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熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2019年12月05日 定例会

令和元年第4回定例会

  令和元年12月5日(木曜)
┌─────────────────────────────────────┐
│ 議 事 日 程 第5号                         │
│ 令和元年12月5日(木曜)午前10時開議                │
│ 第  1 一般質問                           │
└─────────────────────────────────────┘
                            午前10時00分 開議
○倉重徹 議長  ただいまより本日の会議を開きます。
      ────────────────────────────

○倉重徹 議長  日程第1「一般質問」を行います。
 順次発言を許します。田中敦朗議員。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇 拍手〕

◆田中敦朗 議員  令和・自民クラブの田中敦朗でございます。
 もう何回目かわかりませんけれども、一般質問の貴重な御機会をいただきまして本当に心から感謝を申し上げる次第であります。きょうもできる限り1時間半以内で終わりたいと思っておりますので、前語りは少な目にして早速質問に入りたいと思っております。
 職員の能力向上及び事業の生産性向上ということで、6項目に分けて質問させていただきます。
 まず最初に、課長昇任試験についてです。
 これは、もう3回目の質問になりますけれども、きょうは前向きな御答弁をいただいて、今後しなくていいようにしたいと思っておりますし、先日、大西市長に答弁していただいたことで、熊本市は課長昇任試験はやめることはないんだなということはもう理解いたしましたので、内容をちょっと先日資料請求して拝見いたしました。そしたら、その内容は熊本市が独自に準備しているものが第7次総合計画や熊本市の各種指針などの暗記穴埋め問題と、そして選択問題だったんです。私はちょっとそれをすごく疑問に思いまして、自分で検索したり資料を見ればわかるものを暗記させるのはいかがなものかということをちょっと考えました。
 40代になって記憶力が私も落ちてきましたけれども、そういったものを40代の対象者の方々に暗記させるということは、それをしかも勤務時間外に学習させるものとしては明らかにずれているというふうに考えました。私としましては根本的な市長の掲げる誰もが憧れる上質な生活都市熊本、これをしっかりと念頭に据えて、必要であればそういったことはちゃんと自分の部署のものを確認すればいいと思っています。今のこの試験をこのまま継続していくことは、本当に熊本市のためになるというのかをお伺いしたいと思います。
 また、私がもし試験の設定を行うのであれば、組織マネジメントや自身が考える熊本市の課題とその解決策、熊本の歴史、伝統、文化、市民や事業者の方々と接するときの接遇やマナーなどをはかり、組織運営のプロフェッショナルであり、どこに出しても恥ずかしくない人材かどうかをはかれるかが大事だと思いますが、内容の見直しを図るお考えはありませんでしょうか。冒頭申し上げたとおり前向きな答弁をいただいて、実際、試験内容の改善が見られればこの質問は今後しなくてよくなりますので、総務局長、前向きな御答弁をお願いいたします。
         〔萱野晃総務局長 登壇〕


◎萱野晃 総務局長  課長級昇任試験における筆記試験の内容見直しについてお答えいたします。
 筆記試験の内容は市政知識、社会事情や管理監督知識など、いずれも管理職として知っておくべき知識を問う内容となっており、その解答方法は択一式と穴埋めである記述式を採用しております。現在の昇任試験について平成30年3月に人事委員会が実施いたしました職員アンケートでは、現行制度を支持する意見が多数ではありましたが、その結果報告書において筆記試験に関しては、日ごろの業務における課題認識や解決、改善を行うための能力を評価できる内容への見直しを検討する必要があるとの意見が付されたところでございます。
 このようなことを踏まえまして、現在、試験制度の見直し協議を人事委員会事務局と行っているところでございまして、その中で行政判断といった管理職に求められる能力を評価できる内容を充実するなど検討をいたしております。今後もこれまで以上に適正と能力のある職員の登用が図られますよう、不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  総務局長、これまで以上にということと不断の見直しということで、ぜひお願いしたいと思います。
 私も、この試験制度自体をなくしたらどうかというような質問から一歩前進しまして、内容の見直しについて話しておりますけれども、これまで12年間こういった暗記を職員の方々がしていたのかと思うと、自分自身はもう本当に反省しています。やはり中身にまでしっかり踏み込んで質問していかなくちゃいけないなと、改めてちょっと反省しているところであります。来年のこの試験について、どのような内容になるのか楽しみにしておる次第であります。
 続きまして、ハラスメント対策についてお伺いいたします。
 ハラスメントが起こりますのは指示や把握、管理能力といったマネジメント能力の欠如、人間関係構築やよりよいコミュニケーションを行うための知識の不足、おのれの言動によって相手がどう思うかという想像力が足りていないなど、さまざまな要因があります。
 幾つか例を出していきたいと思いますが、ウイリアム・グラッサー博士の主張する人間関係を破壊する7つの習慣を御存じでしょうか。それは批判する、責める、罰する、おどす、文句を言う、がみがみ言う、褒美でつるというものです。管理職の方々はこういったことをしていないでしょうか。逆に人間関係を良好にする習慣もありますが、それは興味のある方はぜひ御自分でお調べいただければと思います。
 また、先ほどの質問でも出しましたけれども、マネジメントといえばドラッカー博士が有名ですが、マネジメントに必要な能力として目標を設定する能力、組織化する能力、コミュニケーション能力、評価測定能力、問題解決能力などを挙げています。コミュニケーションを図るときには聞き手が理解できる言葉を選ばなくてはならない。大工と話すときは、大工の言葉を使えというようなことがあります。相手の知覚能力を把握しておかなければならないというのは、改めて腑に落ちる次第であります。
 管理職の方々は、こういった能力を管理職になるまでに十分身につけられるスキームが熊本市にあるでしょうか。想像力を養うのは簡単です。暴言を吐かれたらどう思うか。書類や物を投げられたらどう思うか。自分の仕事ではないと思うものを納得できずにさせられたらどう思うか。一人だけ連日残業する羽目になったらどう思うか。容姿や性別をからかわれたらどう思うか。さまざまなハラスメントの事例を挙げて、それをもし自分が受けることになったらということを考えるだけで想像力は養われます。そのほかにもいろいろとあると思いますが、ハラスメントを起こさないためにはパターンの知識習得と自分への置きかえで、容易に身につけることができると思います。
 ハラスメント対策及び組織強化対策として研修全体を見直して、マネジメント、コミュニケーション、想像力を養う研修をふやしてはいかがでしょうか。幸山市長時代からマネジメントは大切ですよとずっと申し上げてきましたが、その能力の涵養はいまだできていないのでハラスメントや不祥事が起こるのではないでしょうか。これはドラッカー的に言うと、伝えているのに改善しないということは、相手が理解をして改善するという行動を起こさせることができない自分の責任ということもありますので、みずから自戒を深めたいと思います。それでは、総務局長の答弁をお願いいたします。
         〔萱野晃総務局長 登壇〕


◎萱野晃 総務局長  職場におけるハラスメントにつきましては仕事への意欲の低下や心の健康の悪化など、行為を受けた職員への影響はもとより職場環境の悪化にもつながりますことから、その防止は組織運営上の重要な課題であると考えております。近年、全国的にもさまざまなハラスメントが社会問題として顕在化しておりますが、その背景には職場内のコミュニケーションの希薄化や、上司のマネジメントスキルの低下など、多様な要因がございます。
 本市におきましても、このようなハラスメントを防止するため、セミナーの開催や職場内研修の実施など、さまざまな取り組みを行っておりますが、相談件数は増加傾向にございます。そこで、今後さらに管理監督職員のマネジメントなどの能力向上に資する研修の充実を図るほか、みずからの行為を点検、自覚するためのセルフチェックの実施など、ハラスメント防止のためのさまざまな取り組みを総合的に行うことによりまして、働きやすい職場環境づくりに努めてまいります。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 皆さん、ヌードルハラスメントというのは御存じでしょうか。麺をすする音が嫌だというようなハラスメントでございましてヌーハラと言うんですけれども、ラーメン屋でそういうことを言ったら間違いなく言った人が責められるんですけれども、今さまざまなハラスメントが存在して、それによって逆に指導をハラスメントと感じる人も出てきているというような複雑化した社会でありますけれども、そういったことが起きないような環境づくり、そして、能力を育むということが何よりも大切でありまして、それを市役所の中でも行っておいていただきたいですし、本当に自分がそれをされたらどう思うだろうかとやはり頭の中で考えることも大事ですし、また、能力の高い人ほどハラスメントを起こす可能性が高くなるというふうなこともありまして、能力の隔絶がこんなことはできて当たり前だろうというところで、感情を誘発して強い言葉や、また暴力につながってしまうということがありますので、やはりそういったことを一つ一つ、ぜひ市役所の管理職の皆さんは考えて行動していっていただきたいなと思いますし、若手の職員のころから自分自身が市民に対して、ハラスメントをしていないかということも考えるような体制をとっていってほしいなと思っております。
 続きまして、姫路市における夏季の空調の実験についてお伺いいたします。
 職員の皆さんの働く環境は本当に大切だと考えております。今現在、熊本市の冷暖房に関しては一括オンオフになっておりまして、就業時間が終われば効率のためオフにされてしまいます。皆さん、ぜひ想像してみてください。仕事が残ってしまったため、夏、じわじわ暑くなっていく、冬、じわじわと寒くなっていく庁舎の中で細々と残業をしなくてはいけない職員の皆さんの気持ちを。私だったら耐えられませんし、この空調の課題も庁舎建てかえの一つの理由として掲げられているのではないでしょうか。
 このことを考えているときにある記事が目にとまりました。それが姫路市の取り組みです。循環器内科医でもある姫路市の清元市長は人が快適に働ける温度として決断し、国がクールビズを掲げた2005年以降、28度を保っていたエアコンの温度設定を25度に下げさせる実験を行ったのです。キーパーソンである梶本さんの言葉がとても印象的でした。真の働き方改革は単純な残業時間削減ではなく、健康かつ生産性を高めることにあるというものです。そして、その実験の検証結果がことしの10月7日に発表されました。職員1,518人のうち1,082人が回答を寄せたそうです。25度の室温設置がちょうどよかったが75%、勤務後の疲労感の軽減が83%、業務効率の向上が85%、意欲の高まりが83%と多くの職員がこの取り組みを評価しています。業務効率の向上の言葉どおり前年同月比1万7,034時間、14.3%の減少という成果をもたらし、人件費は約4,000万円の削減となったそうです。
 熊本市も働き方改革と生産性の向上のために、来年度夏季に実験してみてはいかがでしょうか。総務局長の答弁をお願いいたします。
         〔萱野晃総務局長 登壇〕


◎萱野晃 総務局長  夏季の空調温度についてお答えいたします。
 本市では、温室効果ガス削減の観点から夏季の室内温度の目標は政府推奨の28度としておりまして、冷房設備についてはこれを上限として設定いたしております。本庁舎は、昭和56年供用時に整備いたしました全館冷房の設備を現在も使用しておりますことから、実際の室温はおよそ25度から28度の状態となっておりまして、室温上限を25度に設定いたしますとさらに最低室温が下がり、過冷状態となる場所が発生することが想定されます。
 このようなことから、冷房温度の設定につきましては、まずは職員へのアンケート等を実施いたしました上で、本庁舎や区役所などの実験的な取り組みについて検討してまいりたいと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  まずはアンケートをとっていただけるということで、今、職員の皆さんがどうお考えになっているのかというのをつまびらかにしていただければと思っておりますし、過冷状態と言いますけれども、もう実際設備の機能も落ちていますのでそこまで心配しなくてもいいんではないかなと思いますので、前向きな実験を夏季、来年していただくとうれしいなと思う次第でありますし、多くの暑がりの職員の方は期待しておられますでしょうし、冷え性の方は嫌だなあと思われるかもしれませんが、いろいろな実験を各市町村はしておりますので、いい効果が出てきたものは積極的に採用して熊本市でも試してみるというような前向きな姿勢を、ぜひ総務局を挙げて行っていただければなと思っております。
 続きまして、能力向上のための職員海外視察旅費の創設についてお伺いいたします。
 今回、マスコミで市役所と議会の海外視察についてさまざまな報道がありました。多くの県内外の方々からの声も拝見し、いろいろな御意見があるものだと思った次第であります。賛否両論の否の方が若干多いかなと思った次第でありますが、賛成の方は声を上げられませんので、まあ当たり前のことだなとは思っております。視察を否定せずに報告書をちゃんと出せといった声が上がったのは、よいことだなというふうに思った次第であります。
 私は、職員の方々の海外視察は大賛成で、むしろ今後は積極的に進めていただきたいと思っています。なぜならば、海外に行ったこともなく、行こうともしない人とは同じ視点で話すこともコミュニケーションを図ることも難しいからです。おのれの生活や国から一歩外へ出て異なる文化を体感することは、客観的におのれの考えやおのれの住まう地域を見直すきっかけになるばかりか、これまで常識と思っていたことに対して疑問を持つ出発点になるからです。例えば、教育委員会にはオランダに行って教育について学んできてほしいですし、経済観光局にはシンガポールやニューヨークに行ってきてほしいです。健康福祉局にはフィンランドやノルウェー、デンマークなどの福祉先進国を見てきてほしいですし、環境局には、環境パフォーマンス指数EPIが2018年ナンバーワンのスイスに行ってきてほしいと思っています。
 それぞれの局が抱える課題をそれぞれの局が把握し、調査し、企画し、職員の成長と熊本市の課題を解決するヒントを得るために実際にその国に赴くことは、必ず組織の活性化と課題解決の糸口をつかむことになると確信しています。グローバルな視点でローカルの課題に立ち向かう職員を育てるために視察後の報告、これは当然セットではありますけれども、毎年、職員の海外視察の予算を確保することは熊本市にとって必要なことだと考えますが、市長の考えをお伺いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕


