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熊本市議会議員 たなか あつお

熊本市議会議員 たなか あつお

2016年09月15日 予算決算委員会

平成28年 第3回予算決算委員会

               予算決算委員会会議録

開催年月日   平成28年9月13日(火)
開催場所    予算決算委員会室
出席委員    48名
        三 島 良 之 委員長    田 尻 将 博 副委員長
        澤 田 昌 作 委員     藤 岡 照 代 委員
        光 永 邦 保 委員     大 塚 信 弥 委員
        山 部 洋 史 委員     緒 方 夕 佳 委員
        小 池 洋 恵 委員     三 森 至 加 委員
        高 本 一 臣 委員     小佐井 賀瑞宜 委員
        寺 本 義 勝 委員     西 岡 誠 也 委員
        福 永 洋 一 委員     田 上 辰 也 委員
        浜 田 大 介 委員     井 本 正 広 委員
        藤 永   弘 委員     原     亨 委員
        原 口 亮 志 委員     紫 垣 正 仁 委員
        くつき 信 哉 委員     田 中 敦 朗 委員
        那 須   円 委員     重 村 和 征 委員
        村 上   博 委員     上 田 芳 裕 委員
        園 川 良 二 委員     倉 重   徹 委員
        満 永 寿 博 委員     齊 藤   聰 委員
        大 石 浩 文 委員     田 尻 善 裕 委員
        上 野 美恵子 委員     白河部 貞 志 委員
        鈴 木   弘 委員     津 田 征士郎 委員
        坂 田 誠 二 委員     竹 原 孝 昭 委員
        江 藤 正 行 委員     藤 山 英 美 委員
        田 尻 清 輝 委員     落 水 清 弘 委員
        古 川 泰 三 委員     北 口 和 皇 委員
        家 入 安 弘 委員     田 辺 正 信 委員

議題・協議事項
  (1)議案の審査(22件)
     議第 179号「平成28年度熊本市一般会計補正予算」
     議第 180号「平成28年度熊本市国民健康保険会計補正予算」
     議第 181号「平成28年度熊本市介護保険会計補正予算」
     議第 182号「平成28年度熊本市農業集落排水事業会計補正予算」
     議第 183号「平成28年度熊本市競輪事業会計補正予算」
     議第 184号「平成28年度熊本市地下駐車場事業会計補正予算」
     議第 185号「平成28年度熊本市熊本駅西土地区画整理事業会計補正予算」
     議第 186号「平成28年度熊本市植木中央土地区画整理事業会計補正予算」
     議第 187号「平成28年度熊本市病院事業会計補正予算」
     議第 188号「平成28年度熊本市水道事業会計補正予算」
     議第 189号「平成28年度熊本市下水道事業会計補正予算」
     議第 190号「平成28年度熊本市工業用水道事業会計補正予算」
     議第 191号「平成28年度熊本市交通事業会計補正予算」
     議第 192号「熊本市附属機関設置条例の一部改正について」
     議第 194号「熊本市手数料条例の一部改正について」
     議第 236号「平成27年度熊本市各会計(公営企業会計を除く。)決算について」
     議第 237号「平成27年度熊本市病院事業会計決算の認定について」
     議第 238号「平成27年度熊本市水道事業会計利益の処分及び決算の認定について」
     議第 239号「平成27年度熊本市下水道事業会計利益の処分及び決算の認定について」
     議第 240号「平成27年度熊本市工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について」
     議第 241号「平成27年度熊本市交通事業会計決算の認定について」
     議第 243号「平成28年度熊本市病院事業会計補正予算」

                             午前10時00分 開会
○三島良之 委員長  ただいまから予算決算委員会を開会いたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。
 なお、委員より申し出がありました資料につきましては、お手元に配付しておきました。
 これより、くまもと未来、藤山英美委員の質疑を行います。持ち時間は30分となっております。
        〔藤山英美委員 登壇 拍手〕

◆藤山英美 委員  おはようございます。くまもと未来の藤山英美でございます。
 早速質疑に入らせていただきます。
 平成27年度決算関係資料について質疑をいたします。
 私は、これまでに決算関係資料は数字中心の資料であり、見やすく、かつわかりやすくすべきとの思いから、いろいろと指摘や提案をしてまいりました。収入未済額調書において、収入未済額の内訳として、現年度と過年度の額を記載することや、別記載となっていた市税収入未済額を一般会計収入未済額調書に記載する等、その都度、改善していただき、わかりやすくなったと思っております。
 そこで、改めて見やすさとわかりやすさという視点で、決算関係資料全体を見てみますと、まだ改善すべき点が見受けられるように思いましたので、質疑をいたします。
 まず、見やすさという点では、通しのページ番号が付されていないため、見たい資料を探すのが容易ではありませんでした。担当部局が作成した資料を単に集めて製本しただけで、見る側への配慮がなされていないのではないかと思っております。
 また、関連性のある資料の順番や表題の表記等、資料全体の構成にも工夫が少し必要ではないかと思います。
 さらに、昨年の第3回定例会予算決算委員会でも指摘をしましたが、9番の負担金及び補助金調書につきましては、この決算関係資料の約70%を占め、ボリュームもかなりあります。やはり、委託料調書のように別冊にした方がよいのではないかと思っております。
 次に、わかりやすさという点では、決算関係資料においては、市税に関する部分が多くを占めております。その中でも、特に不納欠損処理については、市民の関心も高いのではないかと思っております。
 先日、その不納欠損処分調書について説明を受けました。まず、執行停止の要件や、時効完成、即時消滅等不納欠損の仕組みと説明を聞き、よく理解することができました。
 ただ、資料だけでは専門性も高く、我々委員、職員、市民にもわかりにくいのではないかと思っております。
 例えば、不納欠損処分調書の参考資料として、不納欠損の仕組みについて解説を添付するとか、調書の余白を利用して注釈を入れ、調書に構成比も記載してはどうかと思っております。
 決算関係資料は、法定資料ではなく説明資料であります。見やすく、わかりやすいものであるとともに、説明する側も説明しやすいものであるべきと思っております。
 以上、見やすさ、わかりやすさという観点からの決算関係資料の改善について、財政局長にお尋ねします。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  決算関係資料の改善についてお答え申し上げます。
 決算関係資料は、法令等で様式が定められている歳入歳出決算書などに加え、決算状況の説明資料として、本市独自で作成いたしているものでございまして、これまでも委員の御提案を踏まえ、改善を行ってきたところでございます。
 決算の状況につきましては、複雑な地方財政の仕組みをわかりやすくお伝えすることが重要と認識いたしておりまして、今回の御提案を踏まえ、資料の通しページの挿入を初め、全体的な構成の見直しや、例えば、不納欠損など専門的な用語については空白に注釈を入れるなど、わかりやすい資料となるよう改善を図ってまいりたいと考えております。
        〔藤山英美委員 登壇〕

◆藤山英美 委員  ありがとうございました。いろいろ質疑し、指摘をしてまいりましたけれども、改善していただきましたことには感謝申し上げます。欲を言えば、もう一歩踏み込んだ改善をしていただければ、もっとありがたいなという思いでございます。
 次に、一部損壊世帯に対する公的支援については、これまでの復興特別委員会や今議会の一般質問においても、多くの議員から既存制度の対象範囲の拡充や、本市独自の支援策の創設などの質問がなされております。
 しかしながら、これまでの答弁を総括すれば、既存制度の拡充については国が難色を示していることから、見通しは厳しいように思います。また本市独自の支援策についても、現時点ではお答えできないというような答えがあっております。
 確かに、一部損壊に対する本市独自の支援策となると、対象世帯だけでも、約7万世帯と膨大であり、本市の厳しい財政状況を考えると、執行部としても慎重にならざるを得ない事情については理解をいたします。
 しかし、それでも被災者と直接対話をしている私たち議員としては、一部損壊であっても被害が甚大で、居住できないようなケースがあることを伝え、何らかの対策を講じるよう訴える役割があると考えております。
 そこで、私が相談を受けた多くの事例の中から、特徴的なものを2つ御紹介申し上げます。
 例えば、一部損壊と判定されたある被災者の場合、家屋そのものの被害は軽微であるとの判断がなされておるものの、震災以降、急に家の中の湿気がひどくなり、室内にカビが発生したことから、もしやと思い、床下をのぞいてみたところ、土地柄の影響もあって、地下水がしみ出していたということでございます。このケースの場合、カビ発生の影響かどうかわかりませんが、御主人は体調を崩し入院され、もうもとの家には住まないとおっしゃっておるそうでございます。
 もう一つ事例を紹介しますと、屋根瓦の被害だけであったため一部損壊の判定であったそうです。修理の見積もりを業者からとったところ、約400万円と見積もられたそうです。この方の場合、年金生活であることから、補修を諦め、泣く泣く雨漏りのする住宅に住み続けていくことを、苦渋の選択をされたということでございます。
 家屋の被害程度の判定には、内閣府が定めた被害認定の運用指針に基づき、公平・公正になされているものであることは理解しております。また半壊、大規模半壊、全壊の家屋については、一部損壊以上に復旧に相当の費用がかかることから、公的支援が受けられることも理解しているところでございます。
 しかしながら、先ほど紹介した事例のように、一部損壊であってもみずからの資力では、もとの生活を取り戻せないほどの被害を受けている被害者がいらっしゃることも事実でございます。
 また、最初に紹介した事例のように、結果的に全壊と同様に住居に住めなくなった事例もあります。一部損壊の全ての世帯に対して、一律に支援を行うことは現実的に困難でしょうが、先ほど述べたような実際に被害の大きい世帯では、みずからの資力ではどうしようもない世帯に対して、行政として何らかの支援の手を差し伸べることが必要だと考えます。
 そこで、こうしたケースに対する今後の行政としての支援のあり方について、市としてどのようにお考えを持っておられるのか、政策局長にお尋ねします。
        〔古庄修治政策局長 登壇〕

◎古庄修治 政策局長  被害の大きい一部損壊住宅への支援についてお答え申し上げます。
 現行でも被災者生活再建支援金については、その対象を、原則として大規模半壊以上としておりますが、敷地被害によりやむを得ず家屋等を解体せざるを得ない場合等については、一部損壊であっても全壊同様の支援が受けられるところでございます。
 熊本市としましては、これまでも国に対して住宅の罹災の区分にかかわらず、地域の実情によって柔軟な対応が可能となるよう、対象範囲の拡充を求めてきたところでございまして、委員から御紹介のあった地震の影響と思われる地下水湧出による被害については、地下水が豊富な本市の特有な事例と考えておりますので、解体せざるを得ない場合には、敷地被害として同様の支援が受けられるよう認定事務を行う、被災者生活再建支援法人に対して申し入れを行いたいと考えております。
 また、補修に相当の費用がかかるケースにつきましては、業界団体等と協力しまして、住宅補修専用・住まいダイヤルの活用を促しているところでございまして、こうした相談窓口を利用されることで、可能な限り安価な補修につながるものと考えております。
 今後、本市としましては、一部損壊を含めた被災者を対象に、現状の復旧状況、あるいは再建を行う上での課題及び求められる支援等を把握するために、無作為抽出によるアンケート調査を予定しておりまして、その結果を踏まえて、より効果的な支援に取り組んでまいりたいと考えております。
        〔藤山英美委員 登壇〕

◆藤山英美 委員  ありがとうございました。一部損壊世帯でも、場合によっては救済の道があるということがよくわかりました。
 これは、一部損壊の場合ということで、資料を5月18日現在でいただいているんですが、その中に書いてあるものの3番だと思いますけれども、なかなかこの内容がわかりづらいんです。別紙3をごらんくださいとなっていますけれども、別紙3を見ても、そのことについては書かれていないと思います。全壊、半壊、大規模半壊ということで、このような答弁のようなものはなかったものですから、実際は、みんなわかりやすく書いていただくとありがたいと思います。
 熊本地震により、本市は甚大な被害を受けました。その中で、私の地元であります秋津校区は、震源地に近いことから道路などの生活インフラを初め、住宅も大きな被害を受けております。多くの住民が自宅から離れ、別の場所へと引っ越しを余儀なくされているようでございます。
 私はこのようなことから、住民の移動状況を調べてみました。昨年の8月とことしの同期の人口統計で比べてみますと、市全体では昨年が73万4,510人、ことしは73万3,177人で、1,333人の減少でございました。
 次に、東区で見ますと、昨年19万1,225人がことしは18万9,775人になっており、1,450人の減少でございました。驚くことに、熊本市全体の減少幅より大きいことがわかります。
 さらに被害の大きい秋津校区を見てみますと、昨年の1万3,005人から1万2,285人へと、720人減っており、東区の減少の約半分を占めております。一つの町内が消滅したようなショッキングな事実が判明いたしました。また、5歳刻みの年齢区分のほとんどで減少しておりました。
 人口減少の要因の詳細分析は、これからの調査に譲るとしまして、これまで東区は人口増加傾向にありましたので、今回の人口減少の要因は震災によるものと想像されると思います。
 誰もが愛着のある熊本市に住み続けたい、長年住みなれた地域から離れたくないというふうに思っておられると思います。申すまでもなく、熊本市が目指す地域の活性化や、住民主体のまちづくりを進める上において、その主体となる住民が減少しては、ずっと住みたいまちづくりの推進は難しいのではないかと思います。
 そこで要望でございますが、今後、本市は震災からの復旧・復興へと大きく踏み出すことになります。震災復興計画を初め、さまざまな取り組みを進める上においては、人口減少の現実をしっかりと受けとめ、将来的な地域活性化に向けて、効果的な人口減少対策を講じていただくようお願いを申し上げます。
 次に、震災後の財政運営についてお尋ねいたします。
 本市は、昨年度、新たな熊本のまちづくりの基本指針となります第7次総合計画の策定や、地方創生を強力に推進するという国の考え方のもと、熊本市しごと・ひと・まち創生総合戦略を策定し、これからまさに他都市とともに切磋琢磨しながら、人口減少克服、地方創生という政策課題に真正面から取り組んでいくこととしておられました。
 一方、本市の財政状況はというと、本年3月に公表されました熊本市財政の中期見通しにおいて、今後5年間の収支は均衡しているものの、平成29年度が6億円、平成30年度が8億円の赤字収支が見込まれるなど、非常に厳しい見通しとなっていました。
 このような状況の中、御承知のとおり、本市は前震と本震の同時期発生といった未曽有の大災害に見舞われました。まずは、何より被災された皆様の一日も早い生活再建に向けたさまざま支援に取り組んでいく必要がありますが、同時に、被害を受けたインフラや、公共施設などの復旧や、本市の地域経済の回復など、復興にも迅速に対応していかなければなりません。
 震災からの復旧・復興を着実に推進していくための基本的な方向性につきましては、現在策定中の熊本市震災復興計画において示されることになっておりますが、同時に、本計画を推進していくためには、相当な経費とその財源が必要となってまいります。大規模災害には、復旧・復興に向けた国からの支援がありますが、少なからず本市の負担も発生することが見込まれます。
 例えば、インフラや公共施設の復旧などの事業については、市債の発行が急増することが想定されるとともに、国の補助を受けて実施する事業については、後年度に手厚い交付税による措置がある一方、単独事業については、その約半分が市の負担となることでございますので、市の財政運営への影響が心配されます。
 また、そのほかにも復旧・復興に必要な事業は多岐にわたっており、さらには、今回の補正予算で歳入面の影響もあることから、より厳しい状況が続くことが想定されます。
 震災前においても、政令指定都市として飛躍を目指した積極的な事業実施によって、厳しい見通しだった財政状況が、震災の影響により危機的な状況に陥っていると言えるのではないかと思っております。
 過去最大で113億円あった財政調整基金は、今回の取り崩しで26億9,000万円と、取り崩しを始めてから最低水準に落ち込んでおり、今後の財政運営などをどのように行っていくか、市の財政は大丈夫かと誰もが心配をしているところだと思っております。
 このような状況を乗り切るためには、国に最大限の支援を要請することはもちろんのことですが、本市においても、今まで以上に行財政改革に取り組むと同時に、被災した公共施設については、公共施設マネジメントの観点から大胆な見直しを行うなど、市長の大英断による取り組みが必要になってくると思います。
 そこで、本会議等でも議論がありましたが、まず熊本地震が今後の財政運営に与える影響について、改めて財政局長にお尋ねいたします。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  熊本地震が今後の財政運営に与える影響についてお答えを申し上げます。
 まず、歳入のうち、市税につきましては個人市民税、固定資産税等について、地震により住宅等に一定以上の被害があった方への減免による減収に加え、法人市民税につきましても、地震による企業の収益悪化の影響による減収が想定されますことから、平成28年度におきましては、当初予算と比較いたしまして約41億円の減収を見込んでおります。
 なお、市民税及び固定資産税の減免による減収分につきましては、歳入欠かん債を発行する予定でございまして、法人市民税の減収分については、翌年度の地方交付税の算定において精算されることとなります。その他、熊本城などの主要な被災施設における施設使用料等についても、今年度約13億円の減収があると見込んでいるところでございます。
 次に、歳出のうち、公共施設等の復旧事業費については、現時点で総額1,460億円と試算いたしております。そのうち、概算で150億円程度が本市の一般会計の実質的な負担額になると見込んでいるところでございます。
 そのほか、被災者支援や生活再建など、現在御議論いただいている復興計画に基づき実施いたします事業の内容を踏まえ、被害状況の詳細や国からの支援内容等が明らかになった段階で、復旧・復興に伴う本市財政の影響をお示ししたいと考えております。
        〔藤山英美委員 登壇〕

