検の中間報告では、別人の情報が誤って登録された事例が新たに1,069件確認されました。
 現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化するという方針については、今年7月の世論調査で、一本化の延期や撤回を求めた人は76.6%に上っております。また、全国の市区町村長に実施したアンケートでは、予定どおり開始すべきだとしたのは29%、廃止を延期するべきだとしたのが41%となっております。
 岸田首相は、先月4日に、来年秋の廃止時期を当面維持する意向を示され、8日にはマイナンバー制度及びマイナンバーカードに関する政策パッケージが示されました。この中で、国民の信頼回復に向けた対応として、マイナ保険証のメリットを実感していただける実効的な仕組みづくりなどを実施していくとしております。
 厚生労働省は、このマイナ保険証のメリットとして、利用者側は、1つ、病院や薬局において顔認証で自動化された受付ができること。2つ、これまで受けた正確な診療情報に基づく診療・薬の処方が受けられること。3つ、窓口での限度額以上の医療費の一時支払いが不要になることなど、通院が便利になると説明しております。また医療機関側も、より適切な医療サービスが提供でき、医療保険者側も不正使用や無駄な医療行為を防止し、医療費も抑制できると言われております。
 しかし、実際の医療現場では、例えば、処方された医薬品のデータはレセプトとひもづいているので、最新は1か月前のデータとなり、これなら紙のお薬手帳を使った方が直近のデータが活用できるのではないかという声も上がっているようでございます。また、不正防止のための顔認証のシステムがうまく機能せず、本人確認にかえって手間が増えるなど混乱もあっております。
 現在は、マイナ保険証とマイナンバー情報とのひもづけに関するミスが大きくクローズアップされているようですが、医療現場では、このまま本格運用が始まった場合、その機能がトラブルなく発揮されるのか、システムそのものの信頼性について不安視する声もあるようでございます。このようなことから、いまだ健康保険証の廃止に対し、多くの疑問が上がっています。
 そこで、このような状況を踏まえて、改めて、来年秋に健康保険証を廃止し、マイナ保険証に統一するという国の方針について、国民健康保険の保険者でもある大西市長の見解をお伺いしたいと思います。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  マイナンバーカードの健康保険証利用、いわゆるマイナ保険証をめぐっては、資格情報のひもづけ誤りや医療機関での読み取り不具合によるトラブル等、国民や医療現場に不安や懸念の声があることは承知しております。
 このような中、国においては、マイナ保険証を持たない方に保険証の代わりとなる資格確認書を交付するなど国民の不安払拭に向けた対応を示したほか、医療現場でのトラブルについても課題を積極的に把握し、対策を実施していくこととしております。
 健康保険証の廃止時期等については、現在進められているマイナンバー情報総点検の結果等を踏まえ、国において適切に判断されるものと考えますが、これまでも指定都市市長会を通してマイナンバー制度の安全と信頼確保に努めていただくよう要望してきたところでありまして、引き続きトラブルの再発防止と安定的な運用を確保するよう求めてまいります。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートと言われていますが、必要なものだからこそ、市民の皆様の不安を解消し、安心できる利用環境を整備する必要があります。そのための対策を引き続き国に求めていただきますようお願いいたします。
 次に、運輸の2024年問題と物流拠点構想についてお尋ねいたします。
 まず、2024年問題については、インターネットショッピングの増加によって物流ニーズが高まる一方で、トラックドライバーの働き方改革に関する法律が2024年4月から適用され、時間外労働の上限規制の猶予がなくなることで運転手が不足し、物流が停滞するのではないかとの懸念が広がっております。何も対策を講じなければ、2030年度には34%の輸送力不足の可能性があります。私の地元であります流通団地の物流関係者からも不安の声が聞こえてきます。
 このような中、熊本都市圏においては、半導体関連企業の進出に伴い、倉庫や営業所といった拠点を設ける動きが広がっており、物流ニーズがさらに高まり、ドライバー不足がより一層深刻化することが懸念されております。
 さらに、この問題で最も深刻なのは、路線バスをはじめとした公共交通機関への影響でございます。具体的には、バス運転手については時間外労働時間の上限設定に加え、勤務と勤務の間の休息時間の確保基準が、従来の8時間から11時間を基本とし、9時間下限と長くなります。限られた運転者を決められたダイヤに配置するためには、どうしても一人の運転者に頼らざるを得ないという実情があり、休日出勤、早出、遅出のローテーション勤務など通常でも労働条件が悪い上に、事業者の経営難から、給与もそれに見合うようなものになっておりません。加えて、大型二種免許が必要などの条件も重なり、今でさえ運転手不足は深刻であります。
 この超過勤務上限設定と休息時間の基準の見直しに加え、半導体関連企業の進出で物流などの労働市場が増えると思われる中、給与などの処遇面からもバス運転士の成り手がさらに少なくなっていくことは容易に予想されます。そうなれば、赤字や黒字など路線の収支にかかわらず、現行の路線・ダイヤを維持することが物理的に不可能になることは火を見るより明らかです。
 県内のバス事業者5社は、熊本都市圏で路線バスの共同経営に加えて、先月19日には初の合同就職説明会を開催されるなど、深刻な運転手不足という共通課題の解消に向け、連携を深められております。地方自治体も、これらの運輸の2024年問題に積極的に対応していくべきではないでしょうか。
 そこで、市民生活に直結した物流の運転手不足や公共交通の維持のための喫緊な課題である運転手不足にどう取り組まれるのか、経済観光局長と都市建設局長に、それぞれの立場から具体的な対策についてお尋ねします。
         〔村上和美経済観光局長 登壇〕