◎大西一史 市長  職員、とりわけ若い職員が本市の具体的政策課題について、国内外を問わず先駆的、効果的な取り組みを学び体感することが知見を広げ、政策形成能力向上につながるものと考えます。そこで、今後、職員がテーマを持って国内外を問わず他都市を調査訪問する機会をふやすことで、職員の成長と効果的な事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  大変前向きな御答弁、市長、ありがとうございました。
 ぜひ総務局におきましてはそういった各局からの要望、そして若手職員からの要望に対して予算要求をしていただきまして、財政局長も前向きな返答をお願いしたいなというふうに思う次第であります。来年は誰がどこに行くのかというのを楽しみにしておりますし、その報告もぜひ楽しみにしておる次第であります。
 続きまして、市営墓地の募集及び管理運営についてお伺いいたします。
 こちら、藤永議員もお話されまして、またIT墓地に関しては我が会派の落水議員も発言されておりますが、若干角度が違いますので質問させていただきたいと思います。
 今現在、熊本市が保有する市営墓地の区画数が1万8,000区画。そして目視で定期的な管理が行われておらず、管理者がわからなくなっているという区画が880区画あるというお話を、前回、予算決算委員会で質疑をする中で担当者の方にお伺いしました。また、質疑において局長から答弁をいただいたとおり、区画募集について募集が満杯にならず予定していた収入がなかったという現状です。先日の質疑で申し上げましたとおり葬送や祭祀についての価値観の変容が起こり、お墓を持たないという選択をしている方がおられる。また、核家族化が進み、個人主義が進行し、お墓参りをしないまたは遠ざかっている方々がおられる。さまざまな理由でお墓という存在が生活から離れていっているのが今の時代ではないでしょうか。その時代の中で、今後、税金を投入し整備した市営墓地を有効に活用していくためには、この事業をゼロベースで見直すしかないというふうに考えています。
 こういった膨大な市営墓地の管理、各区画の管理責任者の把握、無縁墓の対策を迅速に行い、市営墓地事業を持続可能なものにするためには民間委託し、今現在の永代使用料のみの徴収ではなく永代使用料を下げ、民間の霊園や墓園のように管理費を毎年5,000円から1万5,000円の徴収をしてはいかがでしょうか。
 また、既に永代使用料をお支払いいただいている方に関しては、大きな批判や苦情が出ると思いますし手続も必要でありますが、年間1,000円でもお支払いいただくことで管理費用の捻出と無縁墓の防止につなげ、適正な管理をしたほうがよいと考えますがいかがでしょうか。健康福祉局長の考えをお伺いいたします。
         〔田端高志健康福祉局長 登壇〕


◎田端高志 健康福祉局長  市営墓地に関する3点のお尋ねにお答えいたします。
 まず1点目の民間委託の実施についてでございますが、市営墓地の管理は墓地貸し付けと墓園内の維持管理がございまして、墓地貸し付けにつきましては貸し付け件数が平成27年度以降減少しておりますことから、抽選会の回数をふやすなど応募しやすい制度となるよう取り組んでいるところでございます。
 また、維持管理につきましては、快適に墓参していただけますよう定期の除草や清掃等を実施しておりますものの、樹木の剪定などの要望が年間100件程度寄せられておりますことなどから、よりきめ細やかで迅速な対応が必要となっております。
 さらに、長期にわたって維持管理が行われていない区画につきましては、本年度から対象区画に対する看板設置や官報掲載などとあわせまして、承継者の調査を行っているところでございます。墓地管理の民間委託につきましては、ニーズに沿ったサービス提供や効果的な管理運営が期待できますことなどから、今後、検討してまいりたいと考えております。
 次に、2点目の永代使用料を減額し管理費を徴収することにつきましては、既に永代使用料のみで貸し付けを受けた方との公平性の確保などの課題がありますことから、今後、市営墓地のあり方を検討する中で研究してまいりたいと考えております。
 最後に、3点目の既存の使用者に対する管理費の徴収につきましては、永代使用を条件として使用料を納付し、貸し付けを受けた方に対し新たな負担が生じますことから、慎重に研究してまいりたいと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 まず、永代使用料の減額と管理費の徴収について。こちらに関しては何でこういったことを言うかといいますと、一番最初に桃尾墓園等をつくるのにかかった予算、それを等区画で割ると60万円になるからというようなことで設定されたと思うんですけれども、結局そのローリングに関しては全く考えていないわけです。毎年ずっと費用は管理のためにかかっていく。そういった管理に関してもこの墓園の管理の中で回していけるような制度設計をすることが、持続可能な制度になっていくと思っておりますし、来年1年間、貸し付けをちょっととめてでも残り400区画ほどあると思うんですけれども、その400区画と今あいている880区画。それを40万円で貸して年間1万円集めるということにすれば1,200万円入ってくると。その1,200万円を墓園の運営に活用すると、今、年間約4,000万円かかっている墓園の管理の4分の1のお金が捻出できるように、何年か後にはなっていくというふうな未来志向の墓園管理をぜひしていただきたいと思いますし、100件の要望が来る中で順次対応するよりも今かかっている4,000万円を使用して、そういった墓園管理や石材の組合の方々に民間委託することで、それにかかっている市役所職員の仕事であるとか、都度都度対応する市役所職員の方々の仕事を民間にお任せすることができると。市民にとっても市役所にとっても、そして財政にとってもメリットのある制度が考え方次第でできるので、そういったことを前向きに制度設計していただければなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 既に利用されている方々から管理費を徴収するのはさすがに困難だと私は思っているんですけれども、民間の墓園に比べてはるかに安いお金で当たった方は使えるというようなことになっていますので、そういった整合性をとっていくのも難しいと思いますけれども、あらゆる可能性を模索してやっていってほしいなというふうに思う次第であります。
 それでは、続きまして市事業の契約変更についてお伺いいたします。
 熊本市は、皆さん御存じのとおり各種事業、多数のものを民間の事業者の方々に発注されております。委託状況調書を見ればその多さがわかりますし、熊本市が仕様を決め積算し入札を行い、事業者が決定し契約を行いますが、時と場合によってその契約が変更になる場合があります。今回は田中局長には大変申しわけありませんが、一番わかりやすいものは道路の舗装工事についてですので、例を挙げてお伺いしたいと思います。
 道路の舗装工事についてはその道路に埋設物等がありますので、その関係などで契約変更になることが起こり得ます。そこで、まずは特に市関係の埋設物によって契約変更になる案件の件数を直近3年分、御答弁をお願いいたします。
         〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕


◎田中隆臣 都市建設局長  議員お尋ねの道路舗装工事における市関係の埋設物を要因とした契約変更の件数につきましては、平成29年度が2件、平成30年度が4件、令和元年度が3件、合計9件となっております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  局長、答弁ありがとうございました。
 平成29年度で2件、平成30年度で4件、令和元年度で3件ということで、市関係の埋設物を要因とした契約変更が起こっていると。これがゼロだったら質問をする必要はありませんけれども、こういった複数件の契約変更があるということは、その舗装工事に当たった事業者がどうなるのか。ぜひ皆さん御想像していただきたいと思います。工事が2カ月延びました。事業者の皆さんが予定していた人員、資材、機械、金銭等の計画が全てずれます。そして、場合によっては経営の継続が困難になることもあり得るでしょう。熊本市の事業が原因で民間の事業者が困難に陥ることはあってはならないことだと私は考えます。これは何も都市建設局に限ったことではありません。今回は、たまたまわかりやすいので田中局長に答弁をお願いしているに過ぎません。それぞれの局において契約変更が軽々しく行われないように努力、精進、制度の設計、さまざまな対策をしていただくことが必要だと考えます。
 そこでお伺いしますが、都市建設局において道路舗装についてはなぜ契約変更が起こったかの理由と、今後、契約変更などにより事業者に負担が生じないようにどのような対策をとっていくのか、局長の御答弁をお願いいたします。
         〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕


◎田中隆臣 都市建設局長  契約変更の理由と今後の対策についてお答えいたします。
 まず、契約変更の理由についてですが、舗装工事着工後に埋設物等の老朽化が判明した事案や管理情報との相違、また、発注前に管理者との協議が不足していた事案などが要因となっております。今後の対策についてですが、これまでも例年5月に開催しております熊本市道路工事等連絡協議会の場で、年度内工事箇所等の情報共有を各管理者と行ってきたところでございます。
         〔議長退席、副議長着席〕
 今後は、令和2年度工事分から前年度内に次年度工事予定箇所を各管理者に周知するなど、前倒しで連絡調整を行うとともに、各管理者においても前年度にお示しした舗装予定箇所にあわせ、必要に応じて老朽管の補修計画の見直しを行っていただくなど事前の対策を十分図り、円滑な工事の進捗に努めてまいります。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  田中局長、御答弁ありがとうございました。
 もう既に問題を把握して今年度から対策をしているということで、そういった前向きな姿勢を出していただくと本当に我々議員としても安心する次第でありますし、ぜひ他局の皆さんもそういった舗装工事に関すること以外についても契約変更に陥らないように、自分の局に契約変更があるのかないのか、そして、それはなぜ起こったのか。それはもう二度と起こらないようにするためにはどうすればいいのかというのを、ぜひ考えていっていただきたいと思っております。
 これで職員の能力向上及び事業の生産性向上についての項目は終わりました。多岐にわたっているということで、やはり熊本市に関しては本当にいろいろな事業を行って、そしてそれぞれにたくさんの課題を有しているということが言えると思っております。職員の能力が上がらなければ事業の生産性向上は図れませんし、職員の働く環境が整わなければ事業の生産性向上は図れません。また、一つ一つの事業について精査をしっかり行っていかないと生産性の向上はできないというようなことを自覚していただいて、ぜひそれがどんどん前に向いて進んでいけるような体制を整えていただくように、改めてお願いしておきたいと思います。
 続きまして、IRについてお伺いいたします。
 これまで何度もしておりますので皆さんもう食傷ぎみと思いますけれども、今回で大西市政においては最後のIRの質問になると思います。これまで藤山団長も質問されておりましたが、市長はその都度、現時点では申請する状況にはないと答弁されています。私の前回の質問では熊本城ホールを引き合いに出されまして、その準備があるので現時点ではと答弁されました。そういった答弁をされておられますが、将来的に取り組む可能性があるかどうかが大事だというふうに思っていますので、このIRへの取り組みを私は大切だと思っていますので、これまで限りある質問の時間を費やして、誘致のための手法や効果やメリット、デメリットへの対応方法などを挙げて真意を問うてきました。
 しかし、大西市長の構想の中にIRのあの字もないのであれば、今後、何度やっても無駄になりますので、質問をするたびに議場の皆さんにも、また田中がIRかというふうに思われてしまいますので、上質な生活都市の中にIRを組み込む可能性がかけらでもあるのかどうか、大西市長のお考えをお伺いしたいと思います。あわせて、現時点ではとお答えをされていますが、将来的には考えが変わる可能性はあるのでしょうか。組み込む可能性がかけらもなく、将来的にも大西市長が取り組まないとわかれば、今後、質問をしなくても済みますので御答弁をよろしくお願いいたします。
 あわせてお伺いいたしますが、昨年、市長は良好な生活環境の保全、上質な生活都市との整合性、幅広い議論と合意形成を図ることを課題として挙げられ、同時に復興を優先したいと御答弁されました。私は、復興を行いながらでも未来のためにIRなどの地域活性化に取り組むことは可能だと思っておりますし、課題と挙げられていることも他の国の取り組みを調査すればわかると思いますが、どうにでもなると思っています。IR誘致に動いている自治体の体制や課題の対策について、他の国の政策など、その後、調査されましたでしょうか。各自治体の取り組み、予算や組織についてもあわせて政策局長に御答弁をお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕


◎大西一史 市長  上質な生活都市とは、豊かな自然と歴史文化に恵まれ温かい触れ合いに満ちた地域の中で、お互いに支え合いながら心豊かで幸せな暮らしが営まれているまち、そして、市民一人一人が自分たちが暮らすまちに誇りを持ち、夢や希望を抱いて生き生きと多様な生活を楽しんでいるまちと定義したところです。
 人口減少や少子高齢化の進展など社会経済情勢が大きく変化する中で、私としてはこの目指すまちの姿の実現に向け、まずは熊本地震からの復旧・復興、そしてその先を見据えた未来の礎となる教育・文化の質の向上、健康寿命の延伸、交通利便性の向上、市民所得の向上と雇用の創出を重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
 このようなことから、これまでの答弁のとおり本市が目指す上質な生活都市との整合や政策の優先順位の観点から総合的に判断をして、統合型リゾートの区域認定を申請する考えはございません。
         〔古庄修治政策局長 登壇〕