◆藤山英美 委員  ありがとうございました。いろいろ聞いてみますと、歳入の方は相当の減収になるような形になっております。
 また、公共施設等の復旧事業については、現時点で1,460億円と試算がありますけれども、平成27年度決算でも歳入の中の自主財源は1,266億円で、復旧事業がいかにお金がかかるかというものがわかると思います。
 また、被害状況の詳細を、また国からの支援内容が明るくなるということでございますので、これについても早急に対応をしていただきたいと思います。
 これまでも厳しい財政状況の中、事業の費用対効果を十分に検証し、事業の優先順位づけなどにより、限られた財源を効果的に活用し、財政運営を行ってこられたわけでございますが、先ほど財政局長の答弁で、熊本地震により、歳入歳出両面においてさらに厳しい状況になることが明らかになっております。当然、取り組むべき優先順位1位は、被災された市民の皆様の生活再建を初めとした復旧・復興事業であることは間違いございません。
 今後、最優先で復旧・復興事業に取り組んでいく必要がございますが、先ほど少し御紹介しましたとおり、国から経費全額の支援があるものではなく、本市の負担も相当積み上がっていくものと想定されます。
 震災前においても、他の指定都市と比較して、市税を初めとした自主財源比率が非常に低かった本市において、その財源を捻出することは並大抵の努力では追いつかないのではないかと考えており、これまでのようにシーリングにより単純な一律カットでは到底賄うことはできないと考えております。
 今回の補正予算では、マンパワーを震災関連事業に振り向け、熊本地震からの復旧・復興に最優先で取り組む必要があることから、本年度執行予定の事業の見直しも行われており、191事業において、事業費で100億円、一般財源で25億円を減額されているようですが、今後の復旧・復興経費を考えると、まだまだ足りません。これからさらに事業の一つ一つを再度検証し、事業そのものを抜本的に見直すことにより、この難局を何とか乗り切っていく必要があるのではないでしょうか。
 そのため、市長におれましては、大胆な事業の見直しを行う覚悟が必要になってくると同時に、不足する財源についてはさまざまな工夫を行うことによって確保していく必要があると思います。
 そこで市長にお尋ねしますが、今後の復旧・復興事業に必要となる財源について、どのような取り組みによって捻出していこうと考えられているのか、御答弁をお願いいたします。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  復旧・復興に必要な財源についてのお尋ねにお答えいたします。
 市民の皆様の生活再建を初め、熊本地震からの復旧・復興には、委員御指摘のとおり多額の経費が必要となりますことから、まずは国からの財政的支援が不可欠であると考えております。
 今後も、さまざまな機会を捉えて、復旧・復興に係る地元負担が、極力軽くなるよう強く働きかけてまいりたいと考えております。
 あわせて、本市においても、早期の復旧・復興を実現するためには、人員や財源等の行政資源を必要な施策へ重点的に配分する必要がありまして、その確保に向けて過去の大規模震災の被災自治体の事例も参考にしながら、あらゆる行財政改革の取り組みを進めていかなければならないと考えております。
 具体的には、市全体の事務事業や、仕事のあり方を根本から見直し、不要不急の事業の廃止や縮減はもとより、徹底した事務事業の効率化や人員の適正配置等を図るとともに、時間外勤務の縮減等を進めることで、復旧・復興のための各種事業を推進できるよう、必要な人員と財源を生み出してまいりたいと考えております。
 さらに、資産マネジメントの観点からの資産の有効活用や、さらなる歳入の確保策の検討に取り組むなど、あらゆる工夫を行うことで復旧・復興に必要な財源を確保し、被災された市民、お一人お一人の生活再建支援やインフラ等の復旧を初め、地域経済の活性化や雇用の創出など、一日も早い復旧・復興に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
        〔藤山英美委員 登壇〕

◆藤山英美 委員  ありがとうございました。大変な御苦労があるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いします。
 今後、市長は国からの支援とともに、事業の抜本的見直しやさまざまな工夫により、その財源を捻出していかれることかと思います。先ほどの答弁の中に、資産マネジメントの観点からの資産の有効活用とありましたが、今議会に追加提案されました、市民病院の移転再建につきましても、現在の管理棟はまだまだ新しく、利用することができることなどを踏まえ、現地での建てかえについて詳細な経費比較を行うなど、もっとしっかり議論する必要があったのではないかと、私は思っております。
 現地建てかえから、建てかえ凍結、そして震災後の5月14日の地元紙で突然の移転再建が発表されました。私は当初、移転用地については、無償もしくは減額譲渡で取得するもの、国と合意しているものと思っておりました。それで、拍手喝采だなと思っておりましたが、市民の皆様も同じような思いではなかったかと思っております。
 また、今後、復旧・復興事業に多大な経費が必要と見込まれる中において、(仮称)熊本城ホールの購入に約283億円、桜町地区再開発事業への助成に約126億円、用地費用を含めた市民病院再建約260億円、加えて、仮に市電を市民病院まで延伸した場合、距離は約1.5キロメートル、私の試算ではさらに60億円ぐらいはかかるのではないかと考えており、このような大きなプロジェクトを同時並行で進めていくことに対し、私を初め、市民の方々も十分納得されているのかと、疑問に思っているところでございます。
 また、買収価格を見ても、24億円は高過ぎるのではないかという声も聞きます。東区役所と比較しますと、東区役所は路線価が1平米の5万8,500円、買収価格は坪20万円、一方市民病院の移転予定地は、路線価が6万7,000円、買収予定価格は坪約33万円、距離にして数百メートル、価格が13万円も違うのはどうしてかなという思いでございます。買収するにしても、価格交渉の余地はあるのではないかと思っております。
 今後も、復旧・復興に関する財源の確保について、議会や市民に対して、十分な説明をしていただくようお願いしておきます。
 それでは、次に公共施設マネジメントに関する取り組みについて具体的にお尋ねいたします。
 第1回定例会で、市営住宅を中心とした公共施設の見直しについて質問を行った際、市長からは、この問題に果敢に取り組むとの答弁をいただきました。復旧・復興に多額の財源が必要となる中、これまでと同様の行財政改革だけでは、財源を捻出することはできません。この震災を契機に、公共施設を大胆に見直し、維持管理に要するコストを削減していく必要があるのではないでしょうか。
 例えば、復旧に多額の費用が見込まれる公共施設については、この際取り壊して、跡地の売却、施設の統廃合や集約等を進めていくことも考えなければならない状況だと考えます。
 先日、我々議員にも財政局で作成された施設白書が配付されました。その内容を見ますと、震災前のデータではありますが、各施設の運営コストや利用リストが明らかにされております。それぞれの公共施設の運営上の課題が示されております。
 今後、この施設白書をもとに、公共施設の見直しを進めていかれると思いますが、具体的なビジョンや目標がなければ、なかなか前に進めることはできないのではないかと懸念するところでございます。
 そこで、お尋ねいたします。現在、策定に取り組まれている公共施設等総合管理計画における具体的な取り組みや目標設定についてどのように考えておられるのか、財政局長にお尋ねいたします。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  公共施設等総合管理計画における具体的取り組みと目標設定に関するお尋ねにお答えを申し上げます。
 この計画は、今年度中に策定することといたしておりますが、その前段として、昨年12月に作成いたしました公共施設マネジメントに向けた基本的考えの中で、今後の公共施設の管理方針として3つの取り組みの柱をお示ししているところでございます。
 1つ目の柱は、資産総量の適正化でございまして、保有する公共施設については、統廃合や集約等を通じて見直しを進めるとともに、土地につきましては、復興財源確保の観点からも積極的に売却していくこととしております。
 2つ目の柱は、施設の長寿命化の推進でございまして、大規模な補修が必要となる前に手を入れるといった予防保全の導入や、点検、修繕手法の見直し等により、公共施設を長く使えるような取り組みを進めてまいります。
 3つ目の柱は、運営に要する総コストの削減でございまして、具体的にはPFIやPPPといった民間活力の活用や、使用料等の受益者負担の適正化等を通じて、市の財政負担の軽減につながる取り組みを進めていくことといたしております。
 これらを基本的な方針としつつ、今後の公共施設の更新費用の推計結果を踏まえまして、公共建築物の延べ床面積を40年間で2割削減すること、公共建築物の目標耐用年数を70年間とすることを、計画の目標として掲げることといたしております。
 また、震災における被災状況や復興計画を踏まえました、公共施設のあり方についてもあわせて検討いたしまして、公共施設の適正化に向けた取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
        〔藤山英美委員 登壇〕

◆藤山英美 委員  ありがとうございました。財政事情、本当に全てが喫緊の課題だと思っております。
 この施設の公共建築物、延べ床面積を40年間で2割削減と。公共施設建築物の目標耐用年数を70年間ということで、目標を掲げておられますけれども、私たち60歳以上の議員も多数おられますけれども、40年後、70年後にこの成果を見ることは難しいのではないかと思います。
 財政運営のツケを子や孫に回さないように、公共施設等総合管理計画をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。ツケを回さない、このことで、御努力をいただきたいと思います。いろいろ皆さんが心配されておることはいっぱいあると思いますけれども、私も、この熊本市の財政が健全化をなされるように願っております。
 質疑を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○三島良之 委員長  以上で、くまもと未来、藤山英美委員の質疑は終わりました。
 次に、日本共産党熊本市議団、上野美恵子委員の質疑を行います。持ち時間は25分となっております。
        〔上野美恵子委員 登壇 拍手〕