◎村上和美 経済観光局長  物流の運転手不足についてお答えいたします。
 運輸業界における人手不足は、市民生活の維持だけでなく地域経済の活性化を図るためにも重要な課題と認識いたしております。
 そこで本市では、令和3年度より、人材確保を目的として特定分野緊急就職奨励金を交付しており、これまで運輸分野において93名の就職を支援してまいりました。また、運輸分野をはじめ、様々な分野の企業の人材確保支援として合同就職説明会や大学生を対象としたインターンシップ等を実施しており、求職者とのマッチングの機会の提供と併せ、企業の魅力発信の場として活用いただいております。
 さらに、国の物流革新に向けた政策パッケージでも示されるように、今後の人材不足への対応に当たっては、車両の動態管理や配車管理などといった、AIを活用した物流の効率化を図る必要があるとされており、本市におきましても、中小企業におけるデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの支援にも力を入れているところでございます。
 物流は、市民生活や地域経済にとって重要な社会インフラであることから、今後とも企業や団体の皆様の声を受け止めながら、国や県、関係機関とも連携し、危機感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
         〔井芹和哉都市建設局長 登壇〕

◎井芹和哉 都市建設局長  バスの運転士に関する御質問にお答えいたします。
 バスの運転士については、本年3月末時点でバス事業者5社における乗合・高速・貸切を含む運転士の必要数が1,070名であるのに対して在籍数は990名で、80名不足していると伺っております。
 この状況に加えて、議員御指摘のとおり、2024年4月以降は、時間外労働時間の上限設定や休息時間の確保基準の変更により労働時間や拘束時間の見直しが行われることから、これまでと同じ数の運転士で現在の路線や便数を維持することは困難になると考えております。
 運転士の採用強化に向け、バス事業者が連携し合同説明会を行うなど新たな動きも出てはおりますが、バス事業者各社は大変厳しい経営環境にあり、積極的に人や設備に投資することが難しい状況にございます。
 このような状況に強い危機感を持ったことから、バスだけでなく鉄軌道などを一体的に捉え、持続可能で利便性の高い公共交通体系に再構築することが急務と考えまして、その方向性を検討する会議体を本年4月に設置いたしました。
 現在、運転士不足の現状や課題、対応策などについて検討を進めているところでございまして、本年度内に成果を取りまとめまして、改めて御報告いたします。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 2024年は来年でございます。人材確保に向け、スピード感を持って取り組んでいただくようお願いします。
 次の質問に移ります。
 運輸の問題について言及しましたが、一方で、本市にとっては半導体関連企業の進出、集積が進む中、九州中央自動車道、中九州横断道路の全線開通を見据えれば、2024年問題というピンチを逆手にとって、熊本都市圏を九州中央の物流拠点にする絶好のチャンスであると考えます。
 北九州市は、昨年3月、物流を主要な産業として発展させるため、北九州市物流拠点構想を策定し、物流施設の立地促進に加え、物流を支える人材の確保・育成などに取り組んでおります。
 本市におきましても、物流の人材確保と物流の施設集積の両立を目指し、今こそ将来構想を描き、次期総合計画に掲げ、戦略的に取り組むべきではないでしょうか。
 そこで、半導体関連企業の集積、高規格道路の開通を見据えた物流拠点構想への見解を市長にお尋ねします。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本市では、半導体受託生産最大手となるTSMCの進出を受け、半導体関連産業の県内への投資意欲が高まりを見せる中、昨年12月に半導体関連産業の集積に向けた産業用地整備方針を策定し、官民連携によります産業用地の整備に取り組んでいるところです。
 物流機能は、製品、商品のサプライチェーンを支える重要な役割を担っておりますことから、本整備方針においても、半導体関連の製造業に加え、物流系の企業についても誘致ターゲットとし、高速道路のインターチェンジ周辺エリア等への集積を図るべく、企業誘致活動を強化しております。
 今後も九州中央に位置する本市の立地優位性を生かし、国や県と連携し、広域道路ネットワークの整備促進や熊本港の機能強化等による拠点性の向上を図りながら、物流施設の誘致に向け、戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 明確なビジョンを描いた上で、戦略的に物流施設の誘致に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 引き続き運輸に関連してお尋ねいたします。