◎古庄修治 政策局長  IR整備に対する本市の考え方につきましては、ただいま市長が答弁なされたとおりでございますが、一方で国を挙げて観光立国を推進する中で、IR地域等と連携した滞在型観光客の誘致促進等は重要であると考えております。
 そこで、議員お尋ねの他都市の調査についてはまだ国外事例の調査は実施しておりませんが、国内で誘致を表明している自治体の情報収集には努めておりまして、先月は長崎県に対して整備構想や推進体制についてヒアリングを行っております。同県では平成26年3月に佐世保市と共同で協議会を設置しまして、平成29年10月からは専管組織を立ち上げ、現在、総勢16名で準備を進められております。今年度は2億3,000万円の予算を計上され、事業者の公募、選定や機運醸成などの事業を実施される予定と伺っております。
 また、ことし8月に誘致を表明された横浜市では、現在、総勢26名の専管体制を整えられ2億6,000万円の補正予算を計上し、アドバイザリー支援やインフラ、交通アクセスの検討調査などの事業を実施されると伺っております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 はっきりとおっしゃっていただきましたので、今後はIRに割いていた時間は質問に関しては別のことに使っていこうかなというふうに思っておりますけれども、市長も御存じのとおり西日本では長崎県、大阪府・市、和歌山県がIR誘致に取り組んでおられます。熊本市での誘致は考えておられなくとも、政策局長の答弁からわかるとおり連携についてはお考えがあるようです。
 国が掲げる2030年インバウンド6,000万人を熊本市が取り込むためにはIRを誘致した地域との連携は必須ですし、九州においては長崎県に、西日本では大阪府・市にぜひとも誘致してもらわなければなりません。今後は、熊本市が誘致しないのであれば誘致している地域の支援をすることやその地域との連携、そして、他地域で誘致したIR事業者に熊本市のすばらしい観光をPRすることが大切だと考えます。大阪は新幹線で3時間強、長崎も海路を使い接続がうまくいけば3時間かからずに熊本市に着くことができます。西日本のIR誘致地域との連携についてどのような考えをお持ちなのか、経済観光局長、お答えください。
         〔平井英虎経済観光局長 登壇〕


◎平井英虎 経済観光局長  西日本のIR誘致地域との連携についてお答えいたします。
 国が策定中のIR基本方針案によりますと、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するため、IR地域には大規模MICE等の集客施設に加え、近隣地域の魅力を伝え観光客を各地に周遊させる機能を持つことが求められており、IR地域のみならず近隣の自治体にも経済効果が波及することが期待できます。
 現在、西日本では議員御案内のように大阪府・市、和歌山県、長崎県が誘致を表明しております。このうち、特に長崎県では九州・長崎IRとして九州各地の観光資源を活用したアフターコンベンションや、広域、周遊観光の推進を目指すなど、九州広域連携の方向性を示しているところでございます。
 本市としましては、長崎県を初めこれらの地域のIR認定に向けた動きを注視するとともに、各地域と連携した滞在型観光客の誘致に向けた具体的な取り組みについて検討してまいりたいと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 私はIRを推進したいという思いはいろいろな理由があるんですけれども、その一つにノーベル経済学賞を受賞したベッカー博士の話を紹介したいと思います。私はギャンブル合法化の動きを支持する。その理由は歳入とはほとんど関係ない。かけを楽しみたい多くの人々が、犯罪者によって経営されている非合法なギャンブル施設を金銭的に支えずに済むからだということをおっしゃっています。私は歳入には大いに期待をしているんですけれども、そういった角度からもIRやカジノについて考えることもできるというふうに思っております。
 これまで青少年の育成や地域の治安のことで、政策局長や市長は課題があるとおっしゃっていましたけれども、諸外国におけるIRについて首相官邸が公開をしている情報には、カジノがない日本の方がギャンブル依存症の率が高いことや、カジノを導入した国の犯罪率が上がったり、ギャンブル依存症の率が高くなったりするわけではないことが既に明らかにされています。九州としては既に各県知事も参加している会議において、長崎県への誘致を後押しする声明を実は出しておりまして、体制の整っていない熊本市は今回の申請に間に合うとはかけらも思っておりません。しかし、もし平成16年に我が会派の藤山団長がカジノ誘致について質問したときに、当時の幸山市長が前向きに答弁し、取り組んでいれば、状況は変わっていたかもしれません。トップの判断、未来への可能性を残すことの大切さを感じる次第であります。
 経済観光局の取り組みに大いに期待しつつも、自分自身がIRに関する未来への可能性となるべく調査研究をしていきたいと思っておりますし、今後、熊本市や大西市長の考えがちょっと変わって1%の、0.1%の可能性が出てくるような情報の提供をできればいいなというふうに思っている次第であります。
 続きまして、福祉の考え方と障がい者の上質な生活についてお伺いいたします。
 前回の質問でもさくらカード事業についてお伺いいたしましたが、さくらカード事業においてはおでかけICカード制度が実施され丸3年がたちました。障がい者の公共交通機関の利用については、バス事業者との話し合いを早急に行って無償で利用できるように推進してほしい旨、前回の私の3期目、4年間、厚生委員会で訴え続けてまいりました。その間、おでかけICカードは始まったばかりということや、持続可能な制度として検討する必要があるということで学識経験者、市民、当事者からも意見を聞く検討会を開催するなど、市としてのさくらカードのあり方についてこれまで議論を深めてまいりました。
 きょうは、このおでかけICカード事業の障がい者の部分についてお伺いしたいと思います。
 最近、はやった本でファクトフルネスというものがあります。印象や思い込みではなく、事実に基づいて判断することの重要性を訴える本であります。ファクトフルネスに基づきおでかけICカードについて見てみますと、このおでかけICカードの制度で障がい者の上質な生活が進んだのかどうか。それがわかるデータがあります。ICカードが始まる前の平成27年の熊本市からの事業者への支払い額は約2億2,000万円。それ以降の3年間は平成28年が1億6,500万円、平成29年、平成30年はともに約1億7,000万円です。その差、約5,000万円のお金が事業者に払われなくなったという事実が存在しています。おでかけICカードの制度が始まったことによって5,000万円分の利用が減ったということは、障がい者の公共交通の利用が減り、上質な生活が後退したと言えるのではないでしょうか。
 加えてお伺いいたしますが、重症心身障がい児・者の在学支援についてです。
 これに関して私は昔、重症心身障がい児・者と、そしてその家族の現状把握について質問をした後にアンケート調査をしていただきまして、さらにはアンケート結果に基づいて在宅支援推進会議も開催していただきまして、重症心身障がい児・者及びその家族を取り巻く諸課題が明確になりました。一つは医療型短期入所事業の充実、一つは重症心身障がい児・者への相談体制の充実及び人材の育成、一つは総合的な支援体制の確保、最終的な親亡き後、ついの住みかの問題です。これらの体制が確立しなければ上質な生活を送ることはできません。熊本地震後、インフラなどの復旧・復興が優先される中で、その進捗や現状はどのようになっているのか心配です。
 そこでお伺いいたしますが、おでかけICカードの導入によって障がい者の上質な生活は後退していると考えますので、障がいをお持ちでも利用しやすい公共交通機関の確立を急ぐべきだと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。また、重症心身障がい児・者の上質な生活を確立するために、今現在どんな取り組みを行っているのか。いまだ十分ではない体制充実のため、今後どのように予算の確保をしていくのか。この2点を健康福祉局長にお伺いいたします。
 健康福祉局長に御答弁をお願いしている施策をとっても、障がい者の上質な生活を実現するためにはお金が必要です。しかし、国や財務省は障がい者のために使うお金をコスト、負担と思っているように感じる次第です。私は、障がい者のための制度や支援は、私たちやその家族にとっても社会にとって必要なインフラだというふうに考えています。いつ何どき障がいを抱えることになるかわからないからです。大西市長にとって福祉は何だとお考えでしょうか。大西市長の福祉に関する御所見をあわせて御答弁をお願いいたします。
         〔田端高志健康福祉局長 登壇〕


◎田端高志 健康福祉局長  私からは、障がいのある方の上質な生活に関する2点のお尋ねにお答えさせていただきます。
 まず、1点目のおでかけICカードについてでございますが、ICカード導入後の影響については導入年度であります平成28年度に行いましたアンケート調査の結果では、約6割の方が便利になったとの回答をされており、一定の評価を得られているものと考えております。一方、ICカードが不便だと思うと回答された方が約14%いらっしゃること、また、昨年度実施いたしました障がい当事者の方や関係団体等の意見交換の中でも、利活用についてさまざまな御要望や御意見をいただいておりますことから、より利用がしやすい環境になるよう改善を図ってまいります。
 次に、2点目の重症心身障がい児・者の在宅支援に係る取り組みにつきましては、当事者の活動の場の提供と介護を行う御家族の負担軽減を図るために事業者に積極的に働きかけを行いましたところ、障がい児通所支援事業者や生活介護事業所などの通所施設は受け入れ定員、箇所数ともに増加しているところでございます。
 さらに、医療的ケアが必要な子供の受け入れのための医療型短期入所施設につきましては、平成28年度に本市独自の運営費助成制度を創設いたしましたほか、施設整備費助成の対象として新たな施設の設置に向け取り組んでいるところでございまして、今年度からは医療機関などにも新規参入の働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 そのほかにも、相談支援を統合的に実施できる医療的ケアコーディネーターの養成を行っておりますほか、現在、障がい児・者の生活を地域全体で支えるためのネットワークづくりを中央区におきましてモデル的に実施いたしておりまして、効果等を検証の上、拡充について検討してまいりたいと考えております。
 最後に予算につきましては、障がい保健福祉費に係る過去5年間の当初予算の推移では、平成27年度の約170億4,000万円から約54億円増加し、本年度予算で約224億7,000万円となっており、これまでに必要な額を予算化してまいりました。
 今後につきましても施設整備の助成等も含めまして、障がいのある方やその御家族が安心して暮らしていけるよう、必要な予算の確保に努めてまいります。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  私が考える福祉とは、誰もが住みなれた地域で幸せを感じながら、安心して自分らしく生きがいを持って暮らしていけることであると思います。そのために、市民一人一人の状況や特性に応じたきめ細かな保健、医療、福祉サービスを受けることができるよう、生活に寄り添った支援を行いますとともに、地域住民等が互いに支え合い、そして一人一人の暮らしと生きがい、また、地域をともにつくっていくことのできる地域共生社会の実現に向けた取り組みが必要であると考えておりまして、この取り組みを進めることが誰もが憧れる上質な生活都市熊本の実現につながるものと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 市長は、生きがいとおっしゃいました。例えば、重症心身障がい児・者の方々、もう目しか動かせないというような状況の方もおられますし、そういった方々も実は今もうICTの発達でキーボードを目線で打つことができる、コミュニケーションを十分にとることができるというような状況も生まれておりますし、ICTを活用して働くということもできるようになっているというふうな実例が既にあるのが今の現状です。生きがいというのは誰かのために役に立つということ、これにまさるものはないと思います。熊本市におられる重症心身障がい者の方々の意欲があるのであれば、そういった生きがいのための事業も今後ぜひ考えてほしいなというふうに思う次第であります。
 また、ICカードに関して、5,000万円の支出が減っているということは5,000万の外出が減っていること。それを本当に事実としてあらわしていると思いますので、なぜ減ったのか、そして、利活用できない理由というのをしっかりと深めていただいて、支出がふえるということは財政に負担がふえるということになりますけれども、障がいを持つ方々の上質な生活をぜひ実現してほしいというふうに思っております。
 続きまして、MaaSへの取り組みについてお伺いいたします。
 MaaSについて御存じではない方もおられると思いますので簡単に説明いたしますが、Mobility as a Serviceの頭文字をとった言葉で、ICT、いわゆる情報通信技術を活用することにより自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、利用者の利便性を大きく向上させる新たな移動の概念であります。まだ発展途上のものであることから、その定義は国や研究者によって内容や含まれる範囲に違いはありますが、サービス提供、予約決済、情報の統合を行い、最終的にはそれがもたらす交通に関するさまざまなデータから政策の統合を図る。まさしくこれからの地方都市になくてはならない新たな概念だと考えています。
 先行しているフィンランドでは、2014年にヘルシンキ市において域内の自家用車を2025年までにゼロにするロードマップが示されたことから、2016年にさまざまな公共交通を一括で検索、予約、決済ができるアプリがスタートし、今に至るまで公共交通機関の利用シェアの増加、都市部における渋滞の削減や環境負荷の低減、公共交通機関の運行効率化、生産性向上、人流データ収集による路線の再編などの成果を出しています。
 国においても、国土交通省が日本版MaaSの実現に向けて懇談会を行い、令和元年予算で新モビリティサービス推進事業として3.1億円の予算をつけています。民間でもJR東日本や小田急、トヨタ自動車などが各地で取り組んでいる現状があります。慢性的な渋滞、政令市の中でワーストワンの渋滞に悩む熊本市にとって、自家用車に頼らない利便性の高い公共交通機関を実現することは急務であり、今後の観光増、インバウンド増を見据えれば、観光客の方々、海外の方々でも利用しやすい公共交通機関の実現は大変重要であると考えます。ただでさえ利用しにくいと言われる熊本市の公共交通機関の進化に向けて、MaaS実現の準備と環境を整えておく必要があると思いますが、MaaSに対する熊本市の認識と取り組みについてお伺いいたします。都市建設局長の御答弁をお願いいたします。
         〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕


◎田中隆臣 都市建設局長  議員御紹介のとおりMaaSは利用者へ最適な経路を提示するのみならず、複数の交通手段やその他のサービスを一括して提供する仕組みであり、交通手段の選択肢の拡大や利便性の向上につながることから、MaaSの役割は今後ますます高まるものと考えております。
 国においては、MaaSの実現に向け都市と地域の利用者ニーズに即した、新しいモビリティサービスのモデルを構築することを掲げ、現在、大都市近郊や観光地、過疎地など、地域特性に応じた実証実験が各地で進められているところでございます。
 本市においても、鉄軌道やバス、タクシー、自転車などを円滑に継ぎ目なくつなぐことは、誰もが移動しやすく暮らしやすい都市を形成する上で重要と考えており、国における制度的課題の整理状況について情報収集を行いながら交通事業者等と連携し、熊本地域でのMaaS等の新たなモビリティサービスの活用に向け検討してまいります。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 MaaSに関しましては、本当に今もう発展途上の技術と考え方でありますので、どこに飛びつくかで未来が全く変わってしまうということで、慎重に動かなくてはならないというふうに私自身も考えております。
 ただ、私は、ぜひ国が日本国内全ての公共交通機関をアプリで結ぶような、ジャムスだか何かわかりませんけれども、ジャパンのMaaSのアプリを開発していただければ、2030年の6,000万人のインバウンドに対応できるような、すばらしいものができるのではないかなと思っていますので、市としてそういったサービスをつくっていただくように国に要望していただくことも、熊本市の発展に資することではないかなと思っております。
 また、皆さん御存じのとおり4事業体のバスがあるこの熊本市において、それを統合するということはやはり熊本市の未来にとって資することでありますので、MaaSの発展にあわせて熊本市の公共交通をどのようにしていくのかということを、ICT技術を活用して未来に向けて創意工夫をしていただきたいというふうに思っております。
 では、続きまして太陽光発電2019年問題についてお伺いいたします。
 皆さんは、太陽光発電の2019年問題を御存じでしょうか。再生エネルギー推進のため2009年から始まりました固定価格買取制度、FIT制度が10年たった本年をもって終了する世帯が出てくるのがその問題です。そういった世帯においては、今後、これまでどおりの事業者に売電をするか、新しい事業者に売電をするか、また、自家消費をするかという選択をしなければなりません。
 国の施策で始まったこの制度、ここに来て幾つかの問題を引き起こしています。例えば、そういった固定価格買取制度が終わった方々の売電価格がこれまでよりも大幅に下落し、損をしてしまうかもしれない世帯があるということ。そして、一番の問題は自家消費のために、蓄電池を設置する世帯が無駄な出費をしてしまうかもしれないということです。太陽光発電がはやっていたころに起こった現象と全く同じなのですが、今現在、多くの県外業者が熊本市に来て営業をされています。もちろん適正な業者に当たった方はよかったのですが、当時あったトラブルとしては情報が少ないことをいいことに、設置価格を通常より大幅に多く見積もり工事することや、連絡がとれなくなり設置後のメンテナンスができなくなること、また、強引な営業で無理やり購入させようとすることなどです。自家消費のための蓄電池に関して、実際に既に同じことが起こっています。通常150万円で設置、工事ができるものを300万円の見積もりを出してきたり、深夜12時まで居座って営業のために帰らないという案件が私のところに入ってきています。
 今後、順次固定価格買取制度が終了していく市民の方々に対して、国の制度とはいえ市としてそういった問題をしっかり周知、啓発していくことは何よりも大切なことだと考えます。市政だよりや広報番組を活用して、2019年問題について市民に広報する考えはないか、お伺いいたします。所属委員会でありますが、市民生活局長、御答弁をお願いいたします。
         〔石櫃仁美市民局長 登壇〕


◎石櫃仁美 市民局長  太陽光発電に関します消費者トラブルに対しましては、チラシや出前講座などにより市民の皆様への注意喚起と対処方法に関します周知啓発を行っているところでございます。また、相談窓口での主な内容は機器購入後の解約相談や、事業者の信用性に対する問い合わせなどでございます。余剰電力の固定価格買い取り期間が先月の11月から順次満了を迎えておりますことから、今後、蓄電機器販売の契約等に関します消費者の皆様からの相談が多く寄せられることも予想されます。
 このようなことから、消費者の皆様が不適切な勧誘や契約トラブルの被害に遭われないように市政だよりやホームページ、テレビなどの広報媒体を活用し定期的な広報啓発に取り組むとともに、環境局におきましては個人向けの蓄電池等の導入補助制度を周知する中で契約に係る注意喚起も行ってまいります。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁ありがとうございました。
 もう実際に被害に遭っている方もおられると思いますし、今、私のところに届いているのは氷山の一角にすぎないと思っておりますので、ぜひ市民の皆さんに喚起していただきたいと思います。あえてこれを担当委員会でありながらこの議場でさせていただいたのには、市民局以外にもぜひいろいろやっておいていただきたいなということがございまして、例えば経済観光局におきましては太陽光発電、中小企業の自家消費に関しては即時償却や優遇税制がございまして、今、本当に好調な中小企業に関してはそういったことを行うことで、熊本市の再生可能エネルギーを使う率が上がっていくというようなことができますので、そういった国の税制も調査して、しっかり中小企業の皆さんに啓発していくことが持続可能な社会につながりますので、意外とこれを知らない方が多数おられますので、ぜひ啓発をしておいていただきたいなということをお願いしたかったということ。
 また、環境局においては特に関係の深い分野でありますので、リサイクルエネルギー100%の自治体を目指す上ではこういったFITが終了される方々の電気を売電していただくことで、それを熊本市の電気として活用するというような、これまでにない事業を考えることもできると思いますので、そういった検討をぜひしてほしいなということで、この議場で話をさせていただきました。そういった市民の生活に寄り添った啓発、そして、この熊本市が持続可能なまちになっていくという取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 それでは、球場建設についてお伺いいたします。
 昨日、北川議員も球場建設についてはお話をされましたが、ちょっと全く違う角度で質問をさせていただきたいと思っております。
 会派で日ごろから話をしておりまして、藤崎台の球場についてあれは移転しなくちゃいけないよねと、跡地に建てるには文化庁が絶対許さんよねというような話をしておりまして、では、球場建設について何かいいところはないだろうかというようなことを調べておりましたら、北海道日本ハムファイターズが2023年に北広島市にファイターズの専用球場を600億円かけて、国からの補助も市からの補助も道からの補助ももらわずにつくるという話をお伺いしていましたものですから、そちらを聞きに北海道日本ハムファイターズの球団事務所まで行ってまいりました。現在、これまで本拠地の札幌ドームから移転するということで、札幌に来た経緯とか計画について詳細にお伺いしてきましたので、大変おもしろかったのでぜひ御紹介したいと思っております。
 2004年の北海道への拠点移動後については、札幌ドームがサッカー専用であること。札幌市にとって日本ハムファイターズはワンオブゼム、つまり大勢の中の一企業であり特別扱いはしなかったということ。コンクリートの上に薄い人工芝のため、選手の故障や監督からの不満が出ていたこと。壁についても固いため、選手が激突するためやわらかい物にしてくれないかと言って、改善を要求しても聞いてもらえなかったこと。あくまでも札幌市の施設のため、球団独自の取り組みができなかったことなどの課題をお伺いいたしました。そのほかにも多数ありますが割愛をいたします。そういった課題をもとに2015年に新球場建設計画が始動し、2016年にファイターズから計画が発表されました。その後、札幌市と北広島市が誘致合戦を繰り広げるのですが、担当者の方の、図らずも行政をてんびんにかける形になってしまったというせりふにファイターズの苦悩が見えました。
 ここで、札幌市と北広島市の対応をそれぞれ御紹介しますが、札幌市の対応は札幌ドームを野球専用球場にしてもいいと言い出され、しかし、それに関してはコンサドーレ札幌さんがフランチャイズしておりまして、しかも札幌ドームは2001年に完成をしておりまして老朽化していると。さらには先ほど申し上げたような、冷たい長年にわたる一企業でしかないというような対応を続けられてきたという過去がありました。その後、札幌市は新球場予定地を3カ所交渉しましたが、学校の一部、断られ、大学の一部、断られ、そして冬季オリンピック跡地の地域住民、ここの世論が真っ二つに分かれるというような状況が起こり、用地を準備することができませんでした。
 逆に北広島市の対応は、市長が誘致することを議会で報告し、総合運動公園予定地、40年ほど塩漬けになっていた32ヘクタールを無償貸与することを決定しました。さらには10年間固定資産税なし、周辺道路の整備や公園区域の粗造成は北広島市負担、建設地周辺との調整といったオペレーションの一部を北広島市も担うというものでした。町民も驚きの99%賛成という驚異のデータをたたき出しています。
 結果として、北広島市に新球場建設が決定され、造成建設に合わせて先ほども申し上げましたとおり、600億円の可動式屋根がついたボールパークが2023年に完成します。先日、現場を見てまいりましたが造成工事が始まっており、現地とこの600億円が有効に使われていくのではないかというような期待を感じた次第であります。日本ハム本社も前向きにやっておりまして、ダルビッシュや大谷の移籍金、これをとっていたということで600億円は30年で回収しますということをおっしゃっていました。新球場とその周辺エリアについて、担当者の方が、敷地内に建設する施設や企業誘致については必ず市の意向を確認して、反対されたものは建設誘致しないと。道路整備等で莫大なお金を市は投資されるので、ファイターズは協力する責務があると発言をされていました。
 本当に夢のある話をされていまして、新球場を活用してスポーツコミュニティをつくりたい。冬季の子供たちの運動施設として生かしたい。生活と密着し、地域のお茶の間になりたい。社会課題の解決のお手伝いができる施設を目指したい。いろいろな方がいろいろな目的で訪れる場所にしたい。そういうことを本当に朗らかにおっしゃいました。そのビジョンと覚悟に感動してお話を聞いた次第であります。
 さて、そこでちょっとお伺いしたいんですが、老朽化が進み、県営であり熊本城域であるため現地での建てかえが困難な藤崎台球場が熊本市にあります。いつかは建てかえなければならない、どこかに建てかえなければならないという状況の中で、熊本市には藤崎台球場のほかに硬式の観戦可能な野球場が存在していません。誰がどのように建てるのかという課題がある中であえて提案させていただきますが、県と連携しながらみずからの球場を保有していないプロ野球球団を誘致し、球団専用スタジアムとBTO方式で建設する高校野球や市民が活用できる硬式球場を建設し、一帯を新球団がボールパークとして運営するような取り組みは考えられませんでしょうか。夢とロマンのあふれるかなり困難なお話でありますが、市長の答弁をお願いいたします。
         〔大西一史市長 登壇〕


◎大西一史 市長  新たな野球場整備につきましては、昨日の北川議員の質問でもお答えいたしましたとおり、現在、熊本県・熊本市のスポーツ施設のあり方検討会議において、さまざまな角度から検討、協議を行っているところでございまして、この検討会議においてさらに議論を深めてまいりたいと考えております。
 また、議員御紹介いただきましたBTO方式、Build Transfer Operateという方式でございまして、民間事業者がみずから調達した資金で施設を建設した後、所有権を行政に移転し、またその後、民間事業者が運営、維持管理を事業期間の終了まで行う方式というようなことでございますが、こうした施設整備手法については、現在、国が進めているスタジアム・アリーナ改革においても民間資金を活用した手法が示されておりまして、そのような国の動向を見据えながら北広島市の事例も含めた他都市のさまざまな取り組みについて、今後、研究してまいりたいと考えております。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  市長、答弁ありがとうございました。
 前向きな答弁と受け取りたいと思いますけれども、本当に北海道に直接赴いて球団事務所にお話をきいたということがすごくよくて、例えば札幌の誘致は一番最初に日本ハムに声をかけたのではないと。最初に西武に声をかけて、次にオリックスに声をかけて、3番目に日本ハムに声をかけて、日本ハムが決断して札幌に移ったという話でありましたし、実際、今、可動式のスタジアムですので600億円かかると申し上げましたけれども、これを例えば日本ハムファイターズが静岡や新潟に移転して、オープン型にすると150億円しかかからないと。何でそんな600億円もかけるんですかと聞いたら、積雪があるため可動式の屋根がないと芝もだめになるし、冬季の子供たちの物にならないと。私たちは北海道日本ハムファイターズですから600億円をかけますと。しかも、その600億円を30年で回収しますと言ってくれたんです。私はもう感動しましたし、やはり民間の方々の覚悟はすごいなというふうに思いました。
 また、こぼれ話で広島の球場、新幹線の駅のすぐ近くにありますけれども、あれも構造計算の鬼の方に設計していただいたことで、100億円かからなかったというふうな話もお伺いすることができました。そういったありとあらゆる可能性をぜひ勘案しながら県と協力していただきまして新球場を夢のあるものにしてほしいですし、やはり鉄軌道上の近くにないと意味がないと思っておりますので、例えば川尻駅の西側には広大な土地がありますのでそういったものを活用していただいたりとか、熊本市は西里駅ですね。私の地元であります、坂田先生の地元でございます西里駅の西側にも広大な土地がありますので、あらゆる可能性をぜひ考慮していただいて、考えていただければなというふうに思っております。
 それでは、最後の質問になりますけれども、新庁舎建設についてお伺いいたします。
 私は特別委員会に所属をしておりませんので、これまで議事録等を見て市役所の苦悩と議会の懸念というのをありありと感じてきた次第でありまして、耐震基準が市の調査では国の定める基準に達しておらず、そして、1%でも危険性があるという以上は、できる限り迅速に建て直しを図らなくてはならないという市役所の考えは理解しています。しかし、それに対して不満や不安があるというようなこと、それは例えば財政が厳しいという割には税収増につながるが、市民や業界の反応が厳しいと思われる取り組みについては及び腰であったり、さまざまな政策の改革案を出しても前向きに取り組んでくれないというような一貫性のなさや、財政がよくなるのにというような提案に関してちゃんと着手しない危機感を感じないような姿勢、そして、議会において議員の質問に対して、時に対話やさまざまな要望に対して丁寧な説明をしないというような姿勢が見受けられることが、議会の不安と不満を呼び起こしているのではないかなというふうに思っている次第であります。
 そういったことを改めて一から整理し直して、しっかりと一人一人に今後説明していくことが必要であると思いますし、まだまだ今の熊本市のそういった安心安全、防災のまちづくりの計画や方向性を市職員、市民、そして議員に対して説明が足りていない部分があると思っています。例えば市庁舎、区役所、まちづくりセンター、市保有の各施設については方針を出して、耐震補強をするということは決まっているんです。私はそのことを改めてしっかり訴えていってほしいと思いますし、何度も申しますけれども熊本市の未来を大きく左右するので、謙虚な姿勢で市民の代弁者であり代表者である議員一人一人に説明をして、理解を求めて建てかえに向けて納得できるようなエビデンスを示してほしいというふうに思います。その要望にできるだけ対応することはできないのでしょうか。
 また、先ほども御紹介いたしましたけれども、建設方式をどのようなものにするかで、また予算やその後の財政負担も全く変わってまいります。発表しておりませんのでこれから検討されると思いますが、PFIを活用してBTO方式を選択すると合併推進事業債の期限には十分に間に合うと思いますが、現時点ではどのような検討をしているのでしょうか。答弁をお願いいたします。
         〔古庄修治政策局長 登壇〕