◆上野美恵子 委員  日本共産党熊本市議団の上野美恵子でございます。
 時間の関係で、2番目の質問は割愛することになるかと思いますが、御了解いただきまして、早速補正予算が提案されておりますMICE(仮称)熊本城ホール整備、桜町再開発について質問いたします。
 今議会には、熊本地震復興に関する補正予算が105事業、731億78万円提案されています。5月の専決と6月補正の269億4,400万円、市民病院建てかえにかかわる補正26億1,553万円と合わせれば、1,027億3,753万円の復旧・復興予算の提案がこれまでになされております。
 莫大な復旧費に対して、激甚災害指定による国の支援があったとしても、本市負担がかなり大きなものになることは間違いありません。現在、提案されております復興計画にはいろいろ指摘がありましたように、財政計画が示されておらず、大災害からの復旧・復興を、本市がどのように進めていくのか、その財政的な裏づけはどうなっていくのか、議会はもちろん多くの市民も不安を持っております。
 特に、熊本地震発災前から本市の一大事業として計画が進められてきたMICE施設(仮称)熊本城ホールの建設は、熊本市が450億円を費やす、市政史上最大の箱物建設整備となることから、今議会でも複数会派から財政的な負担を心配する意見が出されております。
 しかし、市長の答弁は、市民や議会を到底納得させるものではありません。そこでお尋ねいたします。
 まず、整備の効果についてです。
 1、桜町再開発など、今後実施される大型投資事業は、幅広い民間投資を呼び込むと述べられていましたが、どのような形で、どの程度の民間投資が呼び込まれ、地域経済活性化に具体的にどのような効果をもたらすのか、御説明ください。
 2、桜町再開発事業の(仮称)熊本城ホール整備での経済波及効果が170億円、再開発事業全体の経済波及効果が500億円と試算されると答弁されました。経済波及効果の効果額の積算根拠と、熊本の地域経済への効果がどの程度になるのか、具体的に御説明ください。
 また、(仮称)熊本城ホールの経済波及効果は、いつ算定されたのでしょうか。また市債返還も含めた(仮称)熊本城ホール整備の収支バランスをお示しください。
 3、再開発事業ができなくなった場合、新規雇用や関連企業においては、約1,700人の雇用が危ぶまれると答えられました。新規雇用がどこで何人と想定されているのか、関連企業での約1,700人の雇用の中身とはどのようなものか、その積算根拠をお示しください。
 4、昨年9月の予算決算委員会総括質疑では、年内をめどにどういうテナントが入るのか、説明が当然なされると思うと答弁されました。3月の一般質問でも、テナント誘致は協議中で、キーテナントも決まっているという答弁ではありませんでした。何度も言いますが、保留床、権利床も含め、商業施設部分のテナント誘致がきちんとなされるかは、再開発事業成功のポイントであります。具体的な企業名ということではなく、商業施設部分のテナント誘致がどの程度の割合で事業者が決まっているのかお答えください。
 また、決まっている事業者のうち、地元企業の占める割合はどの程度になっていますか。市長に伺います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  まず、桜町地区再開発事業などによる民間投資の地域経済活性化に対する効果に関して、お答えをいたします。
 桜町地区再開発事業等の投資事業は、一般的に事業によって直接的に生産、雇用及び消費の創出などの民間経済活動を誘発することになります。また完成後も(仮称)熊本城ホールに加えまして、バスターミナル、商業施設、住宅などの都市機能の更新によりまして、市民の生活環境の改善、防災性の向上、交流人口の増加による経済活動の活発化など、復興にとって大きな効果につながるものであると考えております。
 このようなことから、これまで答弁をしてきましたとおり、桜町地区再開発事業は、完成後、年間約500億円の経済波及効果をもたらすものでありまして、震災により打撃を受けた地域経済の活性化や、雇用の創出といった熊本地震からの復興を力強く推進する効果があると考えております。
 次に、経済波及効果の積算根拠と、地域経済への効果についてのお尋ねにお答えいたします。
 再開発事業全体の経済波及効果、年間約500億円のうち、(仮称)熊本城ホールの経済波及効果、年間約170億円につきましては、本市が想定催事ごとの参加者数、事業費などをもとに、観光庁のMICE経済波及効果測定モデルを用いて算出したものでございます。
 その他につきましては、事業者が想定売上高などをもとに、産業部門、例えば商業施設、あるいは宿泊施設等ごとに、熊本県の産業連関表を用いて算出した経済波及効果を合計したものでございます。
 次に、整備の収支バランスについてですが、元利償還金の試算と、(仮称)熊本城ホールの収支見通しにつきましては、保留床購入費約283億円の財源として見込む市債228億円の元利償還金について、あくまでも想定でございますけれども、想定利率1.0%、元金均等償還払いで借り入れた場合の利子総額は、20年償還で25億1,000万円、30年償還で36億5,000万円と試算をされるところでございます。また元金利子を合わせた年間の平均償還額につきましては、20年償還で年間12億7,000万円、30年償還で年間8億8,000万円と試算をされます。今回の見直しによって、第1回定例会でお答えをいたしました時点よりも、20年償還で1億2,000万円、30年償還で9,000万円の減額となっております。
 また、(仮称)熊本城ホールの利用料収入につきましては、他政令市のコンベンション施設の平均単価をもとに、年間約5億3,300万円、維持管理経費につきましては、類似施設等の実績をもとに、年間約5億2,300万円、仮に積み立て形式を採用するとして、大規模改修工事積立金につきましては、年間3億300万円との試算をお示ししてきたところでございます。この試算によりますと、維持管理経費は利用料収入で賄っているところでございます。
 次に、再開発事業による新規雇用と関係企業の雇用に関してお答えをいたします。
 事業者におきましては、再開発事業全体での雇用は約1,600人と想定しておりまして、このうちの多くが新規雇用となっております。
 また、関連企業の雇用、約1,700人につきましては、九州産業交通ホールディングス株式会社と、その連結子会社8社の正社員、パートタイマー、臨時従業員等の合計でございます。
 次に、テナントの誘致に関してお答えをいたします。
 以前にも答弁申し上げましたとおり、一般的に具体的な事業者名はオープン直前にしか公表されないところでございますが、商業の核となるテナントにつきましては、特定のものと具体的な協議を進められているところとお聞きをしているところでございます。テナントへの地元企業の参入につきましては、テナント構成を計画される上で、地元企業も優先的に出店される場所を設けたいとお聞きしておりまして、より多くの出店者が出られるよう期待をしているところでございます。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  具体性を欠いた御答弁であったかと思いますので、ちょっと不十分だと思いましたので、続けてお尋ねいたします。
 本市が2014年3月に策定したMICE施設整備基本計画では、費用対効果について算定がされています。大西市長が行われた見直し前の数値による算定ではありますが、その時点での波及効果が約160億円との試算です。その場合、MICE施設利用者のうち、ミーティングとしてくくられている一般会議、試験、研修、表彰会などは、利用者の消費による経済波及効果はあるものの、市民、地元企業等の利用が多数と想定しているために、本施設での経済波及効果の試算には加えないとされております。
 そういう考えに立つならば、波及効果の試算に加えられておりますコンサートやこどもフェア、子育てフェア等のイベントや、フリーマーケット等の展示会は参加対象がほとんど市民と思われるので、一律に波及効果に加えていいものか疑問です。
 2015年3月の見直し時点で算出したとのことですが、観光庁のMICE経済波及効果測定モデルは、2014年7月にバージョンアップされまして、経済波及効果を都道府県、開催都市別にも算出が可能となり、計算結果も経済波及効果の直接効果、間接第1次効果、間接第2次効果、粗付加価値誘発額、就業効果、税収効果などが、図表によってわかりやすく示されるようになりました。170億円の経済波及効果については、内容をきちんと検証するためにも、測定モデルにおける入力データの内容、試算に加えた想定催事の内容、日程、参加者、使用施設の面積等をきちんと示すべきではないでしょうか。
 また、測定モデルによる実際の算出データを資料として提供し、説明責任を果たしていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。市長に伺います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  今委員からも、この経済波及効果の内容については、もっと詳しく詳細に、いろいろな根拠をもとに、このMICE経済波及効果測定モデルを用いて、算出した中身について示すべきだというようなお話でございました。
 震災前にこれは算定をしたものでございます。今後、委員からの御指摘も踏まえまして、そうした経済波及効果が適切に算出できますように、さらに検討してまいりたいと考えております。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  昨日、紫垣委員の答弁に対しまして、議会に御理解いただける資料は誠実に示しているとお答えになりましたので、今後の見直し等は別としても、一旦、昨年3月に計算された、平成27年3月の分の算出データについては、資料としての御提供をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  担当の方と協議をしまして、出せる部分に関しては当然のことながら資料を提供させていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  熊本市が計算をした、熊本市の熊本城ホールの経済波及効果のデータの積算なので、それは当然開示情報ですので、後日議会に対してお示しいただきますようにお願いいたします。
 それから、再開発による新規雇用を約1,600人と想定しているという答弁であります。しかし、県民百貨店だけでも1,000人、センタープラザなど、再開発事業の実施によって、桜町地区から締め出された方々はほぼ同数と考えられますので当然です。
 関連企業の約1,700人の雇用というのは、九州産交ホールディングスとその連結子会社8社の全従業員ということですが、再開発事業を実施しなければ、なぜ産交グループの従業員の雇用が危なくなるのでしょうか。再開発事業者からの説明ということのようですが、桜町再開発が実施されなければ、バス事業も含めた産交グループの従業員全員の雇用が危なくなるというのは、余りにも暴論ではないでしょうか。
 グループ全体の大部分を占めるのが、従業員1,000人以上を抱えるバス事業です。公共交通を担うという事業の性格上、赤字路線へは補助金も出されて、赤字に陥ることを予防する仕組みになっています。再開発をしなければ、社員全員が路頭に迷うようなことは、絶対にありません。
 また、九州産交グループの公開された直近の財務諸表を見ますと、桜町地区の地権者になっているランドマークを除き、他のグループ企業は全て黒字です。再開発をやっていない今でも、事業がきちんと継続されている産交グループで、桜町再開発が実施されなければ、産交グループの全企業が倒産するようなことは考えられません。再開発事業を実施しない場合、産交グループの構成企業の社員全員の雇用が奪われるような要因、理由というのは何でしょうか。
 また、再開発による新規雇用1,600人のうち、地元からの雇用がどのくらいあるのでしょうか。市長に伺います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  ただいま御答弁しましたのは、この再開発事業全体での雇用が約1,600人と想定しておりまして、このうちの8割近くが新規の雇用になるのではないかということで伺っているところでございます。
 それから、関連企業の雇用者1,700人についてのお尋ねでございますけれども、当然、この再開発会社の中核でもあります、この九州産業交通ホールディングス株式会社と、その連結子会社の正社員、パートタイマー、臨時従業員、これが約1,700人ということでありますが、当然これだけ大きな事業でございますので、それに、この再開発事業が中止などをした場合には、大きく影響があるというふうに考えているところでございます。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  少なくとも、どんなに企業が厳しくなっても、公共交通を担っていく1,000人以上の従業員を持っているバス事業については、そんなに簡単に潰れたりしない、そういう仕組みで熊本市も補助金を出しているということを、市長もしっかりとお勉強していただきたいと思います。
 先日の一般質問では、HIS本社を熊本にという質問もございましたが、議会としても桜町再開発やMICE熊本城ホールの整備が本当に熊本の地域経済に貢献するのか、真剣な思いで心配しております。桜町再開発は、県民百貨店、センタープラザテナントほか、千数百人の雇用を桜町地区から奪ってスタートしたわけですし、同程度の雇用がそこで生まれることは当然ですが、それが地元の雇用であって初めて雇用を確保したと言えるのではないでしょうか。
 しかし、そこは全く不透明であります。テナントの誘致もほとんど毎議会質問してきましたが、協議中とか期待しているとか、不透明な答弁の領域を一歩も出ていません。四百数十億円の事業費を市が負担し、市が保留床を取得しなければ事業の成立さえ難しいと市が明言しているのに、多額の事業費だけを負担し、四百数十億円の出資者である市民には、事業内容やその進捗をほとんど説明しないというのは、全く理解ができません。
 観光庁の経済波及効果測定モデルでは、税収効果も示されるようになっていますが、地元が事業にさまざまな形でかかわらなければ、本市における税収増見通しも変わってくるのではないでしょうか。
 財政計画では540億円とされていた工事費を初め、コンサルタント、設計、鑑定その他、再開発事業費のほとんどは県外の大企業が担います。商業施設部分に地元事業者が参加しなければ、でき上がるビルの床もほとんどを県外業者が占めて、誰のための再開発なのかと、またまた疑問になってきます。
 市長は、保留床の取得金や、起債の償還でも節約をしたと言われますが、見直し前の計画では、市債の利息まで含めれば480億円から490億円もの事業費をつぎ込む市政史上最大の箱物です。しかも市長就任直後の見直しで、減るかと思っていた事業費が9億円もふえていたのですから、節約して当然です。今回の節約分を入れても、450億円から460億円ものお金が必要となるのですから、その負担の大きさ、市財政への影響を認識していただきたいと思います。
 今回、再開発全体の事業費はふえて、755億円となったそうです。そのうち、補助金も含めれば市の負担は424億円、何と総事業費の6割近くを負担するわけです。言いかえれば、再開発全体の床のわずか19%を取得するのに、事業費の6割近くを出すわけです。しかも、これだけの負担をしながら、再開発の恩恵を受けるのはHISという大企業や、建設を担うスーパーゼネコン大成建設などです。
 市長は、MICE整備をしなければ、地域経済に甚大な影響を及ぼすと言われますが、地元中小企業の経営者からも、MICEはやめた方がいいという声が上がっています。そのことも御認識いただきたいと思います。
 続いて、再開発事業の見通しについて伺います。
 1、市長は、一般質問で(仮称)熊本城ホールの事業継続、延期、中止とした場合の、地域経済や本市財政運営等に与える影響などを踏まえ、改めて熟考したとお答えになりました。熟考の材料にされた事業継続、延期、中止とした場合の影響予測について、具体的なデータを示し、御説明ください。
 2、MICE施設の利用見通しと、想定催事件数の積算根拠をお示しください。
 3、MICE施設の想定催事件数は、展示会やミーティングなど、メーンホール以外の会議室、展示スペースも含めた分を年間1,484件とされております。このうち、メーンホールでの催事開催予定件数をお示しください。市長に伺います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  熊本城ホールの整備を含みます当該再開発事業は、1日約4万人の利用がありますバスターミナルのリニューアルなど、公共性が高い事業でありますとともに、2核3モールの一角を担う拠点施設の再整備でございまして、地域経済の活性化、都市の知名度、さらには国際化などにも寄与することから、これまでも本市の重要な都市戦略の一つとして、都市計画決定や施行認可等を経て推進をしてきたところでございます。
 このような中、熊本地震が発生をいたしまして、復興特需の減速が懸念される三、四年後の地域経済の状況を考えれば、震災前にも増して、当該事業の重要性は高まったものと認識したところでございます。
 発災から3年後に完成する本事業は、先ほども答弁させていただきましたとおり、約1,600人の新しい雇用を創出し、(仮称)熊本城ホールだけで年間約170億円、再開発事業全体では約500億円の経済波及効果があると、先ほども答弁したとおり試算をされておりまして、また平成33年春に完成予定のJR九州による熊本駅周辺開発との相乗効果によって、復興を加速させ、持続的に地域経済を底上げすることが期待できます。
 一方で、(仮称)熊本城ホールの整備を中止した場合、先ほど申し上げました経済的な効果等が発揮されないばかりでなく、市は、法に基づき再開発ビルを完成させ、既に解体された建物にあった権利を保全しなければならないという監督責任を負うものでございます。
 しかしながら、市が撤退をし、事業信頼性が低下している中で事業を成立させなければならないという非常に困難な事態になることが想定をされます。判断を延期した場合におきましても、ホール整備のめどが立つまでは、新築工事の着工を控えざるを得ず、完成時期も定まらないこととなります。
 こうした再開発事業全体の成立性に対する懸念などから、出店予定のテナントや本市以外の保留床取得予定者、さらには施工予定者とも協議が途絶えてしまい、再開発事業そのものが継続できなくなる可能性が極めて高くなるものと考えております。
 また、中止、延期のいずれの場合におきましても、現在九州産業交通ホールディングスの主力事業であります再開発事業区域内からの不動産収入が途絶えておりまして、加えて再開発会社が、既に約70億円の借り入れを行っていること等から、事業がおくれればおくれるほどそのコストが増大し、経営悪化を招くことが想定されます。
 ひいては、約1,700人とも言われる、先ほども答弁いたしましたけれども、その雇用を抱える企業体、全体に多大な影響を与える、あるいは復興期にある地域経済の回復や、本来加速されるべき復興に大きなブレーキがかかることが懸念をされます。
 このようなことから、復興を力強く推進する本事業を短期的な収支だけで先送り、あるいは中止することは逆に長期的に地域経済に大きな悪影響を及ぼす可能性が高いことから、一時的な財政負担がかかったとしても推進すべきであると判断をしたところでございます。
 さらに、平成31年度には、世界的なスポーツイベントが本市で開催をされる予定でございまして、世界中から本市を訪れる多くの人々を、(仮称)熊本城ホールを含む再開発施設でおもてなしし、震災から復興する姿を力強くアピールする機会でもあると考えているところでございます。
 それ以降につきましても、官民一体となりまして、想定している以上の雇用創出や経済波及効果を生み出すよう、大規模コンベンションやイベント等の積極的な誘致活動等に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、利用見通し、想定催事件数の積算根拠についてのお尋ねでございますが、熊本城ホールの想定催事件数は、平成26年3月に策定をいたしましたMICE施設整備基本計画におきまして、他都市類似施設の利用状況や本市の需要等を勘案し、算出した件数につきまして、昨年3月の精査再検討におきまして、改めて興行関係者や文化関係者、類似施設管理者等にヒアリングを行い、また他都市類似施設の視察等も行い、一部修正を行ったところでございます。
 メーンホールでの想定催事件数は、基本計画時点で87件と見込んでおりましたが、精査再検討の際、興行関係者や類似施設管理者等に対するヒアリングにおける意見を受けまして、コンサートを22件増加させまして、総会、大会を5件減少させたことにより、トータルで104件と想定をしたところでございます。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  何が何でもMICEを断行するという御答弁でしたので、続けてお尋ねいたします。
 メーンホールでの催しが年間104件とのお答えです。市民会館大ホールは、昨年度の実績で、年間の利用日数が246日で272件の利用があり、稼働率は75.5%でした。利用見通しで熊本城ホールは、市民会館の4割弱しかありません。しかも、会議や大会で2,000人規模以上は、わずか27件しか想定されていなく、それ以下は市民会館など、他のホールでも対応できるものです。コンサートも2,300人規模が60件となっておりますが、必ずしも2,000人規模のものばかりではないと思います。
 市政史上最大の投資をしながら、この程度の利用で施設が必要だと言えるのでしょうか。また言うまでもなく、MICEというのは、企業等の行う会議や研修旅行、国際機関や団体、学会等が行う国際会議、展示会や見本市、イベント等、多くの集客を見込むビジネスイベントなので、海外からの集客なども呼び込んでいくものです。
 しかし、本市のMICE施設は、メーンホール利用104件のうち、MICE事業と言える学会、国際会議や大会などはわずか44件で、コンサートの60件がメーンホールの6割を占めています。コンサートがノーとは言いませんが、MICE誘致による交流人口の増加という本来の目的から見て、妥当であると言えるのでしょうか。
 また、経済波及効果にもつながりますが、市民が参加するコンサートは宿泊もなく、学会、会議、大会といった宿泊を伴い、県外からの参加者を呼び込むMICEとは、経済効果も大きく違うはずです。この点を市長はどのように説明されますか。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  先ほどお示ししましたトータルで104件ということで、メーンホールの想定催事件数をお示ししておりますけれども、当然、市民会館でありますとか、それからその他の施設等ともいろいろと協調をしながら、大きな学会でありますとか、そういったものが開催できるようにするというのが全体的な計画でございます。
 ですから、そのメーンホールも当然この想定よりも多く活用されるように努力することは言うまでもございませんし、またコンサートの方が実際には宿泊等につながらないというようなお話もございますけれども、今やライブエンターテインメント、こうしたものは、あらゆる地域からたくさんの皆さんがお越しになるということもございますので、一概にそのような効果がないというふうには考えていないところでございます。
 いずれにいたしましても、今後こうしたこのメーンホールの想定の催事件数は、この想定を超えるように全力で頑張っていきたいと考えております。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  メーンホールは、特に余りにも少ない想定ですので、今想定を超えるというふうに言われましたけれども、そうしないと何でMICEをつくったのかと言われかねませんので、つくるのならば、その点は頑張っていかれた方がいいかなと思います。
 今、全国的にもMICE施設がふえて、建設計画も各地で進められています。一方で、MICEの開催件数は、必ずしもふえてはおらず、MICEの誘致競争は激化をしています。
 国は、2013年6月に、東京、横浜市ほか、全国7都市をグローバルMICE都市に選定し、国際的なMICE誘致競争を勝ち抜く都市として、誘致力向上のための支援策を実施してきました。
 さらに、昨年6月、札幌市、仙台市、千葉市、広島市、北九州市を、グローバルMICE強化都市に選定したところです。後追いになってしまったMICE施設は、市に多大な財政負担をもたらす一方で、真のMICE事業の施設として激化をする誘致競争の中で、果たすべき役割を果たしていけるのでしょうか。この点について、市長の考えをお伺いいたします。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  ただいま、全国のMICE事業の誘致ということに関してお尋ねございましたけれども、当然のことながら、各地でさまざまな施設が整備をされているのは私も承知をしておりますし、そうした特区、あるいはそうしたエリアが、みんなで力を入れながら、全国的にMICEの誘致をしているというのは、国内間での競争の激化ということを生んでいることも事実でございます。
 ただ、インバウンドも含めてですけれども、本当に多くの国内外からのお客様をこの日本に呼び込むという、これは国家戦略でもございますけれども、そうした中にありましては、やはりこのMICE施設というもの、特に熊本においては、この熊本城ホールというものは、福岡、あるいは北九州、鹿児島、九州新幹線を通りますこのルートの中でも、非常にポテンシャルの高い場所であるというふうに思いますし、福岡の方でも、相当この受け入れ自体が、供給力が不足しているというような状況もございます。
 そうした中にありましては、逆に言えばオール九州で考えたときには、この熊本の熊本城ホールというものは、確実にポテンシャルのある施設だというふうに考えておりますので、今後、委員御指摘のとおり戦力性を持って、こうした誘致にも全力的に頑張っていきたいというふうに思いますし、この震災からの復興という大事な局面にあっては、この震災の記憶を風化させないためにも、こういう施設を通じて、今後さまざまなイベント、あるいは講演会、例えばそういう国際的な防災の学会であるとか、災害、地震、そういったものの大会等も呼び込むこともしっかり頑張っていかなければならないと考えているところでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  全国の状況については、市長も御存じだと御答弁はなさいましたけれども、確かに市長は、熊本はポテンシャルが高いというふうに評価をされておりますけれども、一つ九州は、非常に全国的に見ても、MICEの競争が激化をしている地域だということも認識しておかなければならないと思います。
 最近できました久留米のコンベンション施設は、初年度、非常にやはり誘致に苦労されまして、確かに都市の条件とかいろいろなMICE誘致の条件は、熊本市と違っているかとは思いますけれども、やはり新規の施設が苦戦をしていくということは、そのMICE誘致が非常に厳しいということを、私は示しているんではないかというふうに思っています。
 特に、私が今回指摘をしましたように、残念なことに熊本市は学会や国際会議等の誘致が大変難しくて、大きなものを多数は呼べないということを、やはりメーンホールはコンサートで補っていくんだという、そういう形にしている。これは、そもそも私どもが、市が大会議場をつくるといったときに説明を受けたMICEを推進していくんだという、基本的な考え方にも本当に合致するのかという、そこに私は疑問を持っています。
 MICEが単なる箱物ではいけないということで、雑誌ですが「Wedge」というのがありまして、その中で、このMICE行政の関係者の方がこういうことを言われておりました。「日本の至るところでMICE施設が建設されていけば、行く行くは誘致競争に負けた施設が地元の催しものを行う公民館のような施設として使用される可能性も高い。」という厳しい指摘をされておりました。
 また、市長は、先ほど答弁でも平成31年度開催の世界女子ハンドボール世界大会や、ラグビーワールドカップなどの大型国際スポーツイベントが本市で開催される予定で、世界中から来熊される観光客の方を、官民連携してもてなす取り組みを計画していると。MICE施設とスポーツイベントのこの関連というのを非常に強調されていますけれども、スポーツコンベンションの開催に、大会議場であるMICE施設の整備が本当に必要なんでしょうか。このことには、市民も疑問を持っていると思います。
 熊本市の、今のMICEの開催のおよそ半数はスポーツ系であることを改めて認識しなければならないと思います。MICEがなければスポーツの大会が開催できないというのならともかく、MICE施設ではなくてもおもてなしは十分にできるということも、御認識をしていただきたいと思います。
 続いて、財政面での問題でお尋ねいたします。
 ことし3月に公表されました中期財政見通しでは、収支バランスすると見込んでいたが、地震の災害により多額の復旧・復興経費が必要となることから、復旧・復興における本市負担の軽減を国に要望すると述べられておりましたように、地震の発生によって、中期財政見通しは大きく変わらざるを得ません。そういう中で、MICE施設は必要と考え、震災復興計画に含めたと言われております。
 震災の復旧・復興による財政計画の収支バランスが崩れると思われる中で、補助金を含め四百数十億円の支出を賄うために、何を削って何を確保するとお考えになったのでしょうか。市長に伺います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本年3月に公表いたしました財政の中期見通しは、この熊本城ホールの整備を含め試算をしたものでございまして、今後5年間で見ると、収支がバランスをすると見込んでいたものでございます。
 しかしながら、御承知のとおり、今回の熊本地震の影響によりまして、多額の復旧・復興経費が必要となりますことから、この本市の負担の軽減に向けては、たびたび答弁をさせていただいているとおり、国に対しまして、最大限の財政的な支援を強力に要望してまいりたいと考えております。
 あわせまして、過去の大規模震災の被災自治体におきましても、大規模な投資を行いながら、国からの手厚い支援とみずからの行財政改革によりまして、財政破綻することなく震災からの復興というものが進められておりまして、本市におきましても同様に、国からの支援を受け、重点プロジェクトに取り組みつつ、市全体の事務事業や仕事のあり方を根本から見直すなど、あらゆる行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 このような取り組みを一体的に進めることで、復旧・復興に必要な人員や財源を確保するとともに、地域経済の活性化や雇用の創出等によりまして、中長期的には財政支出を好転させることで、決して将来世代に過度な負担を残さない、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  行革の内容については、具体的な御答弁ではありませんでしたけれども、多額の復旧・復興費が必要となるので、本市負担の軽減に向けて、国に最大限の支援を強力に要望するとの答弁でした。
 確かに、国の支援を強く要望していくのは必要なことです。しかし、国の支援にも限りがあると思います。直近の大災害であった東日本大震災、その被災自治体で政令市でもある仙台市の災害発生直後の2011年度の3月補正時の予算では、一般会計当初予算額4,412億円に、1年間で災害救助復旧等の災害対策の補正が2,245億円組まれていました。その財源の内訳は、国庫支出金が1,020億円、県支出金が218億円、一般財源が202億円、市債が803億円で、約半分の1,000億円超が市の負担です。
 東日本大震災は、被害総額が16兆9,000億円と推計され、桁違いの大災害となったことから国の支援も大きかったようですが、後年度の交付税措置があるとはいえ、市債約800億円が大きな役割を占め、当面は自治体が借金をして国の支援は後からということで、財政の運用が大変厳しかったようです。
 東日本大震災を上回る支援措置の見通しがあるのでしょうか。
 市長はまた、MICE整備も含めた復興計画遂行のために、あらゆる行財政改革に取り組むと言われております。事務事業や仕事のあり方を根本から見直し、不要不急の事業の廃止や縮小、徹底した事務事業の効率化、人員の適正配置、時間外勤務の縮減等を進めるということです。
 しかし、これまでも行財政改革は、鋭意力を入れて取り組まれ、業務も人も財政も削られてきました。これ以上の行財政改革で、果たして行政サービスの質を守っていけるのか、疑問であります。
 今議会に提案された約730億円の復旧・復興予算のうち、熊本市の負担となるのが、一般財源と市債返還に係る本市の負担分等で、約120億円とのことだと聞いております。熊本地震前に作成された中期財政計画では、今年度の財政収支見通しは、わずか1億円のプラスです。赤字ぎりぎりの見通しです。
 100億円を超える自治体負担は、大変大きいと思います。今後、12月や3月の補正にも、引き続き復興費が計上されていけば、当然市の負担が発生していきます。復興財源捻出のために、今回の補正にあわせて各局の当初予算が約100億円削減されています。内容はさまざまです。
 昨日の総括質疑でも一部質問がありました。それに、市営住宅の修繕や、老朽化をした施設の修繕などの補修関係や、中止となったイベントの経費など、今回削った分の多くは次年度以降に実施が求められるものです。関係局も次年度の予算措置を心配されているのではないでしょうか。
 今回先送りした予算の確保が、次年度きちんとなされる見通しがあるのでしょうか。市長に伺います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  今回の平成28年度の当初事業の見直しというのは、あくまでもこの被災者の生活再建等の震災からの復旧・復興事業にマンパワーを集中するため、各局が主体的に事業の優先度や効果、適時性等の観点から検証いたしまして、事業の先送りや縮小等の見直しを行ったものでございます。例えば、先ほど御質問にもありました熊本城ホールの財源を捻出するための見直しでないことも確かなことでございます。
 今後、第1回定例会で議決をいただきまして進めてまいりました当初予算のうちでも、当然さまざまな見直しが必要になってくるとは思いますけれども、やはりこの市民の生活再建のために最優先で取り組んでいかなければならない、この復旧・復興の事業、それと同時に通常の市民の生活をしっかり守っていく事業については、きちんと財政的な措置をしていくということは、これは言うまでもないことであると考えております。
 今後、さまざまな努力をしなければならないことは、先ほど上野委員の御指摘のとおり、さきにいろいろな東日本大震災でありますとか、阪神淡路大震災、中越地震等々で、大きな災害によって被災をした自治体の先例がいろいろとございます。
 私も、各自治体のそれぞれの市長の皆さん方、あるいはいろいろな資料もいただきながら、また執行部もそうした、どういう工夫をしていけばこの復旧・復興を進めて、そしてまた将来にツケを残さないでいけるのかということを、しっかり努力して考えてまいりたいというふうに思っておりますので、なかなか厳しい財政運営になるのは、これはもう間違いもないことでございますけれども、どうぞ、今後も引き続きこの地元負担、この熊本市の負担分ということについては、できる限り軽減をするように、国に強く働きかけてまいりたいというふうに思いますし、県の方でも、現在復興基金ということで、昨日から県議会が開会をされまして、これから審議なさるということであるというふうに思いますけれども、国、県それぞれに働きかけながら、熊本市のこの復旧・復興に向けた財源の確保に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
        〔上野美恵子委員 登壇〕