 先ほど2024年問題の質問に対し、都市建設局長から、バス事業者各社は大変厳しい経営環境にあり、積極的に人や設備に投資することが難しい状況にあるとの答弁がありました。設備投資といえば、公共交通の利用環境を構築する決済手段、ICカードについても多くの費用を投じて設置してきたと記憶しております。
 そのような中、広島では、交通系ICカードを廃止して別の決済手段に移行する動きが報じられております。熊本市においても交通系ICカードが導入されていますが、バス事業の経営が厳しい中、この先多額な費用が必要となる場合、その対応を危惧しております。対応次第ではバスの運転手の確保や処遇改善など、人への投資に大きな影響を与えるものと思います。
 そこで、このことについてどのようにお考えなのか、また市長にお尋ねしたいと思います。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本市では、平成26年3月に交通局が全国のJRや私鉄等で利用可能な全国相互利用型ICカード、でんでんニモカを導入、また翌年の平成27年4月からバス事業者等が熊本地域振興ICカード、通称くまモンのICカードの運用を開始し、その後システムを改修し相互に利用できるようにしております。
 このうち、全国相互利用型ICカードの車載器の保守期限が令和7年3月に満了することから、市電やバス等において機器の更新等が必要となってまいります。
 今回の更新はもとより、将来的にもシステムの維持には多額の費用が見込まれる一方で、QRコードやクレジットカードタッチ等による新たな決済環境の導入も進んでおりますことから、現在、今後の在り方について、交通事業者や県などの関係者と本市で意見交換を行っておりまして、利用者の利便性を第一に、経済性や将来性などを含め検討してまいりたいと考えております。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 公共交通の決済手段は、交通事業者だけではなく市民生活にも大きな影響を及ぼします。利用者の利便性を第一に考えながら、行政が積極的に関わっていただきますようお願いいたします。
 最後になりますが、ごみ分別と収集についてお尋ねします。
 小型家電リサイクル法が平成25年4月に施行されてから、約10年が経過しました。全国の市町村においても小型家電の回収が広がり、一定の成果が上がっています。
 そのような中、近年、携帯電話などリチウム電池を使用した製品が増加し、リチウム電池そのものやリチウム電池を使用した製品が廃棄物として処理される過程で火災事故が発生し、処理施設や機材などへの被害はもとより、処理が滞ることによる社会的な影響や、廃棄物を処理する体制そのものへの影響が懸念されております。
 リチウム電池は、圧力や強い衝撃により発火に至ると言われております。2018年2月~2020年7月までの約2年半の間で、リチウム電池が発火原因の可能性がある市町村施設等での火災事故が24件報告されており、中には消火し切れずに施設が全焼する事例も報告されています。
 本市においても、昨年8月には扇田環境センターにおいて、小型家電に起因すると思われる火災が発生しています。さらには、今年6月には埋立てごみ収集車が回収した小型家電製品が燃えるという火災事故も発生しています。現在、本市において、携帯電話など、比較的小型のものは資源物の拠点回収として区役所等で回収されていますが、掃除機や炊飯器といったものは埋立てごみとして回収されています。特に埋立てごみは、いわゆるパッカー車で回収していることから、先ほど述べたような火災が発生する可能性があります。他都市においては、リチウム電池を取り外せない製品を収集する際には、火災を防ぐためにパッカー車から平ボディー車へ収集方法を変えているところもあるようでございます。
 本市でも、平成26年度から、それまで資源物として回収していたスプレー缶について、蛍光管と同じように特定品目として平ボディーのトラックでの回収に切り替えたことから、スプレー缶に起因する火災はほとんどなくなったようでございます。
 そこでお尋ねします。
 施設や車両の被害によりごみ処理が停止すれば、市民生活に大きな影響を与えます。本市では、電池類が取り外せない小型家電製品やモバイルバッテリーなどの電池類は特定品目に分類するようホームページ等で注意喚起されていますが、埋立てごみとして回収されている掃除機といった使用済み小型家電に起因する火災が頻発していることから、スプレー缶と同様に収集方法を変えるなど、何らかの対応が必要ではありませんか。
 以上、環境局長にお伺いいたします。
         〔早野貴志環境局長 登壇〕