◎古庄修治 政策局長  庁舎整備に関連しまして3点のお尋ねに順次お答え申し上げます。
 まず、1点目の市保有の各施設の耐震化についてでございますが、本市では市庁舎、区役所、まちづくりセンターなど市有建築物の計画的な耐震化を推進するため、市有建築物耐震対策基本方針を定めております。この方針において、地震後の機能確保が重要な防災拠点施設のうち耐震性能を有するかいまだ確認できていない北区、南区役所など5施設について、現在、優先して耐震診断を実施しており、今後その結果に基づいて耐震化を進めてまいります。また、それ以外の施設につきましても、この基本方針に基づきまして計画的な耐震化を進め、安全安心なまちづくりの推進に努めてまいります。
 次に、庁舎整備に関する議会への説明についてお答え申し上げます。
 これまで申し上げてきましたとおり、熊本地震を経験した本市としては本庁舎が現行の建築基準法が定める基準を満たしていないことが判明している以上、市民の生命と財産を守るための拠点として、想定できる最悪の事態に備え万全の対応をとらなければならないと考えております。
 このような中、市議会におかれましては本年5月に庁舎整備に関する特別委員会を設置いただき、本庁舎の耐震性能の現状や庁舎整備の必要性等について御議論いただいているところでございます。本庁舎の建てかえは市政における大変重要な課題と認識しておりまして、今後とも特別委員会でのよりわかりやすい資料の提供はもとよりでございますが、議員の皆様に対してより丁寧な説明を行い御理解いただけるよう努めてまいる所存でございます。
 最後に庁舎の建設手法につきましては、設計と工事等を順に発注する従来方式に加えまして、デザインビルド方式、PFI方式などさまざまな公民連携手法がございます。本市財政負担の軽減や地域経済の活性化など、さまざまな観点から議員の御提案を含め、今後、多角的に検討してまいりたいと考えております。
 この庁舎整備につきましては、今後、市議会はもとより市民の皆様に広く意見を拝聴しながら迅速かつ丁寧に進めてまいります。
         〔34番 田中敦朗議員 登壇〕

◆田中敦朗 議員  御答弁いただきましてありがとうございました。
 あえてこれを一番最後に持ってきたということで、やはり議会のメンバーとして10年後、20年後、30年後に影響するということです。その中でさまざまな可能性を提示して答えを求めたときに、できる、できない、その理由までしっかり説明する責任があると思うんです。なぜするのか、なぜしないのかも詳細に説明する責任があると思うんです。なぜしないのかというのに関して、例えば私はくいの調査をするのかしないのかと言われたときに、じゃあくいの調査のためにどれだけのお金とどれだけの時間がかかって、どのくいを調査するのかということから決めなくちゃいけないから、それをするには2年ぐらいかかるよなと。2年ぐらいかかったら、では、それが済んだ後に新庁舎のことを始めたら、合併推進事業債は使えなくなってしまうんではないかと。では、そもそもくいに関しては考慮に入れずに耐震を図っているので、調べなくていいと思っていらっしゃると思いますけれども、やはりいろいろな疑問に関して一つ一つ自分たちの立場を、詳細に誠意を持って議会に対して説明するべきであるというふうに思っています。それをそこまでやって、なお御理解できないのであれば、何が不安なのかというのをお一人お一人からお話を聞いていくということがやはり重要なのではないかなというふうに思っています。
 今現在は、新庁舎に関して建設予定地も候補を示されただけで決まっていない。コンセプトも決まっていない。施設の計画もわからない。事業手法もわからない。スケジュールが一応提示されていますけれども、どの方式をするかでスケジュールが全く変わってくるんです。その中で議論を深めることは難しいと思っておりますし、私は今後の市の提案を待ちたいですし、急いでいるのであれば腑に落ちるようなものを提示してくれると信じたいですし、そういった今の議会の質問に対して一つ一つできる、できない、する、しないの理由を提示してくれると信じたいと思っていますし、信じていますのでよろしくお願いします。
 今、市役所はこうやって新しい庁舎を建設しなくてはならないというふうな言説の全体の整合性をとっていくためには、とっていくためというか私が腑に落ちて賛成をしようと思えるかどうかというのは幾つか条件があります。例えば、先ほど方針があるからそれに基づいてやっていくとおっしゃいましたけれども、新庁舎建設まで合併推進事業債を活用するのであれば約7年です。その7年までに先ほど言った耐震が必要なものに関しては全て終わらせていただいて、計画的に全ての市職員が働いている施設を安心できるものに補強工事を終わらせることというのが1つ。そして、財政の安定化と産業育成のために新しい税、宿泊税などの税の導入や未来に向けての税収増の取り組みを積極的に行っていただくということ。そして、市民生活の防災力の向上に向けて危険地域にお住まいの各世帯の方々の災害カルテの作成や、市民の家具固定に関して推進をしていただくこと。また、少子高齢化の歯どめとなる子供医療費の拡充など、市民ニーズの高いサービス実現のロードマップを提示していただくこと。そういった4つのことをしていただく。新庁舎に関してもそこまで覚悟を持ってさまざまなことをしていただけるのであれば、安心して賛成できるというふうな状況になると思います。
 もちろん会派の中では私個人の考えでありますので、しっかりと議論して会派としてまた要求していきたいと思っておりますけれども、市の立場もわかりますけれども議会の立場もわかっていただいて、すばらしい未来をつくっていくために真摯に今の市の姿勢、そして、今後の施策を取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 本日も多数の傍聴者の方々、そして真摯に拝聴いただきました先輩、同僚議員の皆さん、インターネットでごらんの皆さんに心から感謝を申し上げまして終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

      ────────────────────────────

○上田芳裕 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。
 午後2時に再開いたします。
                            午前11時32分 休憩
                            ───────────
                            午後 1時59分 再開

○倉重徹 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。
      ────────────────────────────

○倉重徹 議長  一般質問を続行いたします。山本浩之議員。
         〔3番 山本浩之議員 登壇 拍手〕

◆山本浩之 議員  皆さん、こんにちは。自民党熊本市議団の山本浩之です。
 このたび初めての一般質問の機会をいただきましたことを自民党市議団の諸先輩方、同僚の皆様方に感謝を申し上げます。また、師走のお忙しい中、傍聴にお越しくださった皆様方に心より御礼申し上げます。
 私は、さきの統一選挙にて初当選させていただきました。大学卒業後、22歳から自営業を始めて早いもので18年目となりまして、熊本市中央区にて生花販売業などを営んでおります。一市民として生活し、さまざまな問題や壁にぶつかりそれらを解決していく中で、少しずつですが政治的な関心が芽生えるようになり、30歳のときに政治の道を志すようになりました。3度目の挑戦で、今回、当選させていただき初めての一般質問となります。大変緊張しておりましてお聞き苦しいところもあるかとは思いますが、一生懸命進めてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速始めさせていただきます。
 まず、熊本市中心市街地グランドデザイン2050についてお尋ねいたします。
 昨年の1月、熊本商工会議所及び熊本経済同友会から、中心市街地のビジョンを描いた熊本市中心市街地グランドデザイン2050が発表されました。この構想では、世界に拓く城下町都市くまもとを目指すことが掲げられており、その実現に向けては熊本空港及び都市圏内各地と城下町都市間のアクセス強化や、城下町都市の顔にふさわしい市街地整備の誘導など15の主要施策が取りまとめられています。
 また、人口減少に伴う深刻な人材不足や地域経済の縮小、あるいは土地利用の空洞化など、本市の中心市街地について中長期的な課題への対処も指摘されておりますことから、いわゆる産学官が一体となって取り組む必要性を強く感じたところでございます。
 このような中、大西市長はマニフェスト2018において県全体の地域経済の活性化を図るために、熊本県、経済界、熊本大学と共同で作成した中心市街地の新たなビジョンに基づく取り組みを進め、その効果が市域全体に波及するよう取り組むことを掲げられております。
 そこで、私の記念すべき最初の質問を市長に尋ねたいと思います。
 経済界からの社会的提案である熊本市中心市街地グランドデザイン2050について、本市のかかわり方をどのようにお考えでしょうか。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  熊本市中心市街地グランドデザイン2050への本市のかかわり方についてお答えいたします。
 先ほど議員の方から述べられたとおり、経済界から提言されました熊本市中心市街地グランドデザイン2050をもとに、昨年8月に県、市、熊本大学、経済界のトップで構成いたしますくまもと都市戦略会議において、中心市街地が目指すべき30年後の姿を共有し、今後10年間に取り組む3つの戦略と10のプロジェクトについて合意したところです。
 もとより熊本市中心市街地は肥後54万石の城下町という歴史文化に彩られた都市基盤に、多様な商業や交通結節機能などの高次の都市機能が集積した、熊本都市圏はもとより県全体の発展を牽引する役割を担っていると考えております。このようなことから、各プロジェクトの具体化に向けて本市がくまもと都市戦略会議の事務局となり、産学官のメンバーで構成されるワーキンググループでの議論を牽引してまいりました。
 今後とも本市といたしましては、この中心市街地グランドデザインで掲げた目指すべき姿、世界に拓く城下町都市くまもとの創造の実現に向け積極的にかかわってまいりますことで、県全体の発展を牽引してまいりたいと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  市長、ありがとうございました。
 御答弁の中で、県、市、熊本大学、経済界のトップで構成するくまもと都市戦略会議において、中心市街地が目指すべき30年後の姿を共有されたとございましたが、私ども市議会へのかかわり方に疑問がございましたので、取り上げさせていただきました。
 グランドデザインの具体化に向けては、市民の皆様から御理解をいただくことが極めて重要であると考えます。その意味でも、市民の代表でもあります市議会がプラン作成後の説明を受け、それを承認するだけではなく、プラン作成の段階から関与していくことが求められていると思います。このことを踏まえまして、次の質問に移らせていただきます。
 引き続き、くまもと都市戦略会議についてお尋ねします。
 このくまもと都市戦略会議は、地域における都市戦略を構想、実現するため熊本県、熊本市、熊本大学及び熊本の経済界のトップが集い、地域課題や将来ビジョンについて協議し、関係団体との連携と機動的な取り組みを推進することを目的として平成22年8月に設置されました。これまでMICEの開催地として国内外から選ばれる都市づくり、熊本駅から中心市街地にかけたにぎわいの創出、国際化を目指した留学生を中心とした学園都市づくりなどをテーマに取り組まれております。そして、直近の8月26日に開催された会議では市中心部にある老朽建築物の建てかえを促し、町全体の耐震化などを進めるまちなか再生プロジェクトに取り組むことなどを決められています。まちなか再生プロジェクトに関しては後ほど取り上げさせていただきますが、私が確認したいのは意思決定の過程についてでございます。
 そこで市長へお尋ねいたします。
 このプロジェクトは、本市中心市街地の将来に多大な効果や影響をもたらすと考えますが、私ども議会での議論を踏まえたものでしょうか。まちなか再生プロジェクトはまだ制度設計の段階であり、議会での審議もこれからだと認識しておりますが、本市としての意思決定する過程において、くまもと都市戦略会議の位置づけを御教示願います。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  くまもと都市戦略会議は、産学官のトップで喫緊の地域課題や将来ビジョンについて協議し、機動的な取り組みを推進するための大きな方向性を共有する場であると認識しております。
 去る8月に開催いたしましたくまもと都市戦略会議では、都市基盤再生戦略の観点からまちなか再生プロジェクトとして、災害に強く魅力と活力ある中心市街地の創造を目指し、老朽建築物の建てかえ等を促進するための方向性をお示ししたところです。
 その内容については第3回定例会、常任委員会で御報告させていただきました。現在その方向性を踏まえ制度設計を行っておりまして、今議会でその検討状況について御報告することとしておりまして、引き続き市議会に対し丁寧に御説明し、また進めてまいりたいと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  市長、ありがとうございました。
 しかし、議会への報告がくまもと都市戦略会議での議論を踏まえた後になっていることに少々違和感を覚えます。私は、議会での審議を充実させる上でも議会での方向性を確認した後、そのことを都市戦略会議の議題にすべきと考えます。御答弁にございました議会への丁寧な説明をお願いしますとともに、議論の進め方にも御検討いただければと思います。
 では、まちなか再生プロジェクトについてお尋ねします。
 このプロジェクトは、中心市街地の古い建築物の建てかえを促すことで熊本地震からの創造的復興を加速させ、災害に強いまちづくりを進めるのが狙いとのことでございます。確かに中心部では築40年以上の建物が約3割を占め、これが10年後には6割までふえると見込まれていること。また、新耐震基準を満たしておらず、ビルや設備が古いことで企業の立地、進出意欲を低下させているなどの問題を抱えております。
 一方、9月14日に開業した、サクラマチクマモト、2021年春の開業を予定しているJR熊本駅ビルによって、一部の中心市街地は大きくさま変わりいたします。このことから、市街地全体における都市機能の高度化や再配置を誘導することには賛同いたしますが、プロジェクトでは新たな財政支援制度、つまりは税金を投入することも検討されておりますことから、慎重に制度設計していただきたいと考えます。
 そこで市長にお尋ねいたします。
 民間ビルの建てかえを促進するために、容積率の割り増しや高さ制限の緩和に取り組むほか、財政支援も検討されておられますが、まちなか再生プロジェクトに対する市長の思いをお聞かせください。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  私は、熊本地震により多くの建物が被災し破壊されている様子を目の当たりにして、市民の生命を守るためには公共のみならず、民間の建物も耐震性が高く強靭である必要性を強く認識しました。
 また、今回の地震では幸いにも大きな火災は起きなかったものの、特に中心市街地は狭隘な道路が多く古いビルが密集しており、そのリスクを常に抱えている現状を改めて痛感いたしました。
 このような熊本地震の教訓を踏まえ、また、今後いつ起きるかわからない自然災害に備え、より強靭で安全安心なまちをつくっていくことは本市の責務であると考えております。そこで、まちなか再生プロジェクトでは老朽化した建物の建てかえ等により、耐震性、防火性を向上させ、また、空地も生み出すことで災害時の避難、活動空間を確保し、まちの防災力向上を図るものでございます。さらに、にぎわいの創出や景観向上など、町なかの魅力向上にもつなげたいと考えております。そのためには積極的な民間投資を促進する必要があり、容積率の割り増しや財政支援などにより、建てかえや低未利用地の有効活用等を後押しすることとしております。
 このようなまちづくりを進めるためには行政だけでは限界がございます。そこで、産学官が連携して取り組むことが必要であるということから、官民一体となって本プロジェクトを推進し、熊本地震からの復興を加速するとともに、将来にわたり災害に強く魅力と活力ある中心市街地の再生を目指してまいりたいと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  市長、ありがとうございました。
 民間の老朽建築ビルへの対策は、本市のみならず全国的な課題であると承知しております。例えば、福岡市での天神ビッグバンプロジェクトでの取り組みを見てみますと、行政の役割は容積率の規制緩和であり、民間の投資を呼び込み、その活力が新たな空間と事業や雇用を創出し、地域経済の成長を牽引するものとして期待されております。
 本市のまちなか再生プロジェクトにおいても、民間の投資と活力を最大限に生かしながら民間主導で町なかの機能を強化しますことで、人口が減少する中でも魅力のある競争力を持った熊本市の実現を目指すべきと考えます。
 引き続き、まちなか再生プロジェクトに関連したお尋ねをいたします。
 熊本地震後、空き地や駐車場などが虫食い状態に広がる都市のスポンジ化が顕著に見られます。中心市街地の活性化エリア415ヘクタールのうち約5%の22ヘクタール、これは藤崎台球場の約9個分に該当するそうですが、土地の価値に見合った使われ方がなされていないと聞き及んでおります。
 このようなことを踏まえ、都市建設局長へ2点お尋ねいたします。
 1点目、中心市街地に土地の価値に見合った使われ方がなされていない土地が22ヘクタールも存在することについて、どのように検証されておられますか。
 2点目、10年後を見据え何棟の建てかえを目指されていますでしょうか。具体的な根拠もあわせてお示し願います。
         〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕

◎田中隆臣 都市建設局長  まちなか再生プロジェクトについての2点のお尋ねにお答えいたします。
 議員御案内のとおり、中心市街地には2017年1月時点での本市独自調査で、空き地や青空駐車場等の低未利用地が約22ヘクタール存在しております。本市では、平成28年の熊本地震発災以前においても低未利用地化、いわゆるスポンジ化が進み、約19ヘクタールの低未利用地が存在しておりました。そして、熊本地震以降その存在が一層顕在化しているところでございます。
 このように商業地域として、本来、高度利用が図られるべき土地が有効に活用されなければ、まちは活力を失いますとともに、プロジェクトが掲げる災害に強く魅力と活力ある中心市街地の実現も困難になると考えております。このような状況に対応するためには、容積率割り増し施策の拡充を初め低未利用地の有効利用を促すインセンティブが必要と考えており、特に財政支援において低未利用地の有効活用を重点的に支援することを検討しております。
 これら支援等によって、低未利用地の有効活用等を加速させることによって、まちなか再生プロジェクトを発表した2019年8月から10年間で100件の建てかえ等を目指したいと考えております。この数字の根拠につきましては、震災前の中心市街地における3階建て以上の事務所、店舗の新築建築物が年間5件程度であったことから、このプロジェクトにより倍増させたいと考えたものでございます。
 なお、発表後、問い合わせも多くいただき具体的な建てかえ案件も複数あり、注目度も高まっていると感じているところでございます。今後は、将来にわたり災害に強く魅力と活力ある中心市街地の創造に向けて、容積率割り増し施策や財政支援について速やかに取りまとめ、まちなか再生プロジェクトを推進してまいります。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  中心市街地におきまして低未利用地が長らく放置されている状況は、早急に取り組まなければならない課題の一つでもあります。特に、熊本地震後の建物の解体が進んだことによって低未利用地は拡大したかもしれませんが、これを新たな空間利用のチャンスと捉え、桜町の再開発事業を初めとする町なかのにぎわい創出をさらに後押しするような活用法を考えなければなりません。
 御答弁では、低未利用地への建築促進にはまちなか再生プロジェクトの財政支援において、重点的な支援を検討されるとのことです。仮に多額の公的資金を投入するならば、その費用に見合った効果が得られるのかどうか、また、財政支援の対象をどこまでとするのかなど、慎重に審議する点も多いかと思います。そして、財政支援を受けられるエリアと財政支援を受けられないエリアとの公平性をどのように担保するのかということも気がかりでございます。また、建てかえの目標数値に関しましては、中心市街地における震災前の3階以上の事務所、店舗の新築建築物が年間約5件程度であることから、これを倍増させ10年間で100件を目標とするとの御答弁でございました。
 しかしながら、財政支援等によってこれが果たして単純に現状から倍増するものであるのか。倍増することの具体的根拠が乏しく、そしてこのペースを10年間も維持することができるのか。これはなかなか難しいものではないかというのが率直な感想でございます。先ほど述べました福岡市の天神ビッグバンプロジェクトにおいては、10年間で30件のビル建てかえを目標にされております。これをはるかに上回る100件という目標を本市が掲げるならば、かなりの投資を呼び込む必要であろうかと思います。
 るる私なりの懸念材料を述べましたが、高さ制限を緩和することで熊本城からの景観を危惧する話も出ておりますので、市民の皆様や関係者の丁寧な説明をお願いしておきます。
 では、第38回全国都市緑化くまもとフェアについてお尋ねいたします。
 令和4年、2022年3月19日から5月22日までの65日間、本市及び公益財団法人都市緑化機構の主催で緑化フェアが開催されます。熊本城や下通、上通などの街なかエリア、水前寺江津湖公園一帯の水辺エリア、立田山のまち山エリアの3つをメーン会場に、160万人もの来場者を目標にされております。また、パートナー会場として本市の自然資源、県内全ての市町村、空港、駅などの交通拠点との連携が検討されているようでございます。今回の緑化フェアは本市のみならず、熊本全体を全国にアピールすることができる絶好の機会でございますので、熊本らしいオリジナル性のあるフェアにできればと切に願っております。
 そこで市長にお尋ねします。
 第38回全国都市緑化くまもとフェアの開催テーマは、森と水の都くまもとで 花と生きる幸せをつむごうに決定されておりますが、くまもとフェアのオリジナリティーをどのようにお考えでしょうか。
         〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  御案内のとおり、2022年3月に開催いたします全国都市緑化くまもとフェアの開催テーマにつきましては、先般の基本計画策定委員会において「森と水の都くまもとで 花と生きる幸せをつむごう」としました。これは、フェアの広報・演出アドバイザーに御就任いただいた小山薫堂氏の提案によるもので、フェアにお越しになる市民や来場者の皆様に、本市の貴重な資源、財産である緑や水を感じていただき、緑や花が成長していくように、震災からの復興に向けて歩み続ける熊本市を実感していただきたいという思いを込めております。
 また、このフェアを通じ一人一人が花や緑に囲まれることの幸せについて気づき、思いをめぐらせ、心に芽生えた思いを未来へつなげていくものとして、愛称を「くまもと花と緑の博覧会~THE GREEN VISION 未来への伝言~」としたところでございます。
 今回、全国都市緑化くまもとフェアは一過性のイベントではなく、森の都の再生、そして森と水の都の発信につながり、未来へ向けた財産として市民一人一人の皆様の緑化への思いを次の世代に渡してつないでいくということであると思います。そして、これまでもそのことが緑化フェアの意義ということで申し上げてきたところです。開催テーマはこれを表現するものでございまして、それが熊本で開催されるフェアのオリジナリティーにつながっていくものと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  くまもとフェアにおいて、震災からの復興を印象づけるような熊本市らしい取り組みがなされているとのことで大変楽しみにしております。また、このフェアを成功させるためには地元の花卉市場、生産者や小売店、各関係団体が連携し、花卉園芸業界全体を盛り上げていかなければなりません。
 ただ、近年の花卉産業をめぐっては残念ながら全国的に見ても生産量、需要ともに減少傾向にあるようです。気候の変動や自然災害の影響を受けやすく、流通コストの増大、後継者不足や高齢化の問題も深刻です。特に、熊本地震以降は消費の冷え込みも著しく、廃業される生産者や販売店も増加していると聞き及んでおり、熊本県花き園芸農業協同組合市場の切り花取り扱い量も、過去6年間を見たところ右肩下がりの傾向にあるようです。今回、都市緑化フェアが森の都の再生であり未来へ向けた財産であると伺いまして、ぜひともこれが同様に花卉産業の再生となるよう願っております。
 引き続き、くまもとフェアについて開催のレガシーをお尋ねいたします。
 くまもとフェアの成功を単なるゴールとするのではなく、これを一つの起爆剤であると捉え、市民生活の中にもっと花と緑を感じていただくことが最も重要であると考えます。例えば、福岡市ではフラワーシティ福岡を目指して、市民と企業が力を合わせて花や緑を育てる一人一花運動を掲げております。そして福博花しるべでは、まちの回遊性の向上を目的として博多から天神、舞鶴公園までのルートを色とりどりの花で結ぶことによって、歩いて楽しい空間づくりを進めています。
 また、全国各地で展開されております花いっぱい運動では、地域住民、企業、行政が一体となり花を育てることで、地域のコミュニティへの向上や青少年の育成、違法駐輪やごみのポイ捨て防止の効果を高めています。
 このように、花や緑に触れることによって多くの効果が期待できるものであるとし、全国花育活動推進協議会では花育の取り組みが行われています。この花育とは花や緑に親しみ、育てる機会を通して優しさや美しさを感じる気持ちを育むものです。子供の人格形成や教育だけではなく、地域社会においても花や緑を介して世代間の交流を促すことができ、また、日本の美しい四季折々の花文化を次世代へと継承していくことも期待できます。
 そこで都市建設局長へお尋ねいたします。
 くまもとフェア開催を契機に、市民生活の中にもっと花と緑を感じていただくことが最も重要であると考えますが、今後の取り組みについてお示しください。
         〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕

◎田中隆臣 都市建設局長  全国都市緑化くまもとフェアを契機としたその後の取り組みにつきましては、開催前からNEO GREEN PROJECTとして、市民とともにつくり上げていくことが重要であると考えております。
 具体的には、市民等が気軽に花や緑に触れ合うきっかけづくりや協働と参画の仕組みづくり、未来を築く人材育成などを優先事業とし、コンテストや体験会、オープンガーデンなどを実施していくこととしております。本年度からはスポンサー花壇制度の導入や緑のマイスター養成として、みどりの検定を実施することとしております。
 これらの取り組みをきっかけとして、緑化フェア後も地域や商店街等が花と緑で彩られたにぎわいあふれる場所となり、市民の皆様方が継続的に花や緑をめでる心を醸成してまいりたいと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  今回のくまもとフェアは一過性に終わらせるものではなく、フェア開催前に市民とのプロジェクトを行い、そしてフェア開催後も未来へつなげる構想がなされているようですので、これにも大きな期待を寄せたいと思います。
 では、熊本競輪場についてお尋ねいたします。
 熊本競輪は昭和25年7月の開設以来、累計660億円以上を本市の一般会計に繰り出し、都市基盤の整備など市民生活の向上に大きく貢献してまいりました。しかし、平成の時代に入りますとレジャーの多様化や、ファン層の高齢化などにより車券売り上げは減少を続けるとともに、施設の老朽化など課題も顕在化し競輪事業の活性化に向けた取り組みが必要となっておりました。
 そのさなか、平成28年4月に熊本地震が発生し、ほとんどの建物が損傷いたしました。全面的な復旧には多額の経費を要することや、将来にわたる経営存続を疑問視する御意見もございましたが、学識者や競輪関係者、そして地元関係者からも御参加いただきました熊本競輪事業検討会からの御意見を踏まえ、2021年12月の竣工に向けて取り組んでいるものでございます。平成30年12月に策定された熊本競輪場施設整備基本計画を拝見いたしましたが、施設整備に係る経費を縮減させながら地域貢献、災害対応、アマチュア振興の3つの理念の実現に向けた計画が練られており、競輪事務所を初め関係者の御尽力に敬意を表するものでございます。
 そこで、経済観光局長に2点お尋ねいたします。
 1点目、施設整備に係る概算事業費の約29億円については、競輪事業の基金積立金と場外の駐車場の売却益で賄われると伺っております。保有する場外駐車場の路線価評価額は平成28年度時点で約15億円でございますが、この売却状況をお示しください。
 2点目、メーンスタンドの改修につきましては機能を集約する観点から3階を屋内化することで、基本設計の段階から工法の実現性はもとより耐震構造計算や基礎、地盤の安全性が課題であったと認識しておりますが、その状況について御案内願います。
         〔平井英虎経済観光局長 登壇〕

◎平井英虎 経済観光局長  熊本競輪場の施設整備基本計画に関してお答えいたします。
 まず競輪場駐車場につきましては、所有する10カ所のうち今年度1カ所を既に売却しており、残り9カ所の駐車場につきましても次年度以降順次売却し、整備費用に充てる予定としております。
 次に、メーンスタンドの耐震性やバンクの地盤の強度等につきましては、現在、行っております基本設計の中で調査を進めている段階でありまして、今年度中には結果が判明する予定でございます。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  競輪場の場外駐車場の売却状況は残すところ9カ所であるとのことでございました。競輪場が位置する熊本市中央区水前寺かいわいは、熊本市においても大変人気のあるエリアの一つでございます。売却するに当たっては、相場に見合った適正な売却額であるかなど、十分な検討をお願いいたします。
 また、改修に伴う安全性の調査につきましても、調査を進めている段階であるとのことでございましたので、今後も随時御説明願います。
 引き続き、特色ある熊本競輪場とするための方策についてお尋ねいたします。
 熊本競輪場は収益性を考慮し、400メートルバンクに整備がなされます。競輪のバンクの規格は一般的に日本国内だけでも333メートル、400メートル、500メートルと3つの周長が存在しています。バンクの規格の違いはレースに大変影響し、バンクの規格、ひいてはどこのバンクであるかによっても、レースの決まり手の傾向や選手の戦術が大きく変わってくるとのことです。全国の競輪場でスタンダードと呼ばれているのが400メートルバンクです。全国に30カ所を超える競輪場がこれに当たります。そして一口に400メートルといっても風向きやコーナーの設計の違いなど、競輪場ごとにさまざまな特徴を持ったバンクが混在しております。
 さらに、バンクには高速で自転車を走らせることができるようにカントと呼ばれる傾斜がついており、これによって高速でカーブを曲がることができます。基本的に直線部分では2から4度、コーナー部分では25から35度程度の傾斜がついています。これらの競輪場が持つそれぞれの特色が、ファンとしては競輪を楽しむ上での大きなだいご味でもあるそうです。
 ここでお尋ねですが、以前の熊本競輪場の500メートルバンクには日本一長い直線バンクという特色を備えていましたが、今後、再開後の熊本競輪場の400メートルバンクにおいては、ゴール線は整備前と変わらない位置にあるそうですが、タイムを出せる高速バンク等、何か熊本競輪場の独自の目玉と言えるような特徴あるバンクはお考えでしょうか。
 また、走路と観客エリアを隔てる外側の仕切りであるフェンスが金網となっておりますが、西武園競輪場などにも見られますように、フェンスを透明板のポリカーボネートにすると選手のけがの軽減にもなりますし、お客様や利用者にも開放感が感じられ競輪場のイメージアップにもつながるかと思います。フェンスを透明板のポリカーボネートにするといったお考えはありますでしょうか。
 さらにミッドナイト競輪についてですが、これは無観客試合でミッドナイトの時間帯、おおむね21時から23時過ぎに開催される競輪のことをいいます。御自宅などのインターネット環境で楽しめる新しいスタイルがその人気の理由です。収益性も高く見込めると思われます。ですが、その反面、照明設備についての課題や住宅地でもありますので騒音対策等の取り組みが必要となります。競輪場の再開後、ミッドナイト競輪を開催するといった予定はお考えでしょうか。
 以上、特色ある熊本競輪場とするための方策について、経済観光局長にお尋ねいたします。
         〔平井英虎経済観光局長 登壇〕

◎平井英虎 経済観光局長  特色ある熊本競輪場にするための方策に関する3点の御質問にお答えいたします。
 まず、新たに整備をいたします400メートルバンクにつきましては、従来の直線が長いというバンクの特徴は残しつつ、コーナーの傾斜を大きくすることで延長は短くなるものの、スピード感のあるバンクを目指したいと考えているところでございます。
 次に、走路と観客エリアを隔てるポリカーボネートのフェンス導入につきましては、議員御案内のように観戦環境の向上と安全性の確保というメリットがあり、設計段階で経費面も含め検討していきたいと考えております。
 また、ミッドナイト競輪につきましては熊本地震前に開催の方向で準備を進めていたところであり、今回の整備に当たりましても関係者の皆様に丁寧な説明を行い、改めてミッドナイト競輪の開催に向けて準備を進めてまいります。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  熊本競輪場ならではのレースを楽しむものとしてバンクを特徴あるものにすることは、ファンの皆様にとっても関心の高いところかとは思います。それと同時に選手の安全性を考慮しなくてはなりません。そこのバランスをうまく調整するのはなかなか大変な作業であるかとは思いますが、さまざまな御意見を踏まえながら進めていくことを望みます。
 また、ポリカーボネートのフェンスの導入につきましても、これは生身の体でレースを戦う選手が衝突した場合の衝撃を少しでも和らげるためにはとても有効なものでありますので、経費面の課題もございますが前向きな御検討をお願いしたいと思います。
 ミッドナイト競輪の開催に関しましては全国的に見ましても徐々にふえつつあり、ある程度経費を抑えながらも売り上げ増加のためのてこ入れとしては、大変効果的な手段であるということでございますので、開催に向けて頑張っていただきたいと思います。
 では、施設の利活用についてお尋ねいたします。
 バンク内の芝生を含め、サービスセンターやオープンスペースの利活用といたしまして、花畑広場等で開催しているような出店や食の祭典など、市民の楽しみと憩いの場としてのイベント等を開催するのも一つの方策かと思われます。整備後このようなイベント開催を初めとする利活用についての方向性はどのようにお考えでしょうか。
 そして、市民に親しまれるイメージ戦略についてですが、武雄競輪場や前橋競輪場はオッズパークやヤマダ電機など、競輪場のネーミングにスポンサー名がついておりネーミングライツを行っております。ネーミングライツとは、市の施設に企業名や商品、ブランド名を冠した愛称を命名する権利のことです。また、市が所有する施設を有効に活用することにより、新たな財源の確保と施設のサービスの維持向上を図ることを目的としてネーミングライツ・スポンサー、愛称を命名する企業等をいいます、を募集します。今後、熊本競輪場のネーミングライツ・スポンサーを募集するお考えはあるのでしょうか。
 また、再開決定の考え方にも記載されていますが、防災拠点として生まれ変わることで復興のシンボルとなり得るとあります。熊本競輪場を復興のシンボルとして、今後どのように機能させるお考えがあるのでしょうか。
 オープンスペースの利活用、ネーミングライツ、復興のシンボル、以上3点につきまして経済観光局長にお考えをお尋ねいたします。
         〔平井英虎経済観光局長 登壇〕

◎平井英虎 経済観光局長  オープンスペースの利活用や市民に親しまれるイメージ戦略についてお答えいたします。
 まず、オープンスペースの利活用につきましては、競輪場再開に当たっての基本理念であります地域貢献、災害対応につながるよう、災害時の避難場所はもとより夏祭り等の地域イベント、自治会等地域活動の場など多くの方々が親しみ、集い、憩いの場として利用していただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、ネーミングライツにつきましては、現在、前橋、武雄、広島、岸和田の4つの競輪場で実施されており、新たな財源確保の手段の一つとしてその効果等を調査検討してまいります。
 また、復興のシンボルとしての機能につきましては、施設の耐震性の確保はもとよりコンパクト化により生まれる空間やバンク内の緑地等を、災害時の避難場所や車中泊スペースとして活用し、さらに防災倉庫、防災井戸、災害用マンホールトイレを設置することで、地域防災の拠点としての整備を予定しているところでございます。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  オープンスペースの利活用につきまして、また、復興のシンボルとして防災機能を強化することにつきましては、現段階よりいろいろな構想が予定されているとのことでした。特に、競輪場を災害発生時の防災拠点として機能させることは、まさに熊本市の創造的復興にふさわしいすばらしい取り組みなのではないでしょうか。
 また、ネーミングライツに関しましては競輪場のイメージアップはもちろんのこと、市民の皆様により親しみを感じていただき、収入面においてもプラスとなることは間違いありません。これを機に全国に誇ることのできる新しい形の競輪場として、熊本競輪場が生まれ変わることを切に願っております。
 では、消防団についてお尋ねいたします。
 消防団の充実、強化に関しては、平成25年12月に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が制定されております。この法律の背景には、東日本大震災という未曽有の大災害を初め地震、局地的な豪雨等による災害が各地で頻発し、地域防災力の重要性が増大している一方で、少子高齢化の進展や地域コミュニティの低下などにより、地域における防災活動の担い手を十分に確保することが困難となっていることにございます。
 そこで、地域防災力の充実、強化においては地域に密着し、災害が発生した場合には地域で即時に対応することができる消防団を中核的な役割を果たすものとして、その強化を図ることが同法律に定められております。私自身は9年前から地域の消防団へ加入しておりますが、消防団員数の確保は全国的に大きな課題に直面しており、本市の団員数を見てみますと2010年3月時点では4,965人いた団員が、ことしの10月時点で4,357人と約10年間で600人程度減少している状況にございます。
 そこで、消防局長へお尋ねいたします。
 みずからの地域はみずから守るという市民の意識啓発を図るとともに、消防団への積極的な加入が促進されますようどのように取り組まれているのかお示しください。
         〔西岡哲弘消防局長 登壇〕

◎西岡哲弘 消防局長  消防団への加入促進に関する御質問にお答えいたします。
 全国的に消防団員の減少に歯どめがかからない中、本市におきましても同様の課題に直面しているところでございます。その対応策といたしまして、平成26年度には大学生等を対象に特定の活動を行う防災サポーター制度を創設し、将来の地域防災のリーダーとして育成するなど若い世代の確保に努めております。
 また、平成27年度にはサラリーマン団員の増加に対応するため、消防団協力事業所表示制度を導入し、団員を雇用する地域企業に対しまして消防団活動への理解と協力を呼びかけております。
 さらに、今年度は若い消防団員を中心に消防団活性化検討部会において企画立案されました、上通、下通アーケードで新規団員の加入促進を目的としたパレードを初めて実施し、消防団の重要性を広く市民に訴えたところでございます。
 今後も引き続き、幅広い世代への働きかけと入団しやすい環境づくりに取り組み、消防団員の確保に努めてまいりたいと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  消防団の組織概要等に関する調査の結果、平成29年度によりますと主な団員減少の理由は転出や高齢化、活動の負担が大きいことなどというような自己都合によるもの、役職の任期満了や定年制度などのような組織運営によるものが挙げられております。消防団の存続のためには、まずは団員の確保が最重要課題と言えますが、御答弁によれば防災サポーター制度の創設、消防団協力事業所表示制度の導入、加入促進を目的としたパレード実施など、多様な取り組みに着手されているとのことでした。これにつけ加えまして、今後は特に女性の方が消防団において活躍することができるような細やかな配慮をお願いできればと思います。
 また、消防団の人員のうち公務員が占める割合は4.2%でございます。個人的には少々物足りなさを感じますので、本市職員が消防団に加入しやすい職場の環境整備も求めておきます。
 引き続き、消防団の処遇、装備の改善についてお尋ねいたします。
 消防団員はもともと多額の報酬を期待しているものではございませんが、本市が定めている報酬は年間2万3,000円から7万5,000円で、活動内容に比べると余りにも低額だと思われます。また、東日本大震災の中で明らかになりましたのが、消防団の装備が余りにも不十分であるということです。消防団員の安全確保のため安全靴、救命胴衣などの基本的な装備、情報共有に資する無線機、そして水や食料などは必要最低限の装備であります。このことから平成26年2月に国が定めている消防団の装備と服制の基準が大幅に改善されております。
 そこで、消防局長へ3点お尋ねいたします。
 1点目、消防団員の出動、訓練、その他活動実態に応じた適切な報酬及び費用弁償の支給について見解を求めます。
 2点目、国が基準を定めている消防団の装備について配備状況をお示しください。
 3点目に、消防団活動に伴い危惧しております狭隘道路への対策についてお尋ねいたします。皆様も御存知のとおり、黒髪校区の熊本大学周辺においては緊急車両が進入できない道路が数多くあります。また、熊本市全域においても同様な場所が数多くあり、一刻を争う緊急時、また災害時において市民の命や財産、安全が果たして確保されるのであろうかと大変危惧しております。
 そこで、消防局長にお尋ねいたします。
 本市には緊急車両等、進入できない道路が散見されますが、緊急時、災害時において市民の安全安心をどのように守っていかれるのでしょうか。
         〔西岡哲弘消防局長 登壇〕