◆上野美恵子 委員  地震発災前に計画された市政史上最大の箱物を、地震の復旧・復興という大事業の中で、復興という冠をつけて、従前の計画どおりに進めていくことには、大きな無理があると思います。
 地震の復旧・復興の全体事業費がわからない、事業費に対する国の支援も不透明、県に設置される基金がどれだけ本市の支援に使われるのかもわからない、本市の負担がどうなるのかもわかりません。そういう中で、地震で壊れたものでもないMICEに、450億円も何が何でもつぎ込むということに、異論が出るのは当然ではないでしょうか。
 しかも、再開発事業者のために60億円もの資金を無利子で提供しようということまで聞けば、市民はどう思うでしょうか。私どもが現在行っている市民アンケートにも、生活や住まいの再建などを強く要望されておりますが、MICEを急いでほしいという項目に丸をつけている方はほとんど見られませんでした。
 私たちは今後も、適切な事業の復興・復旧のために、市民の声に応える立場で頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
 これで質疑を終わります。

○三島良之 委員長  以上で、日本共産党熊本市議団、上野美恵子委員の質疑は終わりました。
 次に、くまもと創生、田中敦朗委員の質疑を行います。持ち時間は20分となっております。
        〔田中敦朗委員 登壇 拍手〕

◆田中敦朗 委員  くまもと創生の田中敦朗でございます。時間が20分しかございませんし、午後まで約30分しかありませんので、簡潔明瞭に質疑をさせていただきたいと思います。
 熊本地震が起こって間もなく半年になろうとしていますが、その間に、この決算を行い、さらには補正予算をするということは、本当に市役所の皆さん、大変なことだったと拝察いたします。
 その中でも、やはり決算は決算ということで、平成27年度をしっかり振り返りながら、質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、決算状況報告書についてお伺いいたします。
 決算状況報告書においては、これまで数回決算のたびに、私、さまざまな指摘をさせていただきました。私の意見に対応していただいて、成果指標が未達成の要因という項目をふやしていただきまして、何が足りなかったのか、担当課が何を考えているのかが大分わかるようになってきました。決算の際、大変参考になっている次第です。
 これを、毎年作成する各担当課、そしてそれを取りまとめる財政課は、本当に大変だと思いますし、財政課はさまざまな指導をしながら報告書の形にするという苦労は、想像を絶するものだと感じている次第です。
 予算執行、そして決算、一つの流れの集大成でもある決算状況報告書、今定例会に上程している平成27年度の決算状況報告書、自己採点で何点でしょうか。財政局長にお伺いいたします。