◎早野貴志 環境局長  本市では、電池類が取り外せない小型家電製品、電池類等については特定品目として、また、電池類が取り外せる扇風機、掃除機などについては埋立てごみとして分別していただいております。
 しかしながら、分別の誤りにより、電池が取り外されないままのコードレス掃除機やアイロンなどが埋立てごみとして排出され、火災も発生していることから、本市のホームページやLINE、ごみカレンダーアプリなどを通じて、バッテリーなどが原因で火災が発生する映像を配信するなど、分別の周知を強化しております。
 今後も小型家電製品の普及が見込まれることから、処理施設や車両の火災により市民生活に支障がないよう、使用済み製品の分別方法や、その必要性をより効果的に周知するとともに、より安全で効率的な収集方法を検討してまいります。
         〔38番 田中誠一議員 登壇〕

◆田中誠一 議員  ありがとうございました。
 ぜひ使用済み製品の分別の必要性を効果的に周知していただくとともに、収集方法についても安全な方法を検討していただくようお願いします。
 さて、今回は熊本市の将来構想に関係する項目を中心に、地域や現場からの声を踏まえお尋ねしてまいりました。本日の市長または関係局長の答弁が、熊本市の新しいまちづくりの基本、そして基礎になることを心から祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 議員各位、傍聴者の皆様、そしてインターネット中継を通じて御覧いただいている皆様、御清聴ありがとうございました。終わりにしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。
 次会は、明7日(木曜日)定刻に開きます。

      ────────────────────────────

田中敦朗 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。
                            午後 2時47分 散会


〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり





令和5年9月6日
出席議員 47名
      1番   田 中 敦 朗        2番   大 嶌 澄 雄
      3番   村 上   麿        4番   瀬 尾 誠 一
      5番   菊 地 渚 沙        6番   山 中 惣一郎
      7番   井 坂 隆 寛        8番   木 庭 功 二
      9番   村 上 誠 也       10番   古 川 智 子
     11番   荒 川 慎太郎       12番   松 本 幸 隆
     13番   中 川 栄一郎       14番   松 川 善 範
     15番   筑 紫 るみ子       16番   井 芹 栄 次
     17番   島 津 哲 也       18番   吉 田 健 一
     19番   齊 藤   博       20番   田 島 幸 治
     21番   日 隈   忍       22番   山 本 浩 之
     23番   北 川   哉       24番   平 江   透
     25番   吉 村 健 治       26番   山 内 勝 志
     27番   伊 藤 和 仁       28番   高 瀬 千鶴子
     29番   小佐井 賀瑞宜       30番   寺 本 義 勝
     31番   高 本 一 臣       32番   西 岡 誠 也
     33番   田 上 辰 也       34番   三 森 至 加
     35番   浜 田 大 介       36番   井 本 正 広
     37番   大 石 浩 文       38番   田 中 誠 一
     39番   坂 田 誠 二       40番   落 水 清 弘
     41番   紫 垣 正 仁       43番   澤 田 昌 作
     44番   田 尻 善 裕       45番   満 永 寿 博
     46番   藤 山 英 美       47番   上 野 美恵子
     49番   村 上   博

欠席議員  1名
     48番   上 田 芳 裕

説明のため出席した者
  市長       大 西 一 史    副市長      深 水 政 彦
  副市長      中垣内 隆 久    政策局長     田 中 俊 実
  総務局長     宮 崎 裕 章    財政局長     三 島 健 一
  文化市民局長   金 山 武 史    健康福祉局長   津 田 善 幸
  こども局長    木 櫛 謙 治    環境局長     早 野 貴 志
  経済観光局長   村 上 和 美    農水局長     大 塚 裕 一
  都市建設局長   井 芹 和 哉    消防局長     福 田 和 幸
  交通事業管理者  古 庄 修 治    上下水道事業管理者田 中 陽 礼
  教育長      遠 藤 洋 路    中央区長     岡 村 公 輝
  東区長      本 田 昌 浩    西区長      河 本 英 典
  南区長      本 田 正 文    北区長      中 川 和 徳

職務のため出席した議会局職員
  局長       江   幸 博    次長       中 村 清 香
  議事課長     池 福 史 弘    政策調査課長   上 野 公 一
 
通信中です...しばらくお待ち下さい