◎西岡哲弘 消防局長  まず、消防団の処遇、装備の改善に関する御質問にお答えいたします。
 消防団員の報酬及び費用弁償につきましては、条例により階級や従事した内容に応じて一定の金額を支給しております。現在の支給額につきましては、平成24年に報酬を、平成26年に費用弁償をそれぞれ増額したところではございますが、近年は総務大臣からも地域防災力の充実強化の観点から、報酬を含む処遇改善等の呼びかけがあっていることなど、今後、国の考え方や他都市の水準を踏まえ、対応を検討してまいりたいと考えております。
 消防団の装備につきましては、国が定める基準に基づき安全性の高い靴や手袋を全団員に、また、チェーンソーや油圧ジャッキ、無線機を全分団に配備するなど、大規模災害等に備えているところでございます。
 次に、消防活動における狭隘道路対策に関する御質問にお答えいたします。
 当局では、緊急車両の進入が困難な地域につきましては、日ごろの調査に基づきあらかじめ火災等に備えた警防計画を策定し、災害を想定した訓練を実施するなどの対策を講じております。また、消防団におきましても進入可能な小型車両の配備や、地域に精通した団員による警戒や予防広報などにより対応しているところでございます。
 今後も消防署と消防団の連携強化を図り、有事の際の市民の安全安心を確保してまいりたいと考えております。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  消防団の処遇につきましては、さきにも述べました団員の確保にもつながることでございますので、引き続き重点的な支援の検討を希望いたします。
 次に、消防団の装備についてでございますが、装備が多くなればそれと同時に消防団員が備えるべき知識や技術も多くなりますので、こちらに対しては十分なサポートをお願いしたいと思います。
 また、緊急車両の進入が難しい、いわゆる狭隘道路につきましては、地域住民に対する情報発信や違法な路上駐車の取り締まりなど、非常時を意識した啓発活動を大いに推進していただきたいと思います。
 私も一消防団員として消防局の皆様、そして消防団員の皆様の常日ごろの活動に対しましては心より敬意を表するところでありまして、これからも一丸となって熊本市の防災機能の向上を目指していければと思っております。
 では、災害時の生活衛生についてお尋ねいたします。
 美容業、理容業、ホテル業、飲食業、公衆浴場業など、国民の生活に密着した幾つかの業種を生活衛生関係営業と呼びまして、それぞれの業種に応じた法令を遵守し、また、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づき振興策が実施されております。これらの業種は、私たちがまさに人間らしく生きるために必要不可欠な商品やサービスを提供するものでありまして、市民の日常とは切っても切り離せないものであります。
 しかしながら時代の流れもあるのでしょうか、さまざまな理由によりこれらの業種の営業が縮小され、その結果として市民生活に多大な影響を及ぼしかねないと懸念しております。
 ここで私が実際に体験したものとして、公衆浴場の無料開放を挙げたいと思います。
 皆様の記憶にも新しいかとは思いますが、3年8カ月前の熊本地震においては熊本市全体に甚大な損害が生じまして、断水、停電、ガスもとまるなど、市民の皆様もこれまでに経験したことのない生活を強いられたことかと思います。
 この震災時に、熊本県公衆浴場業生活衛生同業組合は理事長を初め組合の皆様、行政、地元議員の協力を得て、震災後の翌日というスピード感をもって公衆浴場の無料開放を実施しました。私も組合の監事という立場で微力ながらも尽力させていただきましたが、公衆浴場に被災された方々が長蛇の列をなしており、入浴時間はつかの間ではありましたが疲れ切った体を癒し、温かい湯舟につかることができた喜びで笑顔になって帰宅される様子は、今でも忘れることがきません。そして、やはり市民の生活において公衆浴場という生活衛生を確保することは、これ以上ない重要性を持つものであると再認識させられました。
 このようなことを踏まえ、政策局長へ2点お尋ねいたします。
 公衆浴場の無料開放に限らず、災害時において避難所の市民の生活衛生水準の確保に関しましては、どのような対策をとられているのでしょうか。
 また、生活衛生に関する情報をいち早く市民の皆様へ周知させるための伝達方法としては、どのようなものを想定されていますでしょうか。
         〔古庄修治政策局長 登壇〕

◎古庄修治 政策局長  災害時の生活衛生について2点のお尋ねにお答え申し上げます。
 まず、1点目の災害時における避難所での生活衛生水準の確保についてでございますが、平成28年熊本地震におきましては市内全域で長期間にわたり大規模な断水が発生したことなどから、生活用水の確保が困難となり避難所等における衛生環境の悪化が課題となりました。
 そこで、この教訓を踏まえ平成29年3月に避難所開設・運営マニュアルを全面的に改定する中で、トイレの確保や消毒、殺菌対策、歯ブラシ、歯磨き粉、洗剤などの生活用品の調達、さらには仮設風呂や仮設シャワーの利用計画の作成等、衛生管理の観点からも見直しを行ったところでございます。
 2点目の、生活衛生に関する情報の市民への伝達方法についてでございますが、平成28年熊本地震におきましては、給水車や無料入浴に関する情報などは新聞やテレビ等のマスメディアや、市のホームページ等を活用し広報を行うとともに、避難所での掲示板等で周知を図ったところでございます。
 今後、災害発生時におきましては入浴、感染症予防等の生活衛生に関する情報について、これまでのマスメディアや市のホームページ等の活用に加えまして、市の公式フェイスブックやツイッターなどのSNSの積極的な活用とあわせ、適切なタイミングで情報を提供するなど情報発信のスキルも高めていきまして、より効果的な情報伝達に努めてまいります。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  公衆衛生対策の強化を図られたとのことでしたので、大変安心いたしました。市民みずから常日ごろから防災について考え、備えておくことの大切さを改めて感じました。大災害がいつどこで発生するのか予測できない以上、例えば災害協定を結ぶなど、災害時や緊急時における生衛業との緊密な連携関係を強化することは、安全・安心な熊本市を実現するために不可欠であると考えます。今後の熊本市の対応を期待しております。
 では、最後の質問になりますが、ハンコレス・オンライン化についてお尋ねいたします。
 スマート行政を実現するためには、まずペーパーレス化の推進は欠かせません。そして、その壁となる判こといかに向き合うのかが課題となります。福岡市は10月30日、行政手続に必要な申請書への押印を不要にするハンコレス化が過半に達したと発表しました。現在、福岡市は市民サービスの向上、利便性の向上のために、市役所の申請書類で判この押印が必要であるものをできるだけなくしております。今年度に入り既に現在、約4,200種類ある申請書類のうち、55%に当たる2,300種類の申請書が押印不要です。判こを不要にすればオンライン化もできますので、今年度新たに約50種類の手続をオンライン申請ができるようにしました。例えば、今年度から始まった教員採用試験では、オンラインでの申し込みが93%もの需要があったそうです。福岡市はハンコレスに関し、来年度には全体の7割の判こなしを目指しております。残りの3割は国の法律などで押印や対面確認が必要なものになりますが、このうち転入、転出、転居の届けについて、来年1月から可能な限りオンライン化を進めていきます。
 また、東京都ではハンコレス、ペーパーレス、キャッシュレスの3つのレスの取り組みを土台として、総務事務について事務の集約化や、ICT技術の活用による効率化を進めるという方向性を示しております。
 そこで、総務局長へお尋ねいたします。
 ハンコレス・オンライン化は市民の生活、市民サービスが向上し、行政への負担軽減にもつながりスマート行政を目指す上で欠かせないと考えます。今後、熊本市はハンコレス・オンライン化を進めていくお考えはあるのでしょうか。
         〔萱野晃総務局長 登壇〕

◎萱野晃 総務局長  議員御提案のハンコレス、押印廃止につきましては、これまでも平成5年度に各種申請手続の様式の見直しを行い、865件のうち126件を廃止し、その後も住民票や戸籍関係の請求書など個別に廃止を進めてきたところでございます。今後も先進都市の事例を参考にしながら、可能なものから取り組んでまいりたいと考えております。
 また、各種手続のオンライン化につきましては、平成17年度から県及び県内自治体と共同でくまもと電子申請窓口を運用し、住民票や戸籍関係の申請手続などのオンライン化を進めてまいりました。
 今後は押印廃止による手続の簡素化とあわせて、マイナンバーカードの活用による本人確認や添付書類の省略化などにより、手続のオンライン化をさらに推進することで市民サービスの質を向上させるとともに、内部事務の効率化、生産性の向上を図ってまいります。
         〔3番 山本浩之議員 登壇〕

◆山本浩之 議員  ハンコレス・オンライン化に関しましては推進するとの御答弁でしたので、今後、拡充に期待するとともに、このようなサービスを積極的に発信していくことも重ねてお願いしたいと思います。
 また、目の不自由な方も判この押印は大変な作業であると聞き及んでおります。このような方などのためにも推進していただきたいと思います。そして、ハンコレス・オンライン化を進めることが、職員のためにも市民のためにも双方にとって負担を軽減することにつながり、市長が目指します誰もが憧れる上質な生活都市熊本の実現を目指す上でも欠かせないことであると考えます。よろしくお願い申し上げます。
 今回、御用意しました質問は以上でございますが、最後に1つ要望を申し上げます。
 私は利便性、回遊性のある散策して楽しめるまちづくりとしまして、地域に密着したまちづくりの形を目指したいと考えております。私の地元でもあります坪井地域の商店街、子飼商店街などにも言えることですが、昔からある地域商店街は生活必需品を販売するだけではなく、地域の人々の大切な交流の場としても機能してきました。しかしながら人口の減少やドーナツ化現象、大型スーパーの進出など、さまざまな理由によってかつてのにぎわいを失いつつあるようにも感じます。
 そこで、中心市街地に限定することなく、地域住民にとっても観光客にとっても散策して楽しめるような利便性と回遊性を備えたまちづくりに関しまして、今後、検討を深めていくことを私からの要望といたします。
 以上をもちまして私の質問は終了となりますが、この質問をするに当たって大変お世話になりました諸先輩方、同僚の皆様、そして、全く勝手がわからない中で丁寧にサポートしていただきました議会事務局の皆様に心より感謝申し上げます。また傍聴してくださった皆様にも重ね重ね御礼申し上げます。これからも一市民の代表として、初心を忘れることなく謙虚さを持って職務を全うする所存です。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
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○倉重徹 議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。
 次会は、明6日(金曜日)定刻に開きます。
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○倉重徹 議長  では、本日はこれをもって散会いたします。
                            午後 3時16分 散会


〇本日の会議に付した事件
一、議事日程のとおり





令和元年12月5日
出席議員 47名
      1番   倉 重   徹        2番   上 田 芳 裕
      3番   山 本 浩 之        4番   古 川 智 子
      5番   島 津 哲 也        6番   北 川   哉
      7番   吉 田 健 一        8番   伊 藤 和 仁
      9番   荒 川 慎太郎       10番   齊 藤   博
     11番   田 島 幸 治       12番   平 江   透
     13番   日 隈   忍       14番   吉 村 健 治
     15番   山 内 勝 志       16番   緒 方 夕 佳
     17番   高 瀬 千鶴子       18番   三 森 至 加
     19番   大 嶌 澄 雄       20番   光 永 邦 保
     21番   高 本 一 臣       22番   福 永 洋 一
     23番   西 岡 誠 也       24番   田 上 辰 也
     25番   浜 田 大 介       26番   井 本 正 広
     27番   藤 永   弘       28番   小佐井 賀瑞宜
     29番   寺 本 義 勝       30番   原     亨
     31番   原 口 亮 志       32番   紫 垣 正 仁
     33番   大 石 浩 文       34番   田 中 敦 朗
     35番   村 上   博       36番   那 須   円
     37番   園 川 良 二       39番   満 永 寿 博
     40番   三 島 良 之       41番   津 田 征士郎
     43番   坂 田 誠 二       44番   白河部 貞 志
     45番   田 中 誠 一       46番   藤 山 英 美
     47番   落 水 清 弘       48番   田 尻 善 裕
     49番   上 野 美恵子

欠席議員  1名
     38番   澤 田 昌 作


説明のため出席した者
  市長       大 西 一 史    副市長      多 野 春 光
  副市長      中 村   賢    政策局長     古 庄 修 治
  総務局長     萱 野   晃    財政局長     田 中 陽 礼
  市民局長     石 櫃 仁 美    健康福祉局長   田 端 高 志
  環境局長     勝 谷 仁 雄    経済観光局長   平 井 英 虎
  農水局長     西 嶋 英 樹    都市建設局長   田 中 隆 臣
  消防局長     西 岡 哲 弘    交通事業管理者  肝 付 幸 治
  上下水道事業管理者白 石 三千治    教育長      遠 藤 洋 路
  中央区長     井 上   学    東区長      宮 崎 裕 章
  西区長      深 水 政 彦    南区長      村 上 誠 也
  北区長      野 口 恭 子

職務のため出席した事務局職員
  事務局長     大 島 直 也    総括審議員兼事務局次長
                               富 永 健 之
  議事課長     本 田 正 文    調査課長     下錦田 英 夫
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