        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  決算状況報告書の評価についてお答えを申し上げます。
 自己採点でということでございますが、点数化することは差し控えさせていただきますが、決算状況報告書は総合計画に基づく実施計画におきまして、ここに示された事業の目的、実績、成果及び達成状況などを記載いたしておりまして、決算状況を御審議いただくための重要な資料でありますことから、作成に当たりましては見やすく、わかりやすい資料となるように心がけているところでございます。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  差し控えさせていただくということですけれども、皆さんも御存じのとおり、各事業がA4、1枚で報告をされておりまして、100点をとれることはまず難しいような形にはなっておりますけれども、80点ぐらいは常にとっていただきたいなと思うんですけれども、今回もやはり70点ぐらいなのではないかなと、私は思っております。
 その要因としましては、今回答弁はいただきませんけれども、例えば経済観光局の181ページ、182ページの中心商店街にぎわい創出事業であるとか、商店街のコミュニティ再生事業、こちら成果指標が通行者数になっておりまして、どちらも未達成なんですけれども、要因が、熊本駅周辺地区では通行量が順調に伸びているものの、中心商店街においては、伸びが鈍くなっていることが影響したためと。これは、何で伸びが鈍くなっているのか要因を記載しないといけないわけでありまして、これ、未達成の要因の記載になっていないんです。
 というのが、まだ散見されるというところで、当然、例えば少子高齢化であるとか、周辺市街地にさまざまな施設ができて、そちらの駐車場がただだから、そちらに人が動いているとか、そういうのを全部書くのは無理だとしても、これは要因になっていないので要因になるような記載をしてくださいというような、一つの事例です。
 実際、本当に見ていきますと、事業の目的と成果指標、そして要因というのは、一本になっていないというものが散見されていまして、やはり、一つ一つの事業にちゃんと適正な成果指標を設定していかないと、担当課も困ると思うんですよね。
 それを徹底していくということで、すばらしい決算状況報告書、80点のものができると思うんですけれども、そういった散見されるものに対して、今後どのように指導をするのか、改善をされていくのか、財政局長にお伺いしたいと思います。

        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  決算状況報告書の改善についてお答えを申し上げます。
 決算状況報告書の作成に当たりましては、これまでも委員からの御指摘等を踏まえ改善を行ってきたところでございます。
 来年度からは第7次総合計画の実施計画に基づき、目的と検証指標を踏まえまして、本報告書を作成することといたしておりまして、改めて達成度を図る指標や、未達成時の要因分析を精査いたしますとともに、全庁的に報告書のチェック体制を強化するなど、さまざまな改善を図ってまいりたいと考えております。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  ありがとうございました。
 そのほかにも、例えば達成をしないときに、十分な周知が図れていないとか、十分な啓発が図れていないとか記載がされているんですけれども、例えば、私が一般質問で、フェイスブック等活用されてはどうですかという話をして、頑張ってみんなで活用しますというような答弁をいただくんですけれども、そういった十分に達成されていない事業で、何でフェイスブックで広げないのかと思うんですよね。
 そこまでして、十分に周知ができなかったというならばいいんですけれども、そこまでやっていないのに十分にできなかったというのは、やはり報告書としても、我々議会で質問をしているのに、対応されない中でこういった報告書が上がってくるのはちょっと釈然としないというか、誠実に対応していただいていないのではないかなというふうなことを思いますので、自分たちができる、財政局がばんばん予算を削って、十分な広報ができないというようなことは当然書けませんので、自分たちができる最大限をやって、そこに十分な周知ができなかったというのを報告していただくように、ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、職員意識向上事業についてお伺いいたします。
 この職員意識向上事業について質疑をするというのも、なかなか私自身としても、毎年毎年さまざまな不祥事とか事務処理ミスが起こっているということで、例年起こっている中で、私が議員になって、そういったことが起こらなかったことは、多分1回もないのかなと思っています。
 一時期、前市長のときは、1年間毎議会ごとに冒頭の市長の提案理由説明の中で陳謝を行ったということもございました。実際、こういった事業、職員の時間と市民の税金を活用して行っている事業が、なかなか成果が出ていないというのは何が理由なんでしょうか。
 また、ほかの自治体でも、当然不祥事や事務処理ミスは起こっていると思いますが、政令指定都市の中で件数的には熊本市は多い方でしょうか、少ない方でしょうか。総務局長の答弁をお願いいたします。

        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  職員意識向上事業についてお答えを申し上げます。
 本事業は、職員の法令遵守はもとより、公務員倫理意識を高めることを目的として実施をしております。
 しかしながら、平成27年度の本市の懲戒処分は10件で27名、また昨年5月末に設けた事件・事故、業務上のミス等の公表基準に基づく事務処理ミスの件数は、重大なものと軽微なものを合わせまして173件の事案が発生したところでございます。
 本市では、飲酒運転撲滅研修の実施や、事務執行の総点検、事務処理ミス、ヒヤリ・ハット事例集の作成、階層別のコンプライアンス研修を行ってきたところでございますが、不祥事や事務処理ミスがなくならないことに対して、大変申しわけなく思っております。
 今後も全庁を挙げて対策に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
 次に、本市の不祥事や事務処理ミスの他都市との比較についてでございますが、不祥事の件数につきましては、現在公表されております平成26年度の懲戒処分者の人数で申し上げますと、指定都市の中で最も少ないところではゼロ人でございます。最も多いところが155人となっており、平成26年度は本市は1人でございました。しかし、平成27年度は27名と急増している状況にございます。
 また、事務処理ミスにつきましては、本市も含め指定都市5市が事務処理ミス件数を公表しているところでございますが、平成27年度の件数は最も少ないところで22件、最も多いところでは496件、本市におきましては先ほど申しました173件でございまして、少ないとは言えないと認識しているところでございます。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  御答弁ありがとうございました。懲戒処分やミスが多いところは、当然職員の数が多いというところで、人数が多くなればミスも多くなるというのは当然なんですけれども、6,000人の職員を抱える熊本市が、できる限りこういったことを減らしていくということは、やはり市民の負託を受けて市民の税金を使う熊本市にとって、何よりも重要なことであると考えております。
 実際、私が議員になってから、ことしで10年になりますが、毎年起こっているということは、人や意識の問題ではないのではないかというふうに思っていますし、そういうアプローチから、ガバナンスとかマネジメント、システムですね、仕組みの問題を解決することを優先にやっていくことが必要なのではないかなと思っております。実際、事務執行の総点検等行われていると思いますが、総点検をするのではなくて、それがどうやったらミスを行わせないようにするかという観点から、一つ一つの事業を確認していくということが大事だと思います。
 いま一度、各課が担う事務について、そういった観点から、今ICTの技術も発達しておりますし、執行体制とチェック体制を整えていった方がよいのではないかと思っておりますが、総務局長の御見解をお願いいたします。

        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  事務処理ミスの防止に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。
 昨年度のミス、原因を分析いたしますと、チェックの漏れ、チェックを怠った、不注意や認識・知識不足など、やはり担当職員に起因するものが多数ございました。
 また、ミスを起こさない仕組みにつきましても、チェック体制がなかった、チェック体制の不備によるものも見受けられたところでございます。
 本市では、昨年6月全庁的に事務処理ミスが多発する状況を踏まえまして、その防止に向けて事務執行の総点検を実施し、チェック体制の強化や潜在するミスの可能性の洗い出しを行ったところでございますが、実施後も事務処理ミスは発生している状況にございまして、防止対策の取り組みを強化しなければならないと考えているところでございます。
 具体的には、これまで実施してきました研修やミス防止に関する情報提供などを一層強化することはもとより、総務局に行政管理部長をリーダーとする事務処理ミス検証チームを立ち上げまして、コンプライアンス担当監や職員倫理審議会委員からの御助言をいただきながら、直接職場を訪問し、事務処理プロセスやチェック体制、また職員の意識は十分かなどにつきまして、点検、指導を行っていくこととしております。
 今後も全庁を挙げて防止対策に取り組み、市民の皆様に信頼される業務執行となるよう努めてまいりたいと考えております。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  ありがとうございます。直接伺って、一つ一つ改善していくということで、今後ミスが減っていくことを期待しておりますが、ミスは必ず起きるんです。起きるんですけれども、それを何人かでチェックをすることで起こらないようにすると。
 そういう意識の問題でなく体制の問題というのを完璧にしていくというのが、何より大事なのではないかと思っておりますし、実際、我々が今まで議会で見てきた中で、そんなこともチェックしていなかったのかというような事案が、やはり出てきています。そういったことがないように、そのミスはどんなにチェックしてもしようがなく起こってしまったというようなところまで、体制を整えていっていただきたいと思っております。
 続きまして、住民自治活動活性化事業についてお伺いいたします。
 自治会ということを辞書で調べると、同一地域の居住者が自分たちの共通利益の実現と生活の向上を目的としてつくる組織だと書いてあります。任意団体でありながら、市役所、行政からのさまざまな支援を受けつつ、市役所や各種団体からの要請により、情報伝達の支援や環境整備、そして防災活動などを行っていただいている、本当に市役所、行政にとってなくてはならない組織であると、私は考えております。
 決算には関係ございませんが、今回の熊本地震においても、多くの自治会がすばらしい動きを見せられて、共助を実践する姿に、改めて自治会の重要性を市民の皆さんが認識したと考えております。
 さて、決算に戻りまして、報告書のこちらの60ページを見ていただきますと、目につくのは5年連続未達成というところで、事業の目的、そして実績、そしてその未達成の要因、こちらを見ていただきますと、地域の住民の自治力が向上するという目的に対して、成果指標が町内自治会の加入率、そして未達成の要因が、地域の連帯感の希薄化に加え、町内自治会の必要性の啓発、周知、各町内自治会との連携した取り組みが不十分であり、世帯数の増加に加入世帯数の増加が追いついていないというふうな記載がされております。
 加入率が上がれば自治力が向上するのかというような疑問が一つ出てきますし、未達成の要因に関しても、事業の目的と成果指標と、本当にリンクしているのかというようなことを、この1ページを見るだけでも感じるんです。
 やはり、こういった事業に関しても冒頭に申し上げましたとおり、一本の筋を通していっていただきたいなと思っております。
 今申し上げましたとおり、この事業の目的と成果指標の設定と事業内容について、私自身は違和感を抱きますが、市民局長についてはどうお考えになられますでしょうか。
 また、自治会加入率のみにフォーカスをすれば、地域住民が自治会に何を求めているのか、入らない人はなぜ入らないのか、実態が明らかにならなければ各自治会、そして自治会長も有効な手は打てないのではないでしょうか。市民へのアンケートなどをとり、自治会に対する市民の考えを明らかにしなければ、加入率向上はあり得ないと考えますが、自治会に関する市民意識調査等を実施する考えはないか、市民局長にお伺いいたします。

        〔西島徹郎市民局長 登壇〕

◎西島徹郎 市民局長  住民自治活動活性化事業についての2点のお尋ねにお答えいたします。
 まず、住民自治活動活性化事業の成果指標についてでございますが、この事業は町内自治会や校区自治協議会への支援により、地域住民の自治力が向上する目的で行っているもので、成果指標として自治会の加入率、それから校区自治協議会の設立を設定しているところでございます。委員が述べられましたように、この内容というものが充実すると、この加入率も上がるということで、このような設定をさせていただいているところでございます。
 次に、自治会の加入促進の取り組みについてでございますが、現在、市政だよりやホームページ等の広報媒体を活用したPRのほか、区役所や出張所窓口におけます転入、転居者に対する加入案内のリーフレットの配布、集合住宅の建築確認申請時に、入居者用の自治会加入の案内やリーフレットを業者の方々に配布いたしまして、加入啓発を依頼するなどの働きかけを行いますとともに、自治会長の研修会での加入促進の事例紹介や、情報交換等にも努めているところでございます。
 成果指標の町内自治会の加入率でございますけれども、委員の言うように目標の未達成の状況にはございますが、全国的に減少傾向にあると言われる中で、本市の自治会加入率は、現在、下げどまっているというような状況でございます。
 それから、政令市の中で3番目という高い加入率を誇っているというところでございます。
 また、自治会の加入の世帯数については、加入率は落ちていますけれども、毎年数は伸びているというような状況でありまして、いろいろな取り組みによりある程度の効果が上がっているものだと思っております。
 ただ、先ほど委員が述べられましたように、私も今回の熊本地震に伴うさまざまな経験を通じて、改めて地域が持つ力の大きさ、人と人とのつながりの大切さを実感したところでございまして、あわせまして地域の核である自治会の存在の大きさを痛感したところでございます。
 このようなことから、今後さらなる地域力向上に取り組む必要がありまして、そのためには自治会活動の活性化や理解促進が重要だと考えておりまして、委員御提案のアンケート調査を含め、自治会と連携し、実態把握に努めるとともに、加入促進に向けた取り組みを強化してまいりたいと考えているところでございます。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  御答弁ありがとうございました。
 実際、自治会というのは、本当に難しいものだと思いますし、自治会長の皆さんが、日ごろ担っていただいている市役所からお願いをしているものが、どれだけ膨大にあるのかというのは、ぜひ市民局長を初め、局長の皆さんは御理解をいただきたいなと思っておりますし、市民の皆さんが、今回本当に自治会の大切さというのを実感されたと思います。
 市民にとっても、そして行政にとっても自治会というのはなくてはならないものだと思いますし、その自治会の機能が、よりすばらしくなっていくというのをサポートしていくのが、熊本市の役割だと思っておりますので、自治力の向上のために、よりよい自治会が実現するようなサポートを、今後も行っていただきたいと思っております。
 それでは最後の質問になりますが、熊本地震災害復旧債についてお伺いいたします。
 8月補正の732億円のうち、款90項10目60節70の熊本地震災害復旧債が301億円を占めております。インフラ、公共施設復旧について、市長を初め執行部におかれましては、熊本市の持ち出しについては150億円程度と答弁されておられます。
 市債発行分が持ち出し分を大きく上回っておりますが、この件については、先日の予算決算委員会において、補正予算の説明で後年度交付税措置がとられるとの財政局長からの発言がありましたので安心しておりますが、この交付税の措置の根拠と、何年にわたって措置されるのか、市債の元利償還金も措置の対象なのか、具体的にお伺いいたします。

        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  災害復旧事業債における財政措置についてお答えを申し上げます。
 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法などの法令に基づく国庫補助対象事業における地方負担に対しましては、現年度分で公共土木施設等災害復旧事業では100%、農地農林漁業施設の災害復旧事業では90%が災害復旧事業債の起債対象となりまして、その償還期間は原則10年となっております。
 その上で、地方交付税法に基づき、元利償還金の95%が後年度の普通交付税で措置されることとなっております。また、国庫補助の対象とならない単独復旧事業につきましても、公共土木施設等災害復旧事業では100%、農林漁業施設の災害復旧事業では65%が災害復旧事業債の起債対象となっておりまして、その償還期間は同じく10年となっております。
 こちらも同様に、地方交付税法に基づき、自治体の財政力に応じて、元利償還金の47.5%から85.5%が後年度の普通交付税で措置されることとなっております。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  御答弁ありがとうございました。
 1,460億円のうち、150億円が本市の持ち出しとなると。それにあわせて、本年で財調を取り崩したり、事業の見直しをしながら予算を確保し、301億円に復旧債を抑え、さらにそれが法律に基づいた形で10年間にわたって交付税措置がされるということで、10年間かけて毎年大体15億円ずつ元利償還を行っていくのか、元利償還のやり方はまだ判然としておりませんが、法律に基づいているというところで、大変安心をした次第であります。
 あわせまして、現在、この補正予算中、被災者支援、生活再建について、まだ見通しはついていないというのは十二分に理解をしておりますが、現状、現時点で本市の負担は総額の何割になるのかお伺いいたします。

        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  被災者支援、生活再建について現時点における本市負担額は総額の何割になるのかというお尋ねでございますが、今回計上いたしました一般会計補正予算の熊本地震関連分約732億円のうち、被災者支援及び生活再建関連経費といたしましては約433億円を計上いたしており、そのうち、本市の実質的な負担額は、事業費の約1割、約40億円程度と見込んでおります。
 また、被害状況の詳細や復興計画に基づき実施いたします事業等が明らかになった段階で、復興事業費の総額をお示しできればと考えておりますが、今後とも可能な限り、本市の負担額が軽減されるよう、国にさらなる財政支援を求めてまいります。
        〔田中敦朗委員 登壇〕

◆田中敦朗 委員  ありがとうございます。被災者支援、生活再建関連経費も約1割の持ち出しがあるということでございまして、今後の国とのやりとり次第で、また変わっていくと思いますけれども、新たな支援、そして新たに判明した復旧の必要な建物であるとか、そういったものが今後また出てくると思います。
 そういうものに対して、法律に基づいて1割の負担でどうにかなるということで、我々にとっても大分その予算の先行き、財政的な負担というのが見えてきている次第でありますが、まだまだ見えない部分がありまして、半年で全て事業費を出すということは、はっきり言って不可能だというのは、もう十二分にわかっております。
 実際のところ、これから耐震診断をして改築をするのか、修繕をするのか、立て直しをするのかという建物もありますし、被災者支援及び生活再建関連経費に至っては、2年のみなしであるとか、仮設以後も支援が必要になってくるかもしれないという中で、現時点で出せるわけがないというのは十分わかっておりますが、わかることを一つ一つ説明をしていただいて、ほかの自治体を参考にして、全体の被害、人数を換算して、どれぐらいの負担になるのかというのを、予測的なものを提示していっていただければ、我々議会もそういったものが見えてくれば、予算、そして決算についても、よりスムーズな議論ができていくと思いますので、本当にまだ半年もたっていない中で、ここまでされた市役所執行部の皆さんに対して敬意を表しますとともに、できる限り明快な、今後の復興事業費の説明をお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。ありがとうございました。
(拍手)

○田尻将博 副委員長  以上で、くまもと創生、田中敦朗委員の質疑は終わりました。
 質疑の途中ではありますが、この際、議事の都合により休憩いたします。午後1時に再開します。
                             午前11時54分 休憩
                             ───────────
                             午後 0時59分 再開

○三島良之 委員長  休憩前に引き続き会議を開きます。
 総括質疑を続行いたします。
 次に、自由クラブ、北口和皇委員の質疑を行います。
 持ち時間は15分となっております。
        〔北口和皇委員 登壇 拍手〕

◆北口和皇 委員  自由クラブの北口和皇でございます。
 質問に際し、予算決算委員会では、予算書及び決算書並びにこれら附帯する書類に記載されている内容について質問することとし、その他の関連事項については委員会等でお尋ねすることといたしましたので、質問通告を一部変更いたしまして、お尋ねをいたします。
 まず、決算状況報告書45ページの人材育成職員支援事業に関連し、人事管理制度についてお尋ねをいたします。
 熊本市では指導監査課の職員が民間施設の監査業務中に私物のカメラを使用し、マスコミ等でも取り上げられ大きな問題となっていたことがあります。
 市では、その後業務中に私物を利用しないよう取り組まれたと思いますが、今でも私物を利用しないように指導しているのでしょうか。そして、私物利用を認めていないのであれば、その罰則を認めているのであれば認める根拠をお聞かせください。総務局長にお尋ねをいたします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  業務中の私物利用を認めているのかというふうなお尋ねでございます。
 私物の公務での利用につきましては、そのものによって異なります。
 公務上支障がない、あるいは必要なもの、例えば携帯電話など私物の利用を認めているものもございますが、一方でUSBメモリなど情報の流出防止の観点から公用の物品の使用を原則とし、私物の使用を認めていないものもございます。なお、いわゆる情報資源の取り扱いにつきましては、情報セキュリティー対策実施手順におきまして、遵守義務が定められておりますが、罰則規定はございません。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  聞くところによると、市の不当要求防止対策会議に提出された不当要求の資料の中には、議員との会話を事前に断りもなく無断で録音した職員の報告案件があるとのことであります。この職員が、議員との会話を無断で録音したことを市として許す根拠はどこにあるのでしょうか。
 また市では日常的にこのような会話の無断録音が行われており、そのことを許しているということでしょうか。総務局長にお尋ねします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  会話の無断録音についてのお尋ねでございますけれども、議員と職員間等の会話録音につきましては、公務において議員からの要望や御意見を伺うに当たりましては、記録の徹底を図るとともに、正確性の確保と組織としての適正な対応を行うこととしておりまして、ときには記録を保管するものとしてICレコーダー等で録音することもございますが、問題はないと考えております。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  今回録音に使用した器具は公用のものですか、私用のものですか。また私用のものを公務時間中に携行し、無断録音に使用したことは職務上問題はないのでしょうか。総務局長にお尋ねします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  録音に使用された機器についてでございますけれども、会議等における録音は基本的には公用のものを使用しておりますが、やむを得ざる場合にあっては私用の機器を使用することもあり得ます。
 いずれにいたしましても、議員と職員が公務として話した内容の録音を記録の補完や他の職員との情報共有、あるいは不当要求行為等の防止に向けて公務として使用することにつきましては問題はないと考えております。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  私物利用については携帯電話に限っており、制限を加えているような答弁でありながら録音に関しては事前にお断りすることが望ましい、録音に使用する機器に関しては会議において基本的に公用を使用するとのことでした。
 これらのお答えを聞く限りでは、私物利用についての無断録音を容認しておられるようにしか受け取れませんが、これが市の姿勢ですね。会話には十分注意をさせていただきます。
 次に、決算状況報告書42ページの市政情報の公開と適正な文書管理経費に関連し、情報公開制度についてお尋ねをいたします。
 まず情報公開制度に関して、制度の守秘義務違反や罰則を含めて、市長の認識をお尋ねします。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  本市の情報公開制度につきましては、熊本市情報公開条例に定められております。同条例は本市の保有する文書等の開示を請求する権利につき定めることにより、市政運営の公開性の向上を図るとともに、本市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにし、もって地方自治の本旨の即した市政の発展に寄与することを目的としています。
 お尋ねの守秘義務と罰則につきましては、同条例中に個人情報保護などの観点から不開示とすべき情報の定めがございますが、罰則を科す定めはございません。
 なお、個人情報保護の観点から、熊本市個人情報保護条例については罰則が設けられているところでございます。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  次に、情報公開制度による資料公開と市議会議員が議員活動の一環として行う資料請求との関係について、どちらに優位性があると思われるのか、市長の認識をお尋ねいたします。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  情報公開条例による開示請求は同条例の規定に基づき行われるものでありまして、これに対しまして、議員個人からの資料請求につきましては法律上の義務はございませんが、議論の活性化のためにできる範囲で協力をさせていただいておるものでございます。
 どちらが優位であるかという御質問でございますけれども、片方は条例に基づくものでございまして、また一方は任意によるものであり、性質が異なるため比較にはなじまないと考えております。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  市長が議員活動をどう考えておられるのかちょっとわかりませんでした。委員会室におられる議員の皆様もおわかりにならなかったでしょう。
 市長も県議として議員活動されているときに資料が提出されないときには、いらいらいらいらされたのではないでしょうか。もう少し議員活動に配慮されたお答えを期待しておりましたが、残念です。
 今般私が議員として資料請求した際には約2年半以上、何度請求しても何度請求しても提出されなかった資料が、情報公開制度を利用したらすぐ提出されました。なぜ議員の資料請求に対して資料提出されなかったのか。総務局長にお尋ねをいたします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  先ほど市長が申し上げましたとおり、本市情報公開条例による開示請求は同条例の規定に基づき行われるものでございまして、議員個人からの資料請求につきましては法律上の義務はございませんが、議論の活性化のためにできる範囲で協力をさせていただいているところでございます。
 しかしながら、議員個人からの資料請求に当たりましては業務に支障がある場合、あるいは多くの資料要求に対応する時間がない場合、目的が不明であるもの等につきましてはお断りする場合もございます。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  情報公開制度で公開される資料については速やかに提供していただきたいと思います。
 お手元に市から公開された資料を示しております。私が高額な随意契約はおかしいと何度も指摘をし、資料要求していたときに、市が私に畜産流通センターから提出された随意契約理由ですと提出したのが資料2です。
 立派な随意契約の理由が書かれていますが、上段に記載されている2号随契という言葉は行政用語であり、畜産流通センターがつくったものではないと思われる。そもそも随意契約理由は提出されていなかったのではないかと政治倫理審査会の弁明の際にも指摘をいたしました。
 そうしたら、情報公開で公開された随意契約理由の資料が資料3です。いつ、誰宛てに提出されたものかわかりません。大変重要な書類のはずですが、市役所の受け付けにもありません。いつ、誰宛てに提出された文書なのか、この文書を見ただけではわかりませんが、どのように判断されたのかその根拠を確認したところ、担当者宛てにメールで送られてきており、既に削除したとのことでした。
 極めて重要な文書を保存措置もせずに削除してしまう市の文書管理はどうなっているのでしょうか、心配です。また、畜産流通センターというきちんとした組織が発送番号や記述を記載せずに重要な文書を出せるのでしょうか、疑問だらけです。
 そして、今回公開された資料の中にさらに重大な疑惑が潜んでいました。資料4と資料5を見比べてください。
 資料4ではしっかりした企業と団体の契約書にふさわしいものとなっていますが、資料5を見てください。しっかりした企業と団体の契約書に見えますか。発注者や金額、契約日や手続が手書きです。設計者はゴム印です。考えてみてください。経済連や畜産流通センターといった立派な組織がこのような契約書を交わされるのでしょうか。
 経済連の方とお話をしましたので、この書類をお見せしたところ、「経済連ですよ、手書きのこんな契約書使うはずがないですよ。後づけで必要だったのではないですか。」と言われました。この書類について原本確認等もされていないようです。大丈夫でしょうか。
 そしてもっと驚くべきことは畜産流通センターと経済連とは施主代行委任契約を結んでいたのです。つまり、畜産流通センターから経済連に丸投げされていたのです。この件について議会には何も報告されておりません。3億円もの補助金を出す事業の施行方法にかかわることですので、これは重大なことです。
 またこれまでは議員各位を初め、報道関係者の方々にも畜産流通センターが花木工業株式会社、株式会社前川製作所との直接随意契約を結んでいたと思っていたはずです。ところが施主代行委任契約の中で、これまで市の資料では一度も名前が挙がっていなかった株式会社三牧建設工業が記載されています。市議会に報告していない業者が1つふえたわけです。この件に関しては疑惑だらけです。今後情報公開による不開示部分の審査請求を行うなどして徹底的に調査を続けます。
 質問を続けます。
 公文書とはどういったものを指すのでしょうか。その定義はどうなっているのでしょうか。また対外的に市役所が出す公文書はどのような要件を備えていることが必要なのでしょうか。総務局長にお尋ねします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  公文書の定義及び要件についてお答えを申し上げます。
 公文書とは、狭義では官公庁または公務員がその職務上作成する文書を指します。また、広い意味では官公庁において事務処理上取り扱う全ての文書をいい、例えば私人名義で官公庁に提出される許可申請書や陳情書、組織として作成し審議会等へ提出した資料等も該当いたします。
 次に、公文書に該当するためには実施機関の職員が職務上作成し、または取得したものであり、かつ当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該機関が保有しているものという2つの要件を同時に満たす必要がございます。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  不当要求防止対策会議から7月28日付で私に出された文書は、対外的に出す公文書に当たるのかどうか。総務局長にお尋ねをいたします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  公文書に当たります。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  不当要求防止対策会議が、私が議員活動に必要であるとして求めた資料請求に対し、ゼロ回答としたのはなぜですか。そもそも不当要求防止対策会議にそのような権限があるのでしょうか。あるとすればどこに記載されているのでしょうか、お示しください。総務局長にお尋ねします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  資料請求関連のお尋ねにお答えを申し上げます。
 北口議員からは6月から7月にかけまして、多くの資料請求がございました。
 具体的には農水局に9回で55項目、それから総務局に6回で21項目、その他の局に対しても19項目について請求があっており、これらに対し農水局においては12項目、総務局におきましては10項目、その他の局の16項目を合わせまして、合計38項目につきましては順次対応してきたところでございます。
 しかしながら、資料請求が追加、追加で行われる中、担当部署では特に復旧・復興業務に支障が出ているとの意見がありましたことから、熊本市不当要求行為等防止対策会議におきまして復旧・復興業務に当たる中、多くの資料要求に対する時間がない、また目的が不明であるものや業務に支障を来すような不当な要求と思われるものがあるなどの理由といたしまして、今回の資料請求につきましてはお断りをすることを決定し、議員に文書で回答したところでございます。
 また、その根拠についてでございますが、熊本市不当要求行為等防止対策会議設置要綱第5条第1号では、不当要求行為等案件の検証、予防策、措置等の検討をすることとしておりまして、同運営要領第3条第3項第6号の規定によりまして、不当要求行為等を防止するために必要な措置を講じたものでございます。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  5億4,000万円の市民の補助金、これの決定について添付する資料ですのでコピーをすれば済むんですけれども、それが出ませんでした。いろいろ理由を押しつけておられますが、一括ゼロ回答とする根拠は示されていません。市の職員には組織として対応すべきことと対応できないことをみずから話し、決断し、相手に理解を求める能力が欠如していること、また市の人材不足が極めて深刻な状況にあることが露呈されただけです。
 市民の負託を受けている議員の活動に、もっと真摯に答えていくことができる職員の育成に努めていただきたいと思います。
 資料1をごらんください。
 私の資料請求に対して出された文書です。この文書の表現は議員活動に対する圧力と受け取れると思います。議員活動で資料を要求している議員に、このような表現を使うことが適切と考えておられるのでしょうか。総務局長にお尋ねします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  先ほど申し上げましたように、不当要求行為等防止対策会議で決定した内容を文書で回答をしたものでございます。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  情報公開ですぐに提供できる資料を含んで、一括ゼロ査定とした上に厳しい表現で資料要求を諦めさせようとした行為は許せません。今後適切に対応していただきたいと思います。
 質問を続けます。
 次に総務局の一般管理費に関連し、不当要求行為等防止対策会議についてお尋ねします。
 議員等からの不当要求等を明らかにするために、市では不当要求の記録化を徹底することとされていると思いますが、その設置趣旨及び過去3年間の報告件数はどのようになっているのでしょうか。総務局長にお尋ねをいたします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  熊本市不当要求行為等防止対策会議は、本市の事務事業に対する不当な圧力等を防止し、より事務事業が適正に執行されるために組織的な対応を行うこととし、あわせて事務事業の効率化や心身の健康の確保を図るため、平成27年4月1日に設置したものでございます。
 設置後、今回の中間報告に記載したものを除き、その他の案件については報告はあっておりません。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  不当要求等を行ったとされる議員数や政党団体数、その件数はコンプライアンス担当監からのものと市からの報告は違っているようです。特に議員数、政党団体数では大きく違っています。今回はどのような調査が行われたのでしょうか。
 過去の報告は間違いであり、今回の調査結果が最終的な報告ということで理解していいのでしょうか。また報告書の公表前に地元紙でその内容が報道されておりますが、不当要求行為等防止対策会議の情報管理が、きちんとされていないと思うのは私だけでしょうか。この書類を見ることができたのは誰なのかお示しください。
 さらに、情報管理にどのように取り組まれているのでしょうか。あわせてどこから情報が漏れたのか調査をされたのでしょうか。そしてどこから情報が漏れたと考えておられるのでしょうか。総務局長にお尋ねします。
        〔多野春光総務局長 登壇〕

◎多野春光 総務局長  コンプライアンス担当監の方でも、独自に調査はされているところでございますが、不当要求行為等防止対策会議では、議員等からの要請に対する不当な要求等についての調査を昨年11月に開始をいたしまして、当初平成28年1月15日までを各局からの報告の提出期限としておりましたが、その後も随時受け付けたものでございまして、議会運営委員会において、その報告案件が増加をしたものでございます。
 また、今回の調査の中間報告の公表に当たりましては、9月15日を提出期限とし対象議員からの弁明書を待って、しかるべき時期に開催される議会運営委員会で行うこととし、議会にもその旨説明をしてきたところでございます。
 このようなことから、中間報告の内容につきましては、マスコミ等に対しましても公表までは一切お答えできないとしてきたところでございまして、防止対策会議の中でも周知を図ってまいりました。
 議員からの御指摘のあった記事が、どのような取材等によるものか承知しておらず、また中間報告の内容に関するお尋ねに関しましては、公表までは差し控えさせていただきたいと存じます。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  極めて重大な個人情報を含んでいる中間報告はマスコミ公表していないとお答えいただいたわけです。中間報告の内容が既に報道されていたことに対して、何の責任も感じておられないようです。個人情報が漏れている重大な問題ですよ。情報がどこから漏れているのか、何の調査もされないようであります。総務局長の見識を疑います。市役所の情報管理は大丈夫なんでしょうか。
 それと先ほど申し上げましたが、不当要求等を行ったとされる議員数や政党団体数、その件数はコンプライアンス担当監の報告では7名、2政党であったものが、市の最終報告案では私と倉重議員2名となっているようであります。2人とも食肉センター問題では……

○三島良之 委員長  御静粛に願います。発言中でありますので、静粛に願います。

◆北口和皇 委員  現在総務局等で不当要求行為等防止対策会議を所管しておられる多野局長と激論を交わした2人。激論を交わしたことを思うと、多野総務局長が情報操作をされておられるのかもしれないと、勘ぐってしまうのは私だけでしょうか。
 さらに、先般は非公開のはずの政治倫理審査会の審査内容が地元紙に報道され、記事の内容は審査会の結論を厳しいものにするよう誘導するようなものでした。審査会の中立性を損なわせる極めて重要な報道がされております。また誰か情報操作をしている疑いが極めて高いと思われます。そしてこの審査会には地元紙のOBの方が委員として入っておられます。情報漏えい元をこの方と決めつけているわけではありませんが、地元紙で報道された内容と合致するように審査会で厳しい決定となるように意見を述べられ、審査会を誘導するのであれば、審査会の中立性を確保する観点から極めてゆゆしき問題であります。
 審査会の中立性を確保するためには、少なくとも今回の審査からこの方を外し、これまでの発言を削除した上で審査されるべきと考えています。この件については、改めて審査会長に申し入れたいと考えています。
 とにかく総務局長が所管されている会議の資料や、非公開の審査会の審議の内容が地元紙に筒抜けになってしまっています。総務局は市役所のかなめですし、情報管理を徹底していただきたいと思います。そうでなければ信頼される市役所とはほど遠いものとなってしまいます。よろしくお願いいたします。
 また今回の調査では私だけをターゲットにしていたということですね。私だけでは中立性が疑われるので、もう一人を道連れにされたほかの方々は薄々わかって……

○三島良之 委員長  発言中でございますので、静粛に願います。

◆北口和皇 委員  ・・・をされたということで市の中立性、公平性、著しく疑われて、市は再度中立的な立場に立って適正な調査を行っていただきたいと思います。中途半端な調査状態で公表は慎重かつ厳重な取り扱いをされるようお願いします。
 次に、決算状況報告書53ページ、公有財産管理・活用事業に関し庁舎管理について数点お尋ねをいたします。
 まず本庁舎での物品販売許可について、どのように取り扱っておられるのでしょうか。私的飲食物、薬品、購読物販売について、取り扱い状況とあわせて財政局長にお尋ねをいたします。
 各企業の庁舎や区役所庁舎では、私的な飲食物、薬品、購読物の販売についてどのように取り扱っておられるのでしょうか、代表して上下水道事業管理者にお尋ねをいたします。

○三島良之 委員長  御静粛に願います。
 質疑の途中ですが、北口委員に質疑の内容の確認のため、お尋ねいたします。
 当委員会で審査する議案は補正予算及び平成27年度決算ですが、ただいまの質疑、前の質疑もそうでありますけれども、議案のどの部分に関するのでしょうか、お尋ねをいたします。

◆北口和皇 委員  時間とめていただいていますか。決算状況報告書53ページ、公有財産管理・活用事業に関し、庁舎管理についてお尋ねをいたします。

○三島良之 委員長  今までの質疑については。

◆北口和皇 委員  今までは、27年4月に設置をされました不当要求行為等防止対策会議に消耗品等の予算が挙がっておりますので、それに関連して質問いたしました。

○三島良之 委員長  そういうことでありますならば……ちょっと待ってください。

◆北口和皇 委員  今のは決算状況報告書53ページ、公有財産管理・活用事業に関し庁舎管理についてお尋ねをいたします。
        (「さっきと同じだ」と呼ぶ者あり)

◆北口和皇 委員  だから、今の質問でどこですかと言われたので。

○三島良之 委員長  質問を続行してください。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  庁舎内での物品販売につきましては熊本市庁舎管理規則に基づき、庁舎管理者の許可が必要となっております。現在は弁当、薬局、飲料水業者等による販売あるいは保険会社の勧誘等について、業務に支障のない範囲でその都度期間を定めて許可をしているところでございます。
        〔永目工嗣上下水道事業管理者 登壇〕

◎永目工嗣 上下水道事業管理者  上下水道局庁舎内での飲食物、薬品、購読物の販売につきましては熊本市上下水道局庁舎管理規程にのっとり、業者からの物品販売申請を受け、職員の業務に支障のない範囲での販売を許可しております。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  赤旗新聞及び公明新聞庁舎内配達方法について、配達時間のときの市職員の在庁状況、新聞配達員の入退庁管理状況はどうなっているのでしょうか。このことはセキュリティー管理上問題はないのでしょうか、代表して財政局長にお尋ねをいたします。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  赤旗新聞及び公明新聞の配達は物品等の配達と同じ扱いでございまして、庁舎管理規則における許可は不要となっております。配達方法につきましては、朝6時ごろから職員の机上やカウンター上に配達されております。新聞の配達につきましては、セキュリティー管理の観点から、庁舎管理規則で定めている出入り口開閉時間内での配達とし、執務室内にも入室しないように指導してまいりたいと考えております。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  赤旗新聞及び公明新聞については、一般の物品販売の方々では考えられないような優遇措置となっていると感じますが、どうしてでしょうか。その経緯や購読状況とあわせて代表して財政局長にお尋ねいたします。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  赤旗新聞及び公明新聞に対して、特に優遇措置は行っておりません。また経緯、購読状況については個人の契約であり把握しておりません。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  先ほどの答弁でセキュリティーの観点から、開庁時間の6時前に配達されているということですけれども、執務室に入らないような指導をお願いし、セキュリティー管理上問題があっては困りますので、よろしくお願いいたしたいというふうに思っております。
 個人情報、個人の契約であるとのことでした。そうであれば、個人のものは自宅で購読するようになさったらいいと思います。鎌倉市、伊丹市、春日部市は市庁舎内での販売をおやめになっているようです。財政局長にお尋ねいたします。
        〔宮本邦彦財政局長 登壇〕

◎宮本邦彦 財政局長  新聞等の購読は私的に行われているものでございますため、配達先については職場以外も選択できるのではないかと考えております。職員の購読者には配達先が変更できないかお願いしたいと考えております。
        〔北口和皇委員 登壇〕

◆北口和皇 委員  鎌倉市、伊丹市、春日部市など、職員のために適正化に取り組まれた自治体もありますので、熊本市でもきちんと取り組んでいただきたいと思います。
 これで私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○三島良之 委員長  以上で自由クラブ、北口和皇委員の質疑は終わりました。
 次に、和の会くまもと、緒方夕佳委員の質疑を行います。
 持ち時間は15分となっております。
        〔緒方夕佳委員 登壇 拍手〕

◆緒方夕佳 委員  お疲れさまです。緒方夕佳です。
 市役所の仕事は市民のニーズに対応することですから、地震後の市民のニーズを念頭に質疑を行います。
 地域公民館の修理費用については、きのう浜田委員からも質疑がありましたので、本日は割愛いたします。
 まず新ホール整備事業についてお尋ねいたします。
 市長が先日小佐井議員への答弁の中で、事業継続、延期、中止とした場合の地域経済や本市財政運営等に与える影響などを踏まえ、これらの投資事業の今後の方向性について改めて熟考したとおっしゃいましたが、市長がこの事業を継続すると判断した当時、勘案した事業継続、延期、中止とした場合の、3つのそれぞれのシナリオの内容を具体的にお示しください。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  午前中の上野委員への答弁と重複いたしますが、お答えをさせていただきます。
 (仮称)熊本城ホールの整備を含む当該再開発事業は、1日約4万人の利用がありますバスターミナルのリニューアルなど、公共性が高い事業であるとともに2核3モールの一角を担う拠点施設の再整備でありまして、地域経済の活性化、都市の知名度、さらには国際化などにも寄与することから、これまでも本市の重要な都市戦略の一つとして、都市計画決定や施行認可等を経て推進をしてまいったところでございます。
 このような中、熊本地震が発生をいたしまして、復興特需の原則が懸念をされます三、四年後の地域経済の状況を考えますと、震災前にも増して当該事業の重要性は高まったものと認識をしたところでございます。
 発災から3年後に完成をいたします本事業は、約1,600人の雇用を創出し、(仮称)熊本城ホールだけで年間約170億円、再開発事業全体では約500億円の経済波及効果があると試算をされておりまして、平成33年春に完成予定のJR九州によります熊本駅周辺開発との相乗効果によりまして、復興を加速させ持続的に地域経済を底上げすることが期待をされているところでございます。
 一方、熊本城ホールの整備を中止した場合、先ほど申し上げた経済的な効果等が発揮されないばかりでなく、本市は法に基づき再開発ビルを完成させ、既に解体された建物に合った権利を保全しなければならないという監督責任を負うものでございます。
 しかしながら市が撤退をし、事業信頼性が低下をしている中で、事業を成立させなければならないという非常に困難な事態になることが想定をされます。判断を延期した場合におきましても、ホール整備のめどが立つまでは新築工事の着工を控えざるを得ず、完成時期も定まらないこととなります。
 こうした再開発事業全体の成立性に対する懸念などから、出店予定のテナントや本市以外の保留床取得予定者、さらには施工予定者とも協議が途絶えてしまい、再開発事業そのものが継続できなくなる可能性が高いものと考えられます。
 また中止、延期のいずれの場合におきましても、現在九州産業交通ホールディングスの主力事業であります、再開発事業区域内からの不動産収入が途絶えておりまして、加えて、再開発会社が既に約70億円の借り入れを行っていること等から、事業がおくれればおくれるほどコストが増大し経営悪化を招くことになると考えられます。
 ひいては、約1,700人とも言われます雇用を抱える企業グループ全体に多大な影響を与え、復興期にあります地域経済の回復や、本来加速されるべき復興に大きなブレーキがかかることが懸念をされております。
 このようなことから、復興を力強く推進する本事業を短期的な収支だけで先送り、あるいは中止することは、逆に長期的に地域経済へ大きな悪影響を及ぼす可能性が高いことから、一時的な財政負担がかかったとしても推進するべきであると判断をしたところでございます。
 さらに、平成31年度には世界的なスポーツイベントが本市で開催予定でありまして、世界中から本市を訪れる多くの人々を、(仮称)熊本城ホールを含む再開発施設でおもてなしをし、震災から復興する姿を力強くアピールする機会であると考えているところです。
 それ以降につきましても、官民一体となって、想定している以上の雇用創出あるいは経済波及効果を生み出すよう大規模コンベンション、あるいはイベント等の積極的な誘致活動等に取り組んでまいりたいと考えております。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  3つのシナリオをお尋ねしましたが、実質的にお考えになったのは延期・中止と継続の2つのシナリオのようです。延期と中止は全く違うシナリオなので、2つをまとめて考えられたのは問題だと思います。また、お考えになられた延期と中止のシナリオは、非常に具体性に乏しいと言わざるを得ません。3つのシナリオというよりも継続すべき理由と延期・中止すべきでない理由しかお考えになっていないように聞こえました。本市財政運営に与える影響等は重要要素ですが、具体的な言及がないのは看過せざるべきことです。
 西日本新聞によると、市長は地震後2カ月もたたない、早くも6月9日には新ホールの防災機能を強化して継続するとの意向を示されました。また、地震後一度も再開発会社に対して事業再興のため解体作業の一時停止の申し入れなどを行っていないことからも、継続ありきでお考えになっていると感じます。
 市長はホールをやめると再開発事業が継続できない可能性が高くなることを懸念されていますが、私は必ずしもそうではないと思うので、ここでは分けて考えます。
 新ホールは熊本の市民にとってあったら便利かもしれませんが、必要不可欠という性質のものではありません。新ホール事業を中止することにより、経済波及効果が失われ、地域経済に悪影響を及ぼす懸念があるとおっしゃいますが、数年後には復興バブルなどと言われる、普通でない需要がなくなり、もとの循環に戻るだけです。
 また雇用創出とおっしゃいましたが、ホールをつくらないことによって、今ある雇用が大幅に失われることはありません。ラグビーやハンドボール大会開催にとって一番重要なのは競技場であり、会議やエンターテインメントのホールではありません。復興をアピールするとおっしゃいますが、まず今市民を助けようという姿勢が感じられません。
 学会をするために3,000人規模のホールが必要だ、熊本に大ホールがないからコンサートが素通りしている、このような主張で進められてきたホール事業ですが、市長がおっしゃるように、官民挙げて誘致に取り組まなければならないのであれば、ホールの将来は前途洋々ではないことを何より市長が御存じなのではないでしょうか。
 MICEの将来は厳しいです。政府が我が国の競争力は強豪国に比べて低下しているとし、官公庁が東京、横浜、京都等の大都市をグローバルMICE都市として、国として集中的な支援を行ってきました。つまり、日本の大都市でも苦戦しているのです。
 アジアではシンガポールが圧倒的に1位です。シンガポールには8,000人以上を収容するMICE施設が3つもあります。入国したまちに施設があるわけですから、交通の便もよいです。世界各地から熊本に来ることを想像してみてください。成田空港に入国した方は羽田空港に移動し熊本へ、関西空港に入国した方は伊丹空港へ移動して熊本市へ、また関西空港から福岡空港を経由し、熊本へ来なくてはなりません。空港からまちなかへの移動も忘れてはなりません。私も海外から、熊本へ帰るときははるばる帰るという感覚でした。ラグビーの世界大会で熊本にいらっしゃる方々は熊本は遠いという印象を抱いてお帰りになることでしょう。このように、仕事やイベントで来る都市としては熊本の優位性は高くありません。
 再開発事業に関してですが、数年後に住民の数がふえたり、市民の収入と購買力が上がるわけではありませんから、再開発事業や熊本駅開発によってお金を使う場所がふえると、一般的な事業者にとっては競争が厳しくなると予想され、地域経済全体がよくなる保証はありません。
 市長がこれまで言及されてきた新規雇用にしても宿泊業、小売業、飲食サービス業などの雇用は見込まれますが、平成27年度の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、熊本県の宿泊、飲食サービス業の平均年間収入は250万5,000円です。熊本市の平成26年度人事行政の運営状況についてによると、熊本市の公務員の平均年収は691万5,000円ですから、雇用が生まれると同時に、格差も生まれるといっても過言ではありません。
 行政がする仕事としては大ざっぱに雇用の数をふやすことではなく、確実に雇用の質を上げるような事業をすることがふさわしいと考えます。
 次に、新ホールの収支の見通しについて改めてお尋ねいたします。
 想定される使用期間の年数とその期間全体の収入支出の資産合計を施設維持費、大規模改修工事費用、解体等に係る費用も含めてお答えください。市長にお尋ねします。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  収支の見通しについてお答えをいたします。
 現在、使用期間の年数について精査をしているものではございませんが、大規模改修工事積立金の試算を行った際は、運用期間を50年と仮定をしているところでございます。
 これまで、熊本城ホールの利用料収入につきましては年間約5億3,300万円、維持管理経費につきましては年間約5億2,300万円、大規模改修工事積立金につきましては年間3億300万円との試算をお示ししてきたところでございまして、それぞれ50年間に換算をいたしますと、利用料収入が266億5,000万円、維持管理費が261億5,000万円、大規模改修工事費用が151億5,000万円となります。なお、解体に係る費用の試算は現時点で行っておりません。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  今の御答弁によりますと、維持管理費と大規模改修工事積立金が合計で年間8億2,600万円かかり、利用料の見込みが年間5億3,300万円ですから、毎年の収支は2億9,300万円の赤字です。仮定された運用期間の50年では累積赤字は146億5,000万円です。
 しかし、熊本市が策定している公共施設等総合管理計画では、市の施設は35年で大規模修繕を行い、70年間使用することがコストの面から最も望ましいとされています。このホールを70年間使用すると仮定しますと、累積赤字は205億1,000万円です。これにいつの日か解体費用が発生します。
 このような大型赤字事業を続行することは賢明とは思えません。熊本市が公共施設維持コストの負担を軽減するために、20%の床面積を縮減する目標にも逆行するものです。
 引き続き市長にお尋ねいたします。
 このように熊本市の財政に大きな影響を与え、まちなかの空間の使い方を大きく変える事業について、地震後、市民がどう考えるか尋ねる必要があるとお思いになられますでしょうか。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  地震後の市民の意向調査の必要性についてでございますが、本事業も含め、この熊本市震災復興計画素案におきまして、これらの復興重点プロジェクト、これは新たな熊本の経済成長を牽引するものとして、位置づけたところでございます。
 そういう中で、この復興計画素案につきましては8月19日から9月9日までの間、広く市民の皆様の御意見を伺うため、パブリックコメントを実施したところでございます。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  熊本市震災復興計画素案は、熊本市がこれから復興を遂げていくための必要な手順や考え方、方針などを示しており、新ホールについて市民の意見を尋ねるパブリックコメントではありません。現在、結果を精査中であるということですが、素案全体に対して約14件しか集まっていないということです。
 市では、地震後さまざまなアンケートをされていますが、町内自治会や自主防災クラブ対象のアンケートの中で、皆さんが地震後優先させるべき事項は何かを尋ねていると聞きました。優先すべき事項として、どのような回答が多いでしょうか。政策局長にお尋ねいたします。
        〔古庄修治政策局長 登壇〕

◎古庄修治 政策局長  地震後に行った町内自治会や自主防災クラブを対象としたアンケートの中で、優先すべき事項として、どのような回答が多かったのかというお尋ねでございます。
 今回町内自治会、自主防災クラブへのアンケートについては、熊本地震からの振り返りや今後の防災対策に資することを目的としまして、町内会並びに自主防災クラブの1,081件を対象に、7月29日から8月12日まで行ったものでございまして、内容としましては、前震及び本震、発災時における各団体の行動内容を初め、その後の避難所運営など自助・共助・公助の観点からお尋ねしたものでございます。
 その中で、委員がお尋ねの今後の復旧・復興において優先すべき事項というのもあわせてお尋ねしております。
 回答項目24項目中多かった順から挙げますと、一つは被災者への生活再建、経済的支援、また道路、橋梁などインフラの早期復旧、耐震強化、さらには電気、ガス、水道などのライフラインの耐震化等の強化の順になっております。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  被災者への生活再建、経済的支援など結果は至極もっともであり、市が優先すべきもこのような事業だと思います。
 去年12月の私の一般質問の中で、事業の優先順位をどのようにつけますかという私の質問に対して、市長は市民に問うとお答えになりました。有言実行していただきたいと存じます。
 地震前後で市を取り巻く状況は一変したと言いながら、新ホール事業を強引とも思える姿勢で進めようとなさるお姿は民主主義とは何ぞやということを勉強し、市民こそ私のシンクタンクとおっしゃってきた市長らしからぬ進め方だと思います。
 アンケート、懇談会、住民投票等、市民の意見を問う方法はいろいろあります。過去に禍根を残さないような意思決定の過程を踏んでいただきたいと、切に願っております。
 続いて、一部損壊の世帯への支援についてお尋ねいたします。
 市長は今議会の中でも、一人一人の生活再建が最優先ですとか、市民一人一人に最大限の支援をするですとかおっしゃってはおりますが、今回の補正予算編成を見ても、実際にはそうなっていないのが現状です。さまざまな声が寄せられている中でも、一部損壊の判定を受けた方の中で、修理費用がかかる方々からの支援を求める声が多数寄せられております。藤山委員も紹介されたとおり、ほかの議員の方々へも同様だと存じます。市長にはこのような声が届いていますでしょうか。届いているならば、このような方々へどのように支援されますか、具体的にお示しください。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  一部損壊の方への支援という御質問でありますが、私も復興座談会やさまざまな会合、あるいは市長への手紙といった広聴媒体を通じて被災者の皆様のさまざまな御意見、御要望を伺っているところでございます。
 今回の熊本地震におきましては、住家そのものの被害は少なくても敷地に大きな被害がある場合や、屋根等の修理に費用がかかる場合など、一部損壊であっても住宅の再建に相当の費用がかかるケースがあると承知をしております。
 なお、一部損壊でも利用いただける制度としましては、例えば家財に一定程度の損壊があった場合には、災害援護資金の貸し付けや個人市民税や国民年金保険料等の減免を受けられる場合があり、また家屋の修理や引っ越し費用につきましては、社会福祉協議会において、生活福祉資金の貸し付け制度などもありますので、対象者の皆さんに対しては周知に努めているところでございます。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  このような方々の声が届いているということであれば、大型事業よりもこのような方々への支援を優先すべきと考えますが、いかがでしょうか、市長にお答え願います。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  復興計画の案の最初のところでも、被災者の支援というものを最重要として挙げておりますので、当然それにのっとってやっていくということでございます。そして、また多くの被災者の皆さんに寄り添いながら、その立場に立って適切な支援をしてまいりたいと考えております。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  5月13日の熊日へのインタビューでは、市独自の支援策も柔軟に考えたいとおっしゃっておりました。これから復興部によってアンケート調査を予定しているということです。これからアンケートを行い、約7万件も上る一部損壊も含めた被災者への市独自の支援を行うためには、市の財源は確保しておかなければならないと思います。
 続いて、城下町の存続についてお尋ねいたします。
 世界遺産の選定にかかわる日本イコモス国内委員会は新町・古町地区は城下町としてのたたずまいがあるところですが、その町屋の多くが応急危険度判定で赤紙を張られて、所有者は取り壊しも考えざるを得ない状況です。
 これらの町屋は、多くの動産文化財や歴史資料を内部に所蔵しています。所有者たちは応急の倒壊防止、所蔵文化財保護対策に追われつつ、今家屋の保存、修理の見通しを切実に必要としています。
 ここは歴史的な石橋や河川等の社会インフラとともに、市民が江戸時代以来の伝統文化を継承し、有形、無形の記憶を蓄積してきた貴重な場所です。「城は残っても城下町は消えるという極めて深刻な瀬戸際に熊本は立たされています。」という声明を発表しています。城下町は今、地震被害によって存続の危機にあります。市長は城下町の価値をどのように考えますか、また存続させようと思われますか。
        〔大西一史市長 登壇〕

◎大西一史 市長  城下町の存続に関するお尋ねにお答えをいたします。
 本市は熊本城の城下町としてまちが形成をされ、九州中央における拠点都市として発展をしてまいりましたが、今回の熊本地震によりまして、それらは甚大な被害を受け、私自身被害状況を目の当たりにしたときは、胸が締めつけられる思いでございました。
 そのように、熊本の礎とも言える熊本城を初めとした、城下町の復旧は熊本地震からの復興の象徴となるものと考えております。
 しかし、個人資産の復旧であり、所有者の意向に左右される、こうした城下町の復旧につきましては課題が大変多いことから、今後どのように城下町を守っていくのか、官民連携して取り組んでいきたいと考えております。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  本気で城下町を保存しようと思うのであれば復旧費用を概算し、予算を確保する必要があります。新町・古町の地震被害は、先日の都市建設局長の答弁にあるように490棟のうち、実に374棟に発生しているということです。これらの復旧費用の総額は幾らですか。
 また今回の補正予算には、城下町の存続に関して増額の補正予算は組まれておりません。予算を組むべきだと考えます。
 以上2点について、都市建設局長の答弁を求めます。
        〔肝付幸治都市建設局長 登壇〕

◎肝付幸治 都市建設局長  新町・古町の歴史的建造物の復旧費用に関する御質問にお答えいたします。
 これらの建造物はただいま市長が申し上げたとおり、個人資産であり、建物修復等に向けた考え方がさまざまでありますことから、復旧費用の総額については把握できていない状況でございます。
 そのようなことから現在建物の所有者に対し、復旧等の意向調査を実施しておりまして、その結果を踏まえまして、現行の外観修景に対する助成制度を最大限に活用した支援の検討を行ってまいりたいと思っております。
        〔緒方夕佳委員 登壇〕

◆緒方夕佳 委員  私自身が聞き取り調査したところによりますと、最低でも10棟は既に解体されてしまったそうです。
 私が市長を初め、皆さんに最もお伝えしたいことは、熊本市は既に世界中から人々が休暇を過ごしに来る価値のある場所であり、ポテンシャルは既に十分に高いということです。会議などで来たついでに見ていただくような場所ではありません。多額の税金を使うならば、短期間しか滞在しない方をターゲットにするのではなく、長期の休暇を使い、ゆっくり日本の文化、歴史、自然、食を堪能したいという方々をターゲットにすべきです。
 きのう市長は、観光入れ込みを図っていきたいとおっしゃいました。本気でそうお思いになるならば、城下町の町並み整備や町並みや町屋を楽しむさまざまな仕掛けが必要です。やることは山積しております。それも城下町がなくなってしまってはかないません。さらなる財源確保を求めます。
 政府は、日本ならではの古民家を活用した地方の観光振興策を後押ししています。犬山市では古民家の外観を整備して、城下町の町並みを復活させ、犬山城は15年の来場者が6年の倍以上となる53万人にふえました。
 先日、市長はホールや再開発事業の推進によって未来の礎を築くとおっしゃいました。その気概はすばらしいと思いますが、率直に言って少々おこがましいと感じたのは私だけだったでしょうか。
 私たちの生きる今日は、先人が途方もない年月を経て培ってきた知恵、技術、そして労力を礎としております。そして私たちの仕事は、この大いなる遺産を後世に引き継ぐことだと考えております。決して市長が礎を築くのではありません。市長が三、四年先を見て、どうしても必要とおっしゃるMICE施設は100年後には存在しないでしょう。
 しかし、城下町は今残せば100年、200年と時を経るごとにその価値を増していきます。つまり、後世の世代がまちを誇りに思うよりどころと、観光で食べていくすべを残すことになります。
 現在市長が選んでいる一部損壊の方々や城下町は助けず、MICE施設は続ける道は将来財源確保に苦しみ、観光で生きていけないまちをつくります。これは経済の成熟した社会では致命的と言えます。
 未来へ続く道は、まず一部損壊の方々、困っている方々を助け、城下町をよみがえらせる道です。我々はどちらの道を選ぶか、今岐路に立たされています。私は未来へ続く道を選びたい。皆さんの御賛同を真摯に求めて、私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○三島良之 委員長  以上で、和の会くまもと、緒方夕佳委員の質疑は終わりました。
 以上で総括質疑は終わりました。
 次に、付託議案の取り扱いについてお諮りいたします。
 付託議案の詳細審査につきましては、お手元に配付しております一覧表のとおり、各分科会が分担することで御異議ありませんか。
        (「異議なし」と呼ぶ者あり)

○三島良之 委員長  御異議なしと認め、そのように決定いたします。
 次回、当委員会は9月21日(水曜)午前10時に開きます。
 なお、次回の委員会における締めくくり質疑の通告期限は、9月20日(火曜)午前10時となっておりますので、委員各位、御承知おき願います。
 これをもちまして、本日の委員会を閉会いたします。
                             午後 2時03分 閉会




出席説明員
   市長       大 西 一 史    副市長      高 田   晋
   副市長      植 松 浩 二    政策局長     古 庄 修 治
   総務局長     多 野 春 光    財政局長     宮 本 邦 彦
   市民局長     西 島 徹 郎    経済観光局長   石 櫃 紳一郎
   都市建設局長   肝 付 幸 治    上下水道事業管理者永 目 工 嗣

議会事務局職員
   事務局長     田 上 美智子    事務局次長    富 永 健 之
   議事課長     本 田 正 文    調査課長     中 川 和 徳
 